メモリーカートリッジ用保管庫
【課題】 メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとを行うことができるメモリカートリッジ用保管庫を、簡単な構成によって提供する。
【解決手段】 庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えた。
【解決手段】 庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスや列車等の車内に設置されている運賃箱中のメモリーカートリッジを、車内とは別の場所で保管し、かつ少なくともこのメモリーカートリッジに格納されたデータの読み取りが行えるメモリーカートリッジ用保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
バスや列車等の公共交通機関では、使用者の利便性の向上等の理由から、例えば自動処理運賃箱のように、定期券のチェックや運賃の精算等の各種処理を電子的に行うようにすることが行われている。このような電子的に処理を行う運賃箱では、精算やチェックの処理時間が短縮され、間違いも少ないことから、バス等の利用者にとって大変便利なものとなっている。
【0003】
このような自動処理を行う運賃箱は、当然、回収した整理券や運賃を収納しておく金庫を備えているが、その他に、乗車券や定期券の利用情報や、売上情報等の各種データが書き込まれるメモリーカートリッジを備えている。このメモリーカートリッジは、特許文献1に示されるように、バス等の運行が終了したときには、乗務員によって自動処理運賃箱から外されて、営業所等の別の場所に持ち帰られることになる。
【特許文献1】特開2000−133450号公報、段落0013
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、営業所等に持ち帰られたメモリーカートリッジについては、上記特許文献1の段落0013にも記載されているように、営業所等に設置してあるリーダライタによって、中に記録されている各種データが読み取られることになる。読み取られた各種データは、統計をとったりバス等の利用状況の分析等に用いられる。
【0005】
このようなメモリーカートリッジからのデータの読み取りには時間が必要であり、読み取り中に間違って上記リーダライタから抜き出されると、内部に読み取られずに残っていたデータが壊れることがある。そうなると、そのメモリーカートリッジが有していたデータを、統計や利用状況の分析に使えなくなる。
【0006】
また、営業日の夜遅くには運行を終えたバスの乗務員が大勢帰ってくるから、この種のメモリーカートリッジは、一時的に大量のものが営業所に帰されることになるが、その際には、今現在読み取りを行っているメモリーカートリッジの抜き出しが誤ってなされないとも限らない。
【0007】
さらに、翌日になって営業運転を開始する前には、多勢の乗務員がメモリーカートリッジをバス等の運賃箱にセットすべく、営業所のリーダライタからこのメモリーカートリッジを抜き出さなければならないが、その際にはこのメモリーカートリッジの抜き出しが簡単に行えなくてはならない。
【0008】
すなわち、この種のメモリーカートリッジについては、
(1)貴重なデータを有しているものであるから、特定の場所で保管できるようにすること、(2)その保管時に、データの読み取りや、新規情報の書き込みが自動的に行えるようにすること、(3)データの読み取り時や書き込み時には、不用意に抜き出されないようにロックすること、(4)大量に保管されている場合には、前記(3)のロックが簡単かつ一斉に解除できるようにすること、(5)毎日使用することになるものであるから、構造を簡単にして耐久性の高いものとすること、等が可能なメモリーカートリッジ用保管庫が要求されている。
【0009】
そこで、本発明者等は、上記(1)〜(5)の要望を満たすことのできるメモリーカートリッジのための保管庫とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載したメモリーカートリッジ用保管庫は、庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入された前記メモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、貴重なデータが書き込まれているメモリーカートリッジ40およびメモリーカートリッジ用保管庫10を、営業所等の所定の場所で保管できるとともに、庫本体11に設けられた挿入口2にメモリーカートリッジ40を挿入すると、内蔵された読取装置13によって運賃情報等を自動的に読み取ることができる。その際には、ロック手段20によって各メモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されるのが防止される。また、この保管庫10において、各挿入口12と読取装置13とを複数設けることにより、大量のメモリーカートリッジ40の保管を確実かつ簡単に行うことができる。また、ロック解除手段30によって、簡単にロックを解除することができる。
【0013】
また、請求項2に記載したメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記ロック手段20は、前記庫本体11内の外側にあって、前記挿入口12内に挿入された前記メモリーカートリッジ40の前方に形成するロック位置、および前記メモリーカートリッジの前方以外の位置に形成するロック解除位置のいずれかに配置されるロックバー21と、このロックバー21が前記ロック位置に配置されたときにそのロック位置を保持するロックピン23と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、ロック手段20を、ロックバー21とロックピン23という簡単な構造のもので、かつ各メモリーカートリッジ40のロック状態を確実に作り出せるものとなる。
【0015】
また、請求項3に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記ロック解除手段30は、前記庫本体11の外側にて回動される解除レバー31と、この解除レバー31の回動によって進退される連接棒32と、この連接棒32の進退に連動して前記庫本体11内で進退する連接板33と、を備え、この連接板33の進退により前記ロック手段20によるロック状態を解除することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、前記解除レバー31を単に回動させることにより、前記ロック手段20によるロック状態を簡単に解除することができる。
【0017】
また、請求項4に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1〜3のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記メモリーカートリッジを挿入するための前記挿入口12は、、列となるように複数形式されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1〜3のいずれかにに記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、多数の前記メモリーカートリッジ40の保管や運賃情報等の読み取りが行うことができるとともに、前記ロック手段20によるロックを効率よく行うことができる。
【0019】
また、請求項5に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項2〜4のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記複数の挿入口12は、前記ロック位置に沿った列に対向した位置に配置される、ことを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項2〜4のいずれかにに記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、前記庫本体11の前面が曲面になっていても、複数のメモリーカートリッジ40のロックは行うことができ、また庫本体11を箱状ではなく曲面を有するものともすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に記載した発明によれば、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るメモリーカートリッジ用保管庫の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、メモリーカートリッジ用保管庫の実施形態を示す斜視図であり、図2は、同保管庫の内部を示す拡大縦断正面図である。また、図3は、図1中の1−1線に沿ってみたロックバーの状態を示すもので、(a)はロックバーによるロックが解除されているときの部分拡大側面図、(b)はロックバーによってロック状態が形成されている部分拡大側面図であり、図4は、図3(a)にて示した図分の平面図である。図5は、ロック解除手段を構成している連接棒と連接板との関係を示しており、(a)は右側の連接棒を中心にしてみた部分拡大平面図、(b)は(a)の正面図である。図6は、本発明に係る保管庫によって保管されるメモリーカートリッジが収納された運賃箱の斜視図である。
