説明

メモリカード読み書き装置、メモリカードの寿命管理方法およびそのプログラム

【課題】メモリカードのデータ保持能力の劣化に伴う不具合の発生を未然に防止することを可能とするメモリカード読み書き装置などを提供する。
【解決手段】メモリカード10に対するプロセッサ21によるデータアクセスを監視するライトアクセス監視部23を有し、このライトアクセス監視部は、メモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を設定する閾値設定部41と、データアクセスの回数を積算するライトアクセスカウント部42と、閾値とデータアクセスの回数とを比較するライト回数比較部43と、ライト回数比較部がデータアクセスの回数が閾値以上であることを検出した場合にプロセッサに割り込みを出力する割り込み生成部44とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードを装着可能な小型電子機器に関し、特に該メモリカードの寿命の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、携帯電話端末、小型音楽プレーヤーなど、不揮発性記憶装置としてコンパクトフラッシュ(登録商標)カード、SDメモリカード、メモリースティック、スマートメディアなど、フラッシュメモリを媒体として使用するメモリカードを装着可能な小型電子機器が最近特に多くなっている。これらのメモリカードは、普及に伴ってコストダウン、記憶容量の増大、サイズの小型化などが進行していて、そのために使用されるNANDフラッシュメモリなどの半導体デバイスの設計プロセスが微細化する傾向にある。
【0003】
図7は、メモリカード510を、通常のコンピュータ500に実装した状態を示す説明図である。メモリカード510は、それらのメモリカードの中でよく使われる代表的なデバイスの一つである、コンパクトフラッシュ(登録商標)カードの規格に準拠したものである。
【0004】
コンピュータ500は、メモリカード510にデータを読み書きする主体であるCPU(Central Processing Unit)501と、メモリカード510を装着可能でありメモリカード510とCPU501との間を接続するカードスロット502とを有する。メモリカード510は、NANDフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを利用し、コンピュータに対して着脱可能な補助記憶装置である。
【0005】
メモリカード510とCPU501との間は、メモリカード510が選択されたことを示すチップイネーブル521、メモリカード510からの出力が可能であることを示すアウトプットイネーブル522、メモリカード510へのライトアクセスを示すライトイネーブル523、データ書き込みの対象となる物理アドレスを示すアドレスバス524、読み書きされるデータを示すデータバス525といった各々のバスによって接続される。CPU501は、これらのバスを介してメモリカード510に対してリード/ライト信号を送受信し、これによってデータの読み書きを行う。
【0006】
これに関連する技術として、次の各文献がある。特許文献1には、コンパクトフラッシュカードに書き込まれるデータを複数のパーティションに分割して、各パーティションを巡回しつつ順次書き込むという技術が記載されている。特許文献2には、コンパクトフラッシュカードで累積する代替セクタ数が閾値を超えたら、揮発性メモリに記憶されたデータを一括してコンパクトフラッシュカードに書き込むという技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、コンピュータのリモートメンテナンス装置で、コンパクトフラッシュカードを不揮発性記憶手段として使用し、その寿命を「書き換え予備領域」の消費率によって予測する手段を有する装置が記載されている。特許文献4には、コンパクトフラッシュカードへのデータ書き込みで、バッファメモリを利用して複数回分のデータを1回で書き込んで該コンパクトフラッシュカードの寿命を延ばす技術が記載されている。特許文献5には、NANDフラッシュメモリを含む不揮発性メモリの管理に関する従来技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−018652号公報
【特許文献2】特開2006−155532号公報
【特許文献3】特開2007−193636号公報
【特許文献4】特開2008−146464号公報
【特許文献5】特表2008−511929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7に示したメモリカード510に内蔵されるNANDフラッシュメモリなどのデバイスは、そのまま使用を続けて書き換えおよび消去を繰り返すと、データ保持能力が劣化して記憶内容の破損などのような不具合が生じやすくなる。特に、前述のように半導体デバイスの設計プロセスが微細化するに伴い、データの保持能力が劣化しやすくなり、また書き換えおよび消去に対する耐性も低下する傾向にある。このため、メモリカード510においてはライトアクセスの回数に対して製造者が上限値を設定しており、この上限値以内のライトアクセスについては記憶内容を保証している。
【0010】
