説明

マーキング装置

【課題】装置を簡素化するとともに、使用するテープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施すことができるようにする。
【解決手段】複数の熱転写テープ6a,6bを支持する支持台8を、エアシリンダ10によって、マーキングピン2a,2b,2cの長手方向であるC方向に直交するD方向に移動させることで、複数の熱転写テープ6a,6bのいずれかをマーキングピン2a,2b,2cに対向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの性能試験後にタイヤにマーキングを行うマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ試験機により性能試験が行われたタイヤには、マーキングが施される。このマーキングとして、加熱されたマーキングピンを熱転写テープに押し当て、これをタイヤに押し付けることで、熱転写により所望のマークをタイヤに印字することが行われている。
【0003】
特許文献1には、タイヤの略周方向(接線方向)に隣り合うように2本のテープを配置し、2本のテープの各々に別々のマーキングピンを割り当てることで、タイヤに2つのマーキングを施すマーキング装置が開示されている。このマーキング装置では、2本のテープの色を異ならせて別々の印字色とすることが可能である。
【0004】
しかしながら、特許文献1のマーキング装置では、タイヤ表面における2箇所の印字位置が周方向で異なるため、印字できる面が少ない場合には使いにくい。また、使用するテープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施す場合には、使用するテープの直下に印字位置が位置するように、タイヤの位置を周方向に調整する必要がある。そのためには、使用するテープ毎に、スピンドルの回転停止位置を調整したり、マーキングピンのタイヤに対する回転角度を調整したりする制御が必要となる。
【0005】
一方、特許文献2には、2本のテープをタイヤ径方向に並ぶように配置したマーキング装置が開示されている。この構成によれば、使用するテープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施す場合に、タイヤの位置を周方向に調整する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−329658号公報
【特許文献2】特開2006−95738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のマーキング装置では、2本のテープの各々に別々のマーキングピンを割り当てているため、マーキングピン毎に付帯機器(駆動機構や温度調整機構など)を必要とし、装置の複雑化や製作コストの面でデメリットがある。さらに、使用するテープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施す場合には、使用するテープの直下に印字位置が位置するように、タイヤの位置を径方向に調整する必要がある。そのためには、テープの切り換え毎に、搬送コンベアによりタイヤ停止位置を調整したり、マーキング装置自体のタイヤ径方向の停止位置を調整したりする制御が必要となる。
【0008】
本発明の目的は、装置を簡素化するとともに、使用するテープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施すことが可能なマーキング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明におけるマーキング装置は、タイヤに印字するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドを前記タイヤの表面に近接させる近接装置とを備えたタイヤ試験機におけるマーキング装置であって、前記マーキングヘッドは、長手方向に進退可能な少なくとも1つのマーキングピンと、前記マーキングピンを加熱するヒータと、複数の熱転写テープを前記長手方向に直交する方向に並列させて支持する支持台と、前記複数の熱転写テープのいずれかを前記マーキングピンに対向させるように前記支持台を移動させる駆動装置と、前記マーキングピンを前記熱転写テープに向かって押し出すことで、前記マーキングピンを前記熱転写テープに押し付ける押出装置と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、複数の熱転写テープを支持する支持台を、マーキングピンの長手方向に直交する方向に移動させることで、複数の熱転写テープのいずれかをマーキングピンに対向させる。これにより、マーキングピンに対向する熱転写テープにマーキングピンが押し付けられることで、マーキングピンが押し付けられた熱転写テープに応じた色のマークがタイヤに印字されることとなる。このように、複数の熱転写テープに共通するマーキングピンに対して、対向する熱転写テープを切り換えることで、複数の熱転写テープの各々は、共通のマーキングピンで押し付けられる。よって、熱転写テープ毎にマーキングピンやこれを加熱するヒータ等の付帯機器を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。
