説明

メソゲン性化合物、液晶媒体および液晶ディスプレイ

本発明は、2つまたは3つ以上のメソゲン基を含み、そのうち2つは芳香環のオルト位に結合する、好ましくはパラメーターが本文中で特定される式(I)の1つまたは2つ以上の化合物を含むメソゲン性媒体に関し、好ましくは、本発明は、ブルー相を呈するメソゲン性媒体および電気光学光変調素子におけるそれらの使用、およびディスプレイにおけるそれらの各々の使用、ならびにかかるデバイス類に関する。本発明はさらに、式(I)の化合物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、メソゲン性化合物類、前記化合物類を含む液晶媒体および前記メソゲン性媒体を光変調媒体として含む電気光学ディスプレイに関する。特に、メソゲン性変調媒体が光学的等方相、好ましくはブルー相であるところの温度で作動するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
解決すべき問題および従来技術
ディスプレイにおいて作動するときに等方相である、電気光学ディスプレイおよびメソゲン性光変調媒体は、DE 102 17 273 Aに記載される。ディスプレイにおいて作動するときに光学的等方性ブルー相である電気光学ディスプレイおよびメソゲン性光変調媒体は、WO 2004/046 805に記載される。
【0003】
これらの文献に記載されるメソゲン性媒体およびディスプレイは、周知および汎用のネマチック相の液晶を用いたディスプレイと比較して、いくつかの有意な長所を提供する。かかるディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ(liquid crystal displays(LCDs))としてねじれネマチック(twisted nematic(TN))モードで作動するもの、超ねじれネマチック(super twisted nematic(STN))モードで作動するもの、および電子制御複屈折(electrically contralled birefringence(ECB))モードで作動するものおよび種々の改変を伴うものならびに面内切り替え(in-plane switching(IPS))モードで作動するものなどである。これらの利点の中で最も顕著なものは、はるかに速い切り換え時間および有意に広い光学視野角である。
【0004】
ところが、例えば表面安定強誘電性液晶ディスプレイ(surface stabilized ferroelectric liquid crystal displays(SSF LCDs))などとしてのスメクチック相など、他の液晶相のメソゲン性媒体を用いるディスプレイと比較すると、DE 102 17 273.0およびWO 2004/046 805のディスプレイをはるかに容易に製造できる。例えば、それらはまず非常に薄いセルギャップを必要とせず、電気光学効果はセルギャップのわずかな変化に対してそれほど敏感でない。
【0005】
しかしながら、前記の特許出願に記載される液晶媒体は、さらに作動電圧を必要とし、ある適応に対しては十分低いというわけではない。さらに、これらの媒体のかかる作動電圧は温度によって変化し、ある温度においては温度が増加するのに伴いかかる電圧が劇的に増加するということが、概して見受けられる。このために、ディスプレイ適応に関して、ブルー相での液晶媒体の適応可能性が限定される。かかる出願で記載される液晶媒体のさらなる短所は、非常に厳しい要求の適応に対して不十分であるところの、中等度の信頼性である。この中等度の信頼性は、例えば、電圧保持率パラメーター(voltage holding ratio parameter (VHR))により表わされ、上記の液晶媒体においては90%未満かもしれない。
【0006】
ある化合物および組成で、コレステリック相および等方相の間にブルー相を有し、通常は光学顕微鏡使用により観察できるということが報告されてきている。ブルー相が観察される化合物または組成は、典型的には単一のメソゲン性化合物または高い対掌性を示す混合物である。しかしながら、慨して観察されるところのブルー相は非常に小さな温度範囲にしか広がっておらず、典型的には1℃の広さより小さくおよび/またはブルー相はかなり不都合な温度で存在する。
【0007】
しかしながら、WO 2004/046 805の速い切り替えディスプレイモードを作動させるために、用いられる光変調媒体は、環境温度を含む広い温度範囲にわたってブルー相である必要がある。そのため、できるだけ広範囲にわたり、また都合よく位置付けされたブルー相を持つ光変調媒体を必要とする。
【0008】
つまり、広い相範囲のブルー相である液晶媒体に対する必要性があるが、メソゲン性化合物自体の適切な混合物によるか、または好ましくは広い温度範囲にわたってブルー相を安定化する単一のドーパントまたはドーパントの混合物とともに適切なメソゲン性の特性でホスト混合物を混合するかにより、達成されるかもしれない。
【0009】
要するに、媒体がブルー相である温度で作動する液晶ディスプレイにおいて作動することができるところの、液晶媒体に対する必要性があり、それにより以下の技術的改善が提供される:
− 低下した作動電圧
− 作動電圧の低下した温度依存性、および
− 改善された信頼性、例えばVHRなど。
【発明の開示】
【0010】
本発明
驚くべきことに、2つまたは3つ以上のメソゲン性基であって、うち2つが芳香環、好ましくはベンゼン環のオルト位に結合し、そこにおいて1つまたは2つ以上の非隣接=CH−基はNによって置換されてもよく、および任意にさらに置換されてもよいものを含む、1つまたは2つ以上の化合物を含むメソゲン性媒体が、それぞれの媒体におけるブルー相の広さを増強したり、電気光学的反応の減少した温度独立性または温度独立性を無視してもよい温度範囲の増加を導く、またはこれらの効果の2つまたは全て3つの組み合わせを導くことをできるようにする。
【0011】
本発明の好ましい態様において、本発明により用いられる化合物はキラル化合物であって、好ましくは少なくとも1つのキラルに置換される原子を含み、最も好ましくはキラルに置換されるC原子を含む。
【0012】
本発明の好ましい態様において、本発明により用いられる芳香環のオルト位に結合する少なくとも2つのメソゲン基を有する化合物は、式Iの化合物である。
【化1】

【0013】
式中、
11、R12、R13およびR14は、互いに独立して、H、F、Cl、CN、NCS、SF、SOCF、または、直鎖もしくは分枝アルキルであって、好ましくは1〜20個のC原子を有し、非置換であるかF、ClまたはCNにより単置換または多置換され、および1つまたは非隣接の2つ以上のCH基は任意に、それぞれの場合互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY01−または−C≡C−によりOおよび/またはS原子が直接互いに結合しないように置換されたアルキルであり、好ましくはH、ハロゲン、1〜9個のC原子好ましくは2〜5個のC原子を有するn−アルキル、n−アルコキシ、2〜9個のC原子好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、あるいはCN、NCS、ハロゲン、好ましくはFまたはCl、ハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくは単フッ化、二フッ化または多フッ化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、特に好ましくはCF、OCFHまたはOCFであり、mが0の場合はR11は好ましくはHまたはハロゲンではなく、
【0014】
【化2】

は互いに独立して、およびそれらの1つまたは2つ以上が1度より多く現れる場合もまたこれらはそれぞれの場合において互いに独立して、芳香環および/または脂肪環、または2つまたは3つ以上の縮合した芳香環または脂肪環を含む基であって、これらの環はN、Oおよび/またはSから選択される1つまたは2つ以上のヘテロ原子を任意に含み、およびRにより任意に単置換または多置換されるものであって、好ましくは、式Iで示される中央の芳香環に隣接する
【0015】
【化3】

は任意に置換された芳香環、好ましくはフェニル環である。
【0016】
RはR11に定められた意味を有し、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
11、Z12、Z13およびZ14は互いに独立して、およびそれらの1つまたは2つ以上が1度より多く現れる場合もまたこれらはそれぞれの場合において互いに独立して、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CR01=CH−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−(CH−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合、好ましくは中央の芳香環に隣接するZ11〜Z13の少なくとも1つは単結合、最も好ましくは中央の芳香環に隣接するZ11およびZ12は単結合であっておよび/または中央の芳香環に隣接するZ13は単結合であって、
【0017】
01およびY02は、互いに独立して、F、ClまたはCNであって、あるいはそれらのうち1つはHであってもよく、
01およびR02は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであって、
mは0、1、2、3または4、好ましくは1、2、または3であって、
nおよびoは、互いに独立して、1、2、3または4、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1または2であって、特にnはoと同じ値を有し、
pは0、1、2、3または4、好ましくは0、1、2または3、最も好ましくは0、1または2であって、特にpは0であるか、oと同じ値を有し、
好ましくは、m+n+o+pは2、3、4、5、6、7または8、好ましくは3、4、5または6であって、
【0018】
および任意に、中央のフェニル環は、ハロゲンおよび/またはR、好ましくはFおよび/またはCHによって単置換または多置換されてもよく、および/または1つまたは2つの非隣接の=CH−基はNにより置換されてもよく、および式Iのキラル化合物もまた含む。
【0019】
式Iの化合物もまた、本出願の対象であって、特に好ましいのは式Iの化合物であってパラメーターが以下の意味を有するものであって、
11はF、Cl、CN、NCS、CF、OCF、SF、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニル、好ましくはF、Cl、CF、SF、アルキルまたはアルコキシ、および最も好ましくはF、CFまたはSF、および特にFであって、
【化4】

