説明

メディア処理システムおよびメディア処理システムの制御方法

【課題】データの長期保存に適した品質を担保したディスクを作成することができるメディア処理システムを提供する。
【解決手段】ディスクDの記録面にデータを書き込むデータ書き込み部と、ディスクDのレーベル面Lに印刷を行なうレーベル印刷部43と、データ書き込み済みのディスクDのエラーレートを測定するエラーレート測定部63と、エラーレート測定部63による測定結果が、予め設定された所定の閾値以下か否かを判定するエラーレート判定部25と、を備え、レーベル印刷部43は、エラーレート判定部25による判定の結果、測定結果が閾値以下の場合、レーベル面Lにレーベル画像を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアに対しデータの書き込み、およびレーベル面の印刷を行なうことが可能なメディア処理システムおよびメディア処理システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CDやDVD等のメディア(光ディスク)に対して、データの書き込みやレーベル印刷を行なうメディア処理装置が知られている。この種のメディア処理装置では、複数枚のブランクメディアがセットされた供給用のスタッカーから、1のブランクメディアをメディアドライブに供給(搬送)してデータを書き込み、データが書き込まれたメディアを、内蔵のプリンターに供給してレーベル面の印刷を行ない、これにより作成(発行)されたメディアを回収スタッカーに排出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−202379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、書籍等をデジタル化し、デジタル化した電子文書の長期保存を目的として、上記のようなメディア処理装置を用いてCDやDVD等のメディア(光ディスク)に記録することが行なわれている。この記録媒体として用いられるCDやDVD等のメディアは、一定期間(数十年程度)の寿命がありデータの長期保存に適した媒体であるとされているが、現実的には、メディアの品質や保存環境等の様々な要因により劣化が進み、その寿命が変化する。このため、作成したばかりのメディア(データ書き込みを行なったばかりのメディア)であっても、劣化が進んでいる可能性が考えられる。しかしながら、上記のメディア処理装置では、メディア作成時にメディアの状態(劣化の程度)を検出することができないため、作成したメディアが劣化の進んだ状態である可能性があり、必ずしもデータの長期保存に適した品質を担保したメディアを作成できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑み、データの長期保存に適した品質を担保したメディアを作成することができるメディア処理システムおよびメディア処理システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のメディア処理システムは、メディアの記録面にデータを書き込むデータ書き込み部と、メディアのレーベル面に印刷を行なうレーベル印刷部と、データ書き込み部によるデータ書き込み済みのメディアのエラーレートを測定するエラーレート測定部と、エラーレート測定部による測定結果が、予め設定された所定の閾値以下か否かを判定するエラーレート判定部と、を備え、レーベル印刷部は、エラーレート判定部による判定の結果、測定結果が閾値以下の場合、レーベル面にレーベル画像を印刷することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のメディア処理システムの制御方法は、メディアの記録面にデータを書き込むデータ書き込みステップと、データ書き込みステップによるデータ書き込み済みのメディアのエラーレートを測定するエラーレート測定ステップと、エラーレート測定ステップによる測定結果が、予め設定された所定の閾値以下か否かを判定するエラーレート判定ステップと、エラーレート判定ステップによる判定の結果、測定結果が前記閾値以下の場合、レーベル面にレーベル画像を印刷するレーベル印刷ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、所定のデータをメディア(光ディスク)に書き込んだ後、メディアのエラーレートを測定することにより、作成したメディアの品質(劣化程度)を判定することができる。即ち、結果として、データの長期保存に適した品質を担保したメディアを作成することができる。
また、測定したエラーレートが閾値以下(予め設定されたエラーレートに対する閾値以下)の場合のみレーベル面にレーベル画像を印刷することで、ユーザーは作成したメディアの品質が良いのか悪いのかを一目で判断できる。即ち、レーベル画像が印刷されていればメディアの品質は良好であると判断でき、逆にレーベル画像が印刷されていなければメディアが劣化していると判断できる。
