説明

ミキシング装置

【課題】本発明は、ミキシング装置に関し、従来のミキシングバケットにおいて、地盤改良の際、バケット用の掘削を予め行わなければならないと言う手間が掛かっていることが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台2と、該基台2に固定される駆動装置3と、該駆動装置3の駆動軸に垂設される土砂混合用のスクリュウ4とからなるミキシング装置1とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走行機のアーム先端に取り付けられ地盤を掘削するミキシング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミキシングバケットは、図9(A),(B),(C)に示すように、自走機20のアーム21の先端部に、爪22付きのバケット23において縦型のミキシング用スクリュー24を有したものを取り付けたものが知られている(特許文献1参照)。前記スクリュー24は、上部に連結されている駆動モーター24aによって所要方向に回転駆動されるものである。このバケット23により、図9(D)に示すように、地盤25を改良する場合に、予め掘削用の穴25aを、前記バケット23の大きさ合わせてショベル機械などで掘削する。この穴25aに前記ミキシングバケット23を挿入し、駆動モーター24aを駆動させて、進行方向にアーム21でミキシングバケット23を矢印方向に移動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−17683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のミキシングバケットでは、前記掘削用の穴25aを予めパワーショベル等で掘削する必要がある。これでは手間が掛かり、地盤の任意の位置に直ちにミキシング工事を実施することができない。また、従来のアースオーガでは地中深く掘削してセメントミルク等を注入しながら行うことで、ソイルセメント柱体を形成するものであって大形であり、簡易に自走機のアームに取り付けて地盤改良作業できるものではない。本発明に係るミキシング装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るミキシング装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台と、該基台に固定される駆動装置と、該駆動装置の駆動軸に垂設される土砂混合用のスクリュウとからなることである。
また、ミキシング装置の要旨は、自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台と、該基台に固定される駆動装置と、該駆動装置の駆動軸により駆動伝達部材を介して回転駆動され前記基台に支持される回転駆動部材と、該回転駆動部材の中心部を摺動自在に貫通する回転軸と、該回転軸の下方側に設けられるスクリュウと、前記回転軸の上部に固定された昇降部材と、該昇降部材を前記基台に対して昇降させる駆動源であって前記基台に立設された昇降装置とからなることである。
【0006】
前記昇降装置は、昇降部材と基台とに繋着されたロープと、回転軸と前記ロープの基台側繋着部との間に立設されもので伸縮するロッドの先端部に前記ロープが巻き付き回転するローラを有する駆動シリンダとでなることを含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のミキシング装置によれば、図1(A)〜(C)に示すように、地盤改良部分aをスポット的に行いたいときに、最小のスペースで地盤を穿孔することができる。従来のような先にバケットを入れるための穴用の掘削工事を行う必要が無くなり、手間が省けて工期も短縮されコスト低減となる。
更に、掘削する深度を深くしたければ、昇降装置によりスクリュを昇降させて、掘削の深度を調節することができる。この昇降装置を、基台と昇降部材との間に位置する伸縮ロッドでロープの中間部を昇降させることで、当該ロッドの昇降量に対して前記スクリュをその2倍の昇降量で昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るミキシング装置1の使用状態を示す説明図(A),(B)と、地盤25にスポット的に地盤改良部分aを形成する場合を示す平面図である。
【図2】同本発明のミキシング装置1aで、スクリュウドライバが単列の場合における正面図(A)と側面図(B)とである。
【図3】同本発明のミキシング装置1bで、スクリュウドライバが複列の場合における正面図(A)と側面図(B)とである。
【図4】同本発明のミキシング装置1cで、スクリュウドライバが4列の場合における正面図(A)と側面図(B)とである。
【図5】第2実施例に係る、昇降装置を取り付けたミキシング装置1dの正面図(A)と、その一部拡大図(B)とである。
【図6】同ミキシング装置1dの降下状態を示す正面図である。
【図7】同ミキシング装置1dの平面図である。
【図8】同ミキシング装置1dにおける昇降部材12の平面図(A)と側面図(B)とである。
【図9】従来例に係るミキシング装置を説明する、走行機20の斜視図(A)と、バケット23の正面図(B)と、その側面図(C)と、使用状態の断面図(D)とである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るミキシング装置1は、図1に示すように、自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台と、該基台に固定される駆動装置と、該駆動装置の駆動軸に垂設される土砂混合用のスクリュウとから構成するものである。更に、前記スクリュウの軸部における先端部から、混合用のセメントミルクが吐出されるようになっているものである。
【実施例1】
【0010】
