説明

マーキング装置用潤滑油供給装置

【課題】本発明は、電磁弁の動作状況に応じて、圧縮ガスに適量の潤滑油を精度よく供給し、ワーク表面に対する打刻を安定に行うマーキング装置用潤滑油供給装置を提供する。
【解決手段】本発明は、振動ペン本体20の基端側から、圧縮ガスまたはエアオイルを間欠的に供給するエアオイル供給手段30を備え、エア配管34内を間欠的に圧送される圧縮ガスの流量を計測する流量計36と、流量計36によって計測される流量値が経時的に入力され、その立ち上がりタイミング毎にカウントアップするカウンタ44と、該カウンタ44のカウント数が逐次入力され、この値が設定値になる度に、給油ポンプ43に、潤滑油を所定量圧送する制御指令を出力するオイル供給手段制御回路45とを備えるオイル供給手段制御部39を有し、オイル供給手段制御部39の動作により、オイル供給手段38は、圧縮ガスが所定回数圧送される度に、圧縮ガスに潤滑油を一定量送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置用潤滑油供給装置に関するものであり、特に、機械部品等に二次元コード、ロット番号を刻印するために使用されるマーキング装置用潤滑油供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マーキング装置は、自動車や建設機械等の自動化された工場においてロット番号等の英数字や合いマークの刻印に使用されている。例えば下記特許文献1には、シリンダと、シリンダ内で往復運動するピストンと、ピストンを基端側に付勢する弾性部材と、このピストンの往復運動に追従して先端部でワーク表面を打刻するスタイラスとを備えたマーキング装置用振動ペンが開示されている。この振動ペンを用いて機械部品に印字を行うには、まずスタイラス先端を機械部品の被刻印部に押し当てて、次に圧縮性流体を利用してピストンおよびスタイラスを振動させつつ、このスタイラスを振動ペンごと移動させる。この操作により、機械部品の被刻印部に文字、数字、記号などをマーキングすることができる。また、スタイラスを一ヵ所で振動させるとその部分にドットが形成されるので、そのドットを所定のパターンに複数形成することにより、いわゆる二次元コードを形成することができる。
【0003】
ところで、このようなマーキング装置用振動ペンにおいては、シリンダ内での圧縮性流体の流路を制御するために、ピストンの基端部にOリングが取り付けられている。Oリングは、ピストンが後退位置にある待機状態では、シリンダの内周面に密着している。これにより、シリンダ内の基端側から先端側へ向かうエア流路は閉じた状態になっている。そして、ピストンの基端面が圧縮性流体による圧力を受け、ピストンが先端側に前進されると、これに追従して、Oリングも、シリンダの内周面を摺動しつつ先端側に移動し、Oリングと内周面とが接触しないシリンダの拡径部の内側に達する。これにより、Oリングとシリンダの内周面との間に隙間(流路)が生じ、ピストンを押していた圧縮性流体がこの隙間からシリンダの内部に流入し、先端側から排気される。その結果、ピストンは、圧縮性流体による圧力から解放され、今度は、弾性部材の付勢力によって基端側に移動し、待機状態に復帰する。これに追従して、Oリングも、シリンダの内周面を摺動しつつ基端側に移動し、待機状態での位置に復帰する。これにより、シリンダ内のエア流路は、再び閉じた状態になる。
【0004】
このように、この振動ペンにおいては、ピストンがシリンダ内で往復運動する際に、Oリングがシリンダの内周面を摺動する。したがって、ピストンの往復運動を円滑にし、ワーク表面に対する打刻を安定に行うとともに、Oリングがシリンダの内周面を摺動することによるOリングの摩耗を抑え、待機状態でのOリングとシリンダの内周面との密着性を保持するためには、Oリングとシリンダの内周面との摩擦を低く抑えることが必要となる。
【0005】
このため、従来、この種の振動ペンでは、ピストンの往復運動に供する圧縮性流体に潤滑油を含ませることが行われている。潤滑油を供給することで、圧縮性流体がシリンダ内を通過する際に、圧縮性流体に含まれる潤滑油がシリンダの内周面に付着するので、Oリングとシリンダの内周面との摩擦を低減することができる。
【0006】
例えば、潤滑油が分散された圧縮ガス(エアオイル)を振動ペン本体に間欠的に供給するエアオイル供給手段として、図4に示すものが提案されている。
図4に示すエアオイル供給手段は、ピストンが所定回往復する度に、一定量の潤滑油を圧縮ガスに供給するように構成されている。
すなわち、このエアオイル供給手段50は、圧縮ガスが間欠的に圧送されるエア搬送系51と、圧縮ガスに潤滑油を供給するオイル供給系52と、圧縮ガスまたは圧縮ガスと潤滑油の混合物(エアオイル)が振動ペン本体80側に間欠的に圧送されるエアオイル搬送系53と、電磁弁・給油ポンプ制御部54とを有している。オイル搬送系52の下流端は、エア搬送系51の下流端に接続されており、エア搬送系51とオイル搬送系52の接続部にエアオイル搬送系53の上流端が接続されている。
【0007】
エア搬送系51は、エア配管55と、エア配管55の一端に接続されたエア源56を有している。エア源56から送出される圧縮ガスは、後述する電磁弁64の切り替え操作によって、エア配管55内を移動と停止を繰り返しながら圧送される(間欠的に圧送される)。また、エア配管55の他端は、後述するチェックバルブ59に接続されている。
