説明

メソゲン化合物、液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】メソゲン化合物、液晶媒体および液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明は式(I)のメソゲン化合物式(I)の化合物に関し、式中、パラメーターは明細書中で特定される通りであり、これらの化合物を1種類以上含むメソゲン媒体に関し、好ましくはブルー相を示すメソゲン媒体であり、電気光学的光変調素子中におけるそれらの使用およびディスプレイ中におけるそれらのそれぞれの使用、ならびにそのような装置に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、これらの化合物を含む媒体、およびこれらの媒体を光変調媒体として備える電気光学的ディスプレイに関する。好ましくは、本発明の化合物はメソゲン化合物であり、それらは好ましくは液晶媒体中で使用される。特に、本発明による電気光学的ディスプレイは、メソゲン変調媒体が光学的に等方相、好ましくはブルー相である温度において作動されるディスプレイである。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102 17 273号公報(特許文献1)には、電気光学的ディスプレイおよびディスプレイ中で作動される際に等方相であるメソゲン光変調媒体が記載されている。国際特許出願公開第2004/046 805号公報(特許文献2)には、電気光学的ディスプレイ、およびディスプレイ中で作動される際に光学的に等方なブルー相であるメソゲン光変調媒体が記載されている。
【0003】
これらの文献に記載されるメソゲン媒体およびディスプレイは、例えば、各種の改変された捩れネマチック(TN:twisted nematic)−、超捩れネマチック(STN:super twisted nematic)−、電気的制御複屈折(ECB:electrically controlled birefringence)−モードおよび面内スイッチング(IPS:in−plane switching)−モードで作動する液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)などのネマチック相の液晶を使用する良く知られ広く使用されているディスプレイと比較して、いくつかの非常に優れた利点を提供する。これらの利点の中で最も特筆すべきは、非常に早いスイッチング時間および極めて広い光学的視野角である。
【0004】
一方、例えば、表面安定型強誘電体液晶ディスプレイ(SSF LDC:surface stabilized ferroelectric liquid crystal display)中のスメクチック相などの他の液晶相中のメソゲン媒体を使用するディスプレイと比較して、独国特許出願公開第102 17 273.0号公報(特許文献1)および国際特許出願公開第2004/046 805号公報(特許文献2)のディスプレイは非常に容易に製造できる。例えば、それらは非常に狭いセル間隔を必要とせず、加えて電気光学的効果がセル間隔の僅かな変化にさほど左右されない。
【0005】
しかしながら、依然、これらの既述の特許出願に記載される液晶媒体は、用途によっては十分に低い訳ではない作動電圧を必要とする。さらに、これらの媒体の作動電圧は温度によって変化し、ある温度において、温度上昇に伴い電圧が急激に上昇することが一般に観測される。このため、ディスプレイ用途向けのブルー相における液晶媒体の応用性が制限される。これらの特許出願に記載されている液晶媒体の更なる欠点は、要求の厳しい用途には不十分な、それらのほどほどの信頼性である。例えば、このほどほどの信頼性は電圧保持率(VHR:voltage holding ratio)パラメーターで表すことができ、上記のような液晶媒体では90%未満の場合がある。
【0006】
いくつかの化合物および組成物はコレステリック相および等方相の間にブルー相を有し、通常、光学顕微鏡により観測できることが報告されてきた。ブルー相が観測されるこれらの化合物または組成物は、典型的には、高い対掌性を示す単一のメソゲン化合物または混合物である。しかしながら、一般的に、観測されるブルー相は非常に狭い温度範囲に渡っているのみで典型的には1摂氏度未満の幅であり、および/またはブルー相は、より不便な温度で存在する。
【0007】
しかしながら、国際特許出願公開第2004/046 805号公報(特許文献2)の新規な高速スイッチングディスプレイモードを作動させるためには、使用される光変調媒体が周囲温度を含む広い温度範囲にわたってブルー相でなければならない。よって、可能な限り広く利便性良く存在するブルー相を有する光変調媒体が必要である。
【特許文献1】独国特許出願公開第102 17 273号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第2004/046 805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、広い相範囲のブルー相を有する変調媒体に対する強い要求があり、メソゲン化合物自身の適切な混合物によるか、または好ましくは、広い温度範囲にわたってブルー相を安定化する単一のドーパントまたはドーパントの混合物を適切なメソゲン特性のホスト混合物と混合することにより達成できる。
【0009】
まとめれば、液晶ディスプレイ中で作動でき、媒体がブルー相である温度で作動され、以下の技術上の改良を提供する液晶媒体に対する要求がある:
・作動電圧が低減されており、
・作動電圧の温度依存性が低減されており、および
・信頼性、例えばVHR、が改良されていることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、1種類以上の式Iの化合物を含む誘電的に正の成分である成分Aを含むメソゲン媒体により、それらの中にはキラル化合物も含まれて、許容できる高い透明点、および/または温度および/またはUV負荷に対する、特には後者に対する電圧保持率の更に高い安定性を有する媒体を実現できることが見出された。
【0011】
【化1】

式中、
11〜L14は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
【0012】
【化2】

は、芳香族および/または脂環式環、または2個以上の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ただし、これらの環は、N、Oおよび/またはSより選択される1個以上ヘテロ原子を含んでいてもよく、Rにより一置換、二置換または多置換されていてもよく、
Rは、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、CN、NCS、SCN、SF、SOCFまたはアルキルで、該アルキルは直鎖または分岐しており、好ましくは1〜20個のC原子を有しており、無置換であるか、F、ClまたはCN、好ましくはFで一置換または多置換されており、ただし、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、1個以上のCH基が、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY01−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくは、ハロゲン、1〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子のn−アルキル、n−アルコキシ、2〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子のアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、または、CN、NCS、F、Cl、ハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくは、一フッ化、二フッ化またはオリゴフッ化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、特に好ましくはn−アルキル、n−アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
はRで与えられる意味を有するか、または、好ましくは、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、OCF、CF、OCHF、CN、NCS、SCN、SFまたはSOCFであり、好ましくは、F、OCF、CF、CN、またはSFであり、
は、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CR01=CH−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−(CH−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合であり、好ましくは、−CO−O−、−O−CO−、−CF−O−、−O−CF−または単結合であり、より好ましくは、単結合であり、
01およびY02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、あるいは、それらの一方はHでもよく、
01およびR02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
は、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、OCF、CF、OCHF、CN、NCS、SCN、SFまたはSOCFであり、好ましくは、F、OCF、CF、CN、またはSFであり、および
nは0または1、好ましくは、1である。
【0013】
パラメーターが以下の意味を有する式Iの化合物が好ましい。
【0014】
11はFであり、および/または
11〜L14の少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つは、Fであり、および/または、
は、アルキルまたはアルケニルであり、および/または、
【0015】
【化3】

11は、−CO−O−、−CF−O−または単結合であり、より好ましくは単結合である。
【0016】
式Iの化合物は、好ましくは、その補助式I−1〜I−8より選択される。
【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および、好ましくは、
【0019】
【化6】