なお、上述のレーベル画像とは、ユーザーにより入力あるいは指定された画像であり、メディアの記録内容(データ内容)を示す情報(例えば、作成者や作成年月日、メディアを識別するための情報等)や、メディアのレーベル面を装飾するための画像(背景画像)等を意味する。
【0009】
本発明のメディア処理システムにおいて、レーベル印刷部は、測定結果が閾値以下の場合、エラーレート測定部により測定したエラーレートに関するエラーレート情報を、レーベル面にさらに印刷することが好ましい。
【0010】
また、本発明のメディア処理システムにおいて、エラーレート情報には、エラーレートの最大値およびエラーレートを示すグラフの内の、少なくとも一方が含まれていることが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、レーベル面にエラーレート情報を印刷することができるため、多数のメディアを作成する場合であっても、ユーザーは各メディアがどのくらいのエラーレートかを容易に認識することができ、メディア管理を簡略化することができる。また、様々な形式でエラーレート情報を印刷することができるため、その時々の管理基準によって使い分けることができ利便性が良い。例えば、エラーレートの最大値のみが分かれば良い場合は、エラーレートの最大値のみを印刷し、詳細なエラーレート情報が必要な場合は、エラーレートの最大値に加え、エラーレートのグラフを印刷する等、状況に応じて印刷内容を変更することができる。
なお、エラーレート情報としては、上記以外にも、エラーレートの平均値や総エラーレート値を印刷しても良い。
【0012】
本発明のメディア処理システムにおいて、レーベル印刷部は、エラーレート測定部による測定結果が閾値を超過した場合、レーベル面に、その旨を示す情報を印刷することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、書き込みを行なったメディアが不良である原因を一目で把握することができる。
【0014】
本発明のメディア処理システムにおいて、データ書き込み部は、エラーレート測定部による測定の結果、メディアのエラーレートが閾値を超過した場合、当該メディアに書き込んだデータと同じデータを他の未使用メディアに書き込むメディア再作成処理を実行することが好ましい。
【0015】
また、本発明のメディア処理システムにおいて、データ書き込み部は、メディア再作成処理を、予め設定された所定回数繰り返すことが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、エラーレートが閾値を超えた場合、即ち、メディアの作成に失敗した場合、同じデータを用いてメディアの再作成を行なうことができる。また、メディア再作成処理を所定回数繰り返すことで、成功メディア(データが正常に書き込まれたメディア)の作成確率を高めることができる。また、メディア再作成処理の回数を設定しておくことで、例えば、成功するまでメディア再作成処理を繰り返す場合に比べ、メディア(未使用メディア)を無駄に消費することを防止できる。
【0017】
本発明のメディア処理システムにおいて、メディアを特定する識別情報と、エラーレート測定部による測定結果と、を関連付けて記憶するデータ記憶部を、さらに備えたことが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、メディアのエラーレートと当該メディアの識別情報と、を関連付けて記憶(保存)しておくことで、作成したメディアのエラーレートを容易に把握することができ、メディア管理を簡単に、且つ効率良く行なうことができる。特に、大量のメディアを作成する場合に有効である。
【0019】
本発明のメディア処理システムは、データ書き込み部、レーベル印刷部およびエラーレート測定部を有するメディア処理装置と、エラーレート判定部を有する情報処理装置と、から成り、メディア処理装置と情報処理装置とは通信可能に接続されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、メディア処理システムの各部(各機能)をメディア処理装置単体で構成する場合に比べ、メディア処理装置の処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るメディア処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】ディスク作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートの処理過程におけるレーベル面への印刷結果の一例を示す図である。
【図4】図2のフローチャートの処理過程におけるレーベル面への印刷結果の一例を示す図である。