【0023】
<全体構造>
図1に示すように、本実施形態のメモリーカートリッジ用保管庫10は、その庫本体11の前面には、5個の挿入口12を横方向に並べた1つの列とし、この列が上下4段にわたって形成されており、さらに、庫本体11内には、5個の挿入口12が並んだ列に対応するように棚が形成されている。なお、本発明の実施にあたってはこのような配列に限定されない。
【0024】
図2に示すように、各挿入口12の庫本体11内側には、読取装置13が配置されている。これら各読取装置13は、図6に示された運賃箱50から取り出されたメモリーカートリッジ40のデータを読み取るものである。この各読取装置13には、図2に示すように、メモリーカートリッジ40の挿入口を有しているが、この挿入口は、庫本体11に形成した挿入口12に対向している。なお、これら各読取装置13については、データの単なる読み取りだけできるものを採用することの他に、別のデータの書き込みや、消去を行うことができる。
【0025】
さて、この保管庫10を構成している庫本体11の前面には、図1に示すようにロック手段20を構成しているロックバー21が、挿入口12の各列に対向し得るように設けてある。本実施形態のロックバー21は、直線上の棒であり、その両端を、庫本体11に対して揺動可能に取り付けた一対の揺動アーム22に連結してある。従って、各ロックバー21は、揺動アーム22の揺動支点を中心にして、図3の(a)の状態から、図3(b)の状態に揺動することになる。
【0026】
ロックバー21及びこれを支える揺動アーム22が、図3の(a)に示した位置にあれば、挿入口12及びその内側にある読取装置13に差し込まれたメモリーカートリッジ40に対して、ロックバー21が上方に退避した状態になっているから、挿入口12への差し込みは勿論、メモリーカートリッジ40の抜き出しも行えるものである。これに対して、ロックバー21及びこれを支える揺動アーム22が図3の(b)に示すような位置になれば、ロックバー21はメモリーカートリッジ40の抜き出し方向の前方に位置することになるから、各メモリーカートリッジ40のロック状態が形成されることになる。
【0027】
ロックバー21を支える各揺動アーム22は、図3の(a)及び(b)に示すように、枢軸22aによって庫本体11に揺動自在に連結してあるが、その内端側(上記ロックバー21とは反対側)にはロックピン23が一体的に設けてあり、このロックピン23は、図3の(b)に示したロック状態となったとき、ロック部材60側のストッパ63によってロック板61の施錠溝62内に固定するようにしている。
【0028】
また、図1に示すように、庫本体11は、5個の挿入口12が形成する列の両側に形成した開口11aを有しており、この開口11aから各揺動アーム22が外方に突出し得るようにしてあると共に、この開口11a内で揺動アーム22が揺動し得る。
【0029】
また、図3に示すように、ロックバー21を支えている揺動アーム22は、その内端側と庫本体11側との間に介在させたスプリング24によって、図3の(a)に示した状態に常に復帰し得るように付勢されており、図3の(a)に示した状態は、庫本体11内に設けた揺動端ストッパ25によって維持される。
【0030】
以上のような構成を有するロック手段20は、図1及び図2に示すように、挿入口12の5個列の両側にそれぞれ配置され、そのロックバー21は、ロック状態にあるときには各挿入口12の前方に配置することになる。なお、このロック手段20は、挿入口12の5個列の一方の端や中程に1個設けるように実施してもよい。
【0031】
また、図1及び図2に示すように、このロック解除手段30は、庫本体11の上部中央に設けた解除レバー31によって操作される。この解除レバー31の中心はキー軸31aとなっており、このキー軸31aにキーを差し込むことにより、回動可能な状態となり、キーを外せば回動不可能な状態となる。
【0032】
図5に示すように、この解除レバー31の内端側には、解除レバー31とともに回動することになるリンク板31bが一体的に設けてあり、このリンク板31bには、左右2本の連接棒32の内端が回動自在に連結してある。各連接棒32の外端には、方向変換部34を介して連接板33がそれぞれ連結してあり、これら各連接板33は、各連接棒32の進退に対応して進退(本実施形態では上下動)する。
【0033】
また、各連接棒32上には、当該連接棒32側と庫本体11側との間に係止されるスプリング32aが介装してあり、このスプリング32aによって各連接棒32の解除レバー31側への戻りが確実になるようにしてある。そして、各連接棒32が進退されたときには、図5の(b)に示すように、この進退力は方向変換部34によって方向が変えられて各連接板33に伝達される。換言すれば、解除レバー31の回動によって連接棒32が、図5の(b)中の白抜き矢印にて示した横方向に進退されると、この力が方向変換部34において変換されて各連接板33に伝達される。以上のようにして、各連接板33は、図5(b)中の白抜き矢印にて示した上下方向に進退することになる。なお、上記連接棒32を「板状のもの」にして、逆に連接板33を「棒状のもの」に実施してもよいものである。また、庫本体11が小さいものである場合、あるいは列となっている挿入口12、従って保管すべきメモリーカートリッジ40の数が単数や数が少ない場合には、これらの連接棒32または連接板33のいずれかを省略するように実施してもよい。
【0034】
方向変換部34においては、コロ34aが所定空間内に押し込まれたり、ここから引き出されることにより、各連接板33の上下動を達成する。図2及び図4に示すように、連接板33の上下方向のロック手段20に対応する部分には、スプリング33cが介装してあり、このスプリング33cの付勢力によって各連接板33は常に上動するようになっている。また、図2及び図4に示すように、各連接板33の上下方向への進退が確実になるようにするために、各連接板33には、上下方向の長穴33aが形成してあり、この長穴33a内には庫本体11側に固定したガイドピン33bが係合させてある。これらのガイドピン33b及び長穴33aの案内によって、各連接板33は常に同一位置で進退されることになる。
【0035】
また、図3の(a)及び(b)にて示すように、各連接板33の途中には、ロック部材60が対向させてあり、このロック部材60を構成しているロック板61中のストッパ63のロック状態を解除するための解除アーム64の先端(連接板33側端部)が連接板33に係合する。このロック部材60は、ロック板61にストッパ63を傾動自在に組付けたものである。
【0036】
このストッパ63は、ロック板61に形成してある施錠溝62内に対して進退するものであり、施錠溝62とともに、ロック手段20側のロックピン23を包み込む空間を形成して、この空間内に入ってきたロックピン23を固定するものである。このストッパ63の固定状態は、同じくロック板61に枢支してある解除アーム64によって解除されるようになっており、この解除アーム64を上述したロック解除手段30側の連接板33が動かすことにより、ストッパ63のロック状態が解除される。
【0037】
<本実施形態から把握される動作、機能および別例>
上述したメモリーカートリッジ用保管庫10は、図1に示すように、バス等の車内に設置してある運賃箱50(図6参照)から抜き出されたメモリーカートリッジ40を、庫本体11に形成してある挿入口12に差し込んで、このメモリーカートリッジ40に書き込んであるデータを、読取装置13(図2参照)によって読み取ると共に、その読み取りの間は勿論、例えば翌日の営業運転時に使用するまでの間、このメモリーカートリッジ40を保管しておくものである。
【0038】
つまり、図1及び図2に示すように、営業所等に設置しておかれる庫本体11に、バス等の車内に設置してあった運賃箱50から取り出したメモリーカートリッジ40を挿入するために挿入口12を形成し、この挿入口12の庫本体11内側には、図2に示すように、読取装置13を設置した。また、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40は、図1に示すように、ロック手段20によって、その不用意な抜き出しが行えないようになっており、このロック手段20によるメモリーカートリッジ40のロック状態は、ロック解除手段30によって解除するようにしている。
【0039】
このようなメモリーカートリッジ用保管庫10は、その庫本体11の前面等に形成してある挿入口12からメモリーカートリッジ40を挿入するだけで、この挿入口12の内側に配置してある読取装置13によって、メモリーカートリッジ40に運賃箱50によって書き込まれた運行情報や運賃情報は自動的に読み取られる。その後、各メモリーカートリッジ40から読み取られた各種情報データは、当該保管庫10内、あるいはこの保管庫10に接続されたパソコン等によって所定の処理がなされ、統計をとったりバス等の利用状況の分析等に利用される。
