説明

メタクリル系樹脂組成物からなる導光体

【課題】良好な成形性により微細な光散乱パターンの成形が容易であり、透明性、耐衝撃性、表面硬度、耐熱性、剛性に優れ、薄型化に適する導光体を提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン等の共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散してなり、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対しブロック共重合体(B)が1〜80質量部であるメタクリル系樹脂組成物を、溶融成形してなる導光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリル系樹脂組成物からなる導光体に関し、より詳細には、メタクリル樹脂が本来有する良好な成形性、高い透明性などの特長を保持しつつ、耐衝撃性、表面硬度、耐熱性、剛性に優れた導光体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薄型の看板、表示装置、液晶表示装置の背面光源等に用いられる光源装置として、導光体に光を入射して発光させるバックライト装置が知られており、近年ではエッジライト方式と言われる導光体の端面に冷陰極管や熱陰極管などの光源を配置し、任意の形状またはパターンで発光させるバックライト方式が主流となっている。また、フロントライト型と呼ばれる光源装置も開発されている。
【0003】
この種の光源装置としては、より輝度が高く、軽量化および薄肉化されたコンパクトなものであることが要求されている。このような光源装置における導光体の材料としては、導光体中における光の吸収、散乱、反射などの透過率損失ができるだけ少ないものが望ましく、高い光線透過率を有する透明樹脂が適している。従って、現在はアクリル樹脂が多く用いられ、アクリル樹脂を任意の形状に成形したものや、アクリル樹脂板そのものが導光体として用いられている。
【0004】
近年、エッジライト方式光源へのLED使用検討が始まり、導光体もより薄型化の要求が強くなってきている。しかしながら、従来のアクリル樹脂では脆く薄型化の要求に十分応えきれていないのが現状である。
【0005】
特許文献1にはアクリル樹脂の耐衝撃性を向上させる方法として、乳化重合法によって製造した多層構造アクリルゴム粒子をメタクリル系樹脂にブレンドする方法が挙げられている。この方法は現在広く工業的に実施されている。この多層構造アクリルゴム粒子は、2層あるいはそれ以上の層からなり、メタクリル酸メチルを主成分とする硬質層とアクリル酸n−ブチルなどのアクリル酸エステルを主成分とする軟質層とが、実質的に交互に重なった球状のコアシェル構造を有している。しかしながら、この方法によるアクリル樹脂の耐衝撃性の改善効果は十分なものとは言えず、剛性や耐熱性の低下も大きい。また、この方法によるメタクリル系樹脂は多層構造アクリルゴム粒子をメタクリル系樹脂にブレンドする際に、多層構造アクリルゴム粒子同士が凝集して、塊(ゲルコロニー)を生じることがあり、この塊に起因して成形体にブツ(フィッシュアイ)が発生し、特に光学部材用途で使用される場合著しく商品価値を損なうことがある。
【0006】
特許文献2には、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体からなるゴム状物質の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、該ゴム状物質の分散不良に起因して生ずる、成形体の外観不良などが依然として残されている。
【0007】
特許文献3には、部分水添共役ジエン重合体の存在下でメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合する方法が開示されている。しかしながら、該方法で用いる部分水添共役ジエン重合体はメタクリル酸メチルに溶解しないため、他の溶媒に溶解させることが必要になり、製造プロセスが複雑になる。さらに、該方法は、相反転による分散粒子化、特に分散粒子サイズの制御が困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭59−36645号公報
【特許文献2】特公昭45−26111号公報
【特許文献3】再公表WO96/32440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、メタクリル樹脂が本来有する良好な成形性、高い透明性などの特長を保持しつつ、表面硬度、耐熱性、剛性、耐衝撃性に優れたメタクリル系樹脂組成物からなる導光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を行った。その結果、特定のブロック共重合体ゴムが分散したメタクリル系樹脂を用いることによって、表面硬度、剛性、透明性、耐衝撃性に優れたメタクリル系樹脂組成物からなる導光体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち本発明は、
メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散してなり、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対しブロック共重合体(B)が1〜80質量部であるメタクリル系樹脂組成物からなる導光体に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の導光体は、成形加工性に優れるメタクリル系樹脂組成物を用いることから出射面および反出射面への微細な光散乱パターンの転写率の高い賦形が容易であり、かつ透明性すなわち導光性能、表面硬度、耐熱性、剛性が良好である。さらに本発明の導光体は、耐衝撃性に優れるメタクリル系樹脂組成物からなるため、面光源素子組立て時の工程通過性に優れ、薄型の導光体にも適する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0014】
本発明の導光体を構成するメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、後述するブロック共重合体(B)が分散してなるものである。
【0015】
[メタクリル系樹脂(A)]
マトリックスを構成するメタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有する樹脂である。メタクリル酸メチル単位は80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましい。
メタクリル酸メチル単位以外の単量体単位としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等の一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体等の単量体単位が挙げられる。メタクリル酸メチル単位と他の単量体単位との質量比は、80:20〜99:1であるのが好ましく、90:10〜98:2であるのがより好ましい。
