説明

ミミズ製品の製造方法

【課題】重金属類や線溶活性抑制物質及び血小板活性化因子の前駆物質について、除去あるいは含有量を低減させ、ミミズの線溶活性を十分に発揮できかつより安全なミミズ製品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ミミズを原料とするミミズ水溶液または該ミミズ水溶液を乾燥させたミミズ乾燥粉末からなるミミズ製品の製造に際し、生ミミズをローラ式脱水機に通したりホモジナイズしたりした処理液を濾過または遠心分離することにより、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下の上澄み液からなるミミズ水溶液を得、このようにして得られたミミズ水溶液をミミズ製品とし、あるいはミミズ水溶液を乾燥させてミミズ乾燥粉末からなるミミズ製品とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミミズ水溶液またはその乾燥粉末からなるミミズ製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血栓症または血栓形成に対する血栓溶解を目的とした治療剤として、さらには高血圧、低血圧、高脂血症に対する治療剤としてミミズ乾燥粉末が提案され、その製造方法として、消化管内の内容物を吐かせた生ミミズをそのままホモジナイズ(ホモゲナイズとも称される)し、得られたホモジネート(ホモジナイズ液あるいはホモゲナイズ液)を乾燥する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、ミミズは生ゴミのコンポスト化や、産業廃棄物の処理に利用されてきており、ミミズ体内で重金属類が濃縮(生物濃縮)されることが知られている。また、前記の目的で利用される健康食品の原料として使用されるミミズは、ミミズ体内に含まれる重金属類の量を少なくするため、重金属類の含有量が少ない餌を用いて養殖されている。しかし、このように養殖されたミミズであっても、餌の管理が不十分であったりして、重金属類の含量低下が不十分な場合があった。
【0004】
さらに、ミミズのホモジネート中に線溶活性抑制物質が存在することが明らかとなり、前記線溶活性抑制物質が存在すると、ミミズの線溶活性作用が抑制されるのみならず、元々血流にある線溶活性をも抑制する可能性がある。したがって、ミミズの線溶活性を利用する場合には、ミミズ中の前記線溶活性抑制物質を除去するのが好ましい。しかし、従来にあっては、線溶活性抑制物質や重金属類を、簡単に効率よく除去することができなかった。
【0005】
また、従来のミミズ乾燥製品においては、一般細菌、大腸菌群、カビ類などが発生するおそれがあった。
【特許文献1】特開平1−47720号公報
【特許文献2】特開平3−72427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、第1には、重金属類や線溶活性抑制物質について、除去あるいは含有量を低減させ、ミミズの線溶活性を十分に発揮することができ、かつより安全性を高めることができるミミズ製品の製造方法提供を目的とし、第2には前記第1の目的に加え、一般細菌、大腸菌群、カビ類などが発生し難く、さらにはミミズの血栓溶解性物質の前駆体を活性体にするのみならず、血小板凝集抑制作用を高めることにより、血栓を生じ難くする能力を一層向上させることのできるミミズ製品の製造方法提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、生ミミズから濁り成分を除去して、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得ることを特徴とするミミズ製品の製造方法に係る。なお、本発明において濁り成分とは濁度を増加させる成分をいう。
【0008】