【0011】
また、使用する熱転写テープを切り換えても、マーキングピンの位置は変わらず、マーキングピンの下方が常に印字位置となるので、同種のタイヤの同一位置にマーキングを施す際に、タイヤの位置を周方向や径方向に調整する必要がない。よって、使用する熱転写テープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施すことができる。また、違う色の熱転写テープを複数使用すれば、違う印字色でマーキングすることができる。また、同色の熱転写テープを複数使用すれば、テープ交換の頻度を低減させることができる。
【0012】
また、本発明におけるマーキング装置において、前記支持台は2本の前記熱転写テープを支持しており、前記駆動装置がシリンダであり、前記シリンダのストロークが最大の時に一方の前記熱転写テープが前記マーキングピンに対向し、前記シリンダのストロークが最小の時に他方の前記熱転写テープが前記マーキングピンに対向してよい。上記の構成によれば、シリンダのストロークを最大と最小とに切り換えるだけで、2種類の熱転写テープを使い分けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマーキング装置によると、複数の熱転写テープに共通するマーキングピンに対して、対向する熱転写テープを切り換えることで、複数の熱転写テープの各々は、共通のマーキングピンで押し付けられる。よって、熱転写テープ毎にマーキングピンやこれを加熱するヒータ等の付帯機器を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、使用する熱転写テープを切り換えても、マーキングピンの位置は変わらず、マーキングピンの下方が常に印字位置となるので、同種のタイヤの同一位置にマーキングを施す際に、タイヤの位置を周方向や径方向に調整する必要がない。よって、使用する熱転写テープを切り換えながら同種のタイヤの同一位置にマーキングを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マーキング装置を示す(a)正面図、(b)側面図である。
【図2】図1(b)の要部Aの拡大図である。
【図3】マーキングヘッドを示す(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図、(d)要部Bの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(マーキング装置の構成)
本実施形態によるマーキング装置100は、図1に示すように、タイヤ7に印字するマーキングヘッド1、タイヤ7を搬送するコンベア14、および、マーキングヘッド1をタイヤ7の表面に近接させるエアシリンダ(近接装置)16を有する。
【0017】
図示しないタイヤ試験機によって各種性能試験が行われたタイヤ7は、図示しないセンターコンベアによりコンベア14上に受け渡される。タイヤ7を搬送するコンベア14の上方には、リフトフレーム32に支持されたマーキングヘッド1がコンベア14に垂直方向に対向するように配置されている。マーキングヘッド1の構成については後述する。
【0018】
エアシリンダ16は、フレーム31上に立設されており、リフトフレーム32を昇降させることでマーキングヘッド1を垂直方向に上下動させる。マーキング装置100の側面図である図1(b)に示すように、フレーム31上には、コンベア14の搬送方向におけるエアシリンダ16の前後に、リフトフレーム32の昇降をガイドするガイド部材15がそれぞれ設けられている。
【0019】
コンベア14上において、タイヤ7のサイドウォールは上方を向いている。タイヤ7への印字の際には、コンベア14によってタイヤ7がマーキングヘッド1の下まで搬送され、印字位置で停止される。そして、エアシリンダ16によってマーキングヘッド1がタイヤ7の表面近くに移動される。
【0020】
