説明

マンホール点検車

【課題】道路下にあるマンホールの点検作業の作業時間の大幅な短縮が図れるマンホール点検車を提供する。
【解決手段】マンホール点検車10は、天井に取り付けられたレール20に沿って走行可能なマンホール蓋2を開閉するための蓋開閉装置30と、レール20に沿って走行可能な作業員の墜落を防止するための墜落防止装置40と、車内を作業員が移動するときに誤ってマンホールに転落するのを防止するための転落防止柵50と、床に設けられたスライド式車内点検口開閉装置60と、マンホール内を換気するための送風機70と、マンホール内の溜水を排水するための排水装置80と、マンホール内の酸素や有毒ガスの濃度測定を行うための測定装置90とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール点検車に関し、特に、道路上にあるマンホール蓋を開閉してマンホール点検作業を行うのに好適なマンホール点検車に関する。
【背景技術】
【0002】
歩道下に設けられている既設のガスおよび水道用のマンホールにスペースがない場合には、電力ケーブルを敷設するためのマンホールは道路下に設けられることがある。このような道路下にあるマンホールの点検作業を行う場合には、図10に示すように、運転者、通行人および点検作業員の交通および作業の安全確保のために、各種の点検機材運搬用の運搬車両110を道路脇に駐車させ、駐車させた運搬車両100の後方にマンホール蓋2を囲む作業区画111を定め、運搬車両110および作業区画111を含む作業範囲(約10m×約2.5m)の前後に工事中看板112をそれぞれ設けるとともに、作業範囲の前後に交通整理員1131,1132をそれぞれ配置している。
【0003】
なお、下記の特許文献1には、路上側でのクリーンユニットを含む囲い体や機械などの設置やその撤去を能率よく行うために、車体上に囲い体を設置し、囲い体内の部屋に、マンホール内クリーンルームにクリーンな空気を送るクリーンユニットを搭載し、囲い体内の部屋の底部に開口部を設け、この開口部に、これを包囲するとともにマンホール入口を包囲する伸縮式包囲体を設け、この伸縮式包囲体内の空間よりマンホール内への出入りとマンホール内クリーンルームへのクリーンな空気の供給ができるようにしたマンホール内ケーブル接続作業用工事車両が開示されている。
【特許文献1】特開平11−222069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のマンホール点検作業は、たとえば以下に示すような作業手順により行われる(各作業に要する時間をかっこ書で示す。)。
1.安全対策作業(20分)
(1)道路使用許可条件に従って、交通誘導のための交通整理員1131,1132を配置する(5分)。
(2)道路使用許可条件に従って、車両および通行人の立入りを禁止するための作業区画111を設置する(15分)。この作業は、交通案内などの注意標識類(工事中看板112)の取付け作業を含む。
2.準備作業(30分)
(1)マンホール蓋2を開放する(10分)。
(2)労働安全衛生法に従って、開放部に転落防止装置を設置する(5分)。
(3)労働安全衛生法に従って、マンホール内の酸素や有毒ガスの濃度測定の準備をする(5分)。この濃度測定は、作業の間は継続して行われる。
(4)労働安全衛生法に従って、換気のためのマンホール内への送風の準備をする(5分)。この換気は、酸素濃度などが規定範囲以上あっても10分程度行われる。
(5)ほとんどのマンホールには水が溜まっているため、この溜水の水中ポンプによる排水の準備をする(5分)。
3.本作業(40分)
(1)作業員がマンホールに入孔する(5分)。このとき、労働安全衛生法に従って、作業員は、梯子を用いて入孔するととともに、墜落防止対策が採られる。
(2)作業員が実作業(各種の点検、測定および記録)を行う(30分)。
(3)作業員がマンホールから出孔する(5分)。
4.後片付け作業(20分)
(1)開放部に設置した転落防止装置を撤去する(5分)。
(2)マンホール蓋2を閉じる(10分)。
(3)作業区画111を撤去する(5分)。
【0005】
このように、マンホール点検作業には約110分(=20分+30分+40分+20分)程度要するため、通行人や車両などに対する交通規制や制限の時間も長くなるので、マンホール点検作業の効率化のほかに通行人や運転者の安全のためにもマンホール点検作業の作業時間を大幅に短縮したいという要請がある。
【0006】
