説明

ミキサ

【課題】 二双の混合胴より成る混合槽を採用しながら、多種多様な材料を攪拌・混合処理する場合でも容易にかつ柔軟に対応可能とした汎用性の高いミキサを提供する。
【解決手段】 二双の混合胴4a、4bより成る混合槽4の左右側壁5a、5bに、各混合胴4a、4bの略中心部を通すように四本の混合軸6a〜6dを貫通させ、これら各混合軸6a〜6dの基端部を混合槽4外部に備えた軸受7にて独立して回転自在に軸支する一方、混合槽7内に突出させた各混合軸6a〜6dの遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように構成した混合羽根9を取り付ける。また、混合軸回転駆動用の駆動モータ10a〜10dを各混合軸6a〜6d毎に個別に備え、各駆動モータ10a〜10dの駆動動作にて各混合軸6a〜6dをそれぞれ任意の速度で、かつ正転・逆転自在に回転可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合材料を攪拌・混合処理するミキサのうち、特に二双の混合胴より成る混合槽を有するミキサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1(特許第4012631号公報)に示されるように、上端部に材料投入口を、下端部に排出ゲートを有する略半円形状の二双の混合胴より成る混合槽を備え、該混合槽の対向する左右側壁間に平行かつ水平に配した一対の混合軸を掛け渡して回転自在に軸支すると共に、該混合軸には複数のアームを半径方向に固着し、かつ各アームの先端部にはそれぞれ混合羽根を取り付ける一方、各混合軸にはそれぞれ混合軸駆動用の駆動モータを備えて成る二軸式のミキサがある。
【0003】
前記二軸式ミキサでは、各混合軸のアーム先端部に取り付けた混合羽根の回転軌跡を二双の混合胴の中間位置で一部交錯させるように構成しており、これによって、混合槽内に投入した、例えば建設残土などの材料を効率よく流動させて効果的に攪拌・混合処理可能としている。このとき、各混合軸の混合羽根同士の干渉を避けるため、各混合軸を同調ギヤなどで同調させながら所定の速度でかつ一定方向に回転させるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4012631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のミキサにおいては、常に特定の材料を攪拌・混合処理するだけでなく、多種多様な材料の攪拌・混合処理にも柔軟に対応できる汎用性の高いミキサが求められる。しかしながら、前記のように、従来の二軸式ミキサでは二双の混合胴より成る混合槽内に掛け渡される一対の混合軸を互いに同調させながら所定速度でかつ一定方向のみへ回転させる構成としているため、混合パターンの自由度は小さくて柔軟性に乏しく、例え異なる材料を攪拌・混合処理しようとしても容易に対応することは難しい。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、二双の混合胴より成る混合槽を採用しながら、多種多様な材料を攪拌・混合処理する場合でも容易にかつ柔軟に対応可能とした汎用性の高いミキサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のミキサでは、上端部に材料投入口を、下端部に排出ゲートを有する二双の混合胴より成る混合槽を備え、該混合槽の対向する左右側壁には各混合胴の略中心部を通すように四本の混合軸を貫通させ、これら各混合軸の基端部を混合槽外部に備えた軸受にて独立して回転自在に軸支する一方、混合槽内に突出させた各混合軸の遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成した混合羽根を取り付けると共に、混合軸回転駆動用の駆動モータを備え、該駆動モータの駆動動作にて各混合軸をそれぞれ任意の速度で、かつ正転・逆転自在に回転可能に構成したことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載のミキサでは、前記混合羽根は、混合軸先端部から混合槽側壁に沿うように半径方向へ延伸したアーム部と、該アーム部の先端から軸方向へ折曲させて混合槽底壁に沿うようにかつ混合槽の軸方向中央部付近まで延伸したブレード部とから成る略L字形状の羽根であることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載のミキサでは、前記混合軸回転駆動用の駆動モータを四本の混合軸に対して個別に備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載のミキサでは、前記混合軸回転駆動用の駆動モータを混合槽の左右側部に一基ずつ備え、各駆動モータの駆動力を隣り合う二本の混合軸に伝