説明

メッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置

【課題】 メッキ装置の前後処理部の各処理液タンク内に投入される薄板状製品の懸垂姿勢を確実にガイドする液中投入用製品ガイド装置を提供する。
【解決手段】 この液中投入用製品ガイド装置10を、製品ハンガー4及び薄板状製品Wの移送を妨げない移送レール3のフリースペース側に設けられ、互いに逆方向の水平進退駆動をする第一ガイド用駆動部21と第二ガイド用駆動部31と、フリースペース側に向けられた手前側の製品面に対して前記第一ガイド用駆動部によって水平方向に進退移動される第一ガイド20と、反対側の製品面に対して前記第二ガイド用駆動部によって水平方向に進退移動される第二ガイド30とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ装置において、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂状態に吊下げ支持され、各タンク内の前後処理液やメッキ処理液の処理液中に投入されるプリント配線基板等の薄板状製品の懸垂姿勢を確実にガイドできるようにする液中投入用製品ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メッキ装置には、メッキされる製品を予め脱脂や水洗して前処理する前処理部と、前処理された製品をメッキするメッキ処理部と、メッキされた製品を更に水洗や湯洗して後処理する後処理部が設けられる。この前処理部と後処理部としては図1にその概略構成(図1から本発明の液中投入用製品ガイド装置を除いた構成。)を示したものが公知(例えば、特許第2943070号公報)である。図1に示したように、前処理部Aには水平方向に一列に並べた複数の前処理液タンク1が配置され、後処理部Bには水平方向に一列に並べた複数の後処理液タンク2が配置されている。複数の前処理液タンク1の上方位置には該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される前処理用移送レール3Aが設けられ、複数の後処理液タンク2の上方位置には該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される後処理用移送レール3Bが設けられる。これらの移送レール3には被メッキ処理物である製品Wを吊下げ支持する製品ハンガー4が該レールに沿って移送自在に複数支持される。前記製品ハンガーでプリント配線基板等の薄板状製品Wを吊下げ支持する場合は、該製品の板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢になるように該製品の上部位置を掴んで吊下げ支持している。これらの製品ハンガー4は前記移送レール3の上昇位置においてハンガー送り手段(押送プッシャー)5に係合されて該移送レールに沿って一方向(図1の左方向)へ移送され、各処理液タンクに対応した製品投入位置へと順次移送される。そして、製品投入位置Sへと移送された製品ハンガー4に吊下げ支持された製品Wは前記移送レール3の下降位置において各処理液タンク1,2内に投入され、処理液中に投入された製品は必要な前処理あるいは後処理がなされる。その後、前記移送レール3は前記上昇位置へ戻され、上昇位置に戻された移送レール3に支持された製品ハンガー4及び製品Wはこの上昇位置で次の処理液タンクの製品投入位置Sへ移送レールに沿って前記ハンガー送り手段(押送プッシャー)で移送される。このようにして、昇降動される移送レールに製品ハンガーを介して吊下げ支持された製品は各処理液タンク内に順次投入され、前処理及び後処理がなされる。
【0003】
また、メッキ処理部としては図2にその概略構成(図2から本発明の液中投入用製品ガイド装置を除いた構成。)を示したものが公知(例えば、特許第2943070号公報)である。図2に示したメッキ処理部は、長槽のメッキ処理液タンク6の一端側に製品投入部6Aをもち、この製品投入部6Aの上方位置には該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される移送レール3(この移送レールとしては、図2に示した製品投入用移送レール3Cとしても良く、また、例えば、特許第2943070号公報の図1に示したように前処理用移送レールの後端側を製品投入部の位置まで延長して構成したものでも良い。)が設けられる。前記移送レール3の上昇位置において、製品ハンガー4は、該移送レール3と整合された製品乗換え部の乗換え用レール7から該移送レール3の製品投入位置Sへと移送される。移送レール3の製品投入位置Sへと移送された製品ハンガー4に吊下げ支持された製品Wは前記移送レール3の下降位置においてメッキ処理液タンク6内の製品投入部6Aに投入される。この製品投入部6Aの処理液中に投入された製品Wは、下降位置におかれた前記移送レール3から該移送レールと整合されたメッキ処理用移送レール8(このメッキ処理用移送レールは常に下降位置にあり、陰極として機能される。)へ移送され、このメッキ処理用移送レール8へと移された製品はこのメッキ処理用移送レールに沿って設けられた搬送手段によってメッキ処理用移送レールに沿ってゆっくり搬送されながらメッキ処理される。
【0004】
このような前後処理部やメッキ処理部をもつメッキ装置において、各処理液タンクの処理液中に投入される、製品ハンガーに懸垂姿勢に吊下げ支持されたプリント配線基板等の薄板状製品の懸垂姿勢を確実にガイドできるようにした液中投入用製品ガイド装置は開発されていない。
【0005】
一方、本発明者が開発した製品ガイド装置としては、メッキ装置の製品乗換え装置用に開発したものがすでに特許(特許第3297426号)されている。この製品乗換え装置における製品ガイド装置は、要するに、製品乗換え装置の乗換え用レールに取付けられ、シート状製品を前記乗換え用レールに受け入れるための開放位置と受け入れた前記シート状製品の揺れを防止する閉止位置とに前記シート状製品の両シート面に対して各ガイド部材を開閉制御可能に構成したもので、前記ガイド部材は、前記シート状製品を前記乗換え用レールに受け入れるための略ハ字形状の開放位置と受け入れた前記シート状製品の揺れを防止する閉止位置とに各ガイド部材の上部側を支点として下部側を前記シート状製品の両シート面に対して開閉自在に枢動されるように各ガイド部材の上部側を前記乗換え用レールに枢設され、下部側を開閉自在に枢動されるように構成したものである。
