説明

メッセージ処理システム

【課題】短文投稿サイトのメッセージを解析してその感情に対して最適なイラストを付加することにより、投稿者の感情のみならず、投稿によってフォロワーが受けるであろう総量的かつ定量的な感情を、視覚的な情報として把握可能なメッセージ処理システムを実現する。
【解決手段】twitter(登録商標)のメッセージ(投稿文章)を形態素解析してそれぞれの単語と感情との組み合わせ、単語とイラストとの組み合わせをテーブル化してスコア付与を行うことで、メッセージ入力のみがされた投稿であっても最適なイラストを付与して表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザからの百数十文字単位の文章(メッセージ)での投稿を、当該ユーザに関連付けられた他のユーザに開示する「Twitter」(米国Twitter社の商標)等の短文投稿サイトにおけるメッセージ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような短文投稿サイトでは、文字数が百数十文字に限定されているため、ユーザが日常生活での個人的なつぶやきをフォロワー(当該ユーザが投稿したメッセージを閲覧することを希望してフォロワー登録した他のユーザ)に対して公開したとしても、それが文字だけの情報であるために、その投稿時の発言者の感情や自分以外のフォロワーの総量的な感情を掴むことが難しかった。
【0003】
一方、自身がフォローするユーザを増やした場合、閲覧するための単位時間あたりの投稿数(タイムライン:投稿を時系列に表示したもの)も急激に増加し、その閲覧に嫌気がさしてしまうこともあった。そのため、短文投稿サイトからユーザが離脱してしまう問題もあった。このような短文投稿サイトに文章(メッセージ)を入力した際に、リアルタイムに、当該ユーザに共感する他のユーザの情報や、当該ユーザが入力した文章に関連する文章を入力したユーザの情報や、関連する広告情報を提示する技術として特開2009−193133号公報(特許文献1)があるが、投稿したメッセージそのものを解析して視覚的に表示するような努力はなされていなかった。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2009−193133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、短文投稿サイトのメッセージを解析してその感情に対して最適なイラストを付加することにより、投稿者の感情のみならず、投稿によってフォロワーが受けるであろう総量的かつ定量的な感情を、視覚的な情報として把握可能なメッセージ処理システムを実現することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明の請求項1は、ネットワークを介した通信端末間のメッセージ処理システムであって、前記ネットワークに接続されたサーバからダウンロードされたアプリケーションプログラムにしたがって、文字からなる第1のメッセージと、当該メッセージに対してユーザが任意に関連付けた感情コードと、当該感情コードに関連付けられたイラストコードとの入力を受け付ける受付手段と、前記で受け付けられた第1のメッセージデータを形態素解析して、品詞と、ワードと、感情コードと、その組み合わせが選択されることによって加算されるスコアとを関連付けて登録する感情統計テーブルと、品詞と、ワードと、イラストコードと、スコアとを関連付けて登録する非言語統計テーブルと、品詞毎の優先順位を登録した品詞優先テーブルとからなり、前記通信端末又は他の通信端末からメッセージデータのみの入力を受け付けてこれを第2のメッセージデータとして受信したときに、当該第2のメッセージデータを形態素解析して、前記品詞優先テーブルを参照して優先する品詞を選択し、この品詞と、ワードと、感情コードとの組み合わせの中で最高スコアを有する組み合わせを前記感情統計テーブルから索出して出力する感情コードを決定し、前記優先する品詞に基づいて、この品詞と、ワードとイラストコードとの組み合わせの中で最高スコアを有する組み合わせを非言語統計テーブルから索出して出力するイラストコードを決定し、前記第2のメッセージデータと、前記で決定された感情コードと、イラストコードと組み合わせたイラスト付きメッセージを前記通信端末又は他の通信端末に送信・表示させるメッセージ処理サーバとからなるメッセージ処理システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、短文投稿サイトのメッセージを解析してその感情に対して最適なイラストを付加することにより、投稿者の感情のみならず、投稿によってフォロワーが受けるであろう総量的かつ定量的な感情を、視覚的な情報として把握可能なメッセージ処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明のシステム構成を示す説明図である。
【図2】 メッセージ処理サーバのハードウエア構成図である。
【図3】 第1のメッセージデータを入力した際に、生成される感情統計テーブルと、非言語統計テーブルとの内容を示す説明図である。
【図4】 第2のメッセージデータを入力した際に、用いられる感情統計テーブルと、非言語統計テーブルと、品詞優先テーブルとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を図に基づいて説明する。
本発明は、図1に示すように、ネットワークによって接続されたサーバ(SEE)によって管理されるシステムであり、ネットワークには基地局(BS1,BS2)を介してiPhone(アップル社が許諾を受けた商標)やAndoroid端末(米国Google社の商標)等のスマートフォンやi−modo端末(NTTドコモ社の商標)等の携帯通信端末が通信可能な状態で接続されるものである。