請求項2の発明は、ミミズ乾燥粉末の水溶液から濁り成分を除去して、前記ミミズ乾燥粉末の10%水溶液に換算した場合の濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得ることを特徴とするミミズ製品の製造方法に係る。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液に、ネギ科植物の一種以上のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものを混合した後、乾燥させて乾燥粉末にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1または2の発明によれば、重金属類や線溶活性抑制物質について除去あるいは含有量を低下させたミミズ製品を得ることができたのである。なお、前記重金属類や線溶活性抑制物質の含有量は、前記ミミズ水溶液に対して、ICP発光分光分析法、水素化物発生原子吸光法、還元気化原子吸光光度法などで確認することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液に、ネギ科植物の一種以上のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものを混合した後、乾燥させてミミズ乾燥粉末にしたため、重金属類や線溶活性抑制物質について除去あるいは含有量を低下させ、しかも一般細菌、大腸菌群、カビ類などの発生をネギ科植物の成分によって抑えることができ、さらには血小板凝集抑制作用を高めたことにより、安全性を一層向上させると共に血栓を生じ難くする能力を一層向上させることができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるミミズ製品の第一の製造方法は、生ミミズから、またはミミズ乾燥粉末の水溶液から濁り成分を除去して、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得ることを特徴とする。なお、前記ミミズ乾燥粉末の水溶液から濁り成分を除去した場合における濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下の値は、前記ミミズ乾燥粉末の水溶液を10%水溶液に換算した場合の値であり、ミミズ乾燥粉末の水溶液の濃度が10%より低くなれば前記濃度の値は小となり(例えば5%水溶液の場合は1.5/2=0.75の濁度)、それに対して前記ミミズ乾燥粉末の水溶液の濃度が10%より高くなれば前記濃度の値は大(例えば20%水溶液の場合は1.5×2=3.0の濁度)になる。
【0013】
前記生ミミズから濁り成分を除去して、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得る場合について説明する。
【0014】
本発明において使用可能なミミズの種類は特に限定されない。例として、赤ミミズ、シマミミズ、ツリミミズ、ハタケミミズ、フツウミミズ等を挙げることができる。また、養殖ミミズ、天然ミミズ何れでもよい。前記生ミミズは、水中に所定時間浸ける等によって消化管内の糞土を吐かせたものを用いるのが好ましい。
【0015】
前記消化管内の糞土を吐かせたものを、公知のモモジナイザー、ホモミキサーなどによりホモジネート(磨砕物)とし、前記ホモジネートに対して濁り成分除去処理を施して濁り成分を除去し、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得る。あるいは、前記消化管内の糞土を吐かせたものを脱水機に通すことにより、濁り成分を除去し、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得る。
【0016】
前記ホモジネートに対する濁り成分除去処理としては、公知の遠心分離や濾過を挙げることができる。なお、前記遠心分離の場合は、上澄み液を収集し、濾過の場合は濾紙やフィルターを通った濾液を収集する。また、前記遠心分離の条件は3,000×g以上、濾紙やフィルターの濾過精度は50μm以下が好ましい。
【0017】
なお、脱水機(例えばローラ式脱水機)を通して得られたミミズ液に対して濾過を行うことにより、あるいは脱水機を通して得られたミミズ液に対して遠心分離を行うことにより、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得るようにしてもよい。
【0018】
また、前記ミミズのホモジネート等を乾燥させて乾燥ミミズ粉末としたものに本発明の製造方法を適用する場合には、前記乾燥ミミズ粉末に水を添加して乾燥ミミズ粉末の水溶液(懸濁水)を調製し、前記乾燥ミミズ粉末の水溶液(懸濁水)に対して前記遠心分離や濾過等の濁り成分除去処理を行うことによって濁り成分を除去し、前記ミミズ乾燥粉末の10%水溶液(懸濁水)に換算した場合の濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得る。