【0008】
オイル供給系52は、オイル配管56と、オイル配管56の一端に接続されたオイル供給手段57と、オイル配管56の途中に設けられた定量バルブ58とを有している。また、オイル配管56の他端は、チェックバルブ59に接続されている。
オイル供給手段57は、潤滑油が貯留されたオイルタンク60と、オイルタンク60内の潤滑油をオイル配管56内に圧送する給油ポンプ61によって構成されている。給油ポンプ61は、後述する給油ポンプ制御回路から入力される制御指令により、潤滑油を一定量圧送するように構成されている。
【0009】
エアオイル搬送系53は、第1エアオイル配管62および第2エアオイル配管63と、これらエアオイル配管62、63同士の間に設けられ、これらの接続/非接続を切り替える電磁弁64とを有している。また、第1エアオイル配管62は、電磁弁64と反対側の端部がチェックバルブ59に接続され、第2エアオイル配管63の電磁弁64と反対側の端部は、振動ペン本体80の基端部に接続されている。
【0010】
チェックバルブ59は、3方に流路を有し、各流路に、それぞれエア配管55、オイル配管56および第1エアオイル配管62が接続されている。このうち、オイル配管56が接続された流路には逆止弁が設けられている。
【0011】
エア搬送系51を圧送される圧縮ガスは、チェックバルブ59内の流路を介して第1エアオイル配管62内に導入される。また、オイル供給系52から供給される潤滑油は、エア搬送系51を圧送される圧縮ガスと、このチェックバルブ59で合流し、圧縮ガスと混合された状態、すなわちエアオイルとなって、第1エアオイル配管62内に導入される。
そして、第1エアオイル配管62と第2エアオイル配管63とが電磁弁64内の流路を介して接続された状態では、第1エアオイル配管62内に導入された圧縮ガスおよびエアオイルは、電磁弁64内の流路を介して第2エアオイル配管63内に圧送される。一方、電磁弁64内の流路が切り替わり、第1エアオイル配管62と第2エアオイル配管63とが非接続状態になると、第1エアオイル配管62から第2エアオイル配管63への流れが停止する。このため、このような電磁弁64の切り替え操作を繰り返し行うことにより、圧縮ガスおよびエアオイルは、エア配管55内および各エアオイル配管62、63内を間欠的に圧送される。
【0012】
電磁弁・給油ポンプ制御部54は、電磁弁64の動作を制御する電磁弁制御回路と、給油ポンプ61の動作を制御する給油ポンプ制御回路とを有している。
電磁弁制御回路は、電磁弁64に、接続状態と非接続状態とを切り替える制御指令を、一定時間毎に繰り返し出力する。
また、給油ポンプ制御回路は、電磁弁制御回路が制御指令を出力する回数が、所定の数値になる毎に、給油ポンプ61に、潤滑油を所定量圧送する制御指令を出力する。これにより、電磁弁制御回路が電磁弁制御指令を出力する度に、オイル供給手段57では、オイルタンク60から一定量の潤滑油が1回送出される。
【0013】
以上のようなエアオイル供給手段50では、電磁弁制御回路からの制御指令により、電磁弁64の接続状態/非接続状態が一定時間毎に切り替わる。これにより、エア源56から送出された圧縮ガスは、エア搬送系51およびエアオイル搬送系53を、電磁弁64の切り替え操作に同期して、間欠的に圧送される。
また、給油ポンプ制御回路からの制御指令により、オイル供給手段57は、電磁弁制御回路が制御指令を出力する度に、一定量の潤滑油を1回送出する。
オイル配管56に送出された潤滑油は、ワンショット分ずつ、定量バルブ58に一旦貯留され、次に送られてくる潤滑油による加圧および脱圧によって下流側に吐出され、チェックバルブ59に送られる。
【0014】
ここで、オイル供給手段57から潤滑油が送出されていない間は、エア搬送系51を圧送される圧縮ガスは、そのままチェックバルブ59を通過し、第1エアオイル配管62内、電磁弁64の流路、第2エアオイル配管63内を間欠的に圧送され、振動ペン本体80内に間欠的に供給される。
また、オイル供給手段57から潤滑油が送出されると、この潤滑油の油滴が、エア供給系51を圧送される圧縮ガスとチェックバルブ59で合流し、圧縮ガス中に油滴が分散された状態(エアオイル)になる。そして、このエアオイルが、第1エアオイル配管62内、電磁弁64の流路、第2エアオイル配管63内を間欠的に圧送され、振動ペン本体80内に間欠的に供給される。
【0015】
振動ペン本体80に、このように圧縮ガスまたはエアオイルが間欠的に供給されると、ピストン81がシリンダ82内を往復運動する。
また、この振動ペンでは、エアオイルがシリンダ82内を通過する際に、エアオイルに分散された潤滑油がシリンダ82の内周面に付着する。これにより、シリンダ82の内周面とOリングとの摩擦係数が低減するとともに、Oリングの摩耗が抑えられ、待機状態でのOリングとシリンダ82の内周面との密着性が保持される。このため、ピストン81がシリンダ82内で円滑に往復運動し、ワーク表面に対する打刻を安定に行うことができる。
【0016】
しかし、上述のようなオイル供給手段50を備える振動ペンには、次のような問題があった。
