説明

メッシュデータ作成方法

【課題】精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することができるメッシュデータ作成方法を提供する。
【解決手段】メッシュデータ作成方法によれば、所定の大きさを有する基準メッシュデータの領域内に含まれるサンプル数が閾値以上である場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。すなわち、人口密度が高い部分はメッシュデータの領域を細かく、人口密度が低い部分はメッシュデータの領域を粗く表現することができる。以上により、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果で人口密度の詳細な把握ができなかったりすることを防ぎ、精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュデータ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人口密度(分布)を表現する方法として、例えば地図をメッシュ状に区切り、その区切られた領域を人口密度に応じて色分けするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような人口密度の表現方法は、例えば国勢調査等において多くのサンプル(全数調査)を対象とするものに対しては有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−229186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の人口密度の表現方法にあっては、メッシュのサイズが一定の値で予め設定されていたので、以下のような問題点があった。すなわち、従来のようにメッシュサイズを一定にした場合に、人口密度が高いところで必要な精度を確保するようにすると、人口密度が低いところではサンプル数が足りず、必要な精度を確保できなかった。逆に、人口密度が低いところで必要な精度を確保すると、メッシュサイズが必要以上に大きくなってしまう。人口密度が高いところでは、もっと小さいメッシュでも必要な精度を確保できるのに、必要以上にメッシュサイズを大きくしたため、メッシュ内の人口密度を詳細に把握できなかった。言い換えれば、従来の技術においては、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果で人口密度の詳細な把握ができなかったりしていた。これは、従来の技術においては、精度と粒度との間のバランスが取れていなかったともいえる。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたもので、精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することができるメッシュデータ作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のメッシュデータ作成方法は、人口密度を表すためのメッシュデータを作成するメッシュデータ作成方法であって、所定のサイズを有する基準メッシュデータを作成する基準メッシュデータ作成ステップと、基準メッシュデータ作成ステップにおいて作成された基準メッシュデータの領域内に含まれる位置情報を取得する位置情報取得ステップと、位置情報取得ステップにおいて取得された位置情報に基づいて、基準メッシュデータの領域内に存在するサンプル数を特定し、サンプル数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいてサンプル数が閾値以上であると判定された場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成するメッシュデータ作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
このような本発明のメッシュデータ作成方法によれば、所定の大きさを有する基準メッシュデータの領域内に含まれるサンプル数が閾値以上である場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。すなわち、人口密度が高い部分はメッシュデータの領域を細かく、人口密度が低い部分はメッシュデータの領域を粗く表現することができる。また、サンプル数が閾値以上である場合に基準メッシュデータの領域を分割するので、必要以上に領域が大きくなることがなく、特に人口密度が高い部分を詳細に表すことができる。以上により、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果で人口密度の詳細な把握ができなかったりすることを防ぎ、精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することが可能となる。なお、メッシュデータとは、表示領域ごとにメッシュ状に区分されたデータである。
【0008】
また、ユーザからメッシュデータの領域の最小サイズを指定する要求を受け付ける最小サイズ受付ステップを更に含み、メッシュデータ作成ステップにおいて、基準メッシュデータの領域が最小サイズ受付ステップにおいてユーザから要求された最小サイズよりも小さくならないように、分割メッシュデータを作成することが好適である。
【0009】
メッシュデータの領域内に存在するサンプル数が多い場合には、メッシュデータの領域のサイズが極端に小さくなることがある。そこで、ユーザから要求された最小サイズよりも小さくならないように分割メッシュデータを作成することにより、ユーザに対して適切な表示を行うことができる。
【0010】
また、ユーザからメッシュデータの領域のサイズを指定する要求を受け付けるサイズ受付ステップと、サイズ受付ステップにおいてユーザから要求された領域のサイズとするために必要な位置情報を取得するための時間幅を算出する時間幅算出ステップと、を更に含み、位置情報取得ステップにおいて、時間幅算出ステップにおいて算出された時間幅に応じて、位置情報を取得することが好適である。
【0011】
この場合には、ユーザが所望する領域のサイズにするために必要な位置情報を取得するための時間幅を算出し、この時間幅に応じて取得された位置情報に基づいてメッシュデータが作成されるので、ユーザのニーズに応じた表示を行うことができる。
【0012】
また、ユーザから位置情報を取得する時間幅を指定する要求を受け付ける時間幅受付ステップを更に含み、位置情報取得ステップにおいて、時間幅受付ステップにおいてユーザから要求された時間幅に応じて、位置情報を取得することが好適である。
【0013】
この場合には、ユーザから指定された位置情報を取得する時間幅に応じて取得された位置情報に基づいてメッシュデータが作成されるので、ユーザが所望する時間幅に応じた表示を行うことができる。
【0014】
