説明

メタロ−ベータ−ラクタマーゼの検出に使用されるプライマー

ある種のベータ−ラクタマーゼに典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドを提供する。これらのプライマーは、試料中、特に、グラム陰性菌の臨床分離体中のファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸を同定するための方法に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体として本明細書中に援用される、2006年5月25日に出願された米国仮特許出願第60/808,441号に対する利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
ベータ−ラクム抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、及びカルバペネム)の使用及び過剰使用の不穏な結果は、新規なベータ−ラクタマーゼの開発及び普及となってきた。ベータ−ラクタマーゼは、抗生物質を不活性化するために、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、及び関連した化合物のベータ−ラクタム環を開環する酵素である。ベータ−ラクタマーゼの産生は、グラム陰性菌の中でベータ−ラクタム抗生物質への耐性の重要なメカニズムである。
【0003】
幅広い範囲のセファロスポリンは、伝統的な広範囲のベータ−ラクタマーゼ、例えばTEM−1、2、及びSHV−1による分解に耐性となるように特異的に設計されてきた。幅広い範囲のセファロスポリンに対する微生物耐性は、幅広い範囲のベータ−ラクタマーゼ(ESBL)と呼ばれる伝統的なベータ−ラクタマーゼの変異形態の産生であった。ESBLを産生するEnterobacteriaceaeは、最初に、1983年及び1984年に欧州で報告されたが、ESBLは、現在、南極を除く万国で患者から回収した多様な属の起源で見出されている。ESBLを産生する微生物の出現は、欧州により普及したいくつかの型(TEM−3)、米国において普及した他の型(TEM−10、TEM−12及びTEM−26)と共に幅広く変化し、他のものは世界中で見られる(SHV−2及びSHV−5)。これらの酵素は、新規なセファロスポリン及びアズトレオナムを加水分解することができる。生化学及び分子技術を用いた試験により、多くのESBLは、伝統的なTEM−1、TEM−2又はSHV−1ベータ−ラクタマーゼの誘導体であり、いくつかは1以上の酸置換基によって親酵素とは異なっていることが指示されている。
【0004】
さらに、カルバペネムを加水分解するベータ−ラクタマーゼは、ペニシリン相互作用タンパク質のレパートリーにおいてごく最近掲載されたベータ−ラクタマーゼのいくつかである。これらの酵素は、選択的にカルバペネムを加水分解することによって、最大限広範囲の抗菌活性を有する−ラクタム種であるカルバペネムに対する耐性を与えることに関与する(Rasmussen et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,47(2):223−232(Feb.1997))。分子レベルでは、これらの酵素は、活性部位にセリンを有するベータ−ラクタマーゼのA類群又は唯一同定されたメタロ−ベータ−ラクタマーゼを表すB類酵素に属し得る(Ambler,Philos.Trans.R.Soc.London Biol.,289:321−331(1980))。
【0005】
メタロ−ベータ−ラクタマーゼは、アズトレオナムを除いて、大部分のベータ−ラクタムを加水分解する。したがって、高レベルでこれらの酵素を産生する多くの病原体は、オキシイミノセファロスポリン及びカルバペネムを含む大多数のベータ−ラクタム抗生物質に耐性である。メタロ−ベータ−ラクタマーゼは、セリンベータ−ラクタマーゼと比較して独特であり、それは、これらの酵素が基質の加水分解に金属イオン亜鉛を必要とするからである(Cricco et al.,Current Pharm.Design,5:915−927(1999))。
【0006】
組み込まれたメタロ−ベータ−ラクタマーゼの最初の報告には、1988年に日本特許から得られたPseudomonas aeruginosa分離体が記載されていた(Watanabe et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,35:147−151(1991))。それ以来、メタロ−ベータ−ラクタマーゼをコードする可動遺伝因子の出現が、世界中に分布した多くの種類のグラム陰性菌(例えば、Serratia marcescens、E.coli、Klebsiella pneumoniae、及びAcinetobacter spp.)を含むようにP.aeruginosaを超えて拡張してきた(Walsh et al.,Clin.Microbiol.Rev.,75:306−325(2005))。これらの種類の分離体を報告した領域には、アジア及び欧州のいくつかの国;ブラジル、カナダ、米国を含むアメリカ;及びオーストラリアが含まれる(Walsh et al.,Clin.Microbiol.Rev.,75:306−325(2005))。例えば、P.aeruginosaによるメタロ−ベータ−ラクタマーゼの獲得がこの病原体によって引き起こされる感染に対する治療の少ない利用可能な意見を減少させるために、これらのデータは妨害された。さらに、メタロ−ベータ−ラクタマーゼが発現される遺伝因子の可動性は、他のグラム陰性病原体に広がるこの耐性機構の可能性を増加させる(Walsh et al.,Clin.Microbiol.Rev.,75:306−325(2005))。
【0007】
ベータ−ラクタマーゼをコードする遺伝子は、多くの場合、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、トリメトプリム、及びクロラムフェニコールを含む他の抗生物質類に耐性な遺伝子も含む大型プラスミドに配置されることが特に関心がある。さらに、複数のメタロ−ベータ−ラクタマーゼを産生する、病原体に対する傾向が高まっている。これらの開発物は、広範囲なグラム陰性属全体で起こり、抗生物質に耐性なメカニズムの増加している複雑なレパートリーの共通のグラム陰性病原体それ自体が有用である最近の進化的発生を示す。臨床的には、これは、感染した患者に対する効果的な治療を同定することの困難さを増加させる。
【0008】
したがって、例えば、臨床分離体又は試料に存在する可能性があるベータ−ラクタマーゼのタイプを迅速かつ正確に同定し得る技術が必要である。これは、細菌感染を治療するのに必要な抗生物質の選択において重要な意味合いを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ある種のベータ−ラクタマーゼ酵素(典型的には、コードする遺伝子)に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの使用に関する。より具体的には、本発明は、試料、特にグラム陰性菌の臨床分離体中のファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼ核酸(典型的には、遺伝子)を同定するためのプライマーを使用する。本発明の特定のプライマーは、配列番号1〜10に記載されるプライマー配列を含む。本明細書中で使用するとき、ベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸は、遺伝子又はその一部を含む。「遺伝子」とは、本明細書中で使用するとき、ペプチド(例えば、ポリペプチド及び/又はタンパク質)の産生に関与する核酸(例えば、DNA分子)のセグメント又は断片である。遺伝子は、コーディング領域(即ち、調節要素)並びに個々のコーディングセグメント(エクソン)間に介在している配列(イントロン、例えば、非コーディング領域)に先行する(上流)及び続く(下流)領域を含むことができる。用語「コーディング領域」とは、本明細書においては幅広く使用され、RNAに転写され得る領域を意味し、転写されたRNAは、必ずしも必要ではないが、さらに、プロセッシングされたmRNAを生じ得る。
