説明

ミクロトームのナイフホルダのための、ミクロトーム刃部交換装置、及びミクロトーム

【課題】刃部の交換プロセスにおいて、操作者が怪我をするリスクを大幅に少なくし、できるだけ簡単で高信頼性の操作が可能となり、しかも廉価に製造することの可能な、刃部交換装置及びミクロトームを提供する。
【解決手段】ミクロトームのナイフホルダ(1)のためのミクロトーム刃部交換装置に関する。刃部交換装置は、刃部ディスペンサ(4)及び刃部リザーバ(5)を有する。刃部ディスペンサ(4)中には、複数の刃部が収納される。刃部リザーバ(5)は、使用済みの刃部を受け入れる。刃部ディスペンサ(4)及び刃部リザーバ(5)は、それぞれナイフホルダ(1)に隣接して配されている。本発明のミクロトームは、更に、刃部交換装置を備える。即ち、操作者の手動により操作の可能な連行部材(13)が備えられ、該連行部材(13)によって、一の刃部を刃部ディスペンサ(4)からナイフホルダ(1)に移送することができ、それにより一の使用済みの刃部を刃部リザーバ(5)に移行させることができるように、該連行部材が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロトームのナイフホルダのための、ミクロトーム刃部交換装置に関する。ミクロトーム刃部交換装置は、刃部ディスペンサ及び刃部リザーバを備えている。刃部ディスペンサには、複数の刃部(ないしブレード)が収納されている。刃部ディスペンサ中の刃部は、未使用のもので、切断工程においてミクロトームと共に使用される。刃部リザーバは、使用済みの刃部を受け入れたり集めて置いたりするために使用される。刃部ディスペンサと刃部リザーバは、ナイフホルダの近傍と、切断操作中の刃部の位置(刃部位置)の近傍とに、それぞれ配される。本発明はまた、ミクロトーム刃部交換装置を備えたミクロトームに関する。
【背景技術】
【0002】
この用途のための刃部は、一回使用の薄い刃部(ブレード)であり、ミクロトームのナイフホルダ中にクランプないし固定され、使用後は使い捨てされる。未使用の刃部は、例えばDE20111599U1、DE2852373C2、USP4700600又は特開2000−062869号公報に図示され記載されているように刃部ディスペンサの内部に位置させることができる。刃部は刃部ディスペンサから刃部リザーバ又はナイフホルダの収納部内に直接移送することができる。使用済みの刃部は、例えばDE2852373C2に記載されているように、ディスペンサ内部の隔室又は刃部リザーバの内部に集めてもよい。
【特許文献1】DE20111599U1
【特許文献2】DE2852373C2
【特許文献3】USP4700600
【特許文献4】特開2000−062869号公報
【特許文献5】DE102004051974A1
【特許文献6】DE60108952T2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以下の分析は、本発明によって与えられる。
刃部は、刃部リザーバ中に移送した際に把持する必要があるため、操作者が怪我をする恐れがある。また使用済みの刃部は汚染物質で汚染されていることが多いため、操作者は、健康上のリスクにも曝される。
【0004】
刃部の取り出し装置を備えた、刃部のためのナイフホルダは、DE102004051974A1により公知となっている。刃部は確かに切断位置から確実に取り出せるが、刃部を把持する必要があることに変わりはない。
【0005】
自動式の刃部交換装置を備えた、一回使用の刃部のためのナイフホルダは、DE60108952T2により公知となっている。そのために、刃部ディスペンサがナイフホルダに取付けてあり、その刃部ディスペンサから一枚の刃部を自動的に押し出し、切断位置に移送することができる。その際に使用済みの刃部は、新しく供給された刃部によって、切断域から押し出され、廃棄品パトローネ(即ち刃部リザーバ)に集められる。供給装置全体は、電動式に駆動されるため、対応して高価となる上に、故障し易くなる。
【0006】
従って、本発明の課題は、刃部の交換プロセスにおいて、操作者が怪我をするリスクを大幅に少なくし、できるだけ簡単で高信頼性の操作が可能となり、しかも廉価に製造することの可能な、冒頭に述べた形式の刃部交換装置及びミクロトームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明によれば、冒頭に述べた形式のものにおいて、請求項1の特徴を備えたミクロトーム刃部交換装置によって解決される。即ち、本発明によるミクロトーム刃部交換装置は、操作者の手動により操作の可能な連行部材が備えられ、該連行部材によって、一の刃部を刃部ディスペンサからナイフホルダに移送することができ、それにより一の使用済みの刃部をナイフホルダから刃部リザーバに移行させることができることを特徴とし、さらに該連行部材が、ナイフホルダの係止ロッドに配され、該連行部材が、ナイフホルダの係止ロッドと共に、所定の方向に沿った刃部の連行移動のために移動可能となるように、該連行部材を構成したことを特徴とする。(基本構成、形態1)