は、アルキルまたはアルケニルであり、および/または
は、F、Cl、OCF、CF、CN、またはSFである。
【0020】
本出願において、アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH基が−O−で置き換えられているアルキルは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、更には、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0021】
オキサアルキル、即ち、1つの非末端のCH基が−O−で置き換えられているアルキル基は、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0022】
アルケニル基、即ち、1つ以上のCH基が−CH=CH−で置き換えられたアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エチル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0023】
特に好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニルであり、特に、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。C原子の数が5個までの基が、一般に好ましい。
【0024】
1つのCH基が−O−基で置き換えられており、1つが−CO−で置き換えられているアルキル基の中では、これらの基は隣接していることが好ましい。よって、これらの基は、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を共に形成する。好ましくは、そのようなアルキル基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有する。
【0025】
従って、それらは、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、または4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0026】
2つ以上のCH基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0027】
CNまたはCFによって一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖状である。CNまたはCFによる置換は所望の位置でよい。
【0028】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖状である。ハロゲンは好ましくはFまたはClであり、多置換の場合、好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω−位である。末端F置換の直鎖状基の特に好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されている訳ではない。
【0029】
ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを意味し、好ましくはFまたはClで、最も好ましくはFである。
【0030】
、R、R、R’およびR”のそれぞれは、極性でも非極性基でも構わない。極性基の場合、それは、好ましくは、CN、SF、ハロゲン、OCH、SCN、COR、COORまたはモノ、オリゴまたはポリフッ化された1〜4個のC原子のアルキルまたはアルコキシ基より選ばれる。Rは、1〜4個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子のフッ化されたアルキルでよい。特に好ましい極性基は、F、Cl、CN、OCH、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、CHF、CHF、OCF、OCHF、OCHF、CおよびOCから選ばれ、特に、F、Cl、CN、CF、OCHFおよびOCFである。非極性基の場合、それは、好ましくは、15個までのC原子のアルキルまたは2〜15個のC原子のアルコキシである。
【0031】
およびRのそれぞれは、アキラルまたはキラル基でよい。キラル基の場合、それは、好ましくは、式Iである。
【0032】
【化7】

式中、
は、1〜9個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であり、
は、1〜10個のC原子のアルキルまたはアルコキシ基で、無置換またはF、Cl、BrまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、酸素原子が互いに直接結合しないように、1つ以上の隣接していないCH基を、それぞれ互いに独立に、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−で置き換えることもでき、
は、F、Cl、Br、CNまたはQで定義されるアルキルまたはアルコキシ基であるがQとは異なる。
【0033】
式IのQがアルキレン−オキシ基の場合、O原子は、好ましくは、キラルC原子に隣接している。
【0034】
式Iの好ましいキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0035】
特に好ましいキラル基Iは、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特には、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。非常に好ましくは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0036】
加えて、例えば、結晶化する傾向が低減されるため、アキラルな分岐したアルキル基を含む化合物はしばしば重要な場合がある。このタイプの分岐した基は、一般に、1つより多くは鎖の枝を含んでいない。好ましいアキラルな分岐した基は、イソプロピル、イソブチル(即ち、メチルプロピル)、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態においては、R、R、およびR’の1つ以上が−SG−PGである。
【0038】
が−SG−PGである式Iおよびその補助式の化合物が特に好ましく、加えて好ましくは、同時にmが0である。
【0039】
重合性または反応性基PGは、好ましくは、CH=CW−COO−、
【0040】
【化8】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、およびWSi−から選択され、WはH、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは1,4−フェニレンであり、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0041】
特に好ましいPGはビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であり、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
【0042】
スペーサー基SGについては、この目的のために当業者に公知の全ての基を使用できる。スペーサー基SGは、好ましくは、PG−SG−がPG−SG’−Xであるような式SG’−Xである。
【0043】
式中、
SG’は、20個までのC原子のアルキレンで、無置換またはF、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、1つ以上の隣接していないCH基を、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−、−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えることもでき、
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−、−CH=CH−または単結合であり、および
01、R02、Y01およびY02は、上で与えられるそれぞれの意味の1つを有する。
【0044】
Xは、好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY02=CY02−、−C≡C−または単結合で、特に、−O−、−S−、−C≡C−、−CY01=CY02−または単結合で、非常に好ましくは、−C≡C−または−CY01=CY02−などの共役系を形成できる基、または単結合である。
【0045】
典型的な基SG’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−で、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、R、R00および他のパラメーターは上で与えられる意味を有する。
【0046】
好ましい基SG’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0047】
もう1つの好ましい実施形態においては、SG’が式I’のキラル基である。
【0048】
【化9】

式中、
およびQは、式Iで与えられる意味を有し、および
は、1〜10個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であるが、Qとは異なるものであり、Qは重合性基PGに結合している。
【0049】
更に好ましくは、SGが単結合である基PG−SG−を1つまたは2つ有する化合物である。
【0050】
2つの基PG−SG−を有する化合物の場合、2つの重合性基PGおよび2つのスペーサー基SGは、同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
本発明による式Iの好ましい化合物は、以下の化合物例である。
【0052】
【化10】

【0053】
【化11】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および、好ましくは、
【0054】
【化12】

は、アルキルまたはアルケニルである。
【0055】
式Iの化合物は、専門家に既知の通常の方法により入手できる。例えば出発材料は以下のタイプの化合物でよく、それれは商業的に入手可能であるか、刊行された方法により入手できるかのいずいれかである。
【0056】
好ましくは、本発明による液晶媒体は、式Iの化合物を含み、好ましくは主にこれらからなり、最も好ましくは完全にこれらからなる成分Aを含有する。
【0057】
本出願における「含む」とは、組成の文意において、参照される存在物、例えば媒体または成分が、問題となっている1種類以上の化合物を、好ましくは10%以上の総濃度、最も好ましくは20%以上含有することを意味する。
【0058】
この文意において、「主に・・・からなる」とは、参照される存在物が、80%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の問題となっている1種類以上の化合物を含有することを意味する。
【0059】
この文意において、「完全に・・・からなる」とは、参照される存在物が、98%以上、好ましくは99%以上、最も好ましくは100.0%の問題となっている1種類以上の化合物を含有することを意味する。
【0060】
本出願による媒体に含有される本出願による化合物の濃度は、好ましくは0.5%以上〜70%以下の範囲であり、より好ましくは1%以上〜60%以下の範囲であり、最も好ましくは5%以上〜50%以下の範囲である。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明によるメソゲン変調媒体は、以下を含む。
【0062】
・1種類以上の式Iの化合物を含み、好ましくは主にこれらからなり、最も好ましくは完全にこれらからなる成分Aを、好ましくは1重量%〜25重量%の濃度で含む。
【0063】
【化13】

式中、
11〜L14は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
【0064】
【化14】

は、芳香族および/または脂環式環、または2個以上の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ただし、これらの環は、N、Oおよび/またはSより選択される1個以上ヘテロ原子を含んでいてもよく、Rにより一置換、二置換または多置換されていてもよく、
Rは、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、CN、NCS、SCN、SF、SOCFまたはアルキルで、該アルキルは直鎖または分岐しており、好ましくは1〜20個のC原子を有しており、無置換であるか、F、ClまたはCN、好ましくはFで一置換または多置換されており、ただし、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、1個以上のCH基が、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY01−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくは、ハロゲン、1〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子のn−アルキル、n−アルコキシ、2〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子のアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、または、CN、NCS、F、Cl、ハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくは、一フッ化、二フッ化またはオリゴフッ化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、特に好ましくはn−アルキル、n−アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
は、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、OCF、CF、OCHF、CN、NCS、SCN、SFまたはSOCFであり、好ましくは、F、OCF、CF、CN、またはSFであり、
は、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CR01=CH−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−(CH−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合であり、好ましくは、−CO−O−、−O−CO−、−CF−O−、−O−CF−または単結合であり、より好ましくは、単結合であり、
01およびY02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、あるいは、それらの一方はHでもよく、
01およびR02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
nは0または1、好ましくは、1である。
【0065】
・1種類以上の式IIの化合物を含み、好ましくは主にこれらからなり、最も好ましくは完全にこれらからなる誘電的に正の成分Bを含んでもよい。
【0066】
【化15】