【0010】
さらに、臨床試料に存在するベータ−ラクタマーゼを同定する方法が提供される。好ましくは、用意される臨床試料は、ベータ−ラクタム抗生物質に耐性を有するグラム陰性菌として特徴付けられる。この方法は、オリゴヌクレオチドプライマーの対を用意すること(ここで、この対の1つのプライマーはセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーはアンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の異なる部分に相補的である);前記プライマーをベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせること;同時に、各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを伸長して、各プライマーにアニーリングされた鎖に相補的な伸長産物を合成すること(ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は各対の他のプライマーに対する伸長産物の合成用の鋳型として利用する);増幅産物を分離すること;及び、ベータ−ラクタマーゼ遺伝子のタイプに典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析することを含む。
【0011】
上述される方法は、メタロ−ベータ−ラクタマーゼのIMPファミリー、及びメタロ−ベータ−ラクタマーゼのVIMファミリーの核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーを使用することができる。使用され得るプライマーには、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、E.coli、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter spp.、Enterobacter cloacae、Citrobacter freundii、Morganella morganii、Hafnia alvei又は外来DNAを受け入れることができる任意の他のグラム陰性微生物由来のメタロ−ベータ−ラクタマーゼの核酸に特異的であるものが含まれる。
【0012】
本発明における使用に適切なオリゴヌクレオチドプライマーには、IMP−ファミリー、例えば、IMP−1、IMP−2、IMP−4、IMP−5、IMP−6、IMP−7、IMP−8、IMP−9、IMP−10、IMP−11、IMP−13、IMP−18、IMP−19、及びIMP−21と指定されるもののメタロ−ベータ−ラクタマーゼの核酸に特異的であるプライマーが含まれる。本発明における使用に適切な他のオリゴヌクレオチドプライマーは、メタロ−ベータ−ラクタマーゼのVIMファミリーの核酸に特異的であるプライマーが含まれる。現在、メタロ−ベータ−ラクタマーゼのVIMファミリーは、非常に関連付けられ、VIM型メタロ−ベータ−ラクタマーゼに特異的である本発明のプライマーは、全部ではないが、殆どのVIM遺伝子を同定すると考えられている。当該技術分野において、現在知られているVIM−ファミリーベータ−ラクタマーゼは、VIM−1〜VIM−10、VIM−11A、及びVIM−11Bとして指定されたものを含む。
【0013】
本発明は、さらに、試料中のベータ−ラクタマーゼ、例えばメタロ−ベータ−ラクタマーゼを検出及び/又は同定するための診断キットに関する。この検出及び/又は同定は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実行されてもよい。このようなキットは、対象とするベータ−ラクタマーゼ核酸、例えばベータ−ラクタマーゼのIMPファミリー及びベータ−ラクタマーゼのVIMファミリーにハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプライマー;正及び負の対照、及び対象とするベータ−ラクタマーゼ核酸を同定するためのプロトコールを包装し、含み、別々に包装されたものを含んでもよい。プライマー(複数)は、配列番号1〜10からなる群から選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のプライマーを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、試料(例えば、グラム陰性菌の臨床分離体)中のファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼ核酸(例えば、それをコードする遺伝子の少なくともあるセグメント)に特徴的である核酸の検出に関する。具体的には、本発明は、独特のプライマー及びポリメラーゼ連鎖反応を用いてベータ−ラクタマーゼ核酸(好ましくは、遺伝子又は遺伝子の少なくともあるセグメント)の検出に関する。本発明のプライマー及び方法を用いて、例えば、IMPファミリー及びVIMファミリーに属するメタロ−ベータ−ラクタマーゼが同定され得る。
【0016】
本発明のプライマー及び方法は、種々の目的、例えば、外来DNAを受け入れることができる任意のグラム陰性微生物の中で、カルバペネムに加えて、第3世代のセファロスポリンに対する耐性に関与した初代ベータ−ラクタマーゼ(単数又は複数)の同定に有用である。このようなグラム陰性菌には、限定されないが、Pseudomonas aeruginosa(Walsh et al.,Clin.Microbiol.Reviews,18(2):306−325(2005);Patrice et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,37(5):962−969(1993));並びにEscherichia coli及びKlebsiella pneumoniae(Thomson et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,36(9):1877−1882(1992))が含まれる。ベータ−ラクタマーゼの他の供給源には、例えば、広範囲のEnterobacter spp.、Citrobacter freundii、Morganella morganii、Providencia spp.、及びSerratia marcescens(Jones,Diag.Microbiol.Infect.Disease.,31(3):461−466(1998))が含まれる。追加のベータ−ラクタマーゼ遺伝子供給源には、Proteus mirabilis(Bret et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,42(5):1110−1114(1998));Yersinia enterocolitica(Barnaud et al.,FEMS Microbiol.Letters,148(1):15−20(1997));及びKlebsiella oxytoca(Marchese et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,42(2):464−467(1998))が挙げられる。