【0006】
しかし、メッキ装置の製品乗換え装置用に開発したこの製品ガイド装置では、各ガイド部材の上部側を支点として下部側を前記シート状製品の両シート面に対して開閉自在に枢動されるように各ガイド部材の上部側を前記乗換え用レールに枢設した構成であるため、前記乗換え用レールに受け入れられた治具(製品ハンガー)及びシート状製品を前記ガイド部材の取り付け位置を通過させて該乗換え用レールに沿って先に移送させることができず、また移送させる必要性もないものであった。また、この製品ガイド装置では、前記したように、各ガイド部材の上部側を支点として下部側を前記シート状製品の両シート面に対して開閉自在に枢動されるように構成したものであったため、閉止位置の調整すなわち閉止位置における両シート面に対する各ガイド部材の距離間隔を調整する場合に、両シート面に対してガイド部材を上下均等な閉止位置に制御できない弊害があった。また、同様に開放位置において各ガイド部材の下部側が上部位置に比べて左右に大きく広げられるため、他の装置部材と接触しやすい弊害があった。
【特許文献1】特許第2943070号公報
【特許文献2】特許第3297426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メッキ装置の前後処理部やメッキ処理部の各処理液タンクの処理液中に投入される、製品ハンガーに懸垂姿勢に吊下げ支持されたプリント配線基板等の薄板状製品の懸垂姿勢を確実にガイドできるようにする液中投入用製品ガイド装置を提供する。そして、本発明では、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を液中投入される製品投入位置すなわち製品ガイド位置から該製品ガイド位置を通過させて次の処理位置へと前記移送レールに沿って移送できるようにする液中投入用製品ガイド装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を該製品の板面に対して常に上下均等な距離間隔でガイドできるようにする液中投入用製品ガイド装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、本発明に係るメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置は、水平方向に並べて配置された複数の前処理液タンクと、水平方向に並べて配置された複数の後処理液タンクと、前記前処理液タンク群及び後処理液タンク群の上方位置にそれぞれ配設され、該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される前処理用移送レールと後処理用移送レールとから成る移送レールと、これらの移送レールに該レールに沿って移送自在に吊下げ支持される複数の製品ハンガーとを設け、この製品ハンガーにはプリント配線基板等の薄板状製品の上部を掴んで該製品の板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢に吊下げ支持できる掴持部を備え、前記移送レールに吊下げ支持された製品ハンガーは、該移送レールの前記上昇位置において各処理液タンクに対応した製品投入位置へと該移送レールに沿ってハンガー送り手段で移送され、該移送レールの前記下降位置において該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品を各処理液タンク内の処理液中に投入されるように構成した前処理部及び後処理部をもつメッキ装置において、前記前処理部及び/又は後処理部の各処理液タンク内の処理液中に投入される前記薄板状製品の懸垂姿勢をガイドする液中投入用製品ガイド装置であり、この液中投入用製品ガイド装置は、各処理液タンクに対応した前記製品投入位置にそれぞれ設けられ、前記移送レールと一緒に昇降移動されるよう前記移送レールに取付けられており、これらの液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成し、前記第一ガイド用進退駆動体の前記進出駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に近接したガイド位置まで水平に進出移動させた閉止状態に制御し、また、前記第一ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の進出駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させた開放状態に制御したことを特徴とするものである。
【0010】
この液中投入用製品ガイド装置によれば、この液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成したため、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を液中投入される製品投入位置すなわち製品ガイド位置から該製品ガイド位置を通過させて次の処理位置へと前記移送レールに沿って移送でき、しかも、各ガイド部の閉止状態において、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を該製品の板面に対して常に上下均等な距離間隔でガイドできる。また、各ガイド部の開放状態においても、各ガイド部を互いに上下均等な距離間隔で後退移動させて開放させるため、従来の製品ガイド装置のように開放位置において各ガイド部材の下部側が上部位置に比べて左右に大きく広げられることもなく、開放状態のガイド部が他の装置部材と接触される弊害をかなり解消できる。
【0011】
