説明

マンホール蓋受枠の据付工法

【課題】 マンホールの筒状基壁又は基礎調整層上に蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように、作業性良く、所定の正確な高さに面支持状態で据え付けることを可能にするマンホール蓋受枠の据付工法を提供する。
【解決手段】 マンホールの筒状基壁11の上方及び周囲の空隙に、転圧締固め性を有する高さ調整舗装材19を、その上面から周辺の既設舗装路面2までの間隔H1、H2が蓋受枠21の竪長さDより該高さ調整舗装材19の圧縮可能範囲の長さh1、h2だけ小さくなる高さまで締め固めつつ敷設し、次いで高さ調整舗装材19の上面に載置され、仮固定された蓋受枠21を調整ボルト15及びナット16により下方に強圧すると共に高さ調整舗装材19をさらに前記圧縮可能範囲の長さh1、h2だけ圧縮し、該蓋受枠21をその上縁面が周辺の既設舗装路面2と同じ高さになるまで押し下げ、固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又はその上に構築された基礎調整層上に、蓋受枠を、その上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように高さ調整手段を介して据え付けるマンホール蓋受枠の据付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールを含む舗装において、マンホールの蓋受枠の上縁面が周辺の既設舗装路面から上方に突出し、或いは下方に陥没することにより周辺の既設舗装路面と蓋受枠の上縁面との間に段差が生じれば、車両の安全、安定な走行を阻害して交通事故を誘発するのみならず、車両の走行による不快な騒音、振動を発生して近隣の生活環境を悪化させる等の問題を生じる。そこで、前記蓋受枠の据付に際しては、周辺の既設舗装路面と蓋受枠の上縁面との間に段差が生じないように、地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又はその上に構築された基礎調整層上に高さ調整手段を介して蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように据え付けることが必要となる。
【0003】
前記要請に答えるマンホール蓋受枠の据付工法として、例えば、筒状基壁又は基礎調整層の上に、高さ調整手段として種々の形状、構造の高さ調整板を積層し、或いは樹脂モルタルや樹脂コンクリート等の充填材を築造することにより、周辺の既設舗装路面までの間隔が蓋受枠の竪長さと同等になる高さに据付け面を構築すると共に、所定の高さに構築された前記据付け面の上に蓋受枠を固設するようにした据付工法(特許文献1等参照)が従来広く採用されている。
【0004】
しかしながら、前記据付工法では、高さ調整手段としての高さ調整板や充填材を、それらの上面から周辺の既設舗装路面までの間隔を所要測定方向に沿って繰り返し計測しながら、所定高さに正確に、しかも平坦に積層し、或いは築造する作業に多大の工数を要する上に、これらの作業を許容水準以上の仕上がり状態で完遂するためには高度の熟練技術を必要とした。従って、前記据付工法では、多くの場合、固設された蓋受枠が、前記のように構築された据付け面上に確実に面支持されず、そのような蓋受枠の面支持不良が、蓋受枠のがたつき、周辺の既設舗装路面と蓋受枠の上縁面との間における段差の発生、周辺の既設舗装からマンホール内への水の浸入等を誘発する問題があった。
【0005】
一方、前記据付工法に代わる別のマンホール蓋受枠の据付工法として、筒状基壁又は基礎調整層の上方に、高さ調整手段としてスプリング等の弾性部材やボルト、ナット等の締結具を用いて、蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面と同じ高さになるように保持すると共に、所定の高さに保持された前記蓋受枠の下方及び周囲の空隙に無収縮性、非転圧締固め性を有するモルタル等の空隙充填材を充填し、硬化させるようにした据付工法(特許文献2、非特許文献1等参照)も周知である。
【0006】