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示された形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基本構成(形態1)により、刃部の交換プロセスにおいて、操作者が怪我をするリスクを大幅に少なくし、できるだけ簡単で高信頼性の操作が可能となり、しかも廉価に製造すること、が可能となる。さらに、各従属請求項(展開形態)により、それぞれ付加的な効果が達成される(以下の全記載参照)。
【0009】
ミクロトーム刃部交換装置は、手動操作可能に構成した場合に、特に高信頼度で作動しうることが、本発明により、第一に認識された。これにより、−少なくともミクロトーム刃部交換装置に関連したミクロトームの部分について−電動式の駆動装置及びそのために備えられる制御ユニットが不要になり、それによってミクロトーム刃部交換装置及びミクロトームの製造コストを下げることが可能となる。特に切断チップが、電動式の駆動装置又は(設けられることのある)変速歯車装置又は伝動装置に付着してその作動を妨げ、結局それを損傷させることがなくなる。更に好ましい点としては、刃部交換プロセスにおいて操作者が刃部に触れることを必要としないため、操作者が刃部交換プロセスにおいて怪我をするおそれが、完全にではなくとも大幅に減少することが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において以下の展開形態が可能である。
連行部材が、少なくとも一の案内エレメントを介して、連行移動のために案内されること、好ましくは案内エレメントが少なくとも一の載置面及び/又は滑走(スライド)面を備えることができる。(形態2)
連行部材がミクロトームのあるハウジング部分に沿って移動可能とすること、及び/又は連行部材がレバーにより操作可能とすることができる。(形態3)
係止ロッドが、刃部のエッジにほぼ平行に配向されたその長手方向軸線の方向に沿って移動可能に配することができる。(形態4)
係止ロッドが連行部材及び/又はミクロトームのハウジングに対し回動可能とすることができる。(形態5)
一の刃部がナイフホルダ中に固定され得るように、ナイフホルダのロック機構が係止ロッドによって作動可能とされ、及び/又はナイフホルダの押圧板が係止ロッドによって対抗受け部材に押付けられることができる。(形態6)
係止ロッドが偏心域を有し、該偏心域が、係止ロッドの回動に際し係止及び係止解除のために押圧板の固定用部分と共働(連携作用)することができる。(形態7)
連行部材の一の領域が、刃部ディスペンサ中にある刃部と係合可能とされ、刃部ディスペンサからナイフホルダに移送されるようにすることができる。(形態8)
連行部材が電動式でなく操作者の手動のみによって操作され得ることが好ましい。(形態9)
上述のミクロトーム刃部交換装置を備えたことを特徴とするミクロトーム、特にスライダないしキャリッジ式、回転式又はディスク式ミクロトームが提供される。(形態10)
【0011】
本発明の好ましい展開態様によれば、連行部材は、少なくとも一の案内エレメントを介して、その連行移動のために案内される。案内エレメントは、そのために、少なくとも一のロッド及び(又は)少なくとも一の滑走面及び/又は少なくとも一の載置面を備えていてもよい。該ロッドは、位置固定させてハウジングに取付け、連行部材がロッドに対し相対的に移動するようにしてもよい。またロッドが、連行移動の際に、連行部材と共に移動するようにしてもよい。この場合、ロッドは、ある一のハウジング部分によって、適宜案内されないし支承されるようにしてもよい。
【0012】
連行部材は、位置固定させて配されたロッド及び/又はミクロトームのある一のハウジング部分に沿って移動可能としてよく、その際に、操作者は、連行部材に配されたレバーによって連行部材を操作し、また移動させるようにしてもよい。
【0013】
