説明

メモリーカード保護ケース

【課題】
帯電した手で直接メモリーカードに触れて放電を起したとしても、その電気を確実に逃がして、メモリーカード内部の電子回路や記憶されたデータが破壊されないようにする。
【解決手段】
メモリーカード(4)を差し込んだ状態で収納保持するメモリーカード収納具(5)を備え、その収納具(5)は、スロット(8)から差し込まれるメモリーカード(4)の各電極(3…)と夫々接続する複数の電極(11…)が形成されたソケット(7)と、該ソケット(7)の電極(11…)に接続されたリード(12…)のうち少なくともアース以外の電極に接続された夫々のリード(12…)が静電保護抵抗(14…)を介してアース(14)に対して並列接続された静電保護回路(9)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電極が形成されたメモリーカードを静電気から保護するメモリーカード保護ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカードは、ハードディスクや光学ディスクなどに比して駆動部が不要であり、小型で記憶容量も大きいことから、デジタルカメラ、携帯電話、携帯音楽再生機等の電子機器のメモリとしてはもちろんのこと、コンピュータの外部記憶装置としても盛んに利用されている。
そして、重要なデータを記憶させたメモリーカードを電子機器から外して移動する場合は、移動中に静電機の影響でデータや電子回路が破壊されることのないように、保護機能を有する専用のケースに入れて携帯することとしている。
【0003】
メモリーカードが静電気の影響で破壊される最大の原因は、メモリーカードを扱う人の手であり、帯電した手がメモリーカードのジャケットに触れた瞬間に放電を起して、そのショックでデータや電子回路が破壊されることが多い。
例えば、カーペット上を歩行した場合の帯電は、湿度が10〜20%の場合に35kVに達すると言われており、湿度が65〜90%の場合でも1.5kVに達する。
また、帯電した指先を他の導電性物質に十分近づけあるいは触れて静電放電を生じた場合、1〜2kV程度では痛みを感じないと言われており、人がそのような放電の発生を知覚しなくてもメモリーを破壊する程度の放電を起こすことがある。
【0004】
このため、従来よりメモリーカードを使用しない場合は、図4に示すようなケースに入れて保管することとしている。
このケース31は、ケースハウジング32の内側に、10〜10Ω/cm程度の静電拡散性を有する高抵抗導電性スポンジで形成されたカードホルダ33が設けられており、メモリーカード34をケース31内に収納したときに、そのカード34の外装ジャケットがホルダ33に接触してカード34に帯電する静電気を逃がすように形成されている。
【非特許文献1】http://www.nakabayashi.co.jp/products/brand/digio/memorycase.html
【0005】
しかしながら、ケース31からメモリーカード34を出すときは、メモリーカード34に指で直接触れなければならず、その手や指が帯電していた場合は指が触れたときに放電を生じる。
この場合に、高電圧微電流が外装ジャケットの表面を流れてカードホルダ33に逃がされれば問題はないが、場合によってはカードホルダ33へ流れずに、ジャケットに露出している電極35…から内部に伝わり、その電子回路やデータを破壊するおそれがある。
また、図5に示すように、メモリーカード34の電極35…は、指でカード34を扱う際に、その指が電極35…に直接触れないように、ジャケット表面に形成された凹溝36内に配されているが、指が帯電している場合は、必ずしも電極35に触れなくても指を近付けるだけで放電を起こし、その結果、その電子回路やデータを破壊するおそれがある。
【0006】
このとき、電極35…がカードホルダ33に接触していれば、電極35…からカードホルダ33に電気が流れるので内部の電子回路が保護されるが、前述したように電極35…は凹溝36内に配されているので、カードホルダ33が接触し難くい。
【0007】
すなわち、個々の電極35…が配される凹溝36は狭く形成されているので、図6に示すように、スポンジ程度の柔らかさではそのような狭い凹溝36の中まで入り込むことはできず、また、そのような凹溝36に適合する狭い突条を形成しようにも、スポンジを材質とする場合に形が崩れてしまいそのような微細加工を施すこともできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、静電気に帯電した手で直接メモリーカードに触れて放電を起したとしても、その電気を確実に逃がして、メモリーカード内部の電子回路や記憶されたデータが破壊されないようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、複数の電極が形成されたメモリーカードを静電気から保護するメモリーカード保護ケースであって、メモリーカードを差し込んだ状態で収納保持するメモリーカード収納具を備え、該収納具は、スロットから差し込まれるメモリーカードの各電極と夫々接続する複数の電極が形成されたソケットと、該ソケットの電極に接続されたリードのうち少なくともアース以外の電極に接続された夫々のリードが静電保護抵抗を介してアースに対して並列接続されて成る静電保護回路とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るメモリーカード保護ケースによれば、メモリーカードをメモリーカード収納具のスロットに差し込むと、メモリーカードの各電極がソケットの電極と接続される。