式中、
は、式IでRに与えられる意味を有し、
21、A22およびA23は、それぞれ互いに独立に、
【0067】
【化16】

であり、ただし2回ある場合は、A21およびA22のそれぞれは同一でも異なる意味でも有してよく、
21およびZ22は、それぞれ互いに独立に、単結合、−(CH)−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、ただし2回ある場合は、Z21およびZ22のそれぞれは同一でも異なる意味でも有してよく、
は、ハロゲン、−CN、−NCS、−SF、−SOCF、CNおよび/またはハロゲンでそれぞれ一置換または多置換されたアルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルキルアルコキシまたはアルコキシ基であり、
21およびL22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、および
mは、0、1または2であり、
nは、0、1、2または3であり、
oは、0、1または2で、好ましくは0または1であり、および
m+n+oは3以下であり、好ましくは2以下である。
【0068】
・1種類以上の式IIIの化合物を含み、好ましくは主にこれらからなり、最も好ましくは完全にこれらからなる成分Cを、好ましくは1重量%〜25重量%の濃度で含んでもよい。
【0069】
【化17】

式中、
a、b、cおよびdは、それぞれ互いに独立に、0、1または2で、ただし、
a+b+c+dは、4以下であり、
31、A32、A33およびA34は、それぞれ互いに独立に、
【0070】
【化18】

であり、ただし2回ある場合は、A31、A32、A33およびA34のそれぞれは同一でも異なる意味でも有してよく、
31、Z32、Z33およびZ34は、それぞれ互いに独立に、単結合、−(CH)−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡D−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、ただし2回ある場合は、Z31、Z32、Z33およびZ34のそれぞれは同一でも異なる意味でも有してよく、
は、1〜15個の炭素原子のアルキルまたはアルコキシ基で、ただし、前記アルキルまたはアルコキシ基の1つ以上のメチレン基は、それぞれ互いに独立に、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡D−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、前記アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるか、−CN基で一置換されているか、またはハロゲンで一置換または多置換されており、好ましくは、R11は、10個までの炭素原子の直鎖状アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたは−O−アルキレン−O−アルキル基であり、前記基は無置換であるか、ハロゲンにより一置換または多置換されており、
31、L32、L33およびL34は、それぞれ互いに独立に、水素、ハロゲン、CN基、1〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基で、ただし、前記アルキルまたはアルコキシ基の1つ以上のメチレン基は、それぞれ互いに独立に、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡D−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、L31、L32、L33およびL34の少なくとも1つが水素でない条件の下に、前記アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるか、−CN基で一置換されているか、またはハロゲンで一置換または多置換されており、
は、F、Cl、CF、OCF、CN、NCS、SFまたはSO−Rであり、
およびRは、それぞれ互いに独立に、水素または1〜7個の炭素原子を有するアルキル基であり;好ましくは、RおよびRの両者が、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、および
は、1〜7個の炭素原子を有するアルキル基で、前記アルキル基は無置換であるか、ハロゲンで一置換または多置換されており;好ましくは、RはCF、Cまたはn−Cである。
【0071】
・HTP≧20μmの1種類以上のキラル化合物を含む成分Dを、1〜20重量%で含む。
【0072】
・ブルー相の相範囲を広げる、および/または電気光学的効果の温度依存性を低下させる化合物よりなる成分Eを含んでもよい。
【0073】
・重合してブルー相の相範囲を安定化し、および/または電気光学的効果の温度依存性を低下させる反応性化合物を含み、好ましくは、反応性メソゲンを含む高分子前駆体である成分Eを含んでもよい。
【0074】
本発明の混合物は、1〜75重量%、好ましくは2〜70重量%、最も好ましくは3〜65重量%の成分Aを好ましくは含む。
【0075】
成分Dの適切なキラル化合物は、20μm以上、好ましくは40μm以上、最も好ましくは60μm以上の螺旋捩れ力の絶対値を有するものである。HTPは、20℃の温度においてMLC−6260中で測定される。
【0076】
キラル成分Dは、メソゲン構造を有し、好ましくはそれ自身で1種類以上のメソフェーズ、特に少なくとも1つのコレステリック相を示す1種類以上のキラル化合物を好ましくは含む。キラル成分Dに含まれる好ましいキラル化合物は、とりわけ、コレステリル−ノナノエート(CN)、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011、R/S−4011、R/S−5011、CB−15(メルク社、ダルムスタット市、ドイツ国)などの良く知られているキラルドーパント類である。好ましくは、1種類以上のキラル構造成分および1つ以上のメソゲン基を有するか、キラル構造成分と共にメソゲン基を構成する1種類以上の芳香族または脂環式構造成分を有するキラルドーパントである。より好ましくは、ドイツ国特許第34 25 503号、ドイツ国特許第35 34 777号、ドイツ国特許第35 34 778号、ドイツ国特許第35 34 779号、ドイツ国特許第35 34 780号、ドイツ国特許第43 42 280号、欧州特許第01 038 941号およびドイツ国特許第195 41 820号に開示されるキラル構造成分およびメソゲンキラル化合物であり、参照によりその開示が本出願に組み込まれる。特に好ましくは、欧州特許第01 111 954.2号に開示されるキラルビナフチル誘導体、国際特許出願公開第02/34739号公報に開示されるキラルビナフトール誘導体、国際特許出願公開第02/06265号公報に開示されるキラルTADDOL誘導体、ならびに、国際特許出願公開第02/06196号公報および国際特許出願公開第02/06195号公報に開示される、少なくとも1つのフッ素化されたリンカーおよび1つの末端キラル構造成分または中央キラル構造成分を有するキラルドーパントである。
【0077】
本発明の制御媒体は、約−30℃〜約90℃の範囲、特には約70℃または更に80℃までの特性温度、好ましくは透明点を有する。
【0078】
本発明の混合物は、1種類以上(2種類、3種類、4種類以上)のキラル化合物を1〜25重量%の範囲で有し、好ましくは2〜20重量%である。特に好ましくは、1種類以上のキラル化合物を3〜15重量%含む混合物である。
【0079】
好ましい実施形態を以下に示す。
【0080】
・媒体は、1種類、2種類または3種類以上の式Iの化合物を含む。
【0081】
・および/または、成分Bは、好ましくは、式IIの1種類以上の化合物の他に、式Zの1種類以上のエステル化合物を含む。
【0082】
【化19】

式中、Rは式IでR11に与えられる意味を有し、
【0083】
【化20】

は、F、Cl、CN、NCS、OCF、CFまたはSFであり、
式中、Rは式IIでRに与えられる意味を有する。
【0084】
特に好ましくは、式Zの化合物を5%〜35%含む混合物であり、好ましくは10%〜30%、特に好ましくは10%〜20%である。
【0085】
・成分Bは、好ましくは、式Nの化合物を1種類以上、追加的に含む。
【0086】
【化21】

式中、
Rは、式IでR11に与えられる意味を有し、好ましくは、AlkylまたはAlkyl−C≡Cであり、
Alkylは1〜7個のC原子のアルキル、好ましくはn−アルキルであり、および
nは、0または1である。
【0087】
・成分Bは、好ましくは、式Eのエステル化合物群より選ばれる1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0088】
【化22】

式中、Rは、式IでR11に与えられる意味を有し、好ましくはアルキルであり、および
【0089】
【化23】

・式Eの化合物の割合は、好ましくは、10〜30重量%、特には、15%〜25%である。
【0090】
・媒体は、好ましくは、式Q−1およびQ−2の群より選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0091】
【化24】

式中、Rは、式IでR11に与えられる意味を有し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0092】
・媒体は、好ましくは、Rがメチルである式IIの化合物群より選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0093】
・媒体は、好ましくは、1種類のジオキサン化合物、または2種類以上のジオキサン化合物を含み、好ましくは、式Dx−1およびDx−2の群より選ばれる1種類のジオキサン化合物または2種類のジオキサン化合物である。
【0094】
【化25】

