説明

ミスト噴頭

【課題】簡易な構成で低コスト化を図りつつ、ミストノズルを支持する支持部の長さを十分に長くして十分に支持すると共に支持部の高さを低くしてコンパクト化を図り、さらに、気流の乱れを低減し噴霧能力を十分に発揮する。
【解決手段】ミストノズル3を噴頭本体2に斜めに差し込むという簡易な構成で低コスト化を図りつつ、ミストノズル3が差し込まれて当該ミストノズル3を支持する噴頭本体2の斜めの支持部2bにより、その長さを十分に長くしてミストノズル3を十分に支持すると共に支持部2bの高さHを低くしてコンパクト化を図り、さらに、噴頭本体2の軸線方向に平行なミストノズル3の筒状平断面を流線形状(幅狭な扁平形状)として気流の乱れを低減し噴霧能力を十分に発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト噴頭に関する。
【背景技術】
【0002】
ミスト噴頭とは、以下の特許文献1に記載されているように、筒状を成す噴頭本体と、この噴頭本体に対して直交する方向から内部に進入し当該噴頭本体の軸心位置で前側に向かって曲げられその先端に吐出口が設けられたミストノズルとを具備するものであり、このミスト噴頭を装着した動力散布機にあっては、噴頭本体に高速気流を流すと共にミストノズルから薬液を吐出することで、薬液を高速気流に乗せて遠方まで噴霧するようになっている。
【特許文献1】実公昭62−42773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記公報に記載のものにあっては、噴頭本体とミストノズルとが一体化された形状であり、構造が複雑になるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、簡易な構成で低コスト化が図られるミスト噴頭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるミスト噴頭(1)は、筒状を成し気流を流すための噴頭本体(2)と、薬液を吐出するためのミストノズル(3)と、を備えたミスト噴頭(1)において、ミストノズル(3)を噴頭本体(2)に対して斜めに差し込む構成としたことを特徴としている。
【0006】
このようなミスト噴頭(1)によれば、ミストノズル(3)を噴頭本体(2)に斜めに差し込むという簡易な構成で低コスト化が図られつつ、ミストノズル(3)が差し込まれて当該ミストノズル(3)を支持する噴頭本体(2)の支持部(2b)が斜めとされその長さが十分に長くされてミストノズル(3)を十分に支持することが可能とされると共に、支持部(2b)の高さ(H)が低くされてコンパクト化が可能とされ、さらに、噴頭本体(2)の軸線方向に平行なミストノズル(3)の筒状平断面が流線形状とされて気流の乱れが低減され噴霧能力が十分に発揮される。
【0007】
ここで、ミストノズル(3)の噴頭本体(2)に対する差込部(3b)、及び、この差込部(3b)が差し込まれる噴頭本体(2)の差込孔(2c)は、その軸心に対する垂直断面形状が略楕円形状を成していると、ミストノズル(3)の噴頭本体(2)に対する回動が阻止され、ミストノズル(3)が常に正確な方向を向くように装着されると共に、噴頭本体(2)の軸線方向に平行なミストノズル(3)の筒状平断面が一層流線形状とされて気流の乱れが一層低減され噴霧能力が一層十分に発揮される。また、このように軸線に対する垂直断面形状が略楕円形状を成すミストノズル(3)は、成型によるバラツキが多角形形状に比して少なく、安定した成形が可能とされる。
【0008】
また、ミストノズル(3)が屈曲構造であると、当該ミストノズル(3)の屈曲部(3d)が噴頭本体(2)の支持部(2b)に当接するまで差し込む構成とすることで、ノズル吐出口(3a)の差し込み高さ位置が常に一定で正確な位置とされる。
【0009】
また、噴頭本体(2)とミストノズル(3)とをブロー成形で一体成形し、ミストノズル(3)をブロー成形のランナー部(14b)とするのが好ましい。