【0016】
メタクリル系樹脂(A)のGPCで測定した重量平均分子量は、7万〜20万であるのが好ましく、8万〜15万であるのがより好ましく、9万〜12万であるのがさらに好ましい。重量平均分子量が7万未満であるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性や靭性の低下が生じて脆くなり好ましくない。また、重量平均分子量が20万を超えるとメタクリル系樹脂組成物の流動性が低下し成形性が低下する場合があり好ましくない。
【0017】
メタクリル系樹脂(A)のGPCで測定した分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.9〜3.0であるのが好ましく、2.1〜2.8であるのがより好ましく、2.2〜2.7であるのがさらに好ましい。分子量分布が1.9未満ではメタクリル系樹脂組成物の成形性の低下が生じる場合があり好ましくない。また、分子量分布が3.0を超えるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性の低下が生じ脆くなる場合があり好ましくない。
【0018】
[ブロック共重合体(B)]
本発明に用いられるブロック共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体である。なお、前記の「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」と「アクリル」との総称を意味する。
【0019】
ブロック共重合体(B)を構成する重合体ブロック(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなるものである。メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が23℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体が好ましく、Tgが0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体がより好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体がさらに好ましい。そのような単量体としては、アクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましく、アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。
【0020】
ブロック共重合体(B)を構成する重合体ブロック(b)は、共役ジエン化合物単位からなるものである。共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体が好ましく、汎用性、経済性、取扱性の点から1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンがより好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
【0021】
共役ジエン化合物は、1,4−付加重合するものと、1,2−又は3,4−付加重合するものとがある。共役ジエン化合物が1,4−付加重合すると分子主鎖中に炭素−炭素二重結合を有するようになる。共役ジエン化合物が1,2−又は3,4−付加重合すると分子主鎖に結合するビニル基(側鎖ビニル結合)を有するようになる。この分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に結合するビニル基は、グラフト反応や架橋反応の起点となる。重合体ブロック(b)の側鎖ビニル結合量は10mol%〜60mol%であるのが好ましく、10mol%〜50mol%であるのがより好ましく、10mol%〜35mol%であるのがさらに好ましい。側鎖ビニル結合量は重合反応系にエーテル類などの極性化合物を加えることにより増加させることができる。
【0022】
側鎖ビニル結合量が10mol%未満では、マトリックスとのグラフト結合が不足する結果、耐衝撃性が低下傾向になる。一方、60mol%を超えると、重合中の凝集によって分散相の径が大きくなりすぎることでメタクリル系樹脂組成物の透明性や剛性が低下傾向になる。
【0023】
重合体ブロック(b)は、分子主鎖中の炭素−炭素二重結合及び/又は分子主鎖に結合するビニル基を部分的に水素添加したものであってもよい。本発明の効果を維持する観点から、重合体ブロック(b)の水素添加率は70mol%未満であることが好ましく、50mol%未満であることがさらに好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、例えば、特公平5−20442号公報に開示された方法によって達成される。
【0024】
ブロック共重合体(B)を構成する重合体ブロックは、重合体ブロック(a)(以下、単に(a)と表記することがある。)及び重合体ブロック(b)(以下、単に(b)と表記することがある。)を有するものであれば、その結合態様によって制限されない。具体的には、(a)−(b)型のジブロック共重合体、(a)−(b)−(a)型のトリブロック共重合体、(b)−(a)−(b)型のトリブロック共重合体、(a)−(b)−(a)−(b)型のテトラブロック共重合体、(a)と(b)とがテトラブロック以上結合したマルチブロック共重合体などの直鎖状ブロック共重合体を挙げることができる。
【0025】
重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との質量比は、特に制限されないが、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との合計を100質量%としたときに、重合体ブロック(a)は、通常30〜65質量%、好ましくは40〜60質量%である。重合体ブロック(b)は、通常70〜35質量%、好ましくは60〜40質量%である。
【0026】
本発明に用いられるブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(a)及び/又は重合体ブロック(b)のガラス転移温度が、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下となるように、重合に供する単量体およびその組成割合を選択する。
【0027】
ブロック共重合体(B)は、その屈折率によって特に制限されないが、導光体には透明性が要求されることから、ブロック共重合体(B)の屈折率がマトリックスを構成するメタクリル系樹脂(A)の屈折率と一致していることが好ましい。具体的には、ブロック共重合体(B)の屈折率は、好ましくは1.48〜1.50、より好ましくは1.485〜1.495である。
【0028】