は、好ましくは、それぞれの場合で互いに独立して、
【化5】

であって、および
【0020】
11〜L14は、互いに独立して、HまたはF、好ましくは2つまたは3つ以上、最も好ましくはそれらの3つまたは4つ以上がFであって、
nおよびmは、好ましくは、互いに独立して、2または3、最も好ましくは2であって、
および任意に、中央のフェニル環は、1度または2度以上、ハロゲンおよび/またはRによって置換されてもよく、好ましくはFまたはCHによって、および/または1つまたは2つの非隣接の=CH− 基はNによって置換されてもよく、および式Iのキラル化合物もまた含んでもよい。
【0021】
本発明による式Iの化合物は好ましくは式I’であって、
【化6】

式中、パラメーターは上の式Iの基で定められた各々の意味を有し、
MG、MGおよびMGは、互いに独立してMGであって、および
【0022】
それぞれの場合において、MGは、互いに独立して、
【化7】

であって、式中、
15は式Iの元でR’’に定められた意味を有し、
【化8】

は、それぞれの場合互いに独立して、上の式Iの元で
【化9】

に定められた意味を有し、
15は、それぞれの場合互いに独立して、上の式Iの元でZ11に定められた意味を有し、
qは0、1、2または3、好ましくは0、1または2、最も好ましくは0または1である。
【0023】
本発明に従って用いられる式Iの化合物は、好ましくは副化学式I’−1〜I’−6の群から選択され、
【化10】

【0024】
【化11】

式中、パラメーターは、上で定められた各々の意味を有し、示されるところの中央のフェニル環はハロゲンによって、好ましくはFによって、または1〜10のC原子を有するアルキルによって置換されてもよく、
【0025】
好ましい態様において、MGおよびMGは互いに独立しており、pが0でない場合、MGもまたMGと同一であって、
他の好ましい態様において、MGとMGは互いに同一であってMGと異なっており、
さらには、他の好ましい態様において、pは0である。
【0026】
特に好ましくは、式I’の化合物であって、式中、
− MG、MGおよびMGの少なくとも1つのZ15の少なくとも1つ、好ましくはMGおよびMGのそれぞれのZ13の少なくとも1つ、およびMG、MGおよびMGにおけるほとんどは、−CO−O−、−O−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−、−O−CF−または−CH=CH−、最も好ましくは−CF−O−または−O−CF−から選択され、および/または、
【0027】
− 環A11および/またはA12、および/またはA13は、もし存在するならば、それぞれフェニレンであって、1つまたは2つ以上の基Rおよび/またはF原子によって置換され、および/または、
− R11およびR12は、1〜12個の、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキル、または2〜12個の、好ましくは2〜7個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニルであって、および/または、
− R13はHまたは1〜12個、好ましくは1〜8個のC原子を有するアルキル、または2〜12個、好ましくは2〜7個のC原子を有するアルケニルまたはアルキニルである。
【0028】
好ましくは、MGおよびMG、およびもし存在するならばMGは、以下から選択される、
アルキル、オキサアルキル、アルケニルおよびオキサアルケニルであって、式中1つまたは2つのH原子はFにより置換されてもよく、
−(O)0,1(CH2〜12OCOCH=CH
−(O)0,1(CH2〜12OCOCCH=CH
−(O)0,1(CH2〜12OCH=CH
【化12】

【0029】
【化13】

【0030】
【化14】

【0031】
式中、好ましくは、
Rは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキサアルキルであって、
Lは、それぞれの場合互いに独立して、HまたはFであって、および
Xは、CN、NCS、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルケニルオキシまたはSF、好ましくはF、−CFまたは−OCFである。
他の好ましい態様において、MGはそれぞれの場合、互いに独立して、以下の群から選択される。
【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
式中、パラメーターはそれぞれ上で定められた意味を有し、好ましくは、
Lは、それぞれの場合互いに独立してHまたはF、好ましくは1つまたは2つ以上、より好ましくは2つまたは3つ以上のLはFであって、
X’はF、CF、OCF、OCHF、SFまたはCNであって、および、
Rは1〜12のC原子を有するアルキルまたはそれぞれ2〜12のC原子を有するアルケニルまたはアルキルオキシアルキルである。
【0035】
本発明の好ましい態様において、環A11〜A14は、互いに独立して、芳香族または脂肪環式の環、好ましくは5、6または7員環、または2つまたは3つ以上、好ましくは2つまたは3つの、縮合した芳香族または脂肪環であって、これらの環は任意にN、Oおよび/またはSから選択された1つまたは2つ以上のヘテロ原子を含み、およびLで単置換または多置換され、そこにおいてLはF、Cl、Br、CN、OH、NO、および/または1〜12のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であって、そこにおいて1つまたは2つ以上のH原子は任意にFまたはClにより置換される。
【0036】
Lは好ましくは、F、Cl、CN、OH、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHFまたはOC、特にF、Cl、CN、CH、C、OCH、COCHまたはOCF、最も好ましくはF、Cl、CH、OCHまたはCOCHである。
【0037】
好ましい環A11〜A14は、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロピラン、アントラセン、フェナントレンおよびフルオレンである。
【0038】
特に好ましくは、これらの環A11〜A14の1つまたは2以上は、それぞれは、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイル、ジチエノチオフェン−2,6−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、アズレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイルまたは1,4−シクロヘキシレンから選択され、そこにおいて1つまたは2つ以上の非隣接のCH基は任意にOおよび/またはSにより置換され、そこにおいてこれらの基は非置換であるか、上で定義されるところのLにより単置換または多置換される。
【0039】
好ましくは、
【化17】

、それぞれの場合で互いに独立して、
【化18】

【0040】
であって、式中、
RおよびR’は、互いに独立して、上でRに対して、好ましくはR’’に対して定められた意味を有し、最も好ましくは、互いに独立して、1〜12の好ましくは1〜7のC原子を有するアルキル、または2〜12のC原子好ましくは2〜7のC原子を有するアルケニルまたはアルキニルであって、それぞれの1つまたは2つ以上の非隣接の−CH− 基は、フェニル環に隣接しておらず、−O−および/または−CH=CH−により置換されてもよく、および/または1つまたは2つ以上のH原子はハロゲン、好ましくはFにより置換されてもよく、および好ましくはアルキル、好ましくはメチル、エチルまたはプロピル、好ましくはメチルであって、好ましい態様において、RおよびR’は互いに同一であって、
または、それらの鏡像体であって、
【0041】
および、最も好ましくはそれらのうち1つは、特にはそれらのそれぞれの少なくとも1つは、
【化19】

である。
【0042】
本発明の好ましい態様において、基
【化20】

の少なくとも1つは、好ましくはそれらの全ては単環の環A11、A12、A13およびA14のみを含む。非常に好ましくは、これは/これらは、1つ、2つまたは3つの5員環および/または6員環を含む基である。
【0043】
これらの基に対する好ましい副化学式を、下に羅列する。単純化のため、Pheは1,4−フェニレン、PheLは1,4−フェニレン基であって上で定義する1〜4の基Lで置換されるもの、Cycは1,4−シクロヘキシレン、Pydはピリジン−2,5−ジイルおよびPyrはピリミジン−2,5−ジイルである。好ましい基の以下のリストは、副化学式A−1〜A−20ならびにそれらの鏡像体を含む。
【表1】

【0044】
これらの好ましい基において、Zは式Iで定められるZ11の意味を有する。好ましくは、Zは−CF−O−または−O−CF−または単結合である。
【0045】
非常に好ましくは、基
【化21】

【化22】

【0046】
の少なくとも1つは、最も好ましくはそれらの全ては、以下の式Ia〜Irおよびそれぞれの鏡像体から選択され、
【化23】

【0047】
【化24】

【0048】
【化25】

【0049】
式中、Lは上で定められた意味を有し、RおよびSは互いに独立して、0、1、2または3、好ましくは0、1または2である。
【化26】

であり、Lはそれぞれ独立して、上で定められた意味の1つを有する。
【0050】
特に好ましい式Iの化合物は、式のそれぞれの環A11およびA12において、少なくとも1つの基
【化27】

