説明

メソゲン性化合物、電気光学ディスプレイ用媒体および電気光学ディスプレイ

本発明は、誘電的に強く正である成分Aを含む液晶媒体に関する。成分Aは、式(I)の化合物を1種または2種以上含み、各記号は本文中に示した意味を有する。本発明は、上記化合物およびこれらの化合物を含むメソゲン性混合物または液晶混合物にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メソゲン性化合物、それらを含む電気光学ディスプレイのための媒体、およびこれらの媒体を含む電気光学ディスプレイ、特に、光変調素子の動作温度において光学的に等方状態にあるメソゲン性変調媒体を使用したディスプレイ、ならびに、各変調素子およびディスプレイに関する。
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は情報の表示に広く使われている。用いられている電子光学モードは、例えばねじれネマティック(TN)、超ねじれネマティック(STN)および電子制御複屈折(ECB)モードとそれらを種々に改変したもの、その他である。これらは全て実質的にそれぞれ基板に垂直な電場を液晶層に用いているが、これらのモードの他に、それぞれの液晶層に実質的に基板と平行な電場を用いる電子光学モードもあり、例えばインプレーンスイッチング(IPS)モード(例えばDE4000451およびEP0588568を参照)である。
【0003】
表面に配置され、典型的には液晶物質の均一な配列を達成するために前処理される液晶媒体を用いるこのような種々の異なるモードの他に、低分子量の液晶物質と重合物質との複合システムの応用、例えばポリマー分散液晶(PDLC)、ネマチック曲線配列相(NCAP)およびポリマーネットワーク(PN)システムがあり、例えばWO91/05029に開示されている。これらの複合システムは、典型的には実質的に複合層に垂直な電場を用いている。
【0004】
LCDは直視型ディスプレイに用いられているが、プロジェクションタイプディスプレイにも用いられている。これらの応用LCDの他に、とくにPDLCのような複合システムを含むLCD、およびとくにいわゆるホログラフィックPDLC(HPDLC)システムが、実用的な応用においては用いられている。HPDLCは、例えばDate、Takeuchi、TanakaおよびKato、Journal of the SID 7/1 (1999)、p.17〜22に記載されており、これは引用文献に含まれている。これらのHDPLCディスプレイは、3つの明色、好ましくは原色を、ブラッグ反射を用いて生成する。この技術によってすばらしい明色が生み出されるが、その理由はこれが偏光器も色彩フィルターも必要としないからである。
【0005】
ポリマーと液晶の周期的な構造による単層が、特定の1色の反射を制御する。3原色を実現するために、結局3層、すなわち各色に対して1層が必要となる。該3層はそれぞれ独立してアドレスされなければならない。これには3組のHPDLCフィルムとそれぞれに対応する電極を要する。この多数の層および対応する電極は、マスプロダクションにおける実現は困難であるが、「2周波性」駆動法を適用することによって有利に減じることができる。
【0006】
複合システムには、液晶の高いΔnを用いることが必要であるが、これは効率的な散乱状態を達成し、良好なコントラストを実現するためである。いわゆるオフアクシスヘーズ(off axis haze)を改善するために、Δnが低い液晶混合物を用いたPDLCシステムが提唱されてきているが、ほとんどの場合の主要な問題は、第一に十分なコントラストを達成することである。これはとくにPDLCシステムにあてはまることであり、例えばDate、Takeuchi、Tanaka and Kato、Journal of the SID 7/1 (1999)、p17〜22に記載されている。
【0007】
典型的に用いることができる液晶は、0.280まで、または0.29までのΔn値によって特徴付けられる。しかし、この上限は多くの応用において不十分で低いものである。しかもこれまでは、用いられる液晶混合物の他の物性において種々の妥協を受け入れて達成されているに過ぎない。最も典型的な、好ましくない結果は、透明点の不十分な高さ、好ましくなく狭いネマチック相範囲、比較的高いネマチック相安定下限温度、低すぎる誘電異方性および結果として生じる高い動作電圧、好ましくない弾性定数ならびに最後の重要なものとして高すぎる粘度値またはそれらの組み合わせである。
複合システムのポリマーの前駆体との良好な相性および複合システム形成の際に容易に相分離ができることは、このような応用のための液晶において明白な必要事項である。
【0008】
もう一つの有望な電気光学モードであってLCDにおいて用いられているものは、optically compensated bent(光学補償ベント:OCB)モードである。このモードについて記載しているのは、例えばYamaguchi et al., “Wide-Viewing-Angle Display Mode for the Active-Matrix LCD Using Bent-Alignment Liquid-Crystal Cell”, SID 93, Digest, p.277 (1993)である。
このモードは非常に有望である。好ましい視野角依存性を有することを特徴とするような、直視する応用にとくによく適している。応答時間もまた極めて短い。しかし、階調を変化させるディスプレイの映像間隔の応答に対しては、応答時間はまだ改善される必要がある。OCBディスプレイでの在来型のTNディスプレイと比べると、配向の変形量はかなり少ない。TNディスプレイでは配向は電源を切った状態では、基板に対してほとんど平行に向いていて、動作電圧印加では基板に対してほとんど垂直の方向に変化するのに対して、OCBディスプレイでは配向の方向は、最終的に同じ方向に変化するが、ほとんどホメオトロピックに曲がった開始配置から始まる。したがって、より高い複屈折の液晶媒体を必要する。
【0009】
近年、光制御素子およびディスプレイとしてメソゲン性変調媒体を用いたものが報告された。それらは光変調素子の動作温度において、およびそれぞれの変調素子およびディスプレイに対して光学的に等方性の状態にある。DE 102 17 273 A1およびDE 102 41 301.0、DE 102 53 325.3ならびにDE 102 52 250.2には、最初のもの以外は未公開であるが、変調媒体を用いた光制御素子として、変調素子の動作温度において光学的に等方性の状態にあるものについて記載されている。一方、これも未公開であるDE 103 13 979.6には、変調媒体を用いた素子として、動作時に光学的に等方性のブルー相にあるものについて記載されている。このタイプの光変調素子の特徴は、極めて速い反応時間および優れたコントラストとともに最小の視野角依存性である。しかし、とくにこの新規なタイプの光変調素子およびディスプレイにおいては、動作温度範囲の広さがこれまでのところ不十分であり、動作電圧の温度依存性が未だ極めて高いため、これを低くしてより広範な温度域における容易なアドレスを可能にする必要がある。
【0010】
化合物は、電気光学ディスプレイ中のメソゲン性媒体中において好適に用いられるものである必要がある。とくに、これらの電気光学ディスプレイの制御媒体としての場合に当てはまる。このために、化合物は、メソゲン相、例えばネマチック、コレステリック、スメクティック、を有するベース媒体に、または光学的に等方性の相、例えばブルー相、においても、溶解性である必要がある。好ましくは、化合物は単一の化合物として、これらの相を1種または2種以上示すものである必要がある。
【0011】
これらの化合物は、対応する電気光学ディスプレイの動作電圧の低下とその温度依存性の低下に寄与するものである必要がある。さらに、それらは媒体の電圧保持率を過度に低下させず、非線形電気反応特性を有するアクティブ素子のマトリクスによるディスプレイ、すなわちアクティブマトリクスディスプレイ、のアドレスを可能とするものである必要がある。
液晶化合物またはメソゲン性化合物として極めて高い誘電異方性の値を有するものは、これまで大部分は(極めて少数の例外を除いて)、強極性の末端基、とくにシアノ(−CN)基またはイソチオシアナート(−NCS)基を導入することによって達成されてきた。例えばEP 01 101 157に記載されている。しかし、これらのタイプの化合物の使用は、メソゲン性媒体を、とくにTNタイプディスプレイに用いられた場合、低い比抵抗にし、これによってさらに必要とされる電圧保持率を、アクティブマトリクスによって動作するディスプレイ中の媒体について適合しないものとする。それぞれの機能的または変調媒体としてディスプレイに用いられるものは、DE 102 17 273 A1に開示されている。
【0012】
他方において、メソゲン性媒体であって、大部分または全体がメソゲン性化合物として末端のフッ素置換を有するものまたはフッ素末端基を有するものからなるものの誘電異方性は、これまで充分に高いものではなく、動作電圧を低くすることについては寄与していなかった。これがとくに顕著なのは、それらがディスプレイ用光変調媒体としてDE 102 17 273に開示されているものに用いられた場合である。したがってかかる点から、それらは最も厳しい要求である。
【0013】
メソゲン性化合物であって2つの側方に位置するアルコキシ基を有するもの、例えば
【化1】