このブロック共重合体(B)としては、さらに上記の直鎖状ブロック共重合体からなる複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤等に由来する基(カップリング剤残基)によって連結した星型ブロック共重合体(B’)が好適に用いられる。
【0029】
星型ブロック共重合体(B’)を構成する複数の腕重合体ブロックは、同じ種類のブロック共重合体であってもよいし、異なる種類のブロック共重合体であってもよい。
特に本発明に好適な星型ブロック共重合体(B’)は、化学構造式:
(重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)−)
(式中、Xはカップリング剤残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものである。
【0030】
本発明に好適な星型ブロック共重合体(B’)は、GPCにより算出したポリスチレン換算の数平均分子量において、式:
〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕>2×〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕を満たすものである。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
星型ブロック共重合体の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍を超える範囲にすることで、メタクリル系樹脂中に分散した星型ブロック共重合体(B’)の分散相のせん断に対する機械的強度が高くなり、所望の性能を得ることができるようになる。なお、星型ブロック共重合体(B’)の数平均分子量が、腕重合体ブロックの数平均分子量の100倍より大きいものは合成が難しいので、工業的に好ましい星型ブロック共重合体(B’)の数平均分子量は、腕重合体ブロックの数平均分子量の2倍より大きく且つ100倍以下であり、より好ましくは2.5〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。
なお、星型ブロック共重合体(B’)には、カップリング剤残基によって連結していない腕重合体ブロックのみからなる直鎖状ブロック共重合体が含まれていてもよい。
【0031】
本発明に用いるブロック共重合体(B)の数平均分子量(Mn)は、得られるメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性を向上させ導光体の取扱性を向上させる観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましく、50,000〜500,000であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明に使用するブロック共重合体(B)の製造方法は、化学構造に関する本発明の要件を満足するブロック共重合体が得られる限りにおいて特に限定されず、公知の手法に準じた方法を採用することができる。一般に、分子量分布の狭い星型ブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩等の存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、原子移動ラジカル重合(ATRP)法等が挙げられる。
【0033】
上記の製方法のうち、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、より分子量分布の狭いブロック共重合体を製造でき、残存単量体が少なく、比較的緩和な温度条件下で実施可能であり、工業的生産における環境負荷(主に重合温度を制御するために必要な冷凍機の消費電力)が少ないという点で好ましい。
【0034】
上記のアニオン重合用の重合開始剤としては有機アルカリ金属化合物が通常用いられる。有機アルカリ金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等のアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム等のリチウムアルコキシドといった有機リチウム化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
上記のアニオン重合において用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記の一般式:
AlR
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはRが前記したいずれかの基を表し、RおよびRは一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表されるものが挙げられる。
【0036】
上記一般式で表される有機アルミニウム化合物の具体例として、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムは、取扱いが容易であり、比較的緩和な温度条件下で失活することなくアニオン重合反応を進行させることができる点で好ましい。
【0037】
上記アニオン重合の反応系内には、必要に応じて、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジル等の含窒素化合物を、重合反応の安定のために、共存させることができる。
【0038】
本発明に好適な星型ブロック共重合体(B’)を得る方法としては、アニオン重合反応系内に多官能性単量体や多官能性カップリング剤などを少量添加して重合する方法が挙げられる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
【0039】
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
【0040】
[メタクリル系樹脂組成物]
本発明の導光体を構成するメタクリル系樹脂組成物は、ゴム状のブロック共重合体(B)がマトリックスを構成するメタクリル系樹脂(A)中に粒子形状を形成して分散しているものである。ブロック共重合体(B)の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。ブロック共重合体(B)が少ないとメタクリル系樹脂組成物からなる導光体が脆くなり取扱性が低下傾向になり、逆に多いと表面硬度、耐熱性や剛性が低下傾向になるばかりでなく、ブロック共重合体(B)がメタクリル系樹脂(A)に均一に分散し難くなり透明性や表面性が悪化(ブツが発生)する場合があり好ましくない。
【0041】
ブロック共重合体(B)の分散粒子の大きさは0.05〜2μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは0.08〜0.5μmである。分散粒子の平均径が0.05μmより小さいと導光体が脆くなり取扱性が低下する傾向になり、分散粒子の平均径が2μmより大きいと透明性及び表面性が低下傾向になり好ましくない。
【0042】