であって、式中rが1または2であるもの、を含む。
【0051】
さらに好ましい式Iの化合物は、式の環A11、A12およびA13のそれぞれに、少なくとも1つの基
【化28】

式中rは2である、および/またはそれぞれの式の少なくとも1つの基
【化29】

式中rは0、1または2である、を含む。
【0052】
非常に好ましくは、基
【化30】

【0053】
好ましくは 、
【化31】

【0054】
のうち少なくとも1つは、最も好ましくはそれらの全ては、以下の式およびそれらのそれぞれの鏡像体から選択される。
【化32】

【0055】
【化33】

【0056】
【化34】

【0057】
式中、1,4−フェニレン環は任意にRまたはLにより、好ましくはアルキル好ましくはメチルにより、および/または、アルコキシによりおよび/またはハロゲン好ましくはFにより置換されてもよい。
【0058】
より好ましくは、少なくとも1つの基
【化35】

【0059】
最も好ましくはそれら全ては、以下の式およびそれぞれの鏡像体から選択される。
【化36】

【0060】
【化37】

【0061】
【化38】

【0062】
アルキル基またはアルコキシ基、つまりアルキル基であって末端CHが−O−により置換されるもの、は、本出願において、直鎖または分枝であってよい。好ましくは直鎖であり、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、すなわち例えば、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、さらにはノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0063】
オキサアルキル、つまりアルキル基であって非末端CH基が−O−により置換されるもの、は、好ましくは、例えば直鎖の2−オキサプロピル(=メトキシ−メチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0064】
アルケニル基、つまりアルキル基であって、1つまたは2つ以上のCH基が−CH=CH−により置換されるものは、直鎖でも分枝であってもよい。好ましくは直鎖であり、2〜10個のC原子を有し、すなわち好ましくは例えば、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、ブタ−2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘクソ−1−、2−、3−、4−またはヘクソ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0065】
特に好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘクセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘクセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘクセニル、4E−ヘクセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘクセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が概して好ましい。
【0066】
アルキル基であって、1つのCH基が−O−によりおよび1つが−CO−により置換されるものにおいて、これらの基は好ましくは隣接する。すなわち、これらの基はともにカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、かかるアルキル基は直鎖であり、2〜6個のC原子を有する。
【0067】
すなわち、好ましくは、アセチルオキシ、プロピニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0068】
アルキル基であって、式中2つまたは2つ以上のCH基が−O−および/または−COO−により置換されるものは、直鎖または分枝であることができる。好ましくは直鎖であり、3〜12個のC原子を有する。すなわち、好ましくは、bis−カルボキシ−メチル、2,2−bis−カルボキシ−エチル、3,3−bis−カルボキシ−プロピル、4,4−bis−カルボキシ−ブチル、5,5−bis−カルボキシ−ペンチル、6,6−bis−カルボキシ−ヘキシル、7,7−bis−カルボキシ−ヘプチル、8,8−bis−カルボキシ−オクチル、9,9−bis−カルボキシ−ノニル、10,10−bis−カルボキシ−デシル、bis−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−bis−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−bis−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−bis−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−bis−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−bis−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−bis−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−bis−(メトキシカルボニル)−オクチル、bis−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−bis−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−bis−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−bis−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−bis−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0069】
CNまたはCFにより単置換されるアルキル基またはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。CNまたはCFによる置換は、任意の所望の部位であることができる。
【0070】
少なくともハロゲンにより単置換されるアルキル基またはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。ハロゲンは好ましくはFまたはClであり、複数置換の場合は好ましくはFである。生成する基はペルフルオロ化基もまた含む。単置換の場合、FまたはClの置換は任意の所望の部位であることができ、しかし好ましくはω位においてである。特に好ましい末端F置換を有する直鎖基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、他の部位のFを除外しない。
ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを意味し、および好ましくはFまたはCl、最も好ましくはFである。
【0071】
11、R12、R13、R、R’およびR’’のそれぞれは、極性基または非極性基であってもよい。極性基の場合、好ましくはCN、SF、ハロゲン、OCH、SCN、COR、COORまたは1〜4個のC原子を有する単フッ化、オリゴフッ化またはポリフッ化アルキル基またはアルコキシ基から選択される。Rは任意に1〜4、好ましくは1〜3個のC原子を有するフッ化アルキルである。特に好ましい極性基は、F、Cl、CN、OCH、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、CHF、CHF、OCF、OCHF、OCHF、CおよびOC、特にF、Cl、CN、CF、OCHFおよびOCFの選択である。非極性基の場合、好ましくは15個までのC原子または2〜15個のC原子を有するアルコキシである。
【0072】
11、R12、R13、R14、R、およびR’のそれぞれは、アキラルまたはキラル基であってもよい。キラル基の場合、好ましくは式Iであって:
【化39】

【0073】
式中、
は、1〜9個のC原子を有するか単結合であるアルキレンまたはアルキレンオキシ基であって、
は、1〜10個のC原子を有するアルキル基またはアルコキシ基であって、非置換であるかF、Cl、BrまたはCNにより単置換または多置換され、1つまたは2つ以上の非隣接のCH基は、それぞれの場合互いに独立して、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−により酸素原子が直接互いに結合しないように置換されることもまた可能であって、
【0074】
は、F、Cl、Br、CNまたはQに対して定義されるアルキル基またはアルコキシ基であるが、Qとは異なり、
式IのQがアルキレン−オキシ基の場合、O原子は好ましくはキラルC原子に隣接する。
【0075】
好ましい式Iのキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0076】
特に好ましいキラル基Iは、例えば、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロルプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。特に好ましいのは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0077】
さらに、アキラル分枝アルキル基を含む化合物は時に重要であり、例えば、結晶化に対する傾向の低下のためである。この型の分枝基は、概して1つより多い鎖の分枝を含まない。好ましいアキラル分枝基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0078】
本発明の好ましい態様において、1つまたは2つ以上のR11、R12、R13、R14、R、およびR’は、−SG−PGである。
特に好ましくは、式Iおよびその副化学式の化合物であって、R11が−SG−PGであり、さらに好ましいのはmが同時に0であるものである。
【0079】
重合可能な基または反応性基PGは、好ましくは、CH=CW−COO−、
【化40】

【化41】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、およびWSi−から選択され、式中、WはH、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは互いに独立してHまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは互いに独立してCl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは1,4−フェニレンであり、およびk1およびk2は互いに独立して0または1である。
【0080】
特に好ましくは、PGはビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であり、特に好ましくはアクリレート基またはメタクリレート基である。
【0081】
スペーサー基SGに関し、本目的に対して当業者に周知の全ての基を用いることができる。スペーサー基SGは好ましくは式SG’−Xであり、そのためPG−SG−はPG−SG’−X−となり、式中、
【0082】
SG’は、20個以下のC原子のアルキレンであって、非置換であるかまたはF、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換されてもよく、1つまたは2つ以上の非隣接のCH基は、それぞれの場合互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−、−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が直接互いに結合しないように置換されることもまた可能であり、
【0083】
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−、−CH=CH−または単結合であり、およびR01、R02、Y01および Y02は上で定められる各々の意味の1つを有する。
【0084】
Xは好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY02=CY02−、−C≡C−または単結合であり、特に−O−、−S−、−C≡C−、−CY01=CY02−または単結合であり、非常に好ましくは、共役系を形成することが可能な基であって、例えば−C≡C−または−CY01=CY02−など、あるいは単結合である。
【0085】
典型的な基SG’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−あるいは−(SiR00−O)−であり、式中pは2から12までの整数であり、qは1〜3までの整数でありならびにR、R00および他のパラメーターは上で定める意味を有する。
【0086】
好ましい基SG’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンなどである。
【0087】
他の好ましい態様において、SG’は式I’のキラル基である:
【化42】

