説明

メモ帳及びそれを用いた筆記具セット

【課題】本発明の課題は、他製品と差別化するために、表示面を有するメモ帳及びそれを用いた筆記具セットを、簡単な構造で提供することである。
【解決手段】本発明は、前記課題を解決するために、筆記具の試筆をする試筆紙を具備したメモ帳であって、該メモ帳に、前記試筆紙に対して起立した表示面を形成し、該表示面に光を反射する鏡状の表示板を付設するとともに、前記表示面が試筆紙に対して45度以上、80度以下に傾斜して起立していることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具の試筆をする試筆紙を具備したメモ帳及びそれを用いた筆記具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、様々な特徴点を有する筆記具が上市されており、他製品と差別化するには、その特徴点を使用者に直ぐ分かってもらうことが重要であり、陳列台等には、その筆記具の特徴、例えば、ガラス、金属、プラスチック等の非浸透面に筆記が可能であることや、クリップ部材と筒体との連結部を支点とし、筒体に対し前記クリップ部材の先端内壁部を筒体から離間可能とし、繰り返しの使用に対する耐久性が高く、比較的厚手のものに挟持できるクリップ部材であること等が表記してある。
【0003】
そのため、特開平11−346881号公報「オープンショーケース」や特開2004−105564号公報「紙製展示台」に開示されているように、商品の陳列台や陳列方法に特徴を持たせることで、使用者の興味を引きつけ、他製品との差別化を図っていた。
【特許文献1】「特開平11−346881号公報」
【特許文献2】「特開2004−105564号公報」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来から、筆記具の商品陳列台に近接して設置する、筆記具の試筆をする試筆紙を具備したメモ帳はよく知られている。こうしたメモ帳は、筆記具の商品陳列台に近接して設置されているが、メモ帳の一端部に製造社名や商品名を記載してあるだけであった。
【0005】
本発明の目的は、他製品と差別化する表示面を有するメモ帳及びそれを用いた筆記具セットを、簡単な構造で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筆記具の試筆をする試筆紙を具備したメモ帳であって、該メモ帳に、前記試筆紙に対して起立した表示面を形成し、該表示面に光を反射する鏡面板を付設するとともに、前記表示面が試筆紙に対して、80度以下に傾斜して起立していることを特徴とする。
【0007】
また、前記表示面の端縁に、厚さの異なるクリップ挟持部を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、前記筆記具が、前記鏡面板に筆記可能、該鏡面板に書いた筆跡を消去可能なボールペン用インキを内蔵した筆記具であることを特徴とする。
【0009】
また、前記筆記具が、クリップ部材と筒体間に配設したコイルスプリングによって、前記クリップ部材の先端内壁部を常時、筒体の外壁面側に弾発するとともに、クリップ部材と筒体との連結部を支点とし、筒体に対し前記クリップ部材の先端内壁部を筒体から離間可能としたクリップ部材を有する筆記具であって、前記クリップ挟持部に挟持可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、表示面を有するメモ帳及びそれを用いた筆記具セットを、簡単な構造で提供することができ、他製品と差別化することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明のメモ帳及びこれを用いた筆記具セットの実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0012】
実施例1
図1、図2に示すメモ帳1は、基板上2に筆記具の試筆をする複数の試筆紙3を配設するとともに、基板2の一方の端部に、試筆紙3及び基板2に対して70度(α)に傾斜して起立した表示面4を形成し、この表示面4に光を反射する鏡面板5を貼着して本発明のメモ帳1を得ている。尚、表示面4の裏面には、倒れ防止のための支え板6を表示面4と一体に形成してある。
【0013】
光を反射する鏡面板5を用いることによって、紙とは違う色彩と光沢を得ることができ、使用者の興味を引くことができるとともに、試筆している状態を、鏡面板5を通じて見ることができるので、第三者的に筆記具(図示せず)の外観及び筆記具を把持した手を見ることができるので好ましい。
【0014】
また、試筆紙に対して表示面が垂直に起立していると、筆記具がボールペンの場合には、この表示板に試筆してしまうと逆流の原因となるので、逆流を生じないように、表示面を試筆紙に対して80度以下とすることが重要である。
【0015】
更に、表示面4は、使用者の興味を引きつけるため見やすい角度とすることが好ましく、また、鏡面板5によって試筆している筆記具を見るためには、試筆紙3に対して45度以上とすることが好ましい。更にまた、JIS S 6039の筆記試験と同様に70〜75度、或いはJIS S 6054の筆記試験と同様に、60度〜70度とすることで、適正な筆記角度を表示面から得ることができるので、60度以上、75度以下とすることが最も好ましい。
