説明

ミスト生成装置、シャワーヘッド

【課題】 各種温水給湯器から供給される温水の温度が、安全上の理由から60℃以下の温度に制限されている場合でも、気化冷却現象を最小限にし、他の補助熱源を必要とすることなく、快適な温度のミストサウナとして利用できるミスト生成装置を提供すること。
【解決手段】 給湯器からの温水を用いて、当該温水圧力と温水温度を利用してミストを生成するミスト生成装置において、前記温水を前記ミスト用の粒径の水滴群に変換させるミスト変換部を有し、前記ミスト変換部は前記ミスト用の粒径の水滴群に変換するに際して、気化熱による前記水滴群の温度低下を少なくするように構成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な家庭内の浴室や公衆的な浴室施設などをミストサウナとして利用するのに好適なミスト生成装置に関し、特に各種温水給湯器から供給される温水の温度が安全上の理由から60℃程度の温度に制限されている場合でも、ミストサウナ機能を満たす温度の水粒子が生成されるミスト生成装置に関する。
また、本発明は、例えば上述のミスト生成装置を内部に装着した、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴前に浴室でミストを発生させて浴室を暖めたり、スチームサウナを行えるようにしたミスト発生装置が知られている。例えば特許文献1に開示されているような、シャワー装置のシャワーヘッドにミスト発生機構を組み込んだものが知られている。また、特許文献2に開示されているような、ミスト粒径を大きくすることなく、ミストの発生量を増やす装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−117309号公報
【特許文献2】特開平11−267059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された装置では、シャワーヘッドで大量のミストを発生させようとした場合、噴霧ノズルを複数設ける構造や、一つのノズルから出す水量を増やす使用形態が考えられる。しかし、前者の構造ではノズルの数だけ部品点数が増えてしまうので、コストが高くなってしまうという課題がある。また、後者の使用形態では、湯量を増やせば増やすほどミストの粒子径が大きくなりすぎてしまうので、その分浴室内温度を上げるのに効率が悪くなるという課題がある。また、特許文献1に開示された装置では、浴室を暖めるに際してミストの粒子径を検討しているだけで、気化熱の影響を考慮していないという課題があった。
【0005】
特に、各種温水給湯器から供給される温水の温度は、通常安全上の理由から60℃以下の温度に制限されている場合が多く、ミスト変換に伴う温度低下が大きくなると、利用者が浴室内温度を低く感じたり、ミスト温度を低く感じる。そこで、利用者の使用感覚を良好に保持するため、温水のミスト変換途中に加熱装置を設けることが行われている。しかし、温水のミスト変換途中に加熱装置を設けると、シャワーヘッドの機構が複雑化すると共に、加熱のために熱エネルギーが余分に必要になるという課題があった。また、特許文献2に開示された装置では、ミストの噴出面とシャワーの噴出面がシャワーヘッドの反対側に位置しており、利用者にとって違和感を生ずるという課題があった。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するもので、各種温水給湯器から供給される温水の温度が安全上の理由から60℃の温度に制限されている場合でも、適切な温度のミストサウナとして利用できるミスト生成装置、及びミスト発生機構を組み込んだシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のミスト生成装置は、例えば図1に示すように、給湯器からの温水を用いて、当該温水圧力と温水温度を利用してミストを生成するミスト生成装置において、前記温水を前記ミスト用の粒径の水滴群に変換させるミスト変換部を有し、前記ミスト変換部は、前記ミスト用の粒径の水滴群に変換するに際して、気化熱による前記水滴群の温度低下を少なくするように構成されたことを特徴とする。
【0008】