【0019】
前記濁度(前記乾燥ミミズ粉末の水溶液(懸濁水)から得られたミミズ水溶液の場合には前記ミミズ乾燥粉末の10%水溶液(懸濁水)に換算した場合の濁度を言う。以下同様。)が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液は、そのままミミズ製品としたり、乾燥させることにより乾燥粉末にしてミミズ製品にしたりする。乾燥は、公知の凍結乾燥やスプレードライヤーなどを使用して定法にしたがい行う。なお、前記乾燥に際し、前記ミミズ水溶液に乾燥助剤(例えば、乳糖、デキストリン、セルロースパウダーのような糖類、ゼラチンやカゼイン分解物、牛血清アルブミンのような蛋白質類)を加えてもよい。
【0020】
本発明におけるミミズ製品の第二の製造方法は、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液に、ネギ科植物の一種以上のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものを混合した後、乾燥させてミミズ乾燥粉末にする。
【0021】
本発明において使用されるネギ科植物としては、ニンニク、タマネギ、ネギ、ラッキョウ、ワケギ、ニラの少なくとも一種以上が用いられる。また、前記ネギ科植物は、植物全体、茎、葉、鱗茎などを使用することができるが、それらの中でも鱗茎が好ましい。前記ネギ科植物はネギ科植物の一種以上のペースト(磨砕物)あるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものが用いられる。前記ペーストにするには、公知の磨砕機やすりつぶし器などにより行うことができる。また前記抽出液は公知の方法によって得ることができる。前記ミミズ水溶液と、前記ネギ科植物のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものとの混合比(重量比)は1:99〜99:1、さらに好ましくは40:60〜90:10である。前記ミミズ水溶液と、前記ネギ科植物のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものとの混合物は、加温されるのが好ましい。前記ミミズ水溶液に含まれている血栓溶解性物質を前駆体のまま使用する場合、加温することなく常温でよいが、血栓溶解性物質を活性体とする場合、常温でもよいが加温するのが好ましい。前記加温温度は、20℃〜55℃が適している。20℃よりも低いと活性化が難しく、それに対して55℃よりも高いと、折角活性化した血栓溶解性物質が不安定となる。また、前記加温時間は、加温温度にもよるが、5時間〜170時間、より多くの活性体を得るには48時間〜170時間が好ましい。加温時間が短いと、得られる活性体が少なくなり、それに対して加温時間が長くなると、雑菌等が繁殖し易くなる。
【0022】
前記第二の製造方法において、前記混合物の乾燥は、公知の凍結乾燥やスプレードライヤーなどを使用して定法にしたがい行い、また前記乾燥に際し、前記混合物に乾燥助剤(例えば、乳糖、デキストリン、セルロースパウダーのような糖類、ゼラチンやカゼイン分解物、牛血清アルブミンのような蛋白質類)を加えてもよい。
【0023】
前記ネギ科植物を含むミミズ製品は、ミミズの血栓溶解性物質の前駆体を活性体にする作用及び血栓を生じ難くする能力を一層向上させることができる。なお、前記乾燥により得られたミミズ乾燥粉末からなるミミズ製品は、カプセルに充填して服用されるようにしてもよい。また、本発明によって得られたミミズ製品は、適宜の服用量とされるが、一例としてミミズ水溶液の場合、1〜10g/日、乾燥粉末の場合、0.1〜1g/日とし、前記量を、1日1回、あるいは2〜3回に分けて服用する例を挙げる。
【実施例】
【0024】
・実施例1