また、本発明に係るメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置は、メッキ処理液タンクと、このメッキ処理液タンクの製品投入部の上方位置に配設され、該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される製品投入用移送レールから成る移送レールと、この移送レールに該レールに沿って移送自在に吊下げ支持される製品ハンガーとを設け、この製品ハンガーにはプリント配線基板等の薄板状製品の上部を掴んで該製品の板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢に吊下げ支持できる掴持部を備え、前記移送レールに吊下げ支持された製品ハンガーは、該移送レールの前記上昇位置において前記メッキ処理液タンクの前記製品投入部に対応した製品投入位置へと該移送レールに沿ってハンガー送り手段で移送され、該移送レールの前記下降位置において該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品を前記製品投入位置から前記メッキ処理液タンクの製品投入部内の処理液中に投入されるように構成したメッキ処理部をもつメッキ装置において、前記メッキ処理液タンクの製品投入部内の処理液中に投入される薄板状製品の懸垂姿勢をガイドする液中投入用製品ガイド装置であり、この液中投入用製品ガイド装置は、前記メッキ処理液タンクの製品投入部に対応した前記製品投入位置に設けられ、前記移送レールと一緒に昇降移動されるよう前記移送レールに取付けられており、この液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成し、前記第一ガイド用進退駆動体の前記進出駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に近接したガイド位置まで水平に進出移動させた閉止状態に制御し、また、前記第一ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の進出駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させた開放状態に制御したことを特徴とするものである。
【0012】
この液中投入用製品ガイド装置によれば、この液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成したため、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を液中投入される製品投入位置すなわち製品ガイド位置から該製品ガイド位置を通過させて次の処理位置へと前記移送レールに沿って移送でき、しかも、各ガイド部の閉止状態において、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を該製品の板面に対して常に上下均等な距離間隔でガイドできる。また、各ガイド部の開放状態においても、各ガイド部を互いに上下均等な距離間隔で後退移動させて開放させるため、従来の製品ガイド装置のように開放位置において各ガイド部材の下部側が上部位置に比べて左右に大きく広げられることもなく、開放状態のガイド部が他の装置部材と接触される弊害をかなり解消できる。
【0013】
また、本発明に係るメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置は、前記第一ガイド用駆動部と前記第二ガイド用駆動部を、前記移送レールに取付けたモータと、前記移送レールに沿って軸方向を配設され、前記モータの出力軸から伝動されて正逆回転される回転軸と、該回転軸の軸方向に離して且つ軸半径方向の逆位置にそれぞれ固定され、互いに逆の進退方向へ回転される第一ガイド用回転腕と第二ガイド用回転腕と、前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に固定ガイド部材で支持され、前記第一ガイド用回転腕に連杆を介して連結された前記第一ガイド用進退駆動体と、前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に固定ガイド部材で支持され、前記第二ガイド用回転腕に連杆を介して連結された前記第二ガイド用進退駆動体とによって構成したことを特徴とするものである。
【0014】
この液中投入用製品ガイド装置によれば、互いに逆方向の進出駆動位置と後退駆動位置へと同時に進退移動される前記第一ガイド用進退駆動体と前記第二ガイド用進退駆動体の進退駆動制御を同じ駆動源からメカ的に連動させて達成したため、第一及び第二ガイド用進退駆動体にそれぞれ固定された第一及び第二ガイドの各ガイド部の開閉制御を確実に行える。
【0015】
また、本発明に係るメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置は、前記第一ガイド用駆動部を前記移送レールに取付けた第一ガイド用エアーシリンダーとし、このエアーシリンダーの進退駆動ロッド部で前記第一ガイド用進退駆動体を水平進退駆動させ、前記第二ガイド用駆動部を前記移送レールに取付けた第二ガイド用エアーシリンダーとし、このエアーシリンダーの進退駆動ロッド部で前記第二ガイド用進退駆動体を水平進退駆動させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置によれば、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を液中投入される製品投入位置すなわち製品ガイド位置から該製品ガイド位置を通過させて次の処理位置へと前記移送レールに沿って移送するようにした、メッキ装置の前後処理部やメッキ処理部の液中投入用製品ガイドとして有用であり、このメッキ装置の前後処理部やメッキ処理部の各処理液タンクの処理液中に投入される、製品ハンガーに懸垂姿勢に吊下げ支持されたプリント配線基板等の薄板状製品の懸垂姿勢を確実にガイドできる。
【0017】