このように構成されたミスト生成装置においては、ミスト変換部で温水をミスト用の粒径の水滴群に変換するに際して、ノズル等によるミスト発生による気化熱に起因する水滴群の温度低下を少なくするように構成されているので、給湯器からの温水がミストに変換される際の温度低下が少なくてすむ。このような、ミスト変換部としては、例えば請求項2に記載されたシャワーヘッド、即ち円筒形内部空間30の頂部に設けられた温水流入部31、回転軸32、第1の回転板33、第2の回転板34、導水ノズル(35,36)並びに針金車37を有するシャワーヘッドがある。
【0009】
上記目的を達成する本発明のシャワーヘッドは、例えば図1に示すように、大略円筒形の内部空間30を有するシャワーヘッド本体10と、円筒形内部空間30の頂部に設けられた温水流入部31と、前記円筒形の中心軸と大略一致する位置に設けられた回転軸32と、円筒形内部空間30の温水流入部31側に設けられると共に、回転軸32を中心として所定方向に回転する羽根車形状の第1の回転板33と、第1の回転板33よりも円筒形内部空間30の噴出し側に設けられた羽根車形状の第2の回転板34と、第1の回転板33を経由した温水を第2の回転板34の大略先端部分に導く導水ノズル(35,36)と、第2の回転板34よりも円筒形内部空間30の噴出し側に設けられた針金車37とを備え、針金車37により粉砕された所定粒径の水滴が噴出されることを特徴としている。
【0010】
このように構成されたシャワーヘッドにおいては、温水流入部31から案内された温水は、第1の回転板33によって旋回流を形成して、導水ノズル(35,36)から第2の回転板34に噴出されて衝撃粉砕により第1の粒径の水滴群を形成し、この第1の粒径の水滴群が針金車37によってさらに衝撃粉砕され、第1の粒径よりも小さな第2の粒径の水滴群に変形されて、針金車37により粉砕された所定粒径の水滴がシャワーヘッドより噴出される。ここで衝撃粉砕とは、第2の回転板34や針金車37の高速回転に伴う力によって、水滴に急激な力が作用して、水滴が粉砕されることをいう。ここでは、針金車37によって、第1の粒径よりも小さな第2の粒径の水滴群に変形して、ミストを生成しているので、気化熱による水滴群の温度低下が少なくて済む。
【0011】
好ましくは、本発明のシャワーヘッドにおいて、例えば図1に示すように、第2の回転板34は、第1の回転板33と逆方向に回転するように構成され、導水ノズル(35,36)は、第2の回転板34が当該逆方向に回転するように、前記温水を導くように構成され、針金車37は、第2の回転板34と逆方向に回転するように構成されるとよい。すると、針金車37は第1の回転板33と同軸にして順方向の回転が得られ、第2の回転板34が当該逆方向に回転することと相まって、針金車37により粉砕される水滴の粒径が微細となってミストの粒径微細化に寄与して、ミストサウナとしての利用に有益である。
【0012】
好ましくは、本発明のシャワーヘッドにおいて、例えば図1に示すように、さらにシャワー用温水流入部24と、針金車37により粉砕された所定粒径の水滴が噴出される噴出口38と同心円状に形成されたシャワー用温水噴出部28と、供給される温水を温水流入部31とシャワー用温水噴出部28とで切替える切替え弁22とを有し、シャワー用温水流入部24から流入した温水は、シャワー用温水噴出部28からシャワーとして噴出される構成とするとよい。このような構成によると、利用者は切替え弁22を操作して、シャワーとミストを切り替えて利用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のミスト生成装置においては、シャワーヘッドで温水をミスト用の粒径の水滴群に変換するに際して、衝撃粉砕によるミスト生成のため気化熱による水滴群の温度低下を少なくするように構成されているので、給湯器からの温水がミストに変換される際の温度低下が少なくてすむ。そこで、従来装置で必要とされていたミスト生成装置の導水途中での加熱装置が不要となり、ミスト生成装置の構成が単純になると共に、加熱のための熱エネルギーを温水に供給する必要がなくなり、ミスト生成装置で消費する熱エネルギーが少なくてすみ、大きな省エネルギー効果か期待できる。
【0014】