生きた赤ミミズ100gを、温度20℃の水に24時間浸漬して消化器官の糞土を吐かせた後に水洗いし、ホモジナイザー(IWATANI IFM―100)によりホモジナイズし、得られたホモジネート(ホモジナイズ液あるいはホモゲナイズ液)について遠心分離機(HITACHI HIMAC)により10,000rpm、10分間の遠心分離を行って上澄み液と沈殿物に分け、上澄み液からなるミミズ水溶液を得た。得られたミミズ水溶液に対して、分光光度計(日立製作所製、U−3010)により波長700nmで吸光度を測定したところ、濁度が0.54であった。吸光度の測定は、前記ミミズ水溶液の一部を採り、それを0.22μmのミリポアフィルターで濾過し、この濾過により得られた濾液を、予め波長700nmでゼロ調整してある分光光度計のリファレンス側にセットした後、サンプル側に前記ミミズ水溶液をセットして波長700nmの吸光度を測定した。また、前記ミミズ水溶液に対して凍結乾燥を行って乾燥粉末からなるミミズ製品を得た。
【0025】
実施例1で得られたホモジネート、ミミズ水溶液(上澄み液、本発明品)及び沈殿物について、重金属類の含有量測定を行った。その際、沈殿物については、蒸留水300mlを加えてよく攪拌した後、遠心分離によって沈殿を集める洗浄操作を3回行って得られた沈殿画分に対して重金属類の測定を行った。測定結果は表1の通りであり、沈殿物に最も多くの重金属類が含まれていた。また、ミミズ水溶液(上澄み液、本発明品)は、カドミウム、鉛、砒素及び総水銀の何れも検出限度以下の量であり、特に砒素及び総水銀についてはホモジネート中の砒素及び総水銀よりも含有量が少なかった。このことにより、本発明品(上澄み液)では重金属類が除去あるいは含有量が低減しているのがわかる。
【0026】
【表1】

【0027】
また、濁度と重金属類との相関試験を次のように行った。重金属類を代表するものとして、ミミズ乾燥粉末中に最も多く含まれている砒素を選択した。まず、生ミミズをホモジネートして乾燥したミミズ乾燥粉末(砒素含量:1.8ppm)100gに蒸留水1リットルを加えてよく攪拌した懸濁水を、100mlに分注した。この懸濁水を静置、3分間の遠心操作(1750g,2600g,3500g,4800g,10000g)によってそれぞれ上澄み液を得、波長700nmで吸光度を測定する濁度測定を行った。その後、乾燥して砒素の量を水素化物発生原子吸光法により測定した。測定結果は表2の通り、濁度が1.5以下であれば、砒素の含有量が0.1ppm以下と非常に少なくなるのがわかる。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例1と同じ操作によって得られた沈殿画分に生理食塩水300mlを加えてよく攪拌した後、遠心分離によって沈殿を集める洗浄操作を3回行って得られた沈殿画分に対して、以下の測定方法により線溶活性抑制物質を測定した。その結果、ミミズ水溶液の線溶活性を抑制する物質が、沈殿画分に含有されていることが判り、本発明で得られるミミズ水溶液は、線溶活性抑制物質を減じていることがわかる。
【0030】
・ミミズの線溶活性抑制物質の測定方法
(1)フィブリンプレートの調製
0.6gの牛フィブリノーゲン(Miles、USA)を100mlの0.2M Boratebuffer(pH7.8)に溶解させる。不溶物をガーゼ濾過によって取り除き、残物を5℃の冷蔵庫で冷却した後、各シャーレに10mlずつ分注する。前記各シャーレに、20u/mlのトロンビン溶液を0.5ml加えて混和し、室温に放置する。フィブリンが形成されたことを確認後、フィブリン溶解活性の測定に供する。
(2)線溶活性抑制物質の測定
フィブリンプレートに実施例1で得られたミミズ水溶液と表3中に示した希釈液30μlをのせ、その隣に前記の洗浄した沈殿画分を30μg前後のせ、37℃、4時間インキュべーションする。フィブリン溶解が、沈殿画分をのせた場所で抑制されるか否かで判定する。
【0031】
【表3】

【0032】
・実施例2
実施例1で得られたミミズ水溶液50mlと、タマネギの鱗茎部分を擦って得られたタマネギペースト10mlを、攪拌機付きの密閉可能な容器に入れて混合し、得られた混合物を55℃の恒温槽で6時間加温した後、恒温槽から取り出し、凍結乾燥を行って乾燥粉末5.8gを得た。この乾燥粉末に対して、砒素の含有量を、水素化物発生原子吸光法により測定したところ、0.1ppm以下と検出限度以下の量であった。
【0033】
・実施例3
実施例1で得られたミミズ水溶液50mlと、ニンニクの鱗茎部分を擦って得られたニニンクペースト15mlを、攪拌機付きの密閉可能な容器に入れて混合し、得られた混合物を45℃の恒温槽で48時間加温した後、恒温槽から取り出し、凍結乾燥を行って乾燥粉末7.2gを得た。この乾燥粉末に対して、砒素の含有量を、実施例2と同様に測定したところ、0.1ppm以下と検出限度以下の量であった。
