説明

メソ多孔性炭素材料

本発明は、メソ多孔性炭素材料の製造方法に関する。該方法は、前駆体組成物に硬化ステップに続いて炭化ステップを施す段階を含み、前駆体組成物が(i)ブロックコポリマーを含むテンプレート成分、(ii)フェノール化合物または材料、(iii)架橋性アルデヒド成分、及び(iv)−2以下のpKaを有する少なくとも0.5M濃度の強酸を含み、炭化ステップが、前駆体組成物がメソ多孔性炭素材料へと変換されるのに十分な時間、前駆体組成物を炭化温度で加熱するステップを含む。本発明はまた、好ましくは前述の方法によって製造され、向上した熱安定性を有するメソ多孔性炭素材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国エネルギー省及びUT−Battelle,LLCの間で、契約番号DE−AC05−00OR22725として政府支援の下でなされたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、多孔性炭素材料の分野、特にメソ多孔性炭素材料及び膜に関する。
【背景技術】
【0003】
メソ多孔性炭素材料とは、2〜50nmの範囲内の寸法の細孔(すなわちメソ細孔)を有する3次元的に接続した炭素骨格である。これらの材料には、例えば気体分離、水の浄化(すなわちナノろ過)、触媒担持、及び電極材料としてなど、多くの有用性が見出されている。
【0004】
しかしながら、現在のところ、メソ多孔性炭素材料の製造において遭遇する課題がいくつか存在している。重要な課題は、炭素骨格前駆体として機能するポリマーの形成における有機前駆体の反応(すなわち硬化)の困難性(遅い速度)である。ポリマー形成ステップはしばしば、不完全であるかまたは硬化を完了するためにかなりの時間を要する(例えば数日または数週間)。さらには、メソ多孔性炭素材料の製造は、面倒な段階的手順によって実施されるものであり、それには多くの時間と費用の両方を要する。
【0005】
これらの方法によって製造される炭素メソ多孔性材料において一般に遭遇する欠陥がいくつか存在する。例えば、メソ多孔性炭素材料は通常、高温(すなわち製造過程で使用される炭化温度)で、構造が収縮する傾向がある。構造の収縮はしばしば、メソ細孔の損失およびマイクロ細孔の出現を伴う。メソ多孔性炭素材料、特にその膜には、亀裂が入りやすい。
【0006】
従って、復元力の高いメソ多孔性炭素材料を製造することが可能な方法は特に有効である。既存の方法より効果的かつ安価であれば、さらに有効である。さらに、結果として得られるメソ多孔性炭素材料の適用性は、著しい耐久性及び耐熱性を有するメソ多孔性炭素材料によってもたらされる多くのプロセスに有利に拡張されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1態様では、本発明は、メソ多孔性炭素材料を製造するための改良された方法に関する。別の態様では、本発明は、該方法によって製造されたメソ多孔性炭素材料に関する。
好ましい実施形態では、本方法は、前駆体組成物に、硬化ステップに続いて炭化ステップを施す段階を含み、前記前駆体組成物が(i)ブロックコポリマーを含むテンプレート成分、(ii)フェノール化合物または材料、(iii)架橋性アルデヒド成分、及び(iv)−2未満のpKaを有する少なくとも0.5モル濃度(すなわち0.5M)濃度の強酸を含み、前記炭化ステップが、前記前駆体組成物がメソ多孔性炭素材料へと変換されるのに十分な時間、前記前駆体組成物を炭化温度で加熱するステップを含む。
【0008】
強酸条件に基づいて(すなわち少なくとも0.5Mの濃度で存在する強酸)、より完全に架橋された(すなわち硬化された)ポリマー炭化前駆体が生成される。より完全に架橋された前駆体によって、特に高温で、著しく収縮または粗砕されにくいメソ多孔性炭素材料がもたらされる。さらに、強酸条件によって、一般的に低反応性を有するものとして知られていえるフェノール前駆体化合物(例えば、フェノール、不活性化フェノール誘導体、及び例えばタンニンなどの高分子量のポリフェノール化合物)を適用した場合でさえ、従来の方法よりも著しく短い時間で改良された炭素材料を製造することが可能となる。強酸条件によってまた、一段階過程として方法を都合良く実施することが可能となる。すなわち全ての成分(例えばテンプレート成分、炭素前駆体、及び酸)が混合され、硬化及び炭化条件にさらされるため、従来の多段階が省略される。
【0009】
結果として得られたメソ多孔性炭素材料は、いくつかの有利な特性を有する。このような特性には、多孔性炭素材料に少なくとも1800℃の温度で加熱処理を施した後、メソ多孔性炭素材料の構造的収縮が実質的にないこと、及び/またはメソ多孔性の実質的な維持、及び/またはBET表面積の実質的な維持によって証明される、向上した熱安定性が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1Aは本発明のレゾルシノール/ホルムアルデヒド/F−127ポロキサマーメソ多孔性炭素材料(C−ORNL−1として表示される)の窒素(N)吸着等温線及び細孔径分布のプロットであり、図1Bはその低角XRDパターンである。
【図2】図2Aは高解像度SEM画像であり、図2Bは[001]面に沿ったC−ORNL−1のTEM画像であり、図2Cは[110]方向である。
【図3】本発明のカテコール/ホルムアルデヒド/F−127ポロキサマーメソ多孔性炭素材料(C−ORNL−1−cとして表示される)の窒素吸着等温線及び細孔径分布である。
【図4】C−ORNL−1−cの低角XRDパターンである。
【図5】図5AはC−ORNL−1−cの高解像度SEM画像であり、図5BはTEM画像である。
【図6】図6Aはさまざまな温度で熱処理を施した後のC−ORNL−1の低角XRDパターンであり、図6Bは広角XRDパターンであり、図6Cは窒素吸着等温線であり、図6Dは細孔径分布のプロットである。C−ORNL−1−1800の窒素吸着等温線は、50cmSTP/gシフトさせた。
【図7】図7A、C、E及びFはさまざまな温度で熱処理を施した後のC−ORNL−1の高解像度SEM画像であり、図7B及びDはTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1態様では、本発明は、メソ多孔性炭素材料の製造方法を対象とする。ここで使用され、当該分野において理解されるように、「メソ細孔性」との用語は、「メソ細孔」を有する材料を表し、メソ細孔とは2から50nmの径(即ち細孔径)を有する細孔である。メソ細孔とは対照的に、マイクロ細孔(ひいてはマイクロ多孔性材料)は一般的に、2nm未満の径を有するものと理解され、マクロ細孔(ひいてはマクロ多孔性材料)は一般的に50nm超の細孔径を有するものと理解される。
【0012】
本方法は、第一に、本発明のメソ多孔性炭素材料を製造するために、硬化ステップに続いて炭化ステップが施される前駆体組成物を提供する(すなわち調製するかまたは調製された形態で得る)ステップを含む。前駆体組成物は、(i)ブロックコポリマーを含有するテンプレート成分、(ii)フェノール化合物または材料、(iii)架橋性アルデヒド成分、及び(iv)−2未満のpKaを有する少なくとも0.5M濃度の強酸、を少なくとも含む。ここでは、フェノール化合物/材料及び架橋性アルデヒドの組み合わせを「ポリマー前駆体」または「ポリマー前駆体成分」と称する。得られたポリマー(すなわち重合及び架橋後)は、炭化前駆体、すなわち炭化されるときの炭素源として機能する。一方で、テンプレート成分(すなわちブロックコポリマー)は、炭化ステップの前に、ポリマー前駆体材料を規則正しく(即ちパターン化)配列するように機能する。炭化の間、ブロックコポリマーは典型的に、完全に揮発して気体副生成物となるため、通常は固体炭素の形成に寄与しない。しかしながら、揮発性気体は、炭化ステップの間に炭素内にメソ細孔を形成するという重要な役割を果たす。