本発明の目的は、道路下にあるマンホールの点検作業の作業時間の大幅な短縮が図れるマンホール点検車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマンホール点検車は、道路上にあるマンホール蓋(2)を開閉してマンホール点検作業を行うためのマンホール点検車(10)であって、前記マンホール点検車の天井に取り付けられたレール(20)に沿って走行可能な、前記マンホール蓋を開閉するための蓋開閉装置(30)と、前記マンホール点検車の床に設けられた車内点検口開閉装置(60)とを備えることを特徴とする。
ここで、前記レールに沿って走行可能な、作業員の墜落を防止するための墜落防止装置(40)と、前記マンホール点検車の車内を作業員が移動するときに誤ってマンホールに転落するのを防止するための転落防止柵(50)とをさらに備えてもよい。
前記マンホール内を換気するための送風機(70)と、前記マンホール内の溜水を排水するための排水装置(80)と、前記マンホール内のガスの濃度測定を行うための測定装置(90)とをさらに備えてもよい。
前記蓋開閉装置が、前記レールに沿って走行可能な天井クレーン装置(31)と、該天井クレーン装置により巻き取られたり引き出されたりする蓋吊ワイヤ(32)と、該蓋吊ワイヤの先端に取り付けられたかつ前記マンホール蓋の第1および第2のフック取付部(21,22)にそれぞれ取り付けられる第1および第2のフック(331,332)とを備えてもよい。
前記墜落防止装置が、前記レールに沿って手動で走行される手動式天井走行ロック装置(41)と、鉤部を先端に備えたロープ(42)とを備え、前記手動式天井走行ロック装置が、前記ロープの巻取り機構と、所定の大きさ以上のショックが与えられると前記ロープの引出しを阻止する緊急ロック機構とを有してもよい。
前記転落防止柵が、円筒状の柵本体(51)と、該柵本体に開閉自在に取り付けられた出入用扉(52)とを備え、前記柵本体に、該柵本体の軸方向に沿って蓋吊ワイヤ通過用開口部(53)が形成されており、前記柵本体の下部に、該柵本体の周方向に沿って蓋通過用開口部(54)が形成されており、前記マンホール点検車の床に、前記転落防止柵を手動で回転させるための環状の柵用レール(55)が取り付けられていてもよい。
前記車内点検口開閉装置が、透明アクリル樹脂板(61)とメッシュ式鋼板(62)とが重ね合わされた窓部と、該窓部をスライドさせて開閉させるための電動式開閉装置とを備えてもよい。
前記送風機が、電動送風装置(71)と、前記マンホール点検車の側面に取り付けられたかつホース(73)を巻き取ったり引き出したりするためのホースドラム(72)と、前記マンホール点検車の側面に取り付けられたかつ前記ホースを前記ホースドラムから前記転落防止柵の前記柵本体内を通してマンホール側壁に沿って前記マンホール内に導くためのホースガイド(74)とを備えてもよい。
前記排水装置が、バキュームポンプ(81)と、該バキュームポンプに取り付けられた浄化装置(82)と、前記マンホール点検車の側面に取り付けられたかつホース(84)を巻き取ったり引き出したりするためのホース収納ドラム(83)と、前記マンホール点検車の側面に取り付けられたかつ前記ホースを前記ホース収納ドラムから前記転落防止柵の前記柵本体内を通してマンホール側壁に沿って前記マンホール内に導くためのホースガイド(85)とを備えてもよい。
前記マンホール点検車の前方および後方にそれぞれ取り付けられたかつマンホール点検作業中である旨を通行人および車両に知らせるとともに夜間には照明をして通行人および車両に注意を喚起するための前方誘導装置(91)および後方誘導装置(92)をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマンホール点検車によれば、マンホール点検車をマンホール蓋の上に停車させるだけでマンホール点検作業のすべてを車内から行うことができるため、交通整理員の配置、作業区画の設置および転落防止装置の設置が必要でなくなり、また、マンホール蓋の開閉作業などに要する時間も短縮することができるので、道路下にあるマンホールの点検作業の作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
道路下にあるマンホールの点検作業の作業時間の大幅な短縮を図るという目的を、マンホール点検車の天井に取り付けられたレールに沿って走行可能なマンホール蓋を開閉するための蓋開閉装置と、マンホール点検車の床に設けられた車内点検口開閉装置とを少なくとも備えたマンホール点検車を用いて、マンホール点検作業を行うことにより実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明のマンホール点検車の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施例によるマンホール点検車10には、蓋開閉装置30、墜落防止装置40、転落防止柵50、スライド式車内点検口開閉装置60、送風機70、排水装置80および測定装置90が積載されている。また、マンホール点検車10の前方および後方には、前方誘導装置91および後方誘導装置92が取り付けられている。