【0034】
また、実施例2,3で得られた乾燥粉末について、微生物類及び血小板凝集阻害活性の測定を以下の方法により行った。測定結果は表4に示す通りであり、微生物類の汚染が余りなく、血栓ができるトリガーとなっている血小板凝集能を抑制する活性が高くなっていることから、より安全でかつ血栓ができ難い性質が付与されたことにより、ミミズが有する血栓溶解作用がより効率よく働くことができるようになったのがわかる。
【0035】
(微生物類の測定方法)
・一般細菌数の測定方法
ニュートリエント・アガー(OXOID)を所定の方法によってプレートを作成し、加温溶液または乾燥粉末の10%抽出液を、滅菌した生理食塩水で100倍または10倍にそれぞれ希釈し、その0.1mlをプレート上に塗布した。前記プレートを恒温槽内に37℃で48時間置いた後、コロニー数をカウントした。
【0036】
・大腸菌群の測定方法
デオキシコレート寒天培地(OXOID)を、所定の方法によって溶解し、予め加温溶液の0.5mlまたは乾燥粉末の10%抽出液の1mlをシャーレに入れておき、そこへ前記寒天培地を15〜20ml加えて混和した。恒温槽内に37℃で48時間置いた後、大腸菌群のコロニー数をカウントした。
【0037】
・カビ類
ツアペック・ドックス寒天培地(日水製薬製)から所定の方法にしたがってプレートを作成し、加温溶液の0.1mlあるいは乾燥粉末の10%抽出液の0.1mlをプレート上に塗布し、30℃で7日間経過後にカビのコロニー数をカウントした。
【0038】
(血小板凝集阻害活性の測定方法)
血小板凝集計Sysmex AA−100(アークレイ社製)を用い、血小板リッチ血漿200μlと粉末の10%抽出液あるいは加温溶液を沸騰水浴5分間の加熱処理を施し、遠心によって除沈した上清液(2・n乗希釈)または生理食塩水(対照)50μlを加え、スターラーバーを加えて攪拌下予熱する。2μg/mlのコラーゲン溶液を25μl加えて凝集反応を開始し、凝集の出来具合をタイムコースで測定する。血小板凝集阻害活性は、対照と同様な凝集曲線を描く希釈の前の希釈率をもって表す。
【0039】
【表4】

【0040】
・実施例4
また、実施例1と同様にして生ミミズのホモジネートを得、そのホモジネートから粗い沈殿物を除いた後、凍結乾燥してミミズ乾燥粉末とした。次にそのミミズ乾燥粉末10gを純水100mlに投入してミミズ乾燥粉末の約10%(w/v)懸濁液とし、さらにこのミミズ懸濁液について、実施例1と同様の遠心分離を行い、上澄み液からなるミミズ水溶液を得た。得られたミミズ水溶液に対して、実施例1と同様の手順にしたがい、分光光度計(日立製作所製、U−3010)により波長700nmで吸光度を測定したところ、濁度が0.51であった。このミミズ水溶液を凍結乾燥して、乾燥粉末からなるミミズ製品を得た。得られたミミズ製品を表1と同じ方法で重金属類(カドミウム、鉛、砒素、総水銀)を測定したところ、全て、検出限度以下の量であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ミミズから濁り成分を除去して、濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得ることを特徴とするミミズ製品の製造方法。
【請求項2】
ミミズ乾燥粉末の水溶液から濁り成分を除去して、前記ミミズ乾燥粉末の10%水溶液に換算した場合の濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液を得ることを特徴とするミミズ製品の製造方法。
【請求項3】
前記濁度が波長700nmの吸光度で1.5以下のミミズ水溶液に、ネギ科植物の一種以上のペーストあるいは抽出液または前記ペーストから不溶物を除去したものを混合した後、乾燥させて乾燥粉末にすることを特徴とする請求項1または2に記載のミミズ製品の製造方法。

【公開番号】特開2006−96673(P2006−96673A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281045(P2004−281045)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(503117771)有限会社美原エルアール研究所 (3)
【Fターム(参考)】