したがって、カードの各電極が狭い凹溝内に配されていても、夫々の電極がソケット内の電極と接続される。
ソケット内のアース以外の各電極は、夫々のリードがメモリーサーキットのインピーダンスより低い例えば500kΩ〜2MΩの静電保護抵抗を介してアースに対して並列接続されているので、メモリーカードは、その各電極が各静電保護抵抗を介してアースに接続された状態で収納保持される。
したがって、静電気に帯電した手で直接メモリーカードに触れて放電を起したときに、その電気がメモリーカードの電極に伝わっても、メモリーカードの夫々の電極はメモリーサーキットのインピーダンスより低い静電保護抵抗を介してアースに接続されているので、その放電により生じた高電圧微電流をアースに確実に逃がすことができ、メモリーカード内部の電子回路や記憶されたデータが破壊されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本例では、静電気に帯電した手で直接メモリーカードに触れて放電を起したとしても、その電気を確実に逃がして、メモリーカード内部の電子回路や記憶されたデータが破壊されないようにするという目的を達成するために、メモリーカードを差し込んだ状態で収納保持するメモリーカード収納具を備え、その収納具は、スロットから差し込まれるメモリーカードの各電極と夫々接続する複数の電極が形成されたソケットと、該ソケットの電極に接続されたリードのうち少なくともアース以外の電極に接続された夫々のリードが静電保護抵抗を介してアースに対して並列接続されて成る静電保護回路とを備えている。
【0012】
図1は本発明に係るメモリーカード保護ケースの要部を示す斜視図、図2はその電気回路図、図3は他の実施形態を示す説明図である。
【実施例1】
【0013】
図1に示すメモリーカード保護ケース1は、先端凹溝2内にアース電極3eを含む複数の電極3…が形成されたメモリーカード4(図5参照)を静電気から保護するもので、メモリーカード4を差し込んだ状態で収納保持するメモリーカード収納具5を備えている。
このメモリーカード収納具5は、カバー6内に配されたプリント配線基板7に、メモリーカード4が差し込まれるソケット8が装着されると共に、そのソケット8に接続される静電保護回路9が形成されている。
【0014】
ソケット8には、スロット10から差し込まれるメモリーカード4の各電極3…と夫々接続する複数の電極11…が形成されており、各電極11…に接続されたリード12…が導出されて、プリント配線基板7に形成された静電保護回路9に接続されている。
静電保護回路9は、前記リード12…のうち少なくともアース電極11e以外の電極11…に接続された夫々のリード12…がメモリーサーキットのインピーダンスよりも低い500kΩ〜2MΩ程度のチップ型静電保護抵抗13…を介してアース14に対して並列接続されている。
【0015】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
メモリーカード4を保護ケース1にいれて保管する場合は、その先端側からソケット8のスロット10に差し込むと、その先端側に形成された電極11…がソケット8の各電極11…と接触する。
ここで、アース電極11e以外の電極11…は、静電保護抵抗13…を介してアース14に接続されているので、ソケット8の各電極11…に接触しているメモリーカード4のアース電極3e以外の各電極3…も、静電保護抵抗13…を介してアース14に接続されることとなる。
【0016】
次いで、保護ケース1からメモリーカード4を取り出すときに、帯電した手でメモリーカード4に触れることにより、メモリーカード4のジャケットと指の間で放電を生じ、その結果、電極3…に放電流が流れることがあっても、各電極3…はメモリーサーキットのインピーダンスよりも低い静電保護抵抗13を介してアース14に接続されているので、その放電により生じた高電圧微電流がアース14に逃がされることなり、メモリーカード1内に形成された電子回路や、その電子回路に記憶されているデータが破壊されるのを未然に防止することができる。
【実施例2】
【0017】
図3は、本発明に係るメモリー保護ケースの他の実施形態を示す。
メモリー保護ケース21は、ボックス型のケースハウジング22内に、メモリーカード4を差し込んだ状態で収納保持する一以上のメモリーカード収納具5…が配されている。
【0018】
ケースハウジング22は、静電気の蓄積を防止すると共に電磁波の影響を受けないように金属で形成された本体23と蓋体24とからなる開閉ボックスでなり、本体23と蓋体24とのロックをはずしたときにバネ蝶番25により蓋体24が開くようになっている。