本発明に係るミキシング装置1は、図2に示すように、自走機のアーム先端部に着脱自在に取付孔2aを介して取り付けられる基台2と、該基台2に固定される例えば油圧モーターである駆動装置3と、該駆動装置3の駆動軸に垂設される土砂混合用のスクリュウ4とから構成されている。
【0011】
前記駆動装置3は、スイベルジョイント3aを介して高圧油が供給されるものである。また、前記スクリュウ4は、その軸4aに螺旋翼4bが設けられており、更に、前記スクリュウ軸4aの先端部4cから、混合用のセメントミルクが吐出されるようになっている。
【0012】
前記ミキシング装置1は、スクリュウ4が単列の場合の実施例であるが、図3に示すように、複列にする場合があり、図4に示すように、4列にスクリュウ4を揃える場合もある。
【0013】
このようなミキシング装置1,1a,1b,…により、図1(A),(B)に示すように、地盤改良部分aをセメントミルクを吐出しながら、スポット的に直ちに施工することができる。バケット部分が存在しないので、予め、バケット用の掘削を行う必要がない。また、区画された容器7の場合でも同様に施工が可能である。
【実施例2】
【0014】
図5(A),(B)に示すように、ミキシング装置として、スクリュウ4を上下方向に昇降させるようにしたものが提案される。このミキシング装置1dは、自走機のアーム先端部21aに着脱自在に取り付けられる基台8と、該基台8の水平部8aに固定される駆動装置3と、該駆動装置3の駆動軸により駆動伝達部材9を介して回転駆動され前記基台8に支持される回転駆動部材10a,10bと、該回転駆動部材10a,10bの中心部を摺動自在に貫通する回転軸10cと、該回転軸10cの下方側に設けられるスクリュウ4と、前記回転軸10cの上部に固定された昇降部材12と、該昇降部材12を前記基台8に対して昇降させる駆動源であって前記基台8に立設された昇降装置13とからなるものである。
【0015】
前記駆動伝達部材9は、ピニオンギアによって構成され、前記回転駆動部材10a,10bは、前記駆動伝達部材9に歯合する上段ギア10aと、下段ギア10bとである。この実施例では、図7に示すように、4本の角シャフトである回転軸10cがあり、下側の振れ止め部材11を介して4個のスクリュウ4が一体に設けられている。
【0016】
前記回転軸10cの上部には図5(B)に示すように、昇降部材12の軸受け12aに挿通されたネジ部10dに、ナット10eが螺着され締結される。
【0017】
前記昇降装置13は、昇降部材12と基台8の水平部8aとに繋着されたロープ14と、回転軸10cと前記ロープ14の基台8との繋着部14a,14bとの間に立設されもので伸縮するロッド13aの先端部に前記ロープ14が巻き付き回転するローラ15を有する駆動シリンダ13bとでなるものである。
【0018】
このような昇降装置13によって、前記スクリュウ4が、図5(A)、図6に示すように、基台8の水平部8aに対して上下方向に昇降させることができて、地盤25に穿孔する地盤改良部分aの深さを変化させることができる。この昇降装置13によれば、ロッド13aを上下させると、支点の長さが2倍相違することで、その上下量の2倍の上下量を回転軸10c及びスクリュウ4が移動するものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
このようなミキシング装置1で在れば、スポット的に地盤改良が可能であり、これに限らず、地盤などの孔開けや液体の混練装置として応用することも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1,1a,1b,1c,1d ミキシング装置、
2 基台、 2a 取付孔、
3 駆動装置、 3a スイベルジョイント、
4 スクリュウ、 4a 軸、
4b 螺旋翼、 4c 先端部、
5 基台、 5a 取付孔、
6 基台、 6a 取付孔、
7 容器、
8 基台、 8a 水平部、
9 駆動伝達部材、
10a,10b 回転駆動部材(上段ギア、下段ギア)、
10c 回転軸、 10d ネジ部、
10e ナット、
11 振れ止め部材、
12 昇降部材、 12a 軸受け、
13 昇降装置、 13a ロッド、
13b 駆動シリンダ、
14 ロープ、
14a,14b 繋着部、
15 ローラ、
21 アーム、 21a 先端部、
25 地盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台と、該基台に固定される駆動装置と、該駆動装置の駆動軸に垂設される土砂混合用のスクリュウとからなること、
を特徴とするミキシング装置。
【請求項2】
自走機のアーム先端部に着脱自在に取り付けられる基台と、該基台に固定される駆動装置と、該駆動装置の駆動軸により駆動伝達部材を介して回転駆動され前記基台に支持される回転駆動部材と、該回転駆動部材の中心部を摺動自在に貫通する回転軸と、該回転軸の下方側に設けられるスクリュウと、前記回転軸の上部に固定された昇降部材と、該昇降部材を前記基台に対して昇降させる駆動源であって前記基台に立設された昇降装置とからなること、
を特徴とするミキシング装置。
【請求項3】
昇降装置は、昇降部材と基台とに繋着されたロープと、回転軸と前記ロープの基台側繋着部との間に立設されもので伸縮するロッドの先端部に前記ロープが巻き付き回転するローラを有する駆動シリンダとでなること、
を特徴とする請求項2に記載のミキシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−180544(P2010−180544A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22495(P2009−22495)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(591075777)
【Fターム(参考)】