【0011】
蓋開閉装置30は、マンホール蓋2を開閉するためのものであり、マンホール点検車10の天井に取り付けられたレール20に沿って走行できるように構成されている。
蓋開閉装置30は、図2に示すように、H構造のレール20に沿って電動で(マンホール点検車10に搭載されている車内電源(不図示)により駆動されて)走行される天井クレーン装置31と、天井クレーン装置31により巻き取られたり引き出されたりする蓋吊ワイヤ32と、蓋吊ワイヤ32の先端に取り付けられたかつマンホール蓋2の第1および第2のフック取付部21,22にそれぞれ取り付けられる第1および第2のフック331,332とを備える。
なお、天井クレーン装置31は、車内電源により駆動されて、蓋吊ワイヤ32を巻き取ったり引き出したりする。また、天井クレーン装置31は、レール20に沿って手動で走行されるようにしてもよい。
【0012】
墜落防止装置40は、作業員がマンホール点検車10の車内からマンホールに出入りするときに作業員が誤ってマンホールに墜落するのを防止するためのものであり、レール20に沿って走行できるように構成されている。
墜落防止装置40は、図3に示すように、レール20に沿って手動で走行される手動式天井走行ロック装置41と、作業員が装着する胴ベルト型の安全帯のD環に取付け可能なカラビナ(鉤部)を先端に備えたロープ42とを備える。なお、手動式天井走行ロック装置41は、ロープ42の巻取り機構と、自動車のシートベルトと同じ原理により所定の大きさ以上のショックが与えられるとロープ42の引出しを阻止する緊急ロック機構とを有する。
【0013】
転落防止柵50は、マンホール点検車10の車内を作業員が移動するときに誤ってマンホールに転落するのを防止するためのものである。
転落防止柵50は、図4(a)に示すように、好ましくは軸方向に伸縮可能な円筒状の柵本体51と、柵本体51に開閉自在に取り付けられた出入用扉52とを備える。
【0014】
柵本体51には、図4(a)に示すように蓋吊ワイヤ32が転落防止柵50を通過できるようにするために、柵本体51の軸方向に沿って蓋吊ワイヤ通過用開口部53が形成されている。また、柵本体51の下部には、図4(b)に示すようにマンホール蓋2が転落防止柵50を通過できるようにするために、柵本体51の周方向に沿って蓋通過用開口部54が形成されている。
これにより、蓋開閉装置30によってマンホール点検車10の車内まで吊り上げられたマンホール蓋2を転落防止柵50から横方向に出して、マンホール点検車10の床に置いておくことができる。
【0015】
マンホール点検車10の床には、図4(b)に示すように、環状の柵用レール55が取り付けられており、転落防止柵50を柵用レール55に沿って手動で回転できるようにされている。これにより、作業員は、転落防止柵50を手動で回転させて出入用扉52を手前にもってくることができるため、マンホール点検車10の車内からマンホールへの出入口を自由に設定することができる。
【0016】
スライド式車内点検口開閉装置60は、走行中にマンホール点検車10の底部から車内に異物などが入ってくるのを防止し、転落防止柵50の真下に設けられた車内点検口がマンホール蓋2の真上にくるようにマンホール点検車10を停止させるとともに、マンホール点検作業時に作業員がマンホール点検車10の車内からマンホールに出入りすることができるようにするためのものである。
スライド式車内点検口開閉装置60は、マンホール点検車10の床に設けられており、図5(b)に示すように、透明アクリル樹脂板61とメッシュ式鋼板62とが重ね合わされた窓部と、窓部をスライドさせて開閉させるための電動式開閉装置(不図示)とを備える。なお、電動式開閉装置は車内電源により駆動される。
これにより、透明アクリル樹脂板61およびメッシュ式鋼板62を通してマンホール蓋2の位置をマンホール点検車10の車内から目視できるため、車内点検口がマンホール蓋2の真上にくるようにマンホール点検車10を停止させることができる。また、図5(a),(b)に示すように電動式開閉装置を用いて透明アクリル樹脂板61およびメッシュ式鋼板62をスライドさせて開くことにより、作業員はマンホール点検車10の車内から直接にマンホールに出入りすることができる。
【0017】
なお、透明アクリル樹脂板61の下にメッシュ式鋼板62を設けているのは、マンホール点検車10の走行中に石などが透明アクリル樹脂板61に当って透明アクリル樹脂板61が割れるのを防止するためである。