しかしながら、前記据付工法では、蓋受枠を所定高さに保持固定する作業自体に大きな困難性はないとしても、所定高さへの蓋受枠の保持後に充填された空隙充填材について充填不良や硬化時の収縮及び割れ等が生じ易く、これらにより、固設された蓋受枠が、硬化した空隙充填材上に十分に面支持されず、前記と同様に、面支持不良に起因する蓋受枠のがたつき、周辺の既設舗装路面と蓋受枠の上縁面との間における段差の発生、周辺の既設舗装からマンホール内への水の浸入等を招き易くなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−53245号公報
【特許文献2】特開2003−147794号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「下水道用マンホールふたの維持管理マニュアル(案)」平成12年12月27日 (社)日本下水道協会発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明が解決すべき課題は、前記従来技術の問題点に鑑み、地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又は基礎調整層上に、蓋受枠を、その上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように高さ調整手段を介して据え付けるに際して、該蓋受枠を作業性良く、平坦性、強度、安定性に優れた面支持状態で所定の正確な高さに固設することを可能にするマンホール蓋受枠の据付工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本願の請求項1に係る発明は、地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又はその上に構築された基礎調整層上に、蓋受枠を、その上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように高さ調整手段を介して据え付けるマンホール蓋受枠の据付工法において、
筒状基壁又は基礎調整層の上方及び周囲の空隙に、高さ調整手段として転圧締固め性を有する高さ調整舗装材を、その上面から周辺の既設舗装路面までの間隔が蓋受枠の竪長さより該高さ調整舗装材の圧縮可能範囲の長さだけ小さくなる高さまで締め固めつつ敷設すると共にそれによって高さ調整層を構築するようにした高さ調整層の構築工程と、
所要高さに構築された高さ調整層における締め固められた高さ調整舗装材の上面に蓋受枠を載置保持させると共に、該蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面から前記圧縮可能範囲の長さだけ上方に突出した状態で締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に高さ調整層を介して仮固定する蓋受枠の仮固定工程と、
仮固定された蓋受枠を締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に対して高さ調整層を介して下方に強圧すると共に高さ調整舗装材を締固め状態からさらに前記圧縮可能範囲の長さだけ圧縮し、それによって該蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面と同じ高さになるまで押し下げると共にその高さに固定する蓋受枠の高さ調整固定工程と、
所定の高さに固設された蓋受枠の周囲の空隙に周辺の既設舗装と整合するように所要の舗装を施工する仕上げ舗装工程を包含することを特徴としている。
【0011】
前記蓋受枠の据付に際して、筒状基壁上には、必要に応じて、筒状基壁上面から周辺の既設舗装路面までの間隔と据え付けられるべき蓋受枠の竪長さとの差異及び蓋受枠の高さ調整幅等を考慮して選択された厚みで、基礎調整層が構築される。
【0012】
前記基礎調整層は、例えば、筒状基壁の上に、例えば樹脂モルタル等で成形された、所定の厚みを有する扇形又は輪状の高さ調整板を、がたつき防止や平坦性、水密性の確保等のために、例えば樹脂コンクリートや樹脂モルタル等からなる結合材層を介して密着固定してなるものが好適に使用される。前記高さ調整板を複数枚積層して使用する場合は、高さ調整板間も、前記と同様の目的で、結合材層を介して相互に密着固定することが好ましい。なお、前記筒状基壁、高さ調整板及び周囲の舗装層等における結合材層との接触面には、必要に応じて、両者間の接着を促進するために、例えば樹脂系、アスファルト系等のプライマーやタックコート等による下地処理が施される。前記基礎調整層は、筒状基壁上への結合材層を介した密着固定に際して、締結ボルト及びナット等からなる締付固定手段より筒状基壁に締付け固定されてもよい。