達する伝達手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載のミキサによれば、上端部に材料投入口を、下端部に排出ゲートを有する二双の混合胴より成る混合槽を備え、該混合槽の対向する左右側壁には各混合胴の略中心部を通すように四本の混合軸を貫通させ、これら各混合軸の基端部を混合槽外部に備えた軸受にて独立して回転自在に軸支する一方、混合槽内に突出させた各混合軸の遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成した混合羽根を取り付けると共に、混合軸回転駆動用の駆動モータを備え、該駆動モータの駆動動作にて各混合軸をそれぞれ任意の速度で、かつ正転・逆転自在に回転可能に構成したので、混合槽内に臨ませた四本の混合軸をそれぞれ独立してかつ多様に回転させることが可能となり、多種多様な混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。
【0012】
また、請求項2記載のミキサによれば、前記混合羽根は、混合軸先端部から混合槽側壁に沿うように半径方向へ延伸したアーム部と、該アーム部の先端から軸方向へ折曲させて混合槽底壁に沿うようにかつ混合槽の軸方向中央部付近まで延伸したブレード部とから成る略L字形状の羽根であるので、シンプルな羽根構造ながら混合槽内壁に付着する材料をきれいに掻き取って好適に攪拌・混合処理でき、メンテナンス性の向上が期待できる。
【0013】
また、請求項3記載のミキサによれば、前記混合軸回転駆動用の駆動モータを四本の混合軸に対して個別に備えたので、各駆動モータを個別に制御することにより各混合軸をそれぞれ独立して多様に回転させることができる。
【0014】
また、請求項4記載のミキサによれば、前記混合軸回転駆動用の駆動モータを混合槽の左右側部に一基ずつ備え、各駆動モータの駆動力を隣り合う二本の混合軸に伝達する伝達手段を備えたので、装置コストを抑えることができると共に、各混合軸への伝達手段を個別に調整することにより各混合軸をそれぞれ独立して多様に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る、ミキサの一実施例を示す一部切り欠き正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】ミキサの別の実施例を示す図3に相当する図である。
【図5】駆動モータの駆動力を隣り合う二本の混合軸に伝達する伝達手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るミキサにあっては、上端部に材料投入口を、下端部に排出ゲートを開閉自在に設けた二双の混合胴より成る混合槽を備え、該混合槽の対向する左右側壁には各混合胴の略中心部を通すように四本の混合軸を貫通させ、これら各混合軸の基端部を混合槽外部に備えた軸受にて回転自在に軸支している一方、混合槽内に突出させた各混合軸の遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成した混合羽根を取り付けている。
【0017】
前記混合羽根は、例えば、混合軸先端部から混合槽側壁に沿うように半径方向へ延伸したアーム部と、該アーム部の先端から軸方向へ折曲させて混合槽底壁に沿うように、かつ混合槽の軸方向中央部付近まで延伸したブレード部とから成る略L字形状の羽根であり、混合槽内に若干突出させた混合軸の先端部に一対の前記混合羽根を軸に対して対称位置に取り付けており、ごくシンプルな羽根構造としながらも混合槽内壁に付着する材料をきれいに掻き取って好適に攪拌・混合処理でき、メンテナンス性に優れたものとしている。また、混合軸を回転駆動させる駆動モータを四本の混合軸に対して個別に備えており、各駆動モータを個別に制御することにより各混合軸をそれぞれ独立して、任意の速度でかつ正転・逆転自在に回転可能に構成している。
【0018】
そして、前記ミキサにて混合材料を攪拌・混合処理するときには、先ず、混合材料の種類や性状などに応じて適当な混合パターンを決定し、例えばミキサ操作用の操作盤などに予め設定登録する。前記混合パターンとしては、例えば、4本の混合軸をそれぞれ異なる速度で回転させたり、その一部を途中で変速させたり、或いは同一方向へ回転させたり、その一部を途中で逆回転させたりするなど多様なパターンが考えられるが、予め混合材料を試験的に攪拌・混合処理するなどして適当な混合パターンを見極めてから決定するとよい。
【0019】
このとき、各混合軸に取り付けた混合羽根は、隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成しており、羽根同士が回転中に干渉しあうということがないため、各混合軸を同調させたり、回転方向を一定に維持させるような必要はなく、何ら制約なく自由に適当な混合パターンを選択・決定することができる。そして、適当な混合パターンが決定すれば混合槽内に所定量の混合材料を投入する一方、決定した混合パターンに基づいて四本の混合軸の各駆動モータを駆動動作させ、各混合軸、混合羽根をそれぞれ所望の速度・方向へ回転させ、前記混合材料を効果的に攪拌・混合処理していく。