また、電動式開閉装置は、窓部(透明アクリル樹脂板61およびメッシュ式鋼板62)がマンホール点検車10の走行中に誤って開いたりマンホールの点検中に誤って閉じたりしないように、ロック機能を有する。
【0018】
送風機70は、作業員がマンホール内に入る前および入っているときにマンホール内を換気するためのものである。
送風機70は、図6に示すように、車内電源により駆動される電動送風装置71と、車内電源により駆動されてホース73を巻き取ったり引き出したりするためのホースドラム72と、ホース73をホースドラム72から転落防止柵50の柵本体51内を通してマンホール側壁に沿ってマンホール内に導くためのホースガイド74とを備える。ホースドラム72およびホースガイド74は、マンホール点検車10の側面に取り付けられている。
【0019】
排水装置80は、マンホールに溜まっている水(溜水)を排水するためのものである。
排水装置80は、図7に示すように、車内電源により駆動される電動のバキュームポンプ81と、車内電源により駆動されるかつバキュームポンプ81に取り付けられた浄化装置82と、車内電源により駆動されてホース84を巻き取ったり引き出したりするためのホース収納ドラム83と、ホース84をホース収納ドラム83から転落防止柵50の柵本体51内を通してマンホール側壁に沿ってマンホール内に導くためのホースガイド85とを備える。ホース収納ドラム83およびホースガイド85は、マンホール点検車10の側面に取り付けられている。
なお、浄化装置82により浄化された溜水は、マンホール点検車10の車内に収納可能に設けられたホースによりマンホール点検車10の床面から車外に出されたのち道路の排水溝に流される。
【0020】
測定装置90は、車内電源により電力が供給されて、マンホール内のガス(酸素や有毒ガス)の濃度測定などを行うためのものである。なお、測定装置90にはマンホール内の酸素などを吸引するためのホースが取り付けられている。
【0021】
前方誘導装置91および後方誘導装置92は、車内電源により駆動されて、マンホール点検作業中である旨を通行人および車両に知らせるとともに、夜間には照明をして通行人および車両に注意を喚起するためのものである。たとえば、前方誘導装置91後方誘導装置92には、図8(a),(b)に示すような案内標識がそれぞれ表示される。
【0022】
次に、上述したマンホール点検車10を用いてマンホール点検作業を行うときの作業手順について説明する。なお、各作業に要する時間(所要時間)と上述した従来のマンホール点検作業における所要時間からの削減時間とをかっこ書で示す。
1.安全対策作業(所要時間=0分、削減時間=20分−0分=20分)
(1)道路使用許可条件に従った標識を前方誘導装置91および後方誘導装置92で表示することができるので、交通誘導のための交通整理員1131,1132(図10参照)を配置する必要はなくなる(所要時間=0分、削減時間=5分−0分=5分)。
(2)マンホール点検車10の車内ですべての作業を行えるため、図9に示すようにマンホール点検車10自体を作業区画とすることができるので、車両および通行人の立入りを禁止するための作業区画111(図10参照)を設置する必要はなくなる(所要時間=0分、削減時間=5分−0分=5分)。
2.準備作業(所要時間=8分、削減時間=30分−8分=22分)
(1)蓋開閉装置30を用いてマンホール蓋2を開放することができるので、5分程度の作業時間で済む(所要時間=5分、削減時間=10分−5分=5分)。
(2)マンホール点検車10に転落防止柵50を設置しているため、作業員はマンホール点検車10の車内からマンホールに出入することができるので、マンホールの開放部に転落防止装置を設置する必要はなくなる(所要時間=0分、削減時間=5分−0分=5分)。
(3)測定装置90を用いてマンホール内の酸素や有毒ガスの濃度測定を行うことができるので、この濃度測定の準備は1分程度で済む(所要時間=1分、削減時間=5分−1分=4分)。
(4)送風機70を用いてマンホール内の換気を行うことができるので、換気のためのマンホール内への送風の準備は1分程度で済む(所要時間=1分、削減時間=5分−1分=4分)。
(5)排水装置80を用いてマンホール内の溜水の排水を行うことができるので、溜水の排水のための準備は1分程度で済む(所要時間=1分、削減時間=5分−1分=4分)。
3.本作業(所要時間=34分、削減時間=40分−34分=6分)
(1)作業員は装着した安全帯のD環に墜落防止装置40のロープ42の先端のカラビナを取り付けてマンホールに入孔すればよいため、2分程度でマンホールに入孔することができる(所要時間=2分、削減時間=5分−2分=3分)。