【0088】
式中、
およびQは、式Iで定められた意味を有し、および、
は1〜10個のC原子を有するアルキレンまたはアルキレンオキシ基または単結合であり、Qと異なり、
は重合可能な基PGと結合する。
【0089】
さらに好ましいのは、1つまたは2つの基PG−SG−を有する化合物で、式中SGは単結合であり、
2つの基PG−SGを有する化合物の場合、2つの重合可能な基PGおよび2つのスペーサー基SGのそれぞれは、同一であることも異なることも可能である。
【0090】
好ましくは、本発明による液晶媒体は成分Aを含有し、好ましくは主に成分Aからなり、最も好ましくは全体が式Iの化合物からなる。
【0091】
式Iの化合物は、専門家に周知の通常の方法により利用可能である。式Iの化合物のための簡便な開始材料は、とりわけ、市販されるかまたは刊行された方法により容易に利用可能であり、とりわけ、以下の化合物である:
【化43】

式中、下で定められる反応スキームのように、パラメーターは各々上で定められる意味を有し、好ましくは、
11はHまたはアルキル、好ましくはCHである。
【0092】
式Iの化合物は、例えば以下の2つの反応スキーム(スキームIおよびII)、および上で述べた構成要素または同様のものから開始する同類の合成ルートに従って、有用に製造できる。
【0093】
【化44】

【0094】
スキームIおよびIIにおいてパラメーターは上で定められる各々の意味を有するが、好ましくは、
およびRは、それぞれの場合 互いに独立して、H、F、Cl、CN、SFまたはアルキルまたはアルコキシであり、式中1つまたは2つ以上のH原子はハロゲンによって、好ましくはFによって置換されてもよく、
およびZは、それぞれの場合 互いに独立して、単結合、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、または−CFCF−であり、
【0095】
はホウ酸においてホウ素原子に隣接し、それぞれの場合互いに独立して、芳香環、好ましくは
【化45】

であり、および他の1つの
【0096】
、およびAは、それぞれの場合互いに独立して、
【化46】

であり、
【0097】
〜Lは、互いに独立して、HまたはFであり、および
mおよびnは、それぞれの場合互いに独立して、0、1、2または3、好ましくは 1、2、または3である。
【0098】
DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり、
NBSは、N−ブロムスクシンイミドであり、
NEtは、トリエチルアミンであり、
NEt−3HFは、トリエチルアミンのHF付加化合物であり、
Phは、フェニルであり、および
THFは、テトラヒドロフランである。
【0099】
本出願において「含む」は、組成の文脈において、参照される実体、例えば媒体または組成が、好ましくは10%以上の全体濃度、および最も好ましくは20%以上の問題となる化合物または化合物類を含むことを意味する。
【0100】
本文脈において、「主に〜からなる」は、参照される実体が80%以上、好ましくは90%以上、および最も好ましくは95%以上の問題となる化合物または化合物類を含むことを意味する。
【0101】
本文脈において、「全体が〜からなる」は、参照される実体が98%以上、好ましくは99%以上、および最も好ましくは100.0%以上の問題となる化合物または化合物類を含むことを意味する。
本出願による媒体に含まれる、本出願による化合物の濃度は、好ましくは0.5%以上〜30%以下の範囲、より好ましくは1%以上〜20%以下の範囲、最も好ましくは5%以上〜12%以下の範囲である。
【0102】
好ましい態様において、本発明のよるメソゲン性変調媒体は以下を含む。
− 上記の式Iの1つの化合物または2つ以上の化合物を含む、好ましくは主に前記化合物からなる、そして最も好ましくは全体が前記化合物からなる成分Aを、好ましくは1〜25重量%の濃度、
【0103】
− 任意に、式II
【化47】

【0104】
式中、
は式IでR11に定められた意味を有し、
21、A22およびA23は、それぞれ互いに独立して、
【化48】

であって、A21およびA22は、2度存在する場合は、同じまたは異なる意味を有してもよく、
【0105】
21およびZ22は、それぞれ互いに独立して、単結合、−(CH−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、Z21およびZ22のそれぞれは、2度存在する場合は、同じまたは異なる意味を有してもよく、
はハロゲン、−CN、−NCS、−SF、−SOCF、アルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルキルアルコキシまたはアルコキシ基であり、それぞれはCNおよび/またはハロゲンにより単置換または多置換され、
【0106】
21およびL22は、それぞれ互いに独立して、HまたはFであり、および
mは0、1または2であり、
nは0、1、2または3であり、
oは0、1または2、好ましくは0または1であり、および
m+n+oは3以下、好ましくは2以下である、
で表される1つの化合物または2つ以上の化合物を含む、好ましくは主に前記化合物からなる、そして最も好ましくは全体が前記化合物からなる、誘電的に正の成分B、
【0107】
− 任意に、式III
【化49】

【0108】
式中、
a、b、cおよびdは、それぞれ互いに独立して0、1または2であって、
a+b+c+dは4以下であり、
31、A32、A33およびA34は、それぞれ互いに独立して、
【化50】

であって、A31、A32、A33およびA34のそれぞれは、2度存在する場合は、同じまたは異なる意味を有してもよく、
【0109】
31、Z32、Z33およびZ34は、それぞれ互いに独立して、単結合、−(CH−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、Z31、Z32、Z33およびZ34のそれぞれは、2度存在する場合は、同じまたは異なる意味を有してもよく、
【0110】
は1〜15個の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基であって、前記アルキル基またはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は、互いに独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−により、酸素および/または硫黄原子が直接互いに結合しないように置換されてもよく、前記アルキル基またはアルコキシ基は非置換であるか、−CN基で単置換されるかまたはハロゲンで単置換または多置換され、好ましくはR11は10個以下の炭素原子の直鎖のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基または−O−アルキレン−O−アルキル基であって、前記の基は非置換であるかまたはハロゲンで単置換または多置換され、
【0111】
31、L32、L33およびL34は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、CN基、および1〜15個の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基であって、式中1つまたは2つ以上の前記アルキル基またはアルコキシ基のメチレン基は、互いに独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−により酸素および/または硫黄原子が直接互いに結合しないように置換されてもよく、前記アルキル基またはアルコキシ基は置換されないかCN基であるいは単置換されるか、またはL31、L32、L33およびL34の少なくとも1つが水素でないという条件でハロゲンで単置換または多置換され、
【0112】
はF、Cl、CF、OCF、CN、NCS、−SFまたは−SO−Rであり、
およびRは、互いに独立して、水素または1〜7個の炭素原子を有するアルキルであり;好ましくはRおよびRはともにメチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、
【0113】
は1〜7個の炭素原子を有するアルキルであって、前記アルキル基は非置換であるかまたはハロゲンで単置換または多置換され;好ましくはRはCF、Cまたはn−Cである、
で表される1つの化合物または2つ以上の化合物を含む、好ましくは主に前記化合物からなる、そして最も好ましくは全体が前記化合物からなる成分Cを、好ましくは1〜25重量%の濃度、および
− 20μm以上のHTPの1つのキラル化合物または2つ以上のキラル化合物を含む、1〜20重量%の成分D。
【0114】
本発明の混合物は、1〜25wt%、好ましくは2〜20wt%および最も好ましくは3〜15wt%の成分Aを含む。
適した成分Dのキラル化合物は、20μm以上の、好ましくは40μm以上のおよび最も好ましくは60μm以上のらせんねじれ力の絶対値を有するものである。前記HTP値を、MLC−6260で20℃の温度で測定する。
【0115】
キラル成分Dは、好ましくは1つまたは2つ以上のキラル化合物を含み、メソゲン性構造を含み、好ましくは1つまたは2つ以上の中間相を呈する。キラル成分Dに含まれる好ましいキラル化合物は、とりわけ、コレステリル−ノナノエート(CN)、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011、R/S−4011、R/S−5011、CB−15(Merck KGaA, Darmstadt, Germany)のような周知のキラルドーパントである。
【0116】
好ましいのは、1つまたは2つ以上のキラル部位および1つまたは2つ以上のメソゲン基を有するか、または1つまたは2つ以上の芳香族または脂肪環式部位を有し、キラル部位とともに、メソゲン基を形成する、キラルドーパントである。より好ましいのは、DE 34 25 503、DE 35 34 777、DE 35 34 778、DE 35 34 779、DE 35 34 780、DE 43 42 280、EP 01 038 941およびDE 195 41 820に開示されるキラル部位およびメソゲン性キラル化合物であって、前記開示を本出願に引用文献として組み込む。
【0117】
特に好ましいのは、EP 01 111 954.2に開示されるキラルビナフチル誘導体、WO 02/34739に開示されるキラルビナフトール誘導体、WO 02/06265に開示されるキラルTADDOL誘導体、ならびにWO 02/06196およびWO 02/06195に開示される少なくとも1つのフッ化リンカーおよび1つの末端キラル部位または1つの中心キラル部位を有するキラルドーパントである。
【0118】
本発明の制御媒体は、−30℃〜−80℃、特には55℃以下の範囲の、特性温度、好ましくは透明点を有する。
本発明の混合物は、1〜25wt%の、好ましくは2〜20wt%の範囲の1つまたは2つ以上の(2つ、3つ、4つまたは5つ以上の)キラル化合物を含有する。特に好ましくは、3〜15wt%のキラル化合物を含有する混合物である。
【0119】
好ましい態様を、下に呈示する:
− 媒体が、1つ、2つまたは3つ以上の式Iの化合物を含む;
− 成分Bが好ましくは、式IIの1つの化合物または2つ以上の化合物類に加えて、式Zの1つのエステル化合物または2つ以上のエステル化合物類を含有し、
【化51】