特に好ましい実施態様によれば、連行部材は、その長手方向軸線の方向に沿って移動可能としたロッドに設けられている。この移動方向は、ナイフホルダ中にクランプした刃部の刃縁(エッジ)とほぼ平行に配向されている。ロッドは、その移動を行わせるために、一のハウジング部分によって、適宜案内されないし支承されるようにしてもよい。少なくとも一の玉軸受(ボールベアリング)又は少なくとも一の滑り軸受をそのために用いてもよい。それにより連行部材は、基本的に、(前記ロッドの長手方向に対して)ある固定された位置において、該ロッドに取付けることができる。それにより、連行部材は、その長手軸線方向に操作者によって該ロッドと共に移動される。連行部材は、それに対応して、刃部ディスペンサから刃部リザーバに向かって移動される。前記ロッドの移動は、ミクロトームの前記ハウジング部分に設けることの可能な軸受ないしガイドによって案内されるようにしてもよい。
【0014】
具体的に、連行部材は、ほぼ直線状の運動を行うようになっている。この運動は、一例として、直線状のロッド及び/又はほぼ扁平な載置面ないし摺動(スライド)面によって可能となる。しかし円弧または曲線に沿って連行部材を移動させることも基本的には可能であり、その場合には、対応した案内手段が連行部材のために用意される。
【0015】
好ましい実施態様によれば、前記ロッドは、連行部材及び/又はミクロトームの前記ハウジングに対し回動可能とされている。これにより、例えば該ロッド及び/又は連行部材に別の機能が付与される。
【0016】
一のそうしたさらなる機能は、該ロッドによって操作可能な、ナイフホルダの拘束(ロック)機構である。一例として、ナイフホルダ中に一の刃部を固定し得るように、該ロッドによってナイフホルダの押圧板を対抗受け部材に押付け得るようにしてもよい。そのために、偏心状に形成した領域(例えばカム状の係止領域)を該ロッドに形成し、この領域が、ナイフホルダの押圧板を、適切な回動位置において、前記対抗受け部材に押付けるようにしてもよい。この固定は、通常は可逆式に行われる。即ち、ロッドは、一例として、偏心域を有し、その偏心域が、該ロッドの長手軸線回りの回動に際して、前記押圧板の固定用部分と、係止(ロック)又は係止解除のために共働するようにしてもよい。
【0017】
具体的な好ましい具体的実施態様によれば、連行部材は、ナイフホルダの係止ロッドないし固定ロッドに配されている。別の仕方として、または追加的に、刃部を連行移動させるための連行部材は、ナイフホルダの係止ロッドと共に、ある一の方向に移動又は移送可能としてもよい。ミクロトーム用の従来のナイフホルダは、係止ロッドを介して係止又は係止解除の可能な従来の係止装置と共に、例えば僅かな改変によって、本発明によるミクロトーム刃部交換装置として構成できる。そのためには、連行部材を設け、それを係止ロッドに配することが必要になる。係止ロッドは、連行部材と共に、係止ロッドの長手方向軸線に沿った運動を行うことができなければならない。刃部ディスペンサ、ナイフホルダ及び刃部リザーバを適切に配することが前提条件である。
【0018】
連行部材は、その少なくとも一の領域が、刃部ディスペンサ中に存在する一の刃部(ないしブレード)と係合し、この刃部を刃部ディスペンサからナイフホルダに移送することができるように構成してもよい。他の仕方として、別の構造部材を使用することもでき、この構造部材によって刃部を刃部ディスペンサから移送するようにし、この構造部材に連行部材が作用(係合)するようにしてもよい。この最後に述べた場合には、連行部材は、刃部に間接的に作用する。
【0019】
特に好ましくは、刃部ディスペンサ、ナイフホルダ及び刃部リザーバは、刃部ディスペンサから供給された刃部が、連行プロセスにおいて、刃部リザーバ中の刃部をナイフホルダから刃部リザーバに移送するように構成される。
【0020】
基本的には、連行部材は、操作者によって純粋に手動で、即ち電動式でなしに、操作され得るようにする。連行部材は、それに対応して、純粋に機械式に操作可能とし、機械式の案内手段、並びに、必要に応じて用意される伝動系(ないし手段)又は変速(ないし変換)系(ないし手段)によって、その運動が案内されるようにする。
【0021】
ミクロトームについては、冒頭に述べた課題は、請求項10の特徴によって解決される。それによれば、本発明によるミクロトームは、請求項1〜9のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置を備えたことを特徴とする。ミクロトーム自身は、スライドないしキャリッジ式、回転式又はディスク式とすることができる。
【0022】
本発明の教示を有利な仕方で実現し改良するための、種々の可能性が存在する。そのためには、請求項1の従属請求項並びに図面を参照して説明した本発明の好ましい実施例を参照されたい。図面を参照した本発明の好ましい実施例に関連して、本発明の教示の一般的に有利な態様並びにその再構成も説明される。
