ミスト噴霧装置
【課題】ミストサウナ時には高温多湿のミストサウナを体感できるものでありながら、浴室洗浄時には洗浄液のミストにより壁面の加熱が促進されて油汚れなどの汚れが落ちやすくすること。
【解決手段】湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズル10と、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズル4とを備えると共に、湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズル4、10のそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されているミスト噴霧装置3である。
【解決手段】湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズル10と、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズル4とを備えると共に、湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズル4、10のそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されているミスト噴霧装置3である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水のミスト(サウナ用ミスト)と洗浄液のミストとを噴霧するミスト噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室内に湯水のミストを噴霧してミストサウナを行うことが一般に知られているが、浴室内に発生するカビや雑菌、あるいは身体の垢等の有機汚染物質と、そこから繁殖する菌の代謝物によるぬめり等を抑制するものではなかった。
【0003】
そこで、従来から、浴室内の空気を換気する第1の機能部と、浴室内に温風を供給する第2の機能部と、湯水のミストを噴霧する第3の機能部と、浴室内に洗浄液のミストを噴霧する第4の機能部とを有する多機能乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に見られる従来例では、共通するノズルから湯水或いは洗浄液のいずれかを選択的に噴霧する構造であり、そのため、第4の機能部による浴室洗浄時において洗浄液のミストを噴霧する場合において、仮りにその水滴(洗浄液)が浴室空間を浮遊しやすい小さな粒子径であると、水滴の単位体積当たりの表面積が比較的大きくなり、落下するまでの間に該水滴の熱が浴室の空気に奪われてしまう。そのため、この水滴の熱が奪われて低温状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達してしまうこととなり、高温で且つ大粒子径の洗浄液を洗浄対象物に散布する場合と比較して、洗浄対象物を油汚れなどの汚れが落ちにくいという問題がある。
【0005】
さらに、第3の機能部によるミストサウナ運転時においては高温水のミストを噴霧する場合において、仮りにその水滴(湯水)が浴室空間を浮遊しにくい大きな粒子径であると、水滴の単位体積当たりの表面積が比較的小さくなり、該水滴の熱がほとんど浴室の空気に奪われなくなるため、浴室内の空気が加熱されないまま浴室床等に落下してしまい、高温多湿のミストサウナを体感できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−316083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ミストサウナ時に高温多湿のミストを浮遊させるものでありながら、浴室洗浄時には洗浄液のミストにより壁面の加熱が促進されて洗浄効果を高めることができるミスト噴霧装置を提供することにあり、さらに洗浄液の噴霧範囲を広げた場合であっても洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるようにしたミスト噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズル10と、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズル4とを備えると共に、上記湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また上記洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズル4、10のそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、ミストサウナ時には、ミストサウナ用ノズル10により浴室空間を浮遊し易い小さい粒子径の水滴を噴霧できるので、該水滴(湯水)の単位体積当たりの表面積が大粒子径のものと比べて大きいため、落下するまでの間に浴室13の空気の加熱が促進され、高温多湿のミストサウナを体感できる。一方、浴室洗浄時には、浴室洗浄用ノズル4から浴室空間を浮遊しにくい大きな粒子径の洗浄液のミストを噴霧できるので、該水滴(洗浄液)の単位体積当たりの表面積が上記小粒子径と比べて小さいため、温度をできるだけ高く維持した状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達できるようになり、これにより、壁面の加熱が促進されて油汚れなどの汚れが落ちやすくなり、ぬめりや垢を十分に抑制できるようになる。さらに、洗浄液はミスト状に噴霧されるから、洗浄液をシャワー状に噴霧するものと比べて洗浄液を無駄に使用せず有効に使用できるようになる。
【0010】
また、上記浴室洗浄用ノズル4の側方位置に、洗浄液の噴霧範囲を遮断するための庇26を配設するのが好ましく、この場合、庇26によって洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるようになる。
【0011】
また、上記庇26は、浴室洗浄用ノズル4を周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝27が形成されているのが好ましく、この場合、庇26の周方向の長さを可変にできるので、濡らしたくない対象物の大きさに合わせて噴霧遮断範囲Zの変更が容易となる。
【0012】
また、上記庇26の上端部とこれに対向する浴室洗浄用ノズル4周囲の庇取付部36のいずれか一方に固定用突起29aを突設し、いずれか他方に該固定用突起29aを挿入して固定する固定用挿入孔29bを設けるのが好ましく、この場合、庇26を浴室洗浄用ノズル4周囲の任意の角度で固定できるので、濡らしたくない対象物の方向に合わせて、庇26の方向を容易に変更可能となる。
【0013】
また、上記洗浄液が次亜塩素酸を含む電解水からなり、上記庇26の下方位置に、庇26から滴下する電解水を回収するための電解水回収容器を配置するのが好ましく、この場合、電解水回収容器に溜められた次亜塩素酸が含まれた電解水を、浴室以外の場所、例えば台所の水周り等の場所の殺菌にも有効利用できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ミストサウナ時には高温多湿のミストサウナを体感できるものでありながら、浴室洗浄時には洗浄液のミストにより洗浄効果を高めることができるミスト噴霧装置が得られるものである。
【0015】
また本発明は、洗浄液の噴霧範囲を広げた場合でも、庇を利用して洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のミストサウナ用ノズルと浴室洗浄用ノズルとからなるミスト噴霧装置を備えた浴室暖房乾燥機の配管図である。
【図2】同上の浴室暖房乾燥機の概略構成図である。
【図3】同上の浴室暖房乾燥機を浴室の天井部に設置した場合の斜視図である
【図4】(a)は同上のミストサウナ用ノズルの噴霧範囲の説明図であり、(b)は同上の浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲の説明図である。
【図5】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの取り付け角度を真下に向けた状態における噴霧範囲の説明図であり、(b)は浴室洗浄用ノズルの取り付け角度を真下よりも洗い場側に傾けて取り付けた状態における噴霧範囲の説明図である。
【図6】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルを浴室洗浄装置の中央側に設置した場合の噴霧範囲の説明図であり、(b)は局部洗浄ノズルを浴室洗浄装置の洗い場側の端部に設置した場合の噴霧範囲の説明図である。
【図7】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの側方位置に配置される庇の斜視図であり、(b)〜(d)は同上の庇を浴室洗浄用ノズル周辺の庇取付部に対して取り付ける場合の説明図である。