【0013】
テンプレート成分は、1つまたは複数のブロックコポリマーを含むことができる。ここで使用されるように、「ブロックコポリマー」とは、2つ以上の化学的に区別できる高分子ブロック(即ちセクションまたはセグメント)である。コポリマーは、例えばジブロックコポリマー(例えばA−B)、トリブロックコポリマー(例えばA−B−C)、テトラブロックコポリマー(例えばA−B−C−D)、またはより多くのブロックコポリマーとすることができ、ここで、A、B、C及びDは化学的に異なる高分子セグメントを表す。炭化ステップの間にブロックコポリマーが少なくとも一部揮発することができるように、ブロックコポリマーは、好ましくは完全な無機物ではなく、より好ましくは完全に有機物(すなわち炭素系)である。好ましくは、ブロックコポリマーは、親水性または疎水性に差異を有する(すなわち両親媒性である)少なくとも2つのセグメントを含む。このようなブロックコポリマーは典型的に、類似のドメイン間、すなわち疎水性ドメイン間及び親水性ドメイン間での選択的相互作用に基づいて周期的構造を形成する。ブロックコポリマーは典型的に直鎖であるが、分岐(例えばグリセロール分岐単位)及びグラフトブロックコポリマーもまたここで考慮される。好ましくは、ブロックコポリマーは、フェノール化合物または材料と(例えば水素結合またはイオン結合によって)相互作用できる極性基を含む。このため、ブロックコポリマーは、スチレン−ブタジエンなどの完全な炭化水素ではないことが好ましい。いくつかの基は、例えばヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、及びカルボニル基を含むフェノール基と有利な相互作用結合を提供することができるブロックコポリマー中に位置することが好ましい。
【0014】
ブロックコポリマーの適当な分類の一般的な例として、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート(及びそのエステル)、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリラクチド、及びポリカプロラクトンのセグメントを含む物が挙げられる。適当なブロックコポリマー特定の例として、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)(PS−PMMA)、ポリスチレン−b−ポリ(アクリル酸)(PS−PAA)、ポリスチレン−b−ポリ(4−ビニルピリジン)(PS−P4VP)、ポリスチレン−b−ポリ(2−ビニルピリジン)(PS−P2VP)、ポリエチレン−b−ポリ(4−ビニルピリジン)(PE−P4VP)、ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド(PS−PEO)、ポリスチレン−b−ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリエチレンオキシド−b−ポリプロピレンオキシド(PEO−PPO)、ポロエチレンオキシド−b−ポリ(4−ビニルピリジン)(PEO−P4VP)、ポリエチレン−b−ポリエチレンオキシド(PE−PEO)、ポリスチレン−b−ポリ(D,L−ラクチド)、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)−b−ポリエチレンオキシド(PS−PMMA−PEO)、ポリスチレン−b−ポリアクリルアミド、ポリスチレン−b−ポリジメチルアクリルアミド(PS−PDMA)、ポリスチレン−b−ポリアクリロニトリル(PS−PAN)、及びポリエチレンオキシド−b−ポリアクリロニトリル(PEO−PAN)が挙げられる。
【0015】
好ましい実施形態では、ブロックコポリマーは、1つまたは複数のポリ−EOセグメント及び1つまたは複数のポリ−PPOセグメントを含むトリブロックコポリマーである。より好ましくは、トリブロックコポリマーは、以下の式によるポロキサマー(Pluronic(登録商標)またはLutrol(登録商標)ポリマー)である。
(PEO)−(PPO)−(PEO) (1)
式中、PEOはポリエチレンオキシドブロック、PPOはポリプロピレンブロック(すなわち、−CHCH(CH)O−または−CH(CH)CHO−)であり、下付き記号a、b、及びcはPEO及びPPOのモノマー単位の数を表す。典型的に、a、b、及びcは、各々が少なくとも2、より典型的には少なくとも5、典型的には最大100、120または130の値である。これらの種類のポリマーでは、下付き記号a及びcは典型的に同一の値である。別の実施形態では、a、b、及びcは、およそ、または少なくとも、または最大10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、140、150、160、180、200、220、240の値、あるいはこれらの例示的値の任意の2つによって定められる任意の特定の範囲を独立に有することができる。
【0016】
1実施形態では、a及びcの値は各々がbより小さく、すなわち親水性のPEOブロックがその両端で疎水性のPPOブロックよりも短い。例えば、別の実施形態では、a、b、及びcは、a及びcの値各々がbより小さいという条件で、2、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、または160の値、あるいはこれらの値の任意の2つによって定められる任意の範囲を独立に有することができる。さらに、別の実施形態では、特定の数の単位、例えば2、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、または50単位、あるいはその内の任意の範囲だけa及びcの値がbより小さいことが好ましい。または、a及びcの値がbの特定の比または割合、例えば約10%、20%、25%、30、33%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、またはこれらの値の任意の2つによって定められる任意の範囲である(あるいは該比または割合よりも小さいかまたは大きい)ことが好ましい。
【0017】
別の実施形態では、a及びcの値は各々がbより大きく、すなわち親水性のPEOブロックがその両端で疎水性のPPOブロックよりも長い。例えば、別の実施形態では、a、b、及びcは、a及びcの値各々がbより大きいという条件で、2、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、または160の値、あるいはこれらの値の任意の2つによって定められる任意の範囲を独立に有することができる。さらに、別の実施形態では、特定の数の単位、例えば2、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、または50単位、あるいはその内の任意の範囲だけaおよびcの値がbより大きいことが好ましい。または、bの値がa及びcの値の特定の比または割合、例えば約10%、20%、25%、30%、33%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、またはこれらの値の任意の2つによって定められる任意の範囲である(あるいは該比または割合よりも小さいかまたは大きい)ことが好ましい。