すなわち、このエアオイル供給手段50では、給油ポンプ制御回路が、電磁弁制御回路が制御指令を出力する回数を基準にして、オイル供給手段57に潤滑油を送出させるタイミングを算出する。このため、電磁弁64自体に不具合が生じ、圧縮ガスの圧送のタイミングが変動した場合でも、オイル供給手段57からは一定のタイミングで潤滑油が供給される。このため、圧縮ガスに対して、過剰または不足した量の潤滑油が供給されてしまう場合がある。その結果、過剰に供給された潤滑油が振動ペン本体80から漏出して周囲を汚染する、もしくは、シリンダ82の内周面に供給される潤滑油の量が不足し、シリンダ82の内周面とOリングとの摩擦が十分に低減されないという不都合が生じる。また、電磁弁64の故障によって圧縮ガスの移動が停止している場合でも、それに関わりなく、オイル供給手段57から潤滑油が供給されるため、潤滑油がオイル供給系52で滞留し、チェックバルブ59や定量バルブ58の動作に不具合を生じさせたり、給油ポンプ61の故障を引き起こしたりする問題もある。
【0017】
また、エアオイル供給手段としては、図5に示す構成のものも知られている。
このエアオイル供給手段70は、オイル供給手段として、ルブリケータ71を有するオイルタンク72を用い、このオイルタンク72が、エア源73と電磁弁74との間に設けられている。ルブリケータ71は、調整つまみ75の回転角度によって、オイルタンク72から送出される潤滑油の供給量を連続的に変化させるものである。このエアオイル供給手段では、間欠的に圧送される圧縮ガスに、ルブリケータ71によって調整された量の潤滑油を連続的に供給し、この潤滑油が分散された圧縮ガス(エアオイル)を振動ペン本体80に導入する。
【0018】
しかし、このエアオイル供給手段70では、オイルタンク72から送出される潤滑油の供給量が、調整つまみ75の回転量の僅かな差によって変動するため、給油量を精密に調整することが難しい。そして、調整つまみ75の回転量が少しでもずれると、給油過多または給油不足が生じてしまう。その結果、前述の場合のように、過剰に供給された潤滑油が振動ペン本体80から漏出して周囲を汚染する、もしくは、シリンダ82の内周面に供給される潤滑油の量が不足し、シリンダ82の内周面とOリングとの摩擦が十分に低減されないという不都合が生じる。
【特許文献1】特開平11−99798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電磁弁の動作状況に応じて、オイル供給手段が送出する潤滑油の供給量を加減したり、潤滑油の供給を停止したりすることができ、圧縮ガスに適量の潤滑油が精度よく供給され、ワーク表面に対する打刻を安定に行うことができるマーキング装置用潤滑油供給装置を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のマーキング装置用潤滑油供給装置は、シリンダと、該シリンダに往復自在に取り付けられたピストンと、該ピストンの先端側に設けられたスタイラスと、前記ピストンの基端側に備えられて前記ピストンをその長手方向に振動させる振動手段とを備える振動ペン本体と、該振動ペン本体に、その基端側から圧縮ガスまたは圧縮ガスと潤滑油との混合物を間欠的に供給するエアオイル供給手段とを具備するマーキング装置用潤滑油供給装置であって、
前記エアオイル供給手段は、前記圧縮ガスを送出するエア源と、前記エア源から送出された前記圧縮ガスが間欠的に圧送されるエア搬送路と、前記潤滑油を送出するオイル供給手段と、該オイル供給手段の動作を制御するオイル供給手段制御部と、前記オイル供給手段から送出された前記潤滑油が搬送されるオイル搬送路と、前記エア搬送路の下流端と前記オイル搬送路の下流端とが接続する接続部と、該接続部に接続されて前記圧縮ガスまたは前記接続部で合流した前記圧縮ガスと前記潤滑油との混合物が前記振動ペン本体側に間欠的に圧送されるエアオイル搬送路とを有し、前記オイル供給手段制御部は、前記エア搬送路を圧送される前記圧縮ガスの流量を計測する流量計と、前記流量計によって計測される流量値が経時的に入力され、その立ち上がりタイミング毎にカウントアップするカウンタと、該カウンタによってカウントされたカウント数が逐次入力され、このカウント数が設定値になる度に、前記オイル供給手段に、潤滑油を一定量送出する制御指令を出力するオイル供給手段制御回路とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のマーキング装置用潤滑油供給装置は、前記オイル供給手段制御回路に設定された設定値は、等差数列上の数値であることを特徴とする。
また、本発明のマーキング装置用潤滑油供給装置は、前記エアオイル搬送路の途中に設けられて前記エアオイル搬送路を開閉する弁体と、該弁体に前記エアオイル搬送路の開閉を切り替える制御指令を一定時間毎に繰り返し出力する弁体制御部とを有し、前記弁体制御部は、前記カウンタに接続され、前記弁体制御部が出力する制御指令の回数と、カウンタにおけるカウント数とを比較する比較回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記の構成によれば、間欠的に圧送される圧縮ガスに、潤滑油を所定のタイミングで供給するオイル供給系において、オイル供給手段の動作を制御するオイル供給手段制御部は、間欠的に圧送される圧縮ガスの流量を計測する流量計と、流量計によって計測された流量値に基づいて圧縮ガスの圧送回数をカウントするカウンタと、カウンタにおけるカウント数を基準にして給油のタイミングを算出し、このタイミングで、給油ポンプに潤滑油を一定量送出する制御指令を出力するオイル供給手段制御回路を有する。
