説明

メタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法とその装置およびその方法により生成される生成物とその生成物の回収方法ならびにその回収システム

【課題】二酸化炭素ガスを用いメタン発酵プロセスにより生じた消化液から高濃度の窒素成分を含有する肥料を生成する。
【解決手段】反応槽3は、蒸発部4と凝縮部5と生成部6とが互いに連通されるとともに、それぞれ下側から順に画成されて形成される。蒸発部4に消化液Lを導入し、消化液Lを加熱ヒータ10により加熱して蒸発させ、凝縮部5に導かれた蒸発した気体を冷却器11で凝縮させるとともに、減圧ポンプ13による減圧下で凝縮水Wの温度を高温に保持して凝縮させ、生成部6に導かれたアンモニアにガス導入路21を通じて外部からCOガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物Mfを生成させ、球状担体Cr1で回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法とその装置およびその方法により生成される生成物とその生成物の回収方法ならびにその回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機性廃棄物を発酵させメタンを生成した後に残留する消化液を肥料として利用するには、消化液を濃縮・減量して、貯蔵や輸送、農地への施用の効率化を図り、季節的にも地域的にも偏在する肥料の需要に応える必要がある。メタン発酵処理を経た有機性廃棄物は消化液として排出される。消化液は窒素、リン、カリウムなどを含有しているので、液肥として利用することが期待されている。しかしながら、消化液は、T−N(総窒素)で、1,000−5,000mg/L、T−P(総リン)で、200−800mg/L、T−K(総カリ)で1,000−4000mg/L程度と肥効成分が薄い。このため、消化液を濃縮・減量して、貯蔵や輸送、農地への施用の効率化を図り、季節的も地域的にも偏在する肥料の需要に応える必要がある。
【0003】
従来、消化液の濃縮・減量化を図る取り組みとして、消化液をそのまま、または固形分を脱水機で分離したろ液に対して減圧蒸留を施すことで水分を分離する方法が知られている(非特許文献1および特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の技術は、濃縮装置を、蒸留タンクと、冷却部と、減圧ポンプと、この減圧ポンプと冷却部との間に通路を介して設けられた切替弁と、この切替弁を介して冷却部にそれぞれ連通する第1および第2の受液タンクと、蒸留タンクに設けられたヒータとを備えて構成している。バッチ処理で蒸留タンクから濃度の高いアンモニア凝縮液を第1の受液タンクに導き、アンモニア濃度が低下すると切替弁を切り替え、アンモニア濃度の低下した凝縮液を第2の受液タンクに導き、蒸留タンクから消化液の濃縮液を、第1の受液タンクからアンモニア濃縮蒸留液を、第2の受液タンクから清浄蒸留液をそれぞれ回収するようにしている。このように構成することにより消化液の脱水ろ液を元の3割程度に濃縮するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23434号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】山岡賢、柚山義人、中村真人著「農業土木学会論文集第245号:メタン発酵消化液の脱水ろ液の減圧蒸留による減量」農業土木学会、2006年、p.125−126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、原料のアンモニア性窒素が1000mg/Lの場合、濃縮後のアンモニア性窒素濃度は3000mg/L程度でこれ以上の濃縮が難しいという問題がある。さらに、メタン発酵消化液は、例えば、各種バイオマスからエタノールを生産するに当たりエタノールプロセスから発生する大量の発酵残渣を処理するメタン発酵プロセスにより得られるが、エタノール発酵残渣には窒素分が多く、この窒素分はメタン発酵プロセスで高濃度のアンモニア性窒素に変換され、メタン発酵反応を阻害する。メタン発酵プロセス中の発酵液からアンモニア性窒素成分を抽出するのは難しく、このため、メタン発酵消化液を得るためのメタン発酵反応の安定化を図ることが難しいという問題がある。また、メタン発酵プロセスで得られるバイオガスはメタンガス成分が約60%、二酸化炭素ガス成分は約40%で、かかるプロセスで発生する二酸化炭素を大気に放出すると、環境負荷が大きいという問題がある。さらに、バイオガスをガス発電などで燃焼させると、メタンが二酸化炭素と水に変化するため、燃焼後の排ガスには二酸化炭素が含まれるので、上述のように環境負荷が大きいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、メタン発酵プロセスにより残留した消化液から高濃度の窒素成分を含有する肥料を生成して回収し貯留および輸送の効率化を図るとともに、メタン発酵プロセスにおいてアンモニア濃度を低減化させメタン発酵反応の安定化を図り、しかも、生成に二酸化炭素を利用することにより環境への負荷を軽減することができ、さらに、生成した生成物を効率的に回収することができるメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法とその装置およびその方法により生成される生成物とその生成物の回収方法ならびにその回収システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項1に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させるようにしたことにより、蒸発部に導入された消化液が加熱手段により加熱されて蒸発すると、蒸発した気体は凝縮するものの高温の凝縮水となるので、アンモニアの凝縮水への溶解度が低下し、溶解しきれないアンモニアは気体状態で生成部に達すると、注入された二酸化炭素ガスと反応し、生成部で固体または液体の炭酸アンモニウムの生成物が生成される。この窒素成分を高濃度に含む生成物は肥料として回収される。固体または液体の生成物を回収して管理することにより、窒素および二酸化炭素の環境への排出が抑制される。
【0010】
本発明の請求項2に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、生成部に導入される二酸化炭素ガスに、メタン発酵消化液がメタン発酵プロセスで発生するバイオガスまたはこのバイオガスを燃焼させた際に発生する排気ガスを用いることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、生成部に導入される二酸化炭素ガスに、メタン発酵消化液がメタン発酵プロセスで発生するバイオガスまたはこのバイオガスを燃焼させた際に発生する排気ガスを用いるようにしたことにより、二酸化炭素を固定化して回収するので環境への負荷が軽減される。
【0012】
本発明の請求項3に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項3に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことにより、アンモニア性窒素成分が抽出された窒素成分の少ない蒸発部の貯留液が再びメタン発酵プロセスに戻されるので、メタン発酵プロセスにおけるアンモニア性窒素濃度を低下させることができ、メタン発酵反応が安定化する。
【0014】
本発明の請求項4に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、減圧手段が、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項4に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、減圧手段は、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持するようにしたことにより、凝縮水は、凝縮部で温度が高温に保持されて凝縮される。このため、凝縮水に気体のアンモニアが溶解しにくい。
【0016】