【0040】
メモリーカートリッジ40については図1の最下段列、あるいは図3の(b)にて示すように、当該保管庫10のロック手段20であるロックバー21によって、不用意な抜き出しが行えないようにロックされる。最下段列の最後に残っている挿入口12内に運賃箱50を挿入した乗務員、あるいは、該当する列の数分のメモリーカートリッジ40を受け取った管理者が、図1の下から二番目の状態にあるロックバー21を、図1の最下段のような状態に手で押し下げることにより、当該ロックバー21が各メモリーカートリッジ40の抜き出し方向の前方に位置して、ロック手段20のロック状態が形成される。
【0041】
つまり、この保管庫10では、各挿入口12にメモリーカートリッジ40が挿入されたときには、そのロック手段20によって、図1の最下段列のようにメモリーカートリッジ40の不用意な抜き出しが防止されてと共に、当該メモリーカートリッジ40からの読取装置13によるデータ読み取りが十分な時間をかけて確実になし得るように維持され、メモリーカートリッジ40が一枚であっても多数枚であっても、その保管を確実に行うことができる。
【0042】
さて、以上のように、メモリーカートリッジ40からのデータの読み取りが読取装置13によって自動的かつ完全になされて、例えば翌朝まで多数のメモリーカートリッジ40を保管していた保管庫10から、当日の営業のために各メモリーカートリッジ40を抜き出さなければならない。このメモリーカートリッジ40は、ロック手段20によってロック状態にあったから、これを解除しなければならないが、このロック解除を具体的に行うのがロック解除手段30である。
【0043】
図1に示すように、このロック解除手段30は、これを構成している解除レバー31が、保管庫10を構成している庫本体11の前面(各挿入口12が開口していると同じ面)上部に位置しているから、例えば管理者がこれを回せば、ロック解除手段30を構成している連接棒32や連接板33の連携によって、ロック手段20のロックバー21が各メモリーカートリッジ40の抜き出し方向前方から移動するため、ロック手段20によるロック状態が解除される。このため、各メモリーカートリッジ40は、当該乗務員によって容易に抜き出され、運賃箱50(図6参照)に再びセットできる。
【0044】
なお、各メモリーカートリッジ40については、それまで挿入されていた読取装置13等によって、抜き出される頃までには、その日の運賃箱50による書き込みが行えるような状態にされている。
【0045】
また、保管庫10は、ロック手段20をロックバー21とロックピン23とにより構成しているので、特に、ロックバー21については、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方、またはそれ以外の場所に選択的配置されるようにしてある。
【0046】
このロックバー21を、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方に配置するには、庫本体11に対して揺動する2本の揺動アーム22の間に架け渡すか、庫本体11の前面に案内レールを設けておいて、このレールによって平行移動させる等の方法がある。いずれにしても、このロックバー21は、メモリーカートリッジ40の前方であるロック位置、またはそれ以外であるロック解除位置に選択的に配置されるものである。
【0047】
ロックピン23はロックバー21に直接設けて、ロックバー21が例えば図3の(b)の位置にきたとき、ロックバー21を架け渡している2本の揺動アーム22の内端側に設けるようにしてあるが、保管庫10を構成している庫本体11の一部に係合するようなものであっても良い。そしてロックピン23は、図3の(b)に示した位置になったとき、ロック部材60を構成しているロック板61の施錠溝62内に入り込み、このロック板61に設けてあるストッパ63によってその施錠溝62からの飛び出しを阻止することにより、ロックバー21のロック状態を形成する。
【0048】
さらに、このメモリーカートリッジ用保管庫10では、そのロック解除手段30を、図1に示すような庫本体11の外側に位置する解除レバー31と、この解除レバー31の回動に伴って進退する連接棒32と、この連接棒32の進退に連動する連接板33とにより構成したものである。
【0049】
連接棒32が解除レバー31の回動に伴って進退するようにするには、図5の(a)及び(b)に示すように、解除レバー31の背面にリンク板31bを取り付けておいて、このリンク板31bに連接棒32の一端を回動自在に連結する構成としても良いが、例えば解除レバー31と軸心を同じくする円板または円筒にワイヤを巻回しておき、このワイヤに連接棒32の端部を連結するようにしても良い。
【0050】
以上の連接棒32に、その進退に連動する連接板33を連結するには、方向変換部34を介して行うようにしてもよいが、前述した連接棒32と解除レバー31との連結におけるように、庫本体11の隅角部に取り付けた固定滑車に掛けたワイヤの両端に連接棒32と連接板33とをそれぞれ連結するようにしてもよい。
【0051】
つまり、ロック解除手段30としては、解除レバー31の回動によって、連接棒32を介して連接板33が進退するのであれば、どのような構成であってもよい。
【0052】
解除レバー31の回動に応じて進退する連接板33は、前述したロック手段20のロック状態を解除するものである必要があるが、図3の(b)に示すように、連接板33が図中の矢印方向に移動するとき解除アーム64を上動させるようにしてあり、この解除アーム64はロック板61中のストッパ63を施錠溝62の開放方向に動かすようになっている。上記で例示したように、ロックバー21にピンが直接設けてあり、このピンが庫本体11内のロックアーム等でロックされていたとすると、このロックアーム等を連接板33が解除するようにしておいてもよい。
【0053】
また、このメモリーカートリッジ用保管庫10は、例えば図1に示すように、庫本体11の前面に複数の挿入口12を列となるように形成したものであり、これにより、1つの保管庫10について多数のメモリーカートリッジ40の保管やこのメモリーカートリッジ40からの運賃情報等の読取装置13による読み取りを同時にまたは時間差を許容して多数のメモリーカートリッジ40について行えるようにしてある。さらにロック手段20によるロックが一括して行うことができる。
【0054】
また、このメモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック手段20を構成しているロックバー21のロック位置に、複数の挿入口12が形成する列がなるようにしたものであり、ロックバー21が直線でなくても、多数のメモリーカートリッジ40の保管やロックができるようにしている。また、これらの挿入口12が列となるようにしたのは、この列に対応する1本のロックバー21によって、当該列を構成している多数の挿入口12内に挿入されている多数のメモリーカートリッジ40のロックを行えるようにするためである。
【0055】
図1に示した列では、ロック手段20が直線上のロックバー21であるが、このロックバー21は必ずしも直線であると必要はなく、例えば、庫本体11の前面が曲面であれば、ロックバー21もこの曲面に応じた曲線にするようにしてもよい。
【0056】
(その他の実施形態)
【0057】
上記第1の実施形態では、ロック解除手段30の解除レバー31によって、連接棒32と連接板33とを動かすようにしているが、例えば挿入口12が縦に一列のみ形成したような保管庫10であれば、連接棒32を省略することができるし、逆に、横一列の挿入口12を有した保管庫10であれば、連接板33を省略して連接棒32のみで対処できる。
【0058】
また、庫本体11の前面が完全な平面となる保管庫10を、図1等において例示しているが、多勢の乗務員が同時にメモリーカートリッジ40の挿入や抜き出しが行えるようにするために、庫本体11の前面を曲面にしたり、あるいは多角形のものとすることもできる。その場合には、各ロックバー21は直線ではなく庫本体11の前面形状に合ったものとする必要がある。
【0059】
さらに、第1の実施形態では、ロック手段20を構成しているロックバー21として、両側の揺動アーム22によって扇形に揺動するものを例示しているが、例えば、庫本体11側に上下方向のレールを設けておき、このレールによってロックバー21が平行移動されるように実施してもよい。
【0060】
(上記実施形態から把握される作用・効果)