本発明のシャワーヘッドにおいては、針金車37によって第1の粒径よりも小さな第2の粒径の水滴群に変形して、ミストを生成しているので、気化熱による水滴群の温度低下が少なくて済む。また、第2の回転板34と針金車37による水滴の衝撃粉砕によってミスト粒子が生成されるので、レナード現象と同様に、水滴が激しく飛び散る時に空気中にマイナスイオンが発生する。このマイナスイオンには、新陳代謝を活発化して気分をリラックスさせる効果がある。また、請求項4に記載のシャワーヘッドにおいては、ミストの噴出面とシャワーの噴出面をシャワーヘッドの同一面とすることができ、利用者にとって違和感を生ずることがないという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明のシャワーヘッドの全体を説明する要部断面図である。図において、利用者が把持しやすいように、シャワーヘッド本体10には、ホース接続部11、基部外壁体12、温水流路部13、温水仕切り壁14、把持用空隙部15、把持用外壁体16を形成してある。ホース接続部11は、給湯器からの温水をシャワーヘッド本体10に供給するホースを接続するもので、例えば円筒状の接続口の外周面に螺旋状の係合突起が形成してある。基部外壁体12は、利用者が手でシャワーヘッド本体10を把持するための長さを有するもので、把持用外壁体16と共に利用者が持ちやすい外周形状を形成している。温水流路部13は、基部外壁体12と温水仕切り壁14によって形成された管状流路である。把持用空隙部15は、把持用外壁体16と温水仕切り壁14によって形成された空隙で、シャワーヘッド本体10の軽量化のために空隙となっている。把持用外壁体16には、レバー操作案内溝16aが切替レバー20の操作範囲内で形成してある。
【0016】
シャワーヘッド本体10の基部外壁体12と把持用外壁体16で形成される把持部の先端には、ミスト外周壁17、ミスト用温水流入部18、ミストシャワー仕切り壁19が設けられている。ミスト外周壁17の先端には、ミスト生成機能を有する円筒形内部空間30が形成されている。ミスト用温水流入部18には、水流切替板22を介して温水流路部13から供給された温水が流入し、この円筒形内部空間30に供給される。ミストシャワー仕切り壁19は、ミスト用温水流入部18とシャワー流路入口部24を仕切る壁である。
【0017】
利用者がシャワーとしての利用ができるように、シャワーヘッド本体10には、切替レバー20、シャワー仕切り壁21、切替え弁としての水流切替板22、水流切替板保持部23、シャワー用温水流入部としてのシャワー流路入口部24、シャワー外周壁25、シャワー流路外周部26、ミスト生成部仕切り壁27、シャワー用温水噴出部28を形成してある。切替レバー20は、シャワーとミストとの切替を行うための操作レバーで、切替レバー20の回転中心に設けられた切替レバー軸20aを介して水流切替板22が取付けられている。切替レバー20が、把持用外壁体16に形成されたレバー操作案内溝16aに沿って、レバー先端を移動させると、切替レバー軸20aを介して水流切替板22が操作量に応じて回転する。切替レバー軸20aは、温水仕切り壁14とミストシャワー仕切り壁19の間に形成された開口部20bに位置している。開口部20bは、水流切替板22を介して温水流路部13とシャワー流路入口部24とを連絡する管路の一部を形成している。
【0018】
水流切替板22は、温水流路部13から送られた温水をシャワー流路入口部24とミスト温水流入部31とに切り替えて供給するもので、例えば開口部が形成されている。水流切替板保持部23は、水流切替板22の回動を規制するもので、シャワー外周壁25のシャワー流路入口部24側の面に形成されたシャワー側保持部23aと、ミスト外周壁17のミスト用温水流入部18側の面に形成されたミスト側保持部23bと、切替レバー軸20aのミストシャワー仕切り壁19側の端部に設けられた仕切側保持部23cを有している。
【0019】