しかしながら、図7に示したコンピュータ500では、メモリカード510に対して行われたライトアクセスの回数を把握する手段がない。このため、記憶内容の破損や読み出しエラーなどの不具合が実際に発生するまで、メモリカード510のデータ保持能力の劣化を知る方法がない。そして、この不具合によって実際に破損する記憶データを保証する方法もない。
【0011】
メモリカード内部にコントローラを設けて代替ブロックの残数や書き換え/消去回数を管理する機能を持たせることは当然考えられるが、このことに対して統一仕様は特に存在せず、またこれはコストの上昇を招くので好ましい方法ではない。
【0012】
前述の特許文献1〜5に記載の技術は、いずれもメモリカードのデータ保持能力の劣化による問題点は認識しており、ライトアクセスの回数をより少なくすることや、特定の領域に偏って使用されることを回避することなどによってその問題を解決しようとしていた。しかしながら、これらの技術はライトアクセスの回数に応じて生じる劣化の問題に対する抜本的な解決にはなっていないので、この問題を解決してメモリカードに対する信頼性を向上させることはできなかった。
【0013】
本発明の目的は、メモリカードのデータ保持能力の劣化に伴う不具合の発生を未然に防止し、これによってメモリカードに対する信頼性を向上することを可能とするメモリカード読み書き装置、メモリカードの寿命管理方法およびそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係るメモリカード読み書き装置は、プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置であって、メモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を設定すると共にメモリカードに対するプロセッサによるデータアクセスを監視して該データアクセスの回数を積算し、データアクセスの回数が閾値以上である場合にプロセッサに割り込みを出力するライトアクセス監視部がプロセッサに併設されていることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るメモリカードの寿命管理方法は、プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置にあって、該メモリカードの寿命を管理する方法であって、メモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を、ライトアクセス監視部によって設定し、メモリカードに対するプロセッサによるデータアクセスを監視して、データアクセスがあった場合に、その回数をライトアクセス監視部が積算し、閾値とデータアクセスの回数とをライトアクセス監視部が比較し、データアクセスの回数が閾値以上である場合に、ライトアクセス監視部がプロセッサに割り込みを出力することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係るメモリカードの寿命管理プログラムは、プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置にあって、メモリカード読み書き装置が備えるコンピュータに、メモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を設定する手順と、メモリカードに対するプロセッサによるデータアクセスを監視して、データアクセスがあった場合に、その回数を積算する手順と、閾値とデータアクセスの回数とを比較する手順と、データアクセスの回数が閾値以上である場合にプロセッサに割り込みを出力するする手順とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述したようにメモリカードに対する書き換え・消去回数があらかじめ設定された閾値に到達したらCPUを通じてユーザに通知するように構成したので、ユーザはデータ保持能力の劣化した当該メモリカードを新品に交換することができる。これによって、メモリカードのデータ保持能力の劣化に伴う不具合の発生を未然に防止し、メモリカードに対する信頼性を向上することが可能であるという、優れた特徴を持つメモリカード読み書き装置、メモリカードの寿命管理方法およびそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】メモリカードを、本発明の第1の実施形態に係るコンピュータに実装した状態を示す説明図である。
【図2】図1で示したライトアクセス監視部内部の構成をさらに詳しく示す説明図である。
【図3】図1〜2で示したコンピュータで行われる、メモリカードに対するアドレス指定の例を示す説明図である。
【図4】図1〜2に示したコンピュータで、メモリカードに対するライトアクセスの回数をカウントしてその回数が閾値に到達したらユーザに警告を発するという処理を表すフローチャートである。
【図5】メモリカードを、本発明の第2の実施形態に係るコンピュータに実装した状態を示す説明図である。
【図6】図5に示したコンピュータの中のライトアクセス監視部の内部構成を更に詳しく示す説明図である。