本発明の請求項5に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、減圧手段の排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧手段との間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けら、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項5に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、減圧手段の排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧手段との間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けら、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれるようにしたことにより、両方の濃度が低いと排気管の弁を開いて反応槽内のガスを大気に放出し、二酸化炭素ガス濃度とメタンガス濃度とのうちいずれかの一方の濃度が高い場合、各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれかバイオガスホルダ側の弁が開かれる。このため、反応槽内で消費された二酸化炭素ガスとメタンガスとが回収され、大気中に放出されることがない。バイオガスホルダでは、メタンガス中の二酸化炭素濃度が低下しメタンガスの濃度が高くなる。
【0018】
本発明の請求項6に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法は、蒸発部で蒸発処理された処理済み消化液を生物反応槽に導き水処理することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項6に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、蒸発部で蒸発処理された処理済み消化液を生物反応槽に導き水処理することにより、生物反応槽に導かれる処理済み消化液はアンモニア性窒素濃度が低下しているので、アンモニアによる微生物へのダメージが緩和される。このため、生物反応槽が小型化される。
【0020】
本発明の請求項7に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項7に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させることにより、蒸発部に導入された消化液が加熱手段により加熱されて蒸発すると、蒸発した気体は凝縮するものの高温の凝縮水となるので、アンモニアの凝縮水への溶解度が低下し、溶解しきれないアンモニアは気体状態で生成部に達すると、注入された二酸化炭素ガスと反応し、生成部で固体または液体の炭酸アンモニウムの生成物が生成される。この窒素成分を高濃度に含む生成物は肥料として回収される。固体または液体の生成物を回収して管理することにより、窒素および二酸化炭素の環境への排出が抑制される。
【0022】
本発明の請求項8に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、反応槽の蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項8に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、反応槽の蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことにより、アンモニア性窒素成分が抽出された窒素成分の少ない蒸発部の貯留液が再びメタン発酵プロセスに戻されるので、メタン発酵プロセスにおけるアンモニア性窒素濃度を低下させることができ、メタン発酵反応が安定化する。
【0024】
本発明の請求項9に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、減圧ポンプが、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の請求項9に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、減圧ポンプは、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持することにより、凝縮水は、凝縮部で温度が高温に保持されて凝縮される。このため、凝縮水に気体のアンモニアが溶解しにくい。
【0026】
本発明の請求項10に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、減圧ポンプの排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される第1の連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧ポンプとの間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けら、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項10に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、減圧ポンプの排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される第1の連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧ポンプとの間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けら、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれることにより、両方の濃度が低いと排気管の弁を開いて反応槽内のガスを大気に放出し、二酸化炭素ガス濃度とメタンガス濃度とのうちいずれかの濃度が高い場合、各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか一方の弁が開かれる。このため、反応槽内の二酸化炭素ガスとメタンガスとが回収され、大気中に放出されることがない。
【0028】
本発明の請求項11に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、分岐部には、メタンガス精製ガスホルダに弁を介して連通される第2の連通管が接続され、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じていずれか1つの弁が開かれることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の請求項11に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、分岐部には、メタンガス精製ガスホルダに弁を介して連通される第2の連通管が接続され、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じていずれか1つの弁が開かれることにより、両方の濃度が低いと排気管の弁を開いて反応槽内のガスを大気に放出し、二酸化炭素ガス濃度とメタンガス濃度とのうちいずれかの濃度が高い場合、各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか一方の弁が開かれる。このため、反応槽内の二酸化炭素ガスとメタンガスとが別々に回収され、大気中に放出されることがない。
【0030】
本発明の請求項12に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物は、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物が生成されることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の請求項12に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物が生成されることにより、生成部で生成される生成物は、固体または液体の、二酸化炭素とアンモニアの化合物が生成される。この窒素成分を高濃度に含む生成物は肥料として回収される。固体または液体の生成物を回収して管理することにより、窒素および二酸化炭素の環境への排出が抑制される。この生成物を閉鎖された農作物のハウス(気相遮断部)内で用いると、農作物に対し肥料として作用するだけでなく生成物内に含まれる二酸化炭素により生長が促進される。
【0032】
本発明の請求項13に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成し、生成部には、減圧手段とガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を付着させて回収する生成物回収手段を出し入れ可能に設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収手段に付着させ、生成物が付着された生成物回収手段を生成部から取り出し、生成物回収手段に付着した生成物を回収することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の請求項13に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成し、生成部には、減圧手段とガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を付着させて回収する生成物回収手段を出し入れ可能に設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収手段に付着させ、生成物が付着された生成物回収手段を生成部から取り出し、生成物回収手段に付着した生成物を回収することにより、反応槽の外部で効率的に生成物の回収を行うことができ、作業を効率的に行うことができる。