【図8】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲内に出窓が存在する場合の説明図であり、(b)は同上の庇によって出窓に洗浄液がかからないように浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲を遮断する場合の説明図である。
【図9】(a)は同上の庇の周方向の長さを長くした場合の噴霧遮断範囲の説明図であり、(b)は同上の庇の周方向の長さを短くした場合の噴霧遮断範囲の説明図であり、(c)、(d)は同上の浴室洗浄用ノズルに対する庇の取り付け方向を変更する場合の説明図である。
【図10】(a)は同上の庇にノズルクランプを設けた場合の他例を示す斜視図であり、(b)はこの庇を浴室洗浄用ノズルに保持した状態の説明図である。
【図11】同上の暖房機本体、電解水生成装置、ミスト噴霧装置、換気ファン等を制御する制御部の説明図である。
【図12】同上の浴室洗浄用ノズルの断面図である。
【図13】(a)は同上の浴室洗浄用ノズル内部に組み込まれるノズルチップを示し、(b)のE−E線に沿う断面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図14】(a)は同上のノズルチップの斜視図であり、(b)は洗浄液が旋回流となってノズルチップの流入溝からテーパ部を経て噴射穴内に流入する状態を説明する一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
図1は本発明のミスト噴霧装置を備えた浴室暖房乾燥機の配管例であり、図2は浴室暖房乾燥機の構成図であり、図3は浴室暖房乾燥機の設置例の説明図である。
【0019】
本実施形態の浴室洗浄装置1は、ミストサウナとしての機能、浴室暖房換気装置としての機能、次亜塩素酸を含む電解水による浴室洗浄機能をそれぞれ備えており、浴室13の天井部に設置される。なお図3中の15は浴室13外に設置されるリモコン操作部であり、ミストサウナ運転スイッチ、浴室洗浄スイッチ、暖房運転スイッチ、換気運転スイッチ、乾燥運転スイッチ、涼風運転スイッチ等のスイッチ類(図示せず)が設けられている。
【0020】
浴室洗浄装置1は、図1に示すように、浴室13内に温風を供給する暖房機本体2と、通電により次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解水生成装置6と、ミストサウナ用ノズル10と浴室洗浄用ノズル4とを備えるミスト噴霧装置3と、浴室13内の空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファン42と、これらを制御する制御部39(図11)とで主体が構成されている。
【0021】
制御部39は、リモコン操作部15から指令されるリモコン信号以外に、浴室温度センサー9、温水往き温度センサー17、ミスト温度センサー18、温水戻り温度センサー21からの各検知信号を受信すると共に、各検知結果に基づいて暖房機本体2、ミスト噴霧装置3の電磁弁22、23、電解水生成装置6、換気ファン42等の各構成部品を駆動制御するマイクロコンピュータにより構成される。
【0022】
換気ファン42は、図2に示すように、換気用ダクト41内に設けられ、換気ファン42と換気用ダクト41の換気出口との間に、逆風圧などによる屋外からの空気の逆流を防止する逆流防止シャッター24を備えている。逆流防止シャッター24は換気時には換気による風圧により支点を中心に揺動することで開放され、換気を停止すると自重により換気用ダクト41を閉塞し、外気が浴室13内に侵入することを防止する。換気時に、ファンモータ35を作動させると浴室13内の空気は換気ファン42により換気用ダクト41及びベントキャップ40を経て、浴室13外の屋外空間に放出されるようになっている。
【0023】
本浴室洗浄装置1の機器ケーシング25内には、図1に示すように、循環ファン5と、循環ファン5により通風される空気を熱源機14(図3)から供給される温水により加熱する暖房用熱交換器7と、暖房用熱交換器7への温水の供給量を調節する熱動弁8とがそれぞれ収納されている。暖房用熱交換器7は、熱源機14からの温水が循環する暖房用温水管路16の途中に配置され、熱動弁8を開放することで、循環ファン5からの風が暖房用熱交換器7により加熱されて、下方の温風吹き出し口31に設けた可動ルーバー30(図2)から浴室13内に供給されるようになっている。さらに暖房用温水管路16の途中には、機器ケーシング25上に設置されるミストボックス32内に収納された液々熱交換器からなるミスト用熱交換器11を加熱するためのミスト加熱用温水管路19が分岐接続されている。ミスト加熱用温水管路19の上流端は暖房用温水管路16の熱動弁8よりも上流位置に分岐接続され、ミスト加熱用温水管路19の下流端は暖房用温水管路16の暖房用熱交換器7よりも下流位置に合流している。
【0024】
さらに上記ミストボックス32から機器ケーシング25に亘って、浴室洗浄兼ミスト用給水管路20が配管されており、この管路途中にミスト用熱交換器11が配置されている。浴室洗浄兼ミスト用給水管路20のミスト用熱交換器11よりも上流側には、後述する電解水生成装置6を介して、外部の水道管に接続されている。浴室洗浄兼ミスト用給水管路20のミスト用熱交換器11よりも下流側の部分はミストサウナ用電磁弁22及び浴室洗浄用電磁弁23の2方向に分岐し、ミストサウナ用電磁弁22の下流側にはミストサウナ用ノズル10が接続され、浴室洗浄用電磁弁23の下流側には浴室洗浄用ノズル4が接続されている。これら浴室洗浄用ノズル4及びミストサウナ用ノズル10は、それぞれ、機器ケーシング25下面の開口孔から浴室13内に臨んで配置されている。本例では、ミストサウナ用電磁弁22が開弁した時には粒子径が50〜100μm程度の水滴が噴霧されミストサウナを楽しむことができ、浴室洗浄用電磁弁23が開弁した時には浴室洗浄用ノズル4から粒子径が100〜300μm程度の水滴が噴霧されて浴室洗浄に供される。
【0025】
また、上記暖房用温水管路16から分岐されたミスト加熱用温水管路19の途中には、ミスト加熱用温水管路19からミスト用熱交換器11に供給される水温が適切になったときにミスト用熱交換器11に供給される温水の流量の調節を行う水比例弁12と、ミスト用熱交換器11からの循環温水の戻り温度を検知するための温水戻り温度センサー21とがそれぞれ設置されている。なお、水比例弁12を全閉にすることによりミスト用熱交換器11に供給される温水を遮断することが可能である。さらにミスト用熱交換器11から吐出する水の温度を検知するためのミスト温度センサー18が設置されている。
【0026】
上記電解水生成装置6は、被電解水に浸漬した電極間に電流を流して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解槽を備えたものであり、電解槽への直流電流の通電により、正極では、供給される水道水中に含まれる塩素イオン(2Cl−)が酸化反応により電子(2e−)を奪われて塩素(Cl2)が発生すると共に、液中では、発生した塩素(Cl2)が水(H2O)と反応して殺菌作用がある次亜塩素酸(HOCl)が生成される。負極では、還元反応により水素イオン(2H+)と電子(2e−)とが結合して水素ガス(H2)が発生するものである。
【0027】
次に、ミストサウナ運転開始動作の一例を説明する。リモコン操作部15のミストサウナ運転スイッチを押すと制御部39(図11)にミストサウナ運転開始を指令する信号が送られ、温水供給用の熱源機14(図3)に運転信号を出し、熱源機14が暖房運転を開始する。次いで、温風側の熱動弁8、ミスト側の水比例弁12がそれぞれ開き、80℃の循環温水が暖房用温水管路16内及びミスト加熱用温水管路19内を循環し始める。次いで、温水往き温度が60℃以上になると、循環ファン5がONとなり、浴室13に温風を送る。その後、浴室温度が25℃以上になるとミストサウナ用電磁弁22を開いて、ミストサウナ用ノズル10から湯水のミスト噴霧が開始される。
【0028】
次に、浴室洗浄運転動作の一例を説明する。以下、洗浄に用いる温水又は電解水を総称して、洗浄液と定義する。
【0029】
先ず温水による浴室洗浄を説明する。リモコン操作部15の浴室洗浄スイッチを押すと、制御部39に浴室洗浄運転開始を指令する信号が送られ、温水供給用の熱源機14(図3)に運転信号を出し、熱源機14が暖房運転を開始する。次いで、ミスト側の水比例弁12が開き、80℃の循環温水がミスト加熱用温水管路19内を循環し始め、ミスト用熱交換器11に温水が供給される。その後、浴室洗浄用電磁弁23を開いて、浴室洗浄ノズルから温水(洗浄液)のミスト噴霧を開始する。このように温水を噴霧することで、石鹸カスや皮脂等を効果的に洗い流すことが可能である。
【0030】
なお、温水による洗浄では、温度が上昇してカビや雑菌等の微生物が繁殖しやすい状態にある。そこで、洗浄した後に浴室壁等の被洗浄物の温度を低下させるため、ミスト側の水比例弁12を全閉とし、熱源機14からの循環温水のミスト加熱用温水管路19への流入を停止することで、ミスト用熱交換器11の加熱が停止され、浴室洗浄ノズルから噴霧される洗浄液の温度は供給される水温(常温)程度にまで低下させることができる。