【0013】
筒状基壁上に高さ調整板を設置するための結合材層を形成するに際して、例えば、筒状基壁の内周に内型枠を筒状に仮設すると共に筒状基壁の上方及び内型枠の周囲の空隙に結合剤を敷設するようにしてもよい。
【0014】
前記高さ調整層の構築工程において、高さ調整手段としての高さ調整層を構成する転圧締固め性を有する高さ調整舗装材は、敷設後に、ロードローラー、タイヤローラー、タンピングローラー等を用いる静的な転圧や振動ローラー、振動コンパクター、ランマー等を用いる動的な転圧により締め固めが可能な物性を有する舗装材を意味し、例えば樹脂系、アスファルト系のコンクリートや一部のモルタルの中から適宜選択される。
【0015】
筒状基壁又は基礎調整層の上方及び周囲の空隙に高さ調整舗装材を敷設するに際して、例えば請求項2に記載するように、筒状基壁又は基礎調整層の内周に内型枠を筒状に仮設すると共に筒状基壁又は基礎調整層の上方及び内型枠の周囲の空隙に高さ調整舗装材を締め固めつつ敷設するようにしてもよい。なお、前記高さ調整板、結合材層及び周囲の舗装層等における高さ調整舗装材との接触面には、必要に応じて、両者間の接着を促進するために、例えば樹脂系、アスファルト系等のプライマーやタックコート等による下地処理が施される。
【0016】
高さ調整層における締め固められた高さ調整舗装材の高さは、該高さ調整舗装材の上面から周辺の既設舗装路面までの間隔が蓋受枠の竪長さより該高さ調整舗装材の圧縮可能範囲の長さだけ小さくなるように、換言すれば、後に続く蓋受枠の仮固定工程において、前記のように締め固められた高さ調整舗装材の上面に蓋受枠を載置保持させたときに、該蓋受枠の上縁面が周辺の既設舗装路面から前記圧縮可能範囲の長さだけ上方に突出するように設定される。
【0017】
前記の転圧締固め性を有する高さ調整舗装材は、転圧により常法のように締め固められた後も、舗装厚み、材料の種類及び組成、転圧時の締固め度等の条件により相違があるものの、前記転圧力を越えるような強圧によりなお僅かに収縮し得る余地を残しており、これが前記高さ調整舗装材の圧縮可能長さとなる。即ち、前記高さ調整舗装材の圧縮可能範囲の長さは、例えば、前記舗装厚み、材料の種類及び組成、転圧時の締固め度等の条件に応じて予め実測された前記圧縮可能長さのデータに基づき、その範囲内で適宜に選択すればよく、必ずしも厳密な特定値に設定される必要はない。
【0018】
蓋受枠の仮固定工程においては、既述のように、締め固められた高さ調整舗装材の上面に蓋受枠がその上縁面を周辺の既設舗装路面から前記圧縮可能範囲の長さだけ上方に突出させた状態で載置保持され、締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に高さ調整層を介して仮固定される。なお、前記蓋受枠における高さ調整舗装材との接触面には、必要に応じて、両者間の接着を促進するために、例えば樹脂系、アスファルト系等のプライマーやタックコート等による下地処理が施される。
【0019】
蓋受枠の高さ調整固定工程においては、仮固定された蓋受枠が締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に対して高さ調整層を介して下方に強圧されると共に高さ調整舗装材が締固め状態からさらに前記圧縮可能範囲の長さだけ圧縮され、それによって、上縁面が周辺の既設舗装路面から上方に突出していた前記蓋受枠は、その上縁面が周辺の既設舗装路面と同じ高さになるまで押し下げられると共にその高さに固定され、同時に、該蓋受枠の下面によりそれと密着下に圧縮される高さ調整舗装材は平坦化、高密度化を促進されると共に、それによって蓋受枠は平坦性、強度、安定性に優れた面支持状態で所定の正確な高さに固設される。なお、既設舗装路面は、通常、道路の縦断方向(車両の進行方向)及び横断方向等に勾配を有するので、前記蓋受枠の高さ調整作業は、例えば、該蓋受枠の上縁面における複数の所要測定個所において、道路の縦断方向及び横断方向等の所要測定方向に沿って行われる。
【0020】
前記蓋受枠の仮固定工程及び蓋受枠の高さ調整固定工程において使用される締付固定手段としては、例えば請求項3に記載するように、筒状基壁又は基礎調整層に複数個所にわたって立設された調整ボルトとナットからなり、締め固められた高さ調整舗装材の上面に載置された蓋受枠を貫通して上方に突出した各調整ボルトにナットを螺合させて締め付けるようにしたものを好適に使用できる。