【0034】
本発明の請求項14に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、生成物回収手段を、通気部が形成され生成部に配置される担体収容手段と、この担体収容手段に互いに通気を許す空隙を確保して多数収容され生成物を表面に付着させる担体とを備えて構成し、生成部内で生成物が生成されると、生成された生成物を担体表面に付着させ、担体を生成部から取り出して回収することを特徴とするものである。
【0035】
本発明の請求項14に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、生成物回収手段を、通気部が形成され生成部に配置される担体収容手段と、この担体収容手段に互いに通気を許す空隙を確保して多数収容され生成物を表面に付着させる担体とを備えて構成し、生成部内で生成物が生成されると、生成された生成物を担体表面に付着させ、担体を生成部から取り出して回収することにより、担体を生成部に配置された担体収容手段に収容させ、この担体の表面に生成部内で生成物を付着させ、担体表面に生成物に付着されると、担体を生成部から取り出して回収し、反応槽の外部で担体に付着した生成物を担体から分離させ、担体を処理するだけで生成物を分離することができるので、作業が効率化される。
【0036】
本発明の請求項15に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、担体収容手段を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着した後、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とするものである。
【0037】
本発明の請求項15に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、担体収容手段を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着した後、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことにより、生成部内への担体の出し入れ作業を容易に行うことができ、作業が効率化される。
【0038】
本発明の請求項16に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、担体収容手段を、生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容される担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着した後、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とするものである。
【0039】
本発明の請求項16に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、担体収容手段を、生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容される担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着した後、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことにより、担体を一度にまとめて生成部内に投入したり、取り出し時に一度にまとめて取り出すことができ、投入作業や回収作業が効率化される。
【0040】
本発明の請求項17に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物とを分離することを特徴とするものである。
【0041】
本発明の請求項17に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物とを分離することにより、担体を処理するだけで生成物を分離することができ、生成物の分離作業が効率化される。
【0042】
本発明の請求項18に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、担体表面には、予め粉状炭化物を塗し、塗された炭化物に生成物を付着させ、炭化物に生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物が付着した炭化物とを分離することを特徴とするものである。
【0043】
本発明の請求項18に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、担体表面には、予め粉状炭化物を塗し、塗された炭化物に生成物を付着させ、炭化物に生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物が付着した炭化物とを分離することにより、分離作業により担体から分離された生成物が付着された炭化物は土壌改良材として利用することができるだけでなく、アンモニア性窒素成分を含むので、肥料としても利用することができる。
【0044】
本発明の請求項19に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法は、担体を、炭化物片または不揮発性の酸溶液を吸収させた炭化物片のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した炭化物片を生成部から回収した後、生成物の付着した炭化物片を得ることを特徴とするものである。
【0045】
本発明の請求項19に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、担体を、炭化物片または不揮発性の酸溶液を吸収させた炭化物片のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した炭化物片を生成部から回収した後、生成物の付着した炭化物片を得ることにより、生成物が付着した炭化物片は、土壌改良材として利用することができるだけでなく、アンモニア性窒素成分を含むので、肥料としても利用することができる。
【0046】
本発明の請求項20に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムは、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を担体に付着させて回収する生成物回収機構を設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収機構により担体に付着させ、生成物が付着された担体を生成部から取り出し、担体に付着した生成物を回収することを特徴とするものである。
【0047】
本発明の請求項20に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムでは、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を担体に付着させて回収する生成物回収機構を設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収機構により担体に付着させ、生成物が付着された担体を生成部から取り出し、担体に付着した生成物を回収することにより、生成物回収機構により担体を生成部に出し入れして生成物を回収することができ、効率的に生成物の回収を行うことができ、作業を効率的に行うことができる。
【0048】
本発明の請求項21に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムは、生成物回収機構を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着されると、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とするものである。
【0049】
本発明の請求項21に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムでは、生成物回収機構を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着されると、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことにより、生成部内への担体の出し入れ作業を容易に行うことができ、作業が効率化される。
【0050】