【0020】
このように、二双の混合胴より成る混合槽の対向する左右側壁に各混合胴の略中心部を通すように四本の混合軸を貫通させ、混合槽内に突出した四本の混合軸の遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成した混合羽根を取り付けると共に、混合軸回転駆動用の駆動モータを四本の混合軸に対して個別に備えたので、各混合軸をそれぞれ任意の速度にて、かつ正転・逆転自在に回転駆動させることが可能となり、多種多様な混合材料を攪拌・混合処理する場合にも容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。また、各混合軸を上記構成とすることにより、従来の二軸式ミキサにおいて混合槽内に掛け渡される大径の混合軸をなくせ、それによって混合材料の付着を低減できてメンテナンス性の向上が期待できる。
【0021】
なお、混合軸回転駆動用の駆動モータを各混合軸に対して個別に備え付けず、混合槽の左右側部に一基ずつ備えて、各駆動モータの駆動力をチェーンやスプロケットなどの伝達手段にて隣り合う二本の混合軸に伝達させるようにすれば、駆動モータを二基に減らせて装置コストを抑えることができる。この場合、各混合軸の回転制御は、四本の混合軸をそれぞれ個別の駆動モータにて回転制御させる場合と比較して自由度が若干低下するものの、材料に応じて予めチェーンの掛け方やギヤ比などを各混合軸毎に個別に調整しておくことにより、各混合軸を所望の回転速度、回転方向にて回転させることが可能となり、多種多様な混合材料に対しても十分に対応させることができ、低廉で実用性の高いミキサとすることができる。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の一実施例を図1〜図3に基づいて説明する。
【0023】
図中の1は、本発明に係るミキサであって、上端部に混合材料の投入口2を、下端部にダンパー式の排出ゲート3を開閉自在に設けた二双の混合胴4a、4bより成る混合槽4を備えていると共に、該混合槽4の対向する左右側壁5a、5bには各混合胴4a、4bの略中心部を通すように四本の混合軸6a、6b、6c、6dを貫通させ、これら各混合軸6a〜6dの基端部を混合槽4外部に備えた軸受7にてそれぞれ独立して回転自在に軸支している一方、混合槽4内に若干突出させた各混合軸6a〜6dの遊端部には半径方向へ延伸した一対の羽根固定アーム8を軸に対して対称位置に固着している。なお、前記のように各混合軸6a〜6dを軸受7にて軸支せずに、後述する駆動モータ10a〜10dの減速機11a〜11dにて直接支持するようにしてもよく、その場合にはミキササイズのコンパクト化が図れる。
【0024】
図中の9は混合羽根であって、混合軸6a〜6dの遊端部位置から混合槽4の側壁5a、5bに沿うように半径方向へ延伸したアーム部9aと、該アーム部9aの先端から軸方向へ折曲させて混合槽4底壁に沿うように、かつ混合槽4の軸方向中央部付近まで延伸したブレード部9bとから成る略L字形状に形成し、この混合羽根9のアーム部9aを各混合軸6a〜6dに固着した前記羽根固定アーム8にボルトなどにて着脱自在に取り付けており、各混合軸6a〜6dを回転させたときに生じる各混合羽根9の回転軌跡は、図面からも分かるように、前後・左右に隣り合う何れの混合羽根6a〜6dの回転軌跡とも交錯することのない構成としている。
【0025】
なお、本実施例においては、各混合軸6a〜6dに取り付ける混合羽根9として、シンプルな羽根構造ながらも混合槽4内壁に付着する材料をきれいに掻き取りながら好適に攪拌・混合処理するのに適した略L字形状のものを採用しているが、例えば、これ以外にもすり潰しや造粒処理などに適した形状の混合羽根を幾つか用意しておき、処理目的に応じて適当な羽根に適宜付け替えるようにしてもよい。このとき、付け替え用に用意する混合羽根は処理に応じた適当な形状のものを採用するとよいが、少なくとも羽根回転時の回転軌跡が前後・左右に隣り合う何れの混合羽根の回転軌跡とも交錯しないような形状とする。また、上記実施例では、各混合軸6a〜6dの遊端部に羽根固定アーム8を固着し、該羽根固定アーム8を介して混合羽根9を混合軸6a〜6dに取り付けるようにしたが、混合軸6a〜6d先端部に混合羽根9のアーム部9a基端を直接取り付けるようにしてもよい。
【0026】