は、U.S. 6,177,154において示唆されている。しかしながら、このような化合物としてこれまでに考案されたものは、極めて高い誘電異方性および/または光学異方性としてここで要求される値を示すものではない。また、これらの化合物は、とくに信頼のおけるものではなく、かつ容易に用い得るものでもなく(製造が比較的困難)、溶解度も低い。そのため、液晶媒体に対する強い要求が、実際の使用に際しての好適な物性を有するもののに対して存在する。好適な物性とは、極めて高い誘電異方性又は好適に広いネマチック相範囲または実際の媒体において用いる際の少なくとも充分なメソゲン性、低い粘度、用いられるディスプレイモードに対して適切な光学異方性Δnであり、これらも達成可能である。
また、DE 102 17 273 A1およびDE 103 13 979.6に開示されているディスプレイに用いられる媒体は、全てにおいて、温度依存性が特性電圧について比較的大きくなる。
【0014】
本発明
驚くべきことに、メソゲン性媒体として高いΔεを有し、とくにDE 102 17 273 A1に開示されているディスプレイおよびとりわけDE 103 13 979.6に開示されているディスプレイにおいて有用なものが実現されることが見出された。かかるメソゲン性媒体は、従来技術の欠点を、示さないか、または少なくとも有意に小さい程度においてのみ示す。
看過されるべきでないのは、本発明の化合物は、光学的に等方性の状態にある媒体を用いた光変調素子およびディスプレイにおける使用にとくに適していることである。前記状態は好ましくはブルー相であり、DE 103 13 979.6に開示されている。これらのディスプレイにおいては、本発明の化合物は、特性電圧の温度依存性を明らかに低下せしめ、これによって動作電圧の低下に寄与し、および/または温度依存性が極めて小さい温度範囲の拡展に寄与する。
【0015】
このような改良された、本発明による液晶媒体は、少なくとも2種の成分を用いることによって実現される:第一の液晶成分(成分Aという)は、式Iの化合物を含むところ、この化合物は誘電的に強く正である化合物であり、極めて高いΔεとともにΔnを有する。
【化2】

式中、
a、b、cおよびdは、相互に独立して0、1または2であり、a+b+c+d≦4であり;
11は、水素、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって相互に独立して置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているか、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
【0016】
11、L12、L13およびL14は、相互に独立して、水素、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CNによって単置換されていてもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたはハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
少なくともL11およびL12の一方が水素でないとき、L13およびL14は水素であり;少なくともL13およびL14の一方が水素でないとき、L11およびL12は水素であり;L11、L12、L13およびL14の少なくとも1つは水素ではなく;およびL11およびL12は同時には、ハロゲンではなく;
【0017】
11は、H、ハロゲン、−CN、−NCS、−SF、−S−R、−SO−R、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は、相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
【0018】
およびRは、相互に独立して水素または1個〜7個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、1個〜7個の炭素原子を有するアルキル基であり、該アルキル基は無置換であるかまたは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて;
【0019】
11、A12、A13およびA14は、相互に独立して下記式の環の1つであり:
【化3】

11、A12、A13およびA14は、2個以上存在する場合、それぞれ同一の環でもよくまたは2つの異なる環でもよく;
【0020】
11、Y12、Y13およびY14は、水素、ハロゲン、1〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって相互に独立して置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているか、または、ハロゲンによって単置換もしくは多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
【0021】
f、g、hおよびjは、相互に独立して0、1、2または3であり、
11、Z12、Z13およびZ14は、相互に独立して単結合、−CHCH−、(−CHCH−)、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、Z11、Z12、Z13およびZ14は、それぞれ、2個以上存在する場合、同一の意味でもまたは異なる意味でもよく、
【0022】
好ましくは、付属式I−1
【化4】