【0016】
尚、鏡面板には、ガラス、アルミやステンレスの金属、樹脂に含有又はこれらの表面をコーティングして用いる等、光を反射するものであれば、材質は特に限定されないが、アルミやステンレスの金属、ガラスや樹脂の表面をコーティングしたものは、紙に比べて耐久性を高くすることができるので好ましい。また、形状も特に限定されるものではなく、正方形、長方形、円形、星形やハート形等、様々な形状で用いることができる。
【0017】
また、実施例1のメモ帳のセットとして用いる筆記具としては、鏡面板に筆記可能、該鏡面板に書いた筆跡を容易に消去可能なボールペン用インキを内蔵した筆記具を用いることが好ましい。
【0018】
樹脂や金属等の非浸透面に筆記可能、且つ非浸透面に書いた筆跡を容易に消去可能なボールペン用インキとしては、水と、溶剤と、顔料と、水溶性樹脂とからなり、20℃でのインキ粘度が5〜30mPa・sである水性ボールペン用インキが例示できる。本発明におけるインキ粘度は、トキメック製B8M型粘度計を用い、BLローターの回転速度12rpmにおける粘度を20℃の環境下で測定した。
【0019】
具体的には、色材として顔料であるピグメントブラック7、溶剤として水と、顔料分散機能と筆跡定着性能を兼備した水溶性樹脂として分子量16,500、ガラス転移点102℃、酸価240のアクリル系樹脂である商品名HPD−96(ジョンソンポリマー株式会社製)、pH調整剤であるトリエタノールアミン、防錆潤滑剤として燐酸エステル界面活性剤である商品名プライサーフA−208S(第一工業製薬株式会社製)、筆跡の定着性向上剤としてアルリルエマルジョンである商品名ジョンクリル7001(ジョンソンポリマー株式会社製)、非浸透面上への濡れ性向上剤として水溶性変性シリコーンオイルである商品名KF−618(信越化学工業株式会社)、防菌剤として1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、溶剤として20℃の蒸気圧が4.3KPaであるイソプロピルアルコールを所定量添加して筆跡、外観共に黒色の水性ボールペン用インキを得ている。尚、下記配合により作成したボールペン用インキの20℃でのインキ粘度は5mPa・sであった。各添加量は下記の通りである。
【0020】
ピグメントブラック7 5.0 質量%
水溶性樹脂(商品名;HPD−96のアクリル系樹脂成分)4.5 質量%
イソプロピルアルコール 7.0 質量%
水 80.8 質量%
防錆潤滑剤(商品名;A−208S) 0.5 質量%
トリエタノールアミン 1.0 質量%
定着性向上剤(商品名;ジョンクリル7001)
(アクリルエマルジョン成分) 0.8 質量%
濡れ性向上剤(商品名;KF−618) 0.2 質量%
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.2 質量%
【0021】
尚、紙面及び非浸透面に筆記するには、20℃でのインキ粘度を5mPa・s以上、30mPa・sとする。これは、非浸透面上への筆記は筆記面が極端に平滑であることが多く、筆端部のボール回転に向けた駆動力が生じ難いが、筆記においてボールの表面にインキ膜を速やかに形成することで、平滑な筆記面上でもボールが回転可能となるためである。これは、ボール受け座周辺に潤滑性良好なインキが充たされ回転抵抗を低減すること、更には、平滑な筆記面上に粘度を有したインキが移行することで湿式の回転環境が形成できること、これら2つの相乗効果によるものと推測できる。20℃の測定環境下におけるインキ粘度が5mPa・s未満では、平滑な非浸透面上での筆記は良好となるが、紙面上での筆記に際して筆跡の滲みや裏抜けが顕著となり防止できない。また、同じく30mPa・sを越えると、筆記に際してボール表面に速やかにインキ膜が形成されず、平滑な非浸透面上に良好な筆記ができない。
【0022】
また、非浸透面上での筆跡定着性を向上させる目的で水溶性樹脂を用いる。色材として用いる顔料も被膜形成能はあるが、筆跡の擦過耐性を付与するには筆記面との密着性も鑑みた被膜形成剤の処方が必要となる。但し、この際においてもインキ粘度に制限があることを念頭に置くと、インキ中に溶解した際に高粘度となるような樹脂成分の選定は回避する必要がある。また、必須成分である顔料の分散を安定的に維持するためには、分散剤の採用も必要不可欠となる。
【0023】
この際に分散機能と定着性能を兼備していれば、粘度制限のあるインキ組成物を構築する上で最も効率的な処方となる。適用対象となる水溶性樹脂は、アクリル系樹脂が代表的な物質であって顔料分散能と乾燥後の定着性を兼備した好適な水溶性樹脂である。水溶性樹脂は、分散能、定着性の他にインキ粘度にも着目して選定する必要がある。
【0024】
水溶性樹脂の配合量は多ければ多いほど定着性良好となるが、インキ粘度を鑑みるとインキ組成物全質量に対して5〜20質量%とすることが最も好適な範囲である。5質量%未満では非浸透面上での良好な筆跡定着性を実現することが困難であって、20質量%を越えるとインキ粘度が上昇しやすくなるばかりでなく、筆端部において強力な乾燥皮膜が形成されるため良好な書き出し性能を実現することが困難となる。このように多量の水溶性樹脂を使用することも本発明の特徴の一つである。アクリル系樹脂の他に適用可能な水溶性樹脂は、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が例示される。
