説明

メモリカード用アダプタ

【課題】 小型のメモリカードの筐体表面に表示されている容量やその他の表示を小型のメモリカードを収納したままでも外部から見ることが可能なメモリカード用アダプタを提供する。
【解決手段】 一端側(底面後端部)に自己よりも小型のメモリカードを挿抜自在に内部に収納出来るメモリカード用アダプタであって、前記小型のメモリカードの前記複数の電気端子とそれぞれ電気的に接続される複数の接続端子と、前記所定のメモリカードの一の面側の外形に対応する形状に形成されたベースと、ベースの上面を覆うカバーとを備え、前記ベースの一端側の端部(底面後端部)に、前記所定のメモリカードの端子を構成し、前記ベースの他端側(前端側面)に、カード挿入部を形成し、前記カバーの少なくとも一部が透明樹脂で形成され、内部に収納した前記小型のメモリカードがカバーを介して見える構成となっていることを特徴とするメモリカード用アダプタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のメモリカードを挿抜自在に内部に収納して、それよりも大型のメモリカードコネクタに使用可能にするメモリカード用アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば図3(A)(B)(C)(D)に示すようなSDメモリカード(24×32×2.1mm:縦×横×厚さ)が提供されている。
【0003】
このSDメモリカード100は外周形状が矩形状になっており、SDメモリカード100の後部(挿入側)の裏面側には9個の電気端子(コンタクト)110が並設されている。またSDメモリカード後部の一方の角を落として切欠部120を形成するとともに、裏面部の両側部には、表面側の幅よりも裏面側の幅を狭くした段部130、130を形成してあり、切欠部120と段部130とでSDメモリカードを挿抜自在に接続するソケットへの逆差しを防止している。
【0004】
また、SDメモリカードにおいて切欠部120を形成した一方の側縁には矩形状に陥没したロック用切欠150が設けられており、SDメモリカードをソケットに接続した際にソケットのロック片がロック用切欠150と係止することによって、SDメモリカードの脱落を防止するようになっている。またSDメモリカード100において切欠部120を形成した側と反対側の側面には、ライトプロテクトのスイッチの摘み141が露出する凹部140を設けており、スイッチの摘み141の凹部140内の移動位置によって、ライトプロテクト状態にあるか否かを示すようになっている。
【0005】
ところで、近年SDメモリカードを使用する携帯機器の小型化に伴ってSDメモリカードの小型化が望まれており、図4及び図5に示すような構造を有しSDメモリカードの外形を一回り小さくしたミニSDカード200やミニSDカード200をさらに小さくしたマイクロSDカード300などの小型のメモリカードが提案されている。
【0006】
図4(A)(B)(C)にミニSDカード(20×21.5×1.4mm:縦×横×厚さ)200を示した。このミニSDカード200は後側(挿入側)の端部裏面側に11個の電気端子(コンタクト)210が並設されている。またミニSDカード200の後側には一方の角を落として切欠き部220が形成されると共に、この切欠き部220によって幅が狭められたミニSDカード200の後側端部における表面側の左右両側縁には上向きの段部230、230が設けられ、これら切欠き部220と段部230とでカードコネクタに対するミニSDカード200の正規挿入姿勢以外での誤挿入(前後が逆の姿勢、表裏が逆の姿勢での挿入)を防止している。さらにミニSDカード200の切欠き部220より前側の幅広部分における表面側の左右両側部にはロック用切欠き250が設けられ、ミニSDカード200をカードコネクタに装着した際にカードコネクタ側のロック部材がロック用切欠き250に係止することにより、ミニSDカード200の脱落を防止するようになっている。
【0007】
図5に(A)(B)(C)にマイクロSDカード(11×15×1mm:縦×横×厚さ)300を示した。このマイクロSDカード300は後側(挿入側)の端部裏面側に8個の電気端子(コンタクト)310が並設されている。またマイクロSDカード300の後側には一方の角を落として誤挿入防止用の切欠き部320が形成されている。またマイクロSDカード300の切欠き部320より前側の幅広部分における切欠き部320側の一側部にはロック用切欠き350が設けられている。
【0008】