【0017】
本発明の方法は、新規なプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応による配列増幅法(PCR)の使用を伴う。米国特許第4,683,195号(Mullisら)には、核酸の増幅、検出、及び/又はクローニングのためのプロセスが記載されている。好ましくは、この増幅法は、モル過剰のオリゴヌクレオチドプライマー対を用いて、細菌、特にグラム陰性菌から対象とする核酸(典型的には、DNA)を含む試料の処置に関し、対象とする核酸を含む試料を加熱し、2つの一本鎖の相補性核酸鎖を得ること、これらの核酸鎖を含む試料にプライマーを添加すること、ハイブリダイゼーションを可能にする適切な温度条件下で特定の鎖に各プライマーをアニーリングさせること、各プライマーを伸長するために、モル過剰のヌクレオチド三リン酸及びポリメラーゼを与えて、所望の核酸の増幅に用いることができる相補的な伸長産物を形成すること、増幅した核酸を検出すること、及び、対象とする特異的なベータ−ラクタマーゼに特徴的であるサイズ特異的なアンプリコン(下記に示される)に対する増幅した核酸を分析することを含む。加熱、アニーリング、及び合成のこのプロセスは、何回も繰り返され、各サイクルに伴って、所望の核酸が大量に増加する。短期間に、容易に精製及び同定され得る特異的な核酸、例えばDNA分子を得ることができる。
【0018】
オリゴヌクレオチドプライマーには、核酸のセンス鎖の少なくとも一部に実質的に相補的である1つのプライマー、及び核酸のアンチセンス鎖の少なくとも一部に実質的に相補的である1つのプライマーが含まれる。本明細書中で使用するとき、実質的に相補的であるとは、1以上のヌクレオチド塩基の変化が標的核酸にハイブリダイズするそれらの能力に影響を及ぼさないプライマーを指す。伸長産物を形成するプロセスは、好ましくは、各プライマーの3’末端からのアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーがアニーリングされている核酸鎖に相補的である伸長産物を合成することを伴い、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、他のプライマーに相補的な配列を含む。増幅産物は、好ましくは、ゲル電気泳動を用いたサイズ分画によって検出される。この方法の変形は、米国特許第4,683,195号(Saikiら)に掲載されている。ポリメラーゼ連鎖反応による配列増幅法はまた、Saiki et al.,Science,230,1350−1354(1985)及びSaiki et al.,Nature,324,163−166(1986)に掲載されている。
【0019】
「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書中で使用するとき、任意の長さのヌクレオチド、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの重合形態を指す。オリゴヌクレオチドなる用語は、特に、一次構造を指し、したがって、二本鎖及び一本鎖DNA分子、並びに二本鎖及び一本鎖RNA分子が含まれる。
【0020】
「プライマー」とは、本明細書中で使用するとき、対象とする核酸の少なくとも一部に相補的であるオリゴヌクレオチドであり、核酸へのハイブリダイゼーション後に、ポリメラーゼ連鎖反応に対して開始点として利用されてもよい。用語「プライマー」又は「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、本明細書中で使用するとき、さらに、対象とする核酸の少なくとも一部に高程度の核酸配列類似性を有するヌクレオチド配列を有するプライマーを指す。配列類似性の「高程度」とは、典型的には、少なくとも約80%の核酸配列類似性、好ましくは少なくとも約90%の核酸配列類似性を有するプライマーを指す。配列類似性は、例えば、GCG FastA(Genetics Computer Group,Madison,Wisconsin)、MacVector 4.5(Kodak/IBIソフトウェアパッケージ)又は当該技術分野において知られている他の適切なシークエンシングプログラム若しくは方法などの配列技術を用いて測定することができる。
【0021】
用語「相補体」及び「相補的」とは、本明細書中で使用するとき、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定の核酸分子にハイブリダイズすることができる核酸を意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、例えば、約50℃〜約65℃の温度、約1.5ミリモル濃度(mM)〜約2.0mMの塩化マグネシウム(MgCl)濃度が挙げられる。このようにして、特定のDNA分子は、典型的には、特定のDNA分子と核酸との間でハイブリダイゼーションが生じる場合、核酸に相補的である。ある種の条件下では、ハイブリダイゼーションは、DNA分子及び核酸が完全には相補的ではないが、1以上の位置でミスマッチがある場合でさえも生じる場合がある。特定のDNA分子が核酸分子の全長にハイブリダイズする場合、特定のDNA分子は、典型的には、「全長の相補体」である。「相補的」とは、さらに、二本鎖の核酸分子において結合する水素を介して結合するプリン及びピリミジンの能力を指す。下記の塩基対は相補的である:グアニンとシトシン;アデニンとチミン;アデニンとウラシル。
【0022】
本明細書中で使用するとき、用語「増幅された分子」、「増幅された断片」、及び「アンプリコン」とは、核酸及びその相補配列の少なくとも一部のコピーである核酸分子(典型的には、DNA)を指す。このコピーは、核酸配列において、元々の分子及びその相補配列に対応する。アンプリコンは、広範囲な方法によって検出及び分析され得る。これらには、例えば、ゲル電気泳動、一本鎖DNA 高次構造多型(single strand conformational polymorphism:SSCP)、制限断片長多型(restriction fragment length polymorphism:RFLP)、キャピラリーゾーン電気泳動(capillary zone electrophoresis:CZE)などが含まれる。好ましくは、アンプリコンは、当業者に知られている技術に従って、ゲル電気泳動及び適切な大きさにしたマーカーを用いて検出することができ、したがって、ベータ−ラクタマーゼのタイプが同定される。
【0023】
プライマーは、合成又は天然に生じるオリゴヌクレオチドであり、対象とするベータ−ラクタマーゼを含むDNA分子の領域に相補的である産物の合成を開始する点として作用し得る。プライマーには、ストリンジェントな条件下で、所定のベータ−ラクタマーゼの核酸分子の少なくとも1つの鎖の少なくとも一部にハイブリダイズすることができるヌクレオチドが含まれる。好ましくは、本発明のプライマーは、典型的には、少なくとも約12ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約15ヌクレオチドを有する。好ましくは、プライマーは、約35未満のヌクレオチド、より好ましくは約25未満のヌクレオチドを有する。プライマーは、約50〜1300塩基対のプライムされた産物を選択的に生じるように選択される。