また、異なる複数の時間帯における位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを比較し、同一の位置における複数のメッシュデータの各領域のサイズが同一であるか否かを判定するサイズ判定ステップと、サイズ判定ステップにおいて各領域のサイズが同一でないと判定された場合に、異なる複数の時間帯におけるメッシュデータの各領域のサイズが同一となるように、複数のメッシュデータの各領域のサイズを調整するサイズ調整ステップと、を更に含むことが好適である。
【0015】
異なる複数の時間において作成されたメッシュデータを連続して表示(アニメーション)する場合、それぞれの時間によって取得される位置情報のサンプル数が異なるため、時間によってメッシュデータの領域のサイズが異なり、一見して人口密度の変化を把握することが困難となる。そこで、異なる時間において作成されたメッシュデータにおいて、同一の位置におけるメッシュデータの各領域のサイズを同一となるよう領域のサイズを調整することで、複数の時間を連続して表示する際に、一見して人口密度の変化を把握することができる。
【0016】
また、異なる複数の時間帯における位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを取得し、同一の位置における複数のメッシュデータの各領域のサイズが予め設定された所定のサイズとなるように、複数のメッシュデータの各領域のサイズを調整するサイズ調整ステップを更に含むことが好適である。
【0017】
異なる複数の時間において作成されたメッシュデータを連続して表示(アニメーション)する場合、それぞれの時間によって取得される位置情報のサンプル数が異なるため、時間によってメッシュデータの領域のサイズが異なり、一見して人口密度の変化を把握することが困難となる場合がある。そこで、異なる時間において作成されたメッシュデータにおいて、同一の位置におけるメッシュデータの各領域のサイズが予め設定された所定のサイズとなるよう領域のサイズを調整することで、複数の時間を連続して表示する際に、一見して人口密度の変化を把握することができる。
【0018】
また、本発明のメッシュデータ作成方法は、人口密度を表すためのメッシュデータを作成するメッシュデータ作成方法であって、所定のサイズを有する基準メッシュデータを作成する基準メッシュデータ作成ステップと、基準メッシュデータ作成ステップにおいて作成された基準メッシュデータの領域内に含まれるセクタが位置していることを示すセクタ情報を取得するセクタ情報取得ステップと、セクタ情報取得ステップにおいて取得されたセクタ情報に基づいて、基準メッシュデータの領域内に存在するセクタ数を特定し、セクタ数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいてセクタ数が閾値以上であると判定された場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成するメッシュデータ作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
このような本発明のメッシュデータ作成方法によれば、所定の大きさを有する基準メッシュデータの領域内に含まれるサンプル数が閾値以上である場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。すなわち、セクタ数が多い部分はメッシュデータの領域を細かく、セクタ数が少ない部分はメッシュデータの領域を粗く表現することができる。また、セクタ数が閾値以上である場合に基準メッシュデータの領域を分割するので、必要以上に領域が大きくなることがなく、特にセクタ数が多い部分を詳細に表すことができる。以上により、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果でセクタの密度の詳細な把握ができなかったりすることを防ぎ、精度と粒度との間のバランスを取りながらもセクタの密度を適切に表現することが可能となる。
【0020】
また、人口情報を有するセクタ情報に示されるセクタ領域とメッシュデータの領域とが重なる面積比に応じて、セクタ単位の人口情報からメッシュデータの領域単位の人口情報に変換する変換ステップを更に含むことが好適である。
【0021】
この場合には、セクタ情報が有する人口情報を、メッシュデータに好適に反映させることができる。なお、セクタ領域とは、基地局のセルを所定の角度で区分した領域である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通信システムの概略を示す図である。
【図2】メッシュデータ作成システムの概略を示す図である。
【図3】分割メッシュデータを示す図である。
【図4】メッシュデータ作成システムの動作の一例を示すシーケンスである。
【図5】メッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図6】ユーザ端末に表示される人口密度データの一例を示す図である。
【図7】最小メッシュサイズが指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図8】メッシュサイズが指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図9】位置情報を取得する時間幅が指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図10】人口密度データの連続表示が要求された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図11】人口密度データの連続表示が要求された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係るメッシュデータ作成システムの概要を示す図である。
【図13】セクタ領域とメッシュ領域とを示す図である。
【図14】セクタ情報の人口情報からメッシュデータの人口情報への変換を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明に係るメッシュデータ作成方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係るメッシュデータ作成方法について説明する。本実施形態に係るメッシュデータ作成方法は、メッシュデータ作成システムによって実現される。このメッシュデータ作成システムは、通信システムによって取得された移動機(携帯電話機)の位置情報(位置ポイントデータ)に基づいて、地図上にマッピング処理を行い、メッシュデータを作成する。そこで、最初に通信システムについて説明する。
【0026】
図1は、通信システムの概略を示す図である。同図に示すように、通信システム10は、移動機20と、BTS(基地局)30と、RNC(無線ネットワーク制御装置)40と、交換機50と、管理センタ60とを含んで構成されている。また、この管理センタ60は、社会センサユニット601と、ペタマイニングユニット602と、モバイルデモグラフィユニット603と、可視化ソリューションユニット604とから構成されている。
【0027】