【0021】
前記のように、調整ボルトとナットからなる締付固定手段を用いて蓋受枠を所定の高さに調整するに際しては、通常、既設舗装路面の下方の比較的狭い空隙の中に、各調整ボルトに螺合された状態で位置するナットを順次微妙に回捻させ、強力に締め付ける必要があり、これを通常のスパナやレンチで作業性よく行うことは困難である。一方、ナットを着脱自在に嵌入保持させる内部空洞を有するボックス部と、ボックス部の頂部にそれと同軸線上に延設されたシャフト部と、シャフト部にボックス部から離隔して設けられ、ボックス部にシャフト部を介して回転力を付与するT字形その他の形状のハンドル部とからなる公知のボックスレンチを使用し、そのボックス部をナットに嵌合させると共に、蓋受枠の上方からハンドル部を回捻させ、それによってボックス部を回転させると共にナットを締め付けることが考えられるが、調整ボルトがナットと螺合しつつ該ナットを貫通して上方に延びる突出部分がある場合は、該突出部分が障害になってナットへのボックス部の嵌合が不可能になるので、前記突出部分を予め切断除去しない限り前記ボックスレンチを使用することができない問題がある。
【0022】
前記問題を解決し、筒状基壁又は基礎調整層に複数個所にわたって立設された調整ボルトに螺合されたナットを蓋受枠の上方から締め付けるために、例えば請求項4に記載するように、ナットを着脱自在に嵌入保持させる所要サイズの12角口、6角口等の内部空洞を有するボックス部と、ボックス部の頂部にそれと同軸線上に延設されたシャフト部と、シャフト部にボックス部から離隔して設けられ、ボックス部にシャフト部を介して回転力を付与するT字形その他の形状のハンドル部とからなるボックスレンチであって、前記シャフト部が、ボックス部の内部空洞と連通すると共に調整ボルトを軸線方向に移動自在に遊挿させる延長内部空洞を有するボックスレンチを使用し、該ボックスレンチを、ナットがボックス部の内部空洞に嵌入保持されると共に該ナットから突出した調整ボルトがシャフト部の延長内部空洞に遊挿されるように、上方から調整ボルト及びナットに装着し、ハンドル部を回捻させればよい。前記ボックス部、シャフト部又はハンドル部に、必要に応じて、ラチェット機構が設けられていてもよい。なお、前記締め付け後において、調整ボルトがナットと螺合しつつ該ナットを貫通して上方に延びる不要な突出部分がある場合は、必要に応じてこれを切断除去すればよい。
【0023】
前記蓋受枠の高さ調整固定工程においては、例えば請求項5に記載するように、筒状基壁又は基礎調整層に高さ調整層を介して仮固定された蓋受枠の上縁面の所要測定個所に、直線定規をその両端が周辺の既設舗装路面の上方に達するように所要測定方向に架橋させ、その状態で直線定規の両端が周辺の既設舗装路面に当接するように、前記調整ボルトとナット等からなる締付固定手段により蓋受枠を下方に強圧し、押し下げるようにしてもよい。
【0024】
続いて、仕上げ舗装工程においては、通常の方法により、所定の高さに固設された蓋受枠の周囲の空隙に周辺の既設舗装と整合するように適宜の舗装材による所要の仕上げ舗装が施工される。なお、前記蓋受枠、高さ調整舗装材及び周囲の舗装層等における仕上げ舗装の舗装材との接触面には、必要に応じて、両者間の接着を促進するために、例えば樹脂系、アスファルト系等のプライマーやタックコート等による下地処理が施される。
【発明の効果】
【0025】
本願の請求項1に係る発明によれば、従来技術の問題点を解決し、地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又は基礎調整層上に、蓋受枠を、その上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように高さ調整手段を介して据え付けるに際して、該蓋受枠を作業性良く、平坦性、強度、安定性に優れた面支持状態で所定の正確な高さに固設することを可能にするマンホール蓋受枠の据付工法を提供することができる。
【0026】
本願の請求項2に係る発明によれば、高さ調整層の構築工程において、高さ調整舗装材の敷設に内型枠を使用することにより、筒状基壁又は基礎調整層の上方及び周囲の空隙に高さ調整舗装材を所要の区画内に安定且つ確実に敷設することができる。
【0027】