【0010】
サーバ(SEE)は図2に示すように、中央処理装置(CPU)およびメインメモリ(MM)にバス(BUS)を介して大規模記憶装置(HD)、ディスプレイ(DISP)、キーボード(KBD)等の入出力装置、およびネットワーク(NW)とのインターフェース(NW I/O)が接続されている。
【0011】
前記大規模記憶装置(HD)には、オペレーティングシステム(OS)とともに、サーバアプリケーションプログラム(SV APL)がインストールされており、このサーバアプリケーションプログラム(SV APL)をバス(BUS)およびメインメモリ(MM)を介して中央処理装置(CPU)が読み込んで実行処理することによって、本実施形態で説明する機能が実現されている。
【0012】
なお、大規模記憶装置(HD)には、前記の他に、ユーザの個人情報を登録するユーザテーブル(UTBL)、後述の非言語統計テーブル、感情統計テーブル、品詞優先テーブル等の各種テーブル、各種データベースが登録されるようになっている。
【0013】
なお、これらのデータベースは当該サーバ(SEE)とは別に設けられたネットワークサーバで運用されるものであってもよい。
【0014】
サーバ(SEE)の大規模記憶装置(HD)に登録される感情統計テーブルは、図3に示すように、品詞とワードと感情とスコアとが関連付けられている。ここで、ワードと感情の組み合わせは単一なものではなく、一つのワードに対して複数の感情が関連付けられていてもよい。たとえば、同図では、「おいしかった」(動詞)に対して、「愛情」と「喜び」の2つの感情が登録されており、それぞれの組み合わせ毎にスコアが付与されている。このスコアの機能については後述する。
【0015】
非言語統計テーブルは、品詞とワードとイラストコードとスコアとが関連付けられている。ここでもワードとイラストコードとの組み合わせは単一なものではなく、一つのワードに対して複数のイラストコードが関連付けられていてもよい。たとえば同図では、「ケーキ」(名詞)に対して「AI001」と「YR001」の2つのイラストコードが登録されており、それぞれの組み合わせ毎にスコアが付与されている。
【0016】
第1のメッセージ(MES1)を入力する際に、第1のユーザは自身が保持する携帯通信端末(MP1)からメッセージデータと、感情コードと、イラストコードを入力する。ここでは、メッセージデータとして「ケーキがおいしかった」が入力され、感情コードとしては「愛情」が選択され、イラストコードとしては「AI001」を選択したものと仮定する。
【0017】
上記のように、メッセージデータはテキストであり、携帯通信端末(MP1)の入力インターフェースとして用意されたフリック入力やソフトウエアキーボードによる入力を行ってもよいし、ブルートゥース等の通信機能で連携されたハードウエアキーボードから行ってもよい。
【0018】
感情コードは、自身が入力したメッセージデータに最適な感情を一つ選択して入力を促すようになっており、感情のアイコンを指定することによって、感情コードの入力が可能となっている。また、このアイコンを選択することによって、当該感情に対応したイラストが順次表示されて感情コードに対応したイラストを選択できるようになっている。
【0019】
携帯通信端末(MP1)上で入力されたメッセージデータと、感情コードと、イラストコードとの組み合わせデータは、基地局(BS1)およびネットワーク(NW)を介してサーバ(SEE)に送信される。
【0020】
前記組み合わせデータを受信したサーバ(SEE)では、中央処理装置(CPU)がサーバプログラム(SV APL)にしたがってこの組み合わせデータを処理する。
【0021】
ここでは、まずメッセージデータ「ケーキがおいしかった」を形態素解析して、「ケーキ」、「おいしかった」という名詞と動詞に分解する。
【0022】
そして、次に、形態素解析した品詞毎に第1のユーザが選択した感情コードとの組み合わせの有無を検索し、そのスコアをインクリメント(+1)する。ここでは、メッセージデータの「ケーキがおいしかった」に対して「愛情」という感情コードが入力されているので、「ケーキ」+「愛情」の組み合わせのスコアと、「おいしかった」+「愛情」の組み合わせのスコアをそれぞれインクリメント(+1)している。
【0023】
次に、前記で形態素解析した品詞毎に第1のユーザが選択したイラストコードとの組み合わせの有無を検索し、そのスコアをインクリメント(+1)する。ここでは、メッセージの「ケーキがおいしかった」に対して「AI001」というイラストコードが選択されているので、「ケーキ」+「AI001」の組み合わせのスコアと、「おいしかった」+「AI001」の組み合わせのスコアをそれぞれインクリメント(+1)している。
このようにして感情統計テーブルと、非言語統計テーブルとが構築されていく。
【0024】
次に、第2のユーザがメッセージデータのみを入力したときに、上記各種テーブルがどのように参照されてどのような出力表示がなされるかを図4を用いて説明する。
【0025】
第2のユーザが保持する携帯通信端末(MP1)からメッセージデータ(ここでは「かわいいとろけそうなケーキがおいしかった」)を入力した場合、このメッセージデータは基地局(BS1)およびネットワーク(NW)を介してサーバ(SEE)に送信される。
【0026】
サーバ(SEE)では、中央処理装置(CPU)がサーバプログラム(SVAPL)にしたがってこのメッセージデータを処理する。
【0027】