交換機50は、BTS30、RNC40を介して、移動機20の位置情報を収集する。RNC40は、移動機20との間で通信接続が行われる際に、RRCコネクション要求信号における遅延値を用いて移動機20の位置を測定することができる。交換機50は、このように測定された移動機20の位置情報を、移動機20が通信接続を実行する際に受け取ることができる。交換機50は受け取った位置情報を記憶しておき、所定のタイミング、または管理センタ60からの要求に応じて収集した位置情報を管理センタ60に出力する。ここで、一般的に、RNC40は、約千個からなるものであり、日本全国に配置されている。一方で、交換機50は、300個程度日本国内に配置されている。
【0028】
管理センタ60は、上述したとおり、社会センサユニット601、ペタマイニングユニット602、モバイルデモグラフィユニット603、及び可視化ソリューションユニット604を含んで構成されており、各ユニットでは、移動機20の位置情報を用いた統計処理を行う。
【0029】
社会センサユニット601は、各交換機50から移動機20の位置情報等を含んだデータを収集するサーバ装置である。この社会センサユニット601は、交換機50から定期的に出力されたデータを受信したり、または社会センサユニット601において予め定められたタイミングに従って交換機50にデータ送信を要求したりできるように構成されている。
【0030】
ペタマイニングユニット602は、社会センサユニット601から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット602は、ユーザIDをキーにソーティング処理を行ったり、エリアごとにソーティング処理を行ったりする。
【0031】
モバイルデモグラフィユニット603は、ペタマイニングユニット602において処理されたデータに対する集計処理、すなわち各項目のカウンティング処理を行うサーバ装置である。例えば、モバイルデモグラフィユニット603は、あるエリアに在圏するユーザ数をカウントしたり、また在圏分布を集計したりすることができる。
【0032】
可視化ソリューションユニット604は、モバイルデモグラフィユニット603において集計処理されたデータを可視可能に処理するサーバ装置である。可視化ソリューションユニット604は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。この可視化ソリューションユニット604にて処理されたデータは、企業、官公庁または個人等のユーザ端末2(後述)からの要求に応じて提供され、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策などに利用される。なお、このように統計処理された情報は、当然にプライバシーを侵害しないように個人等は特定されないように加工されている。
【0033】
なお、社会センサユニット601、ペタマイニングユニット602、モバイルデモグラフィユニット603及び可視化ソリューションユニット604はいずれも、前述したようにサーバ装置により構成され、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成(即ち、CPU、RAM、ROM、キーボードやマウス等の入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記憶する記憶デバイス、及び、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイス)を備えることは言うまでもない。また、後述するユーザ端末2においても、サーバ装置と同様に通常の情報処理装置の基本構成を備える。
【0034】
続いて、メッシュデータ作成システムついて説明する。図2は、メッシュデータ作成システムの概要を示す図である。図2に示すように、メッシュデータ作成システム1は、ユーザ端末2と、サーバ装置3とを含んで構成されている。ユーザ端末2とサーバ装置3とは、通信ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0035】
ユーザ端末2は、ユーザの操作によってサーバ装置3に人口密度に関する情報の提供を要求し、この要求に応じてサーバ装置3から送信される人口密度データを受信して表示する端末である。ユーザ端末2は、上述のように企業、官公庁または個人等によって操作される例えばパソコンや携帯端末である。
【0036】
サーバ装置3は、ユーザ端末2からの情報要求に応じて、メッシュデータを作成し、このメッシュデータ及び人口データを地図データにマッピングした人口密度データをユーザ端末2に送信する機能を有する装置である。サーバ装置3は、上述した可視化ソリューションユニット604に相当する。
【0037】
次に、ユーザ端末2について詳細に説明する。ユーザ端末2は、機能的には、入力部201と、送信部202と、受信部203と、表示部204とを備えて構成されている。
【0038】
入力部201は、ユーザからの操作を受け付けるものである。入力部201は、ユーザからの操作を受け付け、そのユーザの入力操作に応じた人口密度表示要求情報を生成し、この人口密度表示要求情報を送信部202に出力する。なお、入力部201によって生成される人口密度表示要求情報には、人口密度を表示する際のメッシュ領域の最小メッシュサイズを指定する最小サイズ指定情報、メッシュ領域のメッシュサイズを指定するサイズ指定情報、位置情報を取得する時間幅を指定する時間幅指定情報、及び人口密度データの連続表示を要求する連続表示要求情報なども含まれる。
【0039】
送信部202は、入力部201から出力された人口密度表示要求情報を受け取ると、この人口密度表示要求情報をサーバ装置3に送信するものである。
【0040】
受信部203は、送信部202から人口密度表示要求情報を送信したことに応じてサーバ装置3から送信される人口密度データを受信するものである。受信部203は、受信した人口密度データを表示部204に出力する。
【0041】
表示部204は、例えばディスプレイであり、受信部203から出力された人口密度データを受け取ると、この人口密度データに応じた画像表示を行うものである。表示部204に表示される画像の詳細については後述する。
【0042】
次に、サーバ装置3について詳細に説明する。サーバ装置3は、機能的には、受信部301と、基準メッシュデータ作成部302と、時間幅算出部303と、位置情報取得部304と、データ保存部305と、判定部306と、メッシュデータ作成部307と、サイズ判定部308と、サイズ調整部309と、人口密度データ作成部310と、送信部311とを備えている。
【0043】
受信部301は、ユーザ端末2から送信された人口密度表示要求情報を受信するものである。受信部301は、受信した人口密度表示要求情報を基準メッシュデータ作成部302、時間幅算出部303、位置情報取得部304、及びサイズ判定部308に出力する。
【0044】
