説明

メディア及び膜ろ過複合ろ過設備及びその運転方法

【課題】 従来のメディアろ過池および膜ろ過装置によるろ過技術を融合し、両者の問題点を解消し、その設置スペースが小さくて済むコンパクトな設備により、被処理水の増加、変動や水質変動に的確かつ柔軟に対応できるリスクの少ない極めて水処理効率に優れたろ過設備及びその運転方法を提供すること。
【解決手段】 メディアろ過池Mと、該メディアろ過池のろ過槽11に、ろ過時における被処理水の水位Lよりも下方となる位置に複数の膜モジュール16を配設した膜ろ過装置Sとからなり、前記ろ過槽11に供給された被処理水Hを、前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方によって同時にろ過処理して前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方からろ過後の浄水を同時に得るように構成したことを特徴とするメディア及び膜ろ過複合ろ過設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浄水場における浄水処理など各種の水処理に適したろ過設備に関し、特にメディアろ過池と膜ろ過装置とを有機的に組み合わせた複合ろ過設備及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水場における水処理は、一般に砂、アンスラサイトあるいは粒状活性炭などの粒状ろ材をろ過層とした所謂メディアろ過池(メディアろ過器またはろ過装置)が採用されている。
【0003】
しかしながら、このメディアろ過池はろ過速度が一定(処理水量が一定)であるため処理水量の変動に対してはメディアろ過池の運転・停止などの運転操作を繰り返し行うなど施設としては効率的でなく、かつ緊急的な処理水量の増加に対応できないという問題がある。
【0004】
近年、かかるメディアろ過池に代わるろ過装置として膜ろ過装置が開発され、小規模浄水場を中心に普及が進んでいる。この膜ろ過装置はコンパクトであり、設置スペースが小さくて済み、また懸濁物質や微細な病原性原虫なども分離可能であるとともに膜の種類(MF膜、UF膜、NF膜など)を選択することによりさまざまな水質の被処理水を処理できる。さらに、その膜モジュールはユニット形式であるため被処理水の処理規模に応じて自在に対応でき、建設工期が短くて済む。
【0005】
膜ろ過装置はこうした利点があるものの、精密な膜を使用しているため膜モジュールに目詰りを生じ、このため、年に数回の薬品洗浄を実施しなければならず、また膜に寿命があるため膜モジュールの交換を必要とし、装置コストに加えてランニングコストが高いという不利な面もある。
【0006】
また、このメディアろ過池と膜ろ過装置とを併用するろ過設備も提案されている(特許文献1など)。しかし、かかる設備はメディアろ過池の逆洗排水を原水に戻さず、膜ろ過装置を利用して処理し、メディアろ過池の負担を軽減するものであり、メディアろ過池とは別の場所に膜ろ過装置およびその付帯装置を設置する必要があり、その分全体の設備が大型となり、設置スペースもさらに大きく必要とする。しかも、被処理水の処理容量(浄水量)は基本的にはメディアろ過池のろ過速度に依存し、被処理水の供給量の大きな変動には対応できず、さらに場合によっては被処理水の水質の変化に対しても十分な対応ができないなど問題を有している。
【0007】
最近は、浄水場など水処理設備の敷地確保、これら設備やその運転、保守を含めた大型投資が一段と困難になっており、その一方で浄水などの処理水の増加や変動に対する的確な対応が要請されるとともに、処理水の水質基準もきめ細かく制限され、被処理水の水質変化に対しても処理水の十分な品質管理が要求され、これらに対するリスクを回避しなければならない状況となっている。
【特許文献1】特開2003−236558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこうした水処理における厳しい背景を踏まえ、従来のメディアろ過池および膜ろ過装置によるろ過技術を融合し、両者の問題点を解消し、その設置スペースが小さくて済むコンパクトな設備により、被処理水の増加、変動や水質変動に的確かつ柔軟に対応できるリスクの少ない極めて水処理効率に優れたろ過設備及びその運転方法を提供することをその目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、このような目的達成のために完成された本発明の要旨とする特徴は以下の通りである。