で表されるものであって、
11、R12およびR13は、相互に独立して、1個〜20個、好ましくは1個〜10個、好ましくは1個〜8個、好ましくは2個〜8個、好ましくは2個〜6個の炭素原子を有するn−アルキルもしくはn−アルコキシ、2個〜20個、好ましくは2個〜8個、好ましくは2個〜6個、好ましくは2個〜5個の炭素原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、CN、NCS、ハロゲン、好ましくはF、Clであり、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、とくに好ましくはCFOCFHまたはOCFであり、好ましくはR11、R12およびR13は、アルコキシであり、これは好ましくは1個〜10個の炭素原子を有し、
【0023】
11、L12、Y11およびY12は、相互に独立して、H、ハロゲン、好ましくはF、Clであり、CN、NCS、無置換であるかまたは、ハロゲン化されたアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は、相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は、相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、とくに好ましくはCF、OCFHまたはOCFであり、好ましくはF、Clであり、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、とくに好ましくはCF、OCFHまたはOCFであり、好ましくは少なくとも1つのL11およびR12は、最も好ましくは両方は、FでありおよびY11およびY12は、相互に独立して、好ましくはHまたはFであり、
【0024】
11は、H、ハロゲン、好ましくはF、Cl、CN、NCS、SF、−SCF、−SOCF、−SO、−SO、無置換であるかまたは、ハロゲン化されたアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は、相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくはF、Cl、CN、無置換であるかまたは、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、とくに好ましくはF、CFまたはOCFである。
【0025】
本発明の好ましい態様において、基R11、L11、L12、L13、L14、Y11、Y12、Y13、Y14およびX11の1つまたは2つ以上はキラルな基であり、好ましくは式Iの基である。
【化5】

式中、
は、1〜9個のC原子を有するアルキレンもしくはアルキレン−オキシ基または単結合であり、
は、1〜10個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、BrまたはCNにより単または多置換されていてもよいアルキルまたはアルコキシ基であり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−により、酸素原子が互いに直接結合しないように置換されていることが可能であり、
は、Qについて定義されているが、Qとは異なるF、Cl、Br、CNまたはアルキルもしくはアルコキシ基である、
で表される。
【0026】
式I中のQが、アルキレン−オキシ基である場合において、O原子は、好ましくは、キラルなC原子に隣接している。
式Iで表される好ましいキラルな基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0027】
とくに好ましいキラルな基Iは、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、とくに2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。極めて好ましいのは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0028】
さらに、アキラルな分枝状アルキル基を含む化合物が、例えば結晶化に対する傾向の低下のために、時々重要であり得る。このタイプの分枝状基は、一般的に、1個よりも多い鎖分枝を含まない。好ましいアキラルな分枝状基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
さらに本発明の好ましい態様は前記態様と同一でも異なってもよいが、かかる態様においては、少なくとも1つの環、好ましくは環A11、A12、A13およびA14の存在するものの1つが、式Iの化合物にキラル部であり、好ましくはコレステリン−ジイル、ピニメントール−ジイルおよびテトラヒドロピラン−ジイルの群から選択され、最も好ましくはテトラヒドロピラン−ジイルである。
さらに別の本発明の好ましい態様は前記態様と同一でも異なってもよいが、かかる態様においては、基R11、L11、L12、L13、L14、Y11、Y12、Y13、Y14およびX11がの1つまたは2つ以上が、式Iの化合物にキラル部として存在し、PG−SGである。式中、
SGはスペーサー基であり、
PGは重合可能な基または反応基である。
【0029】
重合可能な、または反応性の基PGは、好ましくは以下から選択される。CH=CW−COO−、
【化6】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−。各式中、WはH、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであって、とくにH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであって、とくにH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、そしてkおよびkは互いに独立して、0または1である。
とくに好ましくは、PGは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基、とくに好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基である。
スペーサー基SGについて、この目的のために当業者に知られているすべての基を、用いることができる。スペーサー基SGは、好ましくは、式SG’−Xで表され、したがって、PG−SG−は、PG−SG’−X−であり、ここで、
【0030】
SG’は、20個までのC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより単または多置換されていてもよいアルキレンであり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR01、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−、−CO−、−CO−S−、−CH=CH−もしくは−C≡C−により置換されていることが可能であり、
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR01−、−NR01−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR01−、−CY01=CY02−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−、−CH=CH−または単結合であり、
01、R02、Y01およびY02は、前に示したそれぞれの意味の1つを有する。
【0031】
Xは、好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY02=CY02−、−C≡C−または単結合、とくにO−、−S−、−C≡C−、−CY01=CY02−または単結合、極めて好ましくは、共役系を形成することができる基、例えば−C≡C−もしくは−CY01=CY02−、または単結合である。
【0032】
典型的な基SG’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、pは、2〜12の整数であり、qは、1〜3の整数であり、R、R00および他のパラメーターは、前に示した意味を有する。
好ましい基SG’は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0033】
他の好ましい態様において、SG’は、式I*’で表されるキラルな基である:
【化7】

式中、
およびQは、式Iにおいて示した意味を有し、
は、1〜10個のC原子を有するアルキレンもしくはアルキレン−オキシ基または単結合であり、Qとは異なり、
は重合基PGに結合している。
さらに好ましいのは、1つまたは2つの基PG−SG−を有する化合物であり、ここでSGは、単結合である。
2つの基PG−SGを有する化合物の場合において、2つの重合可能な基PGおよび2つのスペーサー基SGの各々は、同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0034】
本発明の好ましい態様において、式Iの化合物であって基R11、L11、L12、L13、L14、Y11、Y12、Y13、Y14およびX11の存在するものの1つまたは2つ以上、好ましくは2つ、3つ、または4つ以上が、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していない。
【0035】
好ましくは、基R11、L11、L12、L13、L14、Y11、Y12、Y13、Y14およびX11の存在するものの1つまたは2つ以上、好ましくは2つ、3つ、または4つ以上が、下記基群から選択される。
【0036】
【化8】

式中、Rは、上記意味を有し、好ましくはn−アルキルであり最も好ましくはメチルである。
【0037】
本発明のメソゲン性媒体は同時に第二のメソゲン性液晶成分(成分Bという)を含むところ、成分Bは誘電的に正であって、末端が極性に置換されたビフェニルまたはターフェニル化合物を含み、好ましくはこれらからなり、該化合物またはそのいくつかは任意に側方がフッ素化されていて、好ましくは式IIで表される。
【化9】

式中、
は、は0、1または2であり、
は、式I、好ましくは上記式I−1のR11について与えられた意味を有し、そして好ましくはアルキルまたはアルケニルであり、
21およびZ22は、相互に独立して、単結合、−CHCH−、(−CHCH−)、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、各Z22は2個以上存在する場合、同一の意味でもまたは異なる意味でもよく、好ましくは単結合、−C≡C−、−CFO−または−CO−O−であり、特には単結合であり、
【0038】
【化10】