基準メッシュデータ作成部302は、受信部301から人口密度表示要求情報を受け取ると、基準メッシュデータを作成するものである。この基準メッシュデータは、メッシュ状に区分され、所定のサイズを有する略正方形状の領域を有するデータである。基準メッシュデータ作成部302は、人口密度データを作成する領域に対応する数の基準メッシュデータを作成する。基準メッシュデータ作成部302は、作成した基準メッシュデータを判定部306及びメッシュデータ作成部307に出力する。
【0045】
時間幅算出部303は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報にサイズ指定情報が含まれている場合に、そのサイズ指定情報が示すメッシュ領域のメッシュサイズを実現するために必要な位置情報を取得するための最小の時間幅を算出するものである。時間幅算出部303は、後述するメッシュデータ作成部307によって作成されたメッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズとサイズ指定情報が示すメッシュ領域のメッシュサイズとを検出して比較することで、位置情報の取得に必要な時間幅を算出する。時間幅算出部303は、算出した時間幅を示す時間幅情報を位置情報取得部304に出力する。
【0046】
位置情報取得部304は、位置情報を取得するものである。位置情報取得部304は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報を受け取ると、この人口密度表示要求情報に応じた位置情報をデータ保存部305から取得する。また位置情報取得部304は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報に時間幅情報が含まれている場合、或いは時間幅算出部303から出力された時間幅情報を受け取ると、その時間幅情報に応じて位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部304は、時間幅情報に応じた時間に対応する位置情報を、データ保存部305に保存されている位置情報の中から抜き出す処理を行うことで、位置情報を取得する。位置情報取得部304は、取得した位置情報を判定部306及び人口密度データ作成部310に出力する。
【0047】
データ保存部305は、上述のように位置情報を保存するものである。データ保存部305は、通信システム10によって取得された移動機の位置情報を保存する。また、データ保存部305は、後述する人口密度データ作成部310によって作成された人口密度データを保存する。
【0048】
判定部306は、基準メッシュデータ作成部302から出力された基準メッシュデータを受け取ると共に、位置情報取得部304から出力された位置情報を受け取ると、位置情報に基づいてサンプル数を特定してカウントし、このサンプル数が基準メッシュデータの領域内において閾値以上であるか否かを判定するものである。閾値は、例えば400に設定されている。判定部306は、サンプル数が閾値以上であると判定した場合には、基準メッシュデータの領域の分割を指示する分割指示情報をメッシュデータ作成部307に出力する。
【0049】
メッシュデータ作成部307は、基準メッシュデータ作成部302によって作成された基準メッシュデータに基づいて、分割メッシュデータを作成するものである。メッシュデータ作成部307は、判定部306から出力された分割指示情報を受け取ると、この分割指示情報に基づいて基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。具体的には、図3を参照しながら説明する。図3は、分割メッシュデータを示す図である。同図に示すように、メッシュデータ作成部307は、基準メッシュデータのメッシュ領域Mを例えば4分割した分割メッシュデータD1〜D4を作成する。また、メッシュデータ作成部307は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報に最小サイズ指定情報が含まれている場合に、分割メッシュデータのメッシュ領域が最小サイズ指定情報の示すメッシュ領域のサイズよりも小さくならないように分割メッシュデータを作成する。メッシュデータ作成部307は、作成した分割メッシュデータを人口密度データ作成部310に出力する。なお、メッシュデータの分割数は、任意に設定される。
【0050】
サイズ判定部308は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報に連続表示要求情報が含まれている場合、すなわちユーザから人口密度データの連続表示(アニメーション)を要求された場合に、異なる複数の時間帯における位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを比較し、同一の位置(同一の緯度経度)における複数のメッシュデータの各領域のサイズが同一であるか否かを判定するものである。具体的に、サイズ判定部308は、人口密度データ作成部310によって生成され、データ保存部305に保存されている異なる複数の時間帯の人口密度データにおいて、同一の位置における複数のメッシュデータの各メッシュ領域のメッシュサイズが同一でないと判定した場合に、その旨を示す判定情報をサイズ調整部309に出力する。
【0051】
サイズ調整部309は、メッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズを調整するものである。サイズ調整部309は、サイズ判定部308から出力された判定情報を受け取ると、異なる複数の時間帯におけるメッシュデータの各メッシュ領域のメッシュサイズが同一となるように、複数のメッシュデータの各領域のサイズを調整する。具体的に、サイズ調整部309は、複数の人口密度データから各メッシュデータを取得し、表示される全ての時間帯において表示区域内の各メッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズが同一となるように各メッシュ領域のメッシュサイズを調整する。サイズ調整部309は、サイズ調整後のメッシュデータを人口密度データ作成部310に出力する。
【0052】
人口密度データ作成部310は、人口密度データを作成するものである。人口密度データ作成部310は、基準メッシュデータ作成部302から出力された基準メッシュデータと、位置情報取得部304から出力された位置情報とに基づいて、人口密度データを作成する。また、人口密度データ作成部310は、メッシュデータ作成部307から出力された分割メッシュデータを受け取ると、この分割メッシュデータと位置情報とに基づいて、人口密度データを作成する。より具体的には、人口密度データ作成部310は、基準メッシュデータ或いは分割メッシュデータ及びそのメッシュデータに対応する位置情報(人口データ)を地図データにマッピングし、人口密度データを作成する。また、人口密度データ作成部310は、サイズ調整部309からメッシュデータが出力された場合には、そのメッシュデータに基づいた人口密度データを作成する。人口密度データ作成部310は、作成した人口密度データを送信部311に出力する。また、人口密度データ作成部310は、作成した人口密度データをデータ保存部305に出力する。