【0023】
このようなオイル供給手段制御部を有するオイル供給系では、仮に電磁弁の動作に不具合が生じ、圧縮ガスの圧送のタイミングが変動した場合に、その変動がカウンタにおけるカウント数に反映されるので、給油ポンプ制御回路では、この変動に応じた給油のタイミングが算出される。このため、圧縮ガスに、常に適当なタイミングで、適量の潤滑油を供給することができる。また、さらに、仮に電磁弁が故障し、圧縮ガスの圧送が停止している場合には、カウンタにおけるカウントアップも停止するので、給油ポンプ制御回路による制御指令の出力も停止する。このため、このような場合に、潤滑油がオイル供給系で滞留し、チェックバルブや定量バルブに不具合を生じさせたり、給油ポンプの故障を引き起こしたりする問題が回避される。
【0024】
また、このエアオイル供給手段において、給油ポンプの制御に用いられる流量計、カウンタおよび給油ポンプ制御回路は、従来のように電磁弁・給油ポンプ制御部に組み込まれた給油ポンプ制御回路とは異なり、システム構築後に後付けすることができる。このため、システムの冗長性が向上するという利点も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態のマーキング装置用潤滑油供給装置の断面模式図を示し、図2には、図1に示すマーキング装置用潤滑油供給装置が備えるエアオイル供給手段のブロック図を示し、図3には、図2に示すエアオイル供給手段におけるエア流量の経時変化のグラフを示す。
図1および図2に示すように、本実施形態のマーキング装置用潤滑油供給装置1は、振動ペン本体20と、振動ペン本体20の基端側から圧縮ガスまたは潤滑油が分散された圧縮ガス(エアオイル)を間欠的に供給するエアオイル供給手段30とを有している。
図1に示すように、振動ペン本体20は、シリンダ2と、このシリンダ2に往復自在に取り付けられたピストン3と、ピストン3の先端側に設けられたスタイラス4と、ピストン3の基端側に備えられてこのピストン3をその長手方向に振動させる振動部(振動手段)5と、ピストン3を振動部5寄りに付勢させる圧縮バネ6とを具備して概略構成されている。
【0026】
シリンダ2は中空円筒状の部材であり、内周面2aにより区画されてなるシリンダ室2Aが内部に形成されている。シリンダ室2Aにおいて、基端側の内周面2aの内径が先端側の内周面2aの内径よりも小さく形成されている。そして各内周面2a、2aの間には内径差による段差部2bが形成されている。
またシリンダ2の先端側には、ピストン3を案内するためのノーズ部材8が取り付けられている。ノーズ部材8には軸受孔8aが設けられており、この軸受孔8aにピストン3が挿入されている。また、軸受孔8aの周囲には複数の排気孔8bが設けられており、この排気孔8bを介してシリンダ室2Aからシリンダ2外部に圧縮ガス等の流体を排気できるようになっている。
【0027】
またシリンダ孔2の基端側には、バックプレート10が取り付けられている。このバックプレート10には、圧縮ガスまたはエアオイルをシリンダ室2Aに供給するための供給孔10aが設けられている。供給孔10aはバックプレート10の周縁部に沿って複数設けられており、後述するピストンのOリングにより閉塞されるようになっている。更にシリンダ2の基端側には、有底円筒状のアダプタ11が装着されている。このアダプタ11の開口部側にはバックプレート10をシリンダに固定させるためのフランジ11aが形成されている。バックプレート10は、その周縁部10bがシリンダ2とアダプタ11のフランジ部11aに挟み込まれることにより、シリンダ2の基端側の開口部に密着されている。また、アダプタ11の底部側にはバックプレート10の供給孔10aに連通する開口部11cが設けられており、この開口部11cには、後述するエアオイル供給手段30が接続されている。エアオイル供給手段30から間欠的に供給される圧縮ガスまたはエアオイルは、この開口部11cから供給孔10aを介してシリンダ室2Aに導入される。なお、エアオイル供給手段30の構成については、後に詳述する。
【0028】
次にピストン3は、棒状の小径部3aと、この小径部3aの基端側に取り付けられた円筒状の大径部3bとから概略構成されており、その大部分がシリンダ2のシリンダ室2A内において往復自在に収納されている。大径部3bの直径は小径部3aの直径よりも大きく設定されている。
また、図1に示すように、ノーズ部材8の軸受孔8aの周囲にはフランジ8cが形成されている。そして、このフランジ8cとピストン3の大径部3bとの間に圧縮コイルバネ6が配置されている。この圧縮コイルバネ6によってピストン3がバックプレート10側に付勢されている。図1に示すようにピストン3が圧縮コイルバネ6に付勢されて後退位置にある場合において、ピストンの大径部3bの一部がシリンダ室2Aの段差部2bよりも基端側に配置され、一方で小径部3aが段差部2bよりも先端側に配置されている。
【0029】
小径部3aは、ノーズ部材8の軸受孔8aに往復自在に挿入されており、その先端がノーズ部材8の外側、すなわちシリンダ2の外側に突出されている。また、小径部3aの先端にはスタイラス4が取り付けられている。
【0030】