本願の請求項3に係る発明によれば、蓋受枠の仮固定工程及び蓋受枠の高さ調整固定工程において、締付固定手段として、筒状基壁又は基礎調整層に複数個所にわたって立設された調整ボルトとナットを使用することにより、蓋受枠を容易に仮固定し、また蓋受枠を筒状基壁又は基礎調整層に対して高さ調整層を介して下方に容易且つ効率的に強圧することができる。
【0028】
本願の請求項4に係る発明によれば、蓋受枠の仮固定工程及び蓋受枠の高さ調整固定工程において、締付固定手段として調整ボルトとナットを使用するに際して、調整ボルトがナットと螺合しつつ該ナットを貫通して上方に延びる突出部分がある場合にも、前記ナットを、前記突出部分により阻害されることなく、蓋受枠の上方から容易に締め付けることができ、蓋受枠の高さ調整作業が容易になる。
【0029】
本願の請求項5に係る発明によれば、蓋受枠の高さ調整固定工程において、仮固定された蓋受枠の上縁面の所要測定個所に架橋された直線定規の両端が周辺の既設舗装路面に当接するように目視等で確認しながら締付固定手段を操作することで、蓋受枠の高さを正確且つ容易に、作業性よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法における据付準備工程を例示する説明図である。
【図2】本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法における高さ調整層の構築工程を例示する説明図である。
【図3】本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法における蓋受枠の仮固定工程を例示する説明図である。
【図4】(A)は本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法における蓋受枠の高さ調整固定工程を例示する説明図、(B)は蓋受枠の高さ調整固定工程における締付固定手段を例示する説明図である。
【図5】本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法における仕上げ舗装工程を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法を図面に基づいて説明する。
[据付準備工程]
図1において、マンホールの筒状基壁11が地下に埋設され、道路補修工事のためにマンホール周囲の既設舗装1が円形状や四角形状等に切断除去されると共に既設蓋受枠(図示省略)が取り外され、それによって形成された既設舗装1の開口凹部から上部を露出させた筒状基壁11の上に、所要厚みのリング状の高さ調整板13が、筒状基壁11の上面に対するレベリング材を兼ねる結合材層14を介して密着固定されると共にそれによって筒状基壁11の上に基礎調整層12が構築されている。また、前記筒状基壁11の上面には、前記基礎調整層12の構築前に複数の植込み式調整ボルト15が所要間隔で予め植設され、各調整ボルト15は、前記のように構築された基礎調整層12を貫通して立設されている。
【0032】
なお、前記調整ボルト15が、後の工程の実施のために更なる長さを要する場合は、長ナット等を用いて別のボルトのネジ軸を接続することもできる。また、前記複数の調整ボルト15は、必要に応じて、筒状基壁11の上面に直接植設される代わりに、基礎調整層12の上面に植設されてもよい。また、必要に応じて、筒状基壁11の上への基礎調整層12の構築なしに、次工程に進めてもよい。
【0033】
[高さ調整層の構築工程]
図2において、前記基礎調整層12の上方及び周囲の空隙に、該基礎調整層12の内周に仮設された内型枠31を使用して、転圧締固め性を有する高さ調整舗装材19を、その上面から周辺の既設舗装路面2までの間隔H1、H2が後述される蓋受枠21の竪長さDより該高さ調整舗装材19の圧縮可能範囲の長さh1、h2だけ小さくなる高さまで、即ちH1=Dーh1、H2=Dーh2の高さ関係となるように締め固めつつ敷設すると共にそれによって基礎調整層12の上に高さ調整層18を所要高さに構築する。なお、筒状基壁11に基礎調整層12を貫通して立設された各調整ボルト15は、さらに基礎調整層12を貫通して上方に突出した状態にある。
【0034】
[蓋受枠の仮固定工程]