相互に独立して、
【化11】

であり、
【化12】

は、CN、SF、SOCF、NCS、CF、OCF、FまたはClであり、好ましくは、CN、NCSまたはClであり、最も好ましくはCNまたはNCSである。
【0039】
本発明のメソゲン性媒体は、好ましくは、成分Aとして、式Iの化合物を含み、好ましくは主としてこれらからなり、最も好ましくは完全にこれからなる。
式Iの化合物として好ましいのは、L11およびL12の少なくとも一方がFであり、および/またはY11およびY12の少なくとも一方がFであるものである。
本願の液晶化合物に包含されるのは、液晶相をそれ自体が有する化合物のほか、メソゲン相、とくにネマチック相との適合性を有する化合物であって透明点を許容できない程度まで低下させないものである。後者の化合物はメソゲン性構造を有するため、メソゲン性化合物ともいう。
式Iの化合物の製造は、以下の反応スキーム、スキーム1〜4によって行うことができる。その変法も当業者が容易に認識し得るものである。
【0040】
【化13】

【0041】
スキーム中、
R、R’およびR’’は、相互に独立して、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはオキサアルキルであり、好ましくはアルコキシであり、好ましくはR’およびR’’、および最も好ましくは、R、R’およびR’’は相互に同一であり、および
11およびY12は、相互に独立して、本明細書において上記に定義したとおりである。
【0042】
【化14】

【0043】
スキーム中、RおよびX11は上記に定義したとおりであり、R’’’は他のアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、オキサアルケニルまたはオキサアルキルである。理解されたいことは、−OR’’’基であってR’’’が異なる意味を有するものの導入は、容易に段階的な反応によって行い得ることである。該反応は、
【化15】

の(1)1等量のアルコールR’’’−OHとのNaHの存在下、約80℃における反応および(2)1等量のアルコールR’’’−OHとのNaHの存在下、約120℃における反応、である。
【0044】
【化16】

スキーム中、R11、L11およびL12は前記の定義のとおりであり、XはHまたはFである。
【0045】
【化17】

スキーム中、R11、L11、L12は、上記一般式Iにおいて与えられた意味と同一の意味を有する。
【0046】
本願における含む(comprising)の語は、組成物において、言及されているもの、例えば媒体または成分が、当該1種または2種以上の化合物を好ましくは10%またはこれ以上含み、および最も好ましくは20%またはこれ以上の合計濃度で含むことを意味する。
主としてからなる(predominantly consisting)の語は、関連する文脈において、言及されているものが、当該1種または2種以上の化合物を80%またはこれ以上含み、好ましくは90%またはこれ以上および最も好ましくは95%またはこれ以上含むことを意味する。
完全にからなる(entirely consisting)の語は、関連する文脈において、言及されているものが、当該1種または2種以上の化合物を98%またはこれ以上含み、好ましくは99%またはこれ以上および最も好ましくは100.0%含むことを意味する。
【0047】
式Iの化合物は好ましくは式I−1.1〜I−1.15の基、とくにI−1.1、I−1.2、I−1.3、I−1.4および/またはI−1.5の基から選択される:
【化18】

【0048】
【化19】

【0049】
式中、各記号はおのおの式Iに対して与えられた上記の意味を有し、好ましくは、
11〜R13は、相互に同一であり、好ましくはアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロゲン化されたアルコキシまたはオキサアルコキシであり、
11およびY12は、相互に独立してH、CFまたはFである。
【0050】
式I−1.1〜I−1.5の化合物は、好ましくは式I−1Aの化合物群から選択される。
【化20】