【図5】レーベル面へ印刷する印刷内容の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係るメディア処理システムおよびメディア処理システムの制御方法について説明する。図1は、本実施形態のメディア処理システムSYの機能構成を示したブロック図である。図示のように、メディア処理システムSYは、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)やBD(Blu-ray Disk)等の光ディスク(メディア。以下、単に「ディスクD(図3参照)」と称す)に対する書き込みや読み取りおよびレーベル面L(図3参照)の印刷を行なうメディア処理装置1と、メディア処理装置1と接続され、当該メディア処理装置1を制御する情報処理装置2と、により構成されている。
【0023】
情報処理装置2は、一般的なパーソナルコンピューターやサーバー等により構成され、主要な要素として、ディスク作成用アプリケーション11、データ記憶部12、搬送処理制御部13、記録処理制御部14、および印刷処理制御部15を有している。
【0024】
ディスク作成用アプリケーション11は、ディスクDの記録面に書き込むデータの指定やレーベル面Lに印刷するレーベル画像(レーベル画像データ)の作成(または指定)を行なうアプリケーションである。また、ディスクDを作成するための一連の処理(ディスク作成処理,詳細は後述する)をスケジューリングし、搬送処理制御部13、記録処理制御部14、および印刷処理制御部15に対して処理実行を指示することで、メディア処理装置1の各部(後述する)の動作を制御する。なお、ディスク作成用アプリケーション11は、情報処理装置2のCPU(図示省略)により実行されるものである。
【0025】
データ記憶部12は、ディスクDの記録面に書き込むための各種データ、ディスクDのレーベル面Lに印刷する各種レーベル画像(本実施形態では、サンプルとして予め用意されたレーベル画像や、ディスク作成用アプリケーション11で作成されたレーベル画像等を意味する)、およびレーベル面Lに印刷する各種エラー情報を記憶する。また、データ記憶部12は、ディスクDのエラーレートと当該ディスクDを識別するための識別情報と、を関連付けたディスク情報を記憶する(詳細は後述する)。なお、エラー情報とは、予めシステムの開発者等により作成された文字情報であり、ディスクDの作成処理時(データ書き込み時)に発生する可能性のあるエラーに関する情報を意味する。
【0026】
搬送処理制御部13は、ディスク作成用アプリケーション11のスケジューリングに則って、メディア処理装置1のディスク搬送機構45を制御するためのディスク搬送命令を生成し、これをメディア処理装置1に送信する。
【0027】
記録処理制御部14は、ディスク作成用アプリケーション11のスケジューリングに則って、メディア処理装置1におけるデータの書き込み処理に関する命令を生成・発行するものであり、書き込み命令発行部21、コンペア命令発行部22、ウィルスチェック部23、エラーレート測定命令発行部24およびエラーレート判定部25を有している。
【0028】
書き込み命令発行部21は、データ記憶部12から指定されたデータを取得し、当該データをディスクDに書き込むための命令(書き込み命令)をメディア処理装置1に送信する。
【0029】
コンペア命令発行部22は、ディスクDに正常にデータが書き込まれたかどうかをチェックするコンペア処理を実行するための命令(コンペア処理命令)をメディア処理装置1に送信する。ウィルスチェック部23は、ディスクDに書き込まれているデータのウィルスチェックを実行する。
【0030】
エラーレート測定命令発行部24は、ディスクDのエラーレートを測定するための命令(エラーレート測定命令)をメディア処理装置1に送信する。エラーレート判定部25は、予め設定されたエラーレートの閾値と、メディア処理装置1で測定したエラーレートの測定結果(エラーレートの最大値)を比較し、測定結果が閾値以下か、閾値を超過したかを判定する。
【0031】
印刷処理制御部15は、ディスク作成用アプリケーション11のスケジューリングに則って、メディア処理装置1におけるレーベル面Lの印刷処理に関する命令を生成・発行するものであり、印刷データ生成部31および印刷命令発行部32を有している。
【0032】