【0053】
送信部311は、人口密度データ作成部310から出力された人口密度データを受け取ると、この人口密度データをユーザ端末2に送信する。また、送信部311は、データ保存部305に保存されている人口密度データをユーザ端末2に送信する。
【0054】
続いて、メッシュデータ作成システム1により行われる動作について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、メッシュデータ作成システム1の動作の一例を示すシーケンスである。図5は、メッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、ユーザからの人口密度表示の要求後に、人口密度データが作成される様態について説明する。
【0055】
図4に示すように、まずユーザ端末2から人口密度の表示を要求する人口密度表示要求情報がサーバ装置3に送信される(ステップS01)。この人口表示要求情報が受信されたサーバ装置3では、メッシュデータ作成処理が実施される(ステップS02)。メッシュデータ作成処理について、図5を参照しながら説明する。
【0056】
図5に示すように、メッシュデータ作成処理が実施されると、まず基準メッシュデータ作成部302によって基準メッシュデータが作成される(ステップS11)。次に、作成された基準メッシュデータのメッシュ領域内に含まれる位置情報が位置情報取得部304によって取得される(ステップS12)。位置情報が取得されると、この位置情報に基づいて、基準メッシュデータのメッシュ領域内に存在するサンプル数が特定されてカウントされ(ステップS13)、このサンプル数が閾値(例えば400)以上であるか否かが判定部306によって判定される(ステップS14)。サンプル数が閾値以上であると判定された場合には、ステップS15に進む。一方、サンプル数が閾値以上であると判定されなかった場合には、基準メッシュデータがメッシュデータとして作成される(ステップS16)。
【0057】
ステップS15では、メッシュデータ作成部307によって、基準メッシュデータのメッシュ領域が分割された分割メッシュデータが作成される。以上のように、メッシュデータ作成処理が実施される。
【0058】
図4に戻って、サーバ装置3において、メッシュデータ作成処理によって作成されたメッシュデータに基づいて、人口密度データが作成される(ステップS03)。そして、作成された人口密度データが送信部311によってサーバ装置3からユーザ端末2に送信される(ステップS04)。この人口密度データを受信したユーザ端末2では、人口密度データに応じた画像が表示部に表示される(ステップS05)。なお、図4での図示はしないが、ユーザ端末2から人口密度表示要求情報がサーバ装置3に送信された場合に、サーバ装置3において予め作成されてデータ保存部305に保存されている人口密度データが送信されてもよい。
【0059】
図6は、ユーザ端末2に表示される人口密度データの一例を示す図である。同図に示すように、ユーザ端末2の表示部204に表示される人口密度データに基づいた画像には、地図上にサンプル数に基づいて作成された複数のメッシュデータのメッシュ領域がマッピングされている。このメッシュ領域においては、色分けや色の濃淡により、位置情報に基づいて求められた人口密度を示している。図6において、メッシュ領域のサイズが小さいところは、人口密度が高いことを示し、メッシュ領域のサイズが大きいところは、人口密度が低いことを示している。
【0060】
次に、ユーザからメッシュ領域の最小サイズが指定された場合、つまり図4のステップS01において人口密度表示要求情報に最小サイズ指定情報が含まれていた場合のメッシュデータ作成方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、最小メッシュサイズが指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートと同様の処理(ステップS21〜ステップS23)については、説明を省略する。
【0061】
図7に示すように、ステップS24では、位置情報に基づいて、基準メッシュデータのメッシュ領域内に存在するサンプル数が特定され、このサンプル数が閾値(例えば400)以上で、且つメッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズが最小メッシュサイズ以上であるか否かが判定部306によって判定される。サンプル数が閾値以上で、且つ最小メッシュサイズ以上であると判定された場合には、メッシュデータ作成部307によって、基準メッシュデータのメッシュ領域が分割された分割メッシュデータが作成され(ステップS25)、ステップS23の処理に戻る。一方、サンプル数が閾値以上で、且つ最小メッシュサイズ以上あると判定されなかった場合には、メッシュデータが作成される(ステップS26)。
【0062】
次に、ユーザからメッシュデータにおけるメッシュ領域のメッシュサイズが指定された場合、つまり図4のステップS01において人口密度表示情報にサイズ指定情報が含まれていた場合のメッシュデータ作成方法について、図8を参照しながら説明する。図8は、メッシュサイズが指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【0063】
図8に示すように、まず位置情報が位置情報取得部304によって取得される(ステップS31)。次に、取得された位置情報に対して、時間による抽出が行われる。つまり、ステップS31にて取得された位置情報のうち、予め設定された時間幅に該当する位置情報だけが抽出される(ステップS32)。
【0064】
続いて、基準メッシュデータ作成部302によって基準メッシュデータが作成される(ステップS33)。そして、作成された基準メッシュデータの領域内に含まれる位置情報に基づいて、基準メッシュデータのメッシュ領域内に存在するサンプル数が特定されてカウントされ(ステップS34)、このサンプル数が閾値(例えば400)以上であるか否かが判定部306によって判定される(ステップS35)。サンプル数が閾値以上であると判定された場合には、メッシュデータ作成部307によって、基準メッシュデータのメッシュ領域が分割された分割メッシュデータが作成され(ステップS36)、ステップS34の処理に戻る。サンプル数が閾値以上であると判定されなかった場合には、メッシュデータが作成される(ステップS37)。
【0065】
次に、ステップS37においてメッシュデータが作成されると、表示範囲におけるメッシュデータのメッシュ領域が切り出される(ステップS38)。表示範囲とは、ユーザ端末2の表示部204おける表示範囲を示している。そして、切り出されたメッシュ領域において、表示範囲における最大のメッシュサイズが取得され(ステップS39)、この最大のメッシュサイズがユーザから指定された要求メッシュサイズを満たしているか否かが判定される(ステップS40)。ユーザの要求メッシュサイズを満たしていると判定された場合には、処理が終了する。一方、ユーザの要求メッシュサイズを満たしていると判定されなかった場合には、時間幅が拡大され(ステップS41)、当該拡大された時間幅をもってステップS32の処理に戻る。