(1)メディアろ過池と、該メディアろ過池のろ過槽に、ろ過時における被処理水の水位よりも下方となる位置に複数の膜モジュールを配設した膜ろ過装置とからなり、前記ろ過槽に供給された被処理水を、前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方によって同時にろ過処理して前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方からろ過後の浄水を同時に得るように構成したことを特徴とするメディア及び膜ろ過複合ろ過設備(請求項1)。
(2)膜ろ過装置の膜モジュールの配設位置がメディアろ過池のろ過槽の内部上方である前記(1)に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備(請求項2)。
(3)メディアろ過池には被処理水が流入するガリットを有し、膜モジュールがガリットの溝の中に収容された状態で配置される前記(1)または(2)に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備(請求項3)。
(4)前記ガリットにはその直角方向に分岐したトラフが配設されている前記(3)に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備(請求項4)。
(5)前記(1)に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備を用いた運転方法において、被処理水の供給量の変動、要求浄水量の変動または被処理水の水質変化に対して、メディアろ過と膜ろ過の処理量の比率を変化させて浄水を製造するメディア及び膜ろ過複合ろ過設備の運転方法(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればメディアろ過池と膜ろ過装置を有機的に組み合わせて一体化したろ過設備を提供することにより、設置スペースが小さくコンパクトな設備形態になり、被処理水の増加、変動や水質変化に的確且つ柔軟に対応でき、しかもリスクの少ない水処理効率に極めて優れた低コストの複合ろ過技術の実現とその確立を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の複合ろ過設備の一実施形態を説明する浄水処理設備全体の概要図である。
【図2】本発明の複合ろ過設備の一実施形態を説明する図1のろ過槽の側断面概要図である。
【図3】本発明の複合ろ過設備の基本的な特長概念を示す模式図(正面図)である。
【図4】本発明の複合ろ過設備の他の実施形態を示す正面切欠き斜視図である。
【図5】上記図4における本発明の複合ろ過設備の他の実施形態による複合ろ過時のフローを示した正面切欠き斜視図である。
【図6】同図4における本発明の複合ろ過設備の他の実施形態による膜ろ過装置の膜モジュールの逆洗時のフローを示した正面切欠き斜視図である。
【図7】同図4における本発明の複合ろ過設備の他の実施形態によるメディアろ過池のろ材層1の逆洗時のフローを示した正面切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明をその典型的な実施形態に基づき詳細について説明する。なお、以下においては本発明にかかる水処理設備の処理対象として浄水処理を中心に述べるが、本発明はこれに限らず、工業用水、生活用水、下水など各種の分野で発生する不純物を含む様々な排水の処理に適用できるものである。
【0013】
図1は本発明の複合ろ過設備の一実施形態を説明する浄水処理設備全体の概要図である。ここにおいて、1は河川などから原水Gを導く着水井でありこの着水井1に貯留された原水は前処理設備Aに供給されて前処理がなされ、さらに被処理水Hとして本発明にかかる複合ろ過設備Bに供給されて浄水となるものである。
【0014】
まず、原水Gは前処理設備Aの急速攪拌槽2に供給され、ここで凝集剤が添加されるとともに急速攪拌がなされ、原水G中の汚濁物質は凝集剤と接触混合されフロックとなる。急速攪拌後の原水Gは次の緩速攪拌槽3に供給され、ここで緩やかな攪拌が施されてフロックはさらに凝集、成長する。次いで、原水Gは沈澱池4に導かれ、成長したフロックは重力により沈降分離される。なお、富栄養化などにより原水水質が悪化している水源ではフロックが分離された上澄みの原水はオゾン攪拌槽5及び活性炭吸着槽6により異臭味、有機物などが分解、吸着除去され、被処理水Hとして本発明の複合ろ過設備Bに供給される。
【0015】