【0018】
別の実施形態では、ポロキサマーは、好ましくは、少なくとも500、800、1000、1200、1500、2000、2500、3000、3500、4000、または4500g/molの最小平均分子量、及び5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、12,000、15,000、または20,000g/molの最大平均分子量を有し、ここで、特定の範囲が前述の値の任意の2つの間、特に最小値と最大値の任意の2つの間で定められ得る。ポリマーの粘度は一般的に、少なくとも200、250、300、350、400、450、500、550、600、または650センチポアズ(cps)であり、一般的に最大700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、または7500cpsであるか、あるいは前述の値の任意の2つの間で定められる任意の範囲である。
【0019】
以下の表に、本発明に適用することができるいくつかの例示的ポロキサマーポリマーを記載する。
【0020】
【表1】

【0021】
当該分野において知られているように、ポロキサマー及びPluronicの名称は、化学組成における情報を与える数値を含む。例えば、ポロキサマーの一般名称は、3つの数字を含み、最初の2つの数字×100がPPO部分のおよその分子量を現し、最後の数字×10がPEO部分の重量パーセントを表す。従って、ポロキサマー338は、約3300g/molの分子量のPPO部分、及び80wt%のPEOを含む。Pluronic名称では、文字が製品の物理形態、すなわちL=液体、P=ペースト、及びF=固体すなわちフレークを表す。3桁の数字の最初の数字、または2つの数字に300をかけたものがPPO部分のおよその分子量を現し、最後の数字×10がPEO部分の重量パーセントを表す。例えば、Pluronic F−108(ポロキサマー338に対応)は、約3,000g/molのPPO部分及び80wt%のPEOからなる固体形態を表す。
【0022】
PEO及びPPOブロックを含む多数のその他の種類のコポリマーが可能であり、それらの全てはここで適用可能である。例えば、ブロックコポリマーは以下の一般式の逆ポロキサマーとすることもできる。
(PPO)−(PEO)−(PPO) (2)
式中、通常のポロキサマーに関して上記で考慮した詳細の全て(例えば下付き記号a、b、及びcの記載、ならびにその他の例示的な構造的可能性の全て)は、参照により逆ポリキサマーに適用可能である。
【0023】
別の変形では、ブロックコポリマーは、連結ジアミン基(たとえばエチレンジアミン、EDA)またはトリアミン基(例えばメラミン)を含む。このようなコポリマーの例として、Tetronics(登録商標)(例えばPEO−PPO−EDA−PPO−PEO)及び逆Tetronics(例えばPPO−PEO−EDA−PEO−PPO)が挙げられる。
【0024】
前駆体組成物のフェノール化合物または材料は、酸性条件下で、アルデヒド化合物または材料(例えばホルムアルデヒド)との縮合反応によって反応することができる任意のフェノール化合物または材料とすることができる。典型的に、芳香環(典型的にフェノール環)に結合したヒドロキシ基を含む任意の化合物または材料は、本発明のフェノール化合物または材料として適当である。
【0025】
1実施形態では、フェノール化合物または材料は、1つのフェノール基(すなわち、6員環の芳香環に結合した1つのヒドロキシ基)を含む。このような化合物の例として、フェノール、ハロフェノール、アミノフェノール、ヒドロカルビル置換フェノール(ここで、「ヒドロカルビル」とは、選択的に1つまたは複数の酸素または窒素原子で置換された典型的に1から6の炭素原子を有する例えば直鎖、分岐、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む)、ナフトール、ニトロフェノール、ヒドロキシアニソール、ヒドロキシ安息香酸、脂肪酸エステル置換またはポリアルキレンオキシ置換フェノール(例えば、ヒドロキシ基に対して2または4の位置)、アゾ結合含有フェノール(例えばp−ヒドロキシアゾベンゼン)、及びフェノールスルホン酸(例えばp−フェノールスルホン酸)が挙げられる。ハロフェノールの一般的な下位分類として、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、及びヨードフェノール、ならびにそれらのさらなる下位分類として、例えばp−ハロフェノール(例えば4−フルオロフェノール、4−クロロフェノール、4−ブロモフェノール、及び4−ヨードフェノール)、m−ハロフェノール(例えば3−フルオロフェノール、3−クロロフェノール、3−ブロモフェノール、及び3−ヨードフェノール)、o−ハロフェノール(例えば2−フルオロフェノール、2−クロロフェノール、2−ブロモフェノール、及び2−ヨードフェノール)、ジハロフェノール(例えば3,5−ジクロロフェノール及び3,5−ジブロモフェノール)、及びトリハロフェノール(例えば3,4,5−トリクロロフェノール、3,4,5−トリブロモフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、3,5,6−トリクロロフェノール、及び2,3,5−トリブロモフェノール)が挙げられる。アミノフェノールの例として、2−、3−、及び4−アミノフェノール、ならびに3,5−及び2,5−ジアミノフェノールが挙げられる。ニトロフェノールの例として、2−、3−、及び4−ニトロフェノール、ならびに2,5−及び3,5−ジニトロフェノールが挙げられる。ヒドロカルビル置換フェノールの例として、クレゾール、すなわちメチルフェノールまたはヒドロキシトルエン(例えばo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール)、キシレノール(例えば3,5−、2,5−、2,3−、及び3,4−ジメチルフェノール)、エチルフェノール(例えば2−、3−、及び4−エチルフェノール、ならびに3,5−及び2,5−ジエチルフェノール)、n−プロピルフェノール(例えば4−n−プロピルフェノール)、イソプロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、ブチルフェノール(例えば4−n−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール)、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール(例えば4−n−オクチルフェノール)、ノニルフェノール(例えば4−n−ノニルフェノール)、フェニルフェノール(例えば2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、及び4−フェニルフェノール)、及びヒドロキシ桂皮酸(p−クマル酸)が挙げられる。ヒドロキシアニソールの例として、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(例えばBHA)、及びフェルラ酸が挙げられる。ヒドロキシ安息香酸の例として、2−ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの有機酸エステル(例えばサリチル酸メチル及び4−ヒドロキシ安息香酸メチル)が挙げられる。
【0026】