印刷データ生成部31は、レーベル面Lに印刷するための印刷データを生成する。この印刷データとしては、ディスク作成処理が成功した場合(コンペア処理、ウィルスチェックおよびエラーレート判定処理で問題がなかった場合)、ユーザーにより作成された(あるいは指定された)レーベル画像と、メディア処理装置1で測定したエラーレートに関する情報(以下、「エラーレート情報」と称す)と、に基づいて、ディスクDのレーベル面Lに印刷する印刷データ(後述のレーベル印刷部43で処理可能な形式の印刷データ)を生成する。また、ディスク作成処理時にエラーが発生した場合(コンペア処理、ウィルスチェックおよびエラーレート判定処理のいずれかで問題があった場合)、当該エラーの内容を示すエラー情報(データ記憶部12に記憶されているエラー情報)に基づいた印刷データを生成する。印刷命令発行部32は、印刷データ生成部31によって生成した印刷データおよび当該印刷を実行するための命令(印刷命令)をメディア処理装置1に送信する。
【0033】
一方、メディア処理装置1は、制御部41、データ記録部42、レーベル印刷部43、ディスク収容部44およびディスク搬送機構45を備えている。データ記録部42は、ディスクDの記録面に対するデータの書き込み、またはディスクDの記録面からデータの読み出しを行なうディスクドライブである。レーベル印刷部43は、ディスクDのレーベル面Lに対して印刷処理を行うプリンターである。なお、本実施形態のレーベル印刷部43は、インクジェットヘッドを備え、インクジェット方式でレーベル面Lの印刷を行う。
【0034】
ディスク収容部44は、ディスクDを収容するものであり、数十枚程度のディスクDを積載状態で収容する円筒形状の収容ケースで形成されている。本実施形態では、未使用のディスクD(書き込み処理および印刷処理が施されていないディスクD(ブランクディスク))を収容する供給用スタッカー44aと、書き込み処理および印刷処理が正常に完了したディスクD(成功ディスク)を収容する第1保管用スタッカー44bと、ディスクDの作成段階でエラーが発生したディスクD(エラーディスク)を収容する第2保管用スタッカー44cと、を有している。なお、これら各スタッカーの構成は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0035】
ディスク搬送機構45は、データ記録部42、レーベル印刷部43およびディスク収容部44の間でディスクDを搬送する機構であり、ディスクDを把持して水平方向(X軸方向)に移動させるアーム部と、アーム部を垂直方向(Y軸方向)に移動させるガイドと、ガイドの軸方向に沿って摺動可能でありガイドの軸を中心に回動する駆動部(いずれも図示省略)とを有し、駆動部の駆動に伴ってディスクDを各部に搬送する。
【0036】
制御部41は、情報処理装置2からの各種命令に基づいて、メディア処理装置1の各部を制御するためのものであり、搬送制御部51、記録制御部52および印刷制御部53を有している。搬送制御部51は、情報処理装置2(搬送処理制御部13)からのディスク搬送命令に基づいて、ディスク搬送機構45の動作を制御する。印刷制御部53は、情報処理装置2(印刷処理制御部15)からの印刷命令により、レーベル印刷部43の動作を制御する。
【0037】
記録制御部52は、情報処理装置2(記録処理制御部14)からの各種命令によりデータ記録部42の動作を制御するものであり、書き込み処理部61、コンペア処理部62およびエラーレート測定部63を有している。書き込み処理部61は、情報処理装置2から送信された書き込み命令に基づいて、対象となるデータをディスクDへ書き込む処理を制御する。コンペア処理部62は、情報処理装置2から送信されたコンペア命令に基づいて、ディスクDに書き込んだデータと、その元となる情報処理装置2に記憶されているデータ(実データ)とを比較することにより、ディスクDに正常にデータが書き込まれたかどうかを判定する。エラーレート測定部63は、情報処理装置2から送信されたエラーレート測定命令に基づいて、データ書き込み済みのディスクDのエラーレートを測定し、測定結果を情報処理装置2に送信する。なお、「データ書き込み部」は、記録制御部52(書き込み処理部61)およびデータ記録部42を主要部として構成される。
【0038】
次に、図2ないし図4を参照して、メディア処理システムSYにおけるディスク作成処理について説明する。図2は、ディスク作成処理の処理手順を示すフローチャートであり、図3および図4は、図2のフローチャートの処理過程におけるレーベル面Lへの印刷結果を示す図である。なお、ここでは、ディスクDに記録するデータおよびレーベル画像は指定されているものとする。また、エラーレートに対する閾値は予め設定されているものとする。
【0039】
まず、ユーザー操作により、情報処理装置2がディスク作成処理の開始指示を受けると(S01)、情報処理装置2はメディア処理装置1に対してディスク搬送命令を送信し、メディア処理装置1は、当該命令に基づいて供給用スタッカー44aに収容されている未使用のディスクD(ブランクディスク)をデータ記録部42に搬送する(S02)。次に、情報処理装置2は、メディア処理装置1に対して書き込み命令(書き込み対象となるデータを含む)を送信し、メディア処理装置1は、当該命令に基づいてデータ記録部42を制御し、ディスクDに対してデータの書き込みを実行する(S03,データ書き込みステップ)。