シャワー流路入口部24は、水流切替板22とシャワー流路外周部26を連絡する管路を形成する空間で、ミストシャワー仕切り壁19、シャワー外周壁25及びミスト生成部仕切り壁27によって区画されている。シャワー外周壁25は、シャワーヘッド本体10のシャワー用温水噴出部28の円筒状縁を形成するものである。シャワー流路外周部26は、シャワー外周壁25とミスト生成部仕切り壁27によって形成された円環状管路で、先端にはシャワー用温水噴出部28が形成されている。ミスト生成部仕切り壁27は、その内側にミスト生成機能を有する円筒形内部空間30が収容されている。シャワー用温水噴出部28は、円筒形内部空間30のミスト噴出口38と同心円状に形成されるもので、所定形状に形成された複数の噴出穴からシャワーとしての水流が噴出する。ここで、円筒形内部空間30は内径Do、長さLであり、シャワー用温水噴出部28の幅w、シャワー用温水噴出部28を含めた外径はD1(=Do+2w)となっている。典型的な設計値としては、内径Doを40〜60mm、長さLを40〜80mm、外径D1を55〜80mm、幅wを8〜10mmとするのがよい。
【0020】
ミスト生成機能を有する円筒形内部空間30には、温水流入部31、回転軸32、第1の回転板33、第2の回転板34、温水案内部35、温水ノズル36、針金車37が収容されていると共に、噴出口38が設けられている。温水流入部31は、円筒形内部空間30の頂部に設けられた開口部で、ミスト用温水流入部18と空間的に接続されている。回転軸32は、円筒形内部空間30の中心軸と大略一致する位置に設けられるもので、第1の回転板33、第2の回転板34、針金車37の回転軸を形成している。第1の回転板33は、円筒形内部空間30の温水流入部31側に設けられると共に、回転軸32を中心として所定方向に回転する羽根車形状のもので、例えば羽根の数は6枚ないし20枚、好ましくは10枚乃至12枚前後がよい。
【0021】
第2の回転板34は、第1の回転板33よりも円筒形内部空間30の噴出し側に設けられた羽根車形状のもので、例えば羽根の数は6枚ないし20枚、好ましくは10枚乃至12枚前後がよい。温水案内部35は、第1の回転板33を経由した温水を第2の回転板34の大略先端部分に導くもので、第1の回転板33の回転面と水平に設けられた大略半円状の平板温水案内部35aと、温水案内部35aと第2の回転板34とを連絡する斜状温水案内部35bを有している。温水ノズル36は、斜状温水案内部35bの先端部に位置するもので、温水の水流を絞って第2の回転板34の大略先端部分に導く。温水ノズル36は、第2の回転板34が、第1の回転板33と逆方向に回転するように、ノズルの位置と方向を定めるのがよい。
【0022】
針金車37は、第2の回転板34よりも円筒形内部空間30の噴出し側に設けられたもので、第2の回転板34と逆方向、即ち第1の回転板33と順方向に回転する構造としてある。針金車37の針金は、例えば長さが回転軸32からミスト生成部仕切り壁27までの間隔(大略Do/2)よりも僅かに小さく、直径は例えば100μm〜300μm、材質は耐蝕性と剛性に優れたステンレス鋼や銅がよい。針金車37の針金は、回転軸32の軸方向に複数列に配置する。針金車37は、回転軸32を中心とする回転によって、逆方向に回転する第2の回転板34から送られる水流をミストに適した微細粒径の水滴に粉砕する。第2の回転板34と針金車37においては、衝撃粉砕による温水粒子細分化のため、気化冷却現象が少なく済んでいると共に、円筒形内部空間30の限られた空間内に位置しているので水蒸気が飽和状態である為、水滴の気化が抑制される。円筒形内部空間30の噴出口38は、シャワー用温水噴出部28の内側開口部で、好ましくは利用者が誤って針金車37に接触しないように、ミスト用カバー(図示せず)を設けるとよい。
【0023】
次に、このように構成された装置の動作を説明する。図2は本発明のシャワーヘッドの動作を説明するフローチャートである。図において、給湯器からの温水は、ホース接続部11・温水流路部13を経由して、水流切替板22に至る(S100)。利用者は、切替レバー20を操作して、水流切替板22によりミストとシャワーを切り替える(S102)。
【0024】
切替レバー20によりシャワーが選択されている場合には、温水が温水流路部13から開口部20b・水流切替板22を経由してシャワー流路入口部24に流入し(S120)、シャワー流路外周部26を経て(S122)、シャワー用温水噴出部28からシャワーとしての水流が噴出する(S124)。
【0025】