また、本発明の液中投入用製品ガイド装置によれば、各ガイド部の閉止状態において、移送レールに製品ハンガーを介して懸垂姿勢に吊下げ支持された薄板状製品を該製品の板面に対して常に上下均等な距離間隔でガイドできるため、閉止位置の調整すなわち閉止位置における製品面に対する各ガイド部の距離間隔の調整が可能である且つ容易である。また、各ガイド部の開放状態においても、各ガイド部を互いに上下均等な距離間隔で後退移動させて開放させるため、従来の製品ガイド装置のように開放位置において各ガイド部材の下部側が上部位置に比べて左右に大きく広げられることもなく、開放状態のガイド部が他の装置部材と接触される弊害をかなり解消できる。
【0018】
本発明の液中投入用製品ガイド装置は、特に薄くて折り曲げられやすいプリント配線基板等の薄板状製品であっても、懸垂姿勢を保持しながら液中投入できるので、薄板状製品に折れ皺などの傷ができず、また、懸垂姿勢を保持しながら液中投入できるので、投入スピードを早くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は前後処理部の各製品投入位置に液中投入用製品ガイド装置を取付けた状態を概略的に示した正面図、図2はメッキ処理部の製品投入位置に液中投入用製品ガイド装置を取付けた状態を概略的に示した正面図である。
【0020】
先ず、本発明の液中投入用製品ガイド装置が設けられるメッキ装置の前処理部及び後処理部の概略構成について主に図1を参照しながら説明する。図1において、符号Aは前処理部を、符号Bは後処理部を、符号Cはメッキ処理部を、符号D1,D2は製品乗換え部を示し、メッキ処理される製品Wは、前処理部A、製品乗換え部D1、メッキ処理部C、製品乗換え部D2、後処理部Bの順に矢印方法へ移送され、必要な処理をなされる。なお、前処理部A及び後処理部Bはメッキ処理部Cを間にした前後にあれば良く、図1の配置例は一例を示したものである。
【0021】
前記前処理部A及び後処理部Bには、水平方向に並べて配置された複数の前処理液タンク1と、水平方向に並べて配置された複数の後処理液タンク2と、前記前処理液タンク群及び後処理液タンク群の上方位置にそれぞれ配設され、該上方位置で上昇位置(実線で示した)と下降位置(一点鎖線で示した)との間を水平状態で昇降移動される前処理用移送レール3Aと後処理用移送レール3Bとから成る移送レール3と、これらの移送レール3に該移送レール3に沿って移送自在に吊下げ支持される複数の製品ハンガー4と、該製品ハンガー4を前記移送レール3の上昇位置において該移送レール3に沿って各製品投入位置Sへと送るハンガー送り手段(押送プッシャー)5を設けている。このハンガー送り手段(押送プッシャー)5は、前記製品ハンガー4を一方向(図1において左方向)へのみ押送可能である。前記製品ハンガー4は、図4や図7に示したように、前記移送レール3に移送自在に支持される断面略鉤形状の支持部4Aと、プリント配線基板等の薄板状製品Wの上部を掴んで該製品Wの板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢に吊下げ支持できる掴持部4Bを備えている。前記支持部4Aは断面方形の移送レールの一方の側壁面(図4、図7の右側壁面)の下部側を被わずに開放させた断面略鉤形状にし、断面略鉤形状の前記支持部4Aで被われない開放されたレール側壁面部に固定物を設けても該製品ハンガーを移送レールに沿って移送できるように構成してある。前記移送レール3に吊下げ支持された製品ハンガー4は、該移送レール3の前記上昇位置において各処理液タンク1,2の製品投入位置Sへと該移送レール3に沿って前記ハンガー送り手段(押送プッシャー)5で順次移送される。そして、製品投入位置Sへと移送された製品ハンガー4に吊下げ支持された製品Wは前記移送レール3の下降位置において各処理液タンク1,2内に投入され、処理液中に投入された製品は必要な前処理あるいは後処理がなされる。その後、前記移送レール3は前記上昇位置へ戻され、上昇位置に戻された移送レール3に支持された製品ハンガー4及び製品Wはこの上昇位置で次の処理液タンクの製品投入位置Sへ移送レール3に沿って前記ハンガー送り手段(押送プッシャー)5で移送される。すなわち、メッキ装置の前後処理部A,Bでは、移送レール3に吊下げ支持された製品ハンガー4及び製品Wは該移送レール3の上昇位置で各処理液タンク1,2に対応した各製品投入位置Sへと順次送られ、各製品投入位置Sへと順次送られた製品Wは前記移送レール3の下降位置で各処理液タンク内1,2に投入される。
【0022】
前記前処理部A及び後処理部Bの各処理液タンク1,2内の処理液中に投入される前記薄板状製品Wの懸垂姿勢をガイドする本発明に係る液中投入用製品ガイド装置10は、各処理液タンク1,2に対応した前記製品投入位置Sにそれぞれ設けられ、前記移送レールと3一緒に昇降移動されるよう前記移送レール3に設けられる。
【0023】
また、本発明の液中投入用製品ガイド装置が設けられるメッキ装置のメッキ処理部の製品投入部の概略構成について主に図2を参照しながら説明する。図2に示したメッキ処理部Cは、長槽のメッキ処理液タンク6の一端側(図2では左端側)に製品投入部6Aをもち、この製品投入部6Aの上方位置には該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される移送レール3すなわち製品投入用移送レール3Cが設けられる。なお、この移送レール3としては、図2に示した製品投入用移送レール3Cとしても良く、また、例えば、特許第2943070号公報の図1に示したように前処理用移送レールの後端側を製品投入部まで延長して構成したものでも良い。前記移送レール3(3C)の上昇位置において、製品ハンガー4は、該移送レール3(3C)と整合された製品乗換え部D1の乗換え用レール7から該移送レール3(3C)の製品投入位置Sへ上昇位置にあるハンガー送り手段(押送プッシャー)5で移送される。移送レール3(3C)の製品投入位置Sへと移送された製品ハンガー4に吊下げ支持された製品Wは前記移送レール3(3C)の下降位置においてメッキ処理液タンク6内の製品投入部6Aに投入される。