式中、Rは式Iの元でR11に対して定められる意味を有し、
【0120】
【化52】

であり、
は、F、Cl、CN、NCS、OCF、CFまたはSFである。
式中、Rは式IIの元でRに対して定められる意味を有する。
特に好ましくは、5%〜35%の、好ましくは10%〜30%のおよび特に好ましくは10%〜20%の式Zの化合物を含有する混合物である。
【0121】
− 成分Bは好ましくは、付加的に1つまたは2つ以上の式Nの化合物を含有し、
【化53】

式中、
Rは、式Iの元でR11に対して定められた意味を有し、および好ましくはアルキルまたはアルキル−C≡Cであり、
「アルキル」は1〜7個のC原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキルであり、および、
nは0または1である。
【0122】
− 成分Bは好ましくは、付加的に式Eのエステル化合物の基から選択された1つまたは2つ以上の化合物を含み、
【化54】

式中、Rは式Iの元でR11に対して定められた意味を有し、好ましくはアルキルであり、および、
【化55】

である。
【0123】
− 式Eの化合物の割合は、好ましくは重量で10〜30%、特に15%〜25%である。
− 媒体は好ましくは、式Q−1およびQ−2の群から選択された1つの化合物または2つ以上の化合物類を含み、
【化56】

【化57】

式中、Rは式Iの元でR11に対して定められた意味を有し、
nおよびmは、互いに独立して0または1である。
【0124】
− 媒体は好ましくは、Rがメチルである式IIの化合物の群から選択された1つの化合物または2つ以上の化合物群を含む。
【0125】
− 媒体は好ましくは、1つのジオキサン化合物、2つまたは3つ以上のジオキサン化合物類を含み、好ましくは、1つのジオキサン化合物または2つのジオキサン化合物類を含み、式Dx−1およびDx−2の群から選択され、
【化58】