(a)メモリーカートリッジ用保管庫10は、庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入された前記メモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えている。したがって、貴重なデータが書き込まれているメモリーカートリッジ40およびメモリーカートリッジ用保管庫10を、営業所等の所定の場所で保管できるとともに、庫本体11に設けられた挿入甲2にメモリーカートリッジ40を挿入すると、内蔵された読取装置13によって運賃情報等を自動的に読み取ることができる。その際には、ロック手段20によって各メモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されるのが防止される。また、この保管庫10において、各挿入口12と読取装置13とを複数設けることにより、大量のメモリーカートリッジ40の保管を確実かつ簡単に行うことができる。また、ロック解除手段30によって、簡単にロックを解除することができる。
【0061】
(b)メモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック手段20を、庫本体内11の外側であって、挿入口12内に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方であるロック位置、またはこれ以外であるロック解除位置に選択的に配置されるロックバー21と、このロックバー21がロック位置になったときにその位置を保持するロックピン23とを備えている。したがって、ロック手段20を、ロックバー21とロックピン23という簡単な構造のもので、かつ各メモリーカートリッジ40のロック状態を確実に作り出せるものとなる。
【0062】
(c)メモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック解除手段30を、前記庫本体11の外側にて回動される解除レバー31と、この解除レバー31の回動によって進退される連接棒32と、この連接棒32の進退に連動して庫本体11内で進退する連接板33と、この連接板33の進退により前記ロック手段20によるロック状態を解除するようにした。したがって、解除レバー31を単に回動させることにより、ロック手段20によるロック状態を簡単に解除することができる。
【0063】
(d)メモリーカートリッジ用保管庫10は、メモリーカートリッジ40を挿入するための挿入口12を、列となるように複数形式した。したがって、多数のメモリーカートリッジ40の保管や運賃情報等の読み取りが行うことができるとともに、ロック手段20によるロックを効率よく行うことができる。
【0064】
(e)メモリーカートリッジ用保管庫10は、複数の挿入口12を、ロック装置20を構成しているロックバー21の、ロック位置に沿った列とした。したがって、庫本体11の前面が曲面になっていても、複数のメモリーカートリッジ40のロックは行うことができ、また庫本体11を所謂箱状ではなく曲面を有するものともすることができる。
【0065】
以上に記載した実施形態によれば、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することが可能となり、具体的には、以下に記載の効果が得られる。
【0066】
(1)貴重なデータを有しているものであるメモリーカートリッジ40を、特定の場所で保管できる。
(2)その保管時に、メモリーカートリッジ40からのデータの読み取りや、新規情報の書き込みが自動的に行える。
(3)メモリーカートリッジ40からのデータの読み取り時や書き込み時には、このメモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されないようにロックすることができる。
(4)メモリーカートリッジ40が大量に保管されている場合には、前記(3)のロックが簡単かつ一斉に解除できる。
(5)毎日使用することになるものであるから、構造を簡単にして耐久性の高いものとすることができる。
【0067】
(メモリカートリッジを収納した運賃箱の別形態)
図7〜図18は、上述したメモリカートリッジを収納できるバス用の運賃箱(タイプA〜F)であり、その外観の斜視図および六面図を示している。これらの運賃箱の形態から把握される技術的思想を以下に記す。
・ バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジを収納する運賃箱であって、紙幣及び硬貨を投入する金銭投入口とつり銭払い出し口を備えた金銭収受手段と、前記金銭収受手段によって金銭収受が行われた結果を表示する金銭収受結果表示手段と、磁気カードによって清算処理を行う磁気カード清算手段と、非接触ICカードによって清算処理を行う非接触ICカード清算手段と、前記磁気カード清算手段あるいは非接触ICカード清算手段によって清算処理が行われた結果を表示する表示手段と、を具備する運賃箱。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係るメモリカートリッジ用保管庫の斜視図である。
【図2】同保管庫の内部を示す拡大縦断正面図である。
【図3】図1中の1−1線に沿ってみたロックバーの状態を示すもので、(a)はロックバーによるロックが解除されているときの部分拡大側面図、(b)はロックバーによってロック状態が形成されている部分拡大側面図である。
【図4】図3の(a)にて示した図分の平面図である。
【図5】ロック解除手段を構成している連接棒と連接板との関係を示すもので、(a)は右側の連接棒を中心にしてみた部分拡大平面図、(b)は(a)の正面図である。
【図6】本実施形態に係る保管庫によって保管されるべきメモリーカートリッジが入れられていた運賃箱の斜視図である。
【図7】別形態(タイプA)の運賃箱を示す斜視図である。
【図8】別形態(タイプA)の運賃箱を示す六面図である。
【図9】別形態(タイプB)の運賃箱を示す斜視図である。
【図10】別形態(タイプB)の運賃箱を示す六面図である。
【図11】別形態(タイプC)の運賃箱を示す斜視図である。
【図12】別形態(タイプC)の運賃箱を示す六面図である。
【図13】別形態(タイプD)の運賃箱を示す斜視図である。
【図14】別形態(タイプD)の運賃箱を示す六面図である。
【図15】別形態(タイプE)の運賃箱を示す斜視図である。
【図16】別形態(タイプE)の運賃箱を示す六面図である。
【図17】別形態(タイプF)の運賃箱を示す斜視図である。
【図18】別形態(タイプF)の運賃箱を示す六面図である。
【符号の説明】
【0069】
10・・・メモリーカートリッジ用保管庫、11・・・庫本体、11a・・・開口、12・・・挿入口、13・・・読取装置、20・・・ロック手段、21・・・ロックバー、22・・・揺動アーム、22a・・・枢軸、23・・・ロックピン、24・・・スプリング、25・・・揺動端ストッパ、30・・・ロック解除手段、31・・・解除レバー、31a・・・キー軸、31b・・・リンク板、32・・・連接棒、32a・・・スプリング、33・・・連接板、33a・・・長穴、33b・・・ガイドピン、33c・・・スプリング、34・・・方向変換部、34a・・・コロ、40・・・メモリーカートリッジ、50・・・運賃箱、60・・・ロック部材、61・・・ロック板、62・・・施錠溝、63・・・ストッパ、64・・・解除アーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスや列車等の車内に設置されている運賃箱中のメモリーカートリッジを、車内とは別の場所で保管し、かつ少なくともこのメモリーカートリッジに格納されたデータの読み取りが行えるメモリーカートリッジ用保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
バスや列車等の公共交通機関では、使用者の利便性の向上等の理由から、例えば自動処理運賃箱のように、定期券のチェックや運賃の精算等の各種処理を電子的に行うようにすることが行われている。このような電子的に処理を行う運賃箱では、精算やチェックの処理時間が短縮され、間違いも少ないことから、バス等の利用者にとって大変便利なものとなっている。
【0003】
このような自動処理を行う運賃箱は、当然、回収した整理券や運賃を収納しておく金庫を備えているが、その他に、乗車券や定期券の利用情報や、売上情報等の各種データが書き込まれるメモリーカートリッジを備えている。このメモリーカートリッジは、特許文献1に示されるように、バス等の運行が終了したときには、乗務員によって自動処理運賃箱から外されて、営業所等の別の場所に持ち帰られることになる。
【特許文献1】特開2000−133450号公報、段落0013
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、営業所等に持ち帰られたメモリーカートリッジについては、上記特許文献1の段落0013にも記載されているように、営業所等に設置してあるリーダライタによって、中に記録されている各種データが読み取られることになる。読み取られた各種データは、統計をとったりバス等の利用状況の分析等に用いられる。
【0005】
このようなメモリーカートリッジからのデータの読み取りには時間が必要であり、読み取り中に間違って上記リーダライタから抜き出されると、内部に読み取られずに残っていたデータが壊れることがある。そうなると、そのメモリーカートリッジが有していたデータを、統計や利用状況の分析に使えなくなる。