別の実施形態では、フェノール化合物または材料は、2つのフェノール基を有する。このような化合物の例として、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロカルビル結合ビスフェノール(例えばビスフェノールA、メチレンビスフェノール、及び4,4’−ジヒドロキシスチルベン)、4,4’−ビスフェノール、ハロ置換ジフェノール(例えば2−ハロレゾルシノール、3−ハロレゾルシノール、及び4−ハロレゾルシノール、ここでハロ基はフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードとすることができる)、アミノ置換ジフェノール(例えば2−アミノレゾルシノール、3−アミノレゾルシノール、及び4−アミノレゾルシノール)、ヒドロカルビル置換ジフェノール(例えば2,6−ジヒドロキシトルエン、すなわち2−メチルレゾルシノール;2,3−、2,4−、2,5−、及び3,5−ジヒドロキシトルエン、1−エチル−2,6−ジヒドロキシベンゼン、カフェ酸、及びクロロゲン酸)、ニトロ置換ジフェノール(例えば2−及び4−ニトロレゾルシノール)、ジヒドロキシアニソール(例えば3,5−、2,3−、2,5−、及び2,6−ジヒドロキシアニソール、及びバニリン)、ジヒドロキシ安息香酸(例えば3,5−、2,3−、2,5−、及び2,6−ジヒドロキシ安息香酸、及びそれらのアルキルエステル、ならびにバニリン酸)、及びフェノールフタレインが挙げられる。
【0027】
別の実施形態では、フェノール化合物または材料は、3つのフェノール基を有する。このような化合物の例として、フロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)、ピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−クロロ−1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、レスベラトロル(トランス−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン)、ヒドロカルビル置換トリフェノール(例えば2,4,6−トリヒドロキシトルエン、すなわちメチルフロログルシノール、及び3,4,5−トリヒドロキシトルエン)、ハロゲン置換トリフェノール(例えば5−クロロ−1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、カルボキシ置換トリフェノール(例えば3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、すなわち没食子酸またはキナ酸、及び2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸)、ニトロ置換トリフェノール(例えば2,4,6−トリヒドロキシニトロベンゼン)、及び3つのフェノール基を含むフェノール−ホルムアルデヒドレゾール樹脂またはノボラック樹脂が挙げられる。
【0028】
さらに別の実施形態では、フェノール化合物または材料は、複数の(すなわち3より多い)フェノール基を有する。このような化合物または材料の例として、タンニン(例えばタンニン酸)、タンニン誘導体(例えばエラジタンニン及びガロタンニン)、フェノール含有ポリマー(例えばポリ−(4−ヒドロキシスチレン))、少なくとも4つのフェノール基(例えば少なくとも4、5、または6つのフェノール基)を有するフェノール−ホルムアルデヒドレゾール樹脂またはノボラック樹脂、ケルセチン、エラグ酸、及びテトラフェノールエタンが挙げられる。
【0029】
架橋性アルデヒド成分は、アルデヒド基を含む任意の有機化合物または材料とすることができる。典型的に、架橋性アルデヒドは、ホルムアルデヒドである。しかしながら、ここでは同一の役割を果たし得るものとして、多数の有機アルデヒド、有機ジアルデヒド、及びポリアルデヒド(例えば有機トリアルデヒド、有機テトラアルデヒドなど)も考慮される。有機アルデヒドは、一般的に以下の式で表すことができる。
R−CHO (3)
式中、Rは、典型的に少なくとも1、2、または3つ、最大4、5、6、7、または8つの炭素原子を有する、直鎖、分岐、または環状、かつ置換または非置換ヒドロカルビル基を表し得る。適当な有機アルデヒドの例として、アセトアルデヒド、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド)、ペンタナール(バレルアルデヒド)、ヘキサナール、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、及びフルフラールが挙げられる。
【0030】
有機ジアルデヒドは、一般的に以下の式で表すことができる。
OHC−R−CHO (4)
式中、Rは、典型的に少なくとも1、2、または3つ、最大4、5、6、7、8、9、または10の炭素原子を有する、直鎖、分岐、または環状、かつ置換または非置換ヒドロカルビル連結基である。ジアルデヒド化合物の例として、グリオキサル、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、スべリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、シクロペンタンジアルデヒド、テレフタルアルデヒド、及びフルフラールアルデヒドが挙げられる。
【0031】
強酸成分は、約−2以下のpKaを有する1つまたは複数の酸を含む。このような酸の例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、及び超酸(トリフル酸など)が挙げられる。本方法では、前駆体組成物の全体積に対して少なくとも0.5モル濃度(すなわち0.5M)のモル濃度が好ましい。特定の実施形態では、酸のモル濃度は、好ましくは、およそ、または少なくとも0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、1.0M、1.2M、1.5M、1.8M、2.0M、あるいは前述の値の任意の2つの間で定められる任意の範囲とすることができる。モル濃度値は、Hのモル当量、またはpHでも言及され得る。ここで、強酸のpHは一般的に、pH=−log[H]に従い、式中[H]はHイオンの濃度を表す。
【0032】
任意の1つまたは複数の上記成分は、適当な溶媒に溶解し得る。好ましくは、溶媒は有機極性プロトン性溶媒または非極性溶媒である。有機極性プロトン性溶媒の例として、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、及び類似のものが挙げられる。有機極性非プロトン性溶媒の例として、アセトニトリル、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、メチレンクロリド、有機エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル)、及び類似のものが挙げられる。
【0033】
特定の実施形態では、オルトアセテート、例えばトリエチルオルトアセテートは前駆体組成物から除外される。別の特定の実施形態では、弱酸(すなわち−2を超えるpKaを有する)、及び特に弱有機酸(例えばp−トルエンスルホン酸または次亜リン酸)は前駆体組成物から除外される。さらに別の特定の実施形態では、フェノール−ホルムアルデヒドレゾール樹脂またはノボラック樹脂(例えば500〜5000M.W.のもの)は前駆体組成物から除外される。
【0034】