【0040】
次に、書き込み処理終了後、情報処理装置2は、メディア処理装置1に対してコンペア命令を送信し、メディア処理装置1は、当該命令に基づいてコンペア処理を実行する(S04)。このコンペア処理において、ディスクDに書き込まれたデータと、この元となるデータ(情報処理装置2に記憶されているデータ)とが一致しない場合、即ち、コンペアが失敗した場合(S05;No)、情報処理装置2は、コンペア失敗を示す印刷データをメディア処理装置1に送信し、メディア処理装置1はレーベル印刷部43を制御して受信した印刷データに基づいてレーベル面Lに印刷を行なう(S06)。即ち、この場合、レーベル面Lには、図3(a)に示すように、「コンペア処理が失敗した」旨を示すエラー情報(コンペアエラー情報71)が印刷される。そして、メディア処理装置1は、情報処理装置2から送信されるディスク搬送指令に基づいて、当該ディスクDをエラーディスクの保管場所である第2保管用スタッカー44cへ搬送する(S07)。その後、S03で書き込み対象となったデータを用いてディスクDの再作成処理(ディスク再作成処理)を実行する(S01)。即ち、S03で書き込み対象となったデータを、再度、他の未使用ディスクに書き込む処理を実行する。この場合、S01の処理は、ユーザーからのディスク作成処理の開始指示を受ける(取得する)のではなく、自動的にディスクDの再作成を実行する(以下で説明するディスク再作成処理においても同様である)。
【0041】
一方、コンペア処理において、ディスクDに書き込まれたデータと、この元となるデータ(情報処理装置2に記憶されているデータ)とが一致した場合、即ち、コンペアが成功した場合(S05;Yes)、情報処理装置2は、ディスクDのウィルスチェックを実行する(S08)。ウィルスチェックにおいて、ウィルスが検出された場合(S09;No)、情報処理装置2は、ウィルス検出結果を示す印刷データをメディア処理装置1に送信し、メディア処理装置1はレーベル印刷部43を制御して受信した印刷データに基づいてレーベル面Lに印刷を行なう(S10)。即ち、この場合、レーベル面Lには、図3(b)に示すように、「ウィルスが検出された」旨を示すエラー情報(ウィルス検出情報72)が印刷される。そして、メディア処理装置1は、情報処理装置2から送信されるディスク搬送指令に基づいて、当該ディスクDをエラーディスクの保管場所である第2保管用スタッカー44cへ搬送する(S07)。その後、S03で書き込み対象となったデータを用いてディスクDの再作成処理(ディスク再作成処理)を実行する(S01)。なお、図3(b)において、ウィルス感染したファイル名等を印刷しても良い。
【0042】
一方、ウィルスチェックにおいてウィルスが検出されなかった場合(S09;Yes)、情報処理装置2は、メディア処理装置1に対してエラーレート測定命令を送信し、メディア処理装置1は当該命令に基づいてディスクDのエラーレートを測定する(S11,エラーレート測定ステップ)。この測定結果は情報処理装置2に送信される。情報処理装置2は、メディア処理装置1からエラーレートの測定結果を受信すると、当該エラーレート(エラーレートの最大値)が閾値以下か否かを判定する(エラーレート判定ステップ)。
【0043】
エラーレートが閾値を超過している場合(S12;No)、情報処理装置2は、エラーレート異常を示す印刷データをメディア処理装置1に送信し、メディア処理装置1は、レーベル印刷部43を制御して受信した印刷データに基づいてレーベル面Lに印刷を行なう(S13)。即ち、この場合、レーベル面Lには、図3(c)に示すように、「エラーレートが異常である(エラーレートの最大値が閾値を超えた)」旨を示すエラー情報(エラーレート異常情報73)が印刷される。そして、メディア処理装置1は、情報処理装置2から送信されるディスク搬送指令に基づいて、当該ディスクDをエラーディスクの保管場所である第2保管用スタッカー44cへ搬送する(S07)。その後、S03で書き込み対象となったデータを用いてディスクDの再作成処理(ディスク再作成処理)を実行する(S01)。
【0044】
一方、エラーレートが閾値以下の場合(S12;Yes)、情報処理装置2は、メディア処理装置1から受信したエラーレートの測定結果に基づくエラーレート情報と、ユーザーにより作成(または指定)されたレーベル画像とをマージした印刷データを生成し、これをメディア処理装置1に送信し、メディア処理装置1は、レーベル印刷部43を制御して受信した印刷データに基づいてレーベル面Lに印刷を行なう(S14,レーベル印刷ステップ)。即ち、この場合、レーベル面Lには、図4に示すように、レーベル画像(同図では、タイトル81、保存データ形式82、管理番号83、作成年月日84(Create Date)および所有者名85(作成者名)に相当)に加え、エラーレート情報(同図では、エラーレート測定年月日86(Error Rate Check Date)およびエラーレート最大値87(MAX Error Rate,一例として、DVDのエラーレート最大値を示す))が印刷される。