また、大径部3bの周側部3dには、ゴム製のOリング12がはめ込まれている。Oリング12は、前記シリンダ室2Aの基端側の内周面2aに密着されており、内周面2a2に対して摺動自在とされている。また周側部3dには、Oリング12の脱落を防止するためのガイド部3fが立設されている。また、圧縮コイルバネ6によってピストン3がバックプレート10側に付勢されたとき、Oリング12によって供給孔10aが閉塞されるように供給孔10aとOリング12とが相互に位置決めされている。
以上説明したように、ピストン3の大径部3b、バックプレート10、Oリング12および圧縮コイルバネ6によって、振動部5が構成されている。
【0031】
次に、ピストン3の小径部3aの先端にはスタイラス4が取り付けられている。このスタイラス4は、ピストン3の小径部3aに接続される略円筒状の本体部4aと、本体部4aの先端側に取り付けられて最先端が略円錐形状の打刻部4bとから概略構成されている。なお、スタイラス4は、全体を超硬合金で構成してもよく、打刻部4bの円錐形状の先端のみをダイヤモンド焼結体若しくは立方晶窒化ホウ素結晶体で構成し、その他の部分を超硬合金で構成してもよい。
【0032】
次に、エアオイル供給手段30について説明する。
エアオイル供給手段30は、圧縮ガスが間欠的に圧送されるエア搬送系31と、圧縮ガスに潤滑油を供給するオイル供給系32と、圧縮ガスまたは圧縮ガスと潤滑油の混合物(エアオイル)が振動ペン本体20の開口部11cに圧送されるエアオイル搬送系33を備えて構成されている。オイル供給系32の下流端は、エア搬送系31の下流端に接続されており、エア搬送系31とオイル供給系32の接続部にエアオイル搬送系33の上流端が接続されている。
【0033】
エア搬送系31は、エア配管(エア搬送路)34と、エア配管34の一端に接続されたエア源35とを有している。また、エア配管34の他端は、後述するチェックバルブ41に接続されている。
エア源35は、エアフィルタ、ミストセパレータおよび圧力スイッチ(いずれも図示せず)を有し、エア配管34内に圧縮ガスを送出する。エア配管34内に送出された圧縮ガスは、後述する電磁弁48の切り替え操作によって、エア配管34内を間欠的に圧送されるようになっている。
【0034】
オイル供給系32は、オイル配管(オイル搬送路)37と、オイル配管37の一端に接続されたオイル供給手段38と、オイル供給手段制御部39と、オイル配管37の途中に設けられた定量バルブ40とを有している。また、オイル配管37の他端は、チェックバルブ(逆止弁)41に接続されている。
オイル供給手段38は、潤滑油が貯留されたオイルタンク42と、オイルタンク42内に貯留された潤滑油をオイル配管37内に圧送する給油ポンプ43によって構成されている。ここで、給油ポンプ43は、後述する給油ポンプ制御回路45からの制御指令が入力される毎に、潤滑油を一定量圧送するように構成されている。
オイル供給手段制御部39は、エア配管34の途中に設けられた流量計36と、流量計に接続されたカウンタ44と、カウンタ44に接続され、給油ポンプ43の動作を制御する給油ポンプ制御回路(オイル供給手段制御回路)45とを有している。
【0035】
流量計36は、エア配管34内を通過する圧縮ガスの流量(エア流量)を計測する。この流量計36によって計測されたエア流量はカウンタ44に出力される。
カウンタ44には、流量計36によって計測されたエア流量が経時的に入力される。カウンタ44は、このエア流量の立ち上がりタイミング毎にカウントアップする。このカウント数は、エア配管34内での圧縮ガスの圧送回数に相当する。
【0036】
給油ポンプ制御回路45は、レジスタ、制御部、演算部等を内蔵し、後述する操作部から入力されたデータに基づいて等差数列[a=a+(n−1)d]を算出し、この演算結果をレジスタに格納する。また、給油ポンプ制御回路45は、カウンタ44によってカウントされたカウント数が逐次に入力され、このカウント数がレジスタに格納された等差数列上の数値になる度に、給油ポンプ43に、潤滑油を一定量圧送する制御指令を出力する。これにより、圧縮ガスがエア配管34内をd回圧送される度に、オイル供給手段38では、オイルタンク42から、所定量の潤滑油が1回送出される。
【0037】
定量バルブ40は、オイル貯留部(図示せず)を有し、オイル供給手段38から供給される潤滑油のワンショット分が、このオイル貯留部に一旦貯留され、その後、供給されてくる潤滑油による加圧および脱圧によって、オイル貯留部内の潤滑油を一定量吐出する。
【0038】
エアオイル搬送系33は、第1エアオイル配管(エアオイル搬送路)46および第2エアオイル配管(エアオイル搬送路)47と、電磁弁(弁体)48と、電磁弁48の動作を制御する電磁弁制御部(弁体制御部)49とを有している。第1エアオイル配管46は、その一端がチェックバルブ41に接続され、他端が電磁弁48に接続されている。また、第2エアオイル配管47は、その一端が電磁弁48に接続され、他端が振動ペン本体20の開口部11cに接続されている。また、電磁弁制御部49は制御用配線22を介してカウンタ44に接続されている。
【0039】
チェックバルブ41は、3方に流路を有し、各流路に、それぞれエア配管34、オイル配管37および第1エアオイル配管46が接続されている。このうち、エア配管34とオイル配管37が接続された流路には逆止弁機能が設けられている。これにより、圧縮ガスの圧力によって定量バルブ40から吐出された潤滑油が、流量計36側と定量バルブ40側に逆流するのが防止される。