【0031】
一方、洗浄効果をより高めるために、浴室洗浄運転中に、制御部39からの指令により、電解水生成装置6に通電して次亜塩素酸を発生させ、次亜塩素酸が含まれた電解水を浴室洗浄ノズルから噴霧させる。これにより、次亜塩素酸の殺菌効果により、温水の場合と比較して、被洗浄物の殺菌をより効果的に行うことができる。
【0032】
ここで、本発明においては、ミストサウナ用ノズル10から噴霧されるサウナ用ミストの水滴の粒子径を、50〜100μm程度とし、100μm以下のものが大半を占めるようにミストサウナ用ノズル10のノズル孔径と噴霧流量とを設定してある。具体的には、ミストサウナ用ノズル10のノズルの孔径は0.7mm程度、噴霧流量は0.25〜0.5リットル/分に設定してある。これによりサウナ用ミストの水滴が浴室空間を浮遊し易くなって、浴室床等に落下するまでの間に、該水滴(温水)と浴室13内の空気との熱交換により浴室13の空気の加熱が促進されるようになる。従って、高温多湿のミストサウナを体感できるようになる。
【0033】
一方、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液の水滴(温水又は次亜塩素酸を含む電解水)の粒子径については、空中に浮遊しにくい程度の100〜300μm程度とし、粒子径の平均値が150μm程度となるように浴室洗浄用ノズル4のノズル孔径と噴霧流量とが設定されている。以下、具体的に説明する。
【0034】
例えば、粒子の平均粒子径が150μm程度であるミストを噴霧する具体的な構成は種々あるが、本実施形態では浴室洗浄用ノズル4のノズル本体63内に、旋回流発生手段を設けたノズルチップ60を備え、このノズルチップ60の噴射穴60aから旋回流の噴霧を発生させる構成としている。さらに具体的には、図12に示すように、浴室洗浄用ノズル4は、筒状のノズル本体63と、該ノズル本体63内部に固定されるセラミック製のノズルチップ60とを備える。本実施形態では、ノズル本体63は銅にメッキを施し成形している。セラミック製のノズルチップ60は、図13(a)(b)に示すように、大略円筒形状とし、ノズルチップ60の上流側端面に流入溝70を有する筒部66が形成され、ノズルチップ60の下流側端面中央にノズル本体63の出口65に通じる噴口60bが形成され、筒部66から噴口60bに向かってテーパ部60cと噴射穴60aとが順次形成されている。噴射穴60aの穴径は筒部66の内径よりも小さく設定され、テーパ部60cは上流側端部が筒部66の内周面に連続し且つ下流側端部が噴射穴60aの内周面に連続するような円錐面状に形成されている。
【0035】
筒部66の前端開放端は、ノズル本体63内部に設けたスプリング62で付勢されたクローザ61によって閉じられている。筒部66の周方向の2箇所には一対の流入溝70が切欠形成されている。各流入溝70は、筒部66外周の流入溝入口70aから筒部66の内面壁60dの流入溝出口70bに向けて形成されており、ノズル本体63内に流入する洗浄液Wは流入溝70を経由してノズルチップ60内に流入する。
【0036】
本実施形態では、流入溝入口70aと流入溝出口70bとを結ぶ流入溝70の中心線は、噴射穴60aを通る中心線E(図13(b)、図14(a))ではなく、筒部66の内面壁60d側に偏向させて流入溝70が形成されている。つまり、流入溝70の中心線が筒部66の内面壁60dに略平行となるように傾いているから、流入溝入口70aから流入して流入溝出口70bを経てノズルチップ60内に導入される洗浄液Wの流れは、図14の矢印で示す旋回流となってノズルチップ60内に導入される。なお、噴射穴60aの直径は0.5〜1mm程度、流入溝70の溝幅は0.5〜1mm程度にしてある。これにより、洗浄ノズル4において洗浄液Wが通過する最小狭部寸法(本実施形態では流入溝70の溝幅)を0.5〜1mm程度とすることができるから、電解水生成装置6の電極において析出物が発生した場合にも、この析出物は洗浄ノズル4を容易に通過することができ、洗浄ノズル4における詰まりが防止できる。
【0037】
一方、シャワーヘッドに微小穴を設けただけの噴霧方式で粒子径の平均値が150μm程度の水滴の噴霧を行う場合には上記微小穴の穴径は噴霧される水滴の粒子径程度まで小さくすることとなってしまうから、本実施形態に比べて析出物が詰まり易いものになってしまう虞があるものである。
【0038】
つまり、本実施形態では上述のように旋回流方式の浴室洗浄用ノズル4を採用しているから、電解水生成装置6の電極において析出物が発生した場合にも、上記析出物が詰まりにくい構成となっている。
【0039】
また、浴室洗浄用ノズル4に供給される洗浄液Wの流量は0.5〜2リットル/分に設定してあり、ノズル本体63内に流入する洗浄液Wは、ノズルチップ60の筒部66の流入溝70を通り、図14の矢印で示す旋回流となって筒部66内面から噴射穴60aの内周面にかけて形成されるテーパ部60cを経由して噴射穴60aに流入する。この旋回流Wは、テーパ部60cを経由することでその回転半径を縮小しながら噴射穴60a内に流入する。この流入する洗浄液Wは、噴射穴60aの内周面に旋回しながら衝突するため水滴が微細化され、噴口60bから100〜300μm程度で粒子径の平均値が150μm程度の水滴となって噴射されるものである。
【0040】
これにより、洗浄液の水滴が浴室13の空気中に浮遊しにくくなって、この水滴の温度をできるだけ維持した状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達するようになり、壁面の加熱が促進されて油汚れなどの汚れが落ちやすくなり、ぬめりや垢を十分に抑制できるようになる。
【0041】
さらに、洗浄液はミスト状に噴霧されるから、洗浄液をシャワー状に噴霧するものと比べて洗浄液を無駄に使用せず有効に使用できるようになる。例えば、洗浄液の平均粒子径が150μmでミスト状に噴霧される場合は、洗浄液の平均粒子径が1mm程度でシャワー状に噴霧される場合と比較すると、洗浄液の粒子一個の体積が約三百分の一であるから、同じ個数の洗浄液粒子を噴霧した時の洗浄液の消費量を約三百分の一にすることができるものであり、本実施形態では洗浄液をシャワー状に噴霧しないで、粒子径が1mmの数分の一程度のミスト状に噴霧するものであるから、少ない洗浄液の消費量で広い範囲に洗浄液を噴霧することが可能となると共に、洗浄の対象物以外に洗浄液が飛散した場合にも洗浄液が無駄に消費される量が少なく省資源である。そのうえ、洗浄液の消費量が少なくて済むから、電解水生成装置6やミスト用熱交換器11の処理能力は小さいものでよく、浴室洗浄装置の小型化を図ることができる。
【0042】
ところで、浴室洗浄時には、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲ができるだけ広い方が好ましい。以下、洗浄液の噴霧範囲を広げる実施形態を説明し、その後、洗浄液の噴霧範囲を遮断する実施形態を説明する。
【0043】
先ず、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲を広げる一例を説明する。
【0044】
ちなみに、ミストサウナ運転時においてミストサウナ用ノズル10から噴霧される湯水の噴霧広がり角度θ1は、図4(a)に示すように、浴室13内の入浴者が存在する場所に向けて効果的にサウナ用ミストが噴霧されるように60〜80°程度に設定されている。これにより浴室壁にはほとんどサウナ用ミストが当たらないようにできる。
【0045】
これに対して、浴室洗浄運転においては、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液の噴霧広がり角度θ2は、図4(b)に示すように、浴室13内の被洗浄物に向けて広範囲に洗浄液が噴霧されるように、100〜180°程度に設定する。これにより、洗浄液を浴室壁のほぼ全域に当てることができて浴室13の洗浄が促進される。
【0046】
また、浴室13の天井に浴室洗浄装置1を設置するにあたって、浴室洗浄用ノズル4が平面視で浴室13の中心付近に位置するとは限らず、種々の要因から、浴室洗浄用ノズル4は浴室13天井の中心部付近ではなく、例えば浴槽側壁面13aに近付いた位置(洗い場側壁面13bから遠ざかった位置)に設置される場合が多い。この場合、図5(a)に示すように、洗浄液の噴霧の中心方向が真下(洗浄液の噴霧の中心方向と鉛直線Aとの角度が0°)の時には、浴槽側壁面13aに対しては天井に近い領域まで洗浄液が到達するが、洗い場側壁面13bに対しては天井に近い領域には洗浄液が到達しにくい状態となる。このため浴槽側壁面13aに対する洗い場側壁面13bの洗浄液の噴霧高さの差Bが大きくなり、洗い場側壁面13bの洗浄高さが不十分となる。
【0047】