式中、Rは式Iの元でR11に対して定められた意味を有する。
【0126】
相対的に小さい割合の式Iの化合物でさえ、従来の液晶材料とともに混合することにより、しかし特に1つまたは2つ以上の式IIおよび式IIIの化合物とともに混合することにより、低い作動電圧および広い操作温度範囲を実現することが見出されてきた。好ましいのは、特に、1つまたは2つ以上の式Iの化合物に加えて、1つまたは2つ以上の式IIの化合物、特に式IIの化合物であってXがF、Cl、CN、NCS、CFまたはOCFであるものを含む、混合物である。式I〜IIIの化合物は無色、安定であり、および互いにおよび他の液晶材料とともに易混和性である。
【0127】
式IおよびIIおよびIIIの化合物の最適な混合率は、実質的に所望の特性、式I、IIおよび/またはIIIの成分の選択および存在する任意のいかなる成分の選択に実質的に依存する。上で定められる範囲内の適した混合率は、場合により容易に決定できる。
【0128】
本発明による混合物における式I〜IIIの化合物の総量は、決定的ではない。そのため、前記混合物は種々の性質の最適化の目的のために1つまたは2つ以上のさらなる成分を含むことができる。しかしながら、式I〜IIIの化合物の総濃度が高くなればなるほど、作動電圧および操作温度範囲に対する観察される効果は慨して大きくなる。
【0129】
好ましい態様において、本発明の媒体は、化学式IIIの化合物で、式中XがF、OCF、OCHF、OCH=CF、OCF=CFまたはOCF−CFHであるものを含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な性質が起こる。特に、式Iのおよび式IIの式IIIの化合物を含む混合物は、その低作動電圧により区別される。
【0130】
本発明の媒体で用いることができる式II〜IIIのそれぞれの化合物は、公知であるか、公知の化合物と同様に製造できる。
【0131】
偏光板、電極基板および表面処理電極からの本発明によるMLCディスプレイの構築は、この種のディスプレイの慣用の構築に相当する。従来の構築という用語は、ここでは広く描かれ、MLCディスプレイの全ての派生物および改変の範囲にもわたり、特にポリSi TFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含むが、しかしながら、特に好ましいのはディスプレイであって、基質の一方のみに電極を有するものであり、つまりいわゆるインターデジタル電極であって、IPSディスプレイ、好ましくは確立した構造の1つにおいて用いられるものである。
【0132】
本発明によるディスプレイおよびねじれネマチックセルを基とする従来のディスプレイの間の有意な差異は、しかしながら、液晶層の液晶パラメータの選択にある。
【0133】
本発明のよる媒体は、それ自体慣用の方法で製造される。慨して、成分は、有利には上昇した温度において、互いに溶解する。適した添加物の方法により、本発明に従う液晶相を、今までに開示された全ての種類の液晶ディスプレイ素子において用いることができるように改変することができる。この種の添加物は、当業者に公知であり、著作物に記載される(H. Kelker and R. Hatz、Handbook of Liquid Crystals, Verlag Chemie, Weinheim, 1980)。例えば、多色性染料を、着色ゲストーホスト系の製造のための添加することができ、または、物質をネマチック相の誘電異方性、粘性および/または配列の改変のために添加することができる。さらに、安定剤および酸化防止剤を加えることができる。
【0134】
本発明による混合物は、TN、STN、ECBおよびIPS適応および等方切り替えモード(ISM)適応に適する。それゆえ、そこで電気光学デバイスにおける使用および本発明による少なくとも1つの化合物を含む液晶媒体を含む電気光学デバイスは、本発明の主題である。
【0135】
本発明の混合物は、光学的等方状態で作動するデバイスに、大いに適する。本発明の混合物は、驚くべきことに、前記の各々の使用に大いに適することが見出される。
【0136】
光学的等方状態で作動するまたは操手可能な電気光学デバイスは、ビデオ、TV、およびマルチメディア適応に関して近年関心のあることとなってきている。このため、液晶の物性に基づく電気光学効果を利用する慣用の液晶ディスプレイは、前記適応には望ましくない幾分高い切替時間を呈する。さらに、慣用のディスプレイのほとんどは、コントラストの有意な視野角依存を示し、つまりこの望ましくない特性を補償する、必要な手段となる。
【0137】
等方状態での電気光学効果を利用するデバイスに感して、独国特許出願DE 102 17 273 A1は、例えば、光制御(光変調)素子であって、変調のためのメソゲン性変調媒体が操作温度において等方相であるものを開示する。前記の光制御素子は、非常に短い切り替え時間およびコントラストの良好な視野角依存を有する。しかしながら、かかる素子の運転または作動電圧は、非常に頻繁にいくつかの適応に対しては不適合にも高い。
【0138】
独国特許出願DE 102 41 301は、まだ未発行ではあるが、電極の特異的な構造により運転電圧の有意な低下を実現すると記載する。しかしながら、これらの電極は、光制御素子の製造の方法を、より複雑にする。
【0139】
さらに、例えばDE 102 17 273 A1およびDE 102 41 301の両方に開示される光制御素子は、有意な温度独立性を示す。光学等方状態である制御媒体における電界により誘発できる電気光学効果は、制御媒体の透明点に近い温度において最も顕著である。この範囲において、光制御素子は、特性電圧の最低値を有し、そのため最も低い作動電圧を必要とする。温度が増加するに従い、前記特性電圧およびそれゆえ前記作動電圧は顕著に増加する。
【0140】
温度独立性の典型的な値は、摂氏度あたり数ボルトから摂氏度あたり10度以上までの範囲にある。DE 102 41 301は等方状態で操手可能なまたは作動するデバイスのための電極の種々を記載するが、DE 102 17 273 A1は等方状態で操手可能なまたは作動する光制御素子において有用な異なる組成の等方媒体を開示する。光制御素子における閾値電圧の相対的な温度独立性は、50%/℃の範囲での透明点の1℃上の温度にある。
【0141】
上昇する温度に伴い、およそ10%/℃の透明点の5摂氏度上の温度となるように、温度独立性は低下する。しかしながら、前記光制御素子を利用するディスプレイの多くの実践的な適応に対し、電気光学効果の温度独立性はあまりにも高すぎる。一方、実践的な使用に対し作動電圧は、少なくとも数度の、好ましくは約5℃以上の、さらにより好ましくは10℃以上の、および特には20℃以上の温度範囲にわたる、作動温度から独立することが望ましい。
【0142】
今、発明混合物の使用は、上で、ならびにDE 102 17 273 A1、DE 102 41 301およびDE 102 536 06に記載される光制御素子での制御媒体に大いに適合することが見出された。この場合、光学等方相またはブルー相は、ほぼ完全にまたは完全に、作動温度から独立する。
【0143】
この効果は、非公開ではあるがWO 2004/046 805に記載される、少なくとも1つのいわゆる「ブルー相」をメソゲン性制御媒体が呈する場合、さらにより明白である。極端に高いキラルねじれを有する液晶は、1つまたは2つ以上の光学的等方相を有してもよい。それらが各々のコレステリックピッチを有する場合、これらの相は、十分に大きいセルギャップを有するセルにおいて青みがかって見えるかもしれない。それゆえ、前記の相が、いわゆる「ブルー相」である(Gray and Goodby, "Smectic Liquid crystals, Textures and Structures", Leonhard Hill, USA, Canada (1984))。
【0144】
ブルー相で存在する液晶での電界の効果は、例えば、H.S. Kitzerow、"The Effect of Electric Fields on Blue Phases", Mol. Cryst. Liq. Cryst. (1991), Vol. 202, p. 51-83に記載され、ならびに、今までに、つまりBPI、BPII、およびBPIIIで特定される、電界なしの液晶において観察されかもしれない3つのタイプのブルー相に存在する。ブルー相を呈する液晶またはブルー相が電界にさらされる場合、さらなるブルー相またはブルー相I、IIおよびIIIと異なる層が出現するかもしれないということは、特筆すべきである。
【0145】
本発明の混合物を、以下を含む電気光学光制御素子で用いることができる。
− 1つまたは2つ以上、特には2つの基質;
− 電極のアセンブリ;
− 1つまたは2つ以上の光を極性化させるための素子;および
− 前記制御媒体;
上記において、非運転状態のときに制御媒体が光学的等方層である温度において、前期光制御素子を作動する(または操手可能とする)。
【0146】
本発明の制御媒体は、約−30℃〜約80℃までの、特には約55℃以下の範囲の特性温度、好ましくは透明点を有する。
【0147】
光制御素子の作動温度は、好ましくは制御媒体の特性温度の上であり、かかる温度は、通常は制御媒体のブルー相への転移温度である;一般的に、作動温度はかかる特性温度の上の、約0.1°〜約50°の範囲、好ましくは約0.1°〜約10°の範囲である。作動温度が制御媒体のブルー相への転移温度から透明点であるところの制御媒体の等方相への転移温度までの範囲であることが、大いに好ましい。しかしながら、また、制御媒体が等方相にある温度で光制御素子を作動してもよい。
【0148】
(本発明の目的に対して、「特性温度」の用語を以下のように定義する:
− 温度の機能としての特性電圧が最小値を有する場合、この最小である温度を特性温度と称する。
【0149】
− 温度の機能としての特性温度が最小値を有さず、制御媒体が1つまたは2つ以上のブルー相を有する場合、ブルー相への転移温度を特性温度と称する;1つより多いブルー相がある場合、最低のブルー相への転移温度を特性温度と称する。
− 温度機能としての特性電圧が最小値を有さず、制御媒体がブルー層を有しない場合、等方相への転移温度を特性温度と称する。)
【0150】
本発明の文脈において、「アルキル」という用語は、本明細書または請求項のどこにも異なる方法で定義されない限り、1〜15個の炭素原子を有する直鎖および分枝の炭化水素(脂肪族の)基を意味する。炭化水素基は、非置換であっても、独立してF、Cl、Br、IまたはCNからなる基から独立して選択される1つまたは2つ以上の置換基により置換されてもよい。
【0151】
誘電体はまた、当業者に公知の、および文献に記載される、さらなる添加物を含んでもよい。例えば、0〜5%の多色性染料、酸化防止剤または安定化剤を加えることができる。
Cは液晶相を示し、Sはスメクチック相を示し、ScはスメクチックC相を示し、Nはネマチック相を示し、Iは等方相を示しおよびBPはブルー相を示す。
【0152】
は、X%転移に対する電圧を示す。つまり、例えば、V10は10%透過に対する電圧を示し、およびV100は100%透過に対する電圧を示す(平面表面に対して垂直な視野角)。ton(それぞれのτon)は、V100の値、それぞれのVmaxの値に対応する作動電圧でのスイッチオン時間を、toff(それぞれのτoff)はスイッチオフ時間を示す。
【0153】
Δnは光学異方性を示す。Δεは誘電異方性を示す(Δε=ε−ε、式中εは長い分子軸に平行な誘電定数を示し、εはそこに垂直な誘電定数を示す)。電気光学データを、他に記載のない限り、TNセルにおいて透過の一番最小(例えば、0.5μmの(d・Δn)値)で測定した。他の記載のない限り、光学データを20℃で測定した。
【0154】
任意に、本発明による光変媒体は、物性を調節するためにさらに液晶化合物を含むことができる。かかる化合物は専門家に公知である。本発明による媒体におけるそれらの割合は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜20%および最も好ましくは5%〜15%である。
【0155】
好ましくは、本発明の媒体は、9°以上の、好ましくは10°以上の、より好ましくは15°以上のおよび最も好ましくは20°以上の幅のブルー相の、1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相の合計の幅を有する。
【0156】
好ましい態様において、この相は少なくとも10℃〜30℃、最も好ましくは少なくとも10℃〜40℃および最も好ましくは少なくとも0℃〜50℃の範囲にわたるものであり、ここで少なくともが意味するところは、好ましくは相が下限の下の温度にまでわたり、および同時に上限の上の温度にまでわたるということである。
【0157】
他の好ましい態様において、この相は少なくとも20℃〜40℃の、最も好ましくは30℃〜80℃のおよび最も好ましくは少なくとも30℃〜90℃の範囲にわたる。この態様は特に、強力なバックライトを有し、エネルギーを消費し、そのためにディスプレイを加熱するディスプレイに、特に適する。
【0158】
本出願において、誘電的に正の化合物という用語は、Δε>1.5の化合物を記載し、誘電的に中性の化合物は−1.5≦Δε≦1.5の化合物であり、および誘電的に負の化合物はΔε<1.5の化合物である。同様のことを成分に対して適用する。Δεを、1kHzおよび20℃で決定する。化合物の誘電率異方性を、それぞれの化合物のネマチックホスト混合物への10%溶液の結果から決定する。これらの試験混合物の能力を、セルにおけるホメオトロピック配列およびホモジニアス配列で決定する。両方の型のセルのセルギャプはおよそ20μmである。印加する電圧は、1kHzの周波数で二乗平均平方根値が典型的に0.5Vから1.0Vの短形波であるが、しかしながら、各々の試験混合物の容量性の閾値の下となるように選択する。
【0159】
ともにMerck KGaA, Germanyのものである、誘電的に正の化合物に対して混合物ZLI−4792、および誘電的に中性のならびに誘電的に負の化合物に対して混合物ZLI−3086を、ホスト混合物として、それぞれ用いる。化合物の誘電体誘電率を、対象の化合物の添加に際するホスト混合物の各々の値の変化から決定し、対象の化合物の100%の濃度へと推定する。
20℃の測定温度でネマチック相を有する成分をそのようにして測定し、全ての他のものは化合物のように扱う。
【0160】
閾値電圧という用語は、本出願において、光学的閾値を示し、10%の相対対照(V10)に対して定められ、飽和電圧という用語は、光学的飽和を示し、10%の相対対照(V10)に対して定められるが、それはともに、他に明確に記載されない場合である。容量性の閾値電圧(V、Freedericksz-閾値VFrとも呼ばれる)は、明確に記載されない場合にのみ用いる。
本出願で定められるパラメーターの範囲は、他に明確に記載されない限り、全て限定された値を含む。
【0161】
本出願を通じて、他に明確に記載されない限り、全ての濃度は重量パーセントで定められ、そして、各々の完全な混合物に対してであり、全ての温度は摂氏温度(セルシウス)で定められ、全ての温度の違いは摂氏度で定められる。全ての物性を、"Merck liquid crystals, physical properties of liquid crystals", Status Nov. 1997、Merck KGaA、Germanyにしたがって決定されてきており、および決定し、他に明確に記載されない限り、20℃の温度に対して定められる。
【0162】
光学異方性(Δn)を589.3nmの波長で決定する。誘電異方性(Δε)を1kHzの波長で決定する。閾値電圧、ならびに他の電気光学性質を、Merck KGaA, Germanyで調製したテストセルで決定してきた。Δεの決定のためのテストセルは、22μmのセルギャップを有する。電極は環状ITO電極であって、1.13cmの領域および保護リングを有する。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)に対してはレシチン、ホモジニアス配向(ε)に対してはJapan Synthetic RubberのポリイミドAL−1054であった。
【0163】
容量を、周波数応答解析器Solatron 1260で、正弦波を用いて、0.3または0.1Vrmsの電圧で決定した。電気光学測定で用いた光は、白色光であった。用いたセットアップは、Otsuka, Japanの市販の器具であった。特性電圧を垂直な観測下で決定した。閾値電圧(V10)、中間グレー電圧(V50)および飽和電圧(V90)を、それぞれ、10%、50%および90%相対コントラストに対して決定した。
【0164】
メソゲン性変調材料を、Merck KGaAの各々の施設で製造した電気光学テストセル内部へと充填した。テストセルは、1つの基質の側にインターデジタル電極を有した。電極幅は10μmであり、隣接する電極間の距離は10μmであり、そしてセルギャップもまた10μmであった。このテストセルを、交叉した偏光板間で電気光学的に評価した。
【0165】
低温度において、充填したセルは、印加なしでの交叉した偏光板間の光学透過を有する、キラルネマチックの典型的なテクスチャを示した。加熱に際し、第1の温度において(T)、混合物を光学的等方とし、交叉した偏光板で暗くなった。このことにより、その温度でのキラルネマチック相からブルー相への遷移が示唆される。
【0166】
第2温度(T)まで、セルは、印加下、典型的には数十ボルトで電気光学効果を示し、その範囲のある電圧においては最大の光学透過を導いた。典型的には高温度では、可視電気光学効果に対して必要とされる電圧は強力に増加し、この第2温度(T)でのブルー相から等方相への遷移を示唆した。
【0167】
混合物を電気光学的にブルー相で最も有利に用いることができるところの温度範囲(ΔT(BP))は、TからTの範囲にわたると特定される。この温度範囲は本出願の例で定められる温度範囲である。電気光学ディスプレイはこの範囲外の温度で、例えばTの上の温度で、有意に増加した作動電圧においてのみもかかわらず、作動することもまた可能である。
【0168】
本発明の液晶媒体は、通常の濃度でさらなる添加物およびキラルドーパントを含むことができる。これらのさらなる構成要素の総濃度は、全体の混合物を基として、0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲である。用いる個々の化合物の濃度は、それぞれ、好ましくは0.1〜3%の範囲である。これらのおよび同類の添加物の濃度は、本出願の液晶成分および液晶媒体の化合物の濃度の値と範囲に対して考慮に入れない。
【0169】
本発明の液晶媒体は、いくつかの化合物、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜20および最も好ましくは6〜14個の化合物からなる。これらの化合物を慣用の方法で混合する。概して、より少量で用いられる化合物の必要量は、より大量で用いられる用いられる化合物へ溶解する。温度がより高い濃度で用いる化合物の透明点よりも上の場合、 特に溶解のプロセスの完了の観察が容易となる。しかしながら、他の慣用の方法、例として、例えば同一のまたは共晶の化合物の混合物であることができる、いわゆるプレ混合物を用いて、またはその構成要素が、使用可能な(ready to use)混合物自体である、いわゆるマルチボトルシステムを用いて、媒体を製造できる。
【0170】
適した添加物に加えて、本発明の液晶媒体を、TN−、TN−AMD、ECB−、VAN−AMDなど、特にはPDLD−、NCAP−およびPN−LCDなど、および特にはHPDLCsでの複合システムで用いられる、全ての公知の型の液晶ディスプレイで有用であるように、改変することができる。
液晶の融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)への遷移T(S,N)および透明点(N,I)を、摂氏度で定める。
【0171】
本出願、特に以下の例において、液晶化合物の構造を略語いわゆるまた頭文字で表す。対応する略号の構造への変換は、以下の2つの表AおよびBに従う。全ての基C2n+1およびC2m+1は各々n、m個のC原子を有する直鎖アルキルである。表Bの解釈は、自体明らかである。表Aは構造の中心に対する略語のみを羅列する。個々の化合物を、中心の略語、引き続きハイフンで示し、そして置換基R、R、LおよびLを特定するコードは以下の通りである:
【0172】
【表2】