式中、Rは、式IでR11に与えられる意味を有する。
【0095】
好ましくは、式IIの化合物は、それの補助式II−1〜II−4より選択される。
【0096】
【化26】

式中、パラメーターは上で与えられるそれぞれの意味を有し、および、好ましくは、
は、アルキルまたはアルケニルであり、および/または
は、F、Cl、OCF、CF、CNまたはSFである。
【0097】
式Iの化合物を比較的少量の割合で、従来の液晶材料、しかしながら特に、式IIおよびIIIの1種類以上の化合物と混合することで、作動電圧を低下させ、作動温度範囲を広げることが見出された。特に好ましくは、式Iの1種類以上の化合物に加え、式IIの化合物を1種類以上含む混合物であり、特に、XがF、Cl、CN、NCS、CFまたはOCFである式IIの化合物である。式I〜IIIの化合物は、無色で、安定であり、お互いにおよび他の液晶材料と容易に混和する。
【0098】
式IおよびIIおよびIIIの化合物の最適な混合比は、実質的に、所望の特性、式I、IIおよび/またはIIIの化合物の選択、および存在してもよい他の化合物の選択に依存する。上で与えられる範囲内の適切な混合比は、場合に応じて容易に決定できる。
【0099】
本発明による混合物における式I〜IIIの化合物の総量は、重要ではない。したがって、混合物は、各種の特性を最適化する目的で更に1種類以上の成分を含むことができる。しかしながら、式I〜IIIの化合物の総濃度が高くなると、作動電圧および作動温度範囲に対する効果が一般に大きくなることが観測される。
【0100】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、XがF、OCF、OCHF、OCH=CF、OCF=CFまたはOCF−CFHである式IIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果のため、特に優れた特性となる。特に、式Iおよび式IIおよび式IIIの化合物を含む混合物は、低い作動電圧により区別される。
【0101】
本発明による媒体で使用できる式II〜IIIのそれぞれの化合物は、既知であるか、既知の化合物に類似して調製できる。
【0102】
偏光子、電極基板および表面処理電極からの本発明によるMLCディスプレイの構造は、このタイプのディスプレイの従来の構造に対応している。従来構造との用語は、ここでは広範に及び、MLCディスプレイの全ての誘導型および改変型を網羅し、特に、多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子が挙げられるが、特に好ましくは、一方のみの基体の直上に電極を有する、即ち、IPSディスプレイで使用されているような所謂インターデジタル電極を有するディスプレイであり、好ましくは、確立された構造の1つである。
【0103】
しかしながら、本発明によるディスプレイと、捩れネマチックセルに基づく従来のディスプレイとの間の重大な相違は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0104】
本発明による媒体は、それ自身、従来の方法に従い調製される。一般に、成分をお互いに溶解し、温度を上昇すると良好である。適切な添加剤により、本発明による液晶相を、これまで開示されてきた液晶ディスプレイ素子の全てのタイプで使用できるように改変できる。このタイプの添加剤は当業者には既知であり、文献に詳細に記載されている(H.KelkerおよびR.Hatz、Handbook of Liquid Crystals、Verlag Chemie、Weinheim、1980年)。例えば、多色性色素を着色ゲスト−ホスト系の調製のために添加でき、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するために物質を加えることができる。さらに、安定剤および抗酸化剤を加えることもできる。
【0105】
本発明による混合物は、TN、STN、ECBおよびIPS用途および等方性スイッチングモード(ISM:isotropic switching mode)用途に適している。よって、本発明による化合物を少なくとも1種類含む液晶媒体を備える電気光学的装置および電気光的装置の使用は、本発明の対象である。
【0106】
本発明の混合物は、光学的等方状態で作動する装置に、非常に適している。本発明の混合物は、驚くべきことに、それぞれの使用に非常に適していることが見出される。
【0107】
光学的等方状態で作動されるか作動可能な電気光学的装置は、最近、ビデオ、テレビ、およびマルチメディア用途に関して興味が持たれてきている。これは、液晶の物理的特性に基づく電気光学的効果を利用する従来の液晶ディスプレイが、より長いスイッチング時間を示し、前記の用途で好ましくないためである。更に、従来のディスプレイの殆どにおいてコントラストの視野角依存性が大きく、この好ましくない特性を埋め合わせる方法が必要となってきている。
【0108】
等方状態における電気光学的効果を利用する装置に関しては、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報に、変調のためのメソゲン制御媒体が作動温度で等方相である光制御(光変調)素子が開示されている。これらの光制御素子は非常に短いスイッチング時間および良好なコントラストの視野角依存性を有している。しかしながら、前記素子の駆動および作動電圧は、いくつかの用途において、非常にしばしば不適当に高い。
【0109】
未だ未公開であるドイツ国特許出願102 41 301号には、駆動電圧を著しく低下できる特定の電極構造が開示されている。しかしながら、これらの電極は、光制御素子の製造工程を更に複雑なものとする。
【0110】
更に、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報およびドイツ国特許第102 41 301号の両者で開示されている光制御素子は、重大な温度依存性を示す。光学的等方状態の制御媒体における電場により誘発可能な電気光学的効果は、制御媒体の透明点に近い温度で最も顕著となる。この範囲において光制御素子の特性電圧は最低値となり、よって最低の作動電圧が要求される。温度が上昇するにしたがい、特性電圧よって作動電圧は著しく上昇する。この範囲での温度依存性の典型的な値は、単位温度当たり約数ボルトから単位温度当たり約十ボルト以上である。ドイツ国特許第102 41 301号には等方状態で作動可能または作動される装置として各種の電極構造が記載されている一方で、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報には、等方状態で作動可能または作動される光制御素子中で有益な各種の組成物の等方媒体が開示されている。これらの光制御素子中の閾値電圧の相対温度依存性は、透明点より1℃高い温度で約50%/℃である。その温度依存性は温度の上昇に伴い減少し、透明点より5℃高い温度で約10%/℃となる。しかしながら、電気光学的効果のこの温度依存性は、前記光制御素子を利用するディスプレイの多くの実用用途にとっては、高すぎる。それとは反対に、実用的な使用には、少なくとも数℃、好ましくは約5℃以上、より好ましくは約10℃以上、特には約20℃以上の温度範囲に渡って、作動電圧が作動温度に依存しないことが望ましい。
【0111】
本発明の混合物を使用することは、上記およびドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報、ドイツ国特許第102 41 301号およびドイツ国特許第102 536 06号に記載されるような光制御素子中の制御媒体として、前記電気光学的作動の作動電圧における広い温度範囲において、非常に適していることが見出された。この場合、光学的等方状態またはブルー相は、殆ど完全または完全に作動温度に依存しない。
【0112】
この効果は、未だ公開されていない国際特許出願公開第2004/046 805号公報に記載されているメソゲン制御媒体が少なくとも1つの所謂「ブルー相」を示す場合、更により明らかである。非常に高いキラル捩れを有する液晶は、1つ以上の光学的等方相を有する場合がある。その相がそれぞれのコレステリックピッチを有する場合、これらの相は、十分に広いセル間隔を有するセル中において青色を呈することがある。よって、それらの相は「ブルー相」とも呼ばれる(GrayおよびGoodby、「Smectic Liquid Crystals,Textures and Structures」、Leonhard Hill、米国、カナダ(1984年))。ブルー相を示す液晶の電場の効果は、例えば、H.S.Kitzerow、「The Effect of Electric Fields on Blue Phases」、Mol.Cryst.Liq.Cryst.(1991年)、202巻、51〜83頁に記載されており、これまでにブルー相のこれらのタイプは同定されており、即ちBP I、BP II、およびBP IIIであり、それらは電場のない液晶中で観測されることがある。単一のブルー相または複数のブルー相を示す液晶に電場が印加された場合、更なるブルー相またはブルー相I、IIおよびIIIとは異なる他の相が生じることがあることは特筆すべきことである。
【0113】
本発明の混合物は電気光学的光制御素子中において使用でき、
・1つ以上、特に2つの基板;
・電極アセンブリー;
・光を偏光する1つ以上の素子;および
・前記制御媒体
を備える。
【0114】
ただし、前記光制御素子は、それが駆動状態でない時に制御媒体が光学的等方相である温度において作動されるか(または作動可能)である。
【0115】
本発明の制御媒体は、約−30℃から約90℃の範囲内、特には約70℃〜80℃までの特性温度、好ましくは透明点を有する。
【0116】
光制御素子の作動温度は、好ましくは、制御媒体の特性温度より高く、通常、前記温度は制御媒体がブルー相へ転移する温度であり;一般に、作動温度は前記特性温度より約0.1°〜約50°高い範囲内であり、好ましくは約0.1°〜約10°の範囲である。作動温度は制御媒体のブルー相への転移温度から制御媒体が等方相へ転移する温度、つまり透明点までの範囲内が非常に好ましい。しかしながら、光制御素子は、制御媒体が等方相である温度においても作動させることができる。
【0117】
(本発明の目的のために、用語「特性温度」は以下の通り定義される:
・特性電圧が温度の関数として最小値を有する場合、この最小値の温度を特性温度と表す、
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体が1つ以上のブルー相を有する場合、ブルー相への転移温度を特性温度と表す;1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相への最も低い転移温度を特性温度と表す、