式中、
R、R’、R’’、X、Y11およびY12は上記に定義されたとおりであり、好ましくは
Xは、F、CF、SF、SOCF、OCFまたはCNであり、
11およびY12は、相互に独立してH、CFまたはFである。
【0051】
同様に、式I−1Aの化合物のうち、置換基Fを中央のフェニル環に1個のみ有するかまたは有しないものも好ましい。
本発明の液晶媒体の好ましい態様は、成分Bとして、好ましくは主として本明細書において上記した式IIの化合物からなるものを含む。
好ましくはこれらの式の化合物において、
は、アルキルまたはアルコキシであって、該アルキルの1つまたは2つ以上のメチレン基は−C≡C−によって置換されていてもよく、および付属式IIbおよびIIcについては、好ましくはアルキルである。
【0052】
また、本発明の媒体は成分Cを含んでもよい、この成分Cは、誘電的にニュートラルかまたは誘電的に負であるが、これを決定するのは誘電的に正である化合物と負である化合物のそこに含有されている相対的な量である。
成分Cが用いられる量は、混合物全体の0〜40%、好ましくは0〜20%および最も好ましくは0〜10%である。
任意に、本発明の液晶媒体は、さらに成分Dを含んでもよく、これは誘電的にニュートラルな成分であり、好ましいものおよびより好ましいものは、誘電的にニュートラルな化合物をそれぞれ含むかまたはかかる化合物からなる。
【0053】
成分Dを用いることによって、とくに、本発明の液晶媒体について相範囲と光学異方性を調節することができる。
成分Dの濃度は、本発明の液晶媒体において、好ましくは0%〜40%、より好ましくは0%〜25%、最も好ましくは0%〜15%である、そしてとくに好ましくは3%〜10%である。
任意に、本発明の液晶媒体はさらに成分Eを含んでもよく、これはキラルな成分であり、好ましいものおよびより好ましいものは、それぞれ、キラルな化合物を含むかまたはかかる化合物からなる。本発明の液晶媒体のうち、さらに成分Eを含むものは好ましい。
【0054】
本発明による媒体は、任意にさらなる液晶化合物を含んで物性を調節することができる。そのような化合物は当業者に既知である。本発明による媒体中のそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜20%、最も好ましくは5%〜15%である。
液晶媒体は、好ましくは総計50%〜100%、より好ましくは70%〜100%、最も好ましくは80%〜100%、とくに90%〜100%の成分AおよびBを含有し、好ましくは主として、最も好ましくは完全に、それぞれ式IおよびIIの化合物1種または2種以上からなる。
【0055】
本出願においては、誘電的に正である化合物とはΔε>1.5である化合物であり、誘電的にニュートラルである化合物とは−1.5≦Δε≦1.5である化合物であり、そして誘電的に負である化合物とはΔε<−1.5である化合物である。成分についても同様である。Δεは1kHzおよび20℃において決定される。化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中の個々の化合物の10%溶液の結果から決定される。これらの試験混合物のキャパシティは、ホメオトロピックおよびホモジニアスな配向のセルの両方において決定される。両方の型のセルのセル間隔は約10μmである。印加される電圧は、1kHz周波数および典型的には0.1Vもしくは0.5V〜1.0Vの2乗平方根平均(root mean square value)を有する矩形波であるが、常に各試験混合物のキャパシティブしきい値未満であるように選択される。
【0056】
誘電的に正の化合物には混合物ZLI−4792が、そして誘電的に中性の化合物および誘電的に負の化合物には混合物ZLI−3086が、(いずれもMerck KGaA,Germany製)ホスト混合物としてそれぞれ用いられる。化合物の誘電率許容値は、目的化合物を添加した際のホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定され、目的化合物の濃度が100%の場合に外挿される。
20℃の測定温度においてネマチック相を有する成分はそのように測定され、他は全て化合物として扱われる。
【0057】
本出願においては、しきい値電圧の語は本出願においては光学的しきい値を意味し、10%相対コントラスト(V10)で与えられ、飽和電圧は光学的飽和を意味し、90%相対コントラスト(V90)で与えられるが、いずれも明確な別の記載がない場合に限られる。キャパシティブしきい値電圧(V、フレデリクスしきい値VFrとも呼ばれる)は明確に記載されている場合にのみ用いられる。
本出願において与えられたパラメータの範囲は、明確な記載がない限り全て限界値を含んでいる。
本出願を通して、明確な別の記載がない限り、濃度は全て質量パーセントで与えられ、そして個々の完全な混合物に関し、温度は全て摂氏温度(セルシウス)で与えられ、温度差も全て摂氏温度で与えられる。明確な別の記載がない限り、物性は全て"Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals"、Status Nov. 1997、Merck KGaA、Germanyに従って決定された、また決定されるものであり、そして20℃の温度に対して与えられる。
【0058】
光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長において決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数において決定される。しきい値電圧、またそのほか全ての電気光学的特性は、Merck KGaA,Germanyにおいて製造されたテストセルを用いて決定された。Δε決定のための該テストセルは、22μmのセル間隔を有するものであった。電極は1.13cmの面積およびガードリングを有する円形ITO電極であった。配向層は、ホメオトロピック配向(ε‖)に対してはレシチンであり、ホモジニアス配向(ε⊥)に対しては日本合成ゴム株式会社製のポリイミドAI−1054であった。キャパシティは周波数応答分析機ソラトロン(Solatron)1260によって、0.3Vrmsの正弦波を用いて決定された。電気光学的測定において用いられた光は白色光であった。用いられた装置は、日本の大塚社製の商業的に入手可能な器具であった。特徴的な電圧は、垂直観察(perpendicular observation)によって決定された。しきい値−(V10)、中間グレー(mid grey)(V50)−および飽和電圧(V90)は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストに対して決定された。
【0059】
本発明による液晶媒体はさらなる添加物およびキラルドーパントを通常の濃度で含有することができる。これらのさらなる成分の総濃度は、全混合物に対して0%〜20%、好ましくは0.1%〜15%、より好ましくは1〜15%、特には1〜6%の範囲である。それぞれに用いられる個々の化合物の濃度は、好ましくは0.1%〜3%である。これらおよび同様な添加物の濃度は、本出願における液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲の考慮には入れない。
【0060】
本発明による液晶媒体は、いくつかの、好ましくは3〜30個の、より好ましくは5〜20個の、そして最も好ましくは6〜14個の化合物を含有することができる。これらの化合物は常法によって混合される。通例、より少量使われる化合物の必要量を、より多量に使われる化合物に溶解させる。温度がより高い濃度で用いられる化合物の透明点を越えている場合には、溶解の過程の終了を観察するのはとくに容易である。しかし、媒体の製造は他の常法、例えば、化合物の単一でも、または共融混合物(eutectic mixture)であってよい、いわゆる予混合物(pre−mixture)、または構成要素自体が混合物を用いることができる、いわゆるマルチボトルシステム(multi−bottle−system)を用いて行うことも可能である。
【0061】
適切な添加物を添加することによって、本発明による液晶媒体は、TN−、TN−AMD、ECB−、VAN−AMDのような液晶媒体自体を用いても、PDLC−、NCAP−およびPN−LCDのような複合システム、そしてとくにHPDLCのような、あらゆる既知のタイプの液晶ディスプレイに使用可能なように改変することができる。本発明のLC媒体は、光変調素子、および、光学的に等方状態、好ましくはブルー相にある変調(または制御)媒体を使用したディスプレイにおける使用のために特に好適である。
液晶の融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)は摂氏温度で与えられる。
【0062】
本出願およびとくに以下の例において、液晶化合物の構造は、頭字語(acronym)とも呼ばれる略号によって表される。略号の対応する構造への変換は、以下の2つの表、表AおよびBによって直接なされる。C2n+1およびC2m+1の全ての基は、それぞれnおよびm個のC原子を有する直鎖アルキル基である。表Bの解釈は自明である。表Aは構造の核となるものの略号のみを示したものである。個々の化合物は核の略号で示され、後にハイフンおよびR、R、LおよびLを定義するコードが続く:
【0063】
【表1】

【0064】
【化21】

【0065】
【化22】

【0066】
【化23】

【0067】
【化24】

【0068】
【化25】

【0069】
【化26】

【0070】
【化27】

【0071】
【化28】

【0072】
【化29】

【0073】
【化30】

【0074】
【化31】

【0075】
【化32】

【0076】
【化33】

【0077】
【化34】

【0078】
【化35】

【0079】
【化36】

【0080】
【化37】

【0081】
【化38】

【0082】
【化39】

【0083】
【化40】

【0084】
【化41】

【0085】
【化42】

【0086】
【化43】

【0087】
【化44】

【0088】
【化45】

【0089】
【化46】

【0090】
【化47】

【0091】
本発明の液晶媒体は、好ましくは以下を含有する。
−表AおよびBの化合物から選択される化合物を4種または5種以上および/または
−表Bの化合物から選択される化合物を5種または6種以上および/または
−表Aの化合物から選択される化合物を2種または3種以上
【0092】

以下の例は、本発明の例示を、限定せずに行うためのものである。
しかし、物理データ、とくに化合物の物理データは、当業者に対していかなる物性がいかなる範囲で得られるかを説明するものである。とくに種々の物性の組み合わせとして得られることが好ましいものが、このようにして明確に画定されているのである。
【0093】
例1
1−[2,6−ジフルオロ−(4−(2,4,6−トリ−n−プロポキシフェニル)フェニル)ジフルオロメトキシ]−3,4,5−トリフルオロベンゼン
【化48】