タイヤ7の印字位置への停止は、コンベア14の搬送距離に基づいて適切に行われる。即ち、コンベア通過位置にタイヤ7のへりを検出する図示しないセンサが設けられており、タイヤ7がそこを通過してからどれだけの距離をタイヤ7がコンベア14によって搬送されたかを算出することによって移動位置を同定する。また、搬送されてきたタイヤ7の種別情報をコンピュータに読み込ませることでタイヤ7の半径方向の大きさを判定する。そして、センサ通過情報、タイヤ半径方向情報ならびにコンベア14による搬送距離に基づいて、タイヤ7が印字位置に正しく位置決めされる。
【0021】
エアシリンダ16には、ストローク中間で停止できるようにブレーキ機構が搭載されており、タイヤ接触スイッチ17(図2参照)がタイヤ7に接触したときにブレーキがかかるようになっている。
【0022】
図1(b)の要部Aの拡大図である図2に示すように、マーキングヘッド1は、リフトフレーム32に取り付けられた略L字状の一対の支持フレーム26,26間に水平に架け渡された回転軸27に揺動可能に取り付けられている。また、リフトフレーム32の下部には、マーキングヘッド1をスイングさせる角度調整機構23と、マーキングヘッド1の角度を計測するリニアセンサ20とが設けられている。マーキングヘッド1は、角度調整機構23により、タイヤ7に対して印字に適した角度になるように、その角度が調整される。
【0023】
角度調整機構23は、ボールネジ18とボールネジ18を回転させる図示しないモータとによって、コンベア14の搬送方向に沿って水平移動される可動体23aと、可動体23aとマーキングヘッド1の上部とをリンクさせるリンク部材23bと、を有している。
【0024】
このような構成において、可動体23aが図中右方に移動されると、リンク部材23bによってマーキングヘッド1の上部が右方に移動されることで、マーキングヘッド1は回転軸27を支点として時計回りに回転し、マーキングヘッド1の下部は左上方にスイングする。また、可動体23aが図中左方に移動されると、リンク部材23bによってマーキングヘッド1の上部が左方に移動されることで、マーキングヘッド1は回転軸27を支点として反時計回りに回転し、マーキングヘッド1の下部は右上方にスイングする。マーキングヘッド1の角度はリニアセンサ20により計測される。これにより、マーキングヘッド1の角度が印字に適した角度に調整される。
【0025】
また、マーキングヘッド1の下部には、タイヤ7との接触を感知するタイヤ接触スイッチ17が設けられている。タイヤ接触スイッチ17は、棒状体17aと図示しないリミットスイッチとで構成されており、棒状体17aの先端部側がタイヤ7に接触した際に、基端部側でリミットスイッチが作動される。リミットスイッチが作動されると、エアシリンダ16にブレーキがかかり、タイヤ7とマーキングヘッド1との間に適正な距離が形成されることとなる。
【0026】
また、マーキングヘッド1の下部には、マーキングピン2a,2b,2c(図3参照)をタイヤ7に押し付ける際に、タイヤ7の裏側を押さえてタイヤ7がへこまないようにするサポート21が回転可能に取り付けられている。このサポート21は、ロッドが下向きになるようにマーキングヘッド1に取り付けられたエアシリンダ22により回転駆動される。
【0027】
(マーキングヘッドの構成)
マーキングヘッド1は、図3に示すように、3本のマーキングピン2a,2b,2c、マーキングピン2a,2b,2cを加熱するヒータ3、2本の熱転写テープ6a,6bを支持する支持台8、支持台8を移動させるエアシリンダ(駆動装置)10、および、マーキングピン2a,2b,2cを対向する熱転写テープ6a,6bに向かって押し出すエアシリンダ(押出装置)5a,5b,5cを有している。
【0028】
ここで、マーキングヘッド1を示す側面図である図3(c)に示すように、マーキングヘッド1は、回転軸27(図2参照)が挿通される穴1b、および、リンク部材23b(図2参照)が接続される穴1cが形成されて、エアシリンダ22(図2参照)が取り付けられるメインプレート1aを有している。メインプレート1aには、マーキングピン2a,2b,2c、ヒータ3、エアシリンダ10、および、エアシリンダ5a,5b,5cが設けられている。2本の熱転写テープ6a,6bを支持する支持台8は、メインプレート1aに設けられたエアシリンダ10によって、メインプレート1aに対して移動される。
【0029】
マーキングヘッド1を示す正面図である図3(b)に示すように、マーキングピン2a,2b,2cは長手方向に進退可能であり、印字する形状によってその先端が丸、三角などの形状にされている。図3(b)の要部Bの側面図である図3(d)に示すように、ヒータ3は、マーキングピン2(2a,2b,2c)が差し込まれたブロック4を加熱することで、マーキングピン2a,2b,2cを加熱する。このヒータ3により、マーキングピン2a,2b,2cは熱転写テープ6a,6bに適した温度に温調される。