本発明に用いるタクリル系樹脂組成物は、その製法によって特に限定されず、例えば、マトリックスを構成するメタクリル系樹脂(A)に、ブロック共重合体(B)を添加し、単軸あるいは二軸の溶融押出機等において溶融混錬することによっても得ることができるが、本発明においては、以下に述べる製造方法(インサイチュ法)によって得られるものが好ましい。インサイチュ法とは、連続相(マトリックス)または分散相(ゴム粒子)になる物質を分散相または連続相となる物質の存在下で生成させ、直接に連続相と分散相とからなる組成物を形成する方法である。
【0043】
上記のメタクリル系樹脂組成物の好適な製造方法は、ブロック共重合体(B)1〜80質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜100質量%、及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体混合物(A)100質量部を、単量体の重合転化率70質量%以上になるまで塊状重合または溶液重合する工程を含む方法である。
【0044】
より具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)1〜80質量部を、メタクリル酸メチル50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%からなる単量体混合物(A)100質量部及び溶媒0〜100質量部からなる液に溶解し、この溶液を単量体の重合転化率70質量%以上になるまで塊状重合または溶液重合する工程を含む方法である。
【0045】
ブロック共重合体(B)がメタクリル系樹脂(A)に分散したメタクリル系樹脂組成物を得るためには、ブロック共重合体(B)を溶解した単量体混合物(A)溶液にせん断が加わるように攪拌しながら重合することが好ましい。ブロック共重合体(B)の単量体混合物(A)溶液にせん断を加えながら重合反応することによって、ブロック共重合体(B)と、単量体混合物(A)の重合によって得られるメタクリル系樹脂(A)との相反転が生じ、メタクリル系樹脂(A)を溶解した単量体混合物(A)溶液相が連続相(マトリックス)に、ブロック共重合体(B)を溶解した単量体混合物(A)溶液相が分散相(ドメイン)になる。なお、この相反転が生じる単量体の重合転化率は、ブロック共重合体(B)と単量体混合物(A)との体積比、ブロック共重合体(B)の分子量、ブロック共重合体(B)とのグラフト体、更に、溶媒を加えた場合には、溶媒量や溶媒種によって調整することができる。
【0046】
重合法としては、重合初期から相反転が生じるまでは、塊状重合法または溶液重合法が好ましい。塊状重合法または溶液重合法で重合を行うと、重合初期では、ブロック共重合体(B)の単量体混合物(A)溶液の中でメタクリル系樹脂が生成する。塊状重合法または溶液重合法においては攪拌によるせん断力がブロック共重合体(B)側により多く加わり、重合転化率の増加とともに相分離して生成してきたメタクリル系樹脂の単量体混合物(A)溶液相とブロック共重合体(B)の単量体混合物(A)溶液相とが相反転し、メタクリル系樹脂の溶液相が連続相になりブロック共重合体(B)の溶液相が分散相になる。塊状重合法または溶液重合法を行う装置としては、攪拌機付きの槽型反応器、攪拌機付きの筒型反応器、静的攪拌能力を有する筒型反応器等が挙げられる。これら装置は、1基以上であってもよく、また、異なる反応器2基以上の組合せでもよい。また、重合は回分式または連続式のどちらであってもよい。
【0047】
分散相の大きさは、攪拌機付反応器であれば攪拌回転数などの因子によって;塔型反応器に代表される静的攪拌反応器であれば反応液の線速度、重合系の粘度、相反転前までのブロック共重合体(B)へのグラフト率など種々の因子によって制御可能である。なお、相反転が生じた後は、塊状重合法または溶液重合法が適用できるが、これら以外に懸濁重合法も適用できる。
【0048】
単量体混合物(A)及び必要に応じて用いられる溶媒からなる液に、ブロック共重合体(B)を溶解する方法は、ブロック共重合体(B)を均一に溶解できる方法であれば特に限定されず、例えば、単量体混合物(A)及び必要に応じて用いられる溶媒を30〜60℃程度に加熱し、攪拌することによってブロック共重合体(B)を溶解することができる。
【0049】
溶液重合に用いる溶媒としては、メタクリル酸メチルを50質量%以上含む単量体混合物(A)、該単量体混合物によって得られるメタクリル系樹脂(A)、及びブロック共重合体(B)に対して溶解能を有する溶媒であれば特に制限されず、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等を挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の混合溶媒を使用してもよい。混合溶媒を用いる場合には、単量体混合物(A)、メタクリル系樹脂(A)及びブロック共重合体(B)を溶解できる混合溶媒であれば、単量体混合物(A)、メタクリル系樹脂(A)又は星型ブロック共重合体(B)を溶解できない溶媒を含んでいてもよい。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ヘキサン等の炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が含まれていてもよい。
【0050】
本発明で用いることができる好ましい溶媒の量は、メタクリル酸メチル、該メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体及び溶媒の混合物を100質量%とした場合、0〜90質量%の範囲である。
【0051】
メタクリル酸メチルを50質量%以上含む単量体混合物の重合反応には、ブロック共重合体(B)中の炭素−炭素不飽和結合などを起点にする、グラフト反応や架橋反応が伴う。特に架橋反応は単量体の重合転化率が高くなった頃に主に進行するので、本発明においては、単量体の重合転化率を70質量%以上、好ましくは80質量%以上になるまで重合を行うことができる。
単量体の重合転化率を70質量%以上にすることによって、メタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が向上し得られる導光体の取扱性を向上させることができる。
【0052】
本発明で用いられる重合開始剤は、反応ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルカルボニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物などを挙げることができる。これらは1種単独でも2種類以上を併用してもよい。また、重合開始剤の添加量や添加方法等は、目的に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものでない。
【0053】