これを改善するために、図5(b)に示すように、浴室洗浄用ノズル4の中心方向Dを鉛直線Aよりも洗い場側壁面13b側に向けて10°〜20°の角度αで偏向して取り付けるようにするのが好ましい。これにより、浴室洗浄用ノズル4から浴槽側壁面13aまでの距離よりも、浴室洗浄用ノズル4から洗い場側壁面13bまでの距離の方が大きいことから、浴槽側壁面13aに対しては洗浄液の噴霧範囲の上限が多少低くなるものの、洗い場側壁面13bに対しては洗浄液の噴霧範囲の上限が高くなる。これにより、洗浄液の噴霧の中心方向が真下のときの差B(図5(a))に比べて、高さの差Cが小さくなり、この結果、噴霧広がり角度θ2を広げることなく、浴室壁のほぼ全域に洗浄液の噴霧範囲を広げることができる。
【0048】
また、浴槽50が浴室13の何れかの一方の壁面に隣接して設置され、ミストサウナとしての機能を備えた浴室洗浄装置1が浴槽50のほぼ真上に設置される場合が多く見受けられる。この場合、図6(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4が浴室洗浄装置1の側面視で中央部付近にあると、浴室洗浄用ノズル4から噴霧された洗浄液が浴槽50の縁50aで遮られて、浴槽50の洗い場51側のエプロン周辺部分に噴霧の死角となる領域Xが生じてしまい、この領域Xが広いため洗浄液の届く範囲が狭くなる。
【0049】
そこで、図6(b)に示すように、浴室洗浄装置1の洗い場側の端部に寄せて浴室洗浄用ノズル4を配置することで、浴室洗浄装置1の取り付け位置を変えることなく、浴室洗浄用ノズル4のみを浴室13中央側に位置させることができるようになり、これにより、噴霧された洗浄液がかかりにくい領域Yの広さを図6(a)の領域Xよりも少なくすることができる。また、しぶきによる洗浄によって狭い領域Y内にも洗浄液が届き易くなることから、洗浄液の届く範囲が広がる。
【0050】
このように、浴室洗浄装置1に対する浴室洗浄用ノズル4の取り付け角度及び取り付け位置のそれぞれの設計変更によって、洗浄液の噴霧範囲を広げることが可能となる。
【0051】
次に、洗浄液の噴霧範囲を遮断する一例を説明する。
【0052】
図8(a)に示すように、浴室壁の一部に洗浄液を噴霧したくない部位、例えば出窓52等が存在していると、浴室壁のほぼ全域にわたって洗浄液の噴霧範囲を広げた場合には、出窓52にも洗浄液が噴霧されて出窓52を濡らしてしまう不都合がある。
【0053】
そこで、本発明では、図8(b)に示すように、浴室洗浄用ノズル4の近傍位置に、出窓52への噴霧範囲を規制するための庇26を取り付けている。
【0054】
図7(a)は庇26の一例を示し、図7(b)〜(d)は庇26の取り付け状態の一例を示す。
【0055】
本例の庇26は、図7(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4を周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝27を複数備えている。具体的には、庇26は樹脂製の矩形片を円弧状に湾曲させた略半円筒面の形状をしており、その内面の軸方向と平行にV溝状の分割用溝27が周方向に間隔をあけて複数形成されており、庇26はナイフや鋏などの工具を用いて、分割用溝27の位置で分割可能となっている。庇26を分割用溝27の位置で分割することにより、庇26の円周方向の長さ寸法を適宜変更できるようになっている。
【0056】
さらに図7(b)〜(d)に示すように、上記庇26の軸方向の上端部には、固定用突起29aが突設され、浴室洗浄装置1の機器ケーシング25の下面における浴室洗浄用ノズル4周囲の庇取付部36には、浴室洗浄用ノズル4を中心とした環状の固定用ガイド溝28が凹設されており、固定用ガイド溝28の底面には上記固定用突起29aを挿入するための固定用挿入孔29bを周方向に間隔をあけて複数個設けてある。なお、固定用挿入孔29bを庇26の上端面側に設け、固定用突起29aを固定用ガイド溝28から突設させる構造も可能である。
【0057】
上記庇26を浴室洗浄用ノズル4の側方位置に取り付けるには、庇26の固定用突起29aが設けられた側の上端面を固定用ガイド溝28に挿入しながら固定用突起29aをいずれか1つの固定用挿入孔29bに挿入することで庇26が固定される。本例の固定用突起29aには、固定用突起29aが固定用挿入孔29bに挿入された状態で変形することによる反発力により固定用突起29aを固定用挿入孔29b内に保持するような、スプリング性を備えたもので構成されているから、固定用挿入孔29bに一旦取り付けられた庇26は、浴室洗浄装置1の運転による振動や自重によって不用意に浴室洗浄装置1の機器ケーシング25における庇取付部36から外れることがないものである。
【0058】
庇26の使用の具体例を図8、図9に示す。庇26により、浴室洗浄用ノズル4を中心とした円周上に円弧状障壁が形成されることになり、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液を遮ることにより庇26が存在する方向には洗浄液が飛散しないことになる。また、庇26の周方向の長さ寸法を長くすると、図9(a)に示すように、水平方向の噴霧遮断範囲Zを広げることができ、逆に、短くすると図9(b)に示すように、水平方向の噴霧遮断範囲Zを狭めることができるので、出窓52の巾寸法に応じて噴霧遮断範囲Zを容易に可変可能となる。
【0059】
また、図7(b)に示すように、固定用ガイド溝28の底面に複数設けてある固定用挿入孔29bの中から、固定用突起29aを挿入するための固定用挿入孔29bを適宜選択することにより、図9(c)或いは(d)に示すように、洗浄ノズルに対する庇26の取り付け方向が変更可能となり、出窓52の取り付け位置に応じて噴霧遮断範囲Zを任意に変更できる構造となる。
【0060】
従って、洗浄液が噴霧されて出窓52が濡れてしまうような設置条件であっても、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲を狭めたりすることなく、浴室洗浄用ノズル4から出窓52側に向かって噴霧された洗浄液を庇26で遮ることができて、洗浄液により出窓52が濡れないようにできる利点がある。
【0061】
図10は庇26の他の実施形態を示す。本例の噴霧遮断用庇26は、前記固定用ガイド溝28(図7)を設ける代わりに、図10(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4を着脱自在に保持する平面視略C字状のノズルクランプ37を庇26の上端部に一体に設けている。他の構成は図7と同様である。本例では、図10(b)に示すように、固定用突起29aを固定用挿入孔29bに挿入したときにノズルクランプ37が浴室洗浄用ノズル4の外周面に設けた環状凹溝38の略半周以上に亘って嵌合することによって、庇26が浴室洗浄用ノズル4を中心とした外周位置に保持されるようになっている。また本例の固定用突起29aはスプリング性を備えておらず、ノズルクランプ37にスプリング性を備えており、ノズルクランプ37が浴室洗浄用ノズル4を任意の角度から把持することができて、庇26の取り付け位置が変更自在となっている。また本例においても、複数設けてある固定用挿入孔29bの中から、固定用突起29aを挿入するためのいずれか1つの固定用挿入孔29bを適宜選択することで、噴霧遮断範囲の方向変換が容易となる。
【0062】
さらに他の実施形態として、上記庇26(図9、図10)の下方位置に、庇26から滴下する次亜塩素酸を含む電解水を回収するための電解水回収容器(図示せず)を配置することが望ましい。これにより浴室洗浄時に庇26から浴室13床に滴下する次亜塩素酸を含んだ洗浄液を電解水回収容器に回収できるものであり、また電解水回収容器を取り外し可能とすることで、回収した洗浄液を浴室13以外の殺菌にも使用可能となる。さらに電解水回収容器を蓋により密閉できるようにしておくことで、回収後時間が経過しても回収した洗浄液から遊離した塩素が空気中に放散されず殺菌力が維持できるのでなお好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1 浴室洗浄装置
3 ミスト噴霧装置
4 浴室洗浄用ノズル
6 電解水生成装置
10 ミストサウナ用ノズル
13 浴室
26 庇
27 分割用溝
28 固定用ガイド溝
29a 固定用突起
29b 固定用挿入孔
36 庇取付部
42 換気ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水のミスト(サウナ用ミスト)と洗浄液のミストとを噴霧するミスト噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室内に湯水のミストを噴霧してミストサウナを行うことが一般に知られているが、浴室内に発生するカビや雑菌、あるいは身体の垢等の有機汚染物質と、そこから繁殖する菌の代謝物によるぬめり等を抑制するものではなかった。
【0003】