【0030】
図3(c)に示すように、支持台8は、2本の熱転写テープ6a,6bをマーキングピン2a,2b,2cの長手方向であるC方向に直交するD方向に並列させて支持している。熱転写テープ6a,6bは、熱を加えると転写対象物に転写されるインクが塗布されたテープである。本実施形態において、熱転写テープ6aと熱転写テープ6bとは色が異なる。熱転写テープ6aは熱転写テープ6bよりもエアシリンダ10側(奥側)に配置されている。図3(b)に示すように、熱転写テープ6aは、図中右側に配置された送出リール24aから送り出され、図中左側に配置されてモータ9a(図3(a)参照)により回転される巻取リール24bに巻き取られる。熱転写テープ6bは、図中右側に配置された送出リール25aから送り出され、図中左側に配置されてモータ9b(図3(a)参照)により回転される巻取リール25bに巻き取られる。
【0031】
送出リール24aは円形プレート12aを有しており、送出リール24aの近傍には近接スイッチ13a(図3(c)参照)が設けられている。また、送出リール25aは円形プレート12bを有しており、送出リール25aの近傍には近接スイッチ13b(図3(c)参照)が設けられている。円形プレート12a,12bには、円の外周付近に複数の貫通穴が設けられている。熱転写テープ6a,6bの送り出しに伴い円形プレート12a,12bが回転し、外周近くの貫通穴が近接スイッチ13a,13bを通過すると、近接スイッチ13a,13bが貫通穴の通過のたびにON/OFFし、これによって円形プレート12a,12bの回転を検知する。これにより、熱転写テープ6a,6bの送り出し量やテープ切れが監視される。ここで、巻取リール24b,25bによる巻き取りが行われているのに送出リール24a,25aの回転が検出されない場合に、テープ切れであることが検出される。
【0032】
図3(c)に示すように、支持台8にはエアシリンダ10が接続されている。エアシリンダ10は、支持台8をD方向に移動させることで、2本の熱転写テープ6a,6bのいずれかをマーキングピン2a,2b,2cにC方向に対向させる。具体的には、エアシリンダ10のストロークが最大の時に奥側の熱転写テープ6aがマーキングピン2a,2b,2cに対向し、エアシリンダ10のストロークが最小の時に手前側の熱転写テープ6bがマーキングピン2a,2b,2cに対向する。本実施形態では、エアシリンダ10はガイド付きエアシリンダであり、エアシリンダ10は支持台8をD方向にガイドしながら支持台8をD方向に移動させる。
【0033】
図3(b)に示すように、エアシリンダ5a,5b,5cは、ロッドの伸長によって、対応するマーキングピン2a,2b,2cを対向する熱転写テープ6a,6bに向かって押し出すことで、マーキングピン2a,2b,2cを対向する熱転写テープ6a,6bに押し付ける。具体的には、エアシリンダ5aはマーキングピン2aを対向する熱転写テープ6a,6bに向かって押し出し、エアシリンダ5bはマーキングピン2bを対向する熱転写テープ6a,6bに向かって押し出し、エアシリンダ5cはマーキングピン2cを対向する熱転写テープ6a,6bに向かって押し出す。そして、エアシリンダ5a,5b,5cのうち、印字条件に合致したエアシリンダのロッドが伸長され、このエアシリンダに対応するマーキングピンが熱転写テープ6a,6bに押し付けられることで、タイヤ7上に印字が行われる。
【0034】
マーキングピン2a,2b,2cは、コイルばね11a,11b,11cの内部に挿通されており、コイルばね11a,11b,11cよりも径が大きな上端部19a,19b,19cを有している。コイルばね11a,11b,11cは、マーキングピン2a,2b,2cの上端部19a,19b,19cとブロック4との間に伸縮可能に配置されている。エアシリンダ5a,5b,5cのロッドが伸長されてマーキングピン2a,2b,2cが熱転写テープ6a,6bに押し付けられると、マーキングピン2a,2b,2cの上端部19a,19b,19cとブロック4とが近接することでコイルばね11a,11b,11cは縮む。その後、伸長されていたエアシリンダ5a,5b,5cのロッドが縮退されて原点位置に戻ると、縮んでいたコイルばね11a,11b,11cが伸びてマーキングピン2a,2b,2cの上端部19a,19b,19cとブロック4とを離隔させる。これにより、熱転写テープ6a,6bに押し付けられていたマーキングピン2a,2b,2cは熱転写テープ6a,6bから離れて原点位置に戻ることとなる。
【0035】
(マーキング装置の動作)