【0066】
続いて、ユーザから位置情報を取得する時間幅が指定された場合、つまり図4のステップS01において人口密度表示情報に時間幅指定情報が含まれていた場合のメッシュデータ作成方法について、図9を参照しながら説明する。図9は、位置情報を取得する時間幅が指定された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【0067】
図9に示すように、まずユーザから指定された時間幅情報に基づいて、時間幅が設定される(ステップS51)。次に、位置情報が位置情報取得部304によって取得される(ステップS52)。そして、取得された位置情報に対して、時間による抽出が行われる。つまり、ステップS52にて取得された位置情報のうち、ステップS51にて設定された時間幅に該当する位置情報だけが抽出される(ステップS53)。
【0068】
続いて、基準メッシュデータ作成部302によって基準メッシュデータが作成される(ステップS54)。そして、作成された基準メッシュデータのメッシュ領域内に含まれる位置情報に基づいて、基準メッシュデータのメッシュ領域内に存在するサンプル数が特定されてカウントされ(ステップS55)、このサンプル数が閾値(例えば400)以上であるか否かが判定部306によって判定される(ステップS56)。
【0069】
サンプル数が閾値以上であると判定された場合には、メッシュデータ作成部307によって、基準メッシュデータのメッシュ領域が分割された分割メッシュデータが作成され(ステップS57)、ステップS55の処理に戻る。サンプル数が閾値以上であると判定されなかった場合には、メッシュデータが作成される(ステップS58)。なお、作成されたメッシュデータは、表示範囲におけるメッシュデータのメッシュ領域の例えば最大メッシュサイズとなるように、メッシュ領域のメッシュサイズが調整されてもよい。
【0070】
続いて、ユーザから人口密度データの連続表示が要求された場合、つまり図4のステップS01において人口密度表示情報に連続表示要求が含まれていた場合のメッシュデータ作成方法について、図10を参照しながら説明する。図10は、人口密度データの連続表示が要求された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、人口密度データ作成部310によって作成された人口密度データが予めデータ保存部305に保存されているものとする。
【0071】
図10に示すように、まず異なる複数の時間帯の人口密度データがデータ保存部305から取得され、その各人口密度データからメッシュデータが取得される(ステップS61)。次に、取得された各メッシュデータにおいて、同一の位置におけるメッシュ領域のメッシュサイズが比較される(ステップS62)。そして、同一の位置において異なるメッシュサイズのメッシュ領域があるか否かがサイズ判定部308によって判定される(ステップS63)。
【0072】
同一の位置において異なるサイズのメッシュ領域があると判定された場合には、その該当するメッシュ領域のメッシュサイズを他のメッシュ領域のメッシュサイズと同一のメッシュサイズになるように、メッシュサイズがサイズ調整部309によって調整される(ステップS64)。一方、同一の位置において異なるメッシュサイズのメッシュ領域があると判定されなかった場合には、処理を終了する。なお、メッシュ領域のメッシュサイズは、表示範囲において最大メッシュサイズとなるようにメッシュサイズが調整されてもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係るメッシュデータ作成システム1におけるメッシュデータ作成方法によれば、所定の大きさを有する基準メッシュデータの領域内に含まれるサンプル数が閾値以上である場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。すなわち、人口密度が高い部分はメッシュデータの領域を細かく、人口密度が低い部分はメッシュデータの領域を粗く表現することができる。また、サンプル数が閾値以上である場合に基準メッシュデータの領域を分割するので、必要以上に領域が大きくなることがなく、特に人口密度が高い部分を詳細に表すことができる。以上により、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果で人口密度の詳細な把握ができなかったりすることを防ぎ、精度と粒度との間のバランスを取りながらも人口密度を適切に表現することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態では、ユーザからメッシュデータのメッシュ領域の最小メッシュサイズの指定を受け付け、その指定された最小メッシュサイズよりもメッシュ領域のメッシュサイズが小さくならないようにメッシュデータを作成する。メッシュデータの領域内に存在するサンプル数が多い場合には、メッシュデータの領域のメッシュサイズが極端に小さくなることがある。そこで、ユーザから要求された最小メッシュサイズよりも小さくならないように分割メッシュデータを作成することにより、ユーザに対して適切な表示を行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、ユーザが所望する領域のサイズにするために必要な位置情報を取得するための時間幅を算出し、この時間幅に応じて取得された位置情報に基づいてメッシュデータが作成されるので、ユーザのニーズに応じた表示を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態では、ユーザから指定された位置情報を取得する時間幅に応じて取得された位置情報に基づいてメッシュデータが作成されるので、ユーザが所望する時間幅に応じた表示を行うことができる。
【0077】
ところで、異なる複数の時間において作成されたメッシュデータを連続して表示(アニメーション)する場合、それぞれの時間によって取得される位置情報のサンプル数が異なるため、時間によってメッシュデータの領域のメッシュサイズが異なり、一見して人口密度の変化を把握することが困難となる。そこで、本実施形態では、異なる時間において作成されたメッシュデータにおいて、同一の位置におけるメッシュデータの各メッシュ領域のメッシュサイズを同一となるようメッシュ領域のメッシュサイズを調整することで、複数の時間を連続して表示する際に、一見して人口密度の変化を把握することができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態に加えて、表示範囲のメッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズが全て同一となるメッシュデータが作成されて表示されてもよい。具体的には、ユーザ端末2から送信された人口密度要求情報に、メッシュ領域のメッシュサイズを全て同じメッシュサイズにすることを指定する情報が含まれている場合には、データ保存部305に保存されている人口密度データを取得し、この人口密度データにおけるメッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズが全て同じメッシュサイズとなるようにメッシュデータを調整する。なお、ここでいう「同じメッシュサイズ」とは、本実施形態による上記の各処理が行われることにより算出された複数のメッシュサイズのうちの何れかを意味し、例えば画面に表示されている最大のメッシュサイズを意味する。そして、このメッシュデータを地図データにマッピングした人口密度データをユーザに送信する。これにより、メッシュ領域のメッシュサイズを全て同一のメッシュサイズとしたいユーザの要求に対応することが可能となる。