【図7】メモリカードを、通常のコンピュータに実装した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の構成について添付図1〜2に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係るメモリカード読み書き装置(コンピュータ20)は、プロセッサ(CPU21)を有し、メモリカード10を装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能である。この装置は、メモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を設定すると共にメモリカードに対するプロセッサによるデータアクセスを監視して該データアクセスの回数を積算し、データアクセスの回数が閾値以上である場合にプロセッサに割り込みを出力するライトアクセス監視部23がプロセッサ(CPU21)に併設されている。
【0020】
このライトアクセス監視部23は、より具体的にはメモリカード10上に可能なデータアクセスの回数の上限を表す閾値を設定する閾値設定部41と、データアクセスの回数を積算するライトアクセスカウント部42と、閾値とデータアクセスの回数とを比較するライト回数比較部43と、ライト回数比較部がデータアクセスの回数が閾値以上であることを検出した場合にプロセッサ(CPU21)に割り込みを出力する割り込み生成部44とによって構成されている。
【0021】
この閾値設定部41は、データアクセスの監視対象となるメモリカード10上のアドレス範囲を設定する機能を有し、同時にライトアクセスカウント部42は、このアドレス範囲内に行われたデータアクセスの回数を積算する機能を有する。さらに閾値設定部41は、プロセッサ(CPU21)21からの閾値設定信号に基づいて閾値を設定する機能を有する。そしてメモリカード10はコンパクトフラッシュ(登録商標)カードである。
【0022】
以上の構成を備えることにより、コンピュータ20は、メモリカード10に対するデータアクセスの回数が閾値に到達したことをユーザに通知することが可能となり、その結果データ保持能力の劣化に伴う不具合の発生を未然に防止することが可能となる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0023】
図1は、メモリカード10を、本発明の第1の実施形態に係るコンピュータ20に実装した状態を示す説明図である。コンピュータ20は、メモリカード10にデータを読み書きする主体であるCPU(Central Processing Unit)21と、メモリカード10を装着可能でありメモリカード10とCPU21との間を接続するカードスロット22と、メモリカード10へのCPU21によるデータアクセスを監視するライトアクセス監視部23とを有する。
【0024】
コンピュータ20は、パーソナルコンピュータなどに限定されるものではなく、たとえばデジタルカメラ、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)など、メモリカード10に対してデータを読み書きする主体となりうる装置であれば何でもよい。また、コンピュータ20には、これら以外にも多くのデバイスが使用されているが、本明細書では本発明を説明する上で特に必要であるデバイスについてのみ説明している。
【0025】
メモリカード10は、NANDフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを利用し、コンピュータに対して着脱可能な補助記憶装置である。ここでは、メモリカード10はコンパクトフラッシュ(登録商標)カードの規格に準拠したものとして、以後の説明を行う。
【0026】
メモリカード10とCPU21との間は、メモリカード10が選択されたことを示すチップイネーブル31、メモリカード10からの出力が可能であることを示すアウトプットイネーブル32、メモリカード10へのライトアクセスを示すライトイネーブル33、データ書き込みの対象となる物理アドレスを示すアドレスバス34、読み書きされるデータを示すデータバス35といった各々のバスによって接続される。
【0027】
これらの各信号の役割と、実際に送信される信号の内容については公知である。これらの信号は、メモリカード10に対して直接データの読み書きを行うものであるので、以後これらの信号を総称してリード/ライト信号という。このうち、チップイネーブル31、ライトイネーブル33、アドレスバス34、データバス35の各バスの信号は、ライトアクセス監視部23にも分岐されている。
【0028】
ライトアクセス監視部23は、これらの各バスの信号を監視すると共に、CPU21と直結されたチップイネーブル36、アウトプットイネーブル37、ライトイネーブル38、および割り込み39といった各々のバスに接続されている。
【0029】
このうち、チップイネーブル36、アウトプットイネーブル37、ライトイネーブル38は、CPU21によるライトアクセス監視部23の制御用信号である。これらの信号は、ライトアクセス監視部23に対して後述するライト回数の閾値を設定するものであるので、以後これらの信号を総称して閾値設定信号という。割り込み39は、ライトアクセス監視部23からCPU21へ対するサービス要求を通知する信号である。
【0030】
図2は、図1で示したライトアクセス監視部23内部の構成をさらに詳しく示す説明図である。ライトアクセス監視部23は、CPU21が実行するメモリカード10へ対するアクセスにおいて、ライト回数をカウント(モニタ)するアドレス範囲及びCPU21へ通知するライト回数の閾値を設定する閾値設定部41と、閾値設定部41に設定されたアドレスに対するライトアクセスを積算するライトアクセスカウント部42とを有する。