1実施形態では、硬化及び/または炭化ステップの前に、1つ以上のステップを含む多段階工程が採用される。例えば、多段階工程が採用され得る。該工程では第一に、フェノール化合物または材料と組み合わせたテンプレート成分の膜を、例えば該成分を表面上に適用(すなわち被覆)し、そこから溶媒を除去することによって(例えばアニーリングによって)固体膜として成型することによって作製する。次いで、作製された膜を、強酸条件下で架橋性アルデヒド成分と反応させ(例えばホルムアルデヒドガスと気相反応させることによって)、重合した(かつ選択的に架橋した)炭素前駆体材料を生成することができる。その後、結果として得られる硬化膜を炭化して、メソ多孔性炭素材料を生成することができる。
【0035】
しかしながら、本発明において採用される強酸条件(すなわち−2pKa以下及び少なくとも0.5Mの濃度の強酸の使用)により、一段階(すなわち「ワンポット」)調製方法が有利に可能となる。一段段階過程では、硬化及び炭化ステップの前に、先に記載したような全ての成分が直接混合される。
【0036】
硬化ステップは、当技術分野において知られているように、ポリマー前駆体の重合、好ましくは架橋、特にフェノール成分とアルデヒド成分との間の架橋を促進する任意の条件を含む。硬化条件は一般的に、特定の時間の間の高温の適用を含む。しかし、ここでは、放射(例えばUV硬化)、または純粋な化学的(すなわち高温を使用しない)方法を含むその他の硬化条件及び方法も考えられる。好ましくは、硬化ステップは、ポリマー前駆体または全前駆体組成物に、少なくとも60、70、80、90、100、110、120、130、または140℃の温度を典型的に少なくとも0.5、1、2、5、10、または12時間、最大15、20、24、36、48、または72時間施すことを含む。ここで、一般的に、温度が高いほど要する時間が短いことが理解される。
【0037】
特定の実施形態では、前駆体に初期低温硬化ステップを施し、続いてより高い温度の硬化ステップを施すことが好ましい。初期硬化ステップでは、例えば約60、70、80、90、または100℃(あるいはこれらの任意の間の範囲)の温度を採用することができ、続く硬化ステップでは、初期硬化ステップの温度が次の硬化ステップの温度より低いという条件で、例えば約90、100、110、120、130、または140℃(あるいはこれらの任意の間の範囲)の温度を採用することができる。さらに、各硬化ステップでは、先に示した任意の例示的時間を採用することができる。
【0038】
代替として、硬化ステップの間に、任意の上記の温度の間、または室温(例えば15、20、25、30、または35℃)と任意の上記の温度との間で、段階的に温度を上昇させることが好ましい場合もある。別の実施形態では、段階的温度増加は1℃/分、2℃/分、3℃/分、5℃/分、7℃/分、10℃/分、12℃/分、15℃/分、20℃/分、または30℃/分以上、以下、あるいはこれらの値の任意の間の適当な範囲の温度上昇率を採用することによって実施することができる。
【0039】
炭化ステップは、当技術分野において知られているように、前駆体組成物の炭化をもたらす任意の条件を含む。一般的に、異なる実施形態において、約300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃、1350℃、1400℃、1450℃、1500℃、1600℃、1700℃、または1800℃以上の炭化温度を、典型的に、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間、最大7、8、9、10、11、または12時間の間採用する。ここで、温度がより高いと、同一の結果を得るために要する時間が一般的に短くなる。必要であれば、前駆体組成物、または炭化された材料を、黒鉛化炭素材料を製造するために十分高い温度にさらしてもよい。典型的に、黒鉛化をもたらし得る温度は、約2000℃、2100℃、2200℃、2300℃、2400℃、2500℃、2600℃、2700℃、2800℃、2900℃、3000℃、3100℃、または3200℃以上、あるいはこれらの温度の任意の2つの間の範囲の温度である。好ましくは、炭化または黒鉛化ステップは、酸素が実質的に除去された雰囲気、例えば典型的に不活性雰囲気下で実施される。不活性雰囲気の例として、窒素及び希ガス(例えばヘリウムまたはアルゴン)が挙げられる。
【0040】
特定の実施形態では、前駆体に初期低温炭化ステップを施し、続いて高温炭化ステップを施すことが好ましい。初期炭化ステップでは、例えば約300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、または900℃(あるいはこれらの任意の間の範囲)の温度を採用し、続く炭化ステップでは、初期炭化温度が次の炭化ステップの温度より低いという条件で、例えば約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1200、1250、1300、1400、1450、1500、1600、1700、または1800℃(あるいはこれらの任意の間の範囲)の温度を採用することができる。さらに、各炭化ステップでは、先に示した任意の例示的時間を採用することができる。
【0041】
代替として、炭化ステップの間に、任意の上記の温度の間、または室温(例えば15、20、25、30、または35℃)と任意の上記の温度との間で、段階的に温度を上昇させることが好ましい場合もある。別の実施形態では、段階的温度増加は1℃/分、2℃/分、3℃/分、5℃/分、7℃/分、10℃/分、12℃/分、15℃/分、20℃/分、30℃/分、40℃/分または50℃/分以上、以下、あるいはこれらの値の任意の間の適当な範囲の温度上昇率を採用することによって実施することができる。段階的温度上昇はまた、特定の温度で1または複数の期間の停滞することができ、かつ/または温度変化率を変更することもできる。
【0042】
好ましい実施形態では、前駆体組成物の成分を混合した後、かつ硬化または炭化の前に、溶液が混濁するまで、溶液を十分な時間(例えば約1、2、5、10、20、30、40、50、60、90、または120分以上、あるいはこれらの値の任意の間の範囲)撹拌する。濁度は、溶液の液体部分からある程度相分離された、規則正しいナノ複合ゲルまたは固体の形成を示唆する。必要であれば、硬化、炭化、または相分離処理の前の混合時間の合計が上記の例示的時間となるか、または数時間(例えば約4、5、6、7、8、10、または12時間以上)または数日(例えば約1、2、3、4、5、10、15、または20日以上)、あるいは前述の例示的時間の間の範囲など、ずっと長い時間となるように、濁りが現れた後も混合を継続してよい。
【0043】
より好ましくは、濁りが顕著になった後、相分離された混合物は、液体部分から分離されるべき規則正しいナノ複合ゲルまたは固体をもたらす条件(すなわち相分離条件)にさらされる。ここでは、任意の分離方法を適用することができる。好ましい実施形態では、相は遠心分離によって分離される。別の実施形態では、遠心分離は、例えば2000rpm、2500rpm、3000rpm、4000rpm、5000rpm、6000rpm、7000rpm、8000rpm、9000rpm、9500rpm、10000rpm、11000rpm、12000rpm、または15000rpm、もしくはそれ以上、あるいはこれらの値の任意の間の範囲の角速度で、例えば0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、または6分間の間実施することができる。ここで、角速度がより速ければ、同等の分離をもたらすために必要な時間は一般的に短くなると理解される。超高速遠心分離(例えば最大20,000または30,000rpm)または超遠心分離(例えば最大40,000、50,000、60,000、または70,000rpm)もまた使用することができる。ゲルまたは固体相は、液相から分離されるとすぐに、これらの工程に対して上記に記載された任意の条件に従って、液相が実質的に存在しない状態で、好ましくは硬化及び炭化される。