【0006】
また、営業日の夜遅くには運行を終えたバスの乗務員が大勢帰ってくるから、この種のメモリーカートリッジは、一時的に大量のものが営業所に帰されることになるが、その際には、今現在読み取りを行っているメモリーカートリッジの抜き出しが誤ってなされないとも限らない。
【0007】
さらに、翌日になって営業運転を開始する前には、多勢の乗務員がメモリーカートリッジをバス等の運賃箱にセットすべく、営業所のリーダライタからこのメモリーカートリッジを抜き出さなければならないが、その際にはこのメモリーカートリッジの抜き出しが簡単に行えなくてはならない。
【0008】
すなわち、この種のメモリーカートリッジについては、
(1)貴重なデータを有しているものであるから、特定の場所で保管できるようにすること、(2)その保管時に、データの読み取りや、新規情報の書き込みが自動的に行えるようにすること、(3)データの読み取り時や書き込み時には、不用意に抜き出されないようにロックすること、(4)大量に保管されている場合には、前記(3)のロックが簡単かつ一斉に解除できるようにすること、(5)毎日使用することになるものであるから、構造を簡単にして耐久性の高いものとすること、等が可能なメモリーカートリッジ用保管庫が要求されている。
【0009】
そこで、本発明者等は、上記(1)〜(5)の要望を満たすことのできるメモリーカートリッジのための保管庫とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載したメモリーカートリッジ用保管庫は、庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入された前記メモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、貴重なデータが書き込まれているメモリーカートリッジ40およびメモリーカートリッジ用保管庫10を、営業所等の所定の場所で保管できるとともに、庫本体11に設けられた挿入口2にメモリーカートリッジ40を挿入すると、内蔵された読取装置13によって運賃情報等を自動的に読み取ることができる。その際には、ロック手段20によって各メモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されるのが防止される。また、この保管庫10において、各挿入口12と読取装置13とを複数設けることにより、大量のメモリーカートリッジ40の保管を確実かつ簡単に行うことができる。また、ロック解除手段30によって、簡単にロックを解除することができる。
【0013】
また、請求項2に記載したメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記ロック手段20は、前記庫本体11内の外側にあって、前記挿入口12内に挿入された前記メモリーカートリッジ40の前方に形成するロック位置、および前記メモリーカートリッジの前方以外の位置に形成するロック解除位置のいずれかに配置されるロックバー21と、このロックバー21が前記ロック位置に配置されたときにそのロック位置を保持するロックピン23と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、ロック手段20を、ロックバー21とロックピン23という簡単な構造のもので、かつ各メモリーカートリッジ40のロック状態を確実に作り出せるものとなる。
【0015】
また、請求項3に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記ロック解除手段30は、前記庫本体11の外側にて回動される解除レバー31と、この解除レバー31の回動によって進退される連接棒32と、この連接棒32の進退に連動して前記庫本体11内で進退する連接板33と、を備え、この連接板33の進退により前記ロック手段20によるロック状態を解除することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、前記解除レバー31を単に回動させることにより、前記ロック手段20によるロック状態を簡単に解除することができる。
【0017】
また、請求項4に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項1〜3のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記メモリーカートリッジを挿入するための前記挿入口12は、、列となるように複数形式されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項1〜3のいずれかにに記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、多数の前記メモリーカートリッジ40の保管や運賃情報等の読み取りが行うことができるとともに、前記ロック手段20によるロックを効率よく行うことができる。
【0019】
また、請求項5に記載のメモリーカートリッジ用保管庫10は、請求項2〜4のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫10に加えて、前記複数の挿入口12は、前記ロック位置に沿った列に対向した位置に配置される、ことを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載のメモリーカートリッジ用保管庫によれば、請求項2〜4のいずれかにに記載のメモリーカートリッジ用保管庫の作用に加えて、前記庫本体11の前面が曲面になっていても、複数のメモリーカートリッジ40のロックは行うことができ、また庫本体11を箱状ではなく曲面を有するものともすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に記載した発明によれば、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るメモリーカートリッジ用保管庫の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、メモリーカートリッジ用保管庫の実施形態を示す斜視図であり、図2は、同保管庫の内部を示す拡大縦断正面図である。また、図3は、図1中の1−1線に沿ってみたロックバーの状態を示すもので、(a)はロックバーによるロックが解除されているときの部分拡大側面図、(b)はロックバーによってロック状態が形成されている部分拡大側面図であり、図4は、図3(a)にて示した図分の平面図である。図5は、ロック解除手段を構成している連接棒と連接板との関係を示しており、(a)は右側の連接棒を中心にしてみた部分拡大平面図、(b)は(a)の正面図である。図6は、本発明に係る保管庫によって保管されるメモリーカートリッジが収納された運賃箱の斜視図である。
【0023】
<全体構造>
図1に示すように、本実施形態のメモリーカートリッジ用保管庫10は、その庫本体11の前面には、5個の挿入口12を横方向に並べた1つの列とし、この列が上下4段にわたって形成されており、さらに、庫本体11内には、5個の挿入口12が並んだ列に対応するように棚が形成されている。なお、本発明の実施にあたってはこのような配列に限定されない。
【0024】
図2に示すように、各挿入口12の庫本体11内側には、読取装置13が配置されている。これら各読取装置13は、図6に示された運賃箱50から取り出されたメモリーカートリッジ40のデータを読み取るものである。この各読取装置13には、図2に示すように、メモリーカートリッジ40の挿入口を有しているが、この挿入口は、庫本体11に形成した挿入口12に対向している。なお、これら各読取装置13については、データの単なる読み取りだけできるものを採用することの他に、別のデータの書き込みや、消去を行うことができる。
【0025】
さて、この保管庫10を構成している庫本体11の前面には、図1に示すようにロック手段20を構成しているロックバー21が、挿入口12の各列に対向し得るように設けてある。本実施形態のロックバー21は、直線上の棒であり、その両端を、庫本体11に対して揺動可能に取り付けた一対の揺動アーム22に連結してある。従って、各ロックバー21は、揺動アーム22の揺動支点を中心にして、図3の(a)の状態から、図3(b)の状態に揺動することになる。
【0026】
ロックバー21及びこれを支える揺動アーム22が、図3の(a)に示した位置にあれば、挿入口12及びその内側にある読取装置13に差し込まれたメモリーカートリッジ40に対して、ロックバー21が上方に退避した状態になっているから、挿入口12への差し込みは勿論、メモリーカートリッジ40の抜き出しも行えるものである。これに対して、ロックバー21及びこれを支える揺動アーム22が図3の(b)に示すような位置になれば、ロックバー21はメモリーカートリッジ40の抜き出し方向の前方に位置することになるから、各メモリーカートリッジ40のロック状態が形成されることになる。