また、混合軸6a〜6dを回転駆動させる駆動モータ10a〜10dを減速機11a〜11bを介して各混合軸6a〜6dに対して個別に備えており、各駆動モータ6a〜6dの駆動動作にて各混合軸6a〜6dをそれぞれ任意の速度で、かつ正転・逆転自在に回転可能に構成している。また、ミキサ1を操作・制御する操作盤(図示せず)などには、混合材料の種類や性状などに応じて適当な混合パターン(例えば、各混合軸6a〜6dをそれぞれ任意の速度で回転させたり、その一部または全部を適宜タイミングで加減速させたり、或いは全部を同一方向へ回転させたり、その一部または全部を適宜タイミングで逆回転させたりするなど)を数パターン設定登録可能としており、この登録した混合パターンから任意の混合パターンを選択操作することで各混合軸6a〜6dの混合羽根9を所望の回転動作にて回転させられるようにしている。
【0027】
そして、上記構成のミキサ1にて各種混合材料を攪拌・混合処理するときには、先ず、混合材料の種類や性状などに応じて適当な攪拌・混合処理が行えるように、予め試験的に攪拌・混合処理するなどして適当な混合パターンを見極め、その混合パターンを操作盤などに予め設定登録しておく。このとき、従来の二軸式ミキサなどであれば隣り合う混合軸の混合羽根の回転軌跡は互いに交錯するように構成されており、上記のように、各混合軸を同調させずに異なる速度で回転させたり、一方だけを任意のタイミングで逆回転させたりなどの回転動作を行うことは難しいが、上記構成のミキサ1であれば、各混合軸6a〜6dに取り付けられる混合羽根9の回転軌跡は互いに交錯しない構成としているため、各混合羽根9が回転中に干渉しあうことはなく、各混合軸6a〜6dを何ら制約なく自由に回転させることが可能となり、多様な混合パターンから適当な混合パターンを選択・決定することができる。
【0028】
そして、適当な混合パターンが決定すれば混合槽4内に所定量の混合材料を投入する一方、決定した混合パターンに基づいて各駆動モータ10a〜10dを運転させて各混合軸6a〜6d、混合羽根9をそれぞれ所望の速度・方向へ回転させて(混合パターンによっては、任意のタイミングで加減速させたり、逆回転させたりして)、混合材料を効果的に攪拌・混合処理していく。そして、混合処理を終えれば排出ゲート3を開放して混合槽4から混合物を排出し、必要に応じて次バッチの攪拌・混合処理に備える。
【0029】
このように、混合槽内に備える各混合軸の混合羽根を、隣り合う互いの回転軌跡が交錯しない構成とすると共に、各混合軸に対して個別に駆動モータを備えたので、各混合軸をそれぞれ任意の速度で、かつ任意の方向に回転させることが可能となり、多種多様な混合材料を攪拌・混合処理する場合においても容易にかつ柔軟に対応可能な汎用性の高いミキサとすることができる。
【実施例2】
【0030】
また、図4〜図5は本発明の第二の実施例のミキサを示すものであり、図4〜図5中に示される第一の実施例と同じ部位に相当する部分には同じ番号を付して説明は省略する。
【0031】
本実施例のミキサ1´では、四本の各混合軸6a〜6dを回転駆動させる駆動モータ6e、6fを混合槽4の左右側部に一基ずつだけ備えていると共に、各駆動モータ10e、10fの駆動力を、減速機11e、11f出力側に備えた駆動スプロケット12e、12fや、従動スプロケット13a、13b、13c、13d、チェーン14などの伝達手段を介して、隣り合う二本の混合軸6a、6b、及び6c、6dに伝達するように構成している。
【0032】
このとき、二基の駆動モータ10e、10fによる各混合軸6a〜6dの回転制御は、実施例1のような四基の駆動モータ10a〜10dにて個別に回転制御させる場合と比較して自由度が若干低下するものの、伝達手段であるチェーン14の掛け方やスプロケットのギヤ比などを個別に調整することにより、各混合軸6a〜6dをある程度所望の回転速度、回転方向にて回転させることができる。
【0033】
図5は、駆動モータ10e(10f)の駆動力を隣り合う二本の混合軸6a、6b(6c、6d)に伝達する伝達手段を説明する図であり、例えば、隣り合う混合軸6a、6b(6c、6d)を同じ方向へ回転させる場合には、予めこれら各混合軸6a、6b(6c、6d)に備えた従動スプロケット13a、13b(13c、13d)と、駆動モータ10e(10f)に直結した駆動スプロケット12e(12f)とを、図中の(a)に示すようにチェーン14にて巻回し、図中(a)の矢印にて示すように各従動スプロケット13a、13b(13c、13d)を同じ方向へ回転させて各混合軸6a、6b(6c、6d)を同じ方向へ回転させるようにする。
【0034】
一方、隣り合う混合軸6a、6b(6c、6d)を逆回転させる場合には、予めこれら各従動スプロケット13a、13b(13c、13d)と駆動スプロケット12e(12f)とを、図中の(b)に示すように、途中にアイドラー15を介してチェーン14にて巻回し、図中(b)の矢印にて示すように各従動スプロケット13a、13b(13c、13d)を逆方向へ回転させて各混合軸6a、6b(6c、6d)を逆方向へ回転させるようにする。