【0024】
場合により、本発明に従って使用されるプライマーは、標識成分を含む。この標識成分は、同位体標識、蛍光標識、ポリペプチド標識、及び色素放出化合物から選択され得る。標識成分は、典型的には、結合した標識を有するヌクレオチドを含むことによって、プライマーに取り込まれる。同位体標識には、好ましくは、ベータ、ガンマ又はアルファ放射体である化合物が含まれ、より好ましくは、同位体標識は、32P、35S、及び125Iの群から選択される。蛍光標識は、典型的には、高から低への電子状態を通過する際の可視線を発光する色素化合物であり、この場合、エネルギーの吸収及び発光の時間間隔は、相対的に短く、一般に、約10−8〜約10−3秒のオーダーである。利用可能な適切な蛍光化合物には、例えば、フルオロセイン及びローダミンが含まれる。本発明に従って利用可能な適切なポリペプチド標識には、抗原(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニンなど)、及び酵素(例えば、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ)が含まれる。色素放出化合物は、典型的には、ケミルミネッセンスシステムの成分の化学反応に起因して、吸収されたエネルギーの発光(典型的には、光)として定義されるケミルミネッセンスシステムが含まれ、光が酸素に関与する化学反応によって生じるオキシルミネッセンスが挙げられる。
【0025】
ある種のベータ−ラクタマーゼに特異的であるこれらのプライマーの好ましい例は次のとおりであり、プライマーの記号表示の「F」は5’上流プライマーを指し、「R」は3’下流プライマーを指す。好ましいプライマーとして下記に列挙される1を超える上流プライマー及び1を超える下流プライマーを有するベータ−ラクタマーゼについては、種々の組合せを用いることができる。典型的には、本発明のプライマーを利用するハイブリダイゼーション条件には、例えば、約40℃〜約68℃のハイブリダイゼーション温度、約1.5mM〜約2.0mMのMgCl濃度が挙げられる。より低いか又はより高い温度、及びより高濃度のMgClを用いることができるが、これは、プライマーの特異性を下げる結果となる場合がある。
【0026】
下記のプライマーは、IMP−ファミリー及びVIM−ファミリー、即ち、IMP−型及びVIM−型のベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的である(図1)。ベータ−ラクタマーゼの「型」は、ある意味ではベータ−ラクタマーゼの別の「型」とは異なってもよいことが理解される。しかしながら、いずれかのこのような相違にも関わらずに、ベータ−ラクタマーゼの両方の「型」は、典型的には、同じプライマーを用いて同定される。例えば、VIM−11A(VIM−11−型ベータ−ラクタマーゼ)は、VIM−11B(別のVIM−11−型ベータ−ラクタマーゼ)とは1個の変異により相違するが、VIM−11Aベータ−ラクタマーゼに典型的な核酸に特異的であるプライマーはまた、VIM−11Bベータ−ラクタマーゼに典型的な核酸に特異的であるプライマーであってもよい(例えば、VIM−型ベータ−ラクタマーゼVIM−11Aを同定するプライマーはまたVIM−型ベータ−ラクタマーゼVIM−11Bを同定する)。
【0027】
下記のプライマーは、IMP−1−型、IMP−4−型、IMP−5−型、IMP−6−型、IMP−7−型、IMP−9−型、IMP−10−型、及びIMP−18−型のベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的である。
プライマー名:IMP−1F
プライマー配列:5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1)
プライマー名:IMP−1R
プライマー配列:5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2)
【0028】
IMP−1−型、IMP−4−型、IMP−5−型、IMP−6−型、IMP−7−型、IMP−9−型、IMP−10−型、及び/又はIMP−18−型のベータ−ラクタマーゼのいずれかを含むことが知られている試料に配列番号1及び配列番号2のプライマー配列を含むプライマー対を使用すると、典型的には、328塩基対のサイズ特異的なアンプリコンが得られる。
【0029】
下記のプライマーは、IMP−9−型、IMP−11−型、及びIMP−21−型のベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的である。
プライマー名:IMP911F
プライマー配列:5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3)
プライマー名:IMP911R
プライマー配列:5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4)
【0030】
IMP−9−型、IMP−11−型、及び/又はIMP−21−型のベータ−ラクタマーゼのいずれかを含むことが知られている試料に配列番号3及び配列番号4のプライマー配列を含むプライマー対を使用すると、典型的には、403塩基対のサイズ特異的なアンプリコンが見出される。
【0031】
下記のプライマーは、IMP−2−型、IMP−8−型、IMP−13−型、及びIMP−19−型のベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的である。
プライマー名:IMP2813F
プライマー配列:5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5)
プライマー名:IMP2813R
プライマー配列:5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6)
【0032】
IMP−2−型、IMP−8−型、IMP−13−型、及び/又はIMP−19−型のベータ−ラクタマーゼのいずれかを含むことが知られている試料に配列番号5及び配列番号6のプライマー配列を含むプライマー対を使用すると、典型的には、220塩基対のサイズ特異的なアンプリコンが得られる。
【0033】
下記のプライマーは、IMP−18−型のベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的である。
プライマー名:IMP18SEQF
プライマー配列:5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7)
プライマー名:IMP18SWQR
プライマー配列:5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8)
【0034】
IMP−18−型のベータ−ラクタマーゼのいずれかを含むことが知られている試料に配列番号7及び配列番号8のプライマー配列を含むプライマー対を使用すると、典型的には、364塩基対のサイズ特異的なアンプリコンが見出される。
【0035】
上記プライマー(配列番号1〜配列番号8)は、現在知られている大部分(例えば、少なくとも約83%)のIMP遺伝子を同定するものと考えられている。
【0036】