【0025】
こうした、紙面及び非浸透面に筆記可能な筆記具は、試筆する時に、紙面のみならず、表示面に貼付した鏡板(非浸透面)にも試筆することができるので、使用者の興味を引きつけ、他製品との差別化を図ることができる。
【0026】
実施例2
図3に示すメモ帳11は、表示面4の側端縁4aに、厚さの異なるクリップ挟持部7を形成した以外は、実施例1と同様にしてメモ帳を得ている。
【0027】
表示面4を試筆紙3に対して起立させてあるので、表示面4の側端縁4aや上端縁4bにはクリップ部材を容易に挟持可能であり、クリップ部材の挟持力やクリップ部材が挟持した状態を見る事ができる。
【0028】
また、厚さの異なるクリップ挟持部7を形成することによって、図4に示す筆記具21のようにように、クリップ部材23を有する筆記具21のクリップ部材23の挟持力や挟持のし易さを異なる厚さにて確認することができるので好ましい。尚、本実施例では便宜上、表示面4の側端縁4aにクリップ挟持部7を形成してあるが、上端縁4bに形成してもよい。
【0029】
実施例2のメモ帳11のセットとして用いる筆記具21は、筒体22の後端部の外壁に設けたクリップ部材23側に向かって延びる突部24と、クリップ部材23の内壁に設けた筒体22側に向かって延びる突起部25を覆うようにコイルスプリング26を配設することにより、クリップ部材23の先端内壁部23aを、筒体22の外壁面22a側に常時弾発して付設してある。また、クリップ部材23の後端部23bを押圧(図4の矢印F方向)することにより、クリップ部材23と筒体22との連結部Rを支点とし、クリップ部材23の先端内壁部23aを筒体22の外壁面22aから離間可能にしてある筆記具を用いることが好ましい。尚、クリップ部材と筒体の連結方法は特に限定されるものではなく、凹凸嵌合等、従来から知られている連結方法を適宜選択して使用することができる。
【0030】
こうした、クリップ部材と筒体間に配設したコイルスプリングによって、前記クリップ部材の先端内壁部を常時、筒体の外壁面側に弾発するとともに、クリップ部材と筒体との連結部を支点とし、筒体に対し前記クリップ部材の先端内壁部を筒体から離間可能としたクリップ部材を有する筆記具は、比較的厚手の部分にも挟持可能であって、挟持力も高いので、使用者の興味を引きつけ、実施例2のメモ帳11とセットにして陳列することで他製品との差別化を図ることができる。尚、本実施例では便宜上、筆記体などを省略しているが、筒体としては、ノック式筆記具の軸筒やキャップ等、適宜選択して用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
メモ帳として、広く実施可能であり、特に商品に特徴のある筆記具においては、メモ帳と筆記具をセットとして用いることにより、商品の特徴を強調できるので最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1のメモ帳を示す正面図である。
【図2】図1における側面図である。
【図3】実施例2のメモ帳を示す側面図である。
【図4】クリップ部材を筒体から離間した状態を示す筆記具の一部省略した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1、11 メモ帳
2 基板
3 試筆紙
4 表示面
5 表示板
6 支え板
7 クリップ挟持部
21 筆記具
22 筒体
23 クリップ部材
23a 先端内壁面
23b 後端部
24 突部
25 突起部
26 コイルスプリング
R 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具の試筆をする試筆紙を具備したメモ帳であって、該メモ帳に、前記試筆紙に対して起立した表示面を形成し、該表示面に光を反射する鏡面板を付設するとともに、前記表示面が試筆紙に対して、80度以下に傾斜して起立していることを特徴とするメモ帳
【請求項2】
前記表示面の端縁に、厚さの異なるクリップ挟持部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のメモ帳
【請求項3】
前記筆記具が、前記鏡面板に筆記可能、該鏡面板に書いた筆跡を消去可能なボールペン用インキを内蔵した筆記具であることを特徴とする請求項1または2に記載のメモ帳を用いた筆記具セット
【請求項4】
前記筆記具が、クリップ部材と筒体間に配設したコイルスプリングによって、前記クリップ部材の先端内壁部を常時、筒体の外壁面側に弾発するとともに、クリップ部材と筒体との連結部を支点とし、筒体に対し前記クリップ部材の先端内壁部を筒体から離間可能としたクリップ部材を有する筆記具であって、前記クリップ挟持部に挟持可能としたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のメモ帳を用いた筆記具セット


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−320227(P2007−320227A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154572(P2006−154572)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】