説明

ミスト冷却装置

【課題】タンク内の残留水の自動排水を可能とすると共に、エア抜き用のバルブを用いることなく、ポンプ起動時のエア抜き及び事前洗浄を可能とするミスト冷却装置を簡易な構成で安価に提供する。
【解決手段】ポンプPは、給水タンクTの下方に配置されており、給水タンクTに対する給水/排水を切り換え可能に配置された三方弁V1と、所定の期間運転停止した際に、三方弁V1の切り替えにより給水タンクT及び配管内の残留水を排出する残留水排出モードと、残留水を排出した後、ポンプPを起動する際に、三方弁V1を給水側に切り替えた後、排水側へ順次切り替えることにより、タンクT内の給水にて事前洗浄を行うと共に、当該給水の自重により配管内のエア抜きを行うエア抜き洗浄モードとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状の水(ミスト)が蒸発する際の気化熱による冷却作用を用いたミスト冷却装置に関し、特に、エア抜き用のバルブを設けることなく、タンク内等の残留水を自動排水した後にポンプ起動時のエア抜きを可能とするミスト冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプにより加圧した高圧水をノズルより空気中に霧状(ミスト)に噴射し、水が蒸発する際の気化熱を利用して周囲の温度を下げるミスト冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、所定時間の事前噴霧を行うことで配水管内の残留水を排出するミスト冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−70007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された先行技術では、事前噴霧により配水管内の残留水は排出できるものの、ポンプへ水を供給する給水タンク内の残留水を排出するとポンプの再起動時に配管内等の残留エアを吸い込み、いわゆるエアかみ現象が発生し、ポンプが正常に起動しなかったり、最悪は、フィルター、ポンプ等の構成機器の損傷に至るといった問題が生じていた。一方、かかる問題に対処するためには、エア抜き用のバルブを別途設けて、ポンプ起動時にエア抜き作業を行う必要が生じ、特に、ミスト冷却装置の間欠運転を行う場合には、かかるエア抜き作業の頻度が増大し、作業性の低下やコストアップといった問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、タンク内の残留水の自動排水を可能とすると共に、エア抜き用のバルブを用いることなく、ポンプ起動時のエア抜き及び事前洗浄を可能とするミスト冷却装置を簡易な構成で安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るミスト冷却装置は、給水タンクに供給された水をポンプにより加圧して噴霧ノズルよりミストを噴出するミスト冷却装置であって、前記ポンプは、前記給水タンクの下方に配置されており、前記給水タンクに対する給水/排水を切り換え可能に配置された三方弁と、所定の期間運転停止した際に、前記三方弁の切り替えにより前記給水タンク及び配管内の残留水を排出する残留水排出モードと、前記残留水を排出した後、前記ポンプを起動する際に、前記三方弁を給水側に切り替えた後、排水側へ順次切り替えることにより、タンク内の給水にて事前洗浄を行うと共に、当該給水の自重により配管内のエア抜きを行うエア抜き洗浄モードとを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
このように構成した場合には、残留水排出モードにより残留水の腐敗を防止すると共に、エア抜き洗浄モードにより、エア抜き用のバルブやエア抜き作業を要することなく、給水の自重によるエア抜きと事前洗浄とを可能として、ポンプの起動不良や損傷を未然に防止しつつ、小型化、コストダウン及び作業性の向上に寄与することができる。
【0009】
また、前記ポンプは、ポンプ給水配管により前記給水タンクと接続されていると共に、前記ポンプの喫水線と前記給水タンクの底面との間には、前記ポンプ給水配管から分岐し上方に向かうエア溜め配管と、エア溜め配管の頂部に設けられた逆止弁とが配設されており、前記エア抜き洗浄モードでは、前記ポンプが起動しないような給水量で前記給水タンクに給水し、当該給水を前記ポンプ給水配管を介して前記エア溜め配管内に導入し、その後、前記給水を逆止弁を介して排水することが好ましい。
【0010】
このように構成した場合には、タンク内に供給された給水の自重による事前洗浄及びエア抜きを可能とするエア抜き洗浄モードを容易に実現することができる。
【0011】