【0044】
特定の実施形態では、製造された多孔性炭素材料は膜の形態である。該膜は、任意の適当な厚さを有し得る。別の実施形態では、膜は、好ましくは50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1.0μm、1.2μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、4.0μm、5.0μm、10μm、20μm、30μm、40μm、または50μmの厚さ、少なくともこれらの厚さ、またはこれら未満の厚さ、あるいはこれらの値の任意の間の範囲の厚さを有し得る。膜は、複合材料の一環として機能することが望ましい。ここで、炭素膜は、その他の材料の1層または複数層の間に挟まれる、覆う、または下に位置する。その他の材料は、多孔性または非多孔性であり、かつ、例えば、シリカ、アルミナ、黒鉛、金属酸化物、または有機物、無機物、またはハイブリッドポリマーから構成され得る。
【0045】
別の実施形態では、製造されたメソ多孔性炭素材料は粒子の形態である。粒子は、炭化温度で加熱する能力も有する、例えば当分野で知られているスプレー噴霧法などの任意の適当な方法によって製造することができる。例えば前述の前駆体組成物(典型的に、THFまたはDMFなどの担体溶媒中の)は、噴霧器のノズルを通してスプレーすることができ、粒子は、硬化及び炭化ステップのための1つまたは複数の加熱されたチャンバ内へと向かう。代替として、前駆体組成物の一部(例えばテンプレート剤及びフェノールなどのポリマー前駆体の1つ)は、第一に噴霧され、得られた粒子は適当な条件によってアニール(すなわち乾燥)され得る、結果として得られた粒子は次いで、他のポリマー前駆体(例えばホルムアルデヒド)にさらされ、また、強酸条件にさらされ(前述のとおり)、その後、硬化及び炭化条件にさらされる。別の実施形態では、粒子は、例えば約50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、50μm、100μm、500μm、または1000μm、あるいは少なくともこれらの値、もしくはこれらの値の任意の2つの間の範囲である。
【0046】
メソ多孔性炭素材料は、当該技術分野において知られている、炭素または黒鉛材料を官能化する方法によって、所望のように官能化することができる。例えば、炭素材料は、当該技術分野において知られている方法によって、窒素化、フッ素化、または酸素化され得る。炭素材料は、例えば、炭化工程の間かその後のいずれかに、適当な反応条件の下で、それぞれアンモニア、フッ素ガスまたは酸素に炭素膜をさらすことによって、窒素化、フッ素化、または酸素化され得る。フッ素化の特定の場合において、炭素材料は、典型的に、20℃から500℃の範囲内の温度で、数分(例えば10分)から最大数日の間、フッ素ガスと接するように配置される。ここで、所望のフッ素化の程度に基づいて、その他の因子の中でとりわけ時間及び温度が選択される。例えば、周囲温度(例えば15〜30℃)で約5時間の反応時間によって、典型的に炭素の総量の約10%がフッ素化される。これに対して、約500℃で2日間フッ素化を実施すると、炭素の総量の約100%がフッ素化される。特定の実施形態では、窒素化、フッ素化、または酸素化の程度は、約、または少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%、あるいはこれらの値の任意の2つの間の範囲とすることができる。
【0047】
製造されたメソ多孔性炭素材料は、メソ細孔、すなわち2から50nmの径(すなわち細孔径)を有する細孔を含む。好ましくは、炭素材料は、マイクロ細孔(2nm未満の細孔)またはマクロ細孔(50nm超の細孔)が実質的に存在せず、メソ細孔を保有する。マイクロ細孔またはマクロ細孔が「実質的に存在しない」とは、細孔容積の総量の5%以下、より好ましくは約1%、0.5%、または0.1%以下がマイクロ細孔またはマクロ細孔の存在に起因するものであることを意味する。別の実施形態では、炭素材料は、好ましくは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、または50nm、あるいはこれらの値の任意の2つの間の範囲のサイズ(径)を有するメソ細孔を保有する。炭素材料の細孔は、ある程度のサイズ均一性、すなわち細孔径及び/または細孔形状を有することができる。例えば、異なる実施形態では、炭素材料の細孔は、例えば、±10nm、±8nm、±6nm、±5nm、±4nm、±3nm、±2nm、または±1nm以下の変位の影響を受ける、先に例示された任意の径に対応する平均細孔径を有し得る。メソ細孔の壁厚さは、典型的に、約5.0〜7.0nmの範囲内、例えば5.0、5.5、6.0、6.5、または7.0nm、あるいはこれらの値の任意の2つの間の範囲内である。
【0048】
好ましくは、メソ細孔は、特定の秩序の程度で(すなわち、パターン化、または秩序配列されて)互いに配列される。秩序配列の例として、六角形または立方配列が挙げられる。
【0049】
さらに、メソ細孔の長手方向の寸法は、特に膜の場合、表面に対して特定の向きを有し得る。例えば、1実施形態では、メソ細孔の長手方向の寸法が表面に対して完全に垂直(すなわち精密に90°)であるかまたは表面に対して実質的に垂直、例えば90±10°(すなわち80°から−80°)、90±5°、90±2°、または90±1°であると好ましい。炭素材料(典型的にフィルムまたは膜)がガス透過性材料として適用される場合、メソ細孔の向きが表面に対して実質的に垂直であると、特に有利である。別の実施形態では、細孔の大部分が、例えば表面に対して45°〜−45°、60°から−60°、70°から−70°、または80°から−80°の角度の範囲内で表面に対して斜めに配向した長手方向の寸法を有することが好ましい。さらに別の実施形態では、メソ細孔の長手方向の寸法が表面に対して完全に一直線(すなわち平行)に(すなわち精密に0°)、または表面と実質的に平行に、例えば0±10°、0±5°、0±2°、または0±1°であると好ましい。細孔の選択的配向は、例えば、前駆体材料のブロックの炭化、及び細孔の長手方向の寸法に対して所望の角度を有する選択された表面のスライスまたエッチングによって成し遂げることができる。細孔の選択的配向はまた、例えば、炭素材料の角度を調節すること、及び/または炭化ステップの間に上部層によって圧縮することによって成し遂げることができる。
【0050】
メソ多孔性炭素材料は典型的に、約または少なくとも50、100、200、300、400、450、500、550、600、650、700、750、または800m/g、あるいはこれらの値の任意の2つの間の範囲のBET表面積を有する。メソ多孔性炭素材料は典型的に、約または少なくとも0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、または0.7cm/g、あるいはこれらの値の任意の2つの間の範囲の細孔容積を有する。
【0051】