【0079】
また、上記実施形態では、連続して人口密度データが表示される場合において、サイズ判定部308によって異なる複数の時間帯における位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを比較し、同一の位置における複数のメッシュデータの各メッシュ領域のメッシュサイズが同一となるようにメッシュ調整部309がメッシュデータを調整しているが、例えば以下のような方法でメッシュデータが調整されてもよい。
【0080】
具体的には、図11を参照しながら説明する。図11は、人口密度データの連続表示が要求された場合におけるメッシュデータ作成処理を示すフローチャートである。
【0081】
図11に示すように、まず異なる複数の時間帯の人口密度データがデータ保存部305から取得され、その各人口密度データからメッシュデータが取得される(ステップS71)。次に、表示範囲における最大メッシュサイズが取得される(ステップS72)。そして、各メッシュデータのメッシュ領域のメッシュサイズを、最大のメッシュ領域のメッシュサイズとなるようにサイズ調整部309によってメッシュデータを調整する(ステップS73)。
【0082】
以上のような方法であっても、異なる時間において作成されたメッシュデータにおいて、同一の位置におけるメッシュデータの各メッシュ領域のメッシュサイズを同一となるようメッシュサイズを調整することで、複数の時間を連続して表示する際に、一見して人口密度の変化を把握することができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るメッシュ作成方法について説明する。第2実施形態に係るメッシュ作成方法は、セクタ情報に基づいてメッシュデータが作成される点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
図12は、第2実施形態に係るメッシュデータ作成システムの概要を示す図である。図12に示すように、メッシュデータ作成システム1Aは、ユーザ端末2と、サーバ装置3Aとを含んで構成されている。ユーザ端末2とサーバ装置3Aとは、通信ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0085】
サーバ装置3Aは、第1実施形態と異なる構成として、機能的には、セクタ情報取得部312と、判定部313と、人口密度変換部314とを備えている。
【0086】
セクタ情報取得部312は、セクタが位置していることを示すセクタ情報を取得するものである。このセクタ情報は、人口情報を有している。セクタ情報取得部312は、受信部301から出力された人口密度表示要求情報を受け取ると、この人口密度表示要求情報に応じたセクタ情報をデータ保存部305から取得する。セクタ情報取得部312は、取得したセクタ情報を判定部313及び人口密度変換部314に出力する。
【0087】
判定部313は、基準メッシュデータ作成部302から出力された基準メッシュデータを受け取ると共に、セクタ情報取得部312から出力されたセクタ情報を受け取ると、セクタ情報に基づいてセクタ数を特定してカウントし、このセクタ数が基準メッシュデータのメッシュ領域内において閾値以上であるか否かを判定するものである。閾値は、例えばメッシデータ作成部307によって作成される分割メッシデータにおけるセクタ数の0にならない程度の値に設定されている。判定部313は、セクタ数が閾値以上であると判定した場合には、基準メッシュデータの領域の分割を指示する分割指示情報をメッシュデータ作成部307に出力する。メッシュデータ作成部307では、判定部313から出力された分割指示情報に基づいて、分割メッシュデータを作成する。
【0088】
人口密度変換部314は、セクタ情報が有する人口情報をメッシュデータに割り当て、セクタ情報が有する人口情報(人口データ)をメッシュデータにおける人口情報に変換するものである。具体的には、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、セクタ領域とメッシュ領域とを示す図である。図14は、セクタ情報の人口情報からメッシュデータの人口情報への変換を説明するための図である。
【0089】
図13(a)は、セクタ情報に示されるセクタ領域を示している。同図に示すように、セクタ領域SRは、BTS(基地局)30のセルを所定の角度で区分した領域であり、多角形のポリゴンをなしている。この各セクタ領域SRには、どのセクタ領域であるのかを識別するためのセクタID(例えばS1)が付与されている。また、図13(b)は、メッシュデータのメッシュ領域MRを示している。同図に示すように、このメッシュ領域MRにも、どのメッシュ領域であるのを識別するためのメッシュID(例えばM1)が付与されている。
【0090】
人口密度変換部314は、図13(c)に示すように、セクタ領域SRとメッシュ領域MRとを重ね合わせ、セクタ領域SRをメッシュ領域MRで分割する。そして、各セクタ領域SRの人口情報に示される人口密度をメッシュ領域MRによって分割された面積比に応じて、メッシュ領域MRに割り当てる。そして、各メッシュ領域MRに割り当てられた人口情報の合計を、そのメッシュ領域MRの人口情報とする。
【0091】
上述の面積比に応じた人口情報の割り当てについて、図13及び図14を参照しながら更に詳細に説明する。図13に示すように、セクタ領域SRにおける一のセクタIDが例えばS1であり、メッシュ領域MRにおける一のメッシュIDが例えばM1であるとする。そして、図14(a)に示すように、セクタIDがS1のセクタ領域SRは、ポリゴン(形状)がSP1、その面積がA1、人口情報に示される人口がP1であるとする。また、図14(b)に示すように、メッシュIDがM1のメッシュ領域MRは、そのポリゴンがMP1であるとする。
【0092】