本発明の請求項22に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムは、生成物回収機構を、生成部に形成された出し入れ口に開閉自在に設けられた開閉扉を通じて生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容可能な担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着すると、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とするものである。
【0051】
本発明の請求項22に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムでは、生成物回収機構を、生成部に形成された出し入れ口に開閉自在に設けられた開閉扉を通じて生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容可能な担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着すると、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことにより、担体を一度にまとめて生成部内に投入したり、取り出し時に一度にまとめて取り出すことができ、投入作業や回収作業が効率化される。
【0052】
本発明の請求項23に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムは、担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成したことを特徴とするものである。
【0053】
本発明の請求項23に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムは、担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成したことにより、担体を処理するだけで生成物を分離することができ、生成物の分離作業が効率化される。
【発明の効果】
【0054】
本発明の請求項1に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させるようにしたので、メタン発酵プロセスにより残留した消化液から高濃度の窒素成分を含有する肥料を固体または液体で回収することができ、貯留および輸送の効率化を図ることができる。
【0055】
本発明の請求項7に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させるようにしたので、簡素な構造で、メタン発酵プロセスにより残留した消化液から高濃度の窒素成分を含有する肥料を固体または液体で回収することができ、貯留および輸送の効率化を図ることができる。
【0056】
本発明の請求項12に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成された生成物では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物が生成されるようにしたので、生成された生成部は高濃度の窒素成分を含有する肥料を、固体または液体の形で得ることができ、貯留および輸送の効率化を図ることができる。さらに、生成物を肥料としてだけでなく農作物の生長促進剤としても利用できる。
【0057】
本発明の請求項13に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法では、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成し、生成部には、減圧手段とガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を付着させて回収する生成物回収手段を出し入れ可能に設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収手段に付着させ、生成物が付着された生成物回収手段を生成部から取り出し、生成物回収手段に付着した生成物を回収するようにしたので、生成物を効率的に回収することができ、作業を効率的に行うことができる。
【0058】
本発明の請求項20に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システムでは、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を担体に付着させて回収する生成物回収機構を設け、メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収機構により担体に付着させ、生成物が付着された担体を生成部から取り出し、担体に付着した生成物を回収するようにしたので、生成物を効率的に回収することができ、作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は本発明の第1の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置を概念的に示す説明図である。(実施例1)
【図2】図2の(A)、(B)はそれぞれ、図1の窒素抽出・固定化装置への消化液と二酸化炭素ガスとの出入りを模式的に示す説明図およびバイオガスをガス発電装置に利用した際の消化液と二酸化炭素ガスとの出入りを模式的に示す説明図である。
【図3】図3は図1の窒素抽出・固定化装置で槽内のメタンガスと二酸化炭素ガスを処理する一例を示す説明図である。
【図4】図4は図1の窒素抽出・固定化装置と発酵システムとの間で消化液を全還流する例を示す説明図である。
【図5】図5は図1の窒素抽出・固定化装置で生成された生成物を作物を栽培する土壌に投入した例を示す説明図である。
【図6】図6は図1の窒素抽出・固定化装置で処理された窒素成分が減少した処理済み消化液(ろ液)生物反応槽に導く例を示す説明図である。
【図7】図7は図1の窒素抽出・固定化装置をバイオマス利活用システムに適用した例を示す概念図である。
【図8】図8は本発明の第2の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置を概念的に示す説明図である。(実施例2)
【図9】図9は図8の要部を模式的に示す説明図である。
【図10】図10は第2の実施例の変形例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置の要部を模式的に示す説明図である。(実施例3)
【図11】図11は第2の実施例の変形例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置の要部を示す説明図である。(実施例4)
【図12】図12は第3の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置の要部を模式的に示す説明図である。(実施例5)
【図13】図13は第3の実施例の変形例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置の要部を模式的に示す説明図である。(実施例6)
【図14】図14の(A)ないし(C)はそれぞれ、担体として、木炭、消化液炭および酸処理済み木炭を用いて実際に実験を行った結果を示す比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
メタン発酵消化液からアンモニアを抽出して固定し回収するという目的を、反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とをそれぞれ設け、凝縮部で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させるように構成し、有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させて回収することにより実現した。
【実施例1】
【0061】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置を概念的に示す説明図である。本実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置2は、反応槽3を備えて構成される。反応槽3は、蒸発部4と凝縮部5と生成部6とが互いに連通されるとともに、それぞれ下側から順に画成されて形成される。蒸発部4には、加熱ヒータ(加熱手段)10が、凝縮部5には、冷却器11が、生成部6には、内部に固形物生成器12がそれぞれ設けられる。蒸発部4には、発酵システム7のメタン発酵プロセスによりバイオマス等(有機性廃棄物)を消化させて残留した窒素成分の多いメタン発酵消化液(ろ液)Lが導入されるようになっている。発酵システム7から蒸発部4への消化液(ろ液)Lの導入は、バッチ処理により行ってもよいし連続処理でもよい。また、蒸発部4には、消化液(ろ液)Lを水滴状にして導入してもよいし、霧状にして導入してもよい。