【0173】
【化59】

【0174】
【化60】

【0175】
【化61】

【0176】
【化62】

【0177】
【化63】

【0178】
【化64】

【0179】
【化65】

【0180】
【化66】

【0181】
【化67】

【0182】
【化68】

【0183】
【化69】

【0184】
【化70】

【0185】
【化71】

【0186】
【化72】

【0187】
【化73】

【0188】
【化74】

【0189】
【化75】

【0190】
【化76】

【0191】
式Iの化合物に加えて、少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つの表Bの化合物を含む、液晶混合物が特に好ましい。
【0192】
表C:
表Cは、一般的に単独または2つ、3つまたは4つ以上の組み合わせで添加する、本発明に従った、可能なドーパント成分を示す。
【化77】

【0193】
【化78】

【0194】
【化79】

【0195】
本発明による液晶媒体は、好ましくは以下を含む。
− 表AおよびBの化合物の群から選択された、4つまたは5つ以上の化合物
− 表Bの化合物の群から選択された、5つまたは6つ以上の化合物、および/または
− 表Aの化合物の群から選択された、2つまたは3つ以上の化合物
【0196】

以下で提供する例は、本発明を限定することなく、任意の方法で説明する。
しかしながら、物理データ、特に化合物のものは、どの性質をどの範囲において達成できるかを専門家に説明する。したがって、特に、好ましく達成できる種々の性質の組み合わせを十分に定義してある。
【0197】
例1:6の製造
以下の反応スキームにより、化合物6を製造した。
【化80】

【0198】
ステップ1.1:3の製造
50mlのトリグライム中の0.3molのベンジルアルコールの溶液を、120mlのトリグライム中の0.3molのNaHの懸濁液へ、40℃でゆっくりと添加した。それから前記溶液を18時間攪拌し、次いで180mlのトリグライム中の0.14molの2の50℃の温かい溶液を滴加し、反応混合物を80℃で4時間加熱した。生成物を慣用の水性ワークアップで分離し、クロマトグラフィーで精製し(ヘプタン/トルエン 3:2を溶離剤として、シリカゲル上で)、次いでヘプタンから結晶化し、3を産生した。
【0199】
ステップ1.2:4の製造
3(56mmol)、ホウ酸3,4,5−トリフルオロベンゼン(281mmol)、メタホウ酸ナトリウム8水和物(224mmol)、水(400ml)、THF(900ml)、PdCl(PPh(3.9g)およびN・HO(2ml)の混合物を窒素雰囲気下での還流下で、18時間加熱した。生成物を慣用のワークアップで分離し、クロマトグラフィーで分離し(溶離剤としてヘプタン/トルエン 7:3でのシリカゲル上)、次いでトルエンから結晶化し、融点129℃の4を産生した。
【0200】
ステップ1.3:5の製造
180mlのTHF中の9gの4の溶液を1.8gの5%の湿Pd−C(56%の水を含有)の存在下で水素化した。前記混合液をろ過し、蒸散で乾燥させ、無色の固体として5を産生する。
【0201】
ステップ1.4:6の製造
30mlのCHCl中の6mmolの7の溶液を、冷却して−70℃にした。それから、8.4mmolの5、1.5mlのNEtおよび30mlのCHClの混合液を滴下で添加した。5分後に、はじめに31mmlのNEt・3HF、そして31mmolの臭素を滴加した。1時間−70℃で攪拌したのち、前記混合物を温めて−10℃にし、15mlの32%水性NaOHおよび500gのクラッシュアイスの混合物へと注ぐことにより急冷した。慣用の水性ワークアップののちにクロマトグラフィーし(シリカゲル;ヘプタン/トルエン 4:1)、次いでヘプタン/トルエン 7:1から結晶化し、6を産生した。
前記生成物は、C 188℃ Iの相順序(phase sequence)を有した。
【0202】
例2:8の製造
【化81】