上記メタクリル酸メチルを50質量%以上含む単量体混合物を重合する際には、必要に応じて反応系内に連鎖移動剤を添加してもよい。例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等のアルキルメルカプタン類やα−メチルスチレンダイマーやテルピノレン等を挙げることができる。これらは、単独または2種以上を用いることができる。
【0054】
重合終了後、通常、未反応の単量体及び溶媒を除去する。除去方法は特に制限されないが、加熱脱揮が好ましい。脱揮法としては、平衡フラッシュ方式や断熱フラッシュ方式が挙げられる。特に断熱フラッシュ方式では、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜270℃の温度で脱揮を行う。200℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分なときには成形体にシルバー等の外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると酸化、焼けなどによってメタクリル系樹脂組成物に色が着くことがある。
【0055】
上記の製造方法によれば、相反転を経て分散相となった、ブロック共重合体(B)の単量体混合物(A)溶液相は、重合の追込みにより分散相内部でさらにメタクリル系樹脂(A)がブロック共重合体(B)から相分離して、ブロック共重合体(B)からなる海相とメタクリル系樹脂(A)からなる島相との海島構造を形成する。得られるメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる観点から、分散相中のメタクリル系樹脂(A)からなる島相の合計面積が、透過型電子顕微鏡写真観察において分散相面積の30%以上を占めていることが好ましい。また、分散相中の島相の合計面積が分散相面積の30%以上を占めている該分散相粒子が全分散相粒子の30質量%以上であることが好ましい。
【0056】
メタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)に対するブロック共重合体(B)の質量割合が規定する範囲内であれば、上記の製造方法で得られた生成物を、別途製造された単独のメタクリル系樹脂(A)で希釈してもよい。メタクリル系樹脂組成物のメルトフローレートは、薄型、大面積で微細な光散乱パターンを有する導光体への成形性を良好にする点から、10g/10分以上であるのが好ましく、20g/10分以上であるのがより好ましい。
【0057】
本発明のメタクリル系樹脂組成物からなる導光体には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などを添加することができる。
【0058】
メタクリル系樹脂組成物からなる導光体には、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.001〜0.1質量部含有させてもよい。
本発明により得られるメタクリル樹脂組成物には、さらに耐久性を向上させるために、光安定剤として2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物のようなヒンダードアミン類を含有させてもよい。その場合、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、光安定剤を0.001〜0.1質量部含有させることが好ましい。
【0059】
さらに、メタクリル系樹脂組成物からなる導光体には、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対して、酸化防止剤を0.001〜0.5質量部含有させてもよい。本発明に用いられる酸化防止剤とは、それ単体で樹脂の熱劣化防止に効果を有するものであって、例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系等の酸化防止剤が挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて用いることができるが、中でも着色による光学特性の劣化防止効果の点で、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系が好適に用いられる。
【0060】
さらに、射出成形による導光体成形における金型離型性を向上させるために、本発明の導光体には、メタクリル系樹脂組成物100質量部に対し、高級アルコールおよび/またはグリセリンモノエステルを合計で0.5質量部以下を含有させてもよい。高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。グリセリンモノエステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド等の高級脂肪酸のグリセライドなどが挙げられる。
【0061】
有機色素の例としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有するターフェニルなどが挙げられる。光拡散剤や艶消し剤の例としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。蛍光体の例としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
【0062】
[導光体]
本発明のメタクリル系樹脂組成物からなる導光体の製造方法としては、射出成形法、プレス成形法、Tダイやロールユニットを介する押出成形法等の溶融成形法;キャスト重合による注型成形法;などの公知の成形方法を採用することができるが、経済性の点から射出成形法やTダイによる押出成形法が好ましい。
【0063】
本発明のメタクリル系樹脂組成物からなる導光体は、画面の対角長が10〜20インチ、好ましくは14〜20インチの液晶表示装置のバックライト用に好適に用いられる。
【0064】
導光体の厚みは、冷陰極管等の光源からの入射端面側で通常2mm以下であり、好ましくは0.5〜1.5mmである。厚みがこの範囲内である薄型導光体に対しては、本発明の特徴であるメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が良好に発揮され、面光源素子組立て時の工程通過性に有利となる。導光体の断面形状は、一辺入射の場合、一般に入射面厚み1mm以上であれば楔形断面、1mm未満であれば成形の容易な平板形断面、また対向二辺入射の場合には平板形断面とすることができる。導光体の出射面または反出射面には、プリズム形等の賦形やドット印刷等により微細な光散乱パターンを付与してもよい。
【実施例】
【0065】
以下に本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性値の測定または評価は以下の方法により行った。
【0066】
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)およびブロック共重合体の生成率の測定
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel GMHXL、G4000HXLおよびG5000HXLを直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
