説明

ミキサ

【課題】 種々の混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサを提供する。
【解決手段】 混合槽3の対向する側壁にそれぞれ混合軸6a、6bを貫通させて回転自在に軸支し、混合槽3内に突出した各混合軸6a、6bの先端部には混合羽根8a、8bを取り付ける。また、混合軸を回転駆動させる駆動モータ12a、12bを各混合軸6a、6bに個別に備えると共に、各駆動モータ12a、12bの回転動作を個別に制御する制御装置16を備える。そして、混合材料の攪拌・混合処理をするときには、制御装置16に各駆動モータ12a、12bの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから最適な一つの混合パターンを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種混合材料を攪拌・混合処理可能な汎用型のミキサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、上端部に混合材料の投入口を有した混合槽を備え、該混合槽の対向する側壁にそれぞれ混合軸を貫通させて回転自在に軸支すると共に、混合槽内に突出した各混合軸の先端部には混合羽根を取り付け、各混合軸を一基の駆動モータの回転動作に連動させて互いに反対方向へ回転駆動させ、それに伴い回転する各混合羽根により混合槽内の各種混合材料を攪拌し混合処理するミキサがある。
【0003】
このような従来のミキサは、特定の混合材料を所定の方向・速度にて回転する混合羽根で所定時間攪拌・混合処理することにより、常に一定の性状の処理物を安定して得られる専用のミキサとして用いられている。
【特許文献1】実開昭57−54285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、様々な現場で用いられるミキサを全て専用化すると、当然コスト高となる上、メンテナンスも煩雑なものとなるため、種々の混合材料の攪拌・混合処理に対して容易にかつ柔軟に対応できる汎用性の高いミキサが求められている。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、種々の混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のミキサでは、上端部に混合材料の投入口を有した混合槽を備え、該混合槽の対向する側壁にそれぞれ混合軸を貫通させて回転自在に軸支し、混合槽内に突出した各混合軸の先端部には混合羽根を取り付けると共に、混合軸を回転駆動させる駆動モータを各混合軸に個別に備える一方、各駆動モータの回転動作を個別に制御する制御装置を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載のミキサでは、前記制御装置には、各駆動モータの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから一つの混合パターンを選択する操作部を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る請求項1記載のミキサによれば、混合槽の対向する側壁にそれぞれ混合軸を貫通させて回転自在に軸支し、各混合軸の先端部には混合羽根を取り付けると共に、混合軸を回転駆動させる駆動モータを各混合軸に個別に備える一方、各駆動モータの回転動作を個別に制御する制御装置を備えたので、各混合軸をそれぞれ独立してかつ多様に回転制御させることが可能となり、種々の混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。
【0009】
また、請求項2記載のミキサによれば、制御装置には、各駆動モータの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから一つの混合パターンを選択する操作部を備えたので、極めて容易に混合材料に適した攪拌・混合処理が実行でき、より取り扱いやすくなって一層汎用性の高いミキサとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るミキサにあっては、上端部に混合材料の投入口を有した混合槽を架台上に搭載し、前記混合槽の対向する側壁にはそれぞれ混合軸を貫通させて回転自在に軸支すると共に、混合槽内に突出した各混合軸の先端部には、混合材料を攪拌・混合処理するのに適した形状の混合羽根を着脱自在に取り付けている。また、前記混合軸を回転駆動させる駆動モータを各混合軸に対して個別に備えていると共に、これら各駆動モータの回転方向や、回転速度、回転時間等の各種回転動作を個別に制御可能とする、例えば、インバータやプログラマブルロジックコントローラ(以下PLCと言う)等を内蔵した制御装置を備えている。また、この制御装置には、例えば、各駆動モータの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから一つの混合パターンを選択可能とする操作部として、操作パネルを備えている。
【0011】
そして、先ず、制御装置内のPLCを操作して、各駆動モータの正転・逆転動作を適当に組み合わせて、例えば3パターン程度の混合パターンを作成して登録しておき、これら各混合パターンをそれぞれ操作パネル上の個別の選択スイッチに割り当てておく。そして、このミキサを使用して、例えば、異種の粉体同士を攪拌・混合処理する場合には、混合槽内に各混合材料を投入した後、上記混合条件に適した混合パターンが割り当てられた選択スイッチを選択操作する。すると、各駆動モータは選択された混合パターンに従ってそれぞれ独立して正転・逆転動作し、それに伴って回転する混合羽根にて各混合材料(ここでは異種の粉体同士)は効率よくかつ好適に攪拌・混合処理されていく。