【0031】
さらにライトアクセス監視部23は、閾値設定部41に設定されたライト回数閾値とライトアクセスカウント部42により積算したライト回数を比較するライト回数比較部43と、ライト回数比較部43により閾値以上が検出された場合にCPU21へ割り込みを出力する割り込み生成部44とを有する。
【0032】
CPU21は、ライトアクセス監視部23内の閾値設定部41へアドレスバス34、データバス35、チップイネーブル36、アウトプットイネーブル37、ライトイネーブル38を使用し、モニタアドレスとライト回数閾値とを設定する。
【0033】
図3は、図1〜2で示したコンピュータ20で行われる、メモリカード10に対するアドレス指定の例を示す説明図である。メモリカード10に対するアドレス指定は、論理ブロックアドレス(LBA)方式で行われる。図3で示したモニタアドレス範囲とライト回数閾値の設定の前提条件は、次の通りである。
(1)8Mバイトのファイルに対し上書き更新を行う。
(2)メモリカード10に内蔵されるNANDフラッシュメモリのブロックあたりの書き換え/消去回数の保証値は10万回。
(3)1ブロックのサイズは128Kバイト。
(4)1セクタのサイズは512バイト。
(5)LBA=0からデータを格納する。
【0034】
以上の条件から、LBAの上限は8Mバイト÷512バイト≒15743となる。8Mバイトのファイルは61ブロック(8Mバイト÷128Kバイト≒61ブロック)から構成され、1ブロックあたりの書き換え/消去回数の保証値が10万回であることからライト回数の閾値は61ブロック×10万回=610万回となる。従って、ライトアクセスを監視するモニタアドレス範囲の下限値201は0、上限値202は15743、ライト回数閾値203は610万回と求められる。
【0035】
図1〜2に示したコンピュータ20で、CPU21はリード/ライト信号によってメモリカード10へ対するアクセスを制御し、そのうちのチップイネーブル31、ライトイネーブル33、アドレスバス34、データバス35の各信号は、ライトアクセス監視部23内のライトアクセスカウント部42へも接続されている。
【0036】
さらに、そのうちのアドレスバス34、データバス35は、閾値設定部41とライトアクセスカウント部42とで共通して利用されるので、それらの両方に接続されている。また、閾値設定部41からライトアクセスカウント部42へは、図3で示したモニタアドレスの設定範囲(下限値201および上限値202)を伝達する範囲設定信号51が接続されている。
【0037】
図4は、図1〜2に示したコンピュータ20で、メモリカード10に対するライトアクセスの回数をカウントしてその回数がライト回数閾値203に到達したらユーザに警告を発するという処理を表すフローチャートである。メモリカード10の使用を開始する時点で、CPU21は閾値設定信号によって、閾値設定部41に対してカウント対象となるモニタアドレス範囲201〜202とライト回数閾値203とを設定する(ステップS301)。このモニタアドレス範囲201〜202は、範囲設定信号51によってライトアクセスカウント部42にも伝達される。
【0038】
続いてライトアクセスカウント部42が、CPU21により実行されるメモリカード10へのライトアクセスを監視し、ライトアクセスが検出され(ステップS302:YES)、その対象となるアドレスがモニタアドレス範囲内であれば(ステップS303:YES)、ライトアクセスカウント部42はこのライトアクセスの回数を積算する(ステップS304)。
【0039】
続いてライト回数比較部43が、ステップS301で閾値設定部41に設定されたライト回数閾値203と、ステップS304でカウントされたライトアクセスの回数を比較し、ライトアクセスの回数がライト回数閾値203以上となっていれば(ステップS305:YES)、割り込み生成部44へ閾値を超えた旨を通知し、割り込み生成部44はCPU21へ対し、割り込み39を出力する(ステップS306)。
【0040】
割り込み39を受けたCPU21は、メモリカード10に内蔵のNANDフラッシュメモリが書き換え寿命に到達したのでデータ保持能力が劣化する可能性があることを示し、メモリカード10の交換を促すという旨の警告をユーザに発する(ステップS307)。なお、ステップS302、303、305の判断でNOとなった場合、全てステップS302の判断待ちの状態に戻る。
【0041】
(第1の実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。本発明に係るメモリカードの寿命管理方法は、プロセッサ(CPU21)を有し、メモリカード10を装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置(コンピュータ20)にあって、該メモリカードの寿命を管理する方法である。まずメモリカード上に可能なデータアクセスの回数の上限を表すライト回数閾値203を閾値設定部41によって設定し(図4:ステップS301)、メモリカードに対するプロセッサによるデータアクセスを監視して、データアクセスがあった場合に、その回数をライトアクセスカウント部42が積算し(図4:ステップS302〜304)、ライト回数閾値203とデータアクセスの回数とをライト回数比較部43が比較し(図4:ステップS305)、データアクセスの回数が閾値以上である場合に、割り込み生成部44がプロセッサに割り込みを出力する(図4:ステップS306〜307)。