【0027】
ロックバー21を支える各揺動アーム22は、図3の(a)及び(b)に示すように、枢軸22aによって庫本体11に揺動自在に連結してあるが、その内端側(上記ロックバー21とは反対側)にはロックピン23が一体的に設けてあり、このロックピン23は、図3の(b)に示したロック状態となったとき、ロック部材60側のストッパ63によってロック板61の施錠溝62内に固定するようにしている。
【0028】
また、図1に示すように、庫本体11は、5個の挿入口12が形成する列の両側に形成した開口11aを有しており、この開口11aから各揺動アーム22が外方に突出し得るようにしてあると共に、この開口11a内で揺動アーム22が揺動し得る。
【0029】
また、図3に示すように、ロックバー21を支えている揺動アーム22は、その内端側と庫本体11側との間に介在させたスプリング24によって、図3の(a)に示した状態に常に復帰し得るように付勢されており、図3の(a)に示した状態は、庫本体11内に設けた揺動端ストッパ25によって維持される。
【0030】
以上のような構成を有するロック手段20は、図1及び図2に示すように、挿入口12の5個列の両側にそれぞれ配置され、そのロックバー21は、ロック状態にあるときには各挿入口12の前方に配置することになる。なお、このロック手段20は、挿入口12の5個列の一方の端や中程に1個設けるように実施してもよい。
【0031】
また、図1及び図2に示すように、このロック解除手段30は、庫本体11の上部中央に設けた解除レバー31によって操作される。この解除レバー31の中心はキー軸31aとなっており、このキー軸31aにキーを差し込むことにより、回動可能な状態となり、キーを外せば回動不可能な状態となる。
【0032】
図5に示すように、この解除レバー31の内端側には、解除レバー31とともに回動することになるリンク板31bが一体的に設けてあり、このリンク板31bには、左右2本の連接棒32の内端が回動自在に連結してある。各連接棒32の外端には、方向変換部34を介して連接板33がそれぞれ連結してあり、これら各連接板33は、各連接棒32の進退に対応して進退(本実施形態では上下動)する。
【0033】
また、各連接棒32上には、当該連接棒32側と庫本体11側との間に係止されるスプリング32aが介装してあり、このスプリング32aによって各連接棒32の解除レバー31側への戻りが確実になるようにしてある。そして、各連接棒32が進退されたときには、図5の(b)に示すように、この進退力は方向変換部34によって方向が変えられて各連接板33に伝達される。換言すれば、解除レバー31の回動によって連接棒32が、図5の(b)中の白抜き矢印にて示した横方向に進退されると、この力が方向変換部34において変換されて各連接板33に伝達される。以上のようにして、各連接板33は、図5(b)中の白抜き矢印にて示した上下方向に進退することになる。なお、上記連接棒32を「板状のもの」にして、逆に連接板33を「棒状のもの」に実施してもよいものである。また、庫本体11が小さいものである場合、あるいは列となっている挿入口12、従って保管すべきメモリーカートリッジ40の数が単数や数が少ない場合には、これらの連接棒32または連接板33のいずれかを省略するように実施してもよい。
【0034】
方向変換部34においては、コロ34aが所定空間内に押し込まれたり、ここから引き出されることにより、各連接板33の上下動を達成する。図2及び図4に示すように、連接板33の上下方向のロック手段20に対応する部分には、スプリング33cが介装してあり、このスプリング33cの付勢力によって各連接板33は常に上動するようになっている。また、図2及び図4に示すように、各連接板33の上下方向への進退が確実になるようにするために、各連接板33には、上下方向の長穴33aが形成してあり、この長穴33a内には庫本体11側に固定したガイドピン33bが係合させてある。これらのガイドピン33b及び長穴33aの案内によって、各連接板33は常に同一位置で進退されることになる。
【0035】
また、図3の(a)及び(b)にて示すように、各連接板33の途中には、ロック部材60が対向させてあり、このロック部材60を構成しているロック板61中のストッパ63のロック状態を解除するための解除アーム64の先端(連接板33側端部)が連接板33に係合する。このロック部材60は、ロック板61にストッパ63を傾動自在に組付けたものである。
【0036】
このストッパ63は、ロック板61に形成してある施錠溝62内に対して進退するものであり、施錠溝62とともに、ロック手段20側のロックピン23を包み込む空間を形成して、この空間内に入ってきたロックピン23を固定するものである。このストッパ63の固定状態は、同じくロック板61に枢支してある解除アーム64によって解除されるようになっており、この解除アーム64を上述したロック解除手段30側の連接板33が動かすことにより、ストッパ63のロック状態が解除される。
【0037】
<本実施形態から把握される動作、機能および別例>
上述したメモリーカートリッジ用保管庫10は、図1に示すように、バス等の車内に設置してある運賃箱50(図6参照)から抜き出されたメモリーカートリッジ40を、庫本体11に形成してある挿入口12に差し込んで、このメモリーカートリッジ40に書き込んであるデータを、読取装置13(図2参照)によって読み取ると共に、その読み取りの間は勿論、例えば翌日の営業運転時に使用するまでの間、このメモリーカートリッジ40を保管しておくものである。
【0038】
つまり、図1及び図2に示すように、営業所等に設置しておかれる庫本体11に、バス等の車内に設置してあった運賃箱50から取り出したメモリーカートリッジ40を挿入するために挿入口12を形成し、この挿入口12の庫本体11内側には、図2に示すように、読取装置13を設置した。また、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40は、図1に示すように、ロック手段20によって、その不用意な抜き出しが行えないようになっており、このロック手段20によるメモリーカートリッジ40のロック状態は、ロック解除手段30によって解除するようにしている。
【0039】
このようなメモリーカートリッジ用保管庫10は、その庫本体11の前面等に形成してある挿入口12からメモリーカートリッジ40を挿入するだけで、この挿入口12の内側に配置してある読取装置13によって、メモリーカートリッジ40に運賃箱50によって書き込まれた運行情報や運賃情報は自動的に読み取られる。その後、各メモリーカートリッジ40から読み取られた各種情報データは、当該保管庫10内、あるいはこの保管庫10に接続されたパソコン等によって所定の処理がなされ、統計をとったりバス等の利用状況の分析等に利用される。
【0040】
メモリーカートリッジ40については図1の最下段列、あるいは図3の(b)にて示すように、当該保管庫10のロック手段20であるロックバー21によって、不用意な抜き出しが行えないようにロックされる。最下段列の最後に残っている挿入口12内に運賃箱50を挿入した乗務員、あるいは、該当する列の数分のメモリーカートリッジ40を受け取った管理者が、図1の下から二番目の状態にあるロックバー21を、図1の最下段のような状態に手で押し下げることにより、当該ロックバー21が各メモリーカートリッジ40の抜き出し方向の前方に位置して、ロック手段20のロック状態が形成される。
【0041】
つまり、この保管庫10では、各挿入口12にメモリーカートリッジ40が挿入されたときには、そのロック手段20によって、図1の最下段列のようにメモリーカートリッジ40の不用意な抜き出しが防止されてと共に、当該メモリーカートリッジ40からの読取装置13によるデータ読み取りが十分な時間をかけて確実になし得るように維持され、メモリーカートリッジ40が一枚であっても多数枚であっても、その保管を確実に行うことができる。
【0042】
さて、以上のように、メモリーカートリッジ40からのデータの読み取りが読取装置13によって自動的かつ完全になされて、例えば翌朝まで多数のメモリーカートリッジ40を保管していた保管庫10から、当日の営業のために各メモリーカートリッジ40を抜き出さなければならない。このメモリーカートリッジ40は、ロック手段20によってロック状態にあったから、これを解除しなければならないが、このロック解除を具体的に行うのがロック解除手段30である。
【0043】
図1に示すように、このロック解除手段30は、これを構成している解除レバー31が、保管庫10を構成している庫本体11の前面(各挿入口12が開口していると同じ面)上部に位置しているから、例えば管理者がこれを回せば、ロック解除手段30を構成している連接棒32や連接板33の連携によって、ロック手段20のロックバー21が各メモリーカートリッジ40の抜き出し方向前方から移動するため、ロック手段20によるロック状態が解除される。このため、各メモリーカートリッジ40は、当該乗務員によって容易に抜き出され、運賃箱50(図6参照)に再びセットできる。
【0044】