【0067】
(2)ガスクロマトグラフィー(GC)による仕込み単量体の重合転化率の測定
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
【0068】
(3)側鎖ビニル結合量
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、H−NMR(日本電子社製磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppm(以後、シグナルCという。)の1,2−ビニルによるプロトン(=C)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(以後、シグナルDという。)のビニルプロトン(=C−)の積分強度を求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V[mol%]を計算して求めた。
=〔(C/2)/{C/2+(D−C/2)/2}〕×100
【0069】
(4)ガラス転移温度(Tg)
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition」VI/199頁,Wiley Interscience社(1998年)に記載の値(ポリアクリル酸n−ブチル:−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION」434頁,MARCEL DEKKER社(1996年)に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。なお、比較例において用いたスチレン−ブタジエンブロック共重合体のスチレン重合体ブロックのガラス転移温度(Tg)は100℃とした。
【0070】
(5)屈折率(n
ブロック共重合体(B)が30質量%となるようトルエンに均一に溶解した。室温にて当該溶液およびトルエンの、密度およびアッベ屈折計による屈折率を測定し、下記(式1)〜(式3)の式を用いブロック共重合体(B)の屈折率を求めた。さらに、屈折率既知のポリメタクリル酸メチル(n=1.492)を同じ方法で測定し、この方法による屈折率測定の較正係数を求めて、ブロック共重合体(B)の屈折率を較正した。
[(n2−1)/(n2+2)]×V=r=一定・・・(式1)
3=w11+w22・・・(式2)
=(1/ρ1)−(1/w2)×[(1/ρ1)−(1/ρ3)]・・・(式3)
[n:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率、ρ:密度、
下付き1:トルエン、下付き2:ブロック共重合体(B)、下付き3:溶液、
実測:V、nd3、V、nd1
式(1)、式(2)出典:高分子実験学第12巻「熱力学的・電気的および光学的性質」昭和59年発行 共立出版
式(3)出典:高分子実験学第11巻「高分子溶液」昭和57年発行 共立出版
【0071】
(6)平均粒子径
成形体をダイヤモンドナイフを用いて切り出し超薄切片を得、この切片を四酸化オスミウムで染色(ポリブタジエン部が染色される。)し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像を写真撮影を行った。無作為に全体が写っている30個のゴム粒子を選択し、個々の粒子径を測定した後、それらの平均値で表した。
【0072】
(7)成形体の耐衝撃性の測定
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
【0073】
(8)成形体の曲げ弾性率の測定
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
【0074】
(9)成形体の荷重たわみ温度の測定
ISO75に準拠して、荷重たわみ温度を測定した。
【0075】
(10)成形体の表面硬度の評価
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた耐擦傷性押出板の鉛筆硬度を測定した。
【0076】
(11)成形体の長光路分光光度測定(透明性評価)
射出成形機で成形した190mm×50mm×5mmの板状成形品を島津製作所製UV−2550型分光光度計を用い光線を板状成形品内部の長さ方向に190mm透過した部分での一定波長(450、550、650nm)の透過率(%)の測定を行った。
【0077】
《参考例1》 星型ブロック共重合体(B’−1)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlおよび1,2−ジメトキシエタン0.007mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン97mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
【0078】
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液18.1mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
【0079】
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル71mlを添加し、−15℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が80,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
【0080】
(4)上記(3)で得られた反応混合物を−15℃で保持し、激しく攪拌したまま、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2.1mlを加え30分間重合した。次いでメタノール約1mlを添加して重合を停止させた。
【0081】
(5)上記(4)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに入れて析出させることにより、ブロック共重合体(B’−1)が得られた。得られたブロック共重合体(B’−1)の収率はほぼ100%であった。
【0082】
得られたブロック共重合体(B’−1)は、星型ブロック共重合体と腕重合体ブロックとの混合物であった。ブロック共重合体(B’−1)は、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合が92質量%であった。
星型ブロック共重合体は、その数平均分子量(Mn)が310,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnが1.16であった。またブロック共重合体(B’−1)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)49質量%およびアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)51質量%からなるジブロック共重合体を腕重合体ブロックとして含むものであった。