この複合ろ過設備Bはメディアろ過池(以下、単にメディアということがある)Mと膜ろ過装置(以下、メンブレンろ過装置又は単にメンブレンということがある)Sの二つの異なったろ過手段(ろ過装置)が設備として一体となって構成されている。メディアろ過池Mは被処理水Hをろ過槽(以下、槽と略称することがある)11の下部にろ材層12を有しており、その上部にはトラフ13が設けられている。この槽11のろ材層12下部には集水装置14があり、メディアろ過された集水装置14から浄水J1が配管を介して浄水池15に送られるようになっている。そして、メディアろ過池Mの槽11の内部上方で被処理水の水位(L)よりも下方となる位置に複数の膜モジュール16をユニット化して配設した浸漬型の膜ろ過装置Sが設置されている。膜モジュール16は例えば中空糸あるいはセラミックで構成される。
【0016】
この膜モジュール16は、図1の槽11の側断面を示した図2のように、槽11の下部両側に分割して設けられたろ材層12及びその上にあるトラフ13の中央に配設されたメディアろ過池Mにおける被処理水Hの逆洗排水の排出用の樋状を有したガリット(溝)19の直上に浸漬配置されている。ガリット19は槽11の全長に亘って設けられ、トラフ13はその左右に分岐された形で連絡され、流入渠(後述)を通じて供給された被処理水Hはこのガリット19に入り、複数の左右対になったトラフ13(図では2つ)を介して左右に分流されてから、下部のろ材層12を通過してろ過される。膜モジュール16はこのガリット19のトラフ13との連絡部を避けた位置に間隔をあけて設けられている。
【0017】
膜ろ過装置Sにおいては、槽11に供給、貯留された被処理水Hが各膜モジュール16からポンプ17により配管を介して吸引ろ過され、前記浄水池15に浄水J2となって送られる。なお、18は流量計であり、これにより浄水J2の流量を測定し、ポンプ17にフィードバックすることで、任意の膜ろ過流束、または任意の流量に調整することができる。なお、場合によっては、槽11と浄水池15の水位差を利用して流量計18と流量調節弁でろ過を行うことができる。
【0018】
メディアろ過池Mの上方には、メディアろ過池Mのろ材層12及び膜ろ過装置Sの膜モジュール16の目詰まりによるろ過効率の低下を防止すべく、これらの洗浄(逆洗)を行うために使用される洗浄水Kが貯留された洗浄水槽23が高架上に設置されている。なお、高架式洗浄水槽が設置できない場合、浄水池15にメディアろ過池Mと膜ろ過装置Sの逆洗のための専用ポンプを設置する。この洗浄水槽23はその配管により、ろ過処理されたそれぞれの浄水J1及びJ2を浄水池15に送る配管の※1及び※2の位置に接続されており、洗浄水Kをメディアろ過池Mのろ材層12及び膜ろ過装置Sの膜モジュール16のそれぞれに供給できるように構成されている。なお、図示しないがこれらの配管には通常のろ過時と逆洗時の切換えのためのバルブが設けられている。この例では、洗浄水槽23が高架上にあるため、メディアろ過池Mと膜ろ過装置Sの逆洗のための専用ポンプがともに不要となり、設備上有利である。24はこの洗浄水による逆洗効果を高めるためにメディアろ過池Mのろ材層12及び膜ろ過装置Sの膜モジュール16の底部に配設された空気バブリング装置(図示しない)に空気を供給するための洗浄用ブロアである。洗浄用ブロア24は両者の逆洗に共用でき一つで済むので、やはり設備面で有利である。
【0019】
本発明にかかるこの複合ろ過設備Bの基本的なろ過の特長概念を図3の模式図(正面図)によって説明すると、被処理水Hは槽11の図の上部左側から流入し、その一部は槽11内の上部に設置されたメンブレンろ過装置(膜ろ過装置)Sの膜モジュール16に入って、図の右側に吸引されて流れ、膜モジュール16を通過する過程で膜ろ過がなされ、浄水J2として槽11外に排出される。そして、この膜ろ過と同時に被処理水Hの残りの一部は槽11内を下降して流れ、メディアろ過池Mのろ材層12を図の上から下に通過し、この過程でメディアろ過がなされ、集水装置14を経て、浄水J1として槽11外に排出される。そして、これら膜ろ過によって得られた浄水J1とメディアろ過によって得られた浄水J2とが浄水池15において一緒に集水(J)され、水道水等の浄水用途に使用される。
【0020】
このように、本発明では、メディアろ過池Mとこれに一体的に組み込まれた膜ろ過装置
(メンブレンろ過装置)Sとからなる複合ろ過設備によって、メディアろ過と膜ろ過の双方を同時並行して行うことが可能な複合ろ過プロセスを実現できるものである。従って、本発明の採用により、運転形態の異なるメディアろ過と膜ろ過を積極的に併用、協同させることによってそれぞれのプロセスの利点を最大限に生かしたリスクの少ない極めて効率的なプロセスによってさまざまな水処理を行うことができる。
【0021】
すなわち、本発明によるとメディアろ過と膜ろ過を同時に実施できることから、メディアろ過池単独によるろ過に比べて、高速でろ過することができ、且つ両者のろ過速度(流速)を調整して処理量をコントロールすることにより、被処理水の供給量の増加や変動(あるいは浄水量の変動要求)への対応力が大幅に向上する。この供給量の増加に対しては、例えば100m2/池の急速ろ過をモデルとした場合、従来のメディアろ過池では12,000〜24,000m3/日/池であるのに対して、本発明では12,000〜48,000m3/日/池の対応が可能となる。