なお、各メモリーカートリッジ40については、それまで挿入されていた読取装置13等によって、抜き出される頃までには、その日の運賃箱50による書き込みが行えるような状態にされている。
【0045】
また、保管庫10は、ロック手段20をロックバー21とロックピン23とにより構成しているので、特に、ロックバー21については、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方、またはそれ以外の場所に選択的配置されるようにしてある。
【0046】
このロックバー21を、挿入口12に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方に配置するには、庫本体11に対して揺動する2本の揺動アーム22の間に架け渡すか、庫本体11の前面に案内レールを設けておいて、このレールによって平行移動させる等の方法がある。いずれにしても、このロックバー21は、メモリーカートリッジ40の前方であるロック位置、またはそれ以外であるロック解除位置に選択的に配置されるものである。
【0047】
ロックピン23はロックバー21に直接設けて、ロックバー21が例えば図3の(b)の位置にきたとき、ロックバー21を架け渡している2本の揺動アーム22の内端側に設けるようにしてあるが、保管庫10を構成している庫本体11の一部に係合するようなものであっても良い。そしてロックピン23は、図3の(b)に示した位置になったとき、ロック部材60を構成しているロック板61の施錠溝62内に入り込み、このロック板61に設けてあるストッパ63によってその施錠溝62からの飛び出しを阻止することにより、ロックバー21のロック状態を形成する。
【0048】
さらに、このメモリーカートリッジ用保管庫10では、そのロック解除手段30を、図1に示すような庫本体11の外側に位置する解除レバー31と、この解除レバー31の回動に伴って進退する連接棒32と、この連接棒32の進退に連動する連接板33とにより構成したものである。
【0049】
連接棒32が解除レバー31の回動に伴って進退するようにするには、図5の(a)及び(b)に示すように、解除レバー31の背面にリンク板31bを取り付けておいて、このリンク板31bに連接棒32の一端を回動自在に連結する構成としても良いが、例えば解除レバー31と軸心を同じくする円板または円筒にワイヤを巻回しておき、このワイヤに連接棒32の端部を連結するようにしても良い。
【0050】
以上の連接棒32に、その進退に連動する連接板33を連結するには、方向変換部34を介して行うようにしてもよいが、前述した連接棒32と解除レバー31との連結におけるように、庫本体11の隅角部に取り付けた固定滑車に掛けたワイヤの両端に連接棒32と連接板33とをそれぞれ連結するようにしてもよい。
【0051】
つまり、ロック解除手段30としては、解除レバー31の回動によって、連接棒32を介して連接板33が進退するのであれば、どのような構成であってもよい。
【0052】
解除レバー31の回動に応じて進退する連接板33は、前述したロック手段20のロック状態を解除するものである必要があるが、図3の(b)に示すように、連接板33が図中の矢印方向に移動するとき解除アーム64を上動させるようにしてあり、この解除アーム64はロック板61中のストッパ63を施錠溝62の開放方向に動かすようになっている。上記で例示したように、ロックバー21にピンが直接設けてあり、このピンが庫本体11内のロックアーム等でロックされていたとすると、このロックアーム等を連接板33が解除するようにしておいてもよい。
【0053】
また、このメモリーカートリッジ用保管庫10は、例えば図1に示すように、庫本体11の前面に複数の挿入口12を列となるように形成したものであり、これにより、1つの保管庫10について多数のメモリーカートリッジ40の保管やこのメモリーカートリッジ40からの運賃情報等の読取装置13による読み取りを同時にまたは時間差を許容して多数のメモリーカートリッジ40について行えるようにしてある。さらにロック手段20によるロックが一括して行うことができる。
【0054】
また、このメモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック手段20を構成しているロックバー21のロック位置に、複数の挿入口12が形成する列がなるようにしたものであり、ロックバー21が直線でなくても、多数のメモリーカートリッジ40の保管やロックができるようにしている。また、これらの挿入口12が列となるようにしたのは、この列に対応する1本のロックバー21によって、当該列を構成している多数の挿入口12内に挿入されている多数のメモリーカートリッジ40のロックを行えるようにするためである。
【0055】
図1に示した列では、ロック手段20が直線上のロックバー21であるが、このロックバー21は必ずしも直線であると必要はなく、例えば、庫本体11の前面が曲面であれば、ロックバー21もこの曲面に応じた曲線にするようにしてもよい。
【0056】
(その他の実施形態)
【0057】
上記第1の実施形態では、ロック解除手段30の解除レバー31によって、連接棒32と連接板33とを動かすようにしているが、例えば挿入口12が縦に一列のみ形成したような保管庫10であれば、連接棒32を省略することができるし、逆に、横一列の挿入口12を有した保管庫10であれば、連接板33を省略して連接棒32のみで対処できる。
【0058】
また、庫本体11の前面が完全な平面となる保管庫10を、図1等において例示しているが、多勢の乗務員が同時にメモリーカートリッジ40の挿入や抜き出しが行えるようにするために、庫本体11の前面を曲面にしたり、あるいは多角形のものとすることもできる。その場合には、各ロックバー21は直線ではなく庫本体11の前面形状に合ったものとする必要がある。
【0059】
さらに、第1の実施形態では、ロック手段20を構成しているロックバー21として、両側の揺動アーム22によって扇形に揺動するものを例示しているが、例えば、庫本体11側に上下方向のレールを設けておき、このレールによってロックバー21が平行移動されるように実施してもよい。
【0060】
(上記実施形態から把握される作用・効果)
(a)メモリーカートリッジ用保管庫10は、庫本体11と、この庫本体11に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジ40が挿入される挿入口12と、この挿入口12の内側になる庫本体内11に配置されて、メモリーカートリッジ40のデータを読み取る読取装置13と、挿入口12に挿入された前記メモリーカートリッジ40の抜き出しを阻止するロック手段20と、このロック手段20のロック状態を解除するロック解除手段30とを備えている。したがって、貴重なデータが書き込まれているメモリーカートリッジ40およびメモリーカートリッジ用保管庫10を、営業所等の所定の場所で保管できるとともに、庫本体11に設けられた挿入甲2にメモリーカートリッジ40を挿入すると、内蔵された読取装置13によって運賃情報等を自動的に読み取ることができる。その際には、ロック手段20によって各メモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されるのが防止される。また、この保管庫10において、各挿入口12と読取装置13とを複数設けることにより、大量のメモリーカートリッジ40の保管を確実かつ簡単に行うことができる。また、ロック解除手段30によって、簡単にロックを解除することができる。
【0061】
(b)メモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック手段20を、庫本体内11の外側であって、挿入口12内に挿入されたメモリーカートリッジ40の前方であるロック位置、またはこれ以外であるロック解除位置に選択的に配置されるロックバー21と、このロックバー21がロック位置になったときにその位置を保持するロックピン23とを備えている。したがって、ロック手段20を、ロックバー21とロックピン23という簡単な構造のもので、かつ各メモリーカートリッジ40のロック状態を確実に作り出せるものとなる。
【0062】
(c)メモリーカートリッジ用保管庫10は、ロック解除手段30を、前記庫本体11の外側にて回動される解除レバー31と、この解除レバー31の回動によって進退される連接棒32と、この連接棒32の進退に連動して庫本体11内で進退する連接板33と、この連接板33の進退により前記ロック手段20によるロック状態を解除するようにした。したがって、解除レバー31を単に回動させることにより、ロック手段20によるロック状態を簡単に解除することができる。
【0063】
(d)メモリーカートリッジ用保管庫10は、メモリーカートリッジ40を挿入するための挿入口12を、列となるように複数形式した。したがって、多数のメモリーカートリッジ40の保管や運賃情報等の読み取りが行うことができるとともに、ロック手段20によるロックを効率よく行うことができる。
【0064】