【0042】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行する主体であるコンピュータ20に実行させるようにしてもよい。
この構成および動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0043】
本実施形態では、メモリカードで最も書き換え頻度が高いアドレスへのライトアクセス回数をカウントし、そのファイルデータを保持するNANDフラッシュメモリ内のブロックが保証する書き換え/消去回数を考慮した閾値と比較し、その閾値を超えた場合にはその旨をユーザに告知し、該メモリカードの交換を促すことができる。これにより、該メモリカードの内蔵NANDフラッシュメモリの書き換え寿命の到来に伴う不具合、データ保持能力の劣化により発生する格納データの破損や読み出し不良を未然に防止することができる。
【0044】
また、メモリカード10の側には、ライトアクセス回数をカウントして保持する手段を必要としない。このため本実施の形態には、メモリカード10は通常通りのものでよく、コストの上昇が生じないという利点もある。
【0045】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るメモリカード読み書き装置(コンピュータ420)は、前述の第1の実施形態に係るメモリカード読み書き装置(コンピュータ20)の構成に加えて、さらにライトアクセスカウント部423が、プロセッサ21からのカウントリード信号に反応してデータアクセスの回数をプロセッサに出力する機能を有する構成とした。
【0046】
この構成によっても、第1の実施形態と同じ効果を得ることが可能となる。さらに、定期的(特定の周期および日時)にモニタアドレス範囲内へのライトアクセス数を把握することが可能となり、障害発生時の調査などに対して有益な情報を得ることができる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0047】
図5は、メモリカード10を、本発明の第2の実施形態に係るコンピュータ420に実装した状態を示す説明図である。メモリカード10は、前述した第1の実施形態と同一である。コンピュータ420の構成も、ライトアクセス監視部423以外の構成は第1の実施形態に係るコンピュータ20と同一である。
【0048】
図6は、図5に示したコンピュータ420の中のライトアクセス監視部423の内部構成を更に詳しく示す説明図である。ライトアクセス監視部423の構成は、第1の実施形態に係るライトアクセス監視部23と共通する要素を多く含んでいるので、ここではその相違点のみを説明する。共通する要素については要素名と参照番号を第1の実施形態と同一とする。
【0049】
コンピュータ420は、コンピュータ20と比べて、CPU21からライトアクセスカウント部42をリードするための信号として、チップイネーブル61、アウトプットイネーブル62がさらに追加されている。以後、この両者を総称してカウントリード信号という。
【0050】
チップイネーブル61とアウトプットイネーブル62は、いずれもライトアクセスカウント部42へのバスアクセスのための制御信号である。アドレスバス34でライトアクセスカウント部42に割り付けたアドレスを指定し、チップイネーブル61でライトアクセスカウント部42を選択し、さらにアウトプットイネーブル62で出力モードとすることで、CPU21はデータバス35を経由してライトアクセスカウント部42からの出力を得ることができる。この点以外は、コンピュータ420はコンピュータ20と同一の構成を有し、同一の動作を行い、同一の効果を得ることができる。
【0051】
この構成により、閾値設定部41で設定されたモニタアドレス範囲(下限値201および上限値202)内のモニタアドレスに対するライトアクセス回数を、カウントリード信号によって任意のタイミングでリードすることができるようになるという効果を更に得ることができる。このことにより、定期的(特定の周期および日時)にモニタアドレス範囲内へのライトアクセス数を把握することが可能となる。
【0052】
CPU21が定期的にリードしたライトアクセス数は、たとえばコンピュータ420に装備された別の不揮発性記憶手段(図示せず)、あるいはメモリカード10上でモニタアドレス範囲とは異なるアドレスの特定の記憶領域に保存することができる。このライトアクセス数を保存しておくことにより、メモリカード10に起因した障害発生時の調査などに対して有益な情報を得ることができる。
【0053】
(第1〜2の実施形態の変形例)
また、前述の第1および第2の実施形態のいずれにおいても、メモリカード10はコンピュータ20または420に対して着脱自在なものであるので、複数のメモリカード10を一意に識別可能な識別子をメモリカード10上に記憶させ、ライトアクセスカウント部42はその識別子ごとにライトアクセスを積算する構成とすることもできる。このようにすれば、複数のメモリカード10が頻繁に着脱される環境にあっても、前述した効果を得ることができる。
【0054】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
着脱式のメモリカードを利用するデバイスについて一般的に適用可能である。実施形態として説明したコンパクトフラッシュ(登録商標)カード以外にも、たとえばSDメモリカード、メモリースティック、スマートメディアなど、メモリカードについては複数の規格が使用されている。