(2)作業員が実作業(各種の点検、測定および記録)を行う(所要時間=30分、削減時間=30分−30分=0分)。
(3)作業員は安全帯のD環に墜落防止装置40のロープ42を取り付けてマンホールから出孔すればよいため、2分程度でマンホールから出孔することができる(所要時間=2分、削減時間=5分−2分=3分)。
4.後片付け作業(所要時間=5分、削減時間=20分−5分=15分)
(1)マンホール点検車10に転落防止柵50を設置しているため、転落防止柵50を撤去する必要はなくなる(所要時間=0分、削減時間=5分−0分=5分)。
(2)蓋開閉装置30を用いてマンホール蓋2を閉じることができるので、5分程度の作業時間で済む(所要時間=5分、削減時間=10分−5分=5分)。
(3)マンホール点検車10自体を作業区画とすることができるので、作業区画111(図10参照)を撤去する必要はなくなる(所要時間=0分、削減時間=5分−0分=5分)。
【0023】
このようにマンホール点検車10を用いてマンホール点検作業を行うときの全体の所要時間は47分(=0分+8分+34分+5分)で済み、従来のマンホール点検作業の110分に比べて、63分(約半分)の作業時間の短縮が図れる。
これにより、以下の効果が期待でき、トータル費用の削減および労働環境の改善につなげることができる。
(1)一般交通車両の交通規制の短縮による道路使用許可条件の緩和
(2)作業効率化による作業員の削減(たとえば、4名から3名に削減)および作業環境の改善
(3)交通整理員の省略
【0024】
なお、以上の説明においては、スライド式車内点検口開閉装置60を用いたが、ハッチ式の点検口開閉装置を用いてもよい。
また、墜落防止装置40および転落防止柵50をマンホール点検車10に積載したが、車内に固定された安全綱をすべての作業員が装備するなどすれば、墜落防止装置40および転落防止柵50を不要とすることができる。
さらに、送風機70、排水装置80および測定装置90をマンホール点検車10に積載したが、携帯式の送風機、排水装置および測定装置を使用するなどすれば、送風機70、排水装置80および測定装置90を不要とすることができる。
さらにまた、前方誘導装置91および後方誘導装置92は、携帯式の誘導装置を用いるなどすれば、マンホール点検車10に取り付けておく必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明したように、本発明のマンホール点検車は、たとえば、道路下にあるマンホールの点検作業を行うのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例によるマンホール点検車10を説明するための図である。
【図2】図1に示した蓋開閉装置30の構成を説明するための図である。
【図3】図1に示した墜落防止装置40の構成を説明するための図である。
【図4】図1に示した転落防止柵50の構成を説明するための図である。
【図5】図1に示したスライド式車内点検口開閉装置60の構成を説明するための図である。
【図6】図1に示した送風機70の構成を説明するための図である。
【図7】図1に示した排水装置80の構成を説明するための図である。
【図8】図1に示した前方誘導装置91および後方誘導装置92の構成を説明するための図である。
【図9】図1に示したマンホール点検車10を用いたマンホール点検作業における作業区画を説明するための図である。
【図10】従来のマンホール点検作業を説明するための図である。
【符号の説明】
【0027】
2 マンホール蓋
1,22 第1および第2のフック取付部
10 マンホール点検車
20 レール
30 蓋開閉装置
31 天井クレーン装置
32 蓋吊ワイヤ
331,332 第1および第2のフック
40 墜落防止装置
41 手動式天井走行ロック装置
42 ロープ
50 転落防止柵
51 柵本体
52 出入用扉
53 蓋吊ワイヤ通過用開口部
54 蓋通過用開口部
55 柵用レール
60 スライド式車内点検口開閉装置
61 透明アクリル樹脂板
62 メッシュ式鋼板
70 送風機
71 電動送風装置
72 ホースドラム
73 ホース
74 ホースガイド
80 排水装置
81 バキュームポンプ
82 浄化装置
83 ホース収納ドラム
84 ホース
85 ホースガイド
90 測定装置
91 前方誘導装置
92 後方誘導装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上にあるマンホール蓋(2)を開閉してマンホール点検作業を行うためのマンホール点検車(10)であって、
前記マンホール点検車の天井に取り付けられたレール(20)に沿って走行可能な、前記マンホール蓋を開閉するための蓋開閉装置(30)と、