このような構成を採用した場合、噴頭本体(2)及びミストノズル(3)を容易に共取りでき、低コスト化が一層図られる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によるミスト噴頭(1)によれば、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、ミストノズル(3)に対する支持部(2b)の長さを十分に長くしてミストノズル(3)を十分に支持すると共に支持部(2b)の高さ(H)を低くしてコンパクト化を図り、さらに、気流の乱れを低減し噴霧能力を十分に発揮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るミスト噴頭の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るミスト噴頭を示す一部破断側面図、図2は、ミスト噴頭の正面図、図3は、噴頭本体を示す斜視図、図4は、ミストノズルを示す斜視図、図5は、ミストノズルの縦断面図、図6は、図5のVI-VI矢視図、図7は、噴頭本体及びミストノズルを同時に成形するブロー成形の説明図、図8は、ミスト噴頭が適用された背負動力散布機を示す概略背面図であり、図1に示すように、本実施形態のミスト噴頭1は、噴頭本体2と、ミストノズル3とを備え、図8に示す背負動力散布機100に装着されるものである。
【0012】
図8に示すように、背負動力散布機100は概略、エンジン10、薬液タンク11を搭載すると共に機内に送風機(不図示)を備え、エンジン10が駆動されると、送風機が回転駆動して高速気流が発生し、この高速気流が送気管12を介して、当該送気管12の先端に装着されたミスト噴頭1の噴頭本体2に流れると共に、薬液タンク11に貯留された薬液が上記高速気流の一部により加圧されて仮想線で示す送液管13を介してミスト噴頭1のミストノズル3に流れ当該ミストノズル3の先端のノズル吐出口3a(図1及び図2参照)から吐出することで、薬液が高速気流に乗せられて遠方まで噴霧できるものである。
【0013】
以下、ミスト噴頭1について詳説する。このミスト噴頭1を構成する噴頭本体2は、図1〜図3に示すように、円筒状を成し、先端がラッパ状に拡大する構成とされている。この噴頭本体2の胴部2aの先端側には、ミストノズル3を支持するための支持部2bが設けられている。
【0014】
この支持部2bは、その軸心に対する垂直断面形状が楕円形状を成す楕円筒を、その胴部側の端部(図1の下端部)が先端側(図1の左側)に位置すると共に反胴部側の端部(図1の上端部)が後側(図1の右側)に位置するように斜めに胴部2aに設けたものであり、楕円筒の筒孔である差込孔2cが胴部2a内に連通する構成とされている。この支持部2bは、所定の高さHを有している。
【0015】
また、ミスト噴頭1を構成するミストノズル3は、図1、図4及び図5に示すように、傾斜筒部3cと、この傾斜筒部3cの外方側(図1の上側)の端部に連設された屈曲部3dと、を備える構成とされている。
【0016】
傾斜筒部3cは、その軸心に対する垂直断面形状が楕円形状(図6参照)を成す楕円筒を、斜めに配置したものであり、その屈曲部3d側に、支持部2bの差込孔2cに差し込まれる差込部3bを有すると共に、その先端側の端部(図1の下端部)に、先端側に向かって開口する前述したノズル吐出口3aを有する。そして、この傾斜筒部3cの差込部3bの外形形状と、当該差込部3bが差し込まれる支持部2bの差込孔2cの形状とは、同形状とされている。また、この傾斜筒部3cは、図2及び図4に示すように、先端側を先細とすべく差込部3bよりノズル吐出口3a側の部分が、ノズル吐出口3a側に行くに従い徐々に楕円筒が小さくされる(本実施形態では、長軸側の径は同じで短軸側の径が徐々に小さくされる)構成とされている。
【0017】
屈曲部3dは、傾斜筒部3cの端部に続く楕円筒であり、図1に示すように、その軸心が噴頭本体2の軸線に沿うように傾斜筒部3cに対して屈曲されている。
【0018】
そして、このような傾斜筒部3c及び屈曲部3dを有するミストノズル3は、その傾斜筒部3cの差込部3bが噴頭本体2の支持部2bの差込孔2cに差し込まれて支持・装着され、圧入や接着が不要とされている。また、この状態で、噴頭本体2の支持部2bの外側の平端面(図1の上端面)に、ミストノズル3の屈曲部3dが当接した状態とされている。
【0019】
このように構成されたミスト噴頭1によれば、ミストノズル3を噴頭本体2に斜めに差し込むという簡易な構成で低コスト化が図られつつ、ミストノズル3が差し込まれて当該ミストノズル3を支持する噴頭本体2の支持部2bが斜めとされその長さが十分に長くされてミストノズル3を十分に支持することが可能とされると共に、支持部2bの高さHが低くされてコンパクト化が可能とされ、さらに、噴頭本体2の軸線方向に平行なミストノズル3の筒状平断面が流線形状(幅狭な扁平形状)とされて気流の乱れが低減され噴霧能力が十分に発揮されるようになっている。
【0020】