【0040】
エア搬送系31を圧送される圧縮ガスは、このチェックバルブ41内の流路を介して第1エアオイル配管46内に導入される。また、オイル供給系32から供給される潤滑油は、エア搬送系31を圧送される圧縮ガスと、このチェックバルブ41で合流し、圧縮ガスと混合された状態、すなわちエアオイルとなって、第1エアオイル配管46内に導入される。
【0041】
電磁弁48は、第1ポート48aと、第2ポート48bと、排気ポート48cとを有する3ポートタイプの電磁弁であり、第1ポート48aおよび第2ポート48bに、それぞれ、第1エアオイル配管46および第2エアオイル配管47が接続され、排気ポート48cに、排気管(図示せず)が接続されている。
【0042】
この電磁弁48では、例えば第1の状態のとき、第1ポート48aと第2ポート48bとが接続する(以下、この状態を「接続状態」と言う)。このとき、第1エアオイル配管46内を圧送する圧縮ガスおよびエアオイルは、第1ポート48aおよび第2ポート48bを介して第2エアオイル配管47に導入される。また、電磁弁48では、第2の状態のとき、第1ポート48aが閉弁状態になり、第2ポート48bと排気ポート48cとが接続する(以下、この状態を「非接続状態」と言う)。このとき、第1エアオイル配管46から第2エアオイル配管47への流れが停止する。
そして、電磁弁制御部49は、電磁弁48に、接続状態と非接続状態とを切り替える制御指令を、一定時間毎に繰り返し出力する。これにより、第1エアオイル配管から第2エアオイル配管にエアが流れる状態と、エアの流れが停止する状態とが交互に切り替わる。その結果、圧縮ガスおよびエアオイルは、エア配管34内および各エアオイル配管46、47内を間欠的に圧送される。
【0043】
また、以上のようなマーキング装置用潤滑油供給装置には、入力等の各操作を行う操作部(図示せず)が備えられている。
操作部としては、例えば、キーボード、液晶表示パネル等を備えたタッチパネル等を用いられる。この操作部には、例えば、給油ポンプ制御回路で用いられる等差数列の交差d等のデータが入力され、このデータが給油ポンプ制御回路等に出力される。
【0044】
次に、本実施形態のマーキング装置用潤滑油供給装置の動作を説明する。
図1に示すように、初期状態において、ピストン3が圧縮コイルバネ6によりバックプレート10側に付勢されている。この状態において、各部の動作をオンにする。
まず、電磁弁制御部49は、電磁弁48に一定時間毎に制御指令を繰り返し出力する。これにより、電磁弁48は、第1ポート48aと第2ポート48bとが接続された状態と、第1ポート48aが閉弁された状態とが交互に切り替わる。
【0045】
また、エア源35は、エア配管34内に圧縮ガスを送出する。エア源35から送出された圧縮ガスは、電磁弁48の第1ポート48aと第2ポート58bとが接続された状態では、エア配管34、チェックバルブ41、第1エアオイル配管46、電磁弁48、第2エアオイル配管47を順次通過して、開口部11cから振動ペン本体20の内部に流入する。一方、電磁弁48の第1ポート48aが閉弁された状態では、このような圧縮ガスの流れが停止する。したがって、エア源35から送出された圧縮ガスは、電磁弁48の切り替え操作に同期して、エア搬送系31およびエアオイル搬送系33を間欠的に圧送される。
【0046】
このとき、流量計36は、エア配管34内を通過する圧縮ガスの流量(エア流量)を経時的に計測する。図3に、この流量計によって計測されるエア流量の経時変化の典型例を示す。このように、エア配管34内を通過する圧縮ガスの流量は、電磁弁48の切り替え操作に同期してパルス状に変化する。流量計36によって計測されたエア流量は、カウンタ44に出力される。
カウンタ44は、流量計から経時的に入力されるエア流量の立ち上がりタイミング毎にカウントアップし、エア配管34内での圧縮ガスの圧送回数をカウントする。カウンタ44によってカウントされたカウント数は、給油ポンプ制御回路45に出力される。
【0047】
給油ポンプ制御回路45は、カウンタ44から入力されたカウント数が、レジスタに格納された等差数列[a=a+(n−1)d]上の数値になる度に、給油ポンプ43に、潤滑油を一定量圧送する制御指令を出力する。これにより、圧縮ガスがエア配管34内をd回圧送される度に、オイルタンク42から、一定量の潤滑油が1回送出される。図3に示すように、例えば等差数列において公差d=3である場合には、圧縮ガスが3回圧送される度に、オイル供給手段38ではオイルタンク42から潤滑油が1回送出される。
【0048】
オイル配管37に送出された潤滑油は、定量バルブ40のオイル貯留部にワンショット分ずつ貯留され、次に圧送されてくる潤滑油による加圧および脱圧によって、このオイル貯留部から下流側に順次吐出され、チェックバルブ41に圧送される。
【0049】
ここで、オイル供給手段38から潤滑油が送出されていない間は、エア搬送系31を圧送される圧縮ガスは、そのままチェックバルブ41を通過し、第1エアオイル配管46内、電磁弁48の流路、第2エアオイル配管47内を間欠的に圧送され、開口部11cから振動ペン本体20内に間欠的に供給される。