図3において、所要高さに構築された高さ調整層18における締め固められた高さ調整舗装材19の上面に蓋受枠21を正しく位置決めされた状態で載置保持させ、その際に、前記蓋受枠21を、その上縁面が周辺の既設舗装路面2から前記圧縮可能範囲の長さh1、h2だけ上方に突出した状態で各調整ボルト15に貫通させ、該調整ボルト15にワッシャー17を介してナット16を螺合させると共に締め付け、該蓋受枠21を筒状基壁11及び基礎調整層12に高さ調整層18を介して仮固定する。
【0035】
また、次工程における前記蓋受枠21の高さ調整作業のために、前記のように筒状基壁11及び基礎調整層12に高さ調整層18を介して仮固定された蓋受枠21の上縁面の所要測定個所に、直線定規32をその両端が周辺の既設舗装路面2の上方に達するように所要測定方向に架橋させる。
【0036】
[蓋受枠の高さ調整固定工程]
図4(A)において、仮固定された蓋受枠21を、各ナット16の締付けにより筒状基壁11及び基礎調整層12に対して、高さ調整層18を介して下方に強圧すると共に高さ調整舗装材19を締固め状態からさらに前記圧縮可能範囲の長さh1、h2だけ圧縮し、それによって該蓋受枠21を、その上縁面が周辺の既設舗装路面2と同じ高さになるまで押し下げると共にその高さに固定する。
【0037】
前記蓋受枠21の高さ調整に際しては、既述のように、蓋受枠21の上縁面の所要測定個所に、直線定規32を、その両端が周辺の既設舗装路面2の上方に達するように所要測定方向に架橋させた状態で、直線定規32の両端が周辺の既設舗装路面2に当接するように、各ナット16の締付けにより蓋受枠21を下方に強圧し、押し下げる操作を行えばよい。
【0038】
前記蓋受枠21の仮固定や高さ調整に際して、調整ボルト15に螺合されたナット16を蓋受枠21の上方から締め付けるために、図4(B)に示すように、ナット16を着脱自在に嵌入保持させる12角口、6角口等の内部空洞を有するボックス部34と、ボックス部34の頂部にそれと同軸線上に延設され、ボックス部34の内部空洞と連通すると共に調整ボルト15を軸線方向に移動自在に遊挿させる延長内部空洞を有するシャフト部35と、シャフト部35にボックス部34から離隔して設けられ、ボックス部34にシャフト部35を介して回転力を付与するハンドル部36とからなるボックスレンチ33を好適に使用することができる。
【0039】
前記ボックスレンチ33の使用に際しては、該ボックスレンチ33を、ナット16がボックス部34の内部空洞に嵌入保持されると共に該ナット16から突出した調整ボルト15がシャフト部35の延長内部空洞に遊挿されるように、蓋受枠21の上方から調整ボルト15及びナット16に装着し、ハンドル部36を回捻させるようにする。なお、前記ボックスレンチ33は、前記用途に限らず、一般に、ボルトがナットと螺合しつつ該ナットを貫通して上方に延びる突出部分があるような状況下で該突出部分に阻害されずにナットを締め付ける必要がある場合に広く使用し得ることは言うまでもない。
【0040】
[仕上げ舗装工程]
図5において、前記のように所定の高さに固設された蓋受枠21の周囲の空隙に、周辺の既設舗装1と整合するように所要の仕上げ舗装3を施工する。前記仕上げ舗装3のための舗装材には、例えば既述の高さ調整舗装材19と同種のものを使用してもよい。なお、ナットを貫通して上方に延びる調整ボルト15の不要な突出部分は、前記仕上げ舗装3の施工前に切断除去されている。道路の交通開放に先立って、蓋受枠21の開口部に鉄蓋22が装着される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るマンホール蓋受枠の据付工法は、例えば舗装の新設工事、舗装の打換え工事、舗装の切削オーバーレイ工事等に際して、蓋受枠が設置されていない状態での舗装の施工後にマンホール周囲の既設舗装を円形状や四角形状等に切断除去し、或いは蓋受枠の嵩上げ及び嵩下げ工事等に際して、マンホール周囲の既設舗装を円形状や四角形状等に切断除去すると共に既設蓋受枠を一旦撤去し、それらによって形成された既設舗装の開口凹部から上部を露出させた筒状基壁又は基礎調整層の上に、蓋受枠を所要高さに高さ調整層を介して据え付ける場合等に好適に適用される。
【符号の説明】
【0042】
H1、H2 高さ調整舗装材の上面から周辺の既設舗装路面までの間隔
D 蓋受枠の竪長さ
h1、h2 高さ調整舗装材の圧縮可能範囲の長さ
1 既設舗装
2 既設舗装路面
3 仕上げ舗装
11 筒状基壁
12 基礎調整層
13 高さ調整板
14 結合材層
15 調整ボルト
16 ナット
17 ワッシャー
18 高さ調整層
19 高さ調整舗装材
21 蓋受枠