【0045】
また、この時、情報処理装置2はエラーレートの測定結果と、当該エラーレートを測定したディスクDの識別情報とを関連付けたディスク情報を、データ記憶部12に記憶してもよい。なお、ここで言う識別情報とは、ディスクDを特定するための情報であり、上記S14でレーベル面Lに印刷した内容(即ち、参照番号:81〜85の内容)と同じ情報である。このディスク情報を用いることで、大量のディスクDを管理する場合に、作成したディスクDのエラーレートを容易に把握することができ、ディスク管理を簡単に行なうことができる。
【0046】
そして、メディア処理装置1は、情報処理装置2から送信されるディスク搬送指令に基づいて、当該ディスクDを成功ディスクの保管場所である第1保管用スタッカー44bへ搬送し(S15)、その後、次のディスク作成処理(次の書き込み対象となるデータを用いたディスク作成処理)を実行する(S01)。
【0047】
なお、上述のコンペア処理、ウィルスチェックおよびエラーレート判定のいずれかの処理で異常となったディスクDの再作成処理(ディスク再作成処理)は、予め設定された所定の回数(例えば、3回や5回等)だけ繰り返し行なわれ、ディスク再作成の回数が、設定された回数に達した場合は、ディスク再作成処理を停止し、次のディスク作成処理、即ち、次の書き込み対象となるデータを用いたディスク作成処理に移行する。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、所定のデータをディスクDに書き込んだ後、当該ディスクDのエラーレートを測定することにより、作成したディスクDの品質(劣化程度)を判定することができる。即ち、結果として、データの長期保存に適した品質を担保したディスクDを作成することができる。また、測定したエラーレート(エラーレートの最大値)が閾値以下(予め設定されたエラーレートに対する閾値以下)の場合のみレーベル面Lにレーベル画像を印刷することで、ユーザーは作成したディスクDの品質が良いのか悪いのかを一目で判断できる。即ち、レーベル画像が印刷されていればディスクDの品質は良好であると判断でき、逆にレーベル画像が印刷されていなければディスクDが劣化している(不良ディスクである)と判断できる。
【0049】
また、レーベル面Lにエラーレート情報を印刷することができるため、多数のディスクDを作成する場合であっても、ユーザーは各ディスクDがどのくらいのエラーレートなのかを容易に認識して、ディスク管理を簡略化することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、エラーレート情報として、エラーレート測定年月日86およびエラーレート最大値87(いずれも図4参照)をレーベル面Lに印刷しているが、これに限るものではなく、例えば、図5(a)に示すように、エラーレートのグラフGを印刷しても良い。また、エラーレート情報として、エラーレートの平均値や総エラーレート値、あるいはエラーレートの閾値を合わせて印刷しても良い。
【0051】
また、本実施形態では、エラーレート(エラーレートの最大値)が閾値以下の場合に、レーベル面Lにレーベル画像に加えてエラーレート情報を印刷しているが(図4参照)、これに限るものではない。例えば、エラーレート(エラーレートの最大値)が閾値以下の場合に、図5(b)のようにレーベル画像のみを印刷しても良い。
【0052】
また、本実施形態におけるレーベル面Lに対する各種情報(レーベル画像、エラーレート情報およびエラー情報)の印刷位置は、あくまでも一例であり、これに限るものではない。また、レーベル画像を構成する情報(参照番号81〜85)も一例であり、これに限るものではない。これらは、ディスク作成時の仕様に基づいて、適宜変更することが可能である。
【0053】
また、本実施形態では、成功ディスクおよびエラーディスクを、それぞれ第1保管用スタッカー44bおよび第2保管用スタッカー44cに分散して保管(搬送)する構成としているが、これに限るものではない。例えば、保管用スタッカーを1つにし、これに成功ディスクとエラーディスクの両方を保管(搬送)する構成としても良い。
【0054】
また、本実施形態では、書き込み後のディスクDに対して、コンペア、ウィルスチェック、エラーレート測定の順で処理を実行しているが、この順番は一例であり、任意に変更することも可能である。
【0055】
また、本実施形態では、ディスクDの識別情報として、レーベル面Lに印刷した内容(図4の参照番号81〜85の内容)を例示しているが、これに限るものではない。例えば、図4の参照番号81〜85のいずれかの情報(または、いずれかの情報の組み合わせ)であっても良いし、あるいは、他の管理情報(例えば、ディスクD毎に割り当てたIDなど)であっても良い。即ち、作成したディスクDを一意に特定できる情報であれば良い。
