説明

マンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造

【課題】 コンクリート製のフランジをコンクリート製マンホールの直円筒の外表面に容易に組み付け、確実にフランジを直円筒の外表面に支持すると共に、フランジの内径に多少の誤差があってもフランジを直円筒の外表面に組み付け可能とするマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造を提供する。
【解決手段】 コンクリート製マンホールの直円筒9の外表面に設けられる複数の支持部材1で支持されるフランジ10を備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、前記複数の支持部材のそれぞれが、上方部分に外表面が階段状に順次肉厚となるクサビ型のフランジ係止部5が備えられ、中間部分にマンホール壁へのコンクリート釘6の挿入孔7が備えられ、下方部分に下面が上方に傾斜して打撃受面となる支持部材の押し込み部8が備えられたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、突上げ浮上防止用のひれをマンホールの直円筒の外表面の全周または部分的に1乃至複数段設けたものがある(例えば特許文献1参照。)。
また、耐震化マンホールの構造として、コンクリート製の路盤材支持用床板をマンホールの調整環ブロックの間にマンホール構造体の外壁面の略水平方向にの延設させたものがある(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−152542号公報
【特許文献2】特開2007−169927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来技術の前者では、ひれ同士を連結するためにボルトナットを使用し、又マンホールの直円筒の外表面にひれを取り付けるために埋め込みインサートナットとボルト若しくはアンカー等を用いて、ひれを取り付けるための部材の加工及び取り付け作業が容易にできない虞があった。
また、前記従来技術の後者では、コンクリート製の路盤材支持用床板はマンホール構造体のマンホールの調整環ブロックの間に配置されることから、コンクリート製の路盤材支持用床板の設置が容易でない虞があった。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンクリート製のフランジをコンクリート製マンホールの直円筒の外表面に容易に組み付け、確実にフランジを直円筒の外表面に支持すると共に、フランジの内径に多少の誤差があってもフランジを直円筒の外表面に組み付け可能とするマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明におけるマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造は、コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、前記複数の支持部材のそれぞれが、上方部分に外表面が階段状に順次肉厚となるクサビ型のフランジ係止部を備え、中間部分にマンホール壁へのコンクリート釘の挿入孔を備え、下方部分に下面が上方に傾斜して打撃受面となる支持部材の押し込み部を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、前記複数の支持部材のそれぞれが、上方部分に外表面が階段状に順次肉厚となるクサビ型のフランジ係止部を備え、中間部分にマンホール壁へのコンクリート釘の挿入孔を備え、下方部分に下面が上方に傾斜して打撃受面となる支持部材の押し込み部を備えたものとしたことから、コンクリート製のフランジをコンクリート製マンホ―ルの直円筒の外表面に容易に組み付け、確実にフランジを直円筒の外表面に支持すると共に、フランジの内径に多少の誤差があってもフランジを直円筒の外表面に組み付け可能とするマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、前記複数の支持部材のそれぞれが、上方部分に外表面が階段状に順次肉厚となるクサビ型のフランジ係止部を備え、中間部分にマンホール壁へのコンクリート釘の挿入孔を備え、下方部分に下面が上方に傾斜して打撃受面となる支持部材の押し込み部を備えたものである。
【実施例1】
【0009】
図1ないし図4は本発明の実施例に関するものであり、図1は本発明のマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造の支持部材の平面図、図2は図1のA−A断面図、図3はマンホールの直円筒にフランジを配置して複数の支持部材で支持する説明図、図4は支持部材で支持する要部拡大断面図である。
【0010】
図において、1は支持部材であり、該支持部材1は上方部分2と中間部分3と下方部分4とで構成され、強化合成樹脂(例えばFRP。)で一体成形されている。
【0011】
前記支持部材1の上方部分2には、外表面が階段状に下部位が順次肉厚となるクサビ型の係止部5が形成されている。
【0012】
支持部材1の中間部分3には、マンホール壁へのコンクリート釘6の打込用の挿入孔7が穿設されている。
【0013】
支持部材1の下方部分4には、下面が上方に傾斜(例えば30度。)して打撃受面となる支持部材1の押し込み部8が形成されている。
【0014】
以上のような構成からなる支持部材1を複数個(例えば六個。)用意して、図3に示すようにコンクリート製マンホールの直円筒9にクレーン等によりコンクリート製のフランジ10を吊しながら(図示せず。)直円筒9に配置する。図3において、フランジ10は平面視円形であるが平面視角形のフランジでもよいものとする。
【0015】
マンホール壁にフランジ10を組付けるには、先づフランジ10の位置が決まったところで、フランジ10の下面と直円筒9の外壁の間に支持部材1のクサビ型の係止部5を配置し、そして下面が上方に傾斜(例えば30度。)して打撃受面となる支持部材1の押し込み部8を金槌等で打撃することにより、フランジ10は重量があるのでクサビ型の係止部5はフランジ10の下面側から直円筒9の外壁の間に挿着される。ここで、クサビ型の係止部5の外表面が階段状に下部位が順次肉厚となっている部分が押し込み部8からの打撃により潰されることからフランジ10の内径が多少の誤差があっても、直円筒9の外壁とフランジ10との間の間隙の寸法差は打ち込まれるクサビの打込量の調整により該寸法差による係止の不具合は解消されるので、フランジ10は確実に直円筒9の外壁に係止される。また、押し込み部8の下面が上方に傾斜(例えば30度。)して打撃受面を形成していることにより、作業者は金槌等で打撃受面を容易に打撃することができる。
【0016】
そして、係止部5の位置が決定したときに、支持部材1の中間部分3に穿設されたコンクリート釘6の挿入孔7からコンクリート釘6を直円筒9の外壁に向けて打ち付けることにより、支持部材1は直円筒9の外壁に確実に固定される(図4参照。)。
【0017】
そして、同様な方法でフランジ10の下面と直円筒9の外壁の間に等間隔で複数個の支持部材1,1,…を設置することにより、コンクリート製のフランジ10をコンクリート製マンホ―ルの直円筒9の外表面に容易に組み付けることができて、確実にフランジ10を直円筒9の外表面に支持することができる。
【0018】
なお、図3,図4に示すように、フランジ10の上面と直円筒9の外壁の間に前記支持部材1,1,…と同様な構成の係止部材11,11,…を支持部材1と対向した部位に設置することも可能であり、フランジ10の下面と上面とを支持部材1,1,…と係止部材11,11,…とで固定することにより、フランジ10はより確実に直円筒9の外壁に係止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造の支持部材の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】マンホールの直円筒にフランジを配置して複数の支持部材で支持する説明図である。
【図4】支持部材で支持する要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 支持部材
2 支持部材の上方部分
3 支持部材の中間部分
4 支持部材の下方部分
5 係止部
6 コンクリート釘
7 コンクリート釘の挿入孔
8 支持部材の押し込み部
9 直円筒
10 フランジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製マンホールの直円筒の外表面に設けられる複数の支持部材で支持されるフランジを備えたマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造において、前記複数の支持部材のそれぞれが、上方部分に外表面が階段状に順次肉厚となるクサビ型のフランジ係止部を備え、中間部分にマンホール壁へのコンクリート釘の挿入孔を備え、下方部分に下面が上方に傾斜して打撃受面となる支持部材の押し込み部を備えたことを特徴とするマンホールの地震などによる突上げ浮上の防止構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−13888(P2010−13888A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176693(P2008−176693)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(592101149)三山工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】