【0012】
一方、このミキサを使用して、例えば、粉体と液体とを攪拌・混合処理する場合には、前記同様に、混合槽内に各混合材料を投入した後、上記混合条件に適した混合パターンが割り当てられた別の選択スイッチを選択操作する。すると、各駆動モータは選択された別の混合パターンに従ってそれぞれ独立して正転・逆転動作し、それに伴って回転する混合羽根にて各混合材料(ここでは粉体と液体)は効率よくかつ好適に攪拌・混合処理されていく。
【0013】
このように、混合槽の対向する側壁にそれぞれ備えた各混合軸に対し、個別に駆動モータを備えると共に、制御装置にて各駆動モータの回転動作を個別に制御可能としたので、各混合軸をそれぞれ独立してかつ多様に回転制御させることが可能となり、種々の混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。また、制御装置には、各駆動モータの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから混合材料に適した混合パターンを選択する操作パネルを備えたので、取り扱いが極めて容易となってより一層汎用性の高いミキサとすることができる。このとき、制御装置に登録させる混合パターンとしては、できるだけ広範囲の混合材料の攪拌・混合処理に対応可能なものを優先的に作成して登録すれば、更に汎用性を高めることができて好適である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図中の1は、本発明に係る汎用型のミキサであって、上端部に混合材料の投入口2を有した混合槽3を、キャスター4付きの架台5上に搭載している。前記混合槽3は、図2の二点鎖線で示すように、架台5に対して傾倒自在としており、攪拌・混合処理を終えた混合物を容易に排出可能としている。なお、混合槽3から混合物を排出する手段として、混合槽3の底部にダンパーゲート等のゲート装置を備えるようにしてもよい。
【0016】
また、前記混合槽3の対向する側壁には、それぞれ混合軸6a、6bを貫通させて軸受7にて回転自在に軸支していると共に、混合槽3内に突出した各混合軸6a、6bの先端部には、混合羽根8a、8bをそれぞれの先端部が干渉しないように、図1、図3に示すように、若干離間させて取り付けている。
【0017】
混合羽根8a、8bは、板状の羽根体9a、9bと、筒状の軸体10a、10bとから成り、この軸体10a、10bを混合軸6a、6bの先端部に嵌入した上で、エンドプレート11a、11bにて固定しており、固定ボルトの締緩操作により容易に着脱可能としている。したがって、例えば、形状や枚数等の異なる混合羽根を数種用意しておけば、攪拌・混合処理する混合材料に応じたものに適宜変更できて好適である。
【0018】
また、混合軸を回転駆動させる駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)を各混合軸6a、6bに対して個別に備えており、混合軸6a、6bの基端部に固着した従動スプロケット13a、13bと、駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)に備えた駆動スプロケット14a、14bとを駆動チェーン15にてそれぞれ連結している。
【0019】
16は各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の起動・停止や、回転方向、回転速度、回転時間等の各種回転動作を個別に制御可能とする、例えばインバータやPLC等を内蔵した制御装置であって、該制御装置16には、例えば、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから一つの混合パターンを選択可能とする操作部として、操作パネル17を備えている。
【0020】
操作パネル17には、図4に示すように、電源スイッチ18、非常停止スイッチ19と並んで、混合パターン選択スイッチ20−1、20−2、20−3、及び回転速度選択スイッチ21をそれぞれ配置している。そして、内蔵したPLCを操作して、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作を適当に組み合わせて、例えば図5に示すように、混合パターン1〜3を作成して登録しておき、これら各混合パターン1〜3をそれぞれ個別の選択スイッチ20−1、20−2、20−3に割り当てる。
【0021】
なお、これら各混合パターン1〜3は単なる一実施例に過ぎず、特にこれに限定されるものではなく、図5に記載した以外の組み合わせも適宜採用できる。また、登録させる混合パターンの個数も、特に必要がなければ2パターンに減らしたり、或いは汎用性を高めるために4パターン以上登録してもよく、その場合、それらを割り当てる選択スイッチの数を増減調整するとよい。
【0022】
そして、上記構成のミキサ1を使用して、例えば異種の粉体同士を攪拌・混合処理する場合には、混合槽3内に各混合材料を投入した後、必要に応じて回転速度選択スイッチ21を切り換え操作した上で、上記混合条件に適した、例えば混合パターン1が割り当てられた選択スイッチ20−1を選択操作する。すると、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)は選択された混合パターン1に従い、駆動モータ12a(モータA)は正転動作から始まって、その後、逆転、正転、…を繰り返す一方、駆動モータ12b(モータB)も同様に正転動作から始まって、その後、逆転、正転、…を繰り返し動作し、それに伴って回転する混合羽根8a、8bにて各混合材料(ここでは異種の粉体同士)は効率よくかつ好適に攪拌・混合処理されていく。