この製品投入部6Aの処理液中に投入された製品Wは、下降位置におかれた前記移送レール3(3C)から該移送レール3(3C)と整合されたメッキ処理用移送レール8(このメッキ処理用移送レール8は常に下降位置にあり、陰極として機能される。)へ前記移送レール3(3C)と共に下降される前記ハンガー送り手段(押送プッシャー)5で移送され、前記メッキ処理用移送レール8へと移された製品Wは該メッキ処理用移送レール8に沿って設けられた別の搬送手段によって該メッキ処理用移送レール8に沿ってゆっくり搬送されながらメッキ処理される。すなわち、メッキ装置のメッキ処理部Cでは、移送レール3(3C)に吊下げ支持された製品ハンガー4及び製品Wは該移送レール3(3C)の上昇位置でメッキ処理液タンク6の製品投入部6Aに対応した製品投入位置Sへと送られ、この製品投入位置Sへと送られた製品Wは前記移送レール3(3C)の下降位置で前記メッキ処理液タンク6の製品投入部6A内に投入され、この投入状態で製品投入位置から次工程へ送られる。なお、このメッキ処理部Cにおける製品ハンガー4は、前後処理部Aから送られてきたものであることから、当然のことながら、前記前後処理部A,Bのところで説明した製品ハンガー4と同じものであり、該製品ハンガー4が支持される移送レール3の断面形状も同形状としてある。
【0024】
前記メッキ処理液タンク6の製品投入部6A内の処理液中に投入される薄板状製品の懸垂姿勢をガイドする本発明に係る液中投入用製品ガイド装置10は、前記メッキ処理液タンク6の製品投入部6Aに対応した前記製品投入位置Sに設けられ、前記移送レール3(3C)と一緒に昇降移動されるよう前記移送レール3(3C)に設けられる。なお、図2では、メッキ処理液タンク6の製品投入部6A内に投入された製品Wを投入状態で右側に移送し、長槽のメッキ処理液タンク6内を移送しながらメッキ処理していくものを示したが、これに限定されず、製品投入部内に投入された製品を該投入部位置で静止状態でメッキ処理していくものを除くものではない。
【0025】
次に、前記各前処理液タンク1、前記各後処理液タンク2、前記メッキ処理液タンク6の製品投入部6Aの処理液中に投入される薄板状製品Wの懸垂姿勢をガイドする液中投入用製品ガイド装置10について、図3〜図11を参照して説明する。図3はこの液中投入用製品ガイド装置10の昇降位置における開閉状態を説明的に示した概略側面図、図4〜図6は前記液中投入用製品ガイド装置10の第1実施例を、図7〜図11は前記液中投入用製品ガイド装置10の第2実施例を示ししている。
【0026】
これらの液中投入用製品ガイド装置10は、前述したように、各処理液タンク1,2,6に対応した前記製品投入位置Sにそれぞれ設けられ、前記各移送レール3(3A,3B,3C)と一緒に昇降移動されるよう各移送レール3(3A,3B,3C)に取付けられている。これらの液中投入用製品ガイド装置10は、前記移送レール3のレール軌道を基準にして該レール3に沿って移送される製品ハンガー4及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品Wの移送スペースを妨げないフリースペース側(図3、図4、図7において、移送レールの右側)に設けられ、前記移送レール3のレール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体22をもつ第一ガイド用駆動部21と第二ガイド用進退駆動体32をもつ第二ガイド用駆動部31と、前記第一ガイド用進退駆動体22に第一ガイド支持部材23を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品Wのフリースペース側に向けられた手前側の面W1に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部24をもつ第一ガイド20と、前記第二ガイド用進退駆動体32に前記薄板状製品Wの下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材33を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品Wの反対側の面W2に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部34をもつ第二ガイド30と、から構成される。
【0027】
そして、前記第一ガイド20と前記第二ガイド30は、前記第一ガイド用進退駆動体22の前記進出駆動位置(第一実施例では図6の一点鎖線位置、第二実施例では図8の一点鎖線位置)において前記第一ガイド部24を前記薄板状製品Wの手前側の面W1に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体22の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体32の後退駆動位置(第一実施例では図6の一点鎖線位置、第二実施例では図9の一点鎖線位置)において前記第二ガイド部34を前記薄板状製品Wの反対側の面W2に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させて、前記第一ガイド部24と前記第二ガイド部34を前記薄板状製品Wの両面に対して共に近接したガイド位置(第一実施例では図4,図6の一点鎖線位置、第二実施例では図7,図11の一点鎖線位置)まで水平に進出移動させた閉止状態に制御される。また、前記第一ガイド20と前記第二ガイド30は、前記第一ガイド用進退駆動体22の後退駆動位置(第一実施例では図6の実線位置、第二実施例では図8の実線位置)において前記第一ガイド部24を前記薄板状製品Wの手前側の面W1に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体22の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体32の進出駆動位置(第一実施例では図6の実線位置、第二実施例では図9の破線位置)において前記第二ガイド部34を前記薄板状製品Wの反対側の面W2に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させて、前記第一ガイド部24と前記第二ガイド部34を前記薄板状製品Wの両面に対して共に離間方向へ後退させたガイド解除位置(第一実施例では図4,図6の実線位置、第二実施例では図7,図11の実線位置)まで水平に後退移動させた開放状態に制御される。