40mlのTHF中の6mmolの5(例1より)、7mmolのブタン−1,4−ジオール モノ−アクリレートおよび7.6mmolのPPhの溶液を、氷冷下、7.7mmolのジイソプロピルジアゾジカルボキシレートの滴下で処理した。生成反応混合物を2.5時間攪拌し、それから慣用の水性ワークアップを施し、次いでクロマトグラフィー(シリカゲル:CHCl)で精製し、8を産生した。生成物は以下の相順序を有した:T 12℃ C 98℃ I。
【0203】
例3
例1と同様にして、以下の化合物(9)を製造した:
【化82】

生成物は、C 152℃ Iの相順序を有した。
【0204】
例4
例2と同様にして、以下の化合物(10)を製造した:
【化83】

生成物は、T −18°C C 109°C Iの相順序を有した。
【0205】
例5
例1と同様にして、以下の化合物(11)を製造した。
【化84】

生成物は、 T 36°C C 127°C Iの相順序を有した。
【0206】
例6
例1と同様にして、以下の化合物(12)を製造した。
【化85】

生成物は、T −17°C Iの相順序を有した。
【0207】
例7〜57
例1と同様にして、 以下の化合物を製造した:
【化86】

【0208】
【表3】

【0209】
【表4】

【0210】
【表5】

【0211】
例58〜121
例3と同様にして、以下の化合物を製造した:
【化87】

【0212】
【表6】

【0213】
【表7】

【0214】
【表8】

【0215】
例122〜157
例5と同様にして、以下の化合物を製造した:
【化88】

【0216】
【表9】

【0217】
【表10】

【0218】
例158〜208
例1と同様にして、以下の化合物を製造した:
【化89】

【0219】
【表11】

【0220】
【表12】

【0221】
例209〜275
例3と同様にして、以下の化合物を製造した:
【化90】

【0222】
【表13】

【0223】
【表14】

【0224】
【表15】

【0225】
比較使用例
5%のキラル剤R−5011を、アキラル液晶混合物H−0に下の表1で定める組成および性質で溶解した。
【0226】
表1:ホスト混合物H−0の組成および性質
【表16】

【0227】
生成混合物CM−0を、インターデジタル電極を有する電気光学テストセル中の基材の一側に満たした。電極幅は10μmであり、隣接する電極間の距離は10μmであり、セルギャップもまた10μmであった。このテストセルを電気光学的に、交差する偏光板間で評価した。
【0228】
低温度において、充填させたセルは、非印加の交叉偏光板間での光学透過性を有する、キラルネマチック混合物の典型的なテクスチャーを呈した。加熱に際し、混合物は光学的等方であり、交叉偏光板間は暗くなった。
このことにより、キラルネマチック相からブルー層への遷移は36℃においてであることが示された。この温度をTまたはTtransと呼称する。
【0229】
43℃以下の温度まで、印加下ではっきりとした電気光学を示し、例えば38℃において、46Vの印加により最大の光学遷移が導かれる。この温度をTと呼称し、それぞれの電圧をVmaxまたはV10と呼称する。43℃の温度において、可視的な電気光学効果に必要な電圧は、強力に増加し始め、この温度におけるブルー相から等方相への遷移を示唆する。
【0230】
混合物を電気光学的にブルー相で用いることができる温度範囲(ΔT(BP))を、約36℃〜約43℃の範囲にわたるものとして、つまり7°(=T−T=43℃−36℃)の幅として、同定する。結果を下の表2に一覧する。さらに、スイッチオン(τon)およびスイッチオフ(τoff)に対する反応時間を決定する。反応時間は温度をTを超えて上昇させるにつれて短くなり、両方の反応時間がそれぞれ5ミリ秒を下回る温度をTと呼ぶ。これは、この比較使用例での場合、約39.3℃かわずかに上の温度である。したがって、T≧Tの場合ΔT(FR)=T−Tで、T<Tの場合ΔT(FR)=0で定義される、有用な均一の性質(usable flat behaviour)、つまり有用な均一な範囲(usable flat range)(ΔT(FR))は、この比較使用例の場合、(43.0℃−39.3℃)=3.7°であった。
【0231】
使用例1
この使用例において、代替的に10%の例1、3および5の各々の化合物をそれぞれ、上記の比較使用例1で用いたアキラル液晶混合物H−0中に5%のキラル剤R−5011とともにそれぞれ溶解した。生成混合物H−1〜H−3は表2で示す組成および性質を有した。
【0232】
表2:結果
【表17】

注: n.d.: 未決定
【0233】
生成混合物H−1〜H−3の混合物を、各々の電気光学テストセルに比較使用例1で用いたように充填し、そこに記載するように調査した。結果を表2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは2つ以上のメソゲン性化合物を含むメソゲン性媒体であって、前記化合物は2つまたは3つ以上のメソゲン基を有し、うち2つは芳香環のオルト位に結合し、1つまたは2つの非隣接の=CH−基はNにより置換されてもよく、任意にさらに置換されてもよいことを特徴とする、前記媒体。
【請求項2】
芳香環のオルト位に結合する2つまたは3つ以上のメソゲン基を含む1つまたは2つ以上のキラル化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
式I
【化1】

式中、
11、R12、R13およびR14は、互いに独立して、H、F、Cl、CN、NCS、SF、SOCF、または、1つまたは2つ以上の非隣接のCH基は、任意にそれぞれの場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY01−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子は直接互いに結合しないように置換される直鎖または分枝アルキルであり、
【化2】

は互いに独立して、それらの1つまたは2つ以上が1度より多く現れる場合もまたこれらはそれぞれの場合において互いに独立して、芳香環および/または脂肪環、または2つまたは3つ以上の縮合した芳香環または脂肪環を含む基であって、前記環はN、Oおよび/またはSから選択された1つまたは2つ以上のヘテロ原子を任意に含有し、Rにより任意に単置換または多置換され、
RはR11に対して定める意味を有し、
11、Z12、Z13およびZ14は、互いに独立して、およびそれらの1つまたは2つ以上が1度より多く現れる場合もまたこれらはそれぞれの場合において互いに独立して、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CR01=CH−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−(CH−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合であり、
01およびY02は、互いに独立して、F、ClまたはCNであり、そして代替的にそれらの1つはHであってもよく、
01およびR02は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
mは0、1、2、3または4、好ましくは1、2、または3であり、
nおよびoは、互いに独立して、1、2、3または4、好ましくは1、2、または3、最も好ましくは1または2であり、特にnはoと同じ値を有し、そして、
pは0、1、2、3または4であり、
および、任意に中心フェニル環は、ハロゲンおよび/またはRにより、好ましくはFおよび/またはCHにより単置換または多置換されてもよく、および/または1つまたは2つの非隣接の=CH−基はNにより置換されてもよい、
で表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の媒体。
【請求項4】
中心の芳香環に隣接する
【化3】

が、任意に置換された芳香環であり、および、
中央の芳香環に隣接するZ11〜Z13の少なくとも1つは単結合である、1つまたは2つ以上の式Iで表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の媒体。
【請求項5】
式I
【化4】

式中、パラメーターは請求項3で定める意味を有する、
で表される化合物。
【請求項6】
互いに同一である2つのメソゲン基
【化5】

を含むことを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項5および6のいずれかに記載される化合物を含むことを特徴とする、媒体。
【請求項8】
光変調媒体であることを特徴とする、請求項1〜4および7のいずれかに記載の媒体。
【請求項9】
ブルー相を有することを特徴とする、請求項1〜4、7および8のいずれかに記載の媒体。
【請求項10】
請求項1〜4および7〜9のいずれかに記載の媒体を含むことを特徴とする、光変調素子。
【請求項11】
請求項5および6のいずれかに記載の化合物の、メソゲン性媒体における使用。
【請求項12】
請求項1〜4および7〜9のいずれかに記載の媒体の、光変調素子における使用。
【請求項13】
請求項1〜4および7〜9のいずれかに記載の媒体を含むことを特徴とする、電気光学ディスプレイ。

【公表番号】特表2008−528714(P2008−528714A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551560(P2007−551560)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013860
【国際公開番号】WO2006/079406
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】