の製造は、スキーム1に従って行う。この化合物は、融点70℃、融解エンタルピー6.8kcal/molおよびガラス転移温度−27℃であり、融解して結晶相から等方相になる。
【0094】
例2
例1と同様にして、対応する3個のn−ブチルオキシ基を有する1−[2,6−ジフルオロ−(4−(2,4,6−トリ−n−ブトキシフェニル)フェニル)−ジフルオロベンゼンメトキシ]−3,4,5−トリフルオロベンゼン
【化49】

が製造される。この化合物は、融点51℃、融解エンタルピー7.9kcal/molおよび、例1の化合物と同様に、融解して結晶相から等方相になる。
【0095】
例3
例1と同様にして、対応する3個のn−ヘキシルオキシ基を有する1−[2,6−ジフルオロ−(4−(2,4,6−トリ−n−ヘキソキシフェニル)フェニル)−ジフルオロベンゼンメトキシ]−3,4,5−トリフルオロベンゼン
【化50】

が製造される。この化合物は、融点−53℃であり、融解してガラス相から等方相になる。
【0096】
例4〜45
例1と同様にして、1下記化合物が製造される:
【化51】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
例46
1−[2,6−ジフルオロベンゼン−(4−(2,4,6−トリ−n−プロポキシフェニル)フェニル)ジフルオロメトキシ]−4−トリフルオロメチルベンゼン
【化52】

を例1と同様にして製造する。この化合物は、融点66℃および融解エンタルピー7.5kcal/molであり、融解して結晶ガラス相から等方相になる。
【0100】
例47
1−[2,6−ジフルオロベンゼン−(4−(2,4,6−トリ−n−プロポキシフェニル)フェニル)ジフルオロメトキシ]−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼン
【化53】

を例1と同様にして製造する。この化合物は、ガラス転移温度−23℃、融点50℃であり、融解エンタルピーは6.8kcal/molであり、融解してガラス相から等方相になる。
【0101】
例48〜90
例47と同様にして、下記化合物が製造される:
【化54】

【0102】
【表4】

【0103】
【表5】

【0104】
例91〜135
例47と同様にして、下記化合物が製造される:
【化55】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
例136
例1と同様にして、
【化56】

が製造される。この化合物は、ガラス転移温度−31℃であり、融解してガラス相から等方相になる。
【0108】
例137
例1と同様にして、1−[2,6−ジフルオロ−(4−(2,4,6−トリ−n−ドセコキシフェニル)−フェニル)ジフルオロメトキシ]−3,4,5−トリフルオロベンゼン
【化57】

が製造される。この化合物は、融点16℃、融解エンタルピー11.0kcal/molであり、結晶エンタルピー3.7kcal/molであり、融解して結晶相から等方相になる。
【0109】
例138
例1と同様にして、1−[2,6−ジフルオロ−(4−(2,4,6-トリ−n−プロポキシフェニル)−フェニル)ジフルオロメトキシ]−3,5−ジフルオロ-4-シアノベンゼン
【化58】

が製造される。この化合物は、ガラス転移温度−14℃、融点89℃であり、融解してガラス相から等方相になる。
【0110】
例139〜168
例1と同様にして、下記化合物が製造される:
【化59】

【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
例169〜258
例1と同様にして、下記化合物が製造される:
【化60】

【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】
【表12】

【0117】
【表13】

【0118】
例259〜348
例1と同様にして、下記化合物が製造される:
【化61】

【0119】
【表14】

【0120】
【表15】

【0121】
【表16】

【0122】
【表17】

【0123】
例349〜393
例1と同様にして、下記化合物が製造される:
【化62】

【0124】
【表18】

【0125】
【表19】

【0126】
例394〜471
例1と同様にして、以下の化合物を製造した:
【化63】

【0127】
【化64】

【0128】
【化65】

【0129】
【化66】

【0130】
【化67】

【0131】
【化68】

【0132】
【化69】

【0133】
【化70】

【0134】
【化71】

【0135】
【化72】

【0136】
【化73】

【0137】
【化74】

【0138】
【化75】

【0139】
【化76】

【0140】
【化77】

註:ΔnおよびΔεは、ZLI−4792中の10%溶液およびMLC−6260中のHTP溶液から外挿した。いずれの混合物も、Merck KGaA製。転移温度以外の全てのデータは20℃におけるもの。
【0141】
使用例
使用例1
液晶混合物、ホスト混合物は下記のとおりに作製した:
【表20】

この混合物は物性以下の物性を有する:
透明点 (T(N,I))/℃: 56.8
【0142】
この混合物85.0%、5%のキラルドーパントR−5011および10%の試験化合物を添加し、生成した混合物の物性を測定した。
データは表にまとめた。
下記表1aおよび1b中のT、T(K,I)およびT(g,I)の測定は、DSC(示差走査熱量計)および顕微鏡によって行った。
下記表に示した他の電気光学的データの測定は、下記に示すテストセル内において行った:このテストセルは電気光学的テストセルであり、インターデジタル電極を備え、電極の間隔は10μmであり、電極の幅は10μmであり、セルの厚さは10μmである。電極−クロム製であり、ポリイミド相を有しない−の高さは、セルの厚さに比して無視し得るものである。実験値の決定は標準的な装置を用いて行う。かかる装置は、DE 102 41 301.0において用いられているようなものである。
【0143】
tranは、特性温度であり、以下のように定義される:
−温度の関数としての特性電圧が下限値を有する場合、この下限値における温度を特性温度とする;
−温度の関数としての特性電圧が下限値を有さず、制御媒体が1つまたは2つ以上のブルー相を有する場合、ブルー相に転移する温度を特性温度とする;1つまたは2つ以上のブルー相がある場合、ブルー相に転移する温度のうち最も低い温度を特性温度とする;
−温度の関数としての特性電圧が下限値を有さず、かつ制御媒体がルー相を有しない場合、等方相に転移する温度を特性温度とする。
【0144】
本明細書において、用語「特性電圧」は、特異的な電圧を意味する。特異的な電圧とは、しきい値電圧V10であり、この電圧においては光透過度として10%が観察され、または飽和電圧V90であり、この電圧においては透過度として90%が観察される。
【0145】
【数1】

各々の場合、10%の各試験化合物をホスト混合物A中5%のキラルドーパントR−5011に溶解せしめた。これらは両方ともMerck KGaA、Germanyから入手可能である。
結果を以下の表に示す(表1a〜1w)。
【0146】
【表21】