(e)メモリーカートリッジ用保管庫10は、複数の挿入口12を、ロック装置20を構成しているロックバー21の、ロック位置に沿った列とした。したがって、庫本体11の前面が曲面になっていても、複数のメモリーカートリッジ40のロックは行うことができ、また庫本体11を所謂箱状ではなく曲面を有するものともすることができる。
【0065】
以上に記載した実施形態によれば、メモリーカートリッジの保管と、これからのデータの少なくとも読み取りと、このデータ読み取り時の不用意な抜き出しができないようにするロックとが行える保管庫を、簡単な構成によって提供することが可能となり、具体的には、以下に記載の効果が得られる。
【0066】
(1)貴重なデータを有しているものであるメモリーカートリッジ40を、特定の場所で保管できる。
(2)その保管時に、メモリーカートリッジ40からのデータの読み取りや、新規情報の書き込みが自動的に行える。
(3)メモリーカートリッジ40からのデータの読み取り時や書き込み時には、このメモリーカートリッジ40が不用意に抜き出されないようにロックすることができる。
(4)メモリーカートリッジ40が大量に保管されている場合には、前記(3)のロックが簡単かつ一斉に解除できる。
(5)毎日使用することになるものであるから、構造を簡単にして耐久性の高いものとすることができる。
【0067】
(メモリカートリッジを収納した運賃箱の別形態)
図7〜図18は、上述したメモリカートリッジを収納できるバス用の運賃箱(タイプA〜F)であり、その外観の斜視図および六面図を示している。これらの運賃箱の形態から把握される技術的思想を以下に記す。
・ バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジを収納する運賃箱であって、紙幣及び硬貨を投入する金銭投入口とつり銭払い出し口を備えた金銭収受手段と、前記金銭収受手段によって金銭収受が行われた結果を表示する金銭収受結果表示手段と、磁気カードによって清算処理を行う磁気カード清算手段と、非接触ICカードによって清算処理を行う非接触ICカード清算手段と、前記磁気カード清算手段あるいは非接触ICカード清算手段によって清算処理が行われた結果を表示する表示手段と、を具備する運賃箱。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係るメモリカートリッジ用保管庫の斜視図である。
【図2】同保管庫の内部を示す拡大縦断正面図である。
【図3】図1中の1−1線に沿ってみたロックバーの状態を示すもので、(a)はロックバーによるロックが解除されているときの部分拡大側面図、(b)はロックバーによってロック状態が形成されている部分拡大側面図である。
【図4】図3の(a)にて示した図分の平面図である。
【図5】ロック解除手段を構成している連接棒と連接板との関係を示すもので、(a)は右側の連接棒を中心にしてみた部分拡大平面図、(b)は(a)の正面図である。
【図6】本実施形態に係る保管庫によって保管されるべきメモリーカートリッジが入れられていた運賃箱の斜視図である。
【図7】別形態(タイプA)の運賃箱を示す斜視図である。
【図8】別形態(タイプA)の運賃箱を示す六面図である。
【図9】別形態(タイプB)の運賃箱を示す斜視図である。
【図10】別形態(タイプB)の運賃箱を示す六面図である。
【図11】別形態(タイプC)の運賃箱を示す斜視図である。
【図12】別形態(タイプC)の運賃箱を示す六面図である。
【図13】別形態(タイプD)の運賃箱を示す斜視図である。
【図14】別形態(タイプD)の運賃箱を示す六面図である。
【図15】別形態(タイプE)の運賃箱を示す斜視図である。
【図16】別形態(タイプE)の運賃箱を示す六面図である。
【図17】別形態(タイプF)の運賃箱を示す斜視図である。
【図18】別形態(タイプF)の運賃箱を示す六面図である。
【符号の説明】
【0069】
10・・・メモリーカートリッジ用保管庫、11・・・庫本体、11a・・・開口、12・・・挿入口、13・・・読取装置、20・・・ロック手段、21・・・ロックバー、22・・・揺動アーム、22a・・・枢軸、23・・・ロックピン、24・・・スプリング、25・・・揺動端ストッパ、30・・・ロック解除手段、31・・・解除レバー、31a・・・キー軸、31b・・・リンク板、32・・・連接棒、32a・・・スプリング、33・・・連接板、33a・・・長穴、33b・・・ガイドピン、33c・・・スプリング、34・・・方向変換部、34a・・・コロ、40・・・メモリーカートリッジ、50・・・運賃箱、60・・・ロック部材、61・・・ロック板、62・・・施錠溝、63・・・ストッパ、64・・・解除アーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫本体と、この庫本体に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジが挿入される挿入口と、この挿入口の内側になる前記庫本体内に配置されて、前記メモリーカートリッジのデータを読み取る読取装置と、前記挿入口に挿入された前記メモリーカートリッジの抜き出しを阻止するロック手段と、このロック手段のロック状態を解除するロック解除手段と、を備えることを特徴とするメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記庫本体内の外側にあって、前記挿入口内に挿入された前記メモリーカートリッジの前方に形成するロック位置、および前記メモリーカートリッジの前方以外の位置に形成するロック解除位置のいずれかに配置されるロックバーと、このロックバーが前記ロック位置に配置されたときにそのロック位置を保持するロックピンと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項3】
前記ロック解除手段は、前記庫本体の外側にて回動される解除レバーと、この解除レバーの回動によって進退される連接棒と、この連接棒の進退に連動して前記庫本体内で進退する連接板と、を備え、この連接板の進退により前記ロック手段によるロック状態を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項4】
前記メモリーカートリッジを挿入するための前記挿入口は、、列となるように複数形式されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項5】
前記複数の挿入口は、前記ロック位置に沿った列に対向した位置に配置される、ことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項1】
庫本体と、この庫本体に設けられて、バスや列車等における利用情報等を記録したメモリーカートリッジが挿入される挿入口と、この挿入口の内側になる前記庫本体内に配置されて、前記メモリーカートリッジのデータを読み取る読取装置と、前記挿入口に挿入された前記メモリーカートリッジの抜き出しを阻止するロック手段と、このロック手段のロック状態を解除するロック解除手段と、を備えることを特徴とするメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記庫本体内の外側にあって、前記挿入口内に挿入された前記メモリーカートリッジの前方に形成するロック位置、および前記メモリーカートリッジの前方以外の位置に形成するロック解除位置のいずれかに配置されるロックバーと、このロックバーが前記ロック位置に配置されたときにそのロック位置を保持するロックピンと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項3】
前記ロック解除手段は、前記庫本体の外側にて回動される解除レバーと、この解除レバーの回動によって進退される連接棒と、この連接棒の進退に連動して前記庫本体内で進退する連接板と、を備え、この連接板の進退により前記ロック手段によるロック状態を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項4】
前記メモリーカートリッジを挿入するための前記挿入口は、、列となるように複数形式されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【請求項5】
前記複数の挿入口は、前記ロック位置に沿った列に対向した位置に配置される、ことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のメモリーカートリッジ用保管庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−77123(P2008−77123A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243494(P2006−243494)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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