下記のプライマーは、ベータ−ラクタマーゼ酵素のVIMファミリーに典型的な核酸に特異的である。
プライマー名:VIM1F
プライマー配列:5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9)
プライマー名:VIM1R
プライマー配列:5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10)
【0037】
VIM−型のベータ−ラクタマーゼのいずれかを含むことが知られている試料に配列番号9及び配列番号10のプライマー配列を含むプライマー対を使用すると、典型的には、504塩基対のサイズ特異的なアンプリコンが見出される。
【0038】
上記で記載される種々の他のプライマー又はそれらのプライマーの変異体はまた、本発明の方法に従って調製され、使用され得る。例えば、代替のプライマーは、高G/C含量(即ち、グアニン及びシトシン残基の割合)を有する領域を含むことが知られているか又は疑われる標的化されたベータ−ラクタマーゼに基づいて設計することができる。本明細書中で使用するとき、標的核酸中の「高G/C含量」は、典型的には、約60%〜約90%のグアニン及びシトシン残基の割合を有する領域が含まれる。したがって、調製したプライマーの変化は、例えば、プライマーのハイブリダイゼーション温度又はアニーリング温度、使用されるプライマーのサイズ、同定されるべき特異的な耐性遺伝子又は核酸の配列を変更する。よって、プライマー又はプライマー対のG/C含量の操作、例えば、増加又は減少は、本方法の検出感度を増加させるのに役立つ場合がある。
【0039】
さらに、試料中の疑われる核酸に依存して、サイズを変更する本発明のプライマーが調製され得る。典型的には、本発明のプライマーは、長さにして約12ヌクレオチド〜約35ヌクレオチド、好ましくは長さにして約15ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドである。本発明のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において知られている技術によって容易に合成することができる(例えば、Crea et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.),75:5765(1978)を参照されたい)。
【0040】
一度プライマーが設計されると、それらの特異性は、下記の方法を用いて試験することができる。臨床対象の標的核酸に依存して、核酸鋳型は、耐性遺伝子を発現するか又は含むことが知られている細菌性対照株から調製される。この対照株は、本明細書中で使用するとき、「正の対照」核酸(典型的には、DNA)を指す。さらに、「負の対照」核酸(典型的には、DNA)は、対象とする標的遺伝子以外の耐性遺伝子を発現することが知られている1以上の細菌株から単離することができる。ポリメラーゼ連鎖反応を用いると、設計されたプライマーは、上述される検出方法において用いられ、正及び負の対照試料、及び対象とする耐性遺伝子を含むことが疑われる少なくとも1つの試験試料において用いられる。正及び負の対照は、効果的及び定性的な(又は、極めて定量的な)手段を提供し、それにより、試験臨床試料の対象とする遺伝子の有無を検証する。低い割合のプライマー対を用いた場合には、他のベータ−ラクタマーゼ遺伝子との可能な交差反応性が観察される場合があることは承知すべきである。しかしながら、任意の交差反応性の増幅産物のサイズ及び/又は強度は、非常に異なり、したがって、負の結果として容易に評価及び破棄され得る。
【0041】
本発明はまた、例えばPCR分析によってファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼ酵素を同定するためのキットに関する。本発明のキットは、典型的には、対象とするベータ−ラクタマーゼに特異的な1以上のプライマー対、1以上の正の対照、1以上の負の対照、及びポリメラーゼ連鎖反応を用いて対象とするベータ−ラクタマーゼを同定するためのプロトコールを含む。負の対照には、対象とするベータ−ラクタマーゼ以外の耐性ベータ−ラクタマーゼをコードする核酸(典型的には、DNA)分子が含まれる。負の対照核酸は、裸の核酸(典型的には、DNA)分子であるか又は細菌細胞に挿入されていてもよい。好ましくは、負の対照核酸は、二本鎖とされる;しかしながら、一本鎖にした核酸を使用してもよい。正の対照は、対象とするベータ−ラクタマーゼのファミリー由来のベータ−ラクタマーゼをコードする核酸(典型的には、DNA)を含む。正の対象核酸は、裸の核酸分子であるか又は例えば細菌細胞に挿入されてもよい。好ましくは、正の対象核酸は、二本鎖とされる;しかしながら、一本鎖にした核酸を使用してもよい。典型的には、核酸は、細菌の溶解物から得られる。
【0042】
したがって、本発明は、一般的な利用性を有するであろうファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼを特徴付け及び同定のためのキットを提供する。好ましくは、このキットには、ポリメラーゼ(典型的には、DNAポリメラーゼ)酵素、例えばTaqポリメラーゼなどが含まれる。本発明のキットはまた、好ましくは、ベータ−ラクタマーゼ遺伝子又はその遺伝子の隣接領域に特異的な少なくとも1つのプライマー対を含む。ポリメラーゼ酵素と適合可能なバッファーシステムも含まれ、当該技術分野において周知である。場合により、少なくとも1つのプライマー対は、標識された成分、蛍光標識、ポリペプチド標識、及び色素放出化合物を含んでもよい。キットは、反応容器などの、例えばPCR分析に必要な1以上の更なる手段に加えて、さらに、少なくとも1つの内部試料対照を含むことができる。必要に応じて、細菌試料由来の核酸は単離され得て、次に、本発明の提供されたプライマーセットを用いてPCR分析に供されてもよい。
【0043】
別の態様では、臨床試料、特にグラム陰性菌を含む臨床試料中のファミリー特異的なベータ−ラクタマーゼ酵素は、「マイクロチップ」検出法において本明細書に記載されたプライマーによって検出可能である。マイクロチップ検出法では、臨床試料に含まれる複数のベータ−ラクタマーゼの核酸、例えば遺伝子、ヒト介入のための最小要件を用いて検出可能である。マイクロエレクトロニクス産業から借用した技術は、特に、これらの末端に適している。例えば、マイクロマシーン及びホトリソグラフィー手法は、1つのチップ基材上で複数の並行した微視的規模の成分を生成することができる。材料を大量生産することができ、再現性は優れている。微視的規模のサイズは、材料の必要性を最小にする。したがって、ヒトの操作は、微視的規模で複数の本発明のプライマーを固相化することができるマイクロチップ型表面を設計することによって最小化することができる。
【0044】
マイクロチップ検出法は、一般に、大規模のハイブリダイゼーションなどの様々な応用に用いることができる、例えば、表面、典型的にはガラス上のオリゴヌクレオチドの高密度のアレイの形成を含む(Roth et al.,Annu.Rev.Biomed.Eng.,1:265−297(1999))。この方法を用いて、表面上で直接的に合成若しくはプリントする、標的としての2つのタイプの核酸を用いる応用、又は一本鎖にしたcDNAの共有若しくは非共有結合が知られている。
【0045】