また、ミストノズル3の差込部3b、及び、噴頭本体2の差込孔2cは、その軸心に対する垂直断面形状が楕円形状を成しているため、ミストノズル3の噴頭本体2に対する回動が阻止され、ノズル吐出口3aが常に正確な方向(先端側)を向くように装着されると共に、噴頭本体2の軸線方向に平行なミストノズル3の筒状平断面が一層流線形状(幅狭な扁平形状)とされて気流の乱れが一層低減され噴霧能力が一層十分に発揮されるようになっている。また、このように軸線に対する垂直断面形状が楕円形状を成すミストノズル3は、成型によるバラツキが多角形形状に比して少なく、安定した成形が可能とされている。
【0021】
また、ミストノズル3が屈曲構造であるため、当該ミストノズル3の屈曲部3dが噴頭本体2の支持部2bに当接するまで差し込むことで、ノズル吐出口3aの差し込み高さ位置が常に一定で正確な位置とされている。具体的には、ミストノズル3の屈曲部3dの支持部2bに対する当接位置からノズル吐出口3aの中央位置までの距離と、噴頭本体2の支持部2bの外側の端面位置(図1の上端面位置)から噴頭本体2の軸心までの距離とが同じとされているため、ノズル吐出口3aの中央位置が常に噴頭本体2の軸心位置に一致し、誰が差し込んでも噴霧能力が十分に発揮されるようになっている。
【0022】
また、本実施形態にあっては、噴頭本体2とミストノズル3とが以下のブロー成形で一体成形されているため、以下の作用・効果を奏する。具体的には、図7に示すように、噴頭本体2の外面に対応する第一の内面14aを有する部分14Xと、ミストノズル3の外面に対応し第一の内面14Xに連続する第二の内面14bを有する部分14Yとを具備した金型14を用意し、この第二の内面14aをランナー部として金型14内にパリソンを押し出すと共にこのパリソン内に空気を吹き込み金型14内面に押し付けるブロー成形を行うようにしているため、噴頭本体2及びミストノズル3が同時に得られるようになっている。すなわち、噴頭本体2とミストノズル3とをブロー成形で一体成形し、ミストノズル3をブロー成形のランナー部14bとしているため、噴頭本体2及びミストノズル3が容易に共取りでき、低コスト化が一層図られている。
【0023】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、ミストノズル3の回動を阻止できる構造として、特に好ましいとして、その軸心に対する垂直断面形状が楕円形状のものを挙げているが、例えば長円形状等であっても良く、真円以外であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るミスト噴頭を示す一部破断側面図である。
【図2】図1に示すミスト噴頭の正面図である。
【図3】図1中の噴頭本体を示す斜視図である。
【図4】図1中のミストノズルを示す斜視図である。
【図5】図4に示すミストノズルの縦断面図である。
【図6】図5のVI-VI矢視図である。
【図7】図1中の噴頭本体及びミストノズルを同時に成形するブロー成形の説明図である。
【図8】図1に示すミスト噴頭が適用された背負動力散布機を示す概略背面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…ミスト噴頭、2…噴頭本体、2c…差込孔、3…ミストノズル、3b…差込部、14…金型、14b…ランナー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状を成し気流を流すための噴頭本体(2)と、薬液を吐出するためのミストノズル(3)と、を備えたミスト噴頭(1)において、
前記ミストノズル(3)を前記噴頭本体(2)に対して斜めに差し込む構成としたことを特徴とするミスト噴頭(1)。
【請求項2】
前記ミストノズル(3)の前記噴頭本体(2)に対する差込部(3b)、及び、この差込部(3b)が差し込まれる噴頭本体(2)の差込孔(2c)は、その軸心に対する垂直断面形状が略楕円形状を成すことを特徴とする請求項1記載のミスト噴頭(1)。
【請求項3】
前記ミストノズル(3)を屈曲構造としたことを特徴とする請求項1又は2記載のミスト噴頭(1)。
【請求項4】
前記噴頭本体(2)と前記ミストノズル(3)とをブロー成形で一体成形し、前記ミストノズル(3)をブロー成形のランナー部(14b)としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のミスト噴頭(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125626(P2009−125626A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300832(P2007−300832)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】