切替レバー20によりミストが選択されている場合には、温水が温水流路部13から水流切替板22を経由してミスト用温水流入部18に流入して(S140)、円筒形内部空間30に供給される(S142)。円筒形内部空間30では、温水流入部31から第1の回転板33に温水が供給される(S144)。温水は、第1の回転板33に運動エネルギーを付与し、第1の回転板33を順方向に回転させる(S146)。第1の回転板33を経由して、温水は、導水ノズルとしての温水案内部35、温水ノズル36から第2の回転板34に噴出される(S148)。この時、第1の回転板33と逆方向に第2の回転板34が回転するように温水ノズル36の方向と位置が設定されている。第2の回転板34の高速回転と、温水ノズル36での噴流の作用で、温水は第1の粒径の水滴群となる(S150)。なお、第2の回転板34は回転軸32に対して、回転方向が時計回りと反時計回りの双方に回転可能に、取り付けられている。
【0026】
第1の粒径の水滴群となった温水は、針金車37に設けられた多数の針金によって砕かれる(S152)。このとき、針金車37と第1の回転板33は回転軸32を介して直結されていると共に順方向に回転し、第2の回転板34とは逆方向に回転するため、第2の回転板34によって砕かれた水滴群が針金車37によって更に微細化した水滴群に変形される。そして、第1の粒径よりも小さな第2の粒径の水滴群に変形する(S154)。水滴の粉砕は、針金車37により機械的に行われるので、気化熱による水滴群の温度低下が少なくて済む。第2の粒径の水滴群に細かく砕かれた温水は、噴出口38からミストとして噴出される(S156)。S154とS156では、第2の回転板34と針金車37による水滴の衝撃粉砕によってミスト粒子が生成されるので、レナード現象と同様に、水滴が激しく飛び散る時に、空気中にマイナスイオンが発生する。
【0027】
ここで、マイナスイオンとは、空気中の酸素がマイナスの電子と結合して、負に帯電した酸素分子(陰イオン)になり、これに空気中の微小な水分子が複数結合したものといわれており、新陳代謝を活発化して気分をリラックスさせる効果があると言われている。マイナスイオンの個数は、滝壷付近が自然界では最も多いとされる。浴室内で本発明のミスト生成装置を用いると、マイナスイオンが滝壷付近と同じ程度で発生する。
【0028】
そして、利用者がミストとシャワーを切り替えるか判断して、切替レバー20を操作する(S160)。すると、シャワーヘッドではS120に戻って、ミストとシャワーで場合分けして温水を処理する。この実施例にかかるシャワーヘッドでは、ミストの噴出面38とシャワーの噴出面28をシャワーヘッドの同一面とすることができ、利用者にとって違和感を生ずることがない。
【0029】
図3は、第1の回転板33と第2の回転板34の一例を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は正面図を示している。回転板33、34は、例えば直径Dの円形平板を曲げ加工して形成する。直径Dは、円筒形内部空間30の内径Doよりも僅かに小さな値、例えば38mm〜58mmとし、円形平板の材質は銅板やステンレス鋼板等の金属製を用いてもよく、プラスチックを用いて射出成型したものでもよい。羽根は、ここでは12枚としており、羽根毎に33a、33b、…、33lの符号を付してある。羽根33a、33b、…、33lは、元となる円形平板を均等な角度で先端から中心近傍まで切り込みをいれて、羽根の先端で高さh(例えば6mm〜15mm)になるように一定方向に曲げてある。
【0030】
羽根33a、33b、…、33lの表面が傾斜しているので、円形平板の軸方向から水流が当たったときに、羽根33a、33b、…、33lに回転方向のモーメントが作用して、第1の回転板33は流量に比例して回転する。他方、第2の回転板34は回転軸32に対して回動自在に取り付けられているので、第1の回転板33と逆方向に回転するように、温水ノズル36を設定する。第2の回転板34の回転によって、第2の回転板34の羽根に当たった温水の水流が水滴に変換される。好ましくは、回転板33、34の直径Dと羽根先端高さhを適宜に設計することで、温水の水流に応じて最適な回転モーメントが得られ、また水滴の形状も最適なものとなる。
【0031】