【0028】
前述したように、前記製品ハンガー4は、前記移送レール3に移送自在に支持される断面略鉤形状の支持部4Aを断面方形の移送レール3の一方の側壁面(図4、図7の右側壁面)の下部側を被わずに開放させた断面略鉤形状にし、断面略鉤形状の前記支持部4Aで被われない開放されたレール側壁面部に固定物を設けても該製品ハンガーを移送レールに沿って移送できるように構成してある。製品ハンガー4の断面略鉤形状の支持部4Aで被われない開放されたフリースペース側の移送レール3の側壁部(図3,図4,図7において移送レールの右側壁部)に沿って取付け基材(チャンネル材)40を固着し、この取付け基材(チャンネル材)40を介して前記第一ガイド用駆動部21と前記第二ガイド用駆動部31を設けている。なお、第一ガイド用進退駆動体22をもつ第一ガイド用駆動部21と第二ガイド用進退駆動体32をもつ第二ガイド用駆動部31の具体的な構成については後述する。
【0029】
前記各ガイド部24,34の開閉は、図3にその概略を示したように、各ガイド部24,34間に製品Wを受け入れる上昇位置においては開放状態に制御され、各ガイド部24,34間に製品Wを受け入れた後に略閉止状態に制御され、この略閉止状態で製品Wを各処理液タンク内の液中に投入する。なお、前後処理部においては、製品Wの液中投入後にガイドは解放状態に制御され、ガイドから開放された液中の製品Wに対して所定の前後処理がなされ、その後、ガイドを解放状態にしたまま製品Wと共に上昇位置に戻される。
【0030】
前記第一及び第二ガイド20,30はプラスチック材で形成され、各ガイド支持部材23,33を介して固定的に取り付けられた各ガイド部24,34は、移送レール3に製品ハンガー4を介して懸垂姿勢に吊下げ支持された前記薄板状製品Wの両面に対してその対向面を実質的に均等な距離位置となるように構成してある。各ガイド部24,34の形態として、図4〜図6の実施例では懸垂姿勢の製品面に対して板面を対向させ且つ多数の液通過孔(図示せず)を開けた板状のガイド形態とし、図7〜図11の実施例では垂直の支持部材に複数の棒状板部材を水平に多段状に固着し、懸垂姿勢の製品面に対して複数の棒状板部材でガイドする線状ガイド形態とした。
【実施例1】
【0031】
図4〜図6に示した前記液中投入用製品ガイド装置10の第1実施例では、前記第一ガイド用駆動部21と前記第二ガイド用駆動部31を、前記移送レール3に前記取付け基材(チャンネル材)を介して取付けたモータ41と、前記移送レール3に沿って軸方向を配設され、前記移送レール3に前記取付け基材(チャンネル材)を介して回転自在に取付けられ、前記モータ41の出力軸から伝動されて正逆回転される回転軸42と、該回転軸42の軸方向に離して且つ軸半径方向の逆位置にそれぞれ固定され、互いに逆の進退方向へ回転される第一ガイド用回転腕43Aと第二ガイド用回転腕43B(図4において、前記回転軸が矢印のように時計回転方向へ回転されると、下側に位置する第一ガイド用回転腕43Aは実線位置から一点鎖線位置へと進出駆動方向へ回転され、上側に位置する第二ガイド用回転腕43Bは実線位置から一点鎖線位置へと後退駆動方向へ回転される。)と、前記移送レール3に前記取付け基材(チャンネル材)40を介して取付けられた一対の固定ガイド部材44で複数の回転コロ44Aを介して前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に支持され、前記第一ガイド用回転腕43Aに連杆45を介してピン連結された板状の前記第一ガイド用進退駆動体22と、前記移送レール3に前記取付け基材(チャンネル材)40を介して取付けられた一対の固定ガイド部材44で複数の回転コロ44Aを介して前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に支持され、前記第二ガイド用回転腕43Bに連杆45を介してピン連結された板状の前記第二ガイド用進退駆動体32によって構成した。これによって、前記第一ガイド用進退駆動体22と前記第二ガイド用進退駆動体32とは、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに連動して逆方向の水平進退駆動をするように制御される。そして、前記第一ガイド用進退駆動体22に前記第一ガイド支持部材23を介して前記第一ガイド部24を固定的に吊設し、前記第二ガイド用進退駆動体32に前記第二ガイド支持部材33を介して前記第二ガイド部34を固定的に吊設した。なお、前記モータ41、前記回転軸42及び前記各固定ガイド部材44は、前記移送レール3のフリースペース側の側壁部(図4において移送レール3の右側壁部)に固着した前記取付け基材(チャンネル材)40を介して取付けられる。
【0032】
なお、図4〜図6に示した実施例では、前記第二ガイド部34を、単独の前記第二ガイド用回転腕43Bの回転に連動して水平進退駆動される単独の前記第二ガイド用進退駆動体32に単独の前記第二ガイド支持部材33を介して固定的に吊設している。すなわち、前記第二ガイド部34を一箇所で駆動し且つ一箇所で支持している。しかし、これに限定されずに、前記第二ガイド部34を複数箇所で駆動し且つ複数箇所で支持しても良い。すなわち、前記第二ガイド部34を、前記回転軸42の軸方向に離間して固定した複数の前記第二ガイド用回転腕43Bの回転に連動してそれぞれ同じ水平進退駆動をされる複数の前記第二ガイド用進退駆動体32にそれぞれ固定された複数の前記第二ガイド支持部材33を介して固定的に吊設しても良い。このことは、前記第一ガイド部24についても同様であり、前記第一ガイド部24を複数箇所で駆動し且つ複数箇所で支持しても良い。