【0062】
生成部6の上部には、減圧ポンプ13が設けられる。減圧ポンプ13は、反応槽3内の圧力を、蒸発部4の液温検出計(図示せず)の液温検出データに基づいて制御装置(図示せず)により所定の負圧に保持するようになっている。すなわち、減圧ポンプ13は、蒸発部4の加熱された液温Lに応じて反応槽3内が飽和水蒸気圧以下に保持されるよう構成される。固形物生成器12は、生成部6で生成される固体または液体の生成物を取り込み回収するようになっている。すなわち、固形物生成器12は、その壁面に凹凸または多数の小室を設けて表面積を増大させ、その壁面に付着した生成物Mfを刀や羽根のような掻き取り具を用いて掻き取り回収するようにしている。
【0063】
減圧ポンプ13の排気側は、大気に弁V1を介して開放される排気管15と、メタンガス精製ガスホルダ18に弁V2を介して連通される第1の連通管16とバイオガスホルダ8に弁V3を介して連通される第2の連通管17とが分岐して接続される。この分岐部と減圧ポンプ13との間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計20が設けられる。各弁V1〜V3は、濃度計20が検知したメタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて、これらメタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度とに対して予め設定された閾値C1(%)、C2(%)との比較によりいずれか1つの弁V1、V2、V3を開き、他の弁を閉じるようになっている。
【0064】
ところで、生成部6には、下部に、すなわち、凝縮部5側に、二酸化炭素ガスを生成部6に導入するガス導入路21が設けられる。このガス導入路21には、発酵システム7のメタン発酵プロセスで発生したバイオガスを溜めるガスホルダ8(図2の(A)参照)から二酸化炭素ガス成分を導入するようにしてもよいし、バイオガスをガス発電装置30(図2の(B)参照)などで燃焼させた後の排ガスに含まれる二酸化炭素ガスを導入するようにしてもよい。また、工業的に排出された二酸化炭素ガスであってもよい。なお、メタン発酵プロセスで得られるバイオガスはメタンガス成分が約60%、二酸化炭素ガス成分は約40%である。
【0065】
次に、本発明に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法を、上記本実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置2の作用に基づいて説明する。まず、メタン発酵プロセスの発酵システム7で有機性廃棄物(バイオマス)を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を濾過したろ液Lを反応槽3の蒸発部4に導入する。この消化液(ろ液)Lは、高濃度のアンモニア性窒素を含んでいる(T−Nで、1,000−5,000mg/L)。次に、蒸発部4に導入された消化液(ろ液)Lを加熱ヒータ10で加熱する。加熱され高温となった消化液(ろ液)Lは、蒸発し、水蒸気とアンモニアを含む蒸発した気体は蒸発部4内を上昇し凝縮部5に導かれ冷却器11により冷却されて水分が凝縮される。このとき、減圧ポンプ13は、蒸発部4の消化液(ろ液)Lの液温に応じて、反応槽3内が飽和水蒸気圧以下に保持されるように減圧される。このため、凝縮部4では、水の蒸発潜熱は奪うが凝縮水Wの温度は低下させないで高温に保持する。この凝縮水Wには、気体となったアンモニアが再び溶解しようとするが、凝縮水Wの温度が高温に保持されるため、アンモニアの水への溶解度が低下し、溶解しきれないアンモニアが気体の状態のまま生成部6に達する。高温に保持されアンモニア成分の少ない凝縮水Wは蒸発部4に落下して戻り加熱される。こうして蒸発部4で加熱される消化液(ろ液)Lは窒素成分が徐々に減少してゆく。
【0066】
生成部6に達した気体状態のアンモニアは、ガス導入路21から注入される二酸化炭素ガスと反応し、二酸化炭素とアンモニアとの化合物が、すなわち、炭酸アンモニウム、カルバミン酸炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の固形物(固体または液体)が生成され、固定物生成器12に取り込まれ回収される。このため、窒素および二酸化炭素の環境への排出が抑制される。こうして生成部6では、窒素成分濃度が高く、炭素成分(二酸化炭素)が液体または固体の状態で高濃度に含まれる生成物Mfが得られ、肥料として用いることができる。この生成物Mfは、液体または固体の状態で回収されるので、貯留および輸送の効率化を図ることができる。また、生成物Mfは、高濃度の窒素成分と二酸化酸素成分を含むので、図5に示すように、この生成物Mfを閉鎖された農作物32のハウス(気相遮断部)31内で用いると、農作物32に対し肥料として作用するだけでなく生成物Mf内に含まれる二酸化炭素により生長が促進される。
【0067】
また、処理の進行に伴い、蒸発部4に戻る凝縮水Wの量が増大すると、蒸発部4の消化液(ろ液)Lは窒素成分が減少する。このため、蒸発部4の窒素成分が減少した処理済み消化液(ろ液)Lcを発酵システム7に戻すと、メタン発酵プロセスにおいてアンモニア濃度を低減化させメタン発酵反応の安定化を図ることができる。また、生成物Mfの生成に二酸化炭素ガスを利用することにより環境への負荷を軽減することができる。
【0068】
さらに、本実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置2では、図1および図3に示すように、減圧ポンプ13の排気側に濃度計20と、分岐管15、16、17とを設け、弁V1〜V3を介して分岐管15、16、17がそれぞれ、大気とメタンガス精製ガスホルダ18とバイオガスホルダ8とに連通しているので、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じていずれか1つの弁を開くと、反応槽3内のメタンガスまたは二酸化炭素ガスを各ホルダ18、19に回収できるようになっている。減圧ポンプ13を運転している間は、弁V1〜V3のうちいずれか1の弁のみが開かれ、排気可能としている。各弁V1〜V3は逆流防止機構を備え、圧力調整のため減圧ポンプ13が停止する際にはガスの逆流を防ぐようになっている。各弁V1〜V3は、濃度計20が検知したメタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて、これらメタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度とに対して予め設定された閾値C1(%)、C2(%)との比較によりいずれか1つの弁V1、V2、V3を開き、他の弁を閉じるようになっている(図3の(B)、各弁V1〜V3の開閉条件参照)。弁V1〜V3の開閉を、CHおよびCOガス濃度計20の設定値で行う場合の対応は、図3の(B)に示す各弁V1〜V3の開閉条件の表に示すとおりである。この表中、「高」「低」は、CH濃度、CO濃度をそれぞれ予め設定した閾値C1(%)、C2(%)との比較によって判断するようにしている。すなわち、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度のいずれも閾値C1、C2に比較して低い場合、弁V2、V3を閉じて弁V1を開き、反応槽3内の気体を大気に開放する。メタンガス濃度が二酸化炭素ガス濃度より閾値C1、C2に比較して高い場合、弁V1、V3を閉じて弁V2を開き、反応槽3内の気体をメタンガス精製ガスホルダ18に導き、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度とがいずれも閾値C1、C2に比較して高い場合、弁V1、V2を閉じて弁V3を開き、反応槽3内の気体をバイオガスホルダ8に導くようになっている。ガスの分類精度を高く求めない場合や装置2の運転が安定する場合、弁V1〜V3の開閉はタイマー制御などによる簡易な制御でもよい。なお、発酵システム7のこのバイオガスホルダ8に代えて、別の二酸化炭素ガスのガスホルダとしてもよい。さらに、メタンガス精製ガスホルダ18を設けない場合、連通管16、17を統合して、ガスホルダ8と大気側のみとしてもよい。
【0069】
図6は、蒸発部4の消化液(ろ液)Lが処理の進行に伴い窒素成分が減少した処理済み消化液(ろ液)Lcとなった場合、この処理済み消化液(ろ液)Lcを発酵システム7に代えて、生物反応槽40に導き水処理するようにした例を示している。窒素成分が少ない処理済み消化液(ろ液)Lcを生物反応槽40に導くことにより、生物反応槽40では、アンモニアによる微生物へのダメージが緩和される。このため、生物反応槽を小型化することができる。
【実施例2】
【0070】
上記実施例の装置2とほぼ同一の構成を備えた実験装置により、バイオエタノール廃液処理に対し対応が可能かどうかについて、メタン発酵プロセスでのアンモニア性窒素濃度の制御について実験を行った。