さらに、前記逆止弁は、その下方に配置された前記三方弁と上下方向に延在する縦配管を介して接続されていてもよい。
【0012】
このように構成した場合には、給水タンクに対する給水/排水を三方弁にて切り換えることにより、高価な電磁弁等を別途用いることなく縦配管を落下する排水の作用によりエア溜め配管内の気泡等のエア排出を促進し、自重を利用したエア抜き洗浄モードをより簡易に実現することができる。
【0013】
また、前記エア溜め配管の容積は、前記ポンプ給水配管の容積よりも大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0014】
このように構成した場合には、ポンプ給水配管内に存在するエアを確実にエア溜め配管内に収容することができる。
【0015】
また、前記エア抜き洗浄モードでは、給水量が排水量よりも大きくなるように、前記給水タンクに給水を行った後に、当該給水を排水することが好ましい。
【0016】
このように構成した場合には、排水後の喫水線が給水タンクの底面を割り込むことがないので、ポンプや配管内に新たに空気が侵入することを防止してポンプの起動不良等の要因を未然に排除することができる。
【0017】
さらに、前記エア抜き洗浄モードでは、前記給水及び前記排水の一連の操作を複数回行うことが好ましい。
【0018】
このように構成した場合には、特に、雑菌が繁殖し易い給水タンク内の付着物をより効果的に洗浄しつつ、エア溜め配管内に残留するエアをより確実に排出すると共に、給水タンク内の喫水線を徐々に上昇させて、無駄な排水量を削減すると共に、円滑で安定したポンプの起動に寄与することができる。
【0019】
さらにまた、前記給水タンクの給水側には、フィルターが配設されており、さらに、当該フィルターは、前記逆止弁と前記三方弁との間の縦配管に接続されていることが好ましい。
【0020】
このように構成した場合には、エア抜き洗浄モードによりフィルターの洗浄も可能とすると共に、逆止弁から三方弁へ落下する排水量を増大させ、より効果的にエア溜め配管内のエアを排出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、タンク内の残留水の自動排水を可能とすると共に、エア抜き用のバルブやエア抜き作業を要することなく、ポンプ起動時のエア抜き及び事前洗浄を可能とするミスト冷却装置を簡易な構成で安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係るミスト冷却装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態に係るポンプユニットの概略構成を示す模式図である。
【図3】実施の形態に係るポンプユニット内の機器及び配管の配置構成を説明するための模式的正面図である。
【図4】実施の形態に係るポンプユニット内の機器及び配管の配置構成を説明するための模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るミスト冷却装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1は、本実施の形態に係るミスト冷却装置の概略構成を示す模式図であり、図2は、ポンプユニットの概略構成を示す模式図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係るミスト冷却装置1は、主たる構成機器としてポンプユニット10、ノズルユニット20を備え、ポンプユニット10により水を高圧に加圧してノズルユニット20から霧状の水(ミスト)として噴霧し、水が蒸発する際の気化熱により周囲を冷却するようになっている。なお図中、符号Sはオプションとしての温湿度センサー、同CRは運転の開始停止を制御する制御装置であり、本実施の形態に係るミスト冷却装置1では、例えば、温湿度センサーSにより検知した温度/湿度に基づいて、制御装置CRにより所定の温湿度条件にてミスト噴霧を行うと共に、運転の開始停止時間が任意に設定可能となっている。
【0025】
上記ノズルユニット20は、複数(例えば、3個)の噴霧ノズル20aがユニット筐体20u内に配設されており、ノズル20aの背後に設けられた不図示のファンにより、ミストを拡散させるようになっている。さらに、本実施の形態では、複数(例えば、5台)のノズルユニット20が共通の(単一の)可動式(車輪付き)ポンプユニット10に対して接続可能に構成されている。なお、本実施の形態に係る噴霧ノズル20aとしては、先端にオリフィス等を備えた公知のミスト噴霧ノズルを用いることができる。
【0026】