そこで、従来から、浴室内の空気を換気する第1の機能部と、浴室内に温風を供給する第2の機能部と、湯水のミストを噴霧する第3の機能部と、浴室内に洗浄液のミストを噴霧する第4の機能部とを有する多機能乾燥装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に見られる従来例では、共通するノズルから湯水或いは洗浄液のいずれかを選択的に噴霧する構造であり、そのため、第4の機能部による浴室洗浄時において洗浄液のミストを噴霧する場合において、仮りにその水滴(洗浄液)が浴室空間を浮遊しやすい小さな粒子径であると、水滴の単位体積当たりの表面積が比較的大きくなり、落下するまでの間に該水滴の熱が浴室の空気に奪われてしまう。そのため、この水滴の熱が奪われて低温状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達してしまうこととなり、高温で且つ大粒子径の洗浄液を洗浄対象物に散布する場合と比較して、洗浄対象物を油汚れなどの汚れが落ちにくいという問題がある。
【0005】
さらに、第3の機能部によるミストサウナ運転時においては高温水のミストを噴霧する場合において、仮りにその水滴(湯水)が浴室空間を浮遊しにくい大きな粒子径であると、水滴の単位体積当たりの表面積が比較的小さくなり、該水滴の熱がほとんど浴室の空気に奪われなくなるため、浴室内の空気が加熱されないまま浴室床等に落下してしまい、高温多湿のミストサウナを体感できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−316083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ミストサウナ時に高温多湿のミストを浮遊させるものでありながら、浴室洗浄時には洗浄液のミストにより壁面の加熱が促進されて洗浄効果を高めることができるミスト噴霧装置を提供することにあり、さらに洗浄液の噴霧範囲を広げた場合であっても洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるようにしたミスト噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズル10と、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズル4とを備えると共に、上記湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また上記洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズル4、10のそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、ミストサウナ時には、ミストサウナ用ノズル10により浴室空間を浮遊し易い小さい粒子径の水滴を噴霧できるので、該水滴(湯水)の単位体積当たりの表面積が大粒子径のものと比べて大きいため、落下するまでの間に浴室13の空気の加熱が促進され、高温多湿のミストサウナを体感できる。一方、浴室洗浄時には、浴室洗浄用ノズル4から浴室空間を浮遊しにくい大きな粒子径の洗浄液のミストを噴霧できるので、該水滴(洗浄液)の単位体積当たりの表面積が上記小粒子径と比べて小さいため、温度をできるだけ高く維持した状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達できるようになり、これにより、壁面の加熱が促進されて油汚れなどの汚れが落ちやすくなり、ぬめりや垢を十分に抑制できるようになる。さらに、洗浄液はミスト状に噴霧されるから、洗浄液をシャワー状に噴霧するものと比べて洗浄液を無駄に使用せず有効に使用できるようになる。
【0010】
また、上記浴室洗浄用ノズル4の側方位置に、洗浄液の噴霧範囲を遮断するための庇26を配設するのが好ましく、この場合、庇26によって洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるようになる。
【0011】
また、上記庇26は、浴室洗浄用ノズル4を周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝27が形成されているのが好ましく、この場合、庇26の周方向の長さを可変にできるので、濡らしたくない対象物の大きさに合わせて噴霧遮断範囲Zの変更が容易となる。
【0012】
また、上記庇26の上端部とこれに対向する浴室洗浄用ノズル4周囲の庇取付部36のいずれか一方に固定用突起29aを突設し、いずれか他方に該固定用突起29aを挿入して固定する固定用挿入孔29bを設けるのが好ましく、この場合、庇26を浴室洗浄用ノズル4周囲の任意の角度で固定できるので、濡らしたくない対象物の方向に合わせて、庇26の方向を容易に変更可能となる。
【0013】
また、上記洗浄液が次亜塩素酸を含む電解水からなり、上記庇26の下方位置に、庇26から滴下する電解水を回収するための電解水回収容器を配置するのが好ましく、この場合、電解水回収容器に溜められた次亜塩素酸が含まれた電解水を、浴室以外の場所、例えば台所の水周り等の場所の殺菌にも有効利用できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ミストサウナ時には高温多湿のミストサウナを体感できるものでありながら、浴室洗浄時には洗浄液のミストにより洗浄効果を高めることができるミスト噴霧装置が得られるものである。
【0015】
また本発明は、洗浄液の噴霧範囲を広げた場合でも、庇を利用して洗浄液で濡らしたくない方向への噴霧を簡易に規制できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のミストサウナ用ノズルと浴室洗浄用ノズルとからなるミスト噴霧装置を備えた浴室暖房乾燥機の配管図である。
【図2】同上の浴室暖房乾燥機の概略構成図である。
【図3】同上の浴室暖房乾燥機を浴室の天井部に設置した場合の斜視図である
【図4】(a)は同上のミストサウナ用ノズルの噴霧範囲の説明図であり、(b)は同上の浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲の説明図である。
【図5】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの取り付け角度を真下に向けた状態における噴霧範囲の説明図であり、(b)は浴室洗浄用ノズルの取り付け角度を真下よりも洗い場側に傾けて取り付けた状態における噴霧範囲の説明図である。
【図6】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルを浴室洗浄装置の中央側に設置した場合の噴霧範囲の説明図であり、(b)は局部洗浄ノズルを浴室洗浄装置の洗い場側の端部に設置した場合の噴霧範囲の説明図である。
【図7】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの側方位置に配置される庇の斜視図であり、(b)〜(d)は同上の庇を浴室洗浄用ノズル周辺の庇取付部に対して取り付ける場合の説明図である。
【図8】(a)は同上の浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲内に出窓が存在する場合の説明図であり、(b)は同上の庇によって出窓に洗浄液がかからないように浴室洗浄用ノズルの噴霧範囲を遮断する場合の説明図である。
【図9】(a)は同上の庇の周方向の長さを長くした場合の噴霧遮断範囲の説明図であり、(b)は同上の庇の周方向の長さを短くした場合の噴霧遮断範囲の説明図であり、(c)、(d)は同上の浴室洗浄用ノズルに対する庇の取り付け方向を変更する場合の説明図である。
【図10】(a)は同上の庇にノズルクランプを設けた場合の他例を示す斜視図であり、(b)はこの庇を浴室洗浄用ノズルに保持した状態の説明図である。
【図11】同上の暖房機本体、電解水生成装置、ミスト噴霧装置、換気ファン等を制御する制御部の説明図である。
【図12】同上の浴室洗浄用ノズルの断面図である。
【図13】(a)は同上の浴室洗浄用ノズル内部に組み込まれるノズルチップを示し、(b)のE−E線に沿う断面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図14】(a)は同上のノズルチップの斜視図であり、(b)は洗浄液が旋回流となってノズルチップの流入溝からテーパ部を経て噴射穴内に流入する状態を説明する一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
図1は本発明のミスト噴霧装置を備えた浴室暖房乾燥機の配管例であり、図2は浴室暖房乾燥機の構成図であり、図3は浴室暖房乾燥機の設置例の説明図である。
【0019】
本実施形態の浴室洗浄装置1は、ミストサウナとしての機能、浴室暖房換気装置としての機能、次亜塩素酸を含む電解水による浴室洗浄機能をそれぞれ備えており、浴室13の天井部に設置される。なお図3中の15は浴室13外に設置されるリモコン操作部であり、ミストサウナ運転スイッチ、浴室洗浄スイッチ、暖房運転スイッチ、換気運転スイッチ、乾燥運転スイッチ、涼風運転スイッチ等のスイッチ類(図示せず)が設けられている。
【0020】