室内実験では、液温58℃、槽内圧力145hPa設定で、図4に示すように約3時間全還流を行うと、消化液は体積変化はないものの、アンモニア性窒素濃度が約40%低下した。浮遊物質量は約17%低下した。粘度は約29%低下した。
以上のことから、アンモニアガスの取り出しの際の還流を全還流とすると、原料液の水分をほとんど変化させることなしに、アンモニアガスを取り出すことが可能であるので、バイオエタノール廃液等の窒素分の多いバイオマスを原料とするメタン発酵プロセスに、本発明を適用することで、メタン発酵プロセスでのアンモニア性窒素濃度を制御することが可能となり、メタン発酵プロセスでの処理が安定化されることが判明した。
【実施例3】
【0071】
上記実施例の装置2とほぼ同一の構成を備えた実験装置により生成された生成物Mfについて分析を行った。生成された生成物(固体)Mfは、重量割合で窒素を約12%、炭素を約11%含有していた。言い換えるならば、アンモニア性窒素濃度が約1500mg/Lの原料1kgから、1000mg/L分のアンモニア性窒素濃度相当分を取り出すと、約8gの生成物(固体)が生成される。この生成物には、約0.88gの炭素が含まれる。これを二酸化炭素に換算すると、3.2gとなる。このように、生成物(固体または液体)Mfを密閉して保管することにより、窒素および炭素の環境への排出が抑えられる。
【実施例4】
【0072】
上記実施例の装置2とほぼ同一の構成を備えた実験装置により生成された生成物Mfについて、図5に示すようなハウス31等の閉鎖空間で栽培する条件について土壌に生成物Mfを添加して実験を行った。
生成された生成物Mfを土壌に添加すると、速やかに添加量の約40%の炭素が二酸化炭素ガスとなる。1mの空間(0℃、1気圧)で500ppmのCO量は982mgで生成物(固体)Mfの炭素割合11%で含有炭素のCO転換率40%とすると、生成物(固体)は約6gとなる。土壌に添加された固形物中の窒素は、蒸留水で抽出して測定したところ、約30%をアンモニア性窒素または硝酸性窒素として回収できた。このため、土壌に添加された固形物中の窒素は植物が利用可能である。つまり、生成された生成物Mfを閉鎖空間での作物の栽培に適用すると、肥効成分である窒素と光合成に用いられる二酸化炭素が同時に簡単に供給できる。なお、生成物Mfは露地へ窒素肥料として投入可能である。この場合、生成物Mf中の二酸化炭素は大気に放出されるが、生成物Mfの生成にバイオマス由来の二酸化炭素を用いた場合、その二酸化炭素はカーボンニュートラルとして地球温暖化ガスの排出量にカウントされるものではない。
【実施例5】
【0073】
上記実施例の装置2とほぼ同一の構成を備えた実験装置により生成された生成物Mfについて、利用するバイオガスのメタン濃度を向上させるかどうかについて分析を行った。
メタン発酵プロセスで取り出されるバイオガスは、純粋なメタンガスに比べて発熱量が約2割少ない。これは二酸化炭素を約40%含有するためである。このため、バイオガスの精製技術が開発されているが、本発明では、反応槽内を減圧して空気を排除し、蒸気を冷却して水分を凝縮した後に、バイオガスを注入し、バイオガス中の二酸化炭素をアンモニアガスに反応させているので、バイオガス中の二酸化炭素濃度を簡易に減少させることができる。このため、バイオガスの熱量を増大させることができる。すなわち、上述の如く、アンモニア性窒素濃度が約1500mg/Lの原料1kgから、1000mg/L分のアンモニア性窒素濃度相当分を取り出すと、約8gの生成物(固体)が生成される。この生成物には、約0.88gの炭素が含まれる。これを二酸化炭素に換算すると、3.2gとなる。この二酸化炭素量は、約4Lのバイオガス中の二酸化炭素量に相当する。
【0074】
なお、上記実施例について、メタン発酵後の消化液について、消化液から固形分を除去したろ液について述べたがこれに限られるものではなく、固形分を含む消化液についても適用可能であることはいうまでもない。また、上記実施例では、反応槽3の蒸発部4と凝縮部5と生成部6とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部4に戻し、蒸発部4の貯留液Mをメタン発酵プロセスのシステム7に戻すようにしているがこれに限られるものではなく、凝縮水Wを反応槽3と別のタンクに回収し、窒素成分の少ない凝縮水Wを蒸発部4の消化液(ろ液)Lと混ぜないようにして処理してもよい。
【実施例6】
【0075】
次に、本発明の第2の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置について説明する。本発明の第2の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置は、上記第1の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置が生成部6内部の固形物生成器12の壁面に凹凸または多数の小室を設けて表面積を増大させ、その壁面に付着した生成物Mfを刀や羽根のような掻き取り具を用いて回収対象の生成物(固形物、析出物)Mfを掻き取り回収するようにしているのに対し、これら生成物Mfを回収する回収システムを設けた点が異なっている外は、上記第1の実施例とほぼ同一の構成を備えている。すなわち、本発明の第2の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置102は、図8に示すように、反応槽3の生成部6に生成部6内で生成される生成物Mfを担体(生成物回収手段)Cr1に付着させて回収する生成物回収機構(生成物回収手段)103を設けている。なお、図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。
【0076】
生成物回収機構103は、生成部6の室を上下に区画し傾斜して配置され通気孔104Aが多数穿設された通気プレート104と、通気プレート104の上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口105に開閉自在に設けられた投入扉106と、通気プレート104の傾斜下端側で生成部6の壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口107に開閉自在に設けられた取り出し扉108とを備えて構成される。担体Cr1は、ガラスまたはポリプロピレン(硬質合成樹脂)、金属等の硬質材を、好ましくは直径数mm以上の球状に形成して構成される。球状担体Cr1は、通気プレート104と生成部6の壁面とにより区画される空間内に多数投入されると、互いに通気を許す空隙を確保するようになっており、この通気の空隙を生成物Mfが通過すると、その表面にこれら生成物Mfを付着させるようになっている。
【0077】
すなわち、窒素抽出・固定化装置102では、図9に示すように、生成部6の投入扉106を開き、球状担体Cr1を通気プレート104と生成部6の壁面とにより区画される空間内に多数投入して、投入扉106を閉じると、担体Cr1は、球状に形成されているため、互いに通気を許す空隙を確保して生成部6内に収容される。そして、生成部6内でガス導入路21から注入される二酸化炭素ガスとアンモニアガスが反応し、二酸化炭素とアンモニアとの化合物が、すなわち、炭酸アンモニウム、カルバミン酸炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の生成物Mfが生成されると、生成物Mfは通気プレート104を通じて球状担体Cr1の収容されている空間に流れ込み球状担体Cr1間に形成される空隙を通過する。このとき、生成物Mfは球状担体Cr1の表面に付着する。担体Cr1は表面が球状であるため生成物Mfが触れる面積を大きく取ることができる。球状担体Cr1間の空隙は、生成物Mfが付着する空間であるとともに、余剰の気体を減圧ポンプ13が吸引する気道ともなる。球状担体Cr1では、三次元的に多数の気道を形成するので、生成物Mfの付着により部分的に空隙を閉塞しても、気道が確保されるようになっている。こうして、球状担体Cr1の表面に生成物Mfが付着すると、図9に示すように、取り出し扉8を開き、生成物Mfが付着した球状担体Cr1を外部に取り出す。このとき、通気プレート104は傾斜して配置され、しかも、取り出し扉108を開いた際に開口する取り出し口107は、通気プレート104の傾斜下端側に形成されているので、球状担体Cr1は自重により取り出し口107からこぼれ落ちるようになっている。このため、取り出し口107に図示しない受け容器をセットして取り出し扉108を開くと、生成物Mfが付着した球状担体Cr1を回収できるようになっている。
【0078】