上記ポンプユニット10は、図2に模式的に示すように、プランジャーポンプP、給水タンクT、フィルターF等を備え、各構成機器は、三方弁V1、逆止弁V2、調圧弁V3等を介して配管接続されている。なお、図中、符号Tsは、給水タンクT内の水量が一定(例えば、1.5リットル)となった時点を検出して、ポンプを起動させるためのフロートスイッチである。
【0027】
具体的には、本実施の形態に係るミスト冷却装置1において、配管系の最下位(最下部)に三方弁(三方ボールバルブ)V1が配置されており、かかる三方弁V1は、水道と直結された給水口10inと排水口10dとに接続されて、ポンプユニット10内の配管系を給水側と排水側とに切り換えるように構成されている。
【0028】
上記三方弁V1は、フィルターFを介して給水タンクTに接続されており、この給水タンクTは、ポンプPと給水配管10Pにて接続されていると共に、かかるポンプ給水配管10Pは途中で分岐して逆止弁V2を介して三方弁V1と接続されている。さらに、ポンプPは、加圧水の圧力を設定する調圧弁V3を介して吐出口10outに接続されている。
【0029】
そして、三方弁V1を給水側に切り替えた際には、水道水がフィルターFを介して給水タンクT内に供給され、かかる給水タンクT内の給水は、調圧弁V3により設定された所定の高圧(例えば、7Mpa)までプランジャーポンプPにより段階的に加圧されて、吐出口10outを介して上記ノズルユニット20に高圧水として供給されるようになっている。
【0030】
一方、三方弁V1を排水側に切り替えた際には、ノズルユニット20、給水タンクT等の構成機器内及び配管系内の残留水が排水口10dより排出されるようになっている。
ユニット20,20・・・に対して高圧水を供給可能に構成しており、比較的大容量の給水タンクT(本例では、5リットル)を用いている。
【0031】
ところで、残留水の腐敗等を防止するためには、構成機器や配管内にて所定の時間滞留した残留水は可能な限り排出することが望ましいが、タンクT内の残留水を排出した際には、ポンプPとタンクT間の配管内等の残留水も排水することとなり、排水後の配管内等にエアが残留することとなる。
【0032】
そして、この状態でポンプPを再起動した場合には、給水の際に配管内等のエアがポンプP内に侵入して、いわゆるエアかみ現象が発生し、ポンプの起動不良や破損といった問題が生じてしまう。
【0033】
そこで、本実施の形態に係るミスト冷却装置1では、次のようにポンプユニット10内の構成機器や接続配管を配置形成することにより、所定の期間運転停止した際に、構成機器(特に、給水タンクT)や配管内の残留水をその自重により排出する残留水排出モードと、ポンプPを再起動する際の事前洗浄とエア抜きとを、特別なエア抜き弁等を設けることなく、給水の自重により可能とするエア抜き洗浄モードとを実現している。
【0034】
以下に、本実施の形態に係るポンプユニット10内の機器及び配管の配置構成について、図3及び図4を参照してさらに説明する。ここで、図3は、本実施の形態に係るポンプユニット10内の機器及び配管の配置構成を示す模式的正面図であり、図4は、同模式的側面図である。
【0035】
図3及び図4に示すように、本実施の形態に係るポンプユニット10では、ノズルユニット20への高圧給水が可能なように多段式(本例では3段)のプランジャーポンプPを採用しており、かかるプランジャーポンプPは、ポンプ給水配管10Pを介して給水タンクTの下方に配置されている。また、ポンプ給水配管10Pは、ポンプ給水口の近傍にて、上方へ伸びる(上方へ向かう)エア溜め配管10Aに不図示のT継手を介して分岐接続されている。なお、本実施の形態において、上記ポンプ給水配管10P及びエア溜め配管10Aは、いずれも同径のフレキシブルなゴム製のブレードホースとして形成されている。
【0036】
このように、ポンプPの喫水線P0の高さに位置するポンプ給水口から上方へ向かうエア溜め配管10Aを設け、かかるエア溜め配管10Aをポンプ給水配管10Pから分岐接続することにより、排水の際にポンプPの喫水線P0を一定に維持してポンプP内に気泡等が入り込むことを防止すると共に、仮に、配管内やポンプP内に気泡が存在したとしても、かかる気泡は流れに沿って高い方に逃げる(上方に移動する)ので、エア溜め配管10Aの頂部に当該気泡を導く(エア溜まりを形成する)ことができる。
【0037】
また、本実施の形態において、エア溜め配管10Aの頂部には逆止弁V2が設けられており、この逆止弁V2は下方に配置された三方弁V1と縦配管10Dにて接続されている(図4参照)。さらに、三方弁V1と給水タンクTとをフィルターFを介して接続するタンク給水配管10Tが縦配管10Dの途中10D0から分岐接続されている。なお、上記逆止弁V2は、図4に示すように、縦配管10D(タンク給水配管10T)からエア溜め配管10Aに向かう流体の流れを妨げるように設定されている。