浴室洗浄装置1は、図1に示すように、浴室13内に温風を供給する暖房機本体2と、通電により次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解水生成装置6と、ミストサウナ用ノズル10と浴室洗浄用ノズル4とを備えるミスト噴霧装置3と、浴室13内の空気を吸い込んで屋外に排出する換気ファン42と、これらを制御する制御部39(図11)とで主体が構成されている。
【0021】
制御部39は、リモコン操作部15から指令されるリモコン信号以外に、浴室温度センサー9、温水往き温度センサー17、ミスト温度センサー18、温水戻り温度センサー21からの各検知信号を受信すると共に、各検知結果に基づいて暖房機本体2、ミスト噴霧装置3の電磁弁22、23、電解水生成装置6、換気ファン42等の各構成部品を駆動制御するマイクロコンピュータにより構成される。
【0022】
換気ファン42は、図2に示すように、換気用ダクト41内に設けられ、換気ファン42と換気用ダクト41の換気出口との間に、逆風圧などによる屋外からの空気の逆流を防止する逆流防止シャッター24を備えている。逆流防止シャッター24は換気時には換気による風圧により支点を中心に揺動することで開放され、換気を停止すると自重により換気用ダクト41を閉塞し、外気が浴室13内に侵入することを防止する。換気時に、ファンモータ35を作動させると浴室13内の空気は換気ファン42により換気用ダクト41及びベントキャップ40を経て、浴室13外の屋外空間に放出されるようになっている。
【0023】
本浴室洗浄装置1の機器ケーシング25内には、図1に示すように、循環ファン5と、循環ファン5により通風される空気を熱源機14(図3)から供給される温水により加熱する暖房用熱交換器7と、暖房用熱交換器7への温水の供給量を調節する熱動弁8とがそれぞれ収納されている。暖房用熱交換器7は、熱源機14からの温水が循環する暖房用温水管路16の途中に配置され、熱動弁8を開放することで、循環ファン5からの風が暖房用熱交換器7により加熱されて、下方の温風吹き出し口31に設けた可動ルーバー30(図2)から浴室13内に供給されるようになっている。さらに暖房用温水管路16の途中には、機器ケーシング25上に設置されるミストボックス32内に収納された液々熱交換器からなるミスト用熱交換器11を加熱するためのミスト加熱用温水管路19が分岐接続されている。ミスト加熱用温水管路19の上流端は暖房用温水管路16の熱動弁8よりも上流位置に分岐接続され、ミスト加熱用温水管路19の下流端は暖房用温水管路16の暖房用熱交換器7よりも下流位置に合流している。
【0024】
さらに上記ミストボックス32から機器ケーシング25に亘って、浴室洗浄兼ミスト用給水管路20が配管されており、この管路途中にミスト用熱交換器11が配置されている。浴室洗浄兼ミスト用給水管路20のミスト用熱交換器11よりも上流側には、後述する電解水生成装置6を介して、外部の水道管に接続されている。浴室洗浄兼ミスト用給水管路20のミスト用熱交換器11よりも下流側の部分はミストサウナ用電磁弁22及び浴室洗浄用電磁弁23の2方向に分岐し、ミストサウナ用電磁弁22の下流側にはミストサウナ用ノズル10が接続され、浴室洗浄用電磁弁23の下流側には浴室洗浄用ノズル4が接続されている。これら浴室洗浄用ノズル4及びミストサウナ用ノズル10は、それぞれ、機器ケーシング25下面の開口孔から浴室13内に臨んで配置されている。本例では、ミストサウナ用電磁弁22が開弁した時には粒子径が50〜100μm程度の水滴が噴霧されミストサウナを楽しむことができ、浴室洗浄用電磁弁23が開弁した時には浴室洗浄用ノズル4から粒子径が100〜300μm程度の水滴が噴霧されて浴室洗浄に供される。
【0025】
また、上記暖房用温水管路16から分岐されたミスト加熱用温水管路19の途中には、ミスト加熱用温水管路19からミスト用熱交換器11に供給される水温が適切になったときにミスト用熱交換器11に供給される温水の流量の調節を行う水比例弁12と、ミスト用熱交換器11からの循環温水の戻り温度を検知するための温水戻り温度センサー21とがそれぞれ設置されている。なお、水比例弁12を全閉にすることによりミスト用熱交換器11に供給される温水を遮断することが可能である。さらにミスト用熱交換器11から吐出する水の温度を検知するためのミスト温度センサー18が設置されている。
【0026】
上記電解水生成装置6は、被電解水に浸漬した電極間に電流を流して次亜塩素酸を含む電解水を生成する電解槽を備えたものであり、電解槽への直流電流の通電により、正極では、供給される水道水中に含まれる塩素イオン(2Cl−)が酸化反応により電子(2e−)を奪われて塩素(Cl2)が発生すると共に、液中では、発生した塩素(Cl2)が水(H2O)と反応して殺菌作用がある次亜塩素酸(HOCl)が生成される。負極では、還元反応により水素イオン(2H+)と電子(2e−)とが結合して水素ガス(H2)が発生するものである。
【0027】
次に、ミストサウナ運転開始動作の一例を説明する。リモコン操作部15のミストサウナ運転スイッチを押すと制御部39(図11)にミストサウナ運転開始を指令する信号が送られ、温水供給用の熱源機14(図3)に運転信号を出し、熱源機14が暖房運転を開始する。次いで、温風側の熱動弁8、ミスト側の水比例弁12がそれぞれ開き、80℃の循環温水が暖房用温水管路16内及びミスト加熱用温水管路19内を循環し始める。次いで、温水往き温度が60℃以上になると、循環ファン5がONとなり、浴室13に温風を送る。その後、浴室温度が25℃以上になるとミストサウナ用電磁弁22を開いて、ミストサウナ用ノズル10から湯水のミスト噴霧が開始される。
【0028】
次に、浴室洗浄運転動作の一例を説明する。以下、洗浄に用いる温水又は電解水を総称して、洗浄液と定義する。
【0029】
先ず温水による浴室洗浄を説明する。リモコン操作部15の浴室洗浄スイッチを押すと、制御部39に浴室洗浄運転開始を指令する信号が送られ、温水供給用の熱源機14(図3)に運転信号を出し、熱源機14が暖房運転を開始する。次いで、ミスト側の水比例弁12が開き、80℃の循環温水がミスト加熱用温水管路19内を循環し始め、ミスト用熱交換器11に温水が供給される。その後、浴室洗浄用電磁弁23を開いて、浴室洗浄ノズルから温水(洗浄液)のミスト噴霧を開始する。このように温水を噴霧することで、石鹸カスや皮脂等を効果的に洗い流すことが可能である。
【0030】
なお、温水による洗浄では、温度が上昇してカビや雑菌等の微生物が繁殖しやすい状態にある。そこで、洗浄した後に浴室壁等の被洗浄物の温度を低下させるため、ミスト側の水比例弁12を全閉とし、熱源機14からの循環温水のミスト加熱用温水管路19への流入を停止することで、ミスト用熱交換器11の加熱が停止され、浴室洗浄ノズルから噴霧される洗浄液の温度は供給される水温(常温)程度にまで低下させることができる。
【0031】
一方、洗浄効果をより高めるために、浴室洗浄運転中に、制御部39からの指令により、電解水生成装置6に通電して次亜塩素酸を発生させ、次亜塩素酸が含まれた電解水を浴室洗浄ノズルから噴霧させる。これにより、次亜塩素酸の殺菌効果により、温水の場合と比較して、被洗浄物の殺菌をより効果的に行うことができる。
【0032】
ここで、本発明においては、ミストサウナ用ノズル10から噴霧されるサウナ用ミストの水滴の粒子径を、50〜100μm程度とし、100μm以下のものが大半を占めるようにミストサウナ用ノズル10のノズル孔径と噴霧流量とを設定してある。具体的には、ミストサウナ用ノズル10のノズルの孔径は0.7mm程度、噴霧流量は0.25〜0.5リットル/分に設定してある。これによりサウナ用ミストの水滴が浴室空間を浮遊し易くなって、浴室床等に落下するまでの間に、該水滴(温水)と浴室13内の空気との熱交換により浴室13の空気の加熱が促進されるようになる。従って、高温多湿のミストサウナを体感できるようになる。
【0033】
一方、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液の水滴(温水又は次亜塩素酸を含む電解水)の粒子径については、空中に浮遊しにくい程度の100〜300μm程度とし、粒子径の平均値が150μm程度となるように浴室洗浄用ノズル4のノズル孔径と噴霧流量とが設定されている。以下、具体的に説明する。
【0034】
例えば、粒子の平均粒子径が150μm程度であるミストを噴霧する具体的な構成は種々あるが、本実施形態では浴室洗浄用ノズル4のノズル本体63内に、旋回流発生手段を設けたノズルチップ60を備え、このノズルチップ60の噴射穴60aから旋回流の噴霧を発生させる構成としている。さらに具体的には、図12に示すように、浴室洗浄用ノズル4は、筒状のノズル本体63と、該ノズル本体63内部に固定されるセラミック製のノズルチップ60とを備える。本実施形態では、ノズル本体63は銅にメッキを施し成形している。セラミック製のノズルチップ60は、図13(a)(b)に示すように、大略円筒形状とし、ノズルチップ60の上流側端面に流入溝70を有する筒部66が形成され、ノズルチップ60の下流側端面中央にノズル本体63の出口65に通じる噴口60bが形成され、筒部66から噴口60bに向かってテーパ部60cと噴射穴60aとが順次形成されている。噴射穴60aの穴径は筒部66の内径よりも小さく設定され、テーパ部60cは上流側端部が筒部66の内周面に連続し且つ下流側端部が噴射穴60aの内周面に連続するような円錐面状に形成されている。