【0022】
また、供給量の変動ばかりでなく、被処理水の水質変化に対しても、両者の処理量の比率を変化させることで要求される一定の水質の浄水を製造することが可能となる。
【0023】
しかも、本発明により、メディアろ過池の設置スペースで膜ろ過装置を一体的に組み込むことができるため、設置面積当りの水処理量(浄水量)を著しく向上させることが可能となり、コンパクトな設備で実施でき、設備全体の設置面積を小さくすることができ、これに伴って敷地の確保も容易となり、設備投資も少なくて済むことになる。特に、既設のメディアろ過池における供給量の増加に対しては、増設のための設置スペースを新たに確保する必要がなく膜ろ過装置をメディアろ過池に組み込むだけで対処できるので、実用性に富むものである。
【0024】
さらに、膜ろ過装置単独に比べて、膜モジュールの目詰まりやその交換が軽減され、安定した運転、操業を継続でき、ランニングコストも減少することになる。
加えて、本発明によれば、膜ろ過装置(膜モジュール)の逆洗排水をそのままメディアろ過池でろ過することができ、膜ろ過の回収率を100%に維持することができる。
次に、本発明の複合ろ過設備について、他の実施形態により、逆洗などの処理方法を含めて、図4〜図7を参照してより詳しく開示する。
【0025】
図4は、本設備の正面切欠き斜視図であり、メディアろ過池の槽11の下部にろ材層12が有り、その上部には膜ろ過装置の膜モジュール16が設けられている。そして、この実施形態では、4系列の膜モジュール16が、槽11の幅方向の中央部にその長手方向に伸びて配置されたガリット19の溝の中に収納された状態で並び、槽11内に供給された被処理水Hの水位よりも下に有り、その水中に浸漬して設けられている。つまり、本例はこのガリット19を膜モジュール16の浸漬槽として活用している形態である。ガリット19の両側にはこれに連通して直角方向に分岐したトラフ13がそれぞれ5個ずつ配設されている。20は被処理水Hを上記ガリット19に流入させるために槽11の一方の側壁上部に設けられた流入渠であり、21はろ材層12によってメディアろ過された浄水を槽11の外へ排出するために同側壁下部に設けられた流出渠である。また、22はろ材層12の逆洗後の排水を流出させるときなどのために、槽11の他方(反対側)の側壁下部に設置された排水渠である。17は同槽11の外側で排水渠22の上壁に載設された膜ろ過などの際に用いるポンプである。
【0026】
図5は本実施形態のろ過設備により、膜ろ過とメディアろ過を同時に実施する通常の複合ろ過時のフローを示した正面切欠き斜視図であるが、これにより、本設備を用いた複合ろ過プロセスの概要を説明する。被処理水H(及びろ過後の浄水)の流れは矢印で示して
いる。
【0027】
前処理設備により前処理された被処理水Hは本複合ろ過設備の流入渠20により、槽11内に流れ込み、ガリット19、トラフ13及びガリット19内の膜モジュール16などが完全に浸漬されるまで槽11内に満たされて、流入渠20の水位と同じ水位に達した時点で、メディアろ過池及び膜ろ過装置のバルブやポンプ起動手段を操作して稼動を開始する。両装置によるろ過速度は被処理水Hの供給量等に合わせて、予め、またはその稼動途中において適切な
範囲に設定または変更される。この稼動に伴って、ガリット19に連続的に流入した被処理水Hは、先ず、膜ろ過装置の複数の膜モジュール16にポンプ17により吸い込まれて膜ろ過され、これによって処理された浄水J1は槽11外に排出され前記浄水池15に送られる。また、流入した被処理水Hの一部は、メディアろ過池のろ材層12を通過してメディアろ過され、これによって処理された浄水J2は集水装置14を経て、順次、流出渠21に流出し、同様にして浄水池15に送られる。
【0028】
次に、本複合ろ過設備の逆洗時のフローについて同様なその正面切欠き正面図6及び同図7によって説明する。図6は膜ろ過装置の膜モジュール16の洗浄を、また図7はメディアろ過池のろ材層12の洗浄をそれぞれ実施している状態を表している。両図における矢印は逆洗時の洗浄水(及び洗浄後の逆洗排水)の流れを示している。
そこで、膜ろ過装置の膜モジュール16の洗浄をする場合は、先の図1に示した高架上に設けた洗浄水槽23から静圧を利用して配管を介して、その洗浄水Kが膜モジュール16に供給され、逆洗される。また、同時に、図1の洗浄用ブロア24によりでバブリング用の空気が膜モジュール16の下部に送り込まれ、膜に気泡を衝突させる。そして、ガリット19内に収容、浸漬された膜モジュール16に供給され洗浄水はろ過時とは逆向きに通過するとともに、気泡の作用により洗浄がなされる。膜モジュール16を通過して洗浄を終えた逆洗排水はろ材層12を通過して通常のろ過時と同様にメディアろ過され、浄水となって集水装置14、流出渠21を介して槽11の外に排出され、浄水池15に送られる。