上記のようにメモリカードの小型化が進む中で小型メモリカードをそれよりも大型のメモリカード用のカードコネクタで使うためには、そのためのメモリカード用アダプタが必要となり、この種のメモリカード用アダプタは、種々提案され、また市販されている。例えば、特許文献1には、アダプタ本体の裏面側(内蔵コンタクトを一端部で露出させている一面側)を樹脂製のベースで構成し、表面側の薄肉部分に金属製のカバーを使用する構造のメモリカード用アダプタが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−50280号公報(第3頁−第9頁、及び、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来のメモリカード用アダプタは、筐体が金属や着色樹脂で形成されており、内部に収納した小型のメモリカードの筐体表面に表示されている容量やその他の表示が収納した状態では外部から見えないという問題点があった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、小型のメモリカードの筐体表面に表示されている容量やその他の表示を小型のメモリカードを収納したままでも外部から見ることが可能なメモリカード用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、メモリカードアダプタの構成について鋭意検討を重ねた結果、メモリカードアダプタの構成を下記のようにすることにより、上記目的を達成することができることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0013】
すなわち、一端側(底面後端部)に並設された複数の電気端子を含む自己よりも小型のメモリカードを挿抜自在に内部に収納して、所定のメモリカードとして使用されるメモリカード用アダプタであって、前記小型のメモリカードの前記複数の電気端子とそれぞれ電気的に接続される複数の接続端子と、前記所定のメモリカードの一の面側の外形に対応する形状に形成されたベースと、前記所定のメモリカードの他の面側の外形に対応する形状に形成されたベースの上面を覆うカバーとを備え、前記ベースの一端側の端部(底面後端部)に、複数の電気端子を並設して前記所定のメモリカードの端子を構成し、前記ベースの他端側(前端側面)に、前記小型のメモリカードを挿抜するためのカード挿入部を形成し、前記カバーの少なくとも一部が透明樹脂で形成され、内部に収納した前記小型のメモリーカードがカバーを介して見える構成となっていることを特徴とする。
【0014】
また、前記ベースが透明樹脂で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
メモリカード用アダプタのカバーの少なくとも一部が透明樹脂で形成されているので、内部に収納した小型のメモリーカード筐体表面に表示されている容量やその他の表示を小型のメモリカードを収納したままでも外部から見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明のメモリカード用アダプタを説明する。図1は本発明の実施の形態に係る一例のメモリカード用アダプタの分解状態を示す斜視図、図2は同アダプタの表面側の外観斜視図である。このメモリカード用アダプタ1(以下、単にアダプタ1ともいう)は小型メモリカードであるマイクロSDカード300を装着してそれより大型のメモリカード用のカードコネクタであるSDカード100用のカードコネクタで使えるようにするもので、SDカード仕様に対応すべくSDカード100と略同じ外形寸法(縦・横・厚さの各寸法)に形成され、マイクロSDカード300を収納するベース10、カバー30、ベース10とカバー30とに内蔵されるコンタクトセット50及びロック部材20、ライトプロテクト摘み40とで構成される。
ベース10とカバー30とは組み合わせた時の外形がSDカード100と同様になるように形成され合成樹脂からなる絶縁性素材で構成される。特に、カバー30は、少なくとも一部が透明の合成樹脂から構成される。ベース10に透明樹脂を用いてもよい。
【0017】
図1に示したベース10は外形がSDカード100と同様に形成され、後側の一方の角を落とした略矩形状の底板11と、マイクロSDカード300を挿抜するカード挿入部14を省く周囲とマイクロSDカード300を収納する部分の左右とに補強リブ12と、コンタクトセット50を配設する端子部13とから構成される。
【0018】
コンタクトセット50は、9個の電気端子(コンタクト)51と8本の接続端子(コンタクトバネ)52とが電気的に接続されてインシュレータ53上に形成されている。インシュレータ53の一端にロック部材20が溶着されている。
【0019】
ベース10に、コンタクト51が、コネクタ部13に収まるようにコンタクトセット50が配設され、凹部15にライトプロテクト摘み40が配設され、さらに、カバー30が被せられ、溶着されて図2に示す本発明のメモリカード用アダプタ1が構成される。
【0020】