なお、上記の実施の形態においては、ミスト用の粒径の水滴群に変換するミスト変換部として、図1に記載されたシャワーヘッド、即ち円筒形内部空間30の頂部に設けられた温水流入部31、回転軸32、第1の回転板33、第2の回転板34、温水案内部35、温水ノズル36並びに針金車37を有し、第1の回転板33・針金車37と第2の回転板34とで時計回りと反時計回りを逆にして水滴を砕く構造のシャワーヘッドを示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ミストとして好ましい水滴を得るのに、回転体の方向を第1の回転板33・針金車37と第2の回転板34とで同じ回転方向で水滴を砕いてもよく、また第1の回転板33と第2の回転板34の回転方向を順方向として、針金車37を逆方向に回転するように構成して、水滴を砕いてもよい。また、超音波振動子のような高周波振動体を用いて、水滴を微細化してミスト水滴を形成する機構を付加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のシャワーヘッドの全体を説明する要部断面図である。
【図2】本発明のシャワーヘッドの動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1の回転板33と第2の回転板34の一例を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は正面図を示している。
【符号の説明】
【0033】
10 シャワーヘッド本体
20 切替レバー
22 水流切替板(切替え弁)
28 シャワー用温水噴出部
30 円筒形内部空間
31 温水流入部
32 回転軸
33、34 回転板
35 温水案内部
36 温水ノズル
37 針金車
38 噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器からの温水を用いて、当該温水圧力と温水温度を利用してミストを生成するミスト生成装置において、
前記温水を前記ミスト用の粒径の水滴群に変換させるミスト変換部を有し、
前記ミスト変換部は、前記ミスト用の粒径の水滴群に変換するに際して、気化熱による前記水滴群の温度低下を少なくするように構成されたことを特徴とするミスト生成装置。
【請求項2】
大略円筒形の内部空間を有するシャワーヘッド本体と、
前記円筒形内部空間の頂部に設けられた温水流入部と、
前記円筒形の中心軸と大略一致する位置に設けられた回転軸と、
前記円筒形内部空間の温水流入部側に設けられると共に、前記回転軸を中心として所定方向に回転する羽根車形状の第1の回転板と、
前記第1の回転板よりも前記円筒形内部空間の噴出し側に設けられた羽根車形状の第2の回転板と、
前記第1の回転板を経由した温水を前記第2の回転板の大略先端部分に導く導水ノズルと、
前記第2の回転板よりも前記円筒形内部空間の噴出し側に設けられた針金車とを備え、
前記針金車により粉砕された所定粒径の水滴が噴出されることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項3】
前記第2の回転板は、前記第1の回転板と逆方向に回転するように構成され、
前記導水ノズルは、前記第2の回転板が当該逆方向に回転するように、前記温水を導くように構成され、
前記針金車は、前記第2の回転板と逆方向に回転するように構成されたことを特徴とする請求項2記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のシャワーヘッドにおいて、さらに、
シャワー用温水流入部と、
前記針金車により粉砕された所定粒径の水滴が噴出される噴出口と同心円状に形成されたシャワー用温水噴出部と、
供給される温水を前記温水流入部と前記シャワー用温水流入部とで切替える切替え弁と、
を有し、前記シャワー用温水流入部から流入した温水は、前記シャワー用温水噴出部からシャワーとして噴出されることを特徴とするシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−229183(P2007−229183A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54133(P2006−54133)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(399048342)北辰住宅技研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】