各図において、同一の、もしくは類似した部分は、同一の符号で表わしてある。
【実施例】
【0023】
図1〜3において、1は、ミクロトーム用のナイフホルダである。ナイフホルダ1自体は、DE102004051974A1により公知となったナイフホルダと同様に構成されている。ナイフホルダ基部(セグメント基部)2は、図1〜3には示さないミクロトーム基部に回動自在に支承され、それによりナイフホルダ1中にクランプした刃部(ブレード)の、図示しない被切断試料に対する、いわゆる逃げ角ないしレリーフ角、即ち方位が、調節可能となっている。そのために、一つの面の前部域には、対応する角度標識3が設けられている。ナイフホルダ基部2とミクロトーム基部との間の相対位置は、レバー18の回動により固定できる。図1〜3に示したナイフホルダ1は、例えばDE102004004355B3によって公知の、回転式ミクロトームに取付けることができる。
【0024】
ナイフホルダ1は、刃部ディスペンサ4及び刃部リザーバ5を備えたミクロトーム刃部交換装置を有している。刃部ディスペンサ4中には、複数の未使用の刃部が収納されており、これらの刃部によって試料がやがて切断される。図1〜3には明示してない刃部は、刃部ディスペンサ4の前面6に向かって押されるように、ばねにより付勢されている。刃部リザーバ5は、使用済みの刃部を受け入れるために用いられる。図1において、刃部ディスペンサ4は、ナイフホルダ1の左側に、またナイフホルダ1に沿いこれに隣接して配されている。また図1において、刃部リザーバ5は、ナイフホルダ1の右側に、またナイフホルダ1に沿いこれに隣接して配されている。ナイフホルダ1に沿ってこれに隣接した刃部ディスペンサ4及び刃部リザーバ5の配置は、特に、ある切断工程のために用意された刃部がミクロトームの作動状態において存在する位置即ち刃部位置7に関連されている。
【0025】
ナイフホルダ1は、押圧板8を有し、この押圧板8は、レバー9により、係止ロッド10との共働(連携作用)において、対抗受け部材11に押し付けられるようになっている。これにより、押圧板8と対抗受け部材11との間にある不図示の刃部を切断位置に拘束(ロック)ないし固定することができる。そのために、係止ロッド10は、その長手方向軸線の回りに回動可能に支承されていると共に、係止ロッド10の、押圧板8の領域には、偏心部分が形成されている。この偏心部分は、係止ロッド10に回動不可能に連結されたレバー9を回動させた際に、押圧板8を対抗受け部材11に押し付けるか、又は、押圧板8を対抗受け部材11から引き離してフリーにする。このようにして、係止ロッド10は、押圧板8、対抗受け部材11及びレバー9と共に、刃部のための拘束(ロック)機構を形成している。
【0026】
この刃部のための拘束機構は、図4〜7に詳細に図示されている。図4〜7は、図1のミクロトーム刃部交換装置を、図1と対比可能な正面側の斜視図として、それぞれ示している。即ち、図4では、押圧板8は、部分的に切り欠かれて図示されている。図5では、押圧板8は全体として取り外された状態を示している。図6,7では、押圧板8の左側の部分のみが(切断面と共に)図示されている。図6,7では、刃部リザーバ5だけでなく、レバー9及び係止ロッド10の右側の部分と共に、ナイフホルダ1全体のうち右側の部分も、図面上では取り外された状態を示している。係止ロッド10は、偏心域19に凹部20を備えており、この凹部は、カム状に増減する半径を、係止ロッド10の周方向に備えている。偏心域19ないし凹部20(即ち凹部として構成された偏心域)は、係止ロッド10が対応して回動した際に、押圧板8の固定部材(固定部)21と係合する。図7から分かるように、固定部材21は、突部22を有し、この突部22に形成された大径凹部(ないしボア)には、係止ロッド10の偏心域19が係合(嵌合)する。この大径凹部の内面には偏心(カム)域19に対応するカム面(やや大径)が形成され、偏心域19が対応する角度位置になると、偏心域19は、矢印23の方向に突部22を押圧する。3つの支承箇所24で支承された押圧板8は、それによって、上部域が、対抗受け部材11に押し付けられる。そのため、図には示してない刃部を、押圧板8と対抗受け部材11との間の刃部位置7に固定することができる。押圧板8は、レバー9、従って係止ロッド10を、対応する他の方向に回動させることによって、矢印23とは反対の方向にレリーズされるので、刃部ディスペンサ4から刃部位置7に刃部を移送し、そして(又は)刃部位置7にある刃部を刃部リザーバ5に移送(して放出)することができる。