【0023】
こうして、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作が混合パターン1の最後まで達すると、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)は自動的に停止し、混合材料の攪拌・混合処理を終える。そして、作業員は混合槽3を傾倒させ、攪拌・混合処理を終えた混合物を排出させて回収し、次回混合材料の攪拌・混合処理に備える。
【0024】
一方、このミキサ1を使用して、例えば粉体と液体とを攪拌・混合処理する場合には、前記同様に、混合槽3内に各混合材料を投入した後、必要に応じて回転速度選択スイッチ21を切り換え操作した上で、上記混合条件に適した、例えば混合パターン2が割り当てられた選択スイッチ20−2を選択操作する。すると、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)は選択された混合パターン2に従い、駆動モータ12a(モータA)は正転動作から始まって、その後、逆転、正転、…を繰り返す一方、駆動モータ12b(モータB)は逆転動作から始まって、その後、正転、逆転、…を繰り返し動作し、それに伴って回転する混合羽根8a、8bにて各混合材料(ここでは粉体と液体)は効率よくかつ好適に攪拌・混合処理されていく。
【0025】
こうして、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作が混合パターン2の最後まで達すると、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)は自動的に停止し、混合材料の攪拌・混合処理を終える。そして、作業員は、前記同様に、混合槽3を傾倒させ、攪拌・混合処理を終えた混合物を排出させて回収し、次回混合材料の攪拌・混合処理に備える。
【0026】
このように、混合槽3の対向する側壁にそれぞれ備えた各混合軸6a、6bに対し、個別に駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)を備えると共に、制御装置16にて各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の回転動作を個別に制御可能としたので、各混合軸6a、6bをそれぞれ独立してかつ多様に回転制御させることが可能となり、種々の混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。
【0027】
また、制御装置16には、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを作成して登録し、これら複数の混合パターンから混合材料に適した混合パターンを選択する操作部として、操作パネル17を備えたので、取り扱いが極めて容易となってより一層汎用性の高いミキサとすることができる。
【0028】
なお、本実施例においては、制御装置16に登録する混合パターンとして、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の回転方向の組み合わせだけを設定項目としたが、例えば、回転速度等も設定項目に加えてもよい。また、本実施例では、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)の正転・逆転動作が混合パターンの最後まで達すると、各駆動モータ12a(モータA)、12b(モータB)は自動停止するが、何度もその混合パターンを繰り返すようにしてもよく、その場合、作業員が目視等で完了かどうかを判断し、完了と判断すれば電源スイッチ18をOFF操作すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る、ミキサの一実施例を示す一部切り欠き正面図である。
【図2】図1の一部切り欠き側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】操作パネルの説明図である。
【図5】混合パターンの登録例を説明する図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ミキサ 2…投入口
3…混合槽 5…架台
6a、6b…混合軸 8a、8b…混合羽根
12a、12b…駆動モータ 16…制御装置
17…操作パネル
20−1、20−2、20−3…混合パターン選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に混合材料の投入口を有した混合槽を備え、該混合槽の対向する側壁にそれぞれ混合軸を貫通させて回転自在に軸支し、混合槽内に突出した各混合軸の先端部には混合羽根を取り付けると共に、混合軸を回転駆動させる駆動モータを各混合軸に個別に備える一方、各駆動モータの回転動作を個別に制御する制御装置を備えたことを特徴とするミキサ。
【請求項2】
前記制御装置には、各駆動モータの正転・逆転動作の組み合わせから成る複数の混合パターンを登録し、これら複数の混合パターンから一つの混合パターンを選択する操作部を備えたことを特徴とする請求項1記載のミキサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−11952(P2009−11952A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177676(P2007−177676)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】