【0029】
また、メディアろ過池のろ材層12を逆洗する場合は、被処理水Hの流入渠20からの供給を停止し、予め槽11内の水を排出渠22より排出させて水位Lを膜モジュール16の直下の位置まで下げておき、図1の高架上の洗浄水槽23から洗浄水Kを流出渠21を介してろ材層12の下部に供給し、通常のろ過とは逆向きに下方から上方に通過させて洗浄を行う。併せて、ろ材層12の下部に図1の洗浄用ブロア24によりでバブリング用の空気がその底部に送り込まれる。そして、ろ材層12を上向きに通過し発生した洗浄後の逆洗排水はろ材層12の上部からトラフ13を経由して排水渠22に向かって流れ、この排水渠22から槽11外に排出されることになる。
【0030】
なお、膜モジュール16を薬品を用いて洗浄する場合は、目的とする薬液を可搬式の薬液移送ポンプによりガリット19内に供給して、これを満たし、膜モジュール16をこの薬液に浸漬する方法、すなわちガリット19を薬液の浸漬槽として利用する洗浄方法を採用すれば良い。
【0031】
実施形態の説明においては膜モジュール16としては中空糸膜を示したが、勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、平膜、管状膜等ほかのタイプを用いても差し支えないものである。また、浄水を得る場合は、MF膜、UF膜などが好適に用いられる。メディアである粒状ろ材は、砂、アンスラサイト、粒状活性炭などを用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
A:前処理設備 B:複合ろ過設備 H:被処理水 M:メディアろ過池 S:膜ろ過装置 J1、J 2:浄水 K:洗浄水11:ろ過槽 12:ろ材層 13:トラフ 14:集水装置 15:浄水池 16:膜モジュール 17:ポンプ 18:流量計 19:ガリット 20:流入渠 21:流出渠 22:排出渠 23:洗浄水槽 24:洗浄用ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアろ過池と、該メディアろ過池のろ過槽に、ろ過時における被処理水の水位よりも下方となる位置に複数の膜モジュールを配設した膜ろ過装置とからなり、前記ろ過槽に供給された被処理水を、前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方によって同時にろ過処理して前記メディアろ過池と前記膜ろ過装置の双方からろ過後の浄水を同時に得るように構成したことを特徴とするメディア及び膜ろ過複合ろ過設備。
【請求項2】
膜ろ過装置の膜モジュールの配設位置がメディアろ過池のろ過槽の内部上方である請求項1に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備。
【請求項3】
メディアろ過池には被処理水が流入するガリットを有し、膜モジュールがガリットの溝の中に収容された状態で配置される請求項1または2に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備。
【請求項4】
前記ガリットにはその直角方向に分岐したトラフが配設されている請求項3に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備。
【請求項5】
請求項1に記載のメディア及び膜ろ過複合ろ過設備を用いた運転方法において、被処理水の供給量の変動、要求浄水量の変動または被処理水の水質変化に対して、メディアろ過と膜ろ過の処理量の比率を変化させて浄水を製造するメディア及び膜ろ過複合ろ過設備の運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−188349(P2010−188349A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130741(P2010−130741)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【分割の表示】特願2004−95657(P2004−95657)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(591209338)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】