また、オイル供給手段38から潤滑油が送出されると、この潤滑油の油滴が、エア供給系31を圧送される圧縮ガスとチェックバルブ41で合流し、圧縮ガス中に油滴が分散された状態(エアオイル)になる。そして、このエアオイルが、第1エアオイル配管46内、電磁弁48の流路、第2エアオイル配管47内を間欠的に圧送され、開口部11cから振動ペン本体20内に間欠的に供給される。
【0050】
振動ペン本体21内に、圧縮ガスまたはエアオイルが供給されると、振動ペン本体21は以下のように動作する。
初期状態において、ワンショット分の圧縮ガスが、アダプタ11の開口部11cから導入されると、この圧縮ガスは、バックプレート10の供給孔10a内に送られる。この圧縮ガスにより、供給孔10aを閉塞しているOリング12に対して圧縮コイルバネ6の付勢力よりも大きな圧力が加わる。これによりOリング12が押し下げられ、これに伴って圧縮コイルバネ6によって付勢されているピストン3がシリンダ2の先端側に押し下げられる。
【0051】
ピストン3が先端側に前進されると、Oリング12の位置がシリンダ室2Aの段差部2bよりも先端側に移動する。段差部2bよりも先端側のシリンダ内周面2aは、基端側のシリンダ内周面2aよりも内径が大きくなっている。このため、ピストン3が前進すると、Oリング12と内周面2aとの間に隙間が生じる。すると、ピストン3を押していた圧縮ガスがこの隙間からシリンダ室2Aの先端側に流れる。また、この圧縮ガスはノーズ部材8の排気孔8bを経てシリンダ2の外部に放出される。これにより、ピストン3を押していた圧縮ガスの圧力が低下し、圧縮コイルバネ6の付勢力がこの低下した圧力に打ち勝ってピストン3を再びバックプレート10側に付勢させる。
ピストン3が後退位置に戻ると、次に供給されるワンショット分の圧縮ガスによりピストン3が押されて前進する。この動作を繰り返すことで、ピストン3を介してスタイラス4を往復振動させることができる。
【0052】
振動するスタイラス4の打刻部4bを、例えば加工体の被加工面に押し付けることにより、被加工面上にドットが形成される。このドットを複数形成することで、被加工面上に二次元バーコードがマーキングされる。また、振動するスタイラス4の打刻部4bを、例えば被加工面に押し当てながら移動させると、その移動の軌跡に沿って溝が形成される。スタイラス4の移動方向を任意に制御することで、被加工面上に数字や文字や記号等をマーキングすることができる。
【0053】
また、ワンショット分のエアオイルが、アダプタ11の開口部11cから導入されると、この場合にも、エアオイルに含まれる圧縮ガスにより、圧縮ガスが導入された場合と同様の機構により、ピストン3を介してスタイラス4を往復振動させることができる。
また、エアオイルを導入した場合には、エアオイルがシリンダ室2A内を通過する際に、エアオイルに分散された潤滑油がシリンダ2の内周面2aに付着する。
これにより、シリンダ2の内周面2aとOリング12との摩擦係数が低減する。また、Oリング12が内周面2aと摺動することによるOリング12の摩耗が抑えられるので、Oリング12と内周面2aとの密着性が長期間保持される。これにより、初期状態において、ピストン2を、確実に所定の位置に保持することができ、また、圧縮ガスまたはエアオイルが供給されたときには、これらの圧力を、確実にOリング12に付与することができる。その結果、ピストン2がシリンダ2内で円滑に往復運動し、スタイラスがワークの表面を安定に打刻することができる。
【0054】
そして、この潤滑油供給装置1では、特に、オイル供給手段制御部39において、流量計36は、間欠的に圧送される圧縮ガスの流量を計測し、カウンタ44は、流量計36によって計測されたエア流量に基づいて圧縮ガスの圧送回数をカウントする。そして、給油ポンプ制御回路45は、このカウント数を基準にして給油のタイミングを算出し、このタイミングで、給油ポンプ43に制御指令を出力する。
【0055】
このため、仮に電磁弁48の動作に仮に不具合が生じており、圧縮ガスの圧送のタイミングが変動した場合には、その変動がカウンタ44におけるカウント数に反映されるので、給油ポンプ制御回路45では、この変動に応じた給油のタイミングが算出される。このため、圧縮ガスに、常に適当なタイミングで、適量の潤滑油を供給することができる。また、さらに、電磁弁48が故障しており、圧縮ガスの圧送が停止している場合には、カウンタ44におけるカウントアップも停止するので、給油ポンプ制御回路45による制御指令の出力も停止する。このため、このような場合に、潤滑油がオイル供給系32で滞留し、チェックバルブ41や定量バルブ40の動作に不具合を生じさせたり、給油ポンプ43の故障を引き起こすという問題が回避される。
【0056】
また、このエアオイル供給手段30において、給油ポンプ43の制御に用いられる流量計36、カウンタ44および給油ポンプ制御回路45は、従来のように電磁弁・給油ポンプ制御部に組み込まれた給油ポンプ制御回路とは異なり、システム構築後に後付けすることができる。このため、システムの冗長性が向上するという利点もある。
【0057】
以上、本発明のマーキング装置用潤滑油供給装置の実施形態について説明したが、本発明の構成はこれに限るものではない。