【0147】
【表22】

註:n.d.:測定せず
【0148】
【表23】

註:n.d.:測定せず
【0149】
【表24】

註:n.d.:測定せず
【0150】
【表25】

註:n.d.:測定せず
【0151】
【表26】

註:n.d.:測定せず
【0152】
【表27】

註:n.d.:測定せず
【0153】
【表28】

註:n.d.:測定せず
【0154】
使用例2
ホスト混合物Aに種々の濃度の例47の化合物((P(O3)UQU−3O−Tとも略記)を添加する。
例47の化合物のホスト混合物Aにおける濃度は、3%の次に5%および7%〜15%とする。データは表2にまとめた。
【0155】
【表29】

註:Ttranはコレステリック相から等方相への転移温度。電気光学セル中において、交差偏光器を用いて観察される。
特性電圧が温度に対してフラットな依存性(flat dependency)を示す明らかな範囲はないが、本発明の化合物を添加しない媒体より、温度依存性は顕著に減少する。
【0156】
使用例3
ホスト混合物Aに種々の濃度の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)を、Merck KGaA製の種々の濃度のキラルドーパントR−5011とともに添加する。濃度およびデータは表3にまとめた。
【0157】
【表30】

これらの系においては、ブルー相がみられ、特性電圧の温度依存性は劇的に減少する。フラットな温度依存性を示す温度範囲は拡大する。
【0158】
使用例4
液晶混合物、ホスト混合物Bとして、下記からなるものを作製する:
【表31】

この混合物は以下の物性を有する:
透明点 (T(N,I))/℃: 22.5
【0159】
この混合物、ホスト混合物B、85%に、例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)を15%添加し、生成する混合物の物性を測定する。濃度およびデータは表4にまとめた。
特性電圧が温度に対してフラットな依存性を示す明らかな範囲はないが、本発明の化合物を添加しない媒体より、温度依存性は顕著に減少する。
【0160】
【表32】

【0161】
使用例5
液晶混合物、ホスト混合物Cとして、下記からなるものを作製する:
【表33】

この混合物以下の物性を有する:
透明点 (T(N,I))/℃: 60.2
この混合物、ホスト混合物、90%に、例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)5%およびキラルドーパントR−5011を添加し、生成する混合物の物性を測定する。濃度およびデータは表5にまとめた。
【0162】
【表34】

これらの系においては、ブルー相がみられ、特性電圧の温度依存性は劇的に減少する。フラットな温度依存性を示す温度範囲は拡大する。
【0163】
使用例6
(使用例6〜8において示した物理パラメータの測定は"Merck Liquid Crystals, Physical properties of Liquid Crystals", Status Nov. 1997, Merck KgaA, Germanyに従って行う)
液晶混合物として、下記の組成および物性を有するものを作製する:
【表35】

【0164】
使用例7
液晶混合物として、下記の組成および物性を有するものを作製する:
【表36】

【0165】
使用例8
液晶混合物として、下記の組成および物性を有するものを作製する:
【表37】

【0166】
使用例9
液晶混合物、ホスト混合物Dとして、下記からなるものを作製する:
【表38】

この混合物以下の物性を有する:
透明点 (T(N,I))/℃: 99.0
【0167】
使用例9.1
この混合物、ホスト混合物Dに、例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)10%およびキラルドーパントR−5011を5%添加する。これは下記表9に示すとおりである。そして生成する混合物の物性を測定する。結果は表9にまとめた。
使用例9.2
同じ混合物、ホスト混合物Dに、今度は例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)5%ならびにキラルドーパントR−5011を5%およびそのエナンチオマーS−5011を2%(3%のR−5011および4%のラセミ体に相当)添加する。これは下記表9に示すとおりである。そして生成する混合物の物性を測定する。結果は表9にまとめた。
【0168】
【表39】

【0169】
使用例10
使用例10.1および10.2
例9で用いたホスト混合物Dの85%および84%に、例1の化合物(P(O3)UQU−3O−F)を10%およびキラルドーパントR−5011を5%(使用例10.1)および4%(使用例10.2)添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表10にまとめた。
【表40】

【0170】
使用例11
使用例11.1
例9および10で用いたホスト混合物Dの85%および84%に、例3の化合物(P(O6)UQU−6O−F)を10%およびキラルドーパントR−5011を5%添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表11にまとめた。
【表41】

【0171】
使用例11.2
液晶混合物、ホスト混合物Eとして、下記からなるものを作製する:
【表42】

この混合物、ホスト混合物E、83%に、例3の化合物(P(O6)UQU−6O−F)4%およびキラルドーパントR−5011を13%添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表11にまとめた。
【0172】
使用例12
使用例0、10および11において用いたホスト混合物Dの83%に、例408の化合物(P(O3)PQU−3O−F)10%およびキラルドーパントR−5011を5%添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度およびデータは表12にまとめた。
【表43】

【0173】
使用例13
液晶混合物、ホスト混合物Fとして、下記からなるものを作製する:
【表44】

【0174】
使用例13.1〜13.7
この混合物、ホスト混合物F、に種々の濃度の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)および種々の濃度のキラルドーパントR−5011を添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表13aおよび13bにまとめた。
【表45】

【表46】

【0175】
使用例14
液晶混合物、ホスト混合物Gとして、下記からなるものを作製する:
【表47】

この混合物以下の物性を有する:
透明点 (T(N,I))/℃: 75.0
【0176】
使用例14.1および14.2
この混合物、ホスト混合物G、に代替する濃度として5%(使用例14.1)、7%(使用例14.2)および10%(使用例14.3)の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)および5%のキラルドーパントR−5011を添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表14にまとめた。
【表48】

【0177】
使用例15
使用例15.1〜15.3
3種の異なる液晶混合物、ホスト混合物H〜Iとして、下記からなるものを作製する:
【表49】

【0178】
これらの各混合物、ホスト混合物HおよびK、に種々の濃度の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)をキラルドーパントR−5011とともに、表15に示した濃度にて添加する。結果も表15にまとめた。
【表50】

【0179】
使用例16
液晶混合物、ホスト混合物Kとして、下記からなるものを作製する:
【表51】

この混合物、ホスト混合物K、5%の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)を9%のキラルドーパントBO2C*H-C-5(S−5011(また、−BO2C*H-C-3)とn−ペンチル末端鎖をn−プロピル基の代わりに有し、MLC−6260のHTPを有する。Merck KGaAから入手可能。20℃において−71.7μm−1)を添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表16にまとめた。
【表52】

【0180】
使用例17
液晶混合物、ホスト混合物Lとして、使用例15.1において用いたホスト混合物Hに類似するものを、下記からなるものとして作製する:
【表53】