生成物Mfが付着した球状担体Cr1が外部に取り出されて回収されると、これら生成物Mfが付着した球状担体Cr1同士または球状担体Cr1と床、あるいはこれら球状担体Cr1と削ぎ落とし材(図示せず)とを擦り合わせ、球状担体Cr1の表面から付着した生成物Mfを分離するようにしている。担体Cr1は球状に形成されているので、削ぎ落としやすい。生成物Mfが分離された球状担体Cr1は、再び投入扉106を開いて投入口105から生成部6内に投入されるようになっている。こうして、硬質材からなる球状担体Cr1は、生成部6に投入されては、生成部6内で生成物Mfが付着され、生成物Mfが付着すると、外部に取り出されて、擦り合わせにより生成物Mfと分離され、生成物Mfが分離されると、生成部6への投入を繰り返し、何度も利用されるようになっている。このため、本実施例に係る窒素抽出・固定化装置102では、固形物生成器12の壁面に付着した生成物Mfを削ぎ取るのに比べて、生成物Mfを効率的に回収することができ、作業が効率化される。
【実施例7】
【0079】
次に、上記第2の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置102の変形例について説明する。変形例に係る窒素抽出・固定化装置202は、図10に示すように、上記第2の実施例と同じ球状担体Cr2を生成部6に投入する前に、球状担体Cr2の表面を水で濡らし、粉状の炭化物Cbを塗りつけ、その後、粉状炭化物Cbが塗りつけられた球状担体Cr2を生成部6に投入するようにした点を除いて上記第2の実施例とほぼ同一の構成を備えている。すなわち、生成部6内では、球状担体Cr2の表面に粉状炭化物Cbが塗りつけられており、生成物Mfは粉状炭化物Cbに付着されるようになっている。粉状炭化物Cbは、例えば、牛糞や汚泥などを炭化させて得られるものである。球状担体Cr2への塗着は、例えば、水を散布したり、水に漬けた後取り出して、表面を水濡れさせた球状担体Cr2に、粉状炭化物Cbを散布したり、粉状炭化物Cbの上に水濡れした球状担体Cr2を転がして行う。水は清浄なのものであってもよいし、消化液や脱水ろ液を用いてもよい。粉状炭化物Cbは、相当量の窒素を含有するものの、炭化物中の窒素は固定されており、植物には利用されにくい。一方、粉状炭化物Cbは、その原料によってカリウムが豊富であったり(牛糞)、リンが豊富であったり(汚泥)で、しかも、それらカリウムやリンはいずれもク溶性成分が多く植物に利用されやすい。球状担体Cr2は、生成部6内で表面に塗りつけられた粉状炭化物Cbに生成物Mfが付着すると、外部に取り出され、粉状炭化物Cbに生成物Mfが付着した球状担体Cr2が回収されると、これら粉状炭化物Cbに生成物Mfが付着した球状担体Cr2同士または球状担体Cr2と床、あるいはこれら球状担体Cr2と削ぎ落とし材(図示せず)とを擦り合わせ、球状担体Cr2の表面から付着した生成物Mfとともに粉状炭化物Cbを分離するようにしている。生成物Mfと粉状炭化物Cbとが分離された球状担体Cr1は、再び生成部6内に投入されるようになっている。こうして、分離された生成物Mfには、粉状炭化物Cbが混入することになるので、生成物Mfに含まれるアンモニア性窒素に加え、肥料成分のカリウムやリンが含まれることになるので、肥料としての有効性を向上させることができる。
【0080】
なお、この変形例では、球状担体Cr1を生成部6に投入する前に粉状炭化物を塗着するようにしているがこれに限られるものではなく、投入中、あるいは投入後担体Cr2の表面を水で濡らし、粉状炭化物を表面に付けるようにしてもよい。また、上記第2の実施例およびその変形例では、担体Cr1、Cr2と生成物回収機構103とにより生成物回収手段を構成するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、図11に示すように、生成部6内に生成物Mfを付着させる付着部材Cr1、Cr2を網袋304に収容し、この網袋304を生成部6に出し入れ可能に配置するようにしてもよい。
【実施例8】
【0081】
次に、第3の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置402の変形例について説明する。第3の実施例に係る窒素抽出・固定化装置402は、上記第2の実施例およびその変形例では、生成物Mfを回収する担体として硬質部材を球状に形成した球状担体Cr1、Cr2を用いているのに対し、担体Cr3を不規則な形状の炭化物片により構成した点が異なる外は、上記第2の実施例とほぼ同一の構成を備えている。すなわち、第3の実施例に係る窒素抽出・固定化装置402は、図12に示すように、炭化物片の担体Cr3を投入扉106から生成部6に投入し、生成物Mfを担体Cr3自体に付着させ、生成物Mfが付着した担体Cr3を外部に取り出すようにしている。炭化物片の担体Cr3は不規則な形状となっているので、積み重ね時、通気プレート104と生成部6の壁面とにより区画される空間内に多数投入されると、互いに通気を許す空隙が確保されるようになっている。こうして取り出された担体Cr3は、上記変形例と同様に、炭化物片Cr3に生成物Mfが付着しているので、アンモニア性窒素に加え、肥料成分のカリウムやリンが含まれることになり、肥料としての有効性が増大する。このため、農地に施用することで短期的には、窒素肥料として、また、長中期的には土壌改良資材として効果を発揮する。
【実施例9】
【0082】
次に、上記第3の実施例に係るメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置502の変形例について説明する。この変形例に係る窒素抽出・固定化装置502は、上記第3の実施例では、生成物Mfを付着させて回収する担体Cr3を炭化物片から構成しているのに対し、不揮発性の酸溶液を吸収させた炭化物片からなる担体Cr4で構成した点を除き、上記第3の実施例とほぼ同一の構成を備えている。この変形例に係る窒素抽出・固定化装置502は、図13に示すように、担体Cr4を酸処理したことから、生成部6内で生成物Mfを付着させる際、アンモニアの添着効率が増大し、取り出されたCr4に付着するアンモニア性窒素の含有量が増大し、生成部6におけるアンモニア性窒素の除去効率を向上させるとともに、取り出された担体Cr4の肥料としての有効性も向上する。
【実施例10】
【0083】
図14の(A)〜(C)はそれぞれ、担体として、木炭(第3の実施例参照)、消化液炭、酸処理済み木炭(第3の実施例の変形例参照)を用いて実際に実験を行い、これら担体のアンモニア性窒素の添着・回収の割合を示すもので、このデータから、酸処理した木炭がアンモニア性窒素をより多く吸着することがわかる。
【0084】
なお、上記第2の実施例の変形例について、第3の実施例の変形例に示すように、粉状炭化物Cbに不揮発性の酸溶液を吸収させて用いるようにしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0085】
2 窒素抽出・固定化装置
3 反応槽
4 蒸発部
5 凝縮部
6 生成部
10 加熱ヒータ(加熱手段)
11 冷却器(凝縮手段)
13 減圧ポンプ
21 ガス導入路
W 凝縮水
L 消化液
Mf 生成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、
メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させることを特徴とするメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項2】
生成部に導入される二酸化炭素ガスに、メタン発酵消化液がメタン発酵プロセスで発生するバイオガスまたはこのバイオガスを燃焼させた際に発生する排気ガスを用いることを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項3】
蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことを特徴とする請求項1または2に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項4】
減圧手段は、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項5】
減圧手段の排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧手段との間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けられ、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれることを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項6】
蒸発部で蒸発処理された処理済み消化液を生物反応槽に導き水処理することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法。
【請求項7】
反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成し、
メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物を生成させることを特徴とするメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置。