ブロック共重合体(B’−1)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B’−1)の特性を示す。なお、表中のBAはアクリル酸n−ブチル、Bdは1,3−ブタジエンを意味する。
【0083】
《参考例2》星型ブロック共重合体(B’−2)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン105mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が46,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が10mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−95℃であった。
【0084】
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液18.1mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
【0085】
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル65mlを添加し、−15℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が79,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
【0086】
(4)上記(3)で得られた反応混合物を−15℃で保持し、激しく攪拌したまま、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2.1mlを加え30分間重合した。次いでメタノール約1mlを添加して重合を停止させた。
【0087】
(5)上記(4)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに入れて析出させることにより、ブロック共重合体(B’−2)が得られた。得られたブロック共重合体(B’−2)の収率はほぼ100%であった。
【0088】
得られたブロック共重合体(B’−2)は、星型ブロック共重合体と腕重合体ブロックとの混合物であった。ブロック共重合体(B’−2)は、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合が93質量%であった。
星型ブロック共重合体は、その数平均分子量(Mn)が308,000(腕数=3.88)、そのMw/Mnが1.16であった。またブロック共重合体(B’−2)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(b)53質量%およびアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)47質量%からなるジブロック共重合体を腕重合体ブロックとして含むものであった。
ブロック共重合体(B’−2)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(B’−2)の特性を示す。
【0089】
《参考例3》ジブロック共重合体(B−1)の製造
(1)攪拌機付1.5リットルのオートクレーブ容器に、トルエン801mlおよび1,2−ジメトキシエタン0.007mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.9mlを加え、次いで1,3−ブタジエン95mlを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が48,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−77℃であった。
【0090】
(2)上記(1)で得られた反応混合物を−30℃に冷却し、0.45mol/lのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを含有するトルエン溶液18.1mlおよび1,2−ジメトキシエタン8.1mlを添加し、10分間撹拌して均一な溶液とした。
【0091】
(3)次いで、上記(2)で得られた溶液を激しく撹拌しながら、アクリル酸n−ブチル72mlを添加し、−15℃で3時間重合させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC(ポリスチレン換算)により分子量を分析した結果、反応混合物中のブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が80,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であることが判明した。また、アクリル酸n−ブチルの重合で得られた重合体ブロック(a)のガラス転移温度は−49℃であった。
【0092】
(4)上記(3)で得られた反応混合物をメタノール8000mlに入れて析出させることにより、ブロック共重合体(B−1)が得られた。得られたブロック共重合体(B−1)の収率はほぼ100%であった。
【0093】
《参考例4》星型ブロック共重合体(B’−3)の製造
1,3−ブタジエンの量を40mlに変え、且つアクリル酸n−ブチルの量を111mlに変えた以外は、合成例1と同じ方法によって、ブロック共重合体(B’−3)を得た。ブロック共重合体(B’−3)は、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位20質量%とアクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位80質量%とからなる星型ブロック共重合体を主成分として含むものであり、1,3−ブタジエンからなる重合体ブロック(b)は、ビニル結合量が30mol%、ガラス転移温度が−77℃であり、アクリル酸n−ブチルからなる重合体ブロック(a)は、ガラス転移温度が−49℃であった。ブタジエン−アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体(腕重合体ブロック)は数平均分子量が69,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.02であった。また、星型ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は272,000(腕数=3.94)、そのMw/Mnは1.15であり、GPCの面積比より算出した星型ブロック共重合体の割合は90質量%であった。ブロック共重合体(B’−3)の屈折率は、1.473である。表1にブロック共重合体(B’−3)の特性を示す。
【0094】
【表1】

【0095】
《実施例1》