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体がブルー相を有さない場合、等方相への転移温度を特性温度と表す。)
本発明の文意においては、用語「アルキル」は、本記載および請求項中の他の所で異なった方法で定義されていない限り、直鎖状および分岐状で1〜15個の炭素原子の炭化水素(脂肪族)基を意味する。炭化水素基は無置換でもよく、F、Cl、Br、IまたはCNからなる群より独立に選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0118】
また、誘電体は、当業者に既知で文献に記載される更なる添加剤を含んでもよい。例えば、0〜5%の多色性色素、抗酸化剤または安定剤を添加することができる。
【0119】
Cは結晶層、Sはスメクチック相、ScはスメクチックC相、Nはネマチック相、Iは等方相、およびBPはブルー相を表す。
【0120】
はX%透過の電圧を表す。よって、例えば、V10は10%透過の電圧を表し、V100は100%透過の電圧を表す(視野角は板表面に対して垂直)。それぞれのVmaxでV100の値に対応する作動電圧において、ton(それぞれのτon)はスイッチ−オン時間を表し、toff(それぞれのτoff)はスイッチ−オフ時間を表す。
【0121】
Δnは光学的異方性を表す。Δεは誘電異方性を表す(Δε=ε−ε、ただし、εは分子の長軸に平行な誘電定数を表し、εはそれに垂直な誘電定数を表す)。電気光学的データは、他に明示されない限り、20℃における透過の一次最小値(即ち、(d・Δn)値が0.5μm)でのTNセル中で測定される。光学的データは、他に明示されない限り、20℃で測定される。
【0122】
物理的特性を調整するために、本発明による光変調媒体は更に液晶化合物を含むこともできる。その様な化合物は、専門家に既知である。本発明による媒体中でのそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜20%、最も好ましくは5%〜15%である。
【0123】
好ましくは、本発明の媒体はブルー相の範囲を有するか、1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相の合わされた範囲を有し、20°以上の幅、好ましくは40°以上、より好ましくは50°以上、最も好ましくは60°以上である。
【0124】
好ましい実施形態において、この相は少なくとも10℃〜30℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも10℃〜40℃であり、最も好ましくは少なくとも0℃〜50℃であり、ただし、少なくともとは、好ましくは、相が下限より下の温度までに渡り、同時に上限の上までに渡ることを意味する。
【0125】
もう1つの好ましい実施形態において、この相は少なくとも20℃〜40℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜80℃であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜90℃である。この実施形態は、エネルギーを放散し、よってディスプレイを加熱する強力なバックライトを有するディスプレイに特に適している。
【0126】
本出願において、誘電的に正の化合物との用語はΔε>1.5の化合物を記載し、誘電的に中性の化合物は−1.5≦Δε≦1.5の化合物であり、誘電的に負の化合物はΔε<−1.5の化合物である。成分に対しても同じである。Δεは1kHzおよび20℃で決定される。化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中のそれぞれの化合物の10%溶液の結果から決定される。これらの試験混合物の容量は、ホメオトロピックおよびホモジニアス配向有する両方のセル中で決定される。セルの両タイプのセル間隔は、ほぼ20μmである。印加される電圧は周波数1kHzの矩形波で、2乗平均平方根値は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、それぞれの試験混合物の容量閾値より常に低く選択される。
【0127】
誘電的に正の化合物には、混合物ZLI−4792、誘電的に中性ならびに誘電的に負な化合物には、ZLI−3086が、いずれもドイツ国メルク社製であるが、それぞれ、ホスト混合物として使用される。化合物の誘電体誘電率は、興味ある化合物を加えた時のホスト混合物のそれぞれの値の変化より決定され、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。
【0128】
測定温度である20℃でネマチック相を有する化合物はその様に測定され、その他全ては化合物のように扱う。
【0129】
両者について他に明言しない場合、本出願における閾値電圧との用語は光学的閾値を指し、10%相対コントラスト(V10)で与えられ、飽和電圧との用語は光学的飽和を指し、90%相対コントラスト(V90)で与えられる。容量閾値電圧(V、フレデリクス閾値VFrとも呼ばれる)は、特に明言されているときのみ使用される。
【0130】
本出願で与えられるパラメーターの範囲は、他に明言しない限り、全て限界値を含む。
【0131】
本出願を通して、他に明言しない限り、全ての濃度は質量%で与えられ、それぞれの完全混合物に関し、全ての温度は摂氏(セルシウス)度で与えられ、全ての温度差は摂氏度である。全ての物理的特性は「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals、Status、1997年11月、メルク社、ドイツ国」に従って決定されたか、されるものであり、他に明言しない限り20℃の温度で与えられる。光学的異方性(Δn)は波長589.3nmで決定される。誘電異方性(Δε)は周波数1kHzで決定される。閾値電圧ならびに他の電気光学的特性は、メルク社、ドイツ国によって調製された試験セルで決定された。Δεを決定するための試験セルは22μmのセル間隔を有していた。電極は1.13mの面積の循環ITOおよび保護リングを有するものであった。配向層はホメオトロピック配向(ε)にはレシチンであり、ホモジニアス配向(ε)には日本合成ゴム社製のポリイミドAL−1054であった。容量は周波数応答分析器Solatron1260により電圧0.3または0.1Vrmsの正弦波を用いて決定した。電気光学的測定で使用した光は白色光であった。使用したセットは、大塚社、日本国より商業的に入手可能な装置であった。特性電圧は垂直観測下で決定した。閾値電圧(V10)、中間灰色電圧(V50)および飽和電圧(V90)は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0132】
メソゲン変調材料は、それぞれメルク社の設備で調製された電気光学的試験セルに充填された。試験セルは一方の基体側にインターデジタル電極を有していた。電極の幅は10μm、隣接する電極間隔は10μm、セル間隔も10μmであった。この試験セルを、直交偏光子の間で電気光学的に検討した。
【0133】
低温において、充填されたセルはキラルネマチック混合物に典型的なテクスチャーを示し、電圧を印加しない直交偏光子間で光を透過した。加熱すると、第1温度(T)で混合物は光学的に等方的になり、直交偏光子間で暗くなった。これは、この温度で、キラルネマチック相からブルー相への転移を示す。第2温度(T)までは、セルは印加電圧下で電気光学的効果を示し、典型的には数十ボルトで光学的透過が最大となる範囲の一定の電圧である。典型的には、高温では、可視的な電気光学的効果に必要な電圧は強く増加し、この第2温度(T)でブルー相から等方相への転移を示している。
【0134】
ブルー相において最も有益に電気光学的に混合物を使用できる温度範囲(ΔT(BP))は、T〜Tの範囲として示された。この温度範囲(ΔT(BP))は、本出願の例で与えられる温度範囲である。この温度範囲を超えた温度範囲、即ち、T2より高温でも、作動電圧が著しく上昇する以外は、電気光学的ディスプレイを作動できる。
【0135】
本発明による液晶媒体は更なる添加剤およびキラルドーパントを通常の濃度で含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体をベースとして0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲である。それぞれ使用される化合物それぞれの濃度は、好ましくは0.1〜3%の範囲である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶成分の濃度および本出願の液晶媒体の化合物の値および範囲には考慮されない。
【0136】
本発明により発明された液晶媒体は幾つかの化合物よりなり、好ましくは3〜30種類、より好ましくは5〜20種類、最も好ましくは6〜14種類である。これらの化合物は従来法により混合される。一般則として、より少量で使用される化合物の必要量を、より多量で使用される化合物に溶解する。温度がより高濃度で使用される化合物の透明点より高い場合、溶解の工程の完了を特に容易に観測できる。しかしながら、他の従来法により媒体を調製することも可能で、例えば、いわゆる事前混合法を使用してであり、それは、例えば、化合物の相同または共晶混合または所謂マルチボトルシステムを使用でき、それ自身で使用できる状態にある混合物の構成成分である。
【0137】
適切な添加剤を加えることで、本発明による液晶媒体を、液晶ディスプレイの全ての既知のタイプ中において、またはTN−、TN−AMD、ECB−、VAN−AMDおよび特にPDLD−、NCAP−およびPN−LCDなどの複合系および特にHPDLC中などの液晶媒体を使用することに適切なように改変できる。
【0138】
融点:T(K,N)、T(K,S)またはT(K,I)のそれぞれ、1つのスメクチック相(S)からもう1つのスメクチック相(S)への転移温度:T(S,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移温度T(S,N)、透明点:T(N,I)、適用できる場合、液晶のガラス転移温度:T、ならびに本出願を通して任意の他の温度は摂氏度(即ち、セルシウス)で与えられる。
【0139】
4−ブロモ−2,5−ジフルオロフェニルリチウムによりオキセタン類を求核的に開環し、続いてフルオリンの分子内置換を経て中間体アルコラートを環化する以下のスキームに従い、L11がHでL12がFである式Iの化合物、即ち、6−フルオロクロマン類を調製できる。得られる6−フルオロ−7−ブロモクロマン類を、例えば、鈴木カップリング中で更に反応でき、目的化合物を与える。
【0140】
【化27】