【請求項8】
反応槽の蒸発部と凝縮部と生成部とを下側から順に設け、凝縮水を蒸発部に戻し、蒸発部の貯留液をメタン発酵プロセスに戻すことを特徴とする請求項7に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置。
【請求項9】
減圧ポンプは、減圧時、減圧の圧力が蒸発部の加熱された液温に応じて反応槽内を飽和水蒸気圧以下に保持することを特徴とする請求項7または8に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置。
【請求項10】
減圧ポンプの排気側には、大気に弁を介して開放される排気管とメタン発酵プロセスで発生するバイオガスが収容されるバイオガスホルダに弁を介して連通される第1の連通管とが分岐して接続されるとともに、この分岐部と減圧ポンプとの間には、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度を検出する濃度計が設けられ、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じて設定された条件に基づいていずれか1つの弁が開かれることを特徴とする請求項7ないし9のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置。
【請求項11】
分岐部には、メタンガス精製ガスホルダに弁を介して連通される第2の連通管が接続され、減圧時、メタンガス濃度と二酸化炭素ガス濃度との各濃度に応じていずれか1つの弁が開かれることを特徴とする請求項10に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化装置。
【請求項12】
反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧手段とガス導入路とを設けて構成し、
メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させ、生成物が生成されることを特徴とするメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物。
【請求項13】
反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成し、生成部には、減圧手段とガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を付着させて回収する生成物回収手段を出し入れ可能に設け、
メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧手段による減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収手段に付着させ、生成物が付着された生成物回収手段を生成部から取り出し、生成物回収手段に付着した生成物を回収することを特徴とするメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項14】
生成物回収手段を、通気部が形成され生成部に配置される担体収容手段と、この担体収容手段に互いに通気を許す空隙を確保して多数収容され生成物を表面に付着させる担体とを備えて構成し、生成部内で生成物が生成されると、生成された生成物を担体表面に付着させ、担体を生成部から取り出して回収することを特徴とする請求項13に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項15】
担体収容手段を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着した後、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とする請求項14に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項16】
担体収容手段を、生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容される担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着した後、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とする請求項14に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項17】
担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物とを分離することを特徴とする請求項14ないし16のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項18】
担体表面には、予め粉状炭化物を塗し、塗された炭化物に生成物を付着させ、炭化物に生成物が付着した担体を生成部から回収した後、担体と生成物が付着した炭化物とを分離することを特徴とする請求項17に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項19】
担体を、炭化物片または不揮発性の酸溶液を吸収させた炭化物片のうちいずれか1により構成し、生成物が付着した炭化物片を生成部から回収した後、生成物の付着した炭化物片を得ることを特徴とする請求項14ないし16のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収方法。
【請求項20】
反応槽を、導入された液を加熱手段により加熱して蒸発させる蒸発部と、蒸発した気体を凝縮手段により凝縮させる凝縮部と、導かれた気体を液体または固体の生成物に生成する生成部とに区画して互いに連通させて形成するとともに、生成部には減圧ポンプとガス導入路とを設けて構成するとともに生成部内で生成される生成物を担体に付着させて回収する生成物回収機構を設け、
メタン発酵プロセスにより有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液を蒸発部に導入し、導入された消化液を加熱手段により加熱して蒸発させ、凝縮部に導かれた蒸発した気体を減圧ポンプによる減圧下で凝縮水の温度を高温に保持して凝縮させ、生成部に導かれた気体に外部から二酸化炭素ガスを注入してアンモニアガスと反応させて生成物を生成させると、これら生成された生成物を生成物回収機構により担体に付着させ、生成物が付着された担体を生成部から取り出し、担体に付着した生成物を回収することを特徴とするメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システム。
【請求項21】
生成物回収機構を、生成部の室を上下に区画し傾斜して配置され孔が多数穿設された通気プレートと、通気プレートの上方で生成部の一部に担体を投入可能に形成された投入口に開閉自在に設けられた投入扉と、通気プレートの傾斜下端側で生成部壁面に担体を取り出し可能に形成された取り出し口に開閉自在に設けられた取り出し扉とを備えて構成し、担体を投入口から通気プレート上に投入し、担体に生成物が付着されると、取り出し口から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とする請求項20に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システム。
【請求項22】
生成物回収機構を、生成部に形成された出し入れ口に開閉自在に設けられた開閉扉を通じて生成部に出し入れ可能に配置される網状の収容袋体と、この網状収容袋体に多数収容可能な担体とを備えて構成し、網状収容袋体に担体を多数収容させて生成部に配置し、担体に生成物が付着すると、網状収容袋体を生成部から取り出し、網状収容袋体から生成物が付着した担体を取り出すことを特徴とする請求項20に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システム。
【請求項23】
担体を、球状にそれぞれ形成されたガラス、合成樹脂、金属または硬質材のうちいずれか1により構成したことを特徴とする請求項20ないし22のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の窒素抽出・固定化の方法により生成される生成物を回収する回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−6686(P2010−6686A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61741(P2009−61741)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、農林水産省、バイオマス利用モデルの構築・実証・評価委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】