【0033】
前記回転軸42は図6に示すように、前処理部A及び後処理部Bの各移送レール3A,3Bに沿った長尺なものとし、前処理部Aの回転軸42を前処理部Aに設けた単一の前記モータ41で正逆回転させ、同様に後処理部Bの回転軸42を後処理部Bに設けた単一の前記モータ41で正逆回転させるようにしている。
【実施例2】
【0034】
図7〜図11に示した前記液中投入用製品ガイド装置10の第2実施例では、前記第一ガイド用駆動部21と前記第二ガイド用駆動部31を、前記移送レール3のフリースペース側の側壁部(図7において移送レール3の右側壁部)に取付け基材(チャンネル材)40を介してレール方向に並べて取付けた第一ガイド用エアーシリンダー50と第二ガイド用エアーシリンダー51とし、前記第一ガイド用エアーシリンダー50の進退駆動ロッド部50Aで前記第一ガイド用進退駆動体22を水平進退駆動させ、前記第二ガイド用エアーシリンダー51の進退駆動ロッド部51Aで前記第一ガイド用進退駆動体32を水平進退駆動させている。そして、前記第一ガイド用進退駆動体22に前記第一ガイド支持部材23を介して前記第一ガイド部24を固定的に吊設し、前記第二ガイド用進退駆動体32に前記第二ガイド支持部材33を介して前記第二ガイド部34を固定的に吊設した。
【0035】
なお、この第二実施例においても前記した第一実施例と同様に、前記第二ガイド部34を複数箇所で駆動し且つ複数箇所で支持しても良い。すなわち、前記第二ガイド部34を、複数の前記第二ガイド用エアーシリンダー51の各進退駆動ロッド部51Aでそれぞれ同じ水平進退駆動をされる複数の前記第二ガイド用進退駆動体32にそれぞれ固定された複数の前記第二ガイド支持部材33を介して固定的に吊設しても良い。このことは、前記第一ガイド部24についても同様であり、前記第一ガイド部24を複数の第一ガイド用エアーシリンダー50で駆動し且つ複数の第一ガイド支持部材23で支持しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】前後処理部の各製品投入位置に液中投入用製品ガイド装置を取付けた状態を概略的に示した正面図である。
【図2】メッキ処理部の製品投入位置に液中投入用製品ガイド装置を取付けた状態を概略的に示した正面図である。
【図3】液中投入用製品ガイド装置の昇降位置における開閉状態を説明的に示した概略側面図である。
【図4】液中投入用製品ガイド装置の第1実施例の側面図である。
【図5】液中投入用製品ガイド装置の第1実施例の正面図である。
【図6】液中投入用製品ガイド装置の第1実施例の平面図である。
【図7】液中投入用製品ガイド装置の第2実施例の側面図である。
【図8】第2実施例の第一ガイドの側面図である。
【図9】第2実施例の第二ガイドの側面図である。
【図10】液中投入用製品ガイド装置の第2実施例の正面図である。
【図11】液中投入用製品ガイド装置の第2実施例の平面図である。
【符号の説明】
【0037】
W 製品(薄板状製品)
S 製品投入位置
A 前処理部
B 後処理部
C メッキ処理部
D1,D2 製品乗換え部
1 前処理液タンク
2 後処理液タンク
3 移送レール
3A 前処理用移送レール
3B 後処理用移送レール
3C 製品投入用移送レール
4 製品ハンガー
4A 製品ハンガーの支持部
4B 製品ハンガーの掴持部
5 ハンガー送り手段(押送プッシャー)
6 メッキ処理液タンク
6A メッキ処理液タンクの製品投入部
7 乗換え用レール
8 メッキ処理用移送レール
10 液中投入用製品ガイド装置
20 第一ガイド
21 第一ガイド用駆動部
22 第一ガイド用進退駆動体
23 第一ガイド支持部材
24 第一ガイド部
30 第二ガイド
31 第二ガイド用駆動部
32 第二ガイド用進退駆動体
33 第二ガイド支持部材
34 第二ガイド部
40 取付け基材(チャンネル材)
41 モータ
42 回転軸
43A 第一ガイド用回転腕
43B 第二ガイド用回転腕
44 固定ガイド部材
45 連杆
50 第一ガイド用エアーシリンダー
51 第二ガイド用エアーシリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に並べて配置された複数の前処理液タンクと、水平方向に並べて配置された複数の後処理液タンクと、前記前処理液タンク群及び後処理液タンク群の上方位置にそれぞれ配設され、該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される前処理用移送レールと後処理用移送レールとから成る移送レールと、これらの移送レールに該レールに沿って移送自在に吊下げ支持される複数の製品ハンガーとを設け、この製品ハンガーにはプリント配線基板等の薄板状製品の上部を掴んで該製品の板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢に吊下げ支持できる掴持部を備え、前記移送レールに吊下げ支持された製品ハンガーは、該移送レールの前記上昇位置において各処理液タンクに対応した製品投入位置へと該移送レールに沿ってハンガー送り手段で移送され、該移送レールの前記下降位置において該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品を各処理液タンク内の処理液中に投入されるように構成した前処理部及び後処理部をもつメッキ装置において、
前記前処理部及び/又は後処理部の各処理液タンク内の処理液中に投入される前記薄板状製品の懸垂姿勢をガイドする液中投入用製品ガイド装置であり、この液中投入用製品ガイド装置は、各処理液タンクに対応した前記製品投入位置にそれぞれ設けられ、前記移送レールと一緒に昇降移動されるよう前記移送レールに取付けられており、これらの液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成し、前記第一ガイド用進退駆動体の前記進出駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に近接したガイド位置まで水平に進出移動させた閉止状態に制御し、また、前記第一ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の進出駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させた開放状態に制御したことを特徴とするメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置。