【0035】
また、隣り合う二本の混合軸6a、6b(6c、6d)をそれぞれ異なる速度で回転させる場合には、特に図示はしないが、例えば、各混合軸6a、6b(6c、6d)に備えた従動スプロケット13a、13b(13c、13d)のギヤ比に適当に差を設けるなどしてそれぞれを所望の回転速度にて回転させるように調整する。
【0036】
そして、上記構成のミキサ1´にて各種混合材料を攪拌・混合処理するときには、先ず、混合材料の種類や性状などに応じて適当な攪拌・混合処理が行えるように、予め試験的に攪拌・混合処理するなどして適当な混合パターンを見極め、その混合パターンを行えるように、各駆動モータ10e、10fの駆動力を各混合軸6a〜6dへ伝達させる伝達手段である、駆動スプロケット12e、12f、従動スプロケット13a、13b、13c、13d、チェーン14などを個別に調整しておく。このとき、上記構成のミキサ1´においても、実施例1のミキサ1と同様に、各混合軸6a〜6dに取り付けられる混合羽根9の回転軌跡は互いに交錯しない構成としているため、各混合羽根9が回転中に干渉しあうことはなく、各混合軸6a〜6dを何ら制約なく自由に回転させることが可能となり、多様な混合パターンから適当な混合パターンを選択・決定することができる。
【0037】
そして、適当な混合パターンが決定すれば混合槽4内に所定量の混合材料を投入する一方、決定した混合パターンに基づいて各駆動モータ10e、10fを運転させて各混合軸6a〜6d、混合羽根9をそれぞれ所望の速度・方向へ回転させて、混合材料を効果的に攪拌・混合処理していく。そして、混合処理を終えれば排出ゲート3を開放して混合槽4から混合物を排出し、必要に応じて次バッチの攪拌・混合処理に備える。
【0038】
このように、駆動モータを混合槽の左右側部に一基ずつだけ備えて、各駆動モータの駆動力をチェーンやスプロケットなどの伝達手段にて隣り合う二本の混合軸に伝達させるようにしたので、装置コストを低減させることができる。この場合、各混合軸の回転制御は、四本の混合軸に個別に駆動モータを備えてそれぞれの駆動モータにて独立して回転制御させる場合と比較して自由度が若干低下するものの、チェーンの掛け方やギヤ比などを各混合軸毎に個別に調整するようにすれば、各混合軸をある程度所望の回転速度、回転方向にて回転させることが可能となり、多種多様な混合材料に対しても十分に対応させることができ、低廉で実用性の高いミキサとすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1、1´…ミキサ 2…投入口
3…排出ゲート 4…混合槽
5a、5b…側壁(混合槽) 6a、6b、6c、6d…混合軸
9…混合羽根
9a…アーム部(混合羽根) 9b…ブレード部(混合羽根)
10a、10b、10c、10d、10e、10f…駆動モータ
12e、12f…駆動スプロケット
13a、13b、13c、13d…従動スプロケット
14…チェーン 15…アイドラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に材料投入口を、下端部に排出ゲートを有する二双の混合胴より成る混合槽を備え、該混合槽の対向する左右側壁には各混合胴の略中心部を通すように四本の混合軸を貫通させ、これら各混合軸の基端部を混合槽外部に備えた軸受にて独立して回転自在に軸支する一方、混合槽内に突出させた各混合軸の遊端部には隣り合う互いの回転軌跡が交錯しないように形成した混合羽根を取り付けると共に、混合軸回転駆動用の駆動モータを備え、該駆動モータの駆動動作にて各混合軸をそれぞれ任意の速度で、かつ正転・逆転自在に回転可能に構成したことを特徴とするミキサ。
【請求項2】
前記混合羽根は、混合軸先端部から混合槽側壁に沿うように半径方向へ延伸したアーム部と、該アーム部の先端から軸方向へ折曲させて混合槽底壁に沿うようにかつ混合槽の軸方向中央部付近まで延伸したブレード部とから成る略L字形状の羽根であることを特徴とする請求項1記載のミキサ。
【請求項3】
前記混合軸回転駆動用の駆動モータを四本の混合軸に対して個別に備えたことを特徴とする請求項1または2記載のミキサ。
【請求項4】
前記混合軸回転駆動用の駆動モータを混合槽の左右側部に一基ずつ備え、各駆動モータの駆動力を隣り合う二本の混合軸に伝達する伝達手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のミキサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−36775(P2011−36775A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185432(P2009−185432)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】