【0056】
また、本発明のメディア処理システムSYをメディア処理装置1のみで実現しても良い。
【0057】
また、上記した、メディア処理システムSYの各構成要素をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0058】
また、上述した実施例によらず、メディア処理システムSYの装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…メディア処理装置 2…情報処理装置 25…エラーレート判定部 42…データ記録部 43…レーベル印刷部 63…エラーレート測定部 73…エラーレート異常情報 86…エラーレート測定年月日 87…エラーレート最大値 SY…メディア処理システム D…ディスク L…レーベル面 G…グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアの記録面にデータを書き込むデータ書き込み部と、
前記メディアのレーベル面に印刷を行なうレーベル印刷部と、
前記データ書き込み部によるデータ書き込み済みの前記メディアのエラーレートを測定するエラーレート測定部と、
前記エラーレート測定部による測定結果が、予め設定された所定の閾値以下か否かを判定するエラーレート判定部と、を備え、
前記レーベル印刷部は、
前記エラーレート判定部による判定の結果、前記測定結果が前記閾値以下の場合、前記レーベル面にレーベル画像を印刷することを特徴とするメディア処理システム。
【請求項2】
前記レーベル印刷部は、
前記測定結果が前記閾値以下の場合、前記エラーレート測定部により測定した前記エラーレートに関するエラーレート情報を、前記レーベル面にさらに印刷することを特徴とする請求項1に記載のメディア処理システム。
【請求項3】
前記エラーレート情報には、
前記エラーレートの最大値および前記エラーレートを示すグラフの内の、少なくとも一方が含まれていることを特徴とする請求項2に記載のメディア処理システム。
【請求項4】
前記レーベル印刷部は、
前記エラーレート測定部による測定結果が前記閾値を超過した場合、前記レーベル面に、その旨を示す情報を印刷することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメディア処理システム。
【請求項5】
前記データ書き込み部は、
前記エラーレート測定部による測定の結果、前記メディアのエラーレートが前記閾値を超過した場合、当該メディアに書き込んだデータと同じデータを他の未使用メディアに書き込むメディア再作成処理を実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のメディア処理システム。
【請求項6】
前記データ書き込み部は、
前記メディア再作成処理を、予め設定された所定回数繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のメディア処理システム。
【請求項7】
前記メディアを特定する識別情報と、前記エラーレート測定部による測定結果と、を関連付けて記憶するデータ記憶部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のメディア処理システム。
【請求項8】
前記データ書き込み部、前記レーベル印刷部および前記エラーレート測定部を有するメディア処理装置と、前記エラーレート判定部を有する情報処理装置と、から成り、前記メディア処理装置と前記情報処理装置とは通信可能に接続されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに1項に記載のメディア処理システム。
【請求項9】
メディアの記録面にデータを書き込むデータ書き込みステップと、
前記データ書き込みステップによるデータ書き込み済みの前記メディアのエラーレートを測定するエラーレート測定ステップと、
前記エラーレート測定ステップによる測定結果が、予め設定された所定の閾値以下か否かを判定するエラーレート判定ステップと、
前記エラーレート判定ステップによる判定の結果、前記測定結果が前記閾値以下の場合、前記レーベル面にレーベル画像を印刷するレーベル印刷ステップと、を実行することを特徴とするメディア処理システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−190527(P2012−190527A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55600(P2011−55600)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】