次に、マーキング装置100によるタイヤ7へのマーキング動作について説明する。なお、以下に述べるマーキング装置100各部の動作は、マーキング装置100を備えたタイヤ試験システムのコントローラ(図示せず)によって制御される。
【0036】
先ず、図1に示すように、マーキングヘッド1は、エアシリンダ16の縮退により、印字位置よりも鉛直方向上方の原点位置に位置されている。その後、コンベア14によってタイヤ7がマーキングヘッド1の下まで搬送され、印字位置で停止される。
【0037】
次に、図2に示すように、角度調整機構23によってマーキングヘッド1の角度が調整される。
【0038】
その後、図3に示すように、エアシリンダ10の伸長または縮退によって、2本の熱転写テープ6a,6bのうち、所望の熱転写テープがマーキングピン2a,2b,2cに対向される。即ち、熱転写テープ6aが使用される場合には、エアシリンダ10のストロークが最大まで伸長されることで、奥側の熱転写テープ6aがマーキングピン2a,2b,2cに対向される。一方、熱転写テープ6bが使用される場合には、エアシリンダ10のストロークが最小まで縮退されることで、手前側の熱転写テープ6bがマーキングピン2a,2b,2cに対向される。
【0039】
その後、図1に示すように、エアシリンダ16の伸長によりマーキングヘッド1が下降される。タイヤ接触スイッチ17の棒状体17a(図2参照)がタイヤ7に接触すると、エアシリンダ16にブレーキがかかり、タイヤ7とマーキングヘッド1との間に適正な距離が形成される。そして、図2に示すように、エアシリンダ22の駆動によりタイヤ7の裏側がサポート21で押さえられる。
【0040】
その後、図3に示すように、3本のマーキングピン2a,2b,2cのうち、所望のマーキングピンが、対応するエアシリンダにより熱転写テープに向かって押し出される。これにより、所望のマーキングピンが所望の熱転写テープに押し付けられ、この熱転写テープがタイヤ7に押し当てられる。これにより、所望のマークがタイヤ7のサイドウォールに印字される。
【0041】
このように、2本の熱転写テープ6a,6bに共通するマーキングピン2a,2b,2cに対して、対向する熱転写テープを切り換えることで、2本の熱転写テープ6a,6bの各々は、共通のマーキングピン2a,2b,2cで押し付けられる。よって、熱転写テープ6a,6b毎にマーキングピンやこれを加熱するヒータ等の付帯機器を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、使用する熱転写テープを切り換えても、マーキングピン2a,2b,2cの位置は変わらず、マーキングピン2a,2b,2cの下方が常に印字位置となるので、同種のタイヤ7の同一位置にマーキングを施す際に、タイヤ7の位置を周方向や径方向に調整する必要がない。よって、使用する熱転写テープを切り換えながら同種のタイヤ7の同一位置にマーキングを施すことができる。そして、同一位置へのマーキングは、印字できる面が少ない扁平タイヤや複雑な模様のタイヤに対しても好適に行うことができる。
【0042】
また、エアシリンダ10のストロークを最大と最小とに切り換えるだけで、2種類の熱転写テープ6a,6bを使い分けることができる。そのため、複雑な停止機構を設ける必要がない。
【0043】
上記のようにしてタイヤ7のサイドウォールにマークが印字されると、マーキングピンを押し出していたエアシリンダのロッドが原点位置に戻される。これにより、押し出されていたマーキングピンがコイルばね11の力で原点位置に戻る。また、タイヤ7の裏側を押さえていたサポート21がタイヤ7から離される。その後、エアシリンダ16の縮退により、マーキングヘッド1が印字位置よりも鉛直方向上方の原点位置に復帰される。また、使用された熱転写テープを巻き取る巻取リールが回転されることで、使用された熱転写テープが所定量だけ巻取リールに巻き取られる。これにより、次のタイヤ7へのマーキング動作がスタンバイ状態となる。そして、上記の動作が繰り返される。
【0044】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るマーキング装置100によると、2本の熱転写テープ6a,6bを支持する支持台8を、マーキングピン2a,2b,2cの長手方向であるC方向に直交するD方向に移動させることで、2本の熱転写テープ6a,6bのいずれかをマーキングピン2a,2b,2cに対向させる。これにより、マーキングピン2a,2b,2cに対向する熱転写テープにマーキングピン2a,2b,2cが押し付けられることで、マーキングピン2a,2b,2cが押し付けられた熱転写テープに応じた色のマークがタイヤ7に印字されることとなる。このように、2本の熱転写テープ6a,6bに共通するマーキングピン2a,2b,2cに対して、対向する熱転写テープを切り換えることで、2本の熱転写テープ6a,6bの各々は、共通のマーキングピン2a,2b,2cで押し付けられる。よって、熱転写テープ6a,6b毎にマーキングピンやこれを加熱するヒータ等の付帯機器を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。