【0027】
刃部リザーバ5は、係止ロッド10の長手方向に延在する凹所(切欠き)12を備えている。刃部リザーバ5は、この凹所12(に係止ロッド10を受容すること)によって、上部から係止ロッド10上に載置でき、それによりナイフホルダ1に可逆的ないし交換可能に配することができる。
【0028】
本発明によれば、操作者による手動操作の可能な連行部材13が備えられている。この連行部材13は、一つの刃部(ブレード)を、刃部ディスペンサ4からナイフホルダ1に、又は刃部位置7に移送することができ、それによって使用済みの刃部を刃部リザーバ5に移行させることができるように構成されている。
【0029】
連行部材13は、2つの案内エレメント14、15を介して、連行作動を行うように案内される。案内エレメント14、15は、載置面ないし滑走(スライド)面を各々備えている。従って、連行部材13は、係止ロッド10に取付けられて一体に運動可能に構成されている。
【0030】
係止ロッド10は、刃部の刃縁とほぼ平行に配向された方向(双方向矢印)16に沿って、その長手方向軸線の回りに回動可能に配されている。ここで、当該刃部は、刃部位置7において、ナイフホルダ1中に、押圧板8と対抗受け部材11との間に拘束(ロック)されている。連行部材13が係止ロッド10の所定の固定位置に配されているため、操作者は、レバー9を(図2に示したナイフホルダ1の位置に対して)右方向又は左方向に作動させることによって、連行部材13を、係止ロッド10と共に、係止ロッド10の長手方向軸線の方向16に作動させることができる。連行部材13は、それに対応して、刃部ディスペンサ4の位置から刃部リザーバ5に向かって移動する。係止ロッド10の運動は、ナイフホルダ1に配された軸受ないしガイド部材(図1〜3には図示しない)によって案内される。従って連行部材13は、矢印16で示した方向に、ほぼ直線状の運動を行う。連行部材13が滑走面14,15に当接すると、連行部材13はナイフホルダ1に対し回動不可能になるよう配され、連行部材13は、係止ロッド10に対して回動可能に配される。
【0031】
連行部材13は、連行部材13の先端領域17が刃部ディスペンサ4中にある刃部(ブレード)と係合可能なように形成されて(係合部を成し)、ナイフホルダ1に配されている。刃部は、連行部材13の領域17によって、刃部リザーバ4からナイフホルダ1中に、また刃部位置7に移送することができる。
【0032】
刃部ディスペンサ4、ナイフホルダ1及び刃部リザーバ5は、刃部ディスペンサ4から供給された刃部が、連行部材13の連行作動によって、ナイフホルダ1中に、また刃部位置7にある(使用済みの) 刃部をナイフホルダ1から刃部リザーバ5に移送するように配されている。
【0033】
連行部材13は、電動式でなく、操作者の手動のみによって作動される。換言すれば、本発明によるミクロトーム刃部交換装置は、刃部の交換が、電動式の駆動装置を使用せずに、回動可能に支承されたタイロッド、即ち係止ロッド10によってなされることを特徴とするものである。
【0034】
なお、以上に説明した実施例は、単に請求の範囲に記載の原理的教示を説明するためであり、本発明がそれにより限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例によるミクロトーム刃部交換装置を示す正面側の斜視図である。
【図2】図1のミクロトーム刃部交換装置を示す上面図である。
【図3】図1のミクロトーム刃部交換装置を示す後面側からの斜視図である。
【図4】図1と対比可能な、図1のミクロトーム刃部交換装置の正面側の斜視図であるが、各部を断面で表わし、又は部分的もしくは全体的に取り除いて示した図である。
【図5】図1と対比可能な、図1のミクロトーム刃部交換装置の正面側の斜視図であるが、各部を断面で表わし、又は部分的もしくは全体的に取り除いて示した図である。
【図6】図1と対比可能な、図1のミクロトーム刃部交換装置の正面側の斜視図であるが、各部を断面で表わし、又は部分的もしくは全体的に取り除いて示した図である。
【図7】図1と対比可能な、図1のミクロトーム刃部交換装置の正面側の斜視図であるが、各部を断面で表わし、又は部分的もしくは全体的に取り除いて示した図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ナイフホルダ
2 ナイフホルダ基部(セグメント基部)
3 角度標識
4 刃部ディスペンサ
5 刃部リザーバ
6 刃部ディスペンサ(4)の前面
7 ナイフホルダ(1)の刃部位置
8 押圧板
9 レバー
10 係止ロッド
11 対抗受け部材