マイクロチップ検出の方法の1つによれば、短鎖オリゴヌクレオチドのアレイは、固相化学合成において一般に知られている方法を用いて、表面上で直接的に合成することができる。これは、一般に、大部分のアレイをマスクし、マスクされていない部分を活性化し、アレイの活性化したセグメントの5’−ヒドロキシ基へのカップリングを生成するためのホスホルアミダイトを添加するか又はインクジェットプリンティング技術を用いて表面上でアレイを直接プリントすることによって達成される。
【0046】
あるいは、cDNAアレイなどのより長い配列の生成に関しては、表面に分子を接着させるためのスポッティング法を用いることができる。この方法では、例えば、配列は、クローンから作られ、精製され、場合により増幅される。次に、これらの配列は、ポリリジンで表面を被覆することによって、又は陽イオン性にするためにアミノシランで化学的に処理することによってガラス表面に非共有結合させる。この方法による配列の接着は、一般に、非特異的であり、分子によって複数の接着部位を伴ってもよい。表面への配列の接着について知られている更なる方法は、非対象PCRによって生成されたアミノ修飾されたcDNAを水素化ホウ素ナトリウムを用いてシリル化ガラスに共有結合させることである(Roth et al.,Annu.Rev.Biomed.Eng.,1:265−297(1999))。
【0047】
したがって、本発明の目的は、パラレルスクリーニング法を提供することであり、この場合、複数の連続反応は、複数のパラレル試料ウェルに検出されるべき複数の核酸鎖のそれぞれに対する1つの反応ウェル内で自動的に個別に行われる。これらの連続反応は、このデバイスの複数の各パラレルのレーン内で同時稼働において行われる。「パラレル」とは、本明細書中で使用するとき、作用が同一なウェルを意味する。「同時」とは、1つの予めプログラムされた稼働を意味する。同じ装置内で自動的に実行される複数の反応は、試料操作及び労務を最小にする。
【0048】
このようにして、本発明は、マイクロチップ上の反応チャンバーである複数の反応ウェルを提供し、各反応ウェルは、個別化され各各アレイを含み、提供される基材、反応条件及びそのウェルでの反応の順番によって独自に特定されるベータ−ラクタマーゼ遺伝子を検出するために用いられる。したがって、このチップは、臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ遺伝子を同定するための方法として用いることができる。
【0049】
本方法の目的及び利点は、下記の実施例によってさらに例証されるが、これらの実施例に引用された特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するために構成されるべきではない。
【実施例】
【0050】
Pseudomonas aeruginosa分離体由来のIMP−18メタロ−ベータ−ラクタマーゼの同定
最近の報告に基づいて、インテグロンに挿入された可動遺伝子カセットで実行される取り込まれたメタロ−ベータ−ラクタマーゼの2つの主要なファミリーがある(Walsh et al.,Clin.Microbiol.Rev.,18:306−325(2005))。本明細書中に開示されたものを含み、IMPメタロ−ベータ−ラクタマーゼの18変異体、及びVIMメタロ−ベータ−ラクタマーゼの11変異体があり、(Watanabe et al.,Antimicrob.Agents Chemother.,35:147−151(1991))、これには、VIM−2(Lolans et ah,Antimicrob.Agents Chemother.,49:3538−3540(2005))及びVIM7(Toleman et ah,Antimicrob.Agents Chemother.,48:329−332(2004))を同定している、米国からのメタロ−ベータ−ラクタマーゼに関する2つの公開された報告がある。
【0051】
この試験で調査されたカルバペネム耐性P.aeruginosa分離体は、米国南西でのオートバイ事故の犠牲者の気管吸引物から回収された。メタロ−ベータ−ラクタマーゼのIMPファミリーの新規なメンバーを生じることが分かった。
【0052】
この分離体は、Phoenixシステム(Becton Dickinson Diagnostic Systems,Sparks,MD)によって同定された。抗生物質の感受性は、製造業者の推奨に従って、Dade Behring MicroScan(Sacramento,CA)によって提供され、臨床研究所規格委員会(NCCLS)の基準(National Committee for Clinical Laboratory Standards,“Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing,”Fourteenth informational supplement 24,Wayne,PA(2004))に従って解釈された調査用の乾燥パネルを用いたブロス微量希釈法によって測定した。データを表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
メタロ−ベータ−ラクタマーゼ産生は、Etestメタロ−ベータ−ラクタマーゼストリップ(AB BIODISK,Solna,Swedern)を用いて表現型的に調査された。Etestによって、EDTAの存在下で、イミペネムのMICにおいて32倍以上の減少があった(≧256から8μg/ml)。
【0055】
blaIMP−1様遺伝子は、この遺伝子に隣接した遺伝子内部のIMP−1−ファミリー特異的プライマーを用いて、PlatinumTaq(HIFI)ポリメラーゼ(Perkin−Elmer,Roche Molecular Systems,Inc.,Branchburg,N.J.)を含むGene Amp DNA増幅キットにより、DNA Thermal Cycler480装置(Perkin−Elmer,Cetus,Norwalk,CN)で実行したPCR増幅によって検出された。反応混合物の組成物は下記の通りである:10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、2mM MgCl2、0.2mMの濃度の4種のデオキシヌクレオシド酸リン酸の各々、1.2ユニットのPlatinum Taq(HIFI)を総量49μlで含む。全量1μlの試料溶解物を反応混合物に添加し、この混合物を素早く遠心し、50μlの鉱油をその表面上で層にした。PCRプログラムは、96℃、15秒の最初の変性段階、次に、96℃、15秒のDNA変性の25サイクル、42℃、15秒のプライマーアニーリング、及び72℃、2分のプライマー伸長からなる。781塩基対の全長産物の増幅は、上述されるPCRによって得られた。フォワードプライマーは、5’−GTTAGAAAAGGAAAAGTATG−3’であり、リバースプライマーは、5’−TGCTGCAACGACTTGTTAG−3’であった。
【0056】
PCR産物は、少なくとも2つ別々の場合に生じ、ABI Prism 3100−Avant Geneticアナライザー(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、自動化されたサイクルシークエンシングによって配列決定された。配列整列及び分析は、BLASTプログラムを用いてオンラインで実行された(www.ncbi.nlm.nih.gov)。配列翻訳は、DNASIS分析プログラムを用いて行った(Hitachi Engineering Co.,San Francisco,CA)。この遺伝子に対するGenBank受入番号は、AY780674であり、この酵素は、IMP−18と称された。