以上のようなセクタ領域SRとメッシュ領域MRとを重ね合わせた場合、図14(c)に示すように、セクタ領域SRのポリゴンはSP2となる。具体的には、セクタ領域SRがメッシュ領域MRに分割され、セクタ領域MRの形状が変形する。このとき、その面積もメッシュ領域MRに分割されることで小さくなり、例えばA2となる。そして、この面積の変化に応じて、その面積に対して割り振られる人口も減少し、例えばP2となる。このP2は、(面積A2/面積A1)×P1によって求められる値である。従って、各セクタ領域SRの人口情報が、メッシュ領域MRによって分割された面積比に応じてメッシュ領域MRに割り当てられることになる。このようにして割り当てられた人口情報を足し合わせることで、人口情報を有さないメッシュ領域MRに対して人口情報を与えることができる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係るメッシュデータ作成システム1Aにおけるメッシュデータ作成方法によれば、所定の大きさを有する基準メッシュデータの領域内に含まれるサンプル数が閾値以上である場合に、基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成する。すなわち、セクタ数が多い部分はメッシュデータの領域を細かく、セクタ数が少ない部分はメッシュデータの領域を粗く表現することができる。また、セクタ数が閾値以上である場合に基準メッシュデータの領域を分割するので、必要以上に領域が大きくなることがなく、特にセクタ数が多い部分を詳細に表すことができる。以上により、メッシュを細かくしすぎて精度を落としてしまったり、逆にメッシュを粗くしすぎることにより粒度を失い、その結果でセクタの密度の詳細な把握ができなかったりすることを防ぎ、精度と粒度との間のバランスを取りながらもセクタの密度を適切に表現することが可能となる。
【0094】
また、人口情報を有するセクタ情報に示されるセクタ領域とメッシュデータの領域とが重なる面積比に応じて、セクタ単位の人口情報からメッシュデータの領域単位の人口情報に変換するので、セクタ情報が有する人口情報を、メッシュデータに好適に反映させることができる。
【符号の説明】
【0095】
M…基準メッシュデータ、MR…メッシュ領域、D…分割メッシュデータ、SR…セクタ領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人口密度を表すためのメッシュデータを作成するメッシュデータ作成方法であって、
所定のサイズを有する基準メッシュデータを作成する基準メッシュデータ作成ステップと、
前記基準メッシュデータ作成ステップにおいて作成された前記基準メッシュデータの領域内に含まれる位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記位置情報に基づいて、前記基準メッシュデータの前記領域内に存在するサンプル数を特定し、当該サンプル数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記サンプル数が前記閾値以上であると判定された場合に、前記基準メッシュデータの前記領域を分割した分割メッシュデータを作成するメッシュデータ作成ステップと、
を含むことを特徴とするメッシュデータ作成方法。
【請求項2】
ユーザから前記メッシュデータの前記領域の最小サイズを指定する要求を受け付ける最小サイズ受付ステップを更に含み、
前記メッシュデータ作成ステップにおいて、前記基準メッシュデータの前記領域が前記最小サイズ受付ステップにおいて前記ユーザから要求された前記最小サイズよりも小さくならないように、前記分割メッシュデータを作成することを特徴とする請求項1記載のメッシュデータ作成方法。
【請求項3】
ユーザから前記メッシュデータの前記領域のサイズを指定する要求を受け付けるサイズ受付ステップと、
前記サイズ受付ステップにおいて前記ユーザから要求された前記領域のサイズとするために必要な前記位置情報を取得するための時間幅を算出する時間幅算出ステップと、
を更に含み、
前記位置情報取得ステップにおいて、前記時間幅算出ステップにおいて算出された前記時間幅に応じて、前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1記載のメッシュデータ作成方法。
【請求項4】
ユーザから前記位置情報を取得する時間幅を指定する要求を受け付ける時間幅受付ステップを更に含み、
前記位置情報取得ステップにおいて、前記時間幅受付ステップにおいて前記ユーザから要求された前記時間幅に応じて、前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1記載のメッシュデータ作成方法。
【請求項5】
異なる複数の時間帯における前記位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを比較し、同一の位置における前記複数のメッシュデータの各領域のサイズが同一であるか否かを判定するサイズ判定ステップと、
前記サイズ判定ステップにおいて前記各領域のサイズが同一でないと判定された場合に、前記異なる複数の時間帯における前記メッシュデータの前記各領域のサイズが同一となるように、前記複数のメッシュデータの各領域のサイズを調整するサイズ調整ステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のメッシュデータ作成方法。
【請求項6】
異なる複数の時間帯における前記位置情報に基づいて作成された複数のメッシュデータを取得し、同一の位置における前記複数のメッシュデータの各領域のサイズが予め設定された所定のサイズとなるように、前記複数のメッシュデータの各領域のサイズを調整するサイズ調整ステップを更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のメッシュデータ作成方法。
【請求項7】
人口密度を表すためのメッシュデータを作成するメッシュデータ作成方法であって、
所定のサイズを有する基準メッシュデータを作成する基準メッシュデータ作成ステップと、
前記基準メッシュデータ作成ステップにおいて作成された前記基準メッシュデータの領域内に含まれるセクタが位置していることを示すセクタ情報を取得するセクタ情報取得ステップと、
前記セクタ情報取得ステップにおいて取得された前記セクタ情報に基づいて、前記基準メッシュデータの前記領域内に存在するセクタ数を特定し、当該セクタ数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記セクタ数が前記閾値以上であると判定された場合に、前記基準メッシュデータの領域を分割した分割メッシュデータを作成するメッシュデータ作成ステップと、
を含むことを特徴とするメッシュデータ作成方法。
【請求項8】
人口情報を有する前記セクタ情報に示されるセクタ領域と前記メッシュデータの領域とが重なる面積比に応じて、セクタ単位の人口情報から前記メッシュデータの領域単位の人口情報に変換する変換ステップを更に含むことを特徴とする請求項7記載のメッシュデータ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−250358(P2010−250358A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95781(P2009−95781)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】