【0056】
これらはCPUとの間のインターフェイスが、コンパクトフラッシュカードとは異なるので、CPUとの間で接続されるバスの名称およびそこを流れる信号の種類も異なる。しかしながら、閾値を設定し、ライトアクセスの回数をカウントして閾値と比較する手段さえ用意できれば、コンパクトフラッシュカード以外のメモリカードでも本発明を実施することは可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 メモリカード
20、420 コンピュータ
21 CPU
22 カードスロット
23、423 ライトアクセス監視部
31 チップイネーブル(リード/ライト信号)
32 アウトプットイネーブル(リード/ライト信号)
33 ライトイネーブル(リード/ライト信号)
34 アドレスバス(リード/ライト信号)
35 データバス(リード/ライト信号)
36 チップイネーブル(閾値設定信号)
37 アウトプットイネーブル(閾値設定信号)
38 ライトイネーブル(閾値設定信号)
39 割り込み
41 閾値設定部
42 ライトアクセスカウント部
43 ライト回数比較部
44 割り込み生成部
51 範囲設定信号
61 チップイネーブル(カウントリード信号)
62 アウトプットイネーブル(カウントリード信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置であって、
前記メモリカード上に可能な前記データアクセスの回数の上限を表す閾値を設定すると共に前記メモリカードに対する前記プロセッサによるデータアクセスを監視して該データアクセスの回数を積算し、前記データアクセスの回数が前記閾値以上である場合に前記プロセッサに割り込みを出力するライトアクセス監視部が前記プロセッサに併設されていることを特徴とするメモリカード読み書き装置。
【請求項2】
前記ライトアクセス監視部は、
前記閾値を設定する閾値設定部と、
前記データアクセスの回数を積算するライトアクセスカウント部と、
前記閾値と前記データアクセスの回数とを比較するライト回数比較部と、
前記ライト回数比較部が前記データアクセスの回数が前記閾値以上であることを検出した場合に前記プロセッサに割り込みを出力する割り込み生成部と
によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載のメモリカード読み書き装置。
【請求項3】
前記閾値設定部が、前記データアクセスの監視対象となる前記メモリカード上のモニタアドレス範囲を設定する機能を有すると共に、
前記ライトアクセスカウント部が、前記モニタアドレス範囲内に行われた前記データアクセスの回数を積算する機能を有することを特徴とする、請求項2に記載のメモリカード読み書き装置。
【請求項4】
前記閾値設定部が、前記プロセッサからの閾値設定信号に基づいて前記閾値を設定する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のメモリカード読み書き装置。
【請求項5】
前記ライトアクセスカウント部が、前記プロセッサからのカウントリード信号に反応して前記データアクセスの回数を前記プロセッサに出力する機能を有することを特徴とする、請求項2に記載のメモリカード読み書き装置。
【請求項6】
前記メモリカードがコンパクトフラッシュ(登録商標)カードであることを特徴とする、請求項1に記載のメモリカード読み書き装置。
【請求項7】
プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置にあって、該メモリカードの寿命を管理する方法であって、
前記メモリカード上に可能な前記データアクセスの回数の上限を表す閾値を、ライトアクセス監視部によって設定し、
前記メモリカードに対する前記プロセッサによるデータアクセスを監視して、前記データアクセスがあった場合に、その回数を前記ライトアクセス監視部が積算し、
前記閾値と前記データアクセスの回数とを前記ライトアクセス監視部が比較し、
前記データアクセスの回数が前記閾値以上である場合に、前記ライトアクセス監視部が前記プロセッサに割り込みを出力する
ことを特徴とするメモリカードの寿命管理方法。
【請求項8】
プロセッサを有し、メモリカードを装着して、該メモリカードに対してデータを読み書きすることが可能なメモリカード読み書き装置にあって、
前記メモリカード読み書き装置が備えるコンピュータに、
前記メモリカード上に可能な前記データアクセスの回数の上限を表す閾値を設定する手順と、
前記メモリカードに対する前記プロセッサによるデータアクセスを監視して、前記データアクセスがあった場合に、その回数を積算する手順と、
前記閾値と前記データアクセスの回数とを比較する手順と、
前記データアクセスの回数が前記閾値以上である場合に前記プロセッサに割り込みを出力する手順と
を実行させることを特徴とするメモリカードの寿命管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−218138(P2010−218138A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63163(P2009−63163)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】