同様にして、以下のスキーム中に示されるように、1−ブロモ−2,3,5−トリフルオロベンゼンより、L11およびL12の両方がFである式Iの化合物類、即ち、6,8−ジフルオロクロマン類を得る。
【0141】
【化28】

本出願および特に以下の例において、液晶化合物の構造は頭文字とも呼ばれる略号で示されている。略号から対応する構造への変換は、以下の2つの表AおよびBに従って単純に行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、nそれぞれm個のC原子を有する直鎖状のアルキル基である。表Bの解釈は、それ自体で明らかである。表Aには、構造の中心部にかかわる略号のみが示されている。それぞれの化合物は中心部の略号で表されており、ハイフンおよび以下の置換基R、R、L及びLを特定するコードが続く。
【0142】
【表1】

【0143】
【表2】

【0144】
【表3】

【0145】
【表4】

【0146】
【表5】

【0147】
【表6】

【0148】
【表7】

【0149】
【表8】

【0150】
【表9】

【0151】
【表10】

【0152】
【表11】

【0153】
【表12】

【0154】
【表13】

【0155】
【表14】

【0156】
【表15】

【0157】
【表16】

【0158】
【表17】

【0159】
【表18】

【0160】
【表19】

特に好ましくは、表Bからの少なくとも1種類、2種類、3種類または4種類の化合物を含む液晶混合物である。
【0161】
表Cは成分Dによる可能なドーパントを示し、本発明により、それらは一般に単独または2種類または3種類以上の組み合わせで混合物に加えられる。
【0162】
【表20】

【0163】
【表21】

表Dは成分Dによる可能なドーパントを示し、本発明により、それらは一般に単独または2種類または3種類以上の組み合わせで混合物に加えられる。
【0164】
【表22】

本発明による液晶媒体は、好ましくは、
・表AおよびBの化合物群より選択される4種類以上の化合物と、および/または、
・表Bの化合物群より選択される5種類以上の化合物と、および/または、
・表Aの化合物群より選択される2種類以上の化合物と
を含む。
【実施例】
【0165】
以下に与えられる例は、いかなる方法でも制限することなく、本発明を説明するものである。例示される化合物の構造は、Hおよび13C NMR分光法により確認される。
【0166】
しかしながら、特に化合物の物理的データは、専門家に何れの範囲において何れの特性が達成され得るかを説明する。特に、よって、好ましくは達成され得る各種の特性の組み合わせが、十分に決定される。
【0167】
<例1:7−{4−[ジフルオロ−(3,4,5−トリフルオロフェノキシ)−メチル]−3,5−ジフルオロフェニル}−6−フルオロ−3−メチルクロマン>の調製
【0168】
【化29】

【0169】
【化30】

ジエチルエーテル(1.7l)中の1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(172g、0.633mol)を−70℃まで冷却し、n−ブチルリチウム(400ml、0.637mol)をゆっくり加える。反応混合物を30分撹拌し、3−メチルオキシエタン(40g、0.555mol)の溶液を加える。2時間後に冷浴を取除き、反応混合物を一晩、周囲温度で撹拌し、引続いて、飽和水性塩化アンモニウム溶液で反応を停止する。水層をMTBエーテルで抽出し、有機層を合わせて水で洗浄し乾燥(NaSO)する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカに通してトルエン/酢酸エチル(4:1)によって濾過し、次の合成工程にとって十分な純度の無色のオイルとして3−(4−ブロモ−2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オールを与える。
【0170】
【化31】

THF(300ml)中の3−(4−ブロモ−2,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オール(72.3g、0.273mol)の溶液を、THF(2.2l)中の水素化カリウム(鉱油中30%、0.322mol)の懸濁液に40℃において滴下により加える。反応物を55℃で4時間撹拌し、引続いてイソプロパノール(20ml)で急止し、氷水中に投入する。水層をMTBエーテルで抽出し、有機層を合わせて水で洗浄し、乾燥(NaSO上)する。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカに通してトルエン/ヘプタン(1:1)によって濾過し、粗生成物をヘプタンより再結晶して、無色の固体として7−ブロモ−6−フルオロ−3−メチル−クロマンを与える。
【0171】
【化32】