先に説明した方法によって製造されたメソ多孔性炭素材料は、好ましくは向上した物理的復元力、例えば向上した熱安定性及び亀裂に対する耐性を有する。向上した熱安定性は、好ましくは、少なくとも1800℃の温度で加熱処理した後の構造的収縮及び/またはメソ多孔性の実質的な維持、及び/またはBET表面積の実質的な維持によって証明される。より好ましい実施形態では、向上した熱安定性は、少なくとも1850℃、1900℃、1950℃、2000℃、2050℃、2100℃、2150℃、2200℃、2250℃、2300℃、2350℃、2400℃、2450℃、2500℃、2550℃、2600℃、2650℃、または2700℃、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲の温度でメソ多孔性炭素材料を加熱処理した後に証明される。本文中で使用される「構造的収縮が実質的に存在しない」及び「BET表面積の実質的な維持」との表現は通常、これらのパラメータが、加熱処理後に加熱処理前の元の値と比較して、約5%以下、より好ましくは約1%、0.5%、または0.1%以下だけ変化することを意味する。本文中で使用される「メソ多孔性の実質的な維持」との表現は、細孔の総容量と比較してマイクロ細孔またはマクロ細孔に起因する細孔容積が約5%以上、より好ましくは約1%、0.5%、または0.1%以上増加しないことを意味する。
【0052】
いかなる理論に縛られるものではないが、本発明において採用される高度に酸性の条件は、観測される向上した物理特性を与えることに主に関与すると考えられる。特に、強酸条件は、弱酸条件下で自己集合機構に影響を及ぼす水素結合相互作用とは対照的に、フェノール基とテンプレート基との間のクーロン力(すなわちイオン性)の相互作用によって、自己集合を促進すると考えられる。イオン性相互作用は、水素結合相互作用より一般的に強力であることが知られているため、イオン性相互作用は、自己集合した前駆体を適切な位置にしっかりと固定し、その結果、炭化の前により強固かつ安定な骨格を形成すると考えられる。剛性骨格は、炭化後、弱酸条件下で調製された炭素材料と比較して、より強く、より復元性のある炭素材料をもたらす。
【0053】
例示の目的、及び本発明の特定の実施形態を説明するために以下に実施例を示す。しかしながら、本発明の範囲は、ここに記載された実施例によって限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
レゾルシノール−ホルムアルデヒドポリマー由来のメソ多孔性炭素材料(C−ORNL−1)の調製及び分析
レゾルシノール 1.1:F127 1.1:ホルムアルデヒド 0.48:エタノール 3.55〜8.2:水 5.1〜1.67:HCl 0.16〜0.66の重量比で、高度に規則正しい構造を有するメソ多孔性炭素を調製した。典型的な合成において、1.1 gのレゾルシノール及び1.1gのF127を4.5mlのエタノール(EtOH)中に溶解し、ここに3.0MのHCl水溶液4.5mlを加え、次いで1.3gの37%ホルムアルデヒド(37%)を加えた。室温で12〜13分間撹拌した後、透明な混合物は濁った。これは、規則正しいナノ複合体の形成及び相分離を示唆している。合計40分間撹拌した後、ポリマーに富んだゲル相を完全に分離するために、混合物を9500rpmで4分間遠心分離した。その後、ゲルを大きなペトリ皿上に乗せ、80℃、続いて150℃でそれぞれ24時間硬化させた。炭化は、窒素雰囲気下、昇温速度1℃/分、400℃で2時間、続いてさらに昇温速度5℃/分、850℃で3時間実施した。製造された炭素材料をC−ORNL−1とした。
【0055】
図1Aに示されるように、C−ORNL−1は、相対圧力0.4から0.7で鋭い毛管凝縮ステップを示し、6.3nmに集中した狭い細孔径分布を有するIV型の窒素吸着等温線を示す。計算されたBET表面積及び細孔容積は、それぞれ607m/g及び0.58cm/gである。図1Bに示されるように、C−ORNL−1は、2D六方対称(p6mm)の100、110、及び200の偏位の指標となる3つの高分解XRDピークを示し、これは、高度に規則正しいメソ構造を示唆する。C−ORNL−1の高度に規則正しい2D六方構造は、高解像度SEM画像(図2A)及びTEM画像(それぞれ[001]及び[110]方向に沿った図2B及び2C)によってさらに明らかとなる。図2に示されるように、多孔性構造の長距離六方配列は、[001]及び[110]方向の両方にそって明確に視認される。画像から計算されるC−ORNL−1のセル単位パラメータ、細孔径、及び壁の厚さは、それぞれ12.2nm、6.2nm、及び6.0nmであり、これは窒素吸着及びXRDの結果に由来する値とよく一致する。単位セルパラメータは、12.24nmであり、壁の厚さは5.94nmであると計算される。しかし、広角XRDパターン(図6B)によって示されるように、CORNL−1の炭素骨格の壁はアモルファスである。
【0056】
(実施例2)
カテコール−ホルムアルデヒドポリマー由来のメソ多孔性炭素材料(C−ORNL−1−c)の調製及び分析
上記の実施例1に記載された方法と同様に、カテコール−ホルムアルデヒド及びF127からメソ多孔性炭素の調製を実施した。典型的な合成では、1.1gのカテコール及び1.1gのF127を4.5mlのエタノール中に溶解させ、ここに、4.0MのHCl水溶液4.5ml及び37%ホルムアルデヒド1.3gを加えた。約10日間室温で撹拌した後、透明な混合物が濁り、これはRF−F127ナノ複合体の形成及び相分離を示唆している。計16日間撹拌した後、ポリマーに富んだゲル相を完全に分離するために、混合物を9500rpmで4分間遠心分離した。その後、実施例1の方法によって、ゲル相を硬化及び炭化した。製造された炭素材料をC−ORNL−1−cとした。
【0057】
図3に示されるように、C−ORNL−1−cは、相対圧力0.4から0.7で鋭い毛管凝縮ステップを示し、4.9nmに集中した狭い細孔径分布を有するIV型の窒素吸着等温線を示す。計算されたBET表面積及び細孔容積は、それぞれ418m/g及び0.35cm/gである。
【0058】
図4は、C−ORNL−1−cの低角XRDパターンを示す。2θ=0.83のピークが観察され、これは2D六方対称(p6mm)の100反射を示し得る。さらに、C−ORNL−1−cのSEM及びTEM画像(それぞれ図5A及び5B)は、2D六角形メソ構造及び長距離秩序を明確に示す。
【0059】
(実施例3)
メソ多孔性炭素材料の熱安定性分析
以下でさらに明らかとなるように、C−ORNL−1は、著しく高い熱安定性を示す。特に、図6A及び6Bは、1800℃から2600℃の範囲の異なる温度で加熱処理後のC−ORNL−1−x (ここで、xは温度を表す)の低角及び広角XRDパターンを示す。意外にも、C−ORNL−1は、1800℃まで加熱した後でさえ、2θで0.8°周辺に強いXRDピークを示している。低角XRDピークは、加熱処理温度の上昇に伴って見えにくくなり、メソ構造秩序が徐々に失われたことを示唆している。しかしながら、意外にもピーク位置は広角に移動しておらず、構造の収縮がないことを示唆している。C−ORNL−1−xの広角XRDパターンは、炭素壁の黒鉛特性が次第に発達していることを明確に示している。意外にも、C−ORNL−1−xの窒素吸着等温線(図6C)は、典型的なIV型曲線を示し、2600℃まで加熱した後でさえメソ多孔性が維持されていることを示唆している。しかしながら、以下の表2に示されるように、C−ORNL−1−xのBET表面積だけでなく、窒素の取り込みも加熱処理温度の上昇に伴って低下する傾向にある。表1においても明らかであるように、加熱処理温度の上昇に伴ってメソ細孔は広くなるが、C−ORNL−1−xの細孔径分布プロット(図6D)は、全てのサンプルでほぼ同一の細孔径を示す。