【0057】
IMP−8及びIMP−14は、IMP−18に最も密接に関連したベータ−ラクタマーゼであった。IMP−18は、IMP−14とは、21個のアミノ酸で異なり、91%同一性を示し、一方、IMP−8は、29個のアミノ酸で異なり、88%の同一性を示した。したがって、IMP−18は、このファミリー群の異なる変異体を示す。
【0058】
本明細書中に引用された全ての特許、特許書類、刊行物、ATCC寄託書、電気的に利用可能なマテリアル(例えば、GenBankアミノ酸及びヌクレオチド配列提出物)などの完全な開示は、各々が個別に援用されているかのように全体として参照により援用される。本発明に対する様々な変更及び代替は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなしに、当業者に明確となる。本発明は、本明細書に記載された例示的な態様及び実施例によって過度に限定されることは意図されず、このような実施例及び態様は、続く、本明細書に記載された特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図された本発明の範囲を用いてのみ、一例として示されることが理解されるべきである。
【0059】
全ての表題は、読者の利便性のためにあり、そのように特定されなければ、表題に続くテキストの意味を限定するように使用されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択されるプライマー。
【請求項2】
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択されるプライマー。
【請求項3】
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択されるプライマー。
【請求項4】
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択されるプライマー。
【請求項5】
5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9);
5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択されるプライマー。
【請求項6】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料をIMP−1、IMP−4、IMP−5、IMP−6、IMP−7、IMP−10又はIMP−18ベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項7】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料を配列5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1)又はその全長の相補鎖、及び5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2)又はその全長の相補鎖と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項9】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
臨床試料をIMP−11又はIMP−21ベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項10】
プライマーが、
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
その全長の相補鎖
から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料を配列−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3)又はその全長の相補鎖、及び5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4)又はその全長の相補鎖を有するオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項12】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を容易し;
臨床試料をIMP−2、IMP−8、IMP−13又はIMP−19ベータ−ラクタマーゼ酵素によって典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項13】
プライマーが、
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を容易し;
臨床試料を配列5’−CACCACGAGAATAACC−3’(配列番号5)又はその全長の相補鎖、及び5’−GCCTTGAACTCGACCG−3’(配列番号6)又はその全長の相補鎖を有するオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項15】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を容易し;
該臨床試料をIMP−18ベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項16】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プライマーが、
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料を5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1)又はその全長の相補鎖;5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2)又はその全長の相補鎖5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7)又はその全長の相補鎖;及び5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8)又はその全長の相補鎖からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項20】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プライマーが、
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
それらの全長の相補鎖から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料をIMP−9ベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項23】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
プライマーが、