THF(60ml)中の4−[ジフルオロ−(3,4,5−トリフルオロフェノキシ)−メチル]−3,5−ジフルオロベンゼンボロン酸(11.1g、28.5mmol)の溶液に、水(12ml)中のメタホウ酸ナトリウム八水和物(5g、21.8mmol)、続いてビス(トリフェニルパラジウム(II)クロリド(0.8g、1.14mmol)、水酸化ヒドラジニウム(0.3ml)およびTHF(40ml)中の7−ブロモ−6−フルオロ−3−メチル−クロマン(6.0g、28.6mmol)の溶液を加える。反応混合物を、還流下で5時間加熱する。次いで、MTB−エーテルを加え、溶液を水で洗浄し、乾燥(NaSO上)する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカ上のクロマトグラフィー(溶離液 1−クロロブタン/ヘプタン1:1)によって精製し、トルエン/ヘプタンより再結晶して、無色の結晶として7−{4−[ジフルオロ−(3,4,5−トリフルオロ−フェノキシ)−メチル]−3,5−ジフルオロ−フェニル}−6−フルオロ−3−メチル−クロマンを与える。
【0172】
生成物は、相順:K119Iを有する。
【0173】
<例2a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0174】
【化33】

生成物は、相順:K109N161.5Iを有する。
【0175】
<例2b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0176】
【化34】

生成物は、相順:K100N180.1Iを有する。
【0177】
<例2c>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0178】
【化35】

生成物は、相順:K81S(75)N177.0Iを有する。
【0179】
<例3a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0180】
【化36】

生成物は、相順:K110N145.7Iを有する。
【0181】
<例3b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0182】
【化37】

生成物は、相順:K106N166.6Iを有する。
【0183】
<例4a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0184】
【化38】

生成物は、相順:K104S125N173.7Iを有する。
【0185】
<例4b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0186】
【化39】

生成物は、相順:K95S141N190.0Iを有する。
【0187】
<例4c>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0188】
【化40】

生成物は、相順:K89S150N186.6Iを有する。
【0189】
<例5a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0190】
【化41】

生成物は、相順:K98S110N157.8Iを有する。
【0191】
<例5b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0192】
【化42】

生成物は、相順:K88S124N176.8Iを有する。
【0193】
<例6a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0194】
【化43】

生成物は、相順:K122N152.3Iを有する。
【0195】
<例6b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0196】
【化44】

生成物は、相順:K107S(83)N169.4Iを有する。
【0197】
<例6c>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0198】
【化45】

生成物は、相順:K83S104N167.7Iを有する。
【0199】
<例7>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0200】
【化46】

生成物は、相順:K88S136N181.5Iを有する。
【0201】
<例8a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0202】
【化47】

生成物は、相順:K134N180.7Iを有する。
【0203】
<例8b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0204】
【化48】

生成物は、相順:K110N197.8Iを有する。
【0205】
<例8c>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0206】
【化49】

生成物は、相順:K106S(104)N193.8Iを有する。
【0207】
<例9a>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0208】
【化50】

生成物は、相順:K145N204.1Iを有する。
【0209】
<例9b>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0210】
【化51】

生成物は、相順:K142N215.2Iを有する。
【0211】
<例9c>
例1に類似して、以下の式の化合物を調製する。
【0212】
【化52】

生成物は、相順:K132N208.9Iを有する。
【0213】
<比較使用例1>
以下の液晶混合物(C−1)を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表1に与えられる。
【0214】
【表23】

次に、セル間隔が約5μm、日本国日本合成ゴム社製の配向層AL−3046および電極面積1cmのTN−型の試験セル中において、ドイツ国Karlsruhe市Autronic Melchers社のVHRM−105を使用して、混合物の電圧保持率(VHR)を決定する。測定電圧は1Vである。試験セル中の混合物のVHRを20℃の温度において直ちに決定し、余熱されたオーブン中に挿入5分後に100℃の温度において引き続き決定する。次に、20℃の温度においてドイツ国Heraeus社のSuntest装置中で単位エネルギー当たり75mW/cmドーズによって2時間にわたり、試験セルをUV照射に曝露する。引続いて、20℃の温度および100℃で5分後に再びVHRを決定する。結果を、以下の表2中に示す。
【0215】
【表24】

5%のキラル剤R−5011をアキラル液晶混合物C−1に溶解し、生じる混合物のIPS型セル中における電気光学的応答を検討する。一方の基体側上にインターデジタル電極を有する電気光学的試験セルに混合物を充填する。電極の幅は10μm、隣接する電極間隔は10μm、セル間隔も10μmである。この試験セルを、直交偏光子の間で電気光学的に検討する。利用可能な電圧によって、混合物C−1およびC−2を満足のいく程度に駆動することはできない。
【0216】
UV照射への曝露後においてすら、比較例1の混合物(C−1)は優れた高い電圧保持率を有している。しかしながら、それは非常に低い誘電異方性を有しているのみで、よって、ブルー相中で作動する装置中で駆動できない。
【0217】
<比較使用例2>
C−1より著しく高い誘電異方性を有する以下の液晶混合物C−2を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表3に与えられる。
【0218】
【表25】

この混合物C−2を、そのVHRについて、および5%のキラル剤R−5011の添加後に、比較例1中の混合物C−1と同様に、その電気光学的応答について検討する。結果も、表2に示される。
【0219】
<比較使用例3>
再びC−2より著しく高い誘電異方性を有する以下の液晶混合物C−3を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表4に与えられる。
【0220】
【表26】

混合物C−3を、そのVHRについて、および5%のキラル剤R−5011の添加後に、比較例1中の混合物V−1と同様に、その電気光学的応答について検討する。結果も、表2に示される。
【0221】
この混合物(C−3)の電圧保持率の値ですら、全ての条件における混合物C−2のそれぞれの値よりも著しく低い。
【0222】
低温において、充填されたe−oセルはキラルネマチック混合物の典型的なテクスチャーを示し、電圧を印加しない直交偏光子間で光を透過する。加熱すると、36℃の温度で混合物は等方的になり、直交偏光子間で暗くなる。これは、36℃で、キラルネマチック相からブルー相への転移を示す。この温度を、TまたはTtransと呼ぶ。
【0223】
43℃の温度までは、セルは印加電圧下で明瞭な電気光学的効果を示し、例えば38℃で46Vの電圧を印加することで光学的透過が最大となる。この温度をTと呼び、それぞれの電圧をTにおけるVmaxまたはV100と呼ぶ。43℃の温度において、可視的な電気光学的効果に必要な電圧は強く増加し始め、この温度でのブルー相から等方相への転移を示している。
【0224】
光学的透過がX%に達する電圧をV(例えば、90%の透過に対してV90)と呼ぶ。
【0225】
ブルー相において電気光学的に混合物を使用できる温度範囲(ΔT(BP))が約36℃〜約43℃の範囲として同定され、即ち、7°の幅(=T−T=43℃−36℃)としてである。結果を下の表2に列記する。更に、スイッチ−オン(τon)に対するおよびスイッチ−オフ(τoff)に対する応答時間を決定する。Tより上で温度の上昇に伴い応答時間が短くなり、両方の応答時間が5ミリ秒より短くなる温度を、それぞれTと呼ぶ。これは、本比較使用例の場合、約39.3℃または僅かに高い温度である。よって、使用可能な一定挙動の範囲、即ち、T≧Tの場合、ΔT(FR)=T−T、T<Tの場合、ΔT(FR)=0として定義される使用可能一定範囲(ΔT(FR))は、この比較使用例では、(43.0℃−39.3℃)=3.7°である。
【0226】
<比較使用例4>
再びC−3と同様の誘電異方性を有する以下の液晶混合物C−4を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表5に与えられる。
【0227】
【表27】

混合物C−4を、そのVHRについて、および5%のキラル剤R−5011の添加後に、比較例1中の混合物C−1と同様に、その電気光学的応答について検討する。結果も、表2に示される。
【0228】
この混合物(C−4)の電圧保持率の値ですら、全ての条件における混合物C−2のそれぞれの値よりも劇的に低い。
【0229】
<比較使用例5>
再びC−3と同様の誘電異方性を有する以下の液晶混合物C−5を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表6に与えられる。
【0230】
【表28】