【0060】
【表2】

【0061】
図7A及び7Bはそれぞれ、1800℃の温度で加熱処理を行った後のC−ORNL−1の高解像度SEM及びTEM画像を示す(結果として得られた材料はCORNL−1−1800と称される)。図7C及び7Dはそれぞれ、2200℃の温度で加熱処理を行った後のC−ORNL−1の高解像度SEM及びTEM画像を示す(結果として得られた材料はCORNL−1−2200と称される)。図7Eは、2400℃の温度で加熱処理を行った後のC−ORNL−1の高解像度SEM画像を示す(結果として得られた材料はCORNL−1−2400と称される)。図7Fは、2600℃の温度で加熱処理を行った後のC−ORNL−1の高解像度SEM画像を示す(結果として得られた材料はCORNL−1−2600と称される)。CORNL−1−1800では、メソ細孔の明らかな六角形配列が依然として観察され、これは、規則正しいメソ構造が維持されていること示唆するものであり、XRD及び窒素吸着分析の結果ともよく一致している。より高温(すなわち2200〜2600℃)で加熱されたメソ多孔性炭素材料は、虫のような(wormy)構造を示している(図7C〜F)。意外にも、上記の全てのデータは、CORNL−1が2400℃または2600℃で黒鉛化され、実質的なメソ多孔性及びBET表面積を維持しつつ、高黒鉛性メソ細孔炭素を形成することができることを示している。C−ORNL−1の高い熱安定性は、少なくとも部分的に、高度に架橋されたレゾルシノール−ホルムアルデヒドポリマー及び本発明において使用された強酸条件によってもたらされた高剛性炭素骨格に起因するものと考えられる。厚い炭素壁もまた、高い熱安定性に寄与するものと考えられる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態として考えられるものについて示し、説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される発明の範囲内で多様な変更及び修正を行うことができる。
【図2A−C】

【図5A.B】

【図7A−F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソ多孔性炭素材料の製造方法であって、前駆体組成物に、硬化ステップに続いて炭化ステップを施す段階を含み、前記前駆体組成物が(i)ブロックコポリマーを含むテンプレート成分、(ii)フェノール化合物または材料、(iii)架橋性アルデヒド成分、及び(iv)−2以下のpKaを有する少なくとも0.5M濃度の強酸を含み、前記炭化ステップが、前記前駆体組成物がメソ多孔性炭素材料へと変換されるのに十分な時間、前記前駆体組成物を炭化温度で加熱するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーが、ポロキサマートリブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メソ多孔性炭素材料が、1マイクロメートル未満の厚さを有する膜の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メソ多孔性炭素材料が、100nm以下の厚さを有する膜の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化ステップが、少なくとも80℃の温度で少なくとも24時間前記前駆体組成物を加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化ステップが、少なくとも400℃の温度で少なくとも2時間加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記強酸が、塩酸と、臭化水素酸と、ヨウ化水素酸と、硫酸と、トリフル酸とからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記強酸が、前駆体組成物の総体積に対して少なくとも1.0Mの有効濃度である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化ステップ及び炭化ステップの前に、ゲル状相と液相とが分離し始めるまで、前記前駆体組成物の成分を混合するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲル状相を前記液相から分離するステップと、次に、前記ゲル状相に硬化及び炭化ステップを施すステップとをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋性アルデヒド成分がホルムアルデヒドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
炭素構造及びその中に位置するメソ細孔を含むメソ多孔性炭素材料であって、前記メソ多孔性炭素材料に少なくとも1800℃の温度で加熱処理を施した後、前記メソ多孔性炭素材料の構造的収縮が実質的にないこと、及び/またはメソ多孔性の実質的な維持、及び/またはBET表面積の実質的な維持によって証明されるように、向上した熱安定性を有する、材料。
【請求項13】
前記加熱処理温度が、少なくとも2000℃である、請求項12に記載の材料。
【請求項14】
前記メソ多孔性炭素材料が、1マイクロメートル未満の厚さを有する膜の形態である、請求項12に記載の材料。
【請求項15】
前記メソ多孔性炭素材料が、100nm以下の厚さを有する膜の形態である、請求項12に記載の材料。
【請求項16】
前記メソ細孔の大部分が、4〜10nmの範囲内の寸法を有する、請求項12に記載の材料。
【請求項17】
前記BET表面積が、400〜700m/gの範囲内である、請求項12に記載の材料。
【請求項18】
前記メソ多孔性炭素材料が、少なくとも0.5cm/gの細孔容積を有する、請求項12に記載の材料。
【請求項19】
前記メソ細孔が、規則正しい六角形パターンに配列されている、請求項12に記載の材料。
【請求項20】
前記メソ細孔が、少なくとも約6.0nmの壁厚を有する、請求項12に記載の材料。
【請求項21】
請求項1に記載の方法によって製造されたメソ多孔性炭素材料であって、前記メソ多孔性炭素材料が、炭素構造及びその中に位置するメソ細孔を含み、前記メソ多孔性炭素材料に少なくとも1800℃の温度で加熱処理を施した後、前記メソ多孔性炭素材料の構造的収縮が実質的にないこと、及び/またはメソ多孔性の実質的な維持、及び/またはBET表面積の実質的な維持によって証明されるように、向上した熱安定性を有する、メソ多孔性炭素材料。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527397(P2012−527397A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511979(P2012−511979)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035345
【国際公開番号】WO2010/135389
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(509125992)ユーティー−バッテル・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】