【0035】
筒部66の前端開放端は、ノズル本体63内部に設けたスプリング62で付勢されたクローザ61によって閉じられている。筒部66の周方向の2箇所には一対の流入溝70が切欠形成されている。各流入溝70は、筒部66外周の流入溝入口70aから筒部66の内面壁60dの流入溝出口70bに向けて形成されており、ノズル本体63内に流入する洗浄液Wは流入溝70を経由してノズルチップ60内に流入する。
【0036】
本実施形態では、流入溝入口70aと流入溝出口70bとを結ぶ流入溝70の中心線は、噴射穴60aを通る中心線E(図13(b)、図14(a))ではなく、筒部66の内面壁60d側に偏向させて流入溝70が形成されている。つまり、流入溝70の中心線が筒部66の内面壁60dに略平行となるように傾いているから、流入溝入口70aから流入して流入溝出口70bを経てノズルチップ60内に導入される洗浄液Wの流れは、図14の矢印で示す旋回流となってノズルチップ60内に導入される。なお、噴射穴60aの直径は0.5〜1mm程度、流入溝70の溝幅は0.5〜1mm程度にしてある。これにより、洗浄ノズル4において洗浄液Wが通過する最小狭部寸法(本実施形態では流入溝70の溝幅)を0.5〜1mm程度とすることができるから、電解水生成装置6の電極において析出物が発生した場合にも、この析出物は洗浄ノズル4を容易に通過することができ、洗浄ノズル4における詰まりが防止できる。
【0037】
一方、シャワーヘッドに微小穴を設けただけの噴霧方式で粒子径の平均値が150μm程度の水滴の噴霧を行う場合には上記微小穴の穴径は噴霧される水滴の粒子径程度まで小さくすることとなってしまうから、本実施形態に比べて析出物が詰まり易いものになってしまう虞があるものである。
【0038】
つまり、本実施形態では上述のように旋回流方式の浴室洗浄用ノズル4を採用しているから、電解水生成装置6の電極において析出物が発生した場合にも、上記析出物が詰まりにくい構成となっている。
【0039】
また、浴室洗浄用ノズル4に供給される洗浄液Wの流量は0.5〜2リットル/分に設定してあり、ノズル本体63内に流入する洗浄液Wは、ノズルチップ60の筒部66の流入溝70を通り、図14の矢印で示す旋回流となって筒部66内面から噴射穴60aの内周面にかけて形成されるテーパ部60cを経由して噴射穴60aに流入する。この旋回流Wは、テーパ部60cを経由することでその回転半径を縮小しながら噴射穴60a内に流入する。この流入する洗浄液Wは、噴射穴60aの内周面に旋回しながら衝突するため水滴が微細化され、噴口60bから100〜300μm程度で粒子径の平均値が150μm程度の水滴となって噴射されるものである。
【0040】
これにより、洗浄液の水滴が浴室13の空気中に浮遊しにくくなって、この水滴の温度をできるだけ維持した状態で浴室壁などの洗浄対象物に到達するようになり、壁面の加熱が促進されて油汚れなどの汚れが落ちやすくなり、ぬめりや垢を十分に抑制できるようになる。
【0041】
さらに、洗浄液はミスト状に噴霧されるから、洗浄液をシャワー状に噴霧するものと比べて洗浄液を無駄に使用せず有効に使用できるようになる。例えば、洗浄液の平均粒子径が150μmでミスト状に噴霧される場合は、洗浄液の平均粒子径が1mm程度でシャワー状に噴霧される場合と比較すると、洗浄液の粒子一個の体積が約三百分の一であるから、同じ個数の洗浄液粒子を噴霧した時の洗浄液の消費量を約三百分の一にすることができるものであり、本実施形態では洗浄液をシャワー状に噴霧しないで、粒子径が1mmの数分の一程度のミスト状に噴霧するものであるから、少ない洗浄液の消費量で広い範囲に洗浄液を噴霧することが可能となると共に、洗浄の対象物以外に洗浄液が飛散した場合にも洗浄液が無駄に消費される量が少なく省資源である。そのうえ、洗浄液の消費量が少なくて済むから、電解水生成装置6やミスト用熱交換器11の処理能力は小さいものでよく、浴室洗浄装置の小型化を図ることができる。
【0042】
ところで、浴室洗浄時には、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲ができるだけ広い方が好ましい。以下、洗浄液の噴霧範囲を広げる実施形態を説明し、その後、洗浄液の噴霧範囲を遮断する実施形態を説明する。
【0043】
先ず、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲を広げる一例を説明する。
【0044】
ちなみに、ミストサウナ運転時においてミストサウナ用ノズル10から噴霧される湯水の噴霧広がり角度θ1は、図4(a)に示すように、浴室13内の入浴者が存在する場所に向けて効果的にサウナ用ミストが噴霧されるように60〜80°程度に設定されている。これにより浴室壁にはほとんどサウナ用ミストが当たらないようにできる。
【0045】
これに対して、浴室洗浄運転においては、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液の噴霧広がり角度θ2は、図4(b)に示すように、浴室13内の被洗浄物に向けて広範囲に洗浄液が噴霧されるように、100〜180°程度に設定する。これにより、洗浄液を浴室壁のほぼ全域に当てることができて浴室13の洗浄が促進される。
【0046】
また、浴室13の天井に浴室洗浄装置1を設置するにあたって、浴室洗浄用ノズル4が平面視で浴室13の中心付近に位置するとは限らず、種々の要因から、浴室洗浄用ノズル4は浴室13天井の中心部付近ではなく、例えば浴槽側壁面13aに近付いた位置(洗い場側壁面13bから遠ざかった位置)に設置される場合が多い。この場合、図5(a)に示すように、洗浄液の噴霧の中心方向が真下(洗浄液の噴霧の中心方向と鉛直線Aとの角度が0°)の時には、浴槽側壁面13aに対しては天井に近い領域まで洗浄液が到達するが、洗い場側壁面13bに対しては天井に近い領域には洗浄液が到達しにくい状態となる。このため浴槽側壁面13aに対する洗い場側壁面13bの洗浄液の噴霧高さの差Bが大きくなり、洗い場側壁面13bの洗浄高さが不十分となる。
【0047】
これを改善するために、図5(b)に示すように、浴室洗浄用ノズル4の中心方向Dを鉛直線Aよりも洗い場側壁面13b側に向けて10°〜20°の角度αで偏向して取り付けるようにするのが好ましい。これにより、浴室洗浄用ノズル4から浴槽側壁面13aまでの距離よりも、浴室洗浄用ノズル4から洗い場側壁面13bまでの距離の方が大きいことから、浴槽側壁面13aに対しては洗浄液の噴霧範囲の上限が多少低くなるものの、洗い場側壁面13bに対しては洗浄液の噴霧範囲の上限が高くなる。これにより、洗浄液の噴霧の中心方向が真下のときの差B(図5(a))に比べて、高さの差Cが小さくなり、この結果、噴霧広がり角度θ2を広げることなく、浴室壁のほぼ全域に洗浄液の噴霧範囲を広げることができる。
【0048】
また、浴槽50が浴室13の何れかの一方の壁面に隣接して設置され、ミストサウナとしての機能を備えた浴室洗浄装置1が浴槽50のほぼ真上に設置される場合が多く見受けられる。この場合、図6(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4が浴室洗浄装置1の側面視で中央部付近にあると、浴室洗浄用ノズル4から噴霧された洗浄液が浴槽50の縁50aで遮られて、浴槽50の洗い場51側のエプロン周辺部分に噴霧の死角となる領域Xが生じてしまい、この領域Xが広いため洗浄液の届く範囲が狭くなる。
【0049】
そこで、図6(b)に示すように、浴室洗浄装置1の洗い場側の端部に寄せて浴室洗浄用ノズル4を配置することで、浴室洗浄装置1の取り付け位置を変えることなく、浴室洗浄用ノズル4のみを浴室13中央側に位置させることができるようになり、これにより、噴霧された洗浄液がかかりにくい領域Yの広さを図6(a)の領域Xよりも少なくすることができる。また、しぶきによる洗浄によって狭い領域Y内にも洗浄液が届き易くなることから、洗浄液の届く範囲が広がる。
【0050】
このように、浴室洗浄装置1に対する浴室洗浄用ノズル4の取り付け角度及び取り付け位置のそれぞれの設計変更によって、洗浄液の噴霧範囲を広げることが可能となる。
【0051】
次に、洗浄液の噴霧範囲を遮断する一例を説明する。
【0052】
図8(a)に示すように、浴室壁の一部に洗浄液を噴霧したくない部位、例えば出窓52等が存在していると、浴室壁のほぼ全域にわたって洗浄液の噴霧範囲を広げた場合には、出窓52にも洗浄液が噴霧されて出窓52を濡らしてしまう不都合がある。
【0053】
そこで、本発明では、図8(b)に示すように、浴室洗浄用ノズル4の近傍位置に、出窓52への噴霧範囲を規制するための庇26を取り付けている。
【0054】
図7(a)は庇26の一例を示し、図7(b)〜(d)は庇26の取り付け状態の一例を示す。