前記マンホール点検車の床に設けられた車内点検口開閉装置(60)と、
を備えることを特徴とする、マンホール点検車。
【請求項2】
前記レールに沿って走行可能な、作業員の墜落を防止するための墜落防止装置(40)と、
前記マンホール点検車の車内を作業員が移動するときに誤ってマンホールに転落するのを防止するための転落防止柵(50)と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のマンホール点検車。
【請求項3】
前記マンホール内を換気するための送風機(70)と、
前記マンホール内の溜水を排水するための排水装置(80)と、
前記マンホール内のガスの濃度測定を行うための測定装置(90)と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2記載のマンホール点検車。
【請求項4】
前記蓋開閉装置が、
前記レールに沿って走行可能な天井クレーン装置(31)と、
該天井クレーン装置により巻き取られたり引き出されたりする蓋吊ワイヤ(32)と、
該蓋吊ワイヤの先端に取り付けられた、かつ、前記マンホール蓋の第1および第2のフック取付部(21,22)にそれぞれ取り付けられる第1および第2のフック(331,332)と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項5】
前記墜落防止装置が、
前記レールに沿って手動で走行される手動式天井走行ロック装置(41)と、
鉤部を先端に備えたロープ(42)とを備え、
前記手動式天井走行ロック装置が、前記ロープの巻取り機構と、所定の大きさ以上のショックが与えられると前記ロープの引出しを阻止する緊急ロック機構とを有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項6】
前記転落防止柵が、
円筒状の柵本体(51)と、
該柵本体に開閉自在に取り付けられた出入用扉(52)とを備え、
前記柵本体に、該柵本体の軸方向に沿って蓋吊ワイヤ通過用開口部(53)が形成されており、
前記柵本体の下部に、該柵本体の周方向に沿って蓋通過用開口部(54)が形成されており、
前記マンホール点検車の床に、前記転落防止柵を手動で回転させるための環状の柵用レール(55)が取り付けられている、
ことを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項7】
前記車内点検口開閉装置が、
透明アクリル樹脂板(61)とメッシュ式鋼板(62)とが重ね合わされた窓部と、
該窓部をスライドさせて開閉させるための電動式開閉装置と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項8】
前記送風機が、
電動送風装置(71)と、
前記マンホール点検車の側面に取り付けられた、かつ、ホース(73)を巻き取ったり引き出したりするためのホースドラム(72)と、
前記マンホール点検車の側面に取り付けられた、かつ、前記ホースを前記ホースドラムから前記転落防止柵の前記柵本体内を通してマンホール側壁に沿って前記マンホール内に導くためのホースガイド(74)と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項9】
前記排水装置が、
バキュームポンプ(81)と、
該バキュームポンプに取り付けられた浄化装置(82)と、
前記マンホール点検車の側面に取り付けられた、かつ、ホース(84)を巻き取ったり引き出したりするためのホース収納ドラム(83)と、
前記マンホール点検車の側面に取り付けられた、かつ、前記ホースを前記ホース収納ドラムから前記転落防止柵の前記柵本体内を通してマンホール側壁に沿って前記マンホール内に導くためのホースガイド(85)と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至8いずれかに記載のマンホール点検車。
【請求項10】
前記マンホール点検車の前方および後方にそれぞれ取り付けられた、かつ、マンホール点検作業中である旨を通行人および車両に知らせるとともに夜間には照明をして通行人および車両に注意を喚起するための前方誘導装置(91)および後方誘導装置(92)をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至9いずれかに記載のマンホール点検車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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