【0181】
この混合物、ホスト混合物L、に10%の例47の化合物(P(O3)UQU−3O−T)を5%のキラルドーパントR−5011とともに添加する。そして生成する混合物の物性を測定する。濃度とデータは表17にまとめた。
【表54】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電的に強く正である液晶成分Aを含むことを特徴とする液晶媒体であって、該成分Aは、式Iの化合物を1種または2種以上含み、
【化1】

式中、
a、b、cおよびdは、相互に独立して0、1または2であり、a+b+c+d≦4であり;
11は、水素、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって相互に独立して置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているか、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
11、L12、L13およびL14は、相互に独立して、水素、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CNによって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたはハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
少なくともL11およびL12の一方が水素でないとき、L13およびL14は水素であり;少なくともL13およびL14の一方が水素でないとき、L11およびL12は水素であり;L11、L12、L13およびL14の少なくとも1つは水素ではなく;およびL11およびL12は同時には、ハロゲンではなく;
11は、H、ハロゲン、−CN、−NCS、−SF、−S−R、−SO−R、1個〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたはハロゲンによって単置換または多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかまたはハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は、相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
およびRは、相互に独立して水素または1個〜7個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、1個〜7個の炭素原子を有するアルキル基であり、該アルキル基は無置換であるかまたはハロゲンによって単置換または多置換されていて;
11、A12、A13およびA14は、相互に独立して下記式の環の1つであり:
【化2】

11、A12、A13およびA14は、2個以上存在する場合、それぞれ同一の環でもよくまたは2つの異なる環でもよく;
11、Y12、Y13およびY14は、水素、ハロゲン、1〜15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、該アルキルまたはアルコキシ基の1つまたは2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって相互に独立して置換されていてもよく、酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず、該アルキルまたはアルコキシ基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているか、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換されていて;またはアリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルケニルオキシ、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルキルオキシまたはアルキルシクロアルキルアルケニルオキシであり、それぞれ15個までの炭素原子を有し、該基は無置換であるかまたは−CN基によって単置換されているかもしくは、ハロゲンによって単置換または多置換されていて、1つまたは2つ以上の=CH−基は相互に独立して=N−によって置換されていてもよく、および/または1つまたは2つ以上の−CH−基は相互に独立して−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−によって置換されていてもよく、窒素および酸素および/または硫黄原子は相互に直接結合していず;
f、g、hおよびjは、相互に独立して0、1、2または3であり;
11、Z12、Z13およびZ14は、相互に独立して単結合、−CHCH−、(−CHCH−)、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、Z11、Z12、Z13およびZ14のそれぞれは、2個以上存在する場合、同一の意味でもまたは異なる意味でもよい。
【請求項2】
式I−1の化合物を1つまたは2つ以上含むことを特徴とする、請求項1に記載の液晶媒体。
【化3】

式中、各記号は、それぞれ請求項1に記載の意味を有する。
【請求項3】
請求項2に記載の式I−1の化合物を1種または2種以上含むことを特徴とする、請求項2に記載の液晶媒体。ただし、
11、R12およびR13は、相互に独立して、1個〜20個の炭素原子を有するn−アルキルもしくはn−アルコキシ、2個〜20個の炭素原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、またはCN、NCS、ハロゲン、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシであり、
11、L12、Y11およびY12は、相互に独立して、H、ハロゲン、CN、NCS、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、および
11は、H、ハロゲンまたはCl、CN、NCS、SF、−SCF、−SOCF、−SO、−SO、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシである。
【請求項4】
誘電的に正である成分Bが、式IIの化合物を少なくとも1種または2種以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶媒体。
【化4】

式中、
は、は0、1または2であり、
は、請求項1に記載のR11について与えられた意味を有し、
21およびZ22は、相互に独立して、単結合、−CHCH−、(−CHCH−)、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−であり、各Z22は2個存在する場合、同一の意味でもまたは異なる意味でもよく、
【化5】

相互に独立して、
【化6】

であり、
【化7】

は、CN、NCS、SF、SOCF、CF、OCF、FまたはClである。
【請求項5】
式I−1の化合物。
【化8】

式中、
11、R12およびR13は、相互に独立して、1個〜20個の炭素原子を有するn−アルキルもしくはn−アルコキシ、2個〜20個の炭素原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、またはCN、NCS、ハロゲン、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシであり、
11、L12、Y11およびY12は、相互に独立してH、ハロゲン、CN、NCS、無置換であるかまたはハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、および
11は、H、ハロゲン、CN、NCS、SF、SOCF、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、好ましくはモノ−、ジ−もしくはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシである。
【請求項6】
以下を特徴とする請求項5に記載の化合物。
11、R12およびR13は、相互に独立して、1個〜7個、好ましくは2個〜5個の炭素原子を有するn−アルキルもしくはn−アルコキシ、2個〜7個の炭素原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルまたはCN、NCS、ハロゲン、好ましくはF、Clであり、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、
11、L12、Y11およびY12は、相互に独立して、H、ハロゲン、CN、NCS、無置換であるかまたはハロゲン化されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシでありおよび
11は、H、ハロゲン、好ましくはF、Clであり、CN、NCS、SF、SOCF、無置換であるかもしくは、ハロゲン化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ、好ましくはモノ−、ジ−またはオリゴ−フッ素化されたアルキル、アルケニルもしくはアルコキシである。
【請求項7】
11、R12およびR13が相互に同一であることを特徴とする、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項8】
11、R12およびR13が、相互に独立して、1個〜7個の炭素原子を有するn−アルコキシまたは2個〜7個の炭素原子を有するアルケニルオキシであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
11が、F、Cl、CN、NCS、SF、SOCF、F、CFまたはOCFであることを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
11およびL12の少なくとも一方がFであり、Y11およびY12の少なくとも一方がFであり、それぞれにおける他方は相互に独立して、HまたはFであることを特徴とする、請求項5〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の液晶媒体または請求項5〜10のいずれかに記載の化合物を含むことを特徴とする、液晶ディスプレイ。
【請求項12】
メソゲン性制御媒体が光学的に等方状態である温度において動作するかまたは動作可能であることを特徴とする、請求項11に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項13】
電気光学ディスプレイにおける請求項1〜4のいずれかに記載の液晶媒体の使用。
【請求項14】
液晶混合物における請求項5〜10のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
電気光学ディスプレイにおける請求項5〜10のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−503487(P2007−503487A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524270(P2006−524270)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008942
【国際公開番号】WO2005/019378
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】