アダプタ1のカード挿入部14にマイクロSDカード300を正規挿入姿勢で挿入すると、マイクロSDカード300のコンタクト310と、アダプタ1のコンタクトバネ52とが電気的に接続されるとともに、マイクロSDカード300のロック用切欠き350にアダプタ1のロック部材90が係止し、マイクロSDカード300がロックされる。このように、マイクロSDカード300を収納したアダプタ1は、SDメモリカードコネクタに装着可能となりSDメモリカードとして使用可能となる。
【0021】
本発明のメモリカード用アダプタは、カバーの少なくとも一部が透明に構成されているために収納されている小型メモリカードの表面に記載されている容量、メーカ名などの表示を、メモリカード用アダプタから小型メモリカードを抜き取りせずとも読み取れるので、不要な挿入・抜き取りを繰り返すことがなく快適に小型メモリカードを使用することができる。通常、メモリカードはコンタクトのある面とは反対の面にメモリカードの容量、メーカ名などが印字されている場合が多いので、小型のメモリカードのコンタクトの反対面とカバーの透明部分が対向していればよい。
【0022】
また、ベースも透明樹脂で形成されていれば、小型のメモリカードが正規挿入姿勢で挿入されているのかどうかの確認が容易にすることが出来、不用意に無理矢理挿入して、電気的接続部分が破壊されるなどの事故を防ぐことも出来る。
【0023】
本明細書では、マイクロSDカードを、SDメモリカードコネクタに装着するためのメモリカード用アダプタを例にとって説明したが、ミニSDカードをSDメモリカードコネクタに装着する場合や、マイクロSDカードをミニSDカードコネクタに装着する場合に使用するメモリカード用アダプタにおいても、本発明が適用できることは言うまでもない。また、他の種類のメモリカードにおいても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一例のメモリカード用アダプタの分解状態を示す斜視図である。
【図2】同アダプタの表面側の外観斜視図である。
【図3】(A)SDメモリカードの表面図、(B)SDメモリカードの側面図、(C)SDメモリカードの裏面図、(D)SDメモリカードの正面図である。
【図4】(A)ミニSDカードの表面図、(B)ミニSDカードの側面図、(C)ミニSDカードの裏面図である。
【図5】(A)マイクロSDカードの表面図、(B)マイクロSDカードの側面図、(C)マイクロSDカードの裏面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 メモリカード用アダプタ
10 ベース
11 底板
12 補強リブ
13 端子部
14 カード挿入部
15 凹部
20 ロック部材
30 カバー
40 ライトプロテクト摘み
50 コンタクトセット
51 電気端子(コンタクト)
52 接続端子(コンタクトバネ)
53 インシュレータ
100 SDメモリカード
110 電気端子(コンタクト)
120 切欠部
130 段部
140 凹部
141 ライトプロテクト摘み
150 ロック用切欠
200 ミニSDカード
210 電気端子(コンタクト)
220 切欠部
230 段部
250 ロック用切欠
300 マイクロSDカード
310 電気端子(コンタクト)
320 切欠部
330 段部
350 ロック用切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側(底面後端部)に並設された複数の電気端子を含む自己よりも小型のメモリカードを挿抜自在に内部に収納して、所定のメモリカードとして使用されるメモリカード用アダプタであって、
前記小型のメモリカードの前記複数の電気端子とそれぞれ電気的に接続される複数の接続端子と、
前記所定のメモリカードの一の面側の外形に対応する形状に形成されたベースと、
前記所定のメモリカードの他の面側の外形に対応する形状に形成されたベースの上面を覆うカバーとを備え、
前記ベースの一端側の端部(底面後端部)に、複数の電気端子を並設して前記所定のメモリカードの端子を構成し、
前記ベースの他端側(前端側面)に、前記小型のメモリカードを挿抜するためのカード挿入部を形成し、
前記カバーの少なくとも一部が透明樹脂で形成され、内部に収納した前記小型のメモリカードがカバーを介して見える構成となっていることを特徴とするメモリカード用アダプタ。
【請求項2】
前記ベースが透明樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメモリカード用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−205309(P2009−205309A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45344(P2008−45344)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】