12 刃部リザーバ(5)の凹所(切欠き)
13 連行部材
14 滑走面状の上部案内エレメント
15 滑走面状の下部案内エレメント
16 係止ロッド(10)及び連行部材(13)の移動方向
17 刃部ディスペンサ(4)からの刃部と係合可能な連行部材(13)の領域
18 レバー
19 係止ロッド(10)の偏心域
20 凹部
21 固定部材(固定部)
22 偏心域(19)と共働する押圧板(8)への固定部材(21)の突部
23 矢印
24 押圧板(8)の支承箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃部ディスペンサ(4)と刃部リザーバ(5)とを備えた、ミクロトームのナイフホルダ(1)のためのミクロトーム刃部交換装置であって、
刃部ディスペンサ(4)中には、複数の刃部が収納され、刃部リザーバ(5)は、使用済みの刃部を受け入れるために用いられ、刃部ディスペンサ(4)と刃部リザーバ(5)とはそれぞれナイフホルダ(1)に隣接して配されたものにおいて、
操作者の手動により操作の可能な連行部材(13)が備えられ、該連行部材(13)によって、一の刃部を刃部ディスペンサ(4)からナイフホルダ(1)に移送することができ、それにより一の使用済みの刃部を刃部リザーバ(5)に移行させることができること、
該連行部材(13)が、ナイフホルダ(1)の係止ロッド(10)に配され、該連行部材(13)が、ナイフホルダ(1)の係止ロッド(10)と共に、所定の方向(16)に沿った刃部の連行移動のために移動可能となるように、該連行部材を構成したことを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミクロトーム刃部交換装置において、連行部材(13)が、少なくとも一の案内エレメント(14,15)を介して、連行移動のために案内されることを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミクロトーム刃部交換装置において、連行部材(13)がミクロトームのあるハウジング部分に沿って移動可能としたこと、及び/又は連行部材(13)がレバーにより操作可能としたことを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置において、係止ロッド(10)が、刃部のエッジにほぼ平行に配向されたその長手方向軸線の方向(16)に沿って移動可能に配されたことを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置において、係止ロッド(10)が連行部材(13)及び/又はミクロトームのハウジングに対し回動可能とされたことを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置において、一の刃部がナイフホルダ(1)中に固定され得るように、ナイフホルダ(1)のロック機構が係止ロッド(10)によって作動可能とされ、及び/又はナイフホルダ(1)の押圧板(8)が係止ロッド(10)によって対抗受け部材(11)に押付けられることを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項7】
係止ロッド(10)が偏心域(19)を有し、該偏心域が、係止ロッド(10)の回動に際し係止及び係止解除のために押圧板(8)の固定用部分(21)と共働(連携作用)することを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置において、連行部材(13)の一の領域(17)が、刃部ディスペンサ(4)中にある刃部と係合可能とされ、刃部ディスペンサ(4)からナイフホルダ(1)に移送されるようにしたことを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置において、連行部材(13)が電動式でなく操作者の手動のみによって操作され得ることを特徴とするミクロトーム刃部交換装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載のミクロトーム刃部交換装置を備えたことを特徴とするミクロトーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157953(P2008−157953A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329055(P2007−329055)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】