例えば、電磁弁制御部49は、カウンタ44に制御用配線22を介し接続され、電磁弁制御部49が制御指令を出力する回数と、カウンタ44におけるカウント数を比較する比較回路を有していてもよい。これにより、電磁弁48の動作状況を評価することができる。すなわち、カウンタ44におけるカウント数は、電磁弁48の切り替え操作の回数に相当するため、比較回路で、このカウント数と電磁弁制御部49における制御指令の出力回数とが等しいと判定された場合には、電磁弁の動作状況が良好であると評価することができる。また、比較回路で、このカウント数と制御指令の出力回数とが異なる判定された場合には、電磁弁制御部の制御指令に対して電磁弁が正常に動作しておらず、何らかの不具合が生じているものと評価することができる。
なお、ピストン3の振動の状態に応じてカウンタ44におけるカウント数と、電磁弁48の切り替え操作の回数とは相関関係となるが、相関関係が厳密に一致していなくとも、多少の誤差は通常の動作の範囲内と見なしても良い。なお、この立ち上がりタイミング毎にカウントする動作に加え、適切な閾値を設定しておき、この閾値を超えた時点でカウントするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の一実施形態であるマーキング装置用潤滑油供給装置を示す断面模式図。
【図2】図1に示すマーキング装置用潤滑油供給装置に接続して設けるエアオイル供給手段の一例を示すブロック図。
【図3】図2に示すエアオイル供給手段におけるエア流量の経時変化の一例を示すグラフ。
【図4】従来のマーキング装置用振動ペンが備えるエアオイル供給手段の一例のブロック図。
【図5】従来のマーキング装置用振動ペンが備えるエアオイル供給手段の他の例を示すブロック図
【符号の説明】
【0059】
1・・・マーキング装置用潤滑油供給装置、2・・・シリンダ、3・・・ピストン、3a2…受部(ピストン先端)、3a3…雄ネジ部、4・・・スタイラス、4a・・・スタイラス本体(スタイラス基端)、4b・・・打刻体(スタイラス先端)、4c…座金、5・・・振動部(振動手段)、7・・・連結部、7a・・・カバー部、7b・・・壁面部、7c・・・貫通孔、7d・・・内周面、7e・・・雌ネジ部、S・・・隙間、T・・・当接部、20・・・振動ペン本体、30・・・エアオイル供給手段、31・・・エア搬送系、32・・・オイル供給系、33・・・エアオイル搬送系 34・・・エア配管(エア搬送路)、35・・・エア源、36・・・流量計、37・・・オイル配管(オイル搬送路)、38・・・オイル供給手段、39・・・オイル供給手段制御部、40・・・定量バルブ、41・・・チェックバルブ、42・・・オイルタンク、43・・・給油ポンプ、44・・・カウンタ、45・・・給油ポンプ制御回路(オイル供給手段制御回路)、46・・・第1エアオイル配管(エアオイル搬送路)、47・・・第2エアオイル配管(エアオイル搬送路)、48・・・電磁弁(弁体)、49・・・電磁弁制御部(弁体制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、該シリンダに往復自在に取り付けられたピストンと、該ピストンの先端側に設けられたスタイラスと、前記ピストンの基端側に備えられて前記ピストンをその長手方向に振動させる振動手段とを備える振動ペン本体と、該振動ペン本体に、その基端側から圧縮ガスまたは圧縮ガスと潤滑油との混合物を間欠的に供給するエアオイル供給手段とを具備するマーキング装置用潤滑油供給装置であって、
前記エアオイル供給手段は、前記圧縮ガスを送出するエア源と、前記エア源から送出された前記圧縮ガスが間欠的に圧送されるエア搬送路と、前記潤滑油を送出するオイル供給手段と、該オイル供給手段の動作を制御するオイル供給手段制御部と、前記オイル供給手段から送出された前記潤滑油が搬送されるオイル搬送路と、前記エア搬送路の下流端と前記オイル搬送路の下流端とが接続する接続部と、該接続部に接続されて前記圧縮ガスまたは前記接続部で合流した前記圧縮ガスと前記潤滑油との混合物が前記振動ペン本体側に間欠的に圧送されるエアオイル搬送路とを有し、
前記オイル供給手段制御部は、前記エア搬送路を圧送される前記圧縮ガスの流量を計測する流量計と、該流量計によって計測される流量値が経時的に入力され、その立ち上がりタイミング毎にカウントアップするカウンタと、該カウンタによってカウントされたカウント数が逐次入力され、このカウント数が設定値になる度に、前記オイル供給手段に、潤滑油を一定量送出する制御指令を出力するオイル供給手段制御回路とを有することを特徴とするマーキング装置用潤滑油供給装置。
【請求項2】
前記オイル供給手段制御回路に設定された設定値は、等差数列上の数値であることを特徴とする請求項1に記載のマーキング装置用潤滑油供給装置。
【請求項3】
前記エアオイル搬送路の途中に設けられて前記エアオイル搬送路を開閉する弁体と、該弁体に前記エアオイル搬送路の開閉を切り替える制御指令を一定時間毎に繰り返し出力する弁体制御部とを有し、
前記弁体制御部は、前記カウンタに接続され、前記弁体制御部が出力する制御指令の回数と、カウンタにおけるカウント数とを比較する比較回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載のマーキング装置用潤滑油供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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