【請求項2】
メッキ処理液タンクと、このメッキ処理液タンクの製品投入部の上方位置に配設され、該上方位置で上昇位置と下降位置との間を水平状態で昇降移動される製品投入用移送レールから成る移送レールと、この移送レールに該レールに沿って移送自在に吊下げ支持される製品ハンガーとを設け、この製品ハンガーにはプリント配線基板等の薄板状製品の上部を掴んで該製品の板面が前記レール軌道と平行になる懸垂姿勢に吊下げ支持できる掴持部を備え、前記移送レールに吊下げ支持された製品ハンガーは、該移送レールの前記上昇位置において前記メッキ処理液タンクの前記製品投入部に対応した製品投入位置へと該移送レールに沿ってハンガー送り手段で移送され、該移送レールの前記下降位置において該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品を前記製品投入位置から前記メッキ処理液タンクの製品投入部内の処理液中に投入されるように構成したメッキ処理部をもつメッキ装置において、
前記メッキ処理液タンクの製品投入部内の処理液中に投入される薄板状製品の懸垂姿勢をガイドする液中投入用製品ガイド装置であり、この液中投入用製品ガイド装置は、前記メッキ処理液タンクの製品投入部に対応した前記製品投入位置に設けられ、前記移送レールと一緒に昇降移動されるよう前記移送レールに取付けられており、この液中投入用製品ガイド装置を、前記移送レールのレール軌道を基準にして該レールに沿って移送される製品ハンガー及び該製品ハンガーに吊下げ支持された前記薄板状製品の移送スペースを妨げないフリースペース側に設けられ、前記レール軌道と直交する水平方向において同時に進出駆動位置と後退駆動位置とに互いに逆方向の水平進退駆動をするように制御された第一ガイド用進退駆動体をもつ第一ガイド用駆動部と第二ガイド用進退駆動体をもつ第二ガイド用駆動部と、前記第一ガイド用進退駆動体に第一ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品のフリースペース側に向けられた手前側の面に対して水平方向に進退移動される第一ガイド部をもつ第一ガイドと、前記第二ガイド用進退駆動体に前記薄板状製品の下方を迂回する略U字状の迂回部をもつ第二ガイド支持部材を介して固定的に吊設され、前記薄板状製品の反対側の面に対して水平方向に進退移動される第二ガイド部をもつ第二ガイドと、から構成し、前記第一ガイド用進退駆動体の前記進出駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して近接したガイド位置まで水平に進出移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に近接したガイド位置まで水平に進出移動させた閉止状態に制御し、また、前記第一ガイド用進退駆動体の後退駆動位置において前記第一ガイド部を前記薄板状製品の手前側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させ、前記第一ガイド用進退駆動体の水平進退駆動とは逆方向に同時に水平進退駆動される前記第二ガイド用進退駆動体の進出駆動位置において前記第二ガイド部を前記薄板状製品の反対側の面に対して離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させて、前記第一ガイド部と前記第二ガイド部を前記薄板状製品の両面に対して共に離間方向へ後退させたガイド解除位置まで水平に後退移動させた開放状態に制御したことを特徴とするメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置。
【請求項3】
前記第一ガイド用駆動部と前記第二ガイド用駆動部を、前記移送レールに取付けたモータと、前記移送レールに沿って軸方向を配設され、前記モータの出力軸から伝動されて正逆回転される回転軸と、該回転軸の軸方向に離して且つ軸半径方向の逆位置にそれぞれ固定され、互いに逆の進退方向へ回転される第一ガイド用回転腕と第二ガイド用回転腕と、前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に固定ガイド部材で支持され、前記第一ガイド用回転腕に連杆を介して連結された前記第一ガイド用進退駆動体と、前記レール軌道と直交する水平方向に進退移動自在に固定ガイド部材で支持され、前記第二ガイド用回転腕に連杆を介して連結された前記第二ガイド用進退駆動体とによって構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置。
【請求項4】
前記第一ガイド用駆動部を前記移送レールに取付けた第一ガイド用エアーシリンダーとし、このエアーシリンダーの進退駆動ロッド部で前記第一ガイド用進退駆動体を水平進退駆動させ、前記第二ガイド用駆動部を前記移送レールに取付けた第二ガイド用エアーシリンダーとし、このエアーシリンダーの進退駆動ロッド部で前記第二ガイド用進退駆動体を水平進退駆動させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ装置における薄板状製品の液中投入用製品ガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−225681(P2006−225681A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37543(P2005−37543)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】