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料を5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1)又はその全長の相補鎖;5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2)又はその全長の相補鎖;5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3)又はその全長の相補鎖;5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4)又はその全長の相補鎖からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物の合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項27】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
プライマーが、
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料をベータ−ラクタマーゼ酵素のVIM−ファミリーに典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項30】
プライマーが、
5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9);
5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料を配列5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9)又はその全長の相補鎖、及び5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10)又はその全長の相補鎖を有するオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含む前記方法。
【請求項32】
臨床試料中のベータ−ラクタマーゼ核酸を同定する方法であって、
臨床試料を用意し;
該臨床試料をベータ−ラクタマーゼ酵素に典型的な核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーの対と接触させ、ここで、該対の1つのプライマーは、センス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり、各対のその他のプライマーは、アンチセンス鎖のベータ−ラクタマーゼ核酸の少なくとも一部に相補的であり;
該プライマー(複数)をベータ−ラクタマーゼ核酸にアニーリングさせ;
各プライマーの3’末端からアニーリングされたプライマーを同時に伸長して、各プライマーにアニーリングされた核酸鎖(複数)に相補的である伸長産物を合成し、ここで、ベータ−ラクタマーゼ核酸から分離後の各伸長産物は、各対のその他のプライマーのための伸長産物合成用の鋳型として用いられ;
増幅した産物を分離し;及び
ベータ−ラクタマーゼ核酸に典型的なサイズに対して分離した増幅産物を分析する
ことを含み、ここで、前記プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);
5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9);
5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10);及び
それらの全長の相補鎖
からなる群から選択される前記方法。
【請求項33】
IMPファミリーベータ−ラクタマーゼ核酸を検出するための診断キットであって、
(a)ベータ−ラクタマーゼ核酸にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプライマー対;
(b)少なくとも1つの正の対照及び少なくとも1つの負の対照;及び
(c)ベータ−ラクタマーゼ核酸を同定するためのプロトコール
を含む、ここで、プライマーは、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される前記診断キット。
【請求項34】
プライマーが、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項33に記載の診断キット。
【請求項35】
プライマーが、
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項33に記載の診断キット。
【請求項36】
プライマーが、
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項33に記載の診断キット。
【請求項37】
プライマーが、
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される、請求項33に記載の診断キット。
【請求項38】
VIMファミリーベータ−ラクタマーゼ核酸を検出するための診断キットであって、
(a)ベータ−ラクタマーゼ核酸にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプライマー対;
(b)少なくとも1つの正の対照及び少なくとも1つの負の対照;及び
(c)ベータ−ラクタマーゼ核酸を同定するためのプロトコール
を含み、ここで、プライマーは、
5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9);
5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される前記診断キット。
【請求項39】
メタロ−ベータ−ラクタマーゼ核酸を検出するための診断キットであって、
(a)ベータ−ラクタマーゼにハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプライマー対;
(b)少なくとも1つの正の対照及び少なくとも1つの負の対照;及び
(c)ベータ−ラクタマーゼ核酸を同定するためのプロトコール、ここで、プライマーは、
5’−GGAATAGAGTGGCTTAATTC−3’(配列番号1);
5’−CAACCAGTTTTGCCTTACC−3’(配列番号2);
5’−CCTCACATTTCCATAGCGAC−3’(配列番号3);
5’−GTAAGCTTCAAGAGCGACG−3’(配列番号4);
5’−CGAGAAGCTTGAAGAAGGT−3’(配列番号5);
5’−GCTGTCGCTATGGAAATGTG−3’(配列番号6);
5’−GGTGTAGTCACAAAACACGG−3’(配列番号7);
5’−CAGGTAACCAAACCACTACG−3’(配列番号8);
5’−GGTGTTTGGTCGCATATCGC−3’(配列番号9);
5’−CCATTCAGCCAGATCGGCATC−3’(配列番号10);及び
その全長の相補鎖
からなる群から選択される前記診断キット。

【図1】
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【公表番号】特表2009−538142(P2009−538142A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512185(P2009−512185)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/012629
【国際公開番号】WO2007/140004
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(506083040)クレイトン ユニバーシティ (6)
【Fターム(参考)】