【0038】
より詳細には、上記逆止弁V2は、その取り付け高さがポンプPの喫水線P0とタンクTの底面T0との間に位置するように配置されていると共に、エア溜め配管10Aの容積は、ポンプ給水配管10Pの容積よりも大きくなるように設定されている。すなわち、本実施の形態では、エア溜め配管10Aの径と、ポンプ給水配管10Pの径は等しいため、図3に示すように、エア溜め配管10Aの配管長L2が、ポンプ給水配管10Pの配管長L1よりも長くなるように設定されている(L1<L2)。
【0039】
このように構成した本実施の形態に係るポンプユニット10では、運転停止後所定の時間経過した場合には、残留水の腐敗等を防止するという観点から、上記三方弁V1を排水側に切り替えることにより、ノズルユニット20、給水タンクT、及びこれらを接続する配管内の残留水をその自重により容易に排出することが可能となる(残留水排出モード)。また、残留水排出後にポンプを起動する際には、以下に述べるようなエア抜き洗浄モードを実行することにより、ポンプユニット10内の構成機器の洗浄及び残留エアの排出を給水タンクT内の給水の自重を利用して簡易な構成で容易に可能としている。
【0040】
具体的には、本実施の形態に係るエア抜き洗浄モードでは、ポンプPを起動する前に、まず、三方弁V1を給水側に切り替えて給水タンクT内に注水する。なおこの際、タンクT内の所定の給水量(例えば、1.5リットル)を検出してポンプPを起動させるタンクT内に設けられたフロートスイッチTs(図2参照)が動作しないように給水を停止する。すなわち、ポンプPが起動しないように給水タンクT内に給水する。
【0041】
これにより、給水タンクT内に供給された水は、ポンプPに向けてポンプ給水配管10P内に供給されるが、ポンプPは喫水線P0の高さの水で満たされているため、かかる給水は分岐接続されたエア溜め配管10Aに流入し、ポンプ給水配管10P内の気泡等の残留エアも、分岐接続されて上方に向かうエア溜め配管10Aの上部(逆止弁V2の手前)に導入されることとなる。
【0042】
ここで、本実施の形態では、上述したように、エア溜め配管10Aの容積がポンプ給水配管10Pの容積よりも大きくなるように形成されているので、ポンプ給水配管10P内の残留エアを確実にエア溜め配管10A内に収容することができる。
【0043】
次に、三方弁V1を排水側に切り替え、給水タンクT内に供給した水を排水する。これにより、逆止弁V2と三方弁V1とを接続する縦配管10D内を落下する排水により逆止弁V2の排水側(三方弁V1側)に負圧が生じ、サイフォンの原理により逆止弁V2が開放する側(エア溜め配管10Aと縦配管10Dとが連通する側)に動作し、逆止弁V2近傍に滞留していた残留エアが排水と共に排水口10dより排出されることとなる。なおこの際、給水タンクT内の喫水線が給水タンクTの底面T0よりも低くならないように、給水タンクTに対する給水量よりも排水量を少なく設定(給水量よりも排水量が少なくなるように排水を停止)することが好ましい。これにより、タンクT内の喫水線が底面T0を割り込むことがないので、排水の際に、再び、配管内に空気が侵入することを確実に防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、上記縦配管10DからフィルターFを介して上方の給水タンクに向かうタンク給水配管10Tが分岐接続されているため、排水の際には、かかるタンク給水配管10T内の残留水(フィルターFまでの配管10T内の残留水)も縦配管10Dを落下することとなり、縦配管10D内の落下流量を増大させて、エア溜め配管10A内の残留エアの排出をより一層促進することができる。
【0045】
なお、上記エア抜き洗浄モードにおいて、初回の給水時には、フィルターFや給水タンクT内の気泡が配管内に流入する可能性が生じるので、上記給水/排水サイクルは複数回繰り返すことが好ましい。
【0046】
具体的には、各給水/排水サイクルにおいて給水量よりも排水量を少なく設定し、かつ、かかる給水/排水サイクルを複数回繰り返すことにより、特に、雑菌が繁殖し易い給水タンクTやフィルターF内の付着物をより効果的に洗浄しつつ、配管内に侵入した気泡等を水と一緒により確実に排出することができる。加えて、各給水/排水サイクルごとに給水タンクT内の喫水線を徐々に上昇させて、エア抜き洗浄モードの際の無駄な排水量を抑制すると共に、ポンプPの円滑で安定した再起動に寄与することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において、上述した各給水/排水サイクルにおける給水量/排水量の制御は、ポンプユニット10内に設けた不図示のタイマーにより簡易に実現することができる。
【0048】