混合物C−5を、そのVHRについて、および5%のキラル剤R−5011の添加後に、比較例1中の混合物C−1と同様に、その電気光学的応答について検討する。結果も、表2に示される。
【0231】
UVによる照射前で20℃において、この混合物(V−5)の電圧保持率の値は満足のいく程度に良好であるが、しかしながら、その値ですら、全ての他の条件における混合物C−2のそれぞれの値よりも劇的に低い。
【0232】
この混合物の電気光学的特性は混合物C−3のそれらと比較し得るものであるが、しかしながら、作動電圧およびその温度依存性の両方が混合物C−3のそれらより劣っている。
【0233】
<使用例1>
再びC−3と同様の誘電異方性を有する以下の液晶混合物E−1を調製し、一般的な物理的特性に関して検討する。組成および特性が、以下の表である表7に与えられる。
【0234】
【表29】

混合物E−1を、そのVHRについて、および5%のキラル剤R−5011の添加後に、比較例1中の混合物C−1と同様に、その電気光学的応答について検討する。結果を表8に示す。
【0235】
UVによる照射前後の両方で20℃において、この混合物E−1の電圧保持率の値は比較的良好であり、UV曝露後の値は、例えば、混合物C−3およびC−5のそれぞれの値よりも著しく良好である。
【0236】
この混合物の電気光学的特性は混合物C−3のそれらと比較し得るものであるが、しかしながら、作動電圧およびその温度依存性の両方が混合物C−3のそれらより僅かに劣っている。
【0237】
【表30】

<使用例2>
この使用例においては、液晶混合物E−2を調製および検討する。混合物E−2は、表9に示される組成および特性を、それぞれ有する。
【0238】
【表31】

結果を表8にも示す。この例の混合物E−2は、かなり良好なVHR値を有する。それれは比較例2の混合物C−2のそれらと殆ど比較し得るものであるうえ、混合物C−5(比較例5)に対するUV照射前の20℃における値を唯一の例外として、それぞれの条件において全ての電気的に駆動可能な混合物(比較例3〜5のC−3〜C−5)の全てのそれぞれの値より優れている。同時に、比較例1および2(混合物C−1およびC−2)のそれらと対照的に、この例の混合物である混合物E−2は、適切な量の適切なキラルドーパント添加後、ブルー相において電気的に駆動できる。
【0239】
<使用例3>
この使用例においては、液晶混合物E−3を調製および検討する。混合物E−3は、表10に示される組成および特性を、それぞれ有する。
【0240】
【表32】

この例の混合物E−3を、上記の通り検討する。
【0241】
<使用例4>
この使用例においては、表12に示される組成および特性を有する液晶混合物E−4を調製および検討する。
【0242】
【表33】

この例の混合物E−4を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、9%のキラル剤R−5011および5%の化合物P(O3)UQU−3O−Fの両方を同時に混合物E−4に加える。結果を表8にも示す。
【0243】
<使用例5>
この使用例においては、表13に示される組成および特性を有する液晶混合物E−5を調製および検討する。
【0244】
【表34】

この例の混合物E−5を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、9%のキラル剤R−5011および5%の化合物P(O3)UQU−3O−Fの両方を同時に混合物E−5に加える。結果を表8にも示す。
【0245】
<使用例6>
この使用例においては、表13に示される組成および特性を有する液晶混合物E−6を調製および検討する。
【0246】
【表35】

この例の混合物E−6を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011および5%の化合物P(O3)UQU−3O−Tの両方を同時に混合物E−6に加える。結果を表15に示す。
【0247】
【表36】

<使用例7>
この使用例においては、表16に示される組成および特性を有する液晶混合物E−7を調製および検討する。
【0248】
【表37】

この例の混合物E−7を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−7に加える。結果を表15にも示す。
【0249】
<使用例8>
この使用例においては、表17に示される組成および特性を有する液晶混合物E−8を調製および検討する。
【0250】
【表38】

この例の混合物E−8を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−8に加える。結果を表15にも示す。
【0251】
<使用例9>
この使用例においては、表18に示される組成および特性を有する液晶混合物E−9を調製および検討する。
【0252】
【表39】

この例の混合物E−9を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−9に加える。結果を表15にも示す。
【0253】
<使用例10>
この使用例においては、表19に示される組成および特性を有する液晶混合物E−10を調製および検討する。
【0254】
【表40】

この例の混合物E−10を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−10に加える。結果を表15にも示す。
【0255】
<使用例11>
この使用例においては、表20に示される組成および特性を有する液晶混合物E−11を調製および検討する。
【0256】
【表41】

この例の混合物E−11を、上記の通り検討する。結果を表21に示す。
【0257】
【表42】

<使用例12>
この使用例においては、表22に示される組成および特性を有する液晶混合物E−12を調製および検討する。
【0258】
【表43】

この例の混合物E−12を、上記の通り検討する。結果を表21にも示す。
【0259】
<使用例13>
この使用例においては、表23に示される組成および特性を有する液晶混合物E−13を調製および検討する。
【0260】
【表44】

この例の混合物E−13を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−13に加える。結果を表21にも示す。
【0261】
<使用例14>
この使用例においては、表23に示される組成および特性を有する液晶混合物E−14を調製および検討する。
【0262】
【表45】

この例の混合物E−14を、上記の通り検討する。
【0263】
<使用例15>
この使用例においては、表24に示される組成および特性を有する液晶混合物E−15を調製および検討する。
【0264】
【表46】

この例の混合物E−15を、上記の通り検討する。電気光学的特性の決定に先立ち、5%のキラル剤R−5011を混合物E−15に加える。結果を表21にも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中、
11〜L14は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
【化2】

は、芳香族および/または脂環式環、または2個以上の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ただし、これらの環は、N、Oおよび/またはSより選択される1個以上ヘテロ原子を含んでいてもよく、Rにより一置換、二置換または多置換されていてもよく、
Rは、ハロゲン、CN、NCS、SCN、SF、SOCFまたはアルキルで、該アルキルは直鎖または分岐しており、好ましくは、1〜20個のC原子を有しており、無置換であるか、または、F、ClまたはCN、好ましくは、Fで一置換または多置換されており、ただし、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、1個以上のCH基が、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY01−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくは、ハロゲン、1〜9個のC原子のn−アルキル、n−アルコキシであり、
はRで与えられる意味を有するか、ハロゲン、OCF、CF、OCHF、CN、NCS、SCN、SFまたはSOCFであり、
は、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CR01=CH−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−(CH−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合であり、
01およびY02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、あるいは、それらの一方はHでもよく、
01およびR02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
は、ハロゲン、OCF、CF、OCHF、CN、NCS、SCN、SFまたはSOCFであり、および
nは、0または1である。)
【請求項2】
12はFであり、および
【化3】

は単結合である
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、ハロゲン、OCF、CF、OCHF、SFまたはSOCFであり、および
nは1である
ことを特徴とする請求項1および2の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1ないし3の一項以上に記載の式Iの化合物を1種類以上含む媒体。
【請求項5】
ブルー相を有することを特徴とする請求項4に記載の媒体。
【請求項6】
請求項4および5の少なくとも一項に記載の媒体を含有することを特徴とする光変調素子。
【請求項7】
メソゲン媒体中における請求項1ないし3の一項以上に記載の化合物の使用。
【請求項8】
光変調素子中における請求項4および5の少なくとも一項に記載の媒体の使用。
【請求項9】
請求項4および5の少なくとも一項に記載の媒体を含有することを特徴とする電気光学的ディスプレイ。

【公表番号】特表2009−541234(P2009−541234A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515744(P2009−515744)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005232
【国際公開番号】WO2007/147516
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】