また、本体23には蓋体24を開けたときに、これと連動してスプリング26の弾撥力によりポップアップするベース27が配され、このベース27にメモリーカード収納具5が四連で取り付けられている。
【0019】
そして、前記ベース27に取り付けられたメモリーカード収納具5は、図1で示したものと同様、プリント配線基板7に、メモリーカード4が差し込まれるソケット8が装着されると共に、そのソケット8に接続される静電保護回路9が形成されている。
ソケット8には、スロット10から差し込まれるメモリーカード4の各電極3…と夫々接続する複数の電極11…が形成されており、各電極11…に接続されたリード12…が導出されて、プリント配線基板7に形成された静電保護回路9に接続されている。
静電保護回路9は、前記リード12…のうち少なくともアース電極11e以外の電極11…に接続された夫々のリード12…がメモリーサーキットのインピーダンスよりも低い500kΩ〜2MΩ程度のチップ型静電保護抵抗13…を介してアース14に対して並列接続されている。
【0020】
これによれば、メモリーカード4をメモリーカード収納具5に収納保持させた状態で、金属製のケースハウジング22内に保管することができるので、ケースハウジング22を閉じている以上、外部から静電気や電磁波の影響を受けることがない。
また、使用時にメモリーカード4を取り出すときに、まず、蓋体24を開けなければならないので、必ずケースハウジング22に触れることとなり、手が帯電していたとしてもメモリーカード4に触れる前にケースハウジング22に静電気が逃がされるので、メモリーカード4に触れるときには放電を起すことが少ない。
さらに、開いたままのケースハウジング22からメモリーカード4を取り出すときに、帯電した指でメモリーカード4に直接カードが触れることにより、指とメモリーカードの間で放電を生じ、その結果、電極3…に放電流が流れることがあっても、各電極3…はメモリーサーキットのインピーダンスよりも低い静電保護抵抗13を介してアース14に接続されているので、その放電により生じた高電圧微電流がアース14に逃がされることなり、メモリーカード1内に形成された電子回路や、その電子回路に記憶されているデータが破壊されるのを未然に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上述べたように、本発明は、複数の電極が形成されたメモリーカードを静電気から保護するメモリーカード保護ケースの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るメモリーカード保護ケースの一例を示す斜視図。
【図2】その内部機構を示す断面図。
【図3】他の実施形態を示す斜視図。
【図4】従来装置を示す説明図。
【図5】メモリーカードの一例を示す斜視図。
【図6】従来装置に収納した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0023】
1 メモリーカード保護ケース1
3 電極
4 メモリーカード
5 メモリーカード収納具5
8 ソケット
9 静電保護回路
10 スロット
11 電極
12 リード
14 静電保護抵抗
15 アース
21 メモリーカード保護ケース
22 ケースハウジング



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が形成されたメモリーカードを静電気から保護するメモリーカード保護ケースであって、
メモリーカードを差し込んだ状態で収納保持するメモリーカード収納具を備え、
該収納具は、スロットから差し込まれるメモリーカードの各電極と夫々接続する複数の電極が形成されたソケットと、該ソケットの電極に接続されたリードのうち少なくともアース以外の電極に接続された夫々のリードが静電保護抵抗を介してアースに対して並列接続されて成る静電保護回路とを備えたことを特徴とするメモリーカード保護ケース。
【請求項2】
複数の電極が形成されたメモリーカードを静電気から保護するメモリーカード保護ケースであって、
ボックス型のケースハウジング内に、メモリーカードを差し込んだ状態で収納保持する一以上のメモリーカード収納具が配され、
該収納具は、スロットから差し込まれるメモリーカードの各電極と夫々接続する複数の電極が形成されたソケットと、該ソケットの電極に接続されたリードのうち少なくともアース以外の電極に接続された夫々のリードが静電保護抵抗を介してアースに対して並列接続されて成る静電保護回路とを備えたことを特徴とするメモリーカード保護ケース。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−317010(P2007−317010A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147003(P2006−147003)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(397077139)株式会社コペック ジャパン (12)
【Fターム(参考)】