説明

メタロセン触媒オレフィン−C3−C20−オレフィンコポリマーに基づく接触接着剤

メタロセン触媒重合により得られ、1〜100g/10分のMFI値を有する、エチレンおよび少なくとも1種のC〜C20オレフィンに基づく少なくとも1種のコポリマー10〜60重量%、少なくとも1種の粘着付与樹脂20〜70重量%、可塑剤0〜35%および安定剤、接着促進剤、充填剤または顔料から選択される添加剤および添加物質0.01〜20重量%、および/または他のポリマーを接着剤組成物として含有し、2〜150g/mの層厚を有する接触接着剤層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂および他の添加剤と併用可能なメタロセン触媒C/C−C20−オレフィンコポリマーに基づくポリマーから得られる接着剤組成物を含有する、接触接着剤層に関する。さらに、そのような接触接着剤層を製造するために適当な、メルト接着剤組成物を記載する。
【背景技術】
【0002】
メルト接着剤は、幅広い種類の物質の接着結合に適当であり、一般に既知である。欧州特許出願公開第0912646号には、エチレンと少なくとも1種のC〜C20−α−オレフィンモノマーとの、本質的に直鎖状のコポリマーから製造されるメルト接着剤が記載されている。国際公開第00/00565号にも、直鎖状エチレン−α−オレフィンコポリマーに基づいて合成されたメルト接着剤が記載されている。それらに記載される通常の追加成分は、例えば、粘着付与樹脂、ワックス、種々の他のポリマー、スチレンブロックコポリマー、可塑剤または他の添加剤である。紙およびボール紙材料の、溶融状態からの接着結合および接着テープとしての使用が、使用目的として記載されている。
【0003】
国際公開第2001/46277号にも、メタロセン触媒C−α−オレフィンポリマーが記載されており、種々の添加剤を配合して接着剤が得られる。これは、熱を用いて塗布でき、最終的な固化の前に別の基材に接着結合できる、従来のメルト接着剤である。接触接着剤としての用途は記載されていない。
【0004】
国際公開第2006/102150号には、特定のC−α−オレフィンコポリマーに基づく接着剤が記載されている。これらのコポリマーおよびそれらの合成は、例えば、国際公開第2005/090426号にも記載されている。メルト接着剤も、他の生成物に加えて記載されている。接触接着剤としての用途は、記載されていない。
【0005】
感圧接着剤も既知である。欧州特許出願公開第775177号にも、感圧接触接着剤としての水性分散体が記載され、この接着剤分散体は、ビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸およびエチレン性不飽和スルフェートまたはスルホネートに基づくコポリマーを含有する。フェノール性樹脂および熱可塑性フェノール−テルペン樹脂も、主要部に加えられる。そこに含有される溶媒成分および水は、接着剤層を生成するために、層コーティング物質を塗布後に、層から抜け出すことができる必要がある。
【0006】
さらに、欧州特許出願公開第0547507号が既知である。そこにも、コポリマーの分散体からなる水性接触接着剤が記載され、ここで、該コポリマーは、ビニルエステル、アクリレート、メタクリレートならびに追加のエチレン性不飽和および架橋成分からなる。この場合、接着剤層を生成するために、塗布した接着剤から水および他の可能な溶媒を除去することも必要である。
【0007】
天然ラテックスの分散体に基づく既知の接触接着剤も存在する。しかしながら、これらの天然ラテックス分散体は、経時安定性が低い。乾燥され、塗布された接着剤として、これらの接着剤は、黄色くなる傾向があることが知られている。紙基材への塗布において、このような天然ラテックス分散体の別の欠点は、これらの基材が、大抵、不純物を含有することである。特に、原材料のリサイクルにおいて、小量の重金属が存在する。天然ラテックス接着剤は、そのような不純物に敏感であり、塗布した接着剤層がかなりの変色を有し、視覚的にほとんど適当ではない。
【0008】
既知の感圧接着剤組成物によると、永続的な粘着性は、接触接着剤層の欠点である。そのため、接触接着剤の表面を、取り外し可能な保護フィルムで覆う必要がある。さらに、一部の接触接着剤は、接着結合の前に、加熱によって再活性化され得ることが知られている。しかしながら、これは、装置の相当な複雑さを必要とする。溶媒含有接着剤は、高い塗布速度を達成し難いという欠点を有する。第一に、存在する溶媒または水性原料はいずれも、接着剤層から蒸発させるか、または、基材中に浸透させねばならない。基材表面への悪影響もあり得る。
【0009】
既知のメルト接着剤は、良好な接着結合を与える。塗布のために、接着剤を溶解し、基材へ塗布し、接合させるが、いまだに液状である。冷却状態において、接着剤はもはや粘着性を有さないかまたは永続的に粘着性である。しかしながら、本発明において意味する接触接着は、表面に塗布された固体接着剤層の状態の接着剤であり、接合していない状態で保管できる接着剤を意味する。接着結合は、第2の基材に対して押し付けた後にのみ得られる。固体である表面へ、接着剤は層として塗布される。この条件において、接着剤層は、いずれの特性をも損失することなく貯蔵可能である。層は粘着性ではない。次いで、接着結合を構築するために、さらなる加熱なしに、第2の被覆された基材を接着剤層へ圧により適用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0912646号明細書
【特許文献2】国際公開第00/00565号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2001/46277号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/102150号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/090426号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第775177号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0547507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、感圧接着剤特性を有さない表面を有する接触接着剤層を提供することである。同様に被覆された表面と接触して、これらの表面は、軽い圧力下で接着結合する。別の目的は、溶媒を用いずに接着剤を薄層で塗布し、そのため、接着剤層の早くかつ環境に優しい製造を可能にすることである。本発明の別の目的は、接着剤層を提供することを含み、ここで、被覆された基材は、積み重ね可能であり、互いに接着結合しない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、メタロセン触媒重合により得られ、1〜100g/10分のMFI値を有する、エチレンおよび少なくとも1種のC〜C20オレフィンに基づく少なくとも1種のコポリマー10〜60重量%、少なくとも1種の粘着付与樹脂20〜70重量%、可塑剤0〜35重量%、安定剤、接着促進剤、充填剤または顔料、ワックスおよび/または他のポリマーから選択される添加剤および添加剤物質0.01〜20重量%を含有する接着剤組成物から製造される接触接着剤層により解決され、ここで、層厚は、2〜150g/mである。
【0013】
本発明の別の主題は、接触接着剤層を製造するためのメルト接着剤の使用である。接触接着剤は、室温に冷却した後に、表面で少しの感圧粘着性も有すべきではない。本発明の別の主題は、1つ以上の領域において、本発明の接触接着剤層で被覆された物品である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
エチレンおよび少なくとも1種のC〜C20オレフィンに基づくオレフィンコポリマーは、接着剤層の製造に適する接着剤の必須成分である。これらのポリオレフィンは、メタロセン触媒反応により製造される。エチレンまたはプロピレンに加えて使用できるモノマーとしては、エチレンまたはプロピレンと共重合可能な既知のオレフィン系不飽和モノマーが含まれる。これらは特に、α−オレフィンとしても既知の直鎖または分枝鎖C〜C20オレフィン、例えばブテン、ヘキセン、メチルペンテン、オクテン;周期的に不飽和の化合物、例えばノルボルネンまたはノルボルナジエン;対称的にまたは非対称的に置換されたエチレン誘導体、ここで、置換基としてC〜C12アルキル基が適当である;ならびに任意に不飽和のカルボン酸またはカルボン酸無水物である。これらは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーであってよく、他のモノマーを含有してもよい。コポリマーは、以下のようにも理解され、2種以上のモノマーのポリマーを含有する。α−オレフィンコモノマーの量は、好ましくは20%未満であるべきである。本発明の1つの態様は、エチレンに基づくコポリマーまたはターポリマーを、C〜C20オレフィンと共に使用することであり、それは溶融時において低い粘性を有する。
【0015】
別の態様は、エチレンおよびプロピレンに基づくコポリマーを含有する。それは、任意に少ない割合で追加のC〜C20オレフィンを含有することも可能であるが、好ましくは、他のモノマーを含有しない。これらは、メタロセン触媒により製造することもできる。プロピレンの量を、60重量%より多くすべきであり、プロピレンの割合を特に70重量%より多くする。他のα−オレフィンモノマーが、例え少ない割合であっても含まれるならば、その量は、5重量%未満にすべきである。これらコポリマーは、高い部分結晶性を有する。
【0016】
コポリマーの分子量は、通常、200,000g/mol未満であり、特に100,000g/mol未満であり、極めて好ましくは30,000g/mol未満である。下限は、2000g/mol、好ましくは3,000g/mol(GPCにより測定した数平均分子量)である。これらのコポリマーは、狭い分子量分布を有することを特徴とする。このようなポリマーは、文献において既知であり、種々の製造会社より市販され入手できる。
【0017】
適するコポリマーの重要な特性は、それらの粘度である。これらは、融解物として塗布される融解可能な塊であるため、コポリマーは、MFI(ISO 1133に従い、2.16kg、190℃で測定したメルトフローインデックス)として測定して1〜100g/10分、特に10〜30g/10分の、低粘度を有すべきである。粘度が高すぎるならば、接着剤面の粘着性に悪影響を及ぼす。
【0018】
本発明の接着剤層の製造に適当なコポリマーは、通常のランダムコポリマーである。しかしながら、これらのコポリマーがブロックコポリマーであることも可能である。特に、1つの態様において、ブロックコポリマーとしてエチレン/プロピレンコポリマーが適当である。さらに、コポリマーのガラス転移温度(DTAにより測定したTg)について、0℃以下、特に−20℃未満が適切であることが実証されている。
【0019】
接着剤組成物は、適当なコポリマー10〜60重量%を含有する。
【0020】
本発明に適するメルト接着剤に適当なコポリマーを単独で使用してもよい。複数のコポリマーを、特に2種のコポリマーを、共に使用することもできる。コポリマーの相溶性が存在する。例えば、エチレン/プロピレンコポリマーとエチレン/C〜C12−α−オレフィンコポリマーとの混合物を使用してよい。
【0021】
別の態様において、接着剤は、別のオレフィンコポリマーを30重量%まで、さらに含有してよい。それは、前述のα−オレフィンコモノマーの組成物を含有し得る。しかしながら、このポリマーは、400〜3,000g/10分の高いMFI値を有すべきである。その量は、好ましくは0.5〜25重量%であり得る。
【0022】
さらに、本発明のメルト接着剤は、少なくとも1種の樹脂を含有する。樹脂は、接着剤の付着力を増加させる。樹脂は、さらに、種々の成分の混和性および相溶性を改善する。一般に、20〜70重量%、特に25〜60重量%の量で使用する。
【0023】
特に、既知の樹脂、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式の炭化水素樹脂ならびに変性または水素化天然樹脂を使用してよい。適当な樹脂としては、例えば、テルペンのコポリマーなどのテルペン樹脂;変性天然樹脂、例えばバルサム樹脂、トール樹脂または木材樹脂に由来する樹脂酸、また任意にヒドロアビエチルアルコールおよびそのエステル;アクリル酸コポリマー、例えばスチレン−アクリル酸コポリマーまたはエチレン、アクリレートエステルおよび無水マレイン酸のコポリマー;または官能性炭化水素樹脂に基づく樹脂が含まれる。前述のエチレン/プロピレン−α−オレフィンポリマーからなる低分子反応生成物は、粘着付与樹脂としても適当である。樹脂として適当な、このようなオレフィンポリマーの分子量は、通常2000g/mol以下である。
【0024】
これらは、特に、80℃〜140℃の軟化点(ASTM法 E28)を有する樹脂である。とりわけ好ましい樹脂は、完全にまたは部分的に水素化された炭化水素樹脂または松やにおよびトール樹脂に基づく天然樹脂である。
【0025】
可塑剤は、別の任意成分である。それらは、エステルまたはポリオキシアルキレンポリオールに基づく既知の可塑剤であってよいが、特に、薬用ホワイトオイル、ナフテン酸、脂肪族または芳香族鉱物油、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマーが適当である。水素化された可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油の群から選択される。特に、ホワイトオイル、鉱物油、ポリイソブチレンおよび水素化炭化水素が適当である。ポリブテンオリゴマーとの態様において、それらの分子量は、200〜5000g/molであるべきである。可塑剤を、沸点が200℃より高くなるように選択する。したがって、接着剤層からの蒸発が減少し、そのため、より長い期間、接着剤層の特性を安定に保つこともできる。可塑剤の量は、0〜15重量%である。可塑剤の割合は、特に3〜10%である。
【0026】
ワックスを、メルト接着剤に、0〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%の量で、所望により添加してよい。ワックスは天然由来のものでも、場合により化学変性型のものでも、あるいは合成物質であってもよい。使用され得る天然ワックスとしては、植物ワックス、動物ワックスまたは鉱物ワックスまたは石油化学ワックスが挙げられる。化学変性ワックスとしては、硬化ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サソールワックスなどを使用してよい。合成ワックスとしては、ポリアルキレンワックスならびにポリエチレングリコールワックスが使用される。好ましくは石油化学ワックス、例えばワセリン、パラフィンワックス、微結晶ワックスが使用され、特にポリエチレンまたはポリプロピレンワックスが使用される。滴点(ASTM D 3954に従い測定)は、85℃〜160℃、特に130℃〜150℃である。
【0027】
メルト接着剤は、前記の成分に加えて、メルト接着剤において通常、慣習的な、追加成分を、添加剤として含有してもよい。これらは、例えば、安定剤、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤および/または顔料または他のポリマーが含まれる。接着剤の特定の特性、例えば、凝集性、安定性、粘着性または強度を、このような方法で制御することができる。添加剤および添加剤物質の量は、0.01〜30重量%、特に0.1〜15重量%である。
【0028】
当業者は、例えば安定剤または接着促進剤などの添加剤に精通している。これらは市販製品であり、当業者は所望の特性に応じて、それらを選択することができる。ポリマー混合物との相溶性については、周到な注意を払うべきである。
【0029】
任意の成分として、本発明のメルト接着剤は、本発明において必須のエチレンコポリマーと異なる他のポリマー0〜15重量%、特に0.5〜10重量%を含有してもよい。
【0030】
これらは、特に、スチレンを含有し、直鎖状または放射状構造を有する、既知のゴム状ブロックコポリマーであってよく、例えば、SIS、SBS、SIBSまたは好ましくはSEBSおよびSEPSである。他の例としては、固体ポリブテンまたはそのコポリマー、ポリメチルビニルエーテル、ポリフェニレンオキシドおよびその変性物などのポリマーが挙げられる。これら追加のポリマーは、室温で固体であるべきであり、メルト接着剤と均質的に混和性であるべきである。
【0031】
別の態様において、メルト接着剤は、カルボキシル基および/または無水物基を有する、少なくとも1種のオレフィンおよびメタアクリル酸エステルに基づく弾性ポリマーをさらに含有してよい。オレフィンモノマーは、既知のC〜Cオレフィン、特にエチレンまたはプロピレンから選択してよい。(メタ)アクリル酸エステルは、低分子C〜Cアルカノールとの(メタ)アクリレートエステルから選択され、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが、単独でまたは混合物で、適当である。コポリマーもなお、カルボキシル基および/または無水物基を有すべきである。これは、対応する官能性モノマーとの重合を通じて、またはポリオレフィンコポリマーの続く変性によって存在しうる。例えば、COOH基を酸化により導入することが可能である。例えば、無水マレイン酸とのラジカルグラフト反応によって、COOHまたは無水物基を、ポリマー中に導入することも可能である。
【0032】
このポリマーは、通常、3000〜50000g/mol、特に8000〜25000g/molの分子量(MN)を有する。COOH/無水物基の量は、1〜100mgKOH/g、特に、5〜50mgKOH/gである。カルボキシル基の数が高い場合、メルト接着剤の成分の相溶性が問題となる。軟化点は、50℃〜150℃、特に90℃〜110℃である。カルボキシル基を有する適当なポリマーは、市販されており、当業者に既知である。
【0033】
例えば、塗布および接着における技術的特性を改良するために、充填剤を0〜10重量%の濃度で使用してもよい。これらは、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、石こう、バライト、粘度、石灰などの染料または充填剤であってよい。
【0034】
本発明のメルト接着剤は、既知の方法により、溶融時に混合することにより製造される。全ての成分を同時に存在させ、加熱し、次いで均一化する、または、より低い溶融成分をまず存在させて混合し、次いでさらなる樹脂成分を添加してよい。押出機内で連続的にメルト接着剤を製造することもできる。適当なメルト接着剤は、室温(25℃)で固体であり、不純物を別にして、溶媒を含まない。
【0035】
本発明の適当なメルト接着剤は、160℃で測定して、500〜20,000mPas、好ましくは300〜10,000mPas(ブルックフィールド、EN ISO 2555、上記温度にて測定)の粘度を有する。
【0036】
塗布した接着剤の層厚は、例えば2〜150g/m(約2〜150μm)である。特に、層厚は、50g/m未満である。
【0037】
本発明に適当な接着剤は、メルト接着剤の形態である。この接着剤を、加熱において溶融させ、そして基材へ塗布する。メルト接着剤としての通常の使用とは異なり、まだ暖かい間の層を、別の基材にそのまま接合させない。その塗布層は、接触接着剤として使用される。それは固化すると、空いている表面にはもはや接着剤作用を有さない。特に、それは粘着性のある表面を生成すべきでない。対応する基材は、続く基材の使用において接着表面として使用する所定位置で被覆される。
【0038】
接着結合のために、本発明の接着剤層で被覆した基材を第2の基材に、互いに対して押し付けるが、ここで、後者も、接合すべき位置に、対応する接着剤層を有さねばならない。押し付けは軽い圧力で行ってよく、例えば、紙の接着結合において、手で適用することができる。
【0039】
本発明の接着剤層を有する基材は保存可能である。1年までの長期にわたる保存期間の後であってさえ、接着強度の減少は見られない。製造および冷却直後に基材を積み重ねることができる。本発明の接着剤層は、互いに向かって保管されないが、その代わり、他の基材層と相反してのみ保管されることに注意すべきである。本発明の接着剤層は、粘着性でなく、積み重ねられた基材の接着結合およびブロッキングは見られない。それらは、続く使用において、互いに簡単に分離される。
【0040】
別の態様において、接着剤表面は、極めて低い粘着性をなお有する。この場合もやはり、積み重ねた状態での保管がまだ可能であり、互いにわずかにのみ接着した基材は、使用前に、互いに簡単に分離される。
【0041】
原則として、好ましくはないが、本発明の接着剤層を剥離材で覆うこともできる。これは、付着防止コーティングを有する紙またはフィルムであってよい。これらは、使用前に接着剤層から除去される。
【0042】
接着剤層は、感圧接着性をほとんどまたは全く有さない。これは、ブロック強度として測定され得る。ブロック強度を測定するために、試験ストリップとして10〜20g/mの層厚で被覆した基材を、10個の試験ストリップで、互いに交互に被覆されていない基材と積み重ねる。次いで、この積み重ねを、50g/cmで重みをかけ、90%の相対大気湿度、40℃で、15日間保管した。その後、基材を引き裂いて分離し、ブロッキングがないこと(分離における材料の引き裂き)を検出する。
【0043】
本発明の接触接着剤層は、種々の利点を有する。接着剤を溶融状態で塗布することにより、すばやい加工が可能である。例えば、溶融状態においてさえ薄層での塗布はとてもすばやいため、接着剤層はその後直ちに冷却する。製造後すぐに、基材を積み重ねることができる。さらに、本発明の接着剤組成物は、溶媒を含まないため、溶媒または水に起因する基材の変化が起こり得ない。
【0044】
オレフィンコポリマーの改良された原材料ベースに起因して、接着剤の光学安定性が改良される。それは、長期保管においてさえ変色しない。さらに、接着剤の色は、基材に依存しない。再生紙などの再利用物質由来の基材でさえ、接着剤層が変色しないことを認めることができる。
【0045】
本発明の接触接着剤層は、種々の基材に適用し接着することができ、例えば紙、コート紙、ボール紙、板紙、フィルム、プラスチックまたは金属化表面またはラッカー塗装表面である。軟質フィルムまたは多層複合材料としての、ポリエチレン、ポリプロピレンのプラスチック表面、またはボトルまたはコップなどの固体基材に、本発明の接着剤層を供してもよい。
【0046】
対応する接合した製品は、多くの用途分野で使用してよく、例えば、ラベル、多層フィルム材料、フィルムポケット、封筒、折り畳み箱層としてまたは衛生産業における固定ストリップ、包帯、医療包帯としてまたはいかなる形態の包装材である。
【0047】
接着剤は、すばやい塗布方法を可能にする。被覆された製品は、保管可能であり、かつ、積み重ね可能である。既成の物品および事前被覆された製品を製造することができる。それらは、ユーザーによってのみ最終形態となり、このようにして接合させる。
【0048】
本発明の別の主題は、本発明の接着剤層が供された既成品である。この物品は既知の方法で、場合により半製品としても製造される。後で接合するために、本発明の接着剤層を表面に塗布する。この層は、保管可能であるため積み重ねることができる。接着剤層の耐ブロッキング性は高い。
【0049】
既成の物品の積み重ねにおいて、本発明の接着剤層が互いに隣り合って保管されないように、場所を確保することに注意すべきである。この場合、必要に応じて、付着防止仕上げを有する層で、接着剤表面を覆ってもよい。
【0050】
非粘着性の事前被覆のために場所を取らない保管が可能であり、ユーザーにおいて、その物品を互いに簡単に分離することができる。既成の、被覆された物品は、その後、ユーザーにおいて最終形態にすることができる。そして、設けられた部分的領域を、互いに接合する。両方の表面に、接着剤層が設けられることが必要である。
【0051】
本接触接着剤層の用途分野は幅広い。事前に被覆された紙複合材料(例えば封筒)を、紙基材から製造することができる。用途の別の分野は、柔軟性フラットテープのコーティングであり、それは、他のテープと共に、閉口物として機能する。既知のフックおよびループ型の閉口物は、この方法で簡単に置き換えることができる。
【0052】
用途の別の分野は、他の被覆された基材と接合することができる、事前に被覆されたラベルである。それらは、プラスチックまたは紙または複合ラベルであってよい。プラスチックポケットも、同様に得ることができる。
【0053】
さらに、例えば、衛生用品における接着テープを被覆してもよい。これらは、その後、1回以上の圧をかけることにより接合され得る。
【0054】
このような接着結合は、再び閉じることができる包装として使用され得る。接合される表面は機械で接合され;続いて、接着剤層の破壊により分離することが可能である。表面は、後に再度、圧力をかけて密封することができる。接合した表面の接着強度は選択でき、そのため、粘着分離としての分離が可能である。その後、再度、得られた2つの接着剤層を通じて、2つの表面の圧力による密閉が可能である。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明を説明する。
【0056】
〔実施例1〕
Vistamaxx VM 1120、コポリマー C/C 20%
Licocene PP 6102 20%
Regalite S 1100 50%
Vistanex PAR 1300(Exxon) 9%
Irganox 1010(Ciba) 1%
【0057】
〔実施例2〕
Vistamaxx VM 1120、コポリマー C/C 20%
Affinity GA 1900 10%
Licocene PP 6102 10%
Regalite S 1100 50%
Vistanex PAR 1300(Exxon) 9%
Irganox 1010(Ciba) 1%
【0058】
原材料を、160℃で、均一な製剤が得られるまで混合する。
【0059】
〔塗布実施例3、4〕
実施例1または2の接着剤を、ドクターブレードで、50μm、140℃で、PEフィルムに塗布する。
【0060】
実施例1または2の接着剤を、ドクターブレードで、80g/m、140℃で、紙に塗布する。
【0061】
被覆された基材を、製造後にそのまま積み重ねることができる。
【0062】
2つの同様のまたは異なる基材を、接着剤層で互いに接合させ、ゴムローラー(2kg mass)で2回押し付ける。
PEフィルム接着結合:張力>3N/cm
紙接着結合:材料の引裂き(紙厚80g/m
【0063】
基材を、被覆していない基材と交互に積み重ねる(15層)。次いで、ブロッキングのための試験を行う(15日、40℃、90%湿度)。基材の相互付着は認められない。
【0064】
Vistamaxx VM 1120、コポリマーC/C MFI 21g
Licocene PP 6102 ワックス 滴点 145℃
Regalite S 1100(Eastman) 樹脂
Vistanex PAR 1300(Exxon) ポリイソブチレン 1300g/mol
Irganox 1010(Ciba) 安定剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)メタロセン触媒重合により得ることができ、1〜100g/10分のMFI値を有する、エチレンおよび少なくとも1種のC〜C20オレフィンに基づく少なくとも1種のコポリマー10〜60重量%、
b)少なくとも1種の粘着付与樹脂20〜70重量%、
c)可塑剤0〜35重量%、
d)安定剤、可溶化剤、充填剤または顔料および/または他のポリマーから選択される添加剤および添加剤物質0.01〜20重量%、
を接着剤組成物として含有する、2〜150g/mの層厚を有する、接触接着剤層。
【請求項2】
メタロセン触媒重合により得ることができ、400〜3000g/10分のMFI値を有する、エチレンおよびC〜C20オレフィンに基づくコポリマー0.5〜30重量%、およびパラフィン系ワックス、微結晶性ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンワックス0.5〜30重量%をさらに含有する、請求項1に記載の接触接着剤層。
【請求項3】
ポリイソブチレン、ナフテン系、脂肪族または芳香族の鉱物油から選択される可塑剤0.5〜15重量%、安定剤0.1〜3重量%をさらに含有し、ここで、全ての成分の合計量が100%である、請求項1または2に記載の接触接着剤層。
【請求項4】
100g未満/10分のMFI値を有するコポリマーとして、エチレン/プロピレンに基づく高い結晶化度のポリマーを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の接触接着剤層。
【請求項5】
ワックスが130〜150℃の滴点を有する、請求項2〜4のいずれかに記載の接触接着剤層。
【請求項6】
添加剤として、スチレンブロックコポリマーまたはMSA−変性エチレン/アクリレートコポリマーから選択される追加のポリマー1〜15重量%を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の接触接着剤層。
【請求項7】
160℃で500〜20,000mPasの粘度を有するホット−メルト接着剤から製造される、請求項1〜6のいずれかに記載の接触接着剤層。
【請求項8】
接着剤層の表面が粘着性でない、請求項1〜7のいずれかに記載の接触接着剤層。
【請求項9】
接着結合紙、ボール紙またはプラスチック用の、限定された領域に塗布されるコーティングとしての、請求項1〜8のいずれかに記載の接触接着剤層の使用。
【請求項10】
衛生用品の接着結合のための、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
フィルム材料の接着結合のための表面コーティングとしての、請求項9〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
共に接着結合される両面が接触接着剤の層で被覆されている請求項9〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜8に記載の接着剤の層で被覆された、接着結合する1以上の面を有する物品。
【請求項14】
接着剤層の表面が、粘着性でなく、基材の未被覆部分に永久接着結合しない、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
物品を相互に積み重ねることができる、請求項13または14に記載の物品。

【公表番号】特表2012−512924(P2012−512924A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541440(P2011−541440)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067410
【国際公開番号】WO2010/070046
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】