【0055】
本例の庇26は、図7(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4を周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝27を複数備えている。具体的には、庇26は樹脂製の矩形片を円弧状に湾曲させた略半円筒面の形状をしており、その内面の軸方向と平行にV溝状の分割用溝27が周方向に間隔をあけて複数形成されており、庇26はナイフや鋏などの工具を用いて、分割用溝27の位置で分割可能となっている。庇26を分割用溝27の位置で分割することにより、庇26の円周方向の長さ寸法を適宜変更できるようになっている。
【0056】
さらに図7(b)〜(d)に示すように、上記庇26の軸方向の上端部には、固定用突起29aが突設され、浴室洗浄装置1の機器ケーシング25の下面における浴室洗浄用ノズル4周囲の庇取付部36には、浴室洗浄用ノズル4を中心とした環状の固定用ガイド溝28が凹設されており、固定用ガイド溝28の底面には上記固定用突起29aを挿入するための固定用挿入孔29bを周方向に間隔をあけて複数個設けてある。なお、固定用挿入孔29bを庇26の上端面側に設け、固定用突起29aを固定用ガイド溝28から突設させる構造も可能である。
【0057】
上記庇26を浴室洗浄用ノズル4の側方位置に取り付けるには、庇26の固定用突起29aが設けられた側の上端面を固定用ガイド溝28に挿入しながら固定用突起29aをいずれか1つの固定用挿入孔29bに挿入することで庇26が固定される。本例の固定用突起29aには、固定用突起29aが固定用挿入孔29bに挿入された状態で変形することによる反発力により固定用突起29aを固定用挿入孔29b内に保持するような、スプリング性を備えたもので構成されているから、固定用挿入孔29bに一旦取り付けられた庇26は、浴室洗浄装置1の運転による振動や自重によって不用意に浴室洗浄装置1の機器ケーシング25における庇取付部36から外れることがないものである。
【0058】
庇26の使用の具体例を図8、図9に示す。庇26により、浴室洗浄用ノズル4を中心とした円周上に円弧状障壁が形成されることになり、浴室洗浄用ノズル4から噴霧される洗浄液を遮ることにより庇26が存在する方向には洗浄液が飛散しないことになる。また、庇26の周方向の長さ寸法を長くすると、図9(a)に示すように、水平方向の噴霧遮断範囲Zを広げることができ、逆に、短くすると図9(b)に示すように、水平方向の噴霧遮断範囲Zを狭めることができるので、出窓52の巾寸法に応じて噴霧遮断範囲Zを容易に可変可能となる。
【0059】
また、図7(b)に示すように、固定用ガイド溝28の底面に複数設けてある固定用挿入孔29bの中から、固定用突起29aを挿入するための固定用挿入孔29bを適宜選択することにより、図9(c)或いは(d)に示すように、洗浄ノズルに対する庇26の取り付け方向が変更可能となり、出窓52の取り付け位置に応じて噴霧遮断範囲Zを任意に変更できる構造となる。
【0060】
従って、洗浄液が噴霧されて出窓52が濡れてしまうような設置条件であっても、浴室洗浄用ノズル4からの洗浄液の噴霧範囲を狭めたりすることなく、浴室洗浄用ノズル4から出窓52側に向かって噴霧された洗浄液を庇26で遮ることができて、洗浄液により出窓52が濡れないようにできる利点がある。
【0061】
図10は庇26の他の実施形態を示す。本例の噴霧遮断用庇26は、前記固定用ガイド溝28(図7)を設ける代わりに、図10(a)に示すように、浴室洗浄用ノズル4を着脱自在に保持する平面視略C字状のノズルクランプ37を庇26の上端部に一体に設けている。他の構成は図7と同様である。本例では、図10(b)に示すように、固定用突起29aを固定用挿入孔29bに挿入したときにノズルクランプ37が浴室洗浄用ノズル4の外周面に設けた環状凹溝38の略半周以上に亘って嵌合することによって、庇26が浴室洗浄用ノズル4を中心とした外周位置に保持されるようになっている。また本例の固定用突起29aはスプリング性を備えておらず、ノズルクランプ37にスプリング性を備えており、ノズルクランプ37が浴室洗浄用ノズル4を任意の角度から把持することができて、庇26の取り付け位置が変更自在となっている。また本例においても、複数設けてある固定用挿入孔29bの中から、固定用突起29aを挿入するためのいずれか1つの固定用挿入孔29bを適宜選択することで、噴霧遮断範囲の方向変換が容易となる。
【0062】
さらに他の実施形態として、上記庇26(図9、図10)の下方位置に、庇26から滴下する次亜塩素酸を含む電解水を回収するための電解水回収容器(図示せず)を配置することが望ましい。これにより浴室洗浄時に庇26から浴室13床に滴下する次亜塩素酸を含んだ洗浄液を電解水回収容器に回収できるものであり、また電解水回収容器を取り外し可能とすることで、回収した洗浄液を浴室13以外の殺菌にも使用可能となる。さらに電解水回収容器を蓋により密閉できるようにしておくことで、回収後時間が経過しても回収した洗浄液から遊離した塩素が空気中に放散されず殺菌力が維持できるのでなお好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1 浴室洗浄装置
3 ミスト噴霧装置
4 浴室洗浄用ノズル
6 電解水生成装置
10 ミストサウナ用ノズル
13 浴室
26 庇
27 分割用溝
28 固定用ガイド溝
29a 固定用突起
29b 固定用挿入孔
36 庇取付部
42 換気ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズルと、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズルとを備えると共に、上記湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また上記洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズルのそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されていることを特徴とするミスト噴霧装置。
【請求項2】
上記浴室洗浄用ノズルの側方位置に、洗浄液の噴霧範囲を遮断するための庇を配設したことを特徴とする請求項1記載のミスト噴霧装置。
【請求項3】
上記庇は、浴室洗浄用ノズルを周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝が形成されていることを特徴とする請求項2記載のミスト噴霧装置。
【請求項4】
上記庇の上端部とこれに対向する浴室洗浄用ノズル周囲の庇取付部のいずれか一方に固定用突起を突設し、いずれか他方に該固定用突起を挿入して固定する固定用挿入孔を設けてなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のミスト噴霧装置。
【請求項5】
上記洗浄液が次亜塩素酸を含む電解水からなり、上記庇の下方位置に、庇から滴下する電解水を回収するための電解水回収容器を配置してなることを特徴とする請求項2、3、4のいずれか1項に記載のミスト噴霧装置。
【請求項1】
湯水のミストを噴霧するミストサウナ用ノズルと、浴室洗浄時に洗浄液のミストを噴霧する浴室洗浄用ノズルとを備えると共に、上記湯水のミストが空中に浮遊しやすい程度の小さい粒子径となり、また上記洗浄液のミストが空中に浮遊しにくい程度の大きい粒子径となるように、上記各ノズルのそれぞれのノズル孔径と噴霧流量とが設定されていることを特徴とするミスト噴霧装置。
【請求項2】
上記浴室洗浄用ノズルの側方位置に、洗浄液の噴霧範囲を遮断するための庇を配設したことを特徴とする請求項1記載のミスト噴霧装置。
【請求項3】
上記庇は、浴室洗浄用ノズルを周回する略円環状に形成されると共に周方向の所定長さに分割可能とする分割用溝が形成されていることを特徴とする請求項2記載のミスト噴霧装置。
【請求項4】
上記庇の上端部とこれに対向する浴室洗浄用ノズル周囲の庇取付部のいずれか一方に固定用突起を突設し、いずれか他方に該固定用突起を挿入して固定する固定用挿入孔を設けてなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のミスト噴霧装置。
【請求項5】
上記洗浄液が次亜塩素酸を含む電解水からなり、上記庇の下方位置に、庇から滴下する電解水を回収するための電解水回収容器を配置してなることを特徴とする請求項2、3、4のいずれか1項に記載のミスト噴霧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−41756(P2011−41756A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193414(P2009−193414)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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