ここでは、まずメッセージデータ「かわいいとろけそうなケーキがおいしかった」を形態素解析して、「かわいい」、「とろける」、「ケーキ」、「おいしかった」という名詞と動詞と形容詞とに分解する。
【0028】
そしてそれぞれの形態素(ワード)について、感情統計テーブルを参照し一致するワードに対する感情とスコアとの組み合わせをチェックする。次に、品詞優先テーブルを参照し、優先すべき品詞を選択する。ここでは「形容詞」が最優先の品詞として登録されているので、前述の形態素解析結果のワードから形容詞を優先的に抽出する。この結果、「かわいい」と「とろける」のワードに対して、最もスコアの高い「ワード」と「感情」の組み合わせを抽出する。ここでは、「かわいい」+「愛情」のスコアが8で、「とろける」+「驚き」のスコアが9なので、「驚き」の感情コードが選択されている。
【0029】
なおここで、それぞれのワードに対して一つずつの感情コードのみが登録されているが、一つのワードに対して複数の感情コードが登録されている場合でも、上記と同様に、ワードと感情コードの組み合わせの中からスコアのより高い組み合わせの感情コードを選択する。
【0030】
次に、メッセージデータ「かわいいとろけそうなケーキがおいしかった」を形態素解析した、「かわいい」、「とろける」、「ケーキ」、「おいしかった」のそれぞれのワードについて、非言語統計テーブルを参照し一致するワードに対するイラストコードとスコアとの組み合わせをチェックする。
【0031】
次に、ここでも品詞優先テーブルを参照し、優先すべき品詞を選択する。ここでも前述したように「形容詞」が最優先の品詞として登録されているので、前述の形態素解析結果のワードから形容詞を優先的に抽出する。この結果、「かわいい」と「とろける」のワードに対して、最もスコアの高い「ワード」と「イラストコード」の組み合わせを抽出する。ここでは、「かわいい」+「KW002」のスコアが16で、「とろける」+「BX005」のスコアが17なので、よりスコアの高い「BX005」のイラストコードが選択されている。
【0032】
以上のようにして元のメッセージデータと、選択された感情コード「驚き」と、イラストコード「BX005」の組み合わせデータ(イラスト付きメッセージ)が生成されて、当該サーバ(SEE)より、前記通信端末(MP1)又は他の通信端末(MP2)に送信・表示される。
【0033】
このように、文章のみからなる第2のメッセージ(MES2)を投稿した場合にも、サーバ(SEE)の感情統計テーブル、品詞優先テーブルおよび非言語統計テーブルによってそのときの感情および最もマッチングしたイラストを選択して表示させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、Twitter(米国Twitter社の商標)、mixiボイス(mixi社の商標)、Facebook(米国Facebook社の商標)、メッセンジャー等と呼ばれるネットワークを介した短文投稿サイト、短文投稿配信システムに利用できる。
【符号の説明】
【0035】
SEE サーバ
NW ネットワーク
BS1,BS2 基地局
MP1,MP2 携帯通信端末
CPU 中央処理装置
MM メインメモリ
BUS バス
DISP ディスプレイ装置
KBD キーボード
HD 大規模記憶装置
OS オペレーティングシステム
SV APL サーバアプリケーションプログラム
MES1 第1のメッセージ
MES2 第2のメッセージ
YR001,KN002,AI001,BX005 イラストコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介した通信端末間のメッセージ処理システムであって、
前記ネットワークに接続されたサーバからダウンロードされたアプリケーションプログラムにしたがって、文字からなる第1のメッセージと、当該メッセージに対してユーザが任意に関連付けた感情コードと、当該感情コードに関連付けられたイラストコードとの入力を受け付ける受付手段と、
前記で受け付けられた第1のメッセージデータを形態素解析して、品詞と、ワードと、感情コードと、その組み合わせが選択されることによって加算されるスコアとを関連付けて登録する感情統計テーブルと、
品詞と、ワードと、イラストコードと、スコアとを関連付けて登録する非言語統計テーブルと、
品詞毎の優先順位を登録した品詞優先テーブルとからなり、
前記通信端末又は他の通信端末からメッセージデータのみの入力を受け付けてこれを第2のメッセージデータとして受信したときに、
当該第2のメッセージデータを形態素解析して、前記品詞優先テーブルを参照して優先する品詞を選択し、この品詞と、ワードと、感情コードとの組み合わせの中で最高スコアを有する組み合わせを前記感情統計テーブルから索出して出力する感情コードを決定し、
前記優先する品詞に基づいて、この品詞と、ワードとイラストコードとの組み合わせの中で最高スコアを有する組み合わせを非言語統計テーブルから索出して出力するイラストコードを決定し、
前記第2のメッセージデータと、前記で決定された感情コードと、イラストコードと組み合わせたイラスト付きメッセージを前記通信端末又は他の通信端末に送信・表示させるメッセージ処理サーバとからなる
メッセージ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−221480(P2012−221480A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95494(P2011−95494)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(511098013)株式会社L is B (1)
【Fターム(参考)】