攪拌機及び採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル60.7質量部、アクリル酸メチル1.9質量部、及びトルエン35質量部を仕込み、そして星型ブロック共重合体(B’−1)を2.4質量部添加し、30℃で8時間攪拌し、(メタ)アクリル系エラストマーとしての星型ブロック共重合体(B’−1)を均一に溶解させた。その後、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.035質量部、及びn−オクチルルメルカプタン0.1質量部を加え均一に溶解させ、窒素により反応系内の酸素を除去した。原料モノマーを、重合温度125℃に制御された3Lの完全混合型反応器に連続的に供給し重合を行った。反応域での平均滞留時間を45分として重合を実施した。採取管より重合液を分取し、反応液を得た。ガスクロマトグラフィーによる測定で該反応液は重合転化率が42質量%であった。
【0096】
続いて、反応混合物を連続的に反応器から抜き出し、ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で更に、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.003質量%を添加し135℃に制御された5L完全混合型反応器に連続的に供給し重合を行った。反応域での平均滞留時間を90分として重合を実施した。採取管より重合液を分取し、反応液を得た。ガスクロマトグラフィーによる測定で該反応液は重合転化率が72質量%であった。
【0097】
続いて、反応混合物を連続的に反応器から抜き出し、ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で更に、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.02質量%を添加し、管型反応器の内壁温度135℃としたノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器(プラグフロー型反応器)に供給した。平均滞留時間は45分であった。また、内圧は0.7MPaとした。重合率は81%であった。
【0098】
続いて、反応混合物を連続的に反応器から抜き出し、管型反応器の内壁温度140℃としたノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器(プラグフロー型反応器)に供給した。平均滞留時間は50分であった。また、内圧は0.7MPaとした。重合率は89%であった。
【0099】
次に反応混合物を230℃で、この管型反応器から連続的に二軸押出機へ供給して、260℃で未反応モノマーを主成分とする揮発分を分離除去し、メタクリル酸メチル単位97質量%,アクリル酸メチル単位3%からなるメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックス96質量部に、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)4質量部が分散してなるペレット状メタクリル系樹脂組成物が得られた。
得られたペレットから板状成形品を射出成形し、上記した方法で評価した。評価結果を表2に示す。透過型電子顕微鏡写真観察ではゴム粒子中に分散している全島相面積がゴム粒子面積の30%以上占めているゴム粒子が全ゴム粒子の30質量%以上であった。
さらに、型締め力450トンの高速射出成形機により射出成形して、対角長15.4インチ、入射端面厚み1.5mmで出射面および反出射面に微細なプリズム形の光散乱パターンを有する楔形断面導光体を得た。
【0100】
《実施例2〜3、比較例1》
実施例1において、星型ブロック共重合体(B’−1)を変える事以外は、実施例1と同じ方法によってペレット状メタクリル系樹脂組成物を得た。得られたペレット状のメタクリル系樹脂組成物が得られ、その残存揮発分は0.1質量%であった。得られたペレットから板状成形品および導光体を射出成形し、上記した方法で評価した。評価結果を表2に示す。得られたペレットはゴム粒子中に分散している全島相面積がゴム粒子面積の30%以上占めているゴム粒子が全ゴム粒子の30質量%以上であった。
【0101】
《比較例2》(コアシェル型重合体粒子)
スチレン−アクリル酸n−ブチル ランダム共重合体ゴム40質量%を含有するコアシェル型重合体粒子30質量部と実施例1と同様のメタクリル系樹脂(A)70質量部とからなる組成物のペレットを射出成形し、上記した方法で評価した。評価結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2の結果から、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散してなる樹脂組成物からなる導光体(実施例1〜3)は、比較例1〜2に比べ、透明性、表面硬度、耐熱性、剛性、耐衝撃性に優れることがわかる

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)からなるマトリックスに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)が分散してなり、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対しブロック共重合体(B)が1〜80質量部であるメタクリル系樹脂組成物からなる導光体。
【請求項2】
ブロック共重合体(B)が、複数の腕重合体ブロックから構成される星型ブロック共重合体(B’)であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
[星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]
を満たすものである請求項1に記載の導光体。
【請求項3】
星型ブロック共重合体(B’)が、化学構造式:
(重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)−)
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものである請求項2に記載の導光体。
【請求項4】
ブロック共重合体(B)が、アクリル酸アルキルエステル単位からなりガラス転移温度が23℃以下である重合体ブロック(a)30〜65質量%と、共役ジエン化合物単位からなりガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(b)35〜70質量%とを有し、屈折率が1.48〜1.50である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導光体。

【公開番号】特開2009−244873(P2009−244873A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57459(P2009−57459)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】