また、上記逆止弁V2の代わりに、同等な機能を電磁弁を用いて実現しても当然に差し支えないが、本実施の形態では、上述のようなバルブや配管の配置構成を採用することにより、高価な電磁弁等を別途用いることなく、一般の安価な逆止弁V2を用いて、エア抜きと事前洗浄とを同時に可能とするエア抜き洗浄モードを容易に実現することができる。
【0049】
以上、本発明に係るミスト冷却装置によれば、残留水の腐敗を防止する残留水排出モードと、エア抜き用のバルブやエア抜き作業を要することなくポンプユニット10内のエア抜きと事前洗浄とを実行するエア抜き洗浄モードとを、いずれも三方弁V1の切り替えのみで給水の自重(重力)により可能とするので、給水バルブ、排水バルブ、エア抜きバルブ等を個別に設ける形態に比し、小型化、コストダウン及び作業性の向上に著しく寄与することができる。また、三方ボールバルブV1を用いて流量を徐々に増減することができるので、流路切り換えの際のウォーターハンマー等による構成機器の損傷等を未然に防止することができる。
【0050】
なお、本発明に係るミスト冷却装置は、連続的な運転にも当然に適用可能であるが、間欠運転の頻度が高い、工場や駅構内等においてより好適に適用可能である。
【0051】
また、本発明の技術的範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、本発明では、基本的にエア抜き用のバルブを設ける必要はないが、当然に、バックアップ用のエア抜きバルブを別途設けても差し支えない。
【符号の説明】
【0052】
1:ミスト冷却装置、10:ポンプユニット、10A:エア溜め配管、10D:縦配管、10P:ポンプ給水配管、10T:タンク給水配管、10d:排水口、10in:給水口、10out:吐出口、20:ノズルユニット、20a:噴霧ノズル、20u:ユニット筐体、CR:制御装置、F:フィルター、L1:ポンプ給水配管長、L2:エア溜め配管長、P:プランジャーポンプ、P0:ポンプ喫水線、S:温湿度センサー、T:給水タンク、T0:タンク底面、Ts:フロートスイッチ、V1:三方弁、V2:逆止弁、V3:調圧弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクに供給された水をポンプにより加圧して噴霧ノズルよりミストを噴出するミスト冷却装置であって、
前記ポンプは、前記給水タンクの下方に配置されており、
前記給水タンクに対する給水/排水を切り換え可能に配置された三方弁と、
所定の期間運転停止した際に、前記三方弁の切り替えにより前記給水タンク及び配管内の残留水を排出する残留水排出モードと、
前記残留水を排出した後、前記ポンプを起動する際に、前記三方弁を給水側に切り替えた後、排水側へ順次切り替えることにより、タンク内の給水にて事前洗浄を行うと共に、当該給水の自重により配管内のエア抜きを行うエア抜き洗浄モードと
を備えていることを特徴とするミスト冷却装置。
【請求項2】
前記ポンプは、ポンプ給水配管により前記給水タンクと接続されていると共に、前記ポンプの喫水線と前記給水タンクの底面との間には、前記ポンプ給水配管から分岐し上方に向かうエア溜め配管と、エア溜め配管の頂部に設けられた逆止弁とが配設されており、
前記エア抜き洗浄モードでは、前記ポンプが起動しないような給水量で前記給水タンクに給水し、当該給水を前記ポンプ給水配管を介して前記エア溜め配管内に導入し、その後、前記給水を逆止弁を介して排水することを特徴とする請求項1に記載のミスト冷却装置。
【請求項3】
前記逆止弁は、その下方に配置された前記三方弁と上下方向に延在する縦配管を介して接続されていることを特徴とする請求項2に記載のミスト冷却装置。
【請求項4】
前記エア溜め配管の容積は、前記ポンプ給水配管の容積よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のミスト冷却装置。
【請求項5】
前記エア抜き洗浄モードでは、給水量が排水量よりも大きくなるように、前記給水タンクに給水を行った後に、当該給水を排水することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のミスト冷却装置。
【請求項6】
前記エア抜き洗浄モードでは、前記給水及び前記排水の一連の操作を複数回行うことを特徴とする請求項5に記載のミスト冷却装置。
【請求項7】
前記給水タンクの給水側には、フィルターが配設されており、さらに、当該フィルターは、前記逆止弁と前記三方弁との間の縦配管に接続されていることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載のミスト冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate