説明

メタンからのベンゼンの製造法

本発明は、C1〜C4脂肪族化合物含有反応体流Eを非酸化的に脱水素芳香族化反応させる方法であって、工程I.反応体流Eを反応帯域1中に供給し、反応体流Eを非酸化的条件下で粒子状触媒の存在下で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応させ、および生成物流Pを反応帯域1から排出する工程、II.堆積されたコークスの結果として減少された活性を有する触媒を反応帯域2中に移動させる工程、III.前記触媒を水素含有ガス流Hを供給しながら反応帯域2中で少なくとも部分的に再生し、その際、堆積されたコークスの少なくとも一部分は、メタンに変換され、メタンを含有するガス流Mが生じ、このガス流Mは、少なくとも一部分が反応帯域1に供給される工程、IV.前記触媒を反応帯域2から排出する工程、およびV.排出された触媒の少なくとも一部分を反応帯域1中に返送する工程を含み、この場合反応帯域1と反応帯域2とは、空間的互いに隣接するように同じ反応器中に配置されている、C1〜C4脂肪族化合物を含有する反応体流Eを非酸化的脱水素環化するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C1〜C4脂肪族化合物含有反応体流を触媒の存在下で反応帯域1中で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応させ、堆積されたコークスの結果として減少された活性を有する触媒を水素含有混合物で反応帯域2中で再生させ、触媒を反応帯域2から取出し、および触媒を反応帯域1中に返送させることによって、C1〜C4脂肪族化合物含有反応体流を非酸化的に脱水素芳香族化反応させるための方法に関する。
【0002】
芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、キシレンおよびナフタリンは、化学工業において重要な中間生成物であり、その需要は、依然として上昇している。一般に、前記芳香族炭化水素は、接触改質によってナフサから取得され、このナフサは、その側で石油から得られる。最近の調査により、世界的規模の石油備蓄量は、天然ガス備蓄量と比較して著しく制限されていることが判明している。従って、天然ガスから取得されうる反応体からの芳香族炭化水素の製造は、そうこうするうちに経済的に興味深い1つの選択肢になっている。天然ガスの主要成分は、通常、メタンである。
【0003】
脂肪族化合物から芳香族化合物を取得するための可能な反応経路は、非酸化的脱水素芳香族化反応(DHAM)である。この場合、この反応は、非酸化的条件下、殊に酸素の遮断下に行なわれる。DHAMの場合、相応する芳香族化合物への脂肪族化合物の脱水素および環化は、水素の遊離下で行なわれる。その上、コークス化は、非酸化条件下で脱水素芳香族化反応の工業的使用に対する大きな問題を生じる。それというのも、このコークス化は、比較的短い時間で触媒の活性を減少させ、このことは、短い生産サイクルおよび高い再生需要をまねくからである。その上、触媒の短縮された寿命は、しばしばコークス化を伴なう。また、触媒の再生は、問題のないわけではない。それというのも、経済的な方法に対して、一面で規則的に出発活性が再び形成可能でなければならず、他面、この結果、多数のサイクルが可能でなければならないからである。
【0004】
その上、コークス堆積物は、物質の平衡または収量に対して不利に作用する。それというのも、コークスに変換される反応体の全ての分子は、芳香族化合物への望ましい反応にもはや使用されないからである。これまで公知技術水準で達成されたコークス選択度は、多くの場合に反応された脂肪族化合物に対して20%を超えている。
【0005】
更に、DHAMを工業的に実施する際の困難は、必要とされる反応熱の導入にある。DHAMは、外部の熱供給に依存している吸熱反応である。反応が間接的に加熱される場合には、大きな熱交換面が必要とされ、これは、装置的および経済的にプロセスを複雑なものにする。更に、前記の熱交換面では、より高い温度のために望ましくない副反応、例えばコークス化が生じる。
【0006】
WO−A 03/000826には、メタンを1つの反応帯域中で活性触媒の存在下で反応させることにより、メタンを芳香族化反応させるための方法が記載されており、その際触媒は、不活性化される。不活性化された触媒の一部分は、再生帯域中で再生ガスで再生され、この場合この触媒は、反応帯域と再生帯域との間を循環する。再生ガスとして、酸素または空気、水素および水蒸気が使用されてよい。再生の際に生じるガスは、後使用されない。再生の際に生じる熱は、触媒それ自体または別の熱交換媒体によって反応帯域中に移動される。
【0007】
米国特許第2007/0249879号明細書は、メタンを、芳香族化合物を含めて高級炭化水素に変換するための方法に関する。使用される反応器は、少なくとも2つの直列接続された反応帯域から成る。粒子状で存在する触媒は、第1の反応帯域から第2の反応帯域に導かれ、メタン含有流は、反対方向に第2の反応帯域から第1の反応帯域に導かれる。全ての反応帯域中で生成物へのメタンの変換が行なわれる。触媒の一部分は、再生のために取り出されてよく、および再生後に返送されてよい。再生は、酸素含有ガスで行なわれる。引続き、触媒は、場合により水素含有ガスで活性化される。熱を反応系中に導入するために、触媒の一部分を取り出すことができ、別の加熱帯域中で、付加的な燃料源に由来する燃焼ガスで加熱することができる。更に、加熱された触媒は、反応帯域中に返送される。
【0008】
米国特許第2007/0249880号明細書には、メタンを芳香族炭化水素へ触媒の存在で変換するための方法が開示されており、この場合反応帯域は、逆の温度プロフィールで実施される。この場合も、触媒は、取出し後に再生することができるか、または反応温度を上廻る温度へ燃焼ガスにより加熱することができ、引続きそれぞれ反応帯域中に返送されることができる。
【0009】
公知技術水準から公知の方法の場合、触媒粒子は、多数の必要とされる輸送過程によって反応帯域と再生帯域と加熱帯域との間で強く機械的負荷に晒され、この機械的負荷は、触媒の寿命の短縮をまねく。更に、物質の利用、即ち触媒の再生の際に生じる排ガスの望ましい生成物への変換は、決して酸化的再生の場合には当てはまらないか、または水素での再生の場合には、或る程度の技術的費用が関連する。
【0010】
公知技術水準で公知の方法を凌駕して、使用されたC1〜C4脂肪族化合物に関連して芳香族炭化水素の高い収率を有しかつ触媒が少ない機械的負荷に晒される、芳香族化合物をC1〜C4脂肪族化合物から製造するためのさらに改善された方法が必要とされる。
【0011】
この課題は、本発明によれば、次の工程:
I.反応体流Eを反応帯域1中に供給し、反応体流Eを非酸化的条件下で粒子状触媒の存在下で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応させ、および生成物流Pを反応帯域1から排出する工程、
II.堆積されたコークスの結果として減少された活性を有する触媒を反応帯域2中に移動させる工程、
III.前記触媒を水素含有ガス流Hを供給しながら反応帯域2中で少なくとも部分的に再生し、その際、堆積されたコークスの少なくとも一部分は、メタンに変換され、メタンを含有するガス流Mが生じ、このガス流Mは、少なくとも一部分が反応帯域1に供給される工程、
IV.前記触媒の少なくとも一部分を反応帯域2から排出する工程、および
V.排出された触媒の少なくとも一部分を反応帯域1中に返送する工程を含み、
この場合反応帯域1と反応帯域2とは、空間的互いに隣接するように同じ反応器中に配置されている、C1〜C4脂肪族化合物を含有する反応体流Eを非酸化的脱水素環化するための方法によって解決される。不活性化された触媒を水素で再生する場合、発熱反応におけるコークス堆積物からメタンが生じる。このメタンは、本発明によれば、少なくとも一部分が反応帯域1に供給され、それによって再び反応体として使用される。これは、使用された量のC1〜C4脂肪族化合物に対して芳香族化合物の全収量の上昇を生じる。
【0012】
DHAMが実施される反応帯域1の空間的に互いに隣接した配置によって、再生帯域(反応帯域2)の中で輸送経路が小分けされ、触媒粒子の輸送によって生じる機械的負荷は、減少される。触媒の再生の際に発生した熱は、触媒およびガス流Mの少なくとも一部分の返送によって直接に反応帯域1中に移動される。それによって、芳香族化反応に必要とされる反応熱の一部分は、系それ自体の中で形成され、このことは、エネルギーを供給するための技術的に特に簡単な方法である。全体的に反応器または反応床を少なくとも1つの芳香族化反応帯域(反応帯域1)およびそれに隣接する再生帯域(反応帯域2)に本発明により区分けすることは、使用される触媒の僅かな機械的負荷の際に物質および熱流のよりいっそう良好な利用を可能にする。本発明による非酸化とは、DHAMに関連して、反応体流E中での酸化剤、例えば酸素または窒素酸化物の濃度が、5質量%未満、有利に1質量%未満、特に有利に0.1質量%未満であることを意味する。特に有利には、前記混合物は、酸素不含である。同様に特に有利には、混合物E中での酸化剤の濃度は、C1〜C4脂肪族化合物に由来する源中での酸化剤の濃度に等しいかまたは該濃度より低い。
【0013】
非酸化とは、再生に関連して、本発明の範囲内でDHAMに由来する、触媒上でのコークス堆積物がその再生時に酸化剤、例えば空気または酸素によりCOおよび/またはCO2に変換されないことを意味する。殊に、再生時に工程IIIで使用すべき混合物H中の酸化剤の濃度は、5質量%未満、有利に1質量%未満、特に有利に0.1質量%未満である。
【0014】
本発明によれば、反応体流Eは、1〜4個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族化合物を含有する。前記の脂肪族化合物には、例えばメタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、エテン、プロペン、1−ブテンおよび2−ブテン、およびイソブテンが属する。本発明の1つの実施態様において、反応体流Eは、C1〜C4脂肪族化合物を少なくとも50モル%、有利に少なくとも60モル%、特に有利に少なくとも70モル%、殊に有利に少なくとも80モル%、殊に少なくとも90モル%含有する。脂肪族化合物の中から特に有利に飽和アルカンが使用される場合には、反応体流Eは、1〜4個のC原子を有するアルカンを有利に少なくとも50モル%、有利に少なくとも60モル%、特に有利に少なくとも70モル%、殊に有利に少なくとも80モル%、殊に少なくとも90モル%含有する。
【0015】
アルカンの中で、メタンおよびエタンは、有利であり、殊にメタンである。本発明の前記の実施態様によれば、反応体流Eは、有利にメタンを少なくとも50モル%、有利に少なくとも60モル%、特に有利に少なくとも70モル%、殊に有利に少なくとも80モル%、殊に少なくとも90モル%含有する。
【0016】
好ましくは、C1〜C4脂肪族化合物の源として天然ガスが使用される。天然ガスの典型的な組成は、以下に述べるとおりである:メタン75〜99モル%、エタン0.01〜15モル%、プロパン0.01〜10モル%、ブタン6モル%まで、二酸化炭素30モル%まで、硫化水素30モル%まで、窒素15モル%まで、およびヘリウム5モル%まで。天然ガスは、使用前に本発明による方法において、当業者に公知の方法により清浄化されることができ、含量を増加させることができる。例えば、場合によっては天然ガス中に存在する硫化水素または二酸化炭素の除去および引続く方法で望ましくない他の化合物の除去は、清浄化に属する。
【0017】
反応体流E中に含有されているC1〜C4脂肪族化合物は、例えば石油ラフィネーションの際に生じる、別の源に由来してもよい。C1〜C4脂肪族化合物は、再生(例えば、バイオマス)によるかまたは合成(例えば、フィッシャー−トロプシュ合成)により製造されていてもよい。
【0018】
1〜C4脂肪族化合物源としてバイオマスが使用される場合には、反応体流Eは、付加的になおアンモニア、低級アルコールの痕跡およびバイオガスに典型的な他の混合物を含有することができる。
【0019】
更に、本発明による方法の実施態様において、反応体流EとしてLPG(Liquid Petroleum Gas液化石油ガス)を使用することができる。更に、本発明による方法の実施態様によれば、反応体流EとしてLNG(Liquid Natural Gas液化天然ガス)を使用することができる。
【0020】
反応体流Eには、付加的に水素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素ならびに1つ以上の希ガスを混合することができる。特に、反応体流Eは、水素、有利に水素0.1〜10体積%、特に有利に水素0.1〜5体積%を含有する。本発明による方法の工程Iにおいて、反応体流Eは、反応帯域1に供給される。反応帯域1中で、反応体流Eは、非酸化的条件下で粒子状触媒の存在下で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応される。この反応は、脱水素芳香族化反応であり、即ち反応体流E中に含有されたC1〜C4脂肪族化合物は、相応する芳香族化合物への脱水素および環化の下で反応し、この場合には、水素が遊離される。本発明によれば、DHAMは、適した触媒の存在下で実施される。一般的に、DHAMを促進させる全ての触媒は、本発明による方法の工程Iで使用されてよい。当業者には、このような触媒ならびに該触媒の製造方法は、公知である。通常、DHAM触媒は、多孔質担体およびその上に施こされた少なくとも1つの金属を含有する。担体として、通常、結晶性または非晶質の無機化合物が使用される。
【0021】
本発明によれば、触媒は、有利に少なくとも1つのメタロ珪酸塩を担体として含有する。好ましくは、担体として珪酸アルミニウムが使用される。特に有利には、本発明によれば、担体としてゼオライトが使用される。本発明によれば、好ましくは、触媒中に含有されたゼオライトは、構造タイプのペンタシルおよびMWWから選択された構造を有し、特に有利には、構造タイプのMFI、MEL、MFIとMELとの混合された構造およびMWWから選択された構造を有する。特に有利には、タイプZSM−5またはMCM−22のゼオライトが使用される。ゼオライトの構造タイプの表記は、W.M.Meier,D.H.OlsonおよびCh.Baerlocher,"Atlas of Zeolithe Structure Types",Elsevier,第3版,Amsterdam 2001の記載に対応する。ゼオライトの合成は、当業者に公知であり、例えばアルカリ金属アルミン酸塩、アルカリ金属珪酸塩および非晶質SiO2から出発して熱水条件下で実施されてよい。この場合、有機テンプレート分子、温度および他の実験パラメーターにより、ゼオライト中の形成された通路系の種類は、制御されることができる。
【0022】
ゼオライトは、Alと共に、他の元素、例えばGa、BまたはInを含有することができる。
【0023】
通常、GHAM触媒は、少なくとも1つの金属を含有する。通常、金属は、元素の周期律表の第3〜12族から選択される(IUPAC)。本発明によれば、好ましくは、DHAM触媒は、第6〜11主族の遷移金属から選択された少なくとも1つの元素を含有する。特に有利には、DHAM触媒は、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auを含有する。殊に、DHAM触媒は、Mo、W、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cuの群から選択された、少なくとも1つの元素を含有する。特に、有利には、DHAM触媒は、Mo、WおよびReの群から選択された、少なくとも1つの元素を含有する。本発明によれば、同様に有利に、DHAM触媒は、活性成分としての少なくとも1つの金属およびドープ剤としての少なくとも1つの他の金属を含有する。活性成分は、本発明によれば、Mo、W、Re、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Ptから選択される。ドープ剤は、本発明によれば、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、V、Zn、ZrおよびGaの群、有利にFe、Co、Ni、Cuの群から選択される。本発明によれば、DHAM触媒は、1個を上廻る金属を活性成分として、および1個を上廻る金属をドープ剤として含有することができる。これらの金属は、それぞれ活性成分およびドーピングのために記載された金属から選択される。
【0024】
少なくとも1つの金属は、本発明によれば、当業者に公知の方法により湿式化学的または乾式化学的に担体上に施される。
【0025】
本発明によれば、触媒は、それぞれ少なくとも1つの金属を触媒の全質量に対して0.1〜20質量%、有利に0.2〜15質量%、特に有利に0.5〜10質量%含有する。
【0026】
本発明によれば、触媒は、活性成分の群からの少なくとも1つの金属をドープ剤の群から選択された少なくとも1つの金属と一緒に含有することができる。この場合、活性成分の濃度は、それぞれ触媒の全質量に対して0.1〜20質量%、有利に0.2〜15質量%、特に有利に0.5〜10質量%である。
【0027】
この場合、ドープ剤は、触媒中に本発明によれば、触媒の全質量に対して少なくとも0.1質量%、有利に少なくとも0.2質量%、殊に有利に少なくとも0.5質量%の濃度で存在する。
【0028】
更に、本発明の好ましい実施態様によれば、触媒は、結合剤と混合される。当業者に公知の通常の結合剤、例えば酸化アルミニウムおよび/またはSi含有結合剤は、結合剤として適している。この場合には、Si含有結合剤が特に好ましく、殊にテトラアルコキシシラン、ポリシロキサンおよびコロイド状SiO2ゾルが適している。
【0029】
本発明による触媒が結合剤を含有する場合には、これは、触媒の全質量に対して5〜80質量%、有利に10〜50質量%、特に有利に10〜30質量%の濃度で存在する。
【0030】
本発明によれば、結合剤の添加後に、触媒材料を当業者に公知の方法により成形体に加工することにより、成形工程は、行なわれる。この場合、成形法としては、例えば担体または触媒材料を含有する懸濁液の噴霧、噴霧乾燥、タブレット化、湿潤状態または乾燥状態での圧縮および押出を挙げることができる。2つまたはそれ以上の前記方法は、組み合わせてもよい。成形のためには、助剤、例えば細孔形成剤および混練剤が使用されてもよいし、当業者に公知の別の添加剤が使用されてもよい。
【0031】
細孔形成剤および/または混練剤は、成形後に有利に少なくとも1つの適当な乾燥工程および/またはか焼工程によって、得られた成形体から除去される。そのために必要な条件は、か焼のために前記されたパラメーターと同様に選択されることができ、当業者に公知である。
【0032】
本発明により得られる触媒の幾何学的形状は、例えば球状(中空または中実)、円筒形(中空または中実)、環状、サドル形、星形、ハニカム形またはタブレット形であることができる。更に、押出品は、例えばストランド形、三葉形、四葉形、星形または中空シリンダー形がこれに該当する。更に、形成すべき触媒材料は、押し出され、か焼され、こうして得られた押出品は、破砕され、破砕片または粉末に加工することができる。この破砕片は、種々の篩画分に分離することができる。本発明の好ましい実施態様によれば、触媒は、噴霧乾燥された粒子、特に噴霧粉末として使用される。これは、特に円形の粒子である。触媒粒子は、特に20〜100μmの大きさを有する。
【0033】
特に、FCC法(fuel catalytic cracking燃料接触分解法)から公知である幾何学形状の触媒が使用される。
【0034】
1〜C4脂肪族化合物を脱水素芳香族化反応するために使用される触媒を固有の反応前に活性化することは、有利である。この活性化は、C1〜C4アルカン、例えばエタン、プロパン、ブタンまたはこれらの混合物、特にブタンを用いて行なうことができる。活性化は、250〜850℃、特に350〜650℃の温度および0.5〜5バール、特に0.5〜2バールの圧力で実施される。通常、GHSV(Gas Hourly Space Velocityガス時間空間速度)は、活性化の際に100〜4000h-1、特に500〜2000h-1である。
【0035】
しかし、反応体流EがC1〜C4アルカンまたはその混合物それ自体を既に含有するか、またはC1〜C4アルカン、またはその混合物が反応体流Eに添加されることにより、活性化を実施することも可能である。活性化は、250〜650℃、特に350〜550℃の温度および0.5〜5バール、特に0.5〜2バールの圧力で実施される。更に、1つの実施態様において、付加的にC1〜C4アルカンになお水素を添加することも可能である。本発明の好ましい実施態様によれば、触媒は、H2含有ガス流で活性化され、このガス流は、付加的に不活性ガス、例えばN2、He、NeおよびArを含有することができる。
【0036】
本発明によれば、C1〜C4脂肪族化合物の脱水素芳香族化反応は、触媒の存在下で400〜1000℃、有利に500〜900℃、特に有利に600〜800℃、殊に700〜800℃の温度で0.5〜100バール、有利に1〜30バール、特に有利に1〜10バール、殊に1〜5バールの圧力で実施される。本発明によれば、反応は、100〜10000h-1、特に200〜3000h-1のGHSV(Gas Hourly Space Velocityガス時間空間速度、反応体の容積流/触媒堆積物の容積)で実施される。
【0037】
1〜C4脂肪族化合物は、工程Iで本発明によれば、H2の遊離下に芳香族化合物に反応される。従って、生成物流Pは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、キシレンおよびナフタリンの群から選択された、少なくとも1つの芳香族炭化水素を含有する。特に有利には、この生成物流Pは、ベンゼンおよびトルエンを含有する。更に、生成物流は、未反応のC1〜C4脂肪族化合物、生成された水素および反応体流E中に含有されている不活性ガス、例えばN2、He、Ne、Ar、反応体流Eに添加された物質、例えばH2ならびに既にE中に存在する不純物を含有する。
【0038】
本発明によれば、DHAMのために工程Iで使用される触媒は、規則的に、ガス流H中に含有されている水素で工程IIIで再生される。この場合、堆積されたコークスの少なくとも一部分は、メタンに変換される。反応帯域2中で工程IIIによる再生は、600℃〜1000℃、特に有利に700℃〜900℃の温度および1バール〜30バール、有利に1バール〜15バール、特に有利に1バール〜10バールの圧力で実施される。生じたメタンと共にさらに再生の際に生じた化合物、未反応の水素ならびに既に混合物H中に含有された物質を含むメタン含有ガス流Mが生じる。
【0039】
本発明の好ましい実施態様によれば、触媒の温度は、反応帯域1中への入口で反応帯域2中への入口での温度を上廻る。好ましくは、反応帯域1中への入口温度は、反応帯域2中への入口温度を少なくとも50℃、有利に少なくとも75℃、特に有利に少なくとも100℃上廻る。本発明によれば、再生の際に生じたメタンの少なくとも一部分は、反応帯域1に供給される。特に好ましくは、ガス流Mの少なくとも50%、特に有利に少なくとも80%、殊に有利に少なくとも90%、殊に全てのガス流Mは、反応帯域2から反応帯域1に供給される。本発明の好ましい実施態様において、反応帯域2に供給される水素の量および反応帯域2の幾何学的寸法は、ガス流Mが反応帯域1中への入口で水素を最大10体積%、有利に最大5体積%含有し、殊に有利にもはや全く水素を含有しない、即ち供給された水素ができるだけ十分に、有利に工程IIIでの再生の際に完全に消費されるように、再生すべき触媒に適合される。これは、反応帯域1中でのDHAMの反応平衡に対して不利に作用する。
【0040】
本発明によれば、工程IIでの触媒が反応帯域1から反応帯域2に移動すること、および工程IIIでのガス流Mの少なくとも一部分が反応帯域2から反応帯域1に移動することは、直接に、即ち、逆なることなく、双方の反応帯域が空間的に互いに隣接するように行なわれる。この場合、ガス流Mの平均的な流れ方向は、本発明によれば、粒子状触媒の平均的な流れ方向と対向する。
【0041】
本発明の好ましい実施態様によれば、反応帯域2は、反応帯域1の下方に配置されている。この場合、反応体流Eは、有利に反応帯域1の下部に供給され、特に有利には、反応帯域1の下方の三分の一、特に有利に最も下方の四分の一に供給される。この場合、DHAMで生じた生成物流Pは、反応帯域1の上部、有利に反応帯域1の上部の三分の一、特に有利に最も上部の四分の一から排出される。水素を含有するガス流Hは、工程IIIで反応帯域1の下方に反応帯域2が配置されている際に反応帯域2の下部、有利に下部の三分の一、特に有利に最も下部の四分の一に供給される。
【0042】
場合によっては反応帯域2の外部で加熱される触媒は、反応帯域1の下方に反応帯域2が配置される際に工程Vで特に反応帯域1の上部に、特に反応帯域1の上部の三分の一、特に有利に最も上部の四分の一に返送され、殊に有利には、触媒は、上方から反応帯域1中に返送される。工程Iにより、C1〜C4脂肪族化合物を脱水素芳香族化反応させる場合、ならびに工程IIIにより、コークスの堆積によって不活性化された触媒を水素で再生する場合には、渦動床としての触媒、相応する、そのために適した反応器タイプ中での移動床または流動床が存在していてよい。
【0043】
本発明によれば、好ましくは、触媒は、反応帯域1中、反応帯域2中、または双方の反応帯域中に流動化された床として存在する。特に、本発明によれば、運転パラメーター、反応器の形状および反応器の寸法は、本質的に反応帯域1と反応帯域2との間でガスの逆混合が全く生じずに、反応帯域1からのC1〜C4脂肪族化合物の導入を回避させることができるように選択される。触媒を還元により再生する際にメタンが生じるので、C1〜C4脂肪族化合物、殊にメタンの導入は、再生の反応平衡に対して不利に作用する。
【0044】
特に有利には、反応帯域2は、渦動床として運転され、この場合本質的には、内部混合は、全く生じない。メタンを含有するガス流Mが反応帯域2中に逆混合されることを回避させるかまたは少なくともこの逆混合を減少させ、こうして反応帯域2中でできるだけ純粋な水素雰囲気を保証するために、内部混合は、できるだけ抑制すべきである。殊に、反応帯域2中でのできるだけメタン貧有ガス相は、実施例に示されているように、反応帯域1中でのメタンのよりいっそう高い変換率を生じる。その上、内部混合の減少によって、再生すべき触媒粒子の単一の滞留時間プロフィールが達成される。
【0045】
できるだけ少ない内部混合で触媒床を運転するための条件は、当業者に公知である。パラメーター/運転条件を選択するための指摘は、例えばD.Kumii,O.Levenspiel "Fluidization Engineering" 第2版,Boston,第9章,第211〜215頁および第10章,第237〜243頁に見出すことができる。
【0046】
更に、反応帯域中での内部混合を回避させる方法は、内部混合を妨げるデバイスを取り付けるかまたは配置することである。このデバイスは、例えば穿孔シート、構造化された規則充填体、案内板および当業者に公知の他の取り付け物であってよい。好ましい実施態様によれば、少なくとも1つのこの種のデバイスは、反応帯域2中に配置されている。内部混合の程度は、例えば垂直方向の分散係数につき定めることができる。特に、流れHに対してC1〜C4脂肪族化合物、殊にメタン10モル%未満は、逆混合によって反応帯域1から反応帯域2に導入される。反応帯域1と2との移行部は、反応帯域1の長さの有利に最大25%、特に有利に最大10%、殊に有利に最大5%である。反応帯域1の長さは、流れEの流れ方向での反応器の拡張部を意味する。本発明によれば、好ましくは、反応帯域1は、反応ガスおよび触媒粒子に対して透過性である、反応帯域1と2との間の移行部中に配置された、少なくとも1つのデバイスによって反応帯域2と区分される。このデバイスは、例えばHandbook of Fluidization and Fluid−Particle Systems,New York,2003,編者W.Yang,第7章,第134〜195頁に記載されたような、穿孔シート、案内板、構造化された規則充填体および当業者に公知の、この目的に適した他の取り付け物である。触媒粒子の逆混合および前記の2つの帯域の間での反応ガスは、前記デバイスによって影響を及ぼされうる。本発明の範囲内で反応帯域1および2に関与するガス流の全部、即ちガス流E、H、PおよびMは、反応ガスと呼称される。
【0047】
反応帯域1は、本発明によれば、有利に気泡形成または攪乱の渦動床として、通常、10〜80cm/秒の空塔速度で運転される。
【0048】
好ましくは、本発明によれば、一面で触媒は、向流で導かれ、他面、種々のガス流E、HおよびMが向流で導かれる。反応帯域2が上記の好ましい実施態様により反応帯域1の下方に配置されている場合には、これは、概して触媒が上方から下方へ流れ、およびガス流E、H、MおよびPが概して下方から上方への流れ方向を有することを意味する。
【0049】
本発明による方法を実施するために特に適した3つの反応器形は、図1に示されている。反応器形(a)は、反応帯域1の範囲内で円筒形に形成されており、反応帯域1の下方に配置されている反応帯域2の範囲内で、同様に反応帯域1のための範囲内の構成と同じ直径で円筒形に形成されている。反応器形(b)を有する反応器は、反応帯域1の範囲内で円筒形に形成されており、反応帯域2のための範囲内で同様に円筒形に、しかし、反応帯域1のための範囲内の構成よりも短い直径で形成されており、および円錐形に形成された移行部を有する。反応器形(c)は、同様に円筒形に形成された、反応帯域1のための範囲を有し、その下方に配置された反応帯域2の範囲内で完全に円錐形に形成されている。反応器を通じての触媒の通路は、"K"で示される。本発明によれば、1つを上廻る反応帯域1および1つを上廻る反応帯域2が存在していてよいが、それぞれ空間的に互いに隣接している、それぞれ少なくとも1つの反応帯域1および少なくとも1つの反応帯域2が存在しなければならない。
【0050】
本発明によれば、触媒は、希釈されずに、または不活性材料と混合されて使用されてよい。不活性材料として、反応帯域中に存在する反応条件で不活性の挙動を取る、即ち反応しない全ての材料が使用されうる。不活性材料として特に触媒に使用される、ドーピングされていない担体が適しているが、しかし、不活性のゼオライト、酸化アルミニウム、二酸化珪素等も適している。不活性材料の粒度は、触媒粒子の大きさの範囲内にある。好ましくは、触媒は、不活性材料と混合されて使用される。不活性材料は、本発明によれば、熱エネルギーを反応帯域1中に導入するために、安価な伝熱媒体として使用される。反応帯域2が反応帯域1の下方に配置されている場合には、触媒と安価な不活性材料との混合は、特に好ましい。それというのも、不活性材料との混合によって反応器または反応床の高さは、大きくなるからである。その結果、流動化された床に沿ってよりいっそう大きな圧力低下をまねく。この場合、反応床の下端部、即ち反応帯域2中には、最も高い圧力が生じる。よりいっそう高い圧力は、再生の際にプラスに作用する。工程Iからのコークスの堆積によって不活性化された触媒を再生するために、この触媒は、本発明によれば、規則的に反応帯域2中で水素で再生される。そのために、触媒は、反応帯域1から反応帯域2に移動され、そこで水素含有ガス流Hにより再生される。次に、再生された触媒は、再び反応帯域1中に返送される。
【0051】
工程IIIでの触媒の再生の際に反応帯域2中で生じる熱は、反応帯域1に供給され、工程IでDHAMに必要とされるエネルギーの適用範囲に貢献する。この場合、熱供給は、反応帯域2から反応帯域1への再生された触媒の少なくとも一部分の移動によって行なわれる。この場合、再生された触媒は、伝熱媒体として使用される。工程IIIでの触媒の再生の際に反応帯域2中で生じる熱の少なくともさらなる一部分は、直接ガス流Mによって反応帯域1に供給される。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、本発明による方法の工程Iでの反応帯域1中に必要とされるエネルギーの一部分は、間接的に、例えば熱交換体束によって反応帯域1中に供給される。
【0053】
更に、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明による方法の工程Iでの反応帯域1中に必要とされるエネルギーの一部分は、工程IV後および工程V前に排出された触媒の少なくとも一部分が場合により存在する不活性材料と一緒に反応帯域1中の温度を上廻る温度に加熱されることにより、供給される。本方法は、さらに本発明によれば、次の工程:
反応体流Eを反応帯域1中に供給し、反応体流Eを非酸化的条件下で粒子状触媒の存在下で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応させ、および生成物流Pを反応帯域1から排出する工程、
堆積されたコークスの結果として減少された活性を有する触媒を反応帯域2中に移動させる工程、
前記触媒を水素含有ガス流Hを供給しながら反応帯域2中で少なくとも部分的に再生し、その際、堆積されたコークスの少なくとも一部分は、メタンに変換され、メタンを含有するガス流Mが生じ、このガス流Mは、少なくとも一部分が反応帯域1に供給される工程、
前記触媒を反応帯域2から排出する工程、
前記触媒の少なくとも一部分を加熱する工程および
加熱された触媒の少なくとも一部分を反応帯域1中に返送する工程を含み、
この場合反応帯域1と反応帯域2とは、空間的互いに隣接するように同じ反応器中に配置されている。この場合、工程IVaで排出された触媒の少なくとも一部分、好ましくは、工程IVaで排出された触媒の全部は、場合により添加された不活性材料と一緒に反応帯域1および2の外側で、反応帯域1の温度を少なくとも50℃、有利に少なくとも75℃、特に有利に少なくとも100℃上廻る温度に加熱される。加熱された触媒の少なくとも一部分、有利に加熱された触媒の全部は、反応帯域1中に返送される。排出された触媒は、直接的または間接的に加熱することができる。好ましくは、排出された触媒は、例えば燃焼ガスが触媒に導通されることにより、直接加熱される。本発明による方法の1つの好ましい実施態様において、不活性ガスは、直接の接触で触媒を加熱する燃焼ガスで加熱される。触媒および場合によっては不活性材料の加熱は、特に当業者に公知の、いわゆるライザー中で実施される。
【0054】
反応帯域1および2を通じての触媒の全ての通過の際に規則的に行なわれる、触媒の再生にも拘わらず、触媒を反応帯域2の外側で再生することは、ときどき有効である。そのために、触媒は、工程Vでの反応帯域2からの排出後および反応帯域1中への返送前に還元および/または酸化により再生され、場合によってはなお活性化される。この付加的な再生工程は、せいぜい触媒のそれぞれ2回目の通過後、有利にせいぜいそれぞれ10回目の通過後、特に有利にせいぜいそれぞれ50回目の通過後に実施される。還元による再生は、再生が還元的雰囲気中、特に水素雰囲気中で行なわれることを意味する。酸化による再生は、酸化的条件で、即ち酸化剤の存在下で、殊に酸素含有ガス、例えば空気の存在下で行なわれる。酸化による再生の場合、触媒上に堆積された炭素は、COおよびCO2に変換される。酸化による再生には、通常、新たに製造された触媒の活性化のために前記したのと同様の反応工程が継続する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による方法を実施するための3つの反応器形(a)、(b)および(c)を示す略図。
【実施例】
【0056】

触媒の再生に使用される水素中でのメタン含量の影響
実施例1
固定床中で、メタンの芳香族化反応のそれぞれ2つの反応サイクルを10時間の持続時間で700℃および周囲圧力で実施した。2つの反応サイクルの間に触媒を750℃ バール(絶対圧)で5時間再生した。
a)純粋な水素での再生
b)水素90体積%とメタン10体積%との混合物での再生。
【0057】
メタンの変換率(反応サイクル中に使用されるメタンに対して)は、メタンおよび水素を含有するガス流での再生の際に、第1表中に示されているように、よりいっそう低い。
【0058】
【表1】

【0059】
再生帯域(反応帯域)の方向へのメタンの逆混合は、再生の効率に不利に影響を及ぼすことになる。
【符号の説明】
【0060】
1、2 反応帯域、 E 反応体流、 H ガス流、 K 反応器を通じての触媒の通路、 M メタン含有ガス流、 P 生成物流
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜C4脂肪族化合物含有反応体流Eを非酸化的に脱水素芳香族化反応させる方法であって、工程:
I.反応体流Eを反応帯域1中に供給し、反応体流Eを非酸化的条件下で粒子状触媒の存在下で芳香族炭化水素含有生成物流Pに反応させ、および生成物流Pを反応帯域1から排出する工程、
II.堆積されたコークスの結果として減少された活性を有する触媒を反応帯域2中に移動させる工程、
III.前記触媒を水素含有ガス流Hを供給しながら反応帯域2中で少なくとも部分的に再生し、その際、堆積されたコークスの少なくとも一部分は、メタンに変換され、メタンを含有するガス流Mが生じ、このガス流Mは、少なくとも一部分が反応帯域1に供給される工程、
IV.前記触媒を反応帯域2から排出する工程、および
V.排出された触媒の少なくとも一部分を反応帯域1中に返送する工程を含み、
この場合反応帯域1と反応帯域2とは、空間的互いに隣接するように同じ反応器中に配置されている、C1〜C4脂肪族化合物含有反応体流Eを非酸化的に脱水素芳香族化反応させる方法。
【請求項2】
工程IV後および工程V前に排出された触媒の少なくとも一部分を加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応帯域1と反応帯域2との間で本質的にガスの逆混合が全く生じない、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
反応帯域1は、触媒粒子および反応ガスに対して透過性である、反応帯域1から反応帯域2への移行部中に配置された、少なくとも1つのデバイスによって反応帯域2と区分される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応帯域2は、渦動床として運転され、この場合本質的には、内部混合は、全く生じない、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応帯域2中には、触媒粒子の内部混合を運転の際に渦動床中で妨げる、少なくとも1つのデバイスが配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応帯域1は、内部混合を有する渦動床として運転される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ガス流Mは、反応帯域1中への進入の際に水素を最大10体積%含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
反応帯域2は、反応帯域1の下方に配置される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒は、工程Vで反応帯域1の上部に供給される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
工程IIIでガス流Hは、反応帯域2の下部に供給される、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
工程Iで反応体流Eは、反応帯域1の下部に供給される、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
本方法は、反応帯域1の範囲内で円筒形に形成され、および反応帯域1の下方に配置された反応帯域2の範囲内で円筒形に、反応帯域1の場合と同じ直径で形成されている(反応器形(a))か、円筒形でよりいっそう小さい直径および円錐形に形成された移行部を有するように形成されている(反応器形(b))か、または完全に円錐形に形成されている(反応器形(c))反応器中で実施される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
触媒は、不活性材料と混合して使用される、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
触媒は、工程IVでの取出し後および工程Vへの返送前に酸化および/または還元により再生され、および場合により反応され、この場合これは、せいぜい2つの反応帯域1および2への触媒のそれぞれの2回目の通過後に実施される、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503828(P2013−503828A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527278(P2012−527278)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062213
【国際公開番号】WO2011/026744
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】