22 鉄蓋
31 内型枠
32 直線定規
33 ボックスレンチ
34 ボックス部
35 シャフト部
36 ハンドル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に埋設されると共に既設舗装の開口凹部から上部を露出させたマンホールの筒状基壁又はその上に構築された基礎調整層上に、蓋受枠を、その上縁面が周辺の既設舗装路面と実質的に同じ高さになるように高さ調整手段を介して据え付けるマンホール蓋受枠の据付工法において、
筒状基壁又は基礎調整層の上方及び周囲の空隙に、高さ調整手段として、転圧締固め性を有する高さ調整舗装材を、その上面から周辺の既設舗装路面までの間隔が蓋受枠の竪長さより該高さ調整舗装材の圧縮可能範囲の長さだけ小さくなる高さまで締め固めつつ敷設すると共にそれによって高さ調整層を構築する高さ調整層の構築工程と、
所要高さに構築された高さ調整層における締め固められた高さ調整舗装材の上面に蓋受枠を載置保持させると共に、該蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面から前記圧縮可能範囲の長さだけ上方に突出した状態で締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に高さ調整層を介して仮固定する蓋受枠の仮固定工程と、
仮固定された蓋受枠を締付固定手段により筒状基壁又は基礎調整層に対して高さ調整層を介して下方に強圧すると共に高さ調整舗装材を締固め状態からさらに前記圧縮可能範囲の長さだけ圧縮し、それによって該蓋受枠をその上縁面が周辺の既設舗装路面と同じ高さになるまで押し下げると共にその高さに固定する蓋受枠の高さ調整固定工程と、
所定の高さに固設された蓋受枠の周囲の空隙に周辺の既設舗装と整合するように所要の舗装を施工する仕上げ舗装工程を包含することを特徴とするマンホール蓋受枠の据付工法。
【請求項2】
筒状基壁又は基礎調整層の上方及び周囲の空隙に高さ調整舗装材を敷設するに際して、筒状基壁又は基礎調整層の内周に内型枠を筒状に仮設すると共に筒状基壁又は基礎調整層の上方及び内型枠の周囲の空隙に高さ調整舗装材を締め固めつつ敷設するようにした請求項1に記載のマンホール蓋受枠の据付工法。
【請求項3】
締付固定手段が、筒状基壁又は基礎調整層に複数個所にわたって立設された調整ボルトとナットからなり、締め固められた高さ調整舗装材の上面に載置された蓋受枠を貫通して上方に突出した各調整ボルトにナットを螺合させて締め付けるようにした請求項1に記載のマンホール蓋受枠の据付工法。
【請求項4】
筒状基壁又は基礎調整層に複数個所にわたって立設された調整ボルトに螺合されたナットを蓋受枠の上方から締め付けるために、ナットを着脱自在に嵌入保持させる内部空洞を有するボックス部と、ボックス部の頂部にそれと同軸線上に延設されたシャフト部と、シャフト部にボックス部から離隔して設けられ、ボックス部にシャフト部を介して回転力を付与するハンドル部とからなるボックスレンチであって、前記シャフト部が、ボックス部の内部空洞と連通すると共に調整ボルトを軸線方向に移動自在に遊挿させる延長内部空洞を有するボックスレンチを使用し、該ボックスレンチを、ナットがボックス部の内部空洞に嵌入保持されると共に該ナットから突出した調整ボルトがシャフト部の延長内部空洞に遊挿されるように、上方から調整ボルト及びナットに装着し、ハンドル部を回捻させるようにした請求項3に記載のマンホール蓋受枠の据付工法。
【請求項5】
蓋受枠の高さ調整固定工程において、筒状基壁又は基礎調整層に高さ調整層を介して仮固定された蓋受枠の上縁面の所要測定個所に、直線定規をその両端が周辺の既設舗装路面の上方に達するように所要測定方向に架橋させ、その状態で直線定規の両端が周辺の既設舗装路面に当接するように締付固定手段により蓋受枠を下方に強圧し、押し下げるようにした請求項1、3又は4に記載のマンホール蓋受枠の据付工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99241(P2011−99241A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254102(P2009−254102)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(391033861)
【Fターム(参考)】