【0045】
また、使用する熱転写テープを切り換えても、マーキングピン2a,2b,2cの位置は変わらず、マーキングピン2a,2b,2cの下方が常に印字位置となるので、同種のタイヤ7の同一位置にマーキングを施す際に、タイヤ7の位置を周方向や径方向に調整する必要がない。よって、使用する熱転写テープを切り換えながら同種のタイヤ7の同一位置にマーキングを施すことができる。
【0046】
また、エアシリンダ10のストロークを最大と最小とに切り換えるだけで、2種類の熱転写テープ6a,6bを使い分けることができる。
【0047】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0048】
例えば、熱転写テープ6aと熱転写テープ6bとで色が異なるようにしたが、2つは同色であってもよい。この場合、例えば一方の熱転写テープ6aを使用し尽くした後に他方の熱転写テープ6bを使用するようにすることで、熱転写テープを1本しか搭載できないマーキングヘッドと比べて、テープ交換の頻度を1/2に低減させることができる。
【0049】
また、熱転写テープの数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。この場合、使用する熱転写テープをマーキングピン2a,2b,2cに対向させるように、エアシリンダ(駆動装置)10のストロークを多段階に調整することとなる。
【0050】
また、ガイド付きのエアシリンダ10を駆動装置の一例として説明したが、ガイドとエアシリンダは別構造でもよい。また、エアシリンダに変えて電動シリンダを用いてもよく、その他、モータとラック・アンド・ピニオンを使用する駆動装置、モータとリニアモーションガイドとボールネジを使用する駆動装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 マーキングヘッド
1a メインプレート
2a,2b,2c マーキングピン
3 ヒータ
4 ブロック
5a,5b,5c エアシリンダ
6a,6b 熱転写テープ
7 タイヤ
8 支持台
9a,9b モータ
10 エアシリンダ
11a,11b,11c コイルばね
12a,12b 円形プレート
13a,13b 近接スイッチ
14 コンベア
15 ガイド部材
16 エアシリンダ
17 タイヤ接触スイッチ
18 ボールネジ
20 リニアセンサ
21 サポート
22 エアシリンダ
23 角度調整機構
24a,25a 送出リール
24b,25b 巻取リール
26 支持フレーム
27 回転軸
31 フレーム
32 リフトフレーム
100 マーキング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに印字するマーキングヘッドと、前記マーキングヘッドを前記タイヤの表面に近接させる近接装置とを備えたタイヤ試験機におけるマーキング装置であって、
前記マーキングヘッドは、
長手方向に進退可能な少なくとも1つのマーキングピンと、
前記マーキングピンを加熱するヒータと、
複数の熱転写テープを前記長手方向に直交する方向に並列させて支持する支持台と、
前記複数の熱転写テープのいずれかを前記マーキングピンに対向させるように前記支持台を移動させる駆動装置と、
前記マーキングピンを前記熱転写テープに向かって押し出すことで、前記マーキングピンを前記熱転写テープに押し付ける押出装置と、
を有することを特徴とするマーキング装置。
【請求項2】
前記支持台は2本の前記熱転写テープを支持しており、
前記駆動装置がシリンダであり、
前記シリンダのストロークが最大の時に一方の前記熱転写テープが前記マーキングピンに対向し、前記シリンダのストロークが最小の時に他方の前記熱転写テープが前記マーキングピンに対向することを特徴とする請求項1に記載のマーキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−181079(P2012−181079A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43576(P2011−43576)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)