説明

メルトフローレートの高い多成分繊維を含有する柔軟で伸張性のある不織布ウェブ

【課題】当業界では、高額な特殊ポリマー又は弾性ポリマーを必要とせずに、従来の樹脂からの製造が可能な中〜低デニール繊維でできた伸張性不織布に対するニーズがある。
【解決手段】本発明は、不織布ウェブに高い伸張性を持たせることができる多成分繊維を含む不織布ウェブを提供する。多成分繊維は、約100〜約2000g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン組成物を含む第一構成成分、及び前記第一構成成分のメルトフローレートよりも低いメルトフローレートを有するポリマー組成物を含む第二構成成分を含むであろう。第一構成成分は、多成分繊維表面の少なくとも約10%含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低デニール繊維を含む柔軟で伸張性のある不織布ウェブと、そのような不織布ウェブを含む使い捨て物品に関する。
【0002】
本出願は、特願2006−551529に基づく分割出願である。
【背景技術】
【0003】
例えばメルトブロー法及びスパンボンド法などの不織布押し出し方法によって形成される不織布ウェブは、安価に製品及び製品の構成要素に製造することができるので、その製品は、1回のみ又は数回の使用後に使い捨て可能と考えることができる。このような製品の代表例としては、おむつ、失禁用パンツ、トレーニングパンツ、女性用衛生衣類、拭き取り用品等のような使い捨て吸収性物品が挙げられる。
【0004】
使い捨て製品にて使用する時、柔軟性及び伸張性を実現できる不織布に対する既存の消費者ニーズがある。不織布が柔軟であるほどより皮膚に優しく、より肌着のような感覚をおむつに与えるのに役立つ。比較的小さい力で大きく伸張可能な不織布は、使い捨ておむつのような製品において、例えば伸縮性複合材の一部としてフィット感を持続させるために使用することができ、延伸(stretching)、開繊(aperturing)等の様々な機械的後処理の使用を容易にする。本明細書で、伸張性材料とは、伸長が可能であるが、必ずしも加えられたひずみの全て又は一部が回復されるとは限らない材料と定義される。一方、弾性材料は、その定義では、荷重を取り除いた後、その伸びのかなりの部分が回復されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,855,046号明細書
【特許文献2】米国特許第4,021,284号明細書
【特許文献3】米国特許第4,024,612号明細書
【特許文献4】米国特許公開公報2002/0188041号明細書
【特許文献5】米国特許第6,476,135号明細書
【特許文献6】米国特許公開公報2004/0131,820号明細書
【特許文献7】米国特許公開公報2003/028,165号明細書
【特許文献8】WO04/059,061号パンフレット
【特許文献9】WO04/058,214号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,518,801号明細書
【特許文献11】米国特許第5,650,214号明細書
【特許文献12】米国特許第6,013,151号明細書
【特許文献13】米国特許第5,932,497号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】マオ(Mao)及びゴスワミ(Goswami)、国際不織布ジャーナル(International Nonwovens Journal)、第10巻、No.2、38〜47頁、及びNo.3、17〜28頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日当業界では、高額な特殊ポリマー又は弾性ポリマーを必要とせずに、従来の樹脂からの製造が可能な中〜低デニール繊維でできた伸張性不織布に対するニーズがある。紡糸減衰速度(spinning attenuation velocities)が上昇するにつれ、分子配向が増大し、繊維の伸びが低下することは、当該技術分野の技術者にとって周知である。このことは、伸長性が低い強固な低デニール繊維にとっては問題にならないが、伸長性が高い低デニール繊維を製造することは、引き続き重要な課題となっている。従って、本発明の目的の1つは、コストのかかる添加物の必要なしに、従来の樹脂から製造できる低デニール繊維を含む不織布ウェブを提供することである。本発明のさらなる目的は、このような柔軟で伸張性のある不織布ウェブを含む使い捨て物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、不織布ウェブに高い伸張性を持たせることができる多成分繊維を含む不織布ウェブを提供する。さらに本発明は、柔軟性を持ち、また高い伸張性を持つ不織布ウェブの形成を可能にする低デニール繊維を提供する。
【0009】
不織布ウェブは、多成分繊維を含む。多成分繊維は、約100〜約2000g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン組成物を含む第一構成成分、及び前記第一構成成分のメルトフローレートよりも低いメルトフローレートを有するポリマー組成物を含む第二構成成分を含むであろう。第一構成成分は、多成分繊維表面の少なくとも約10%含まれる。一般的に、前記第一構成成分対前記第二構成成分の比は、約10:90〜約90:10である。第一構成成分は、多成分繊維表面の少なくとも約50%含まれることが好ましく、繊維は、第一構成成分が鞘部、及び第二構成成分が芯部である二成分繊維であることがより好ましい。第一構成成分のポリプロピレン組成物は、2つ以上の異なるポリプロピレンを含んでもよく、又はポリプロピレンと別のポリマーとを含んでもよい。第二構成成分は、好ましくは約20〜約80g/10分のメルトフローレートを有し、メルトフローレートの低いポリプロピレン又はいかなる熱可塑性組成物であってもよい。好ましくは、第一構成成分のメルトフローレートは約100〜約1000g/10分であり、第二構成成分は約10〜約80g/10分のメルトフローレートを有する。不織布ウェブは、約5〜約100g/平方メートル(gsm)の坪量を有してもよく、またスパンボンド法により製造されてもよい。ウェブを構成する繊維の直径は、一般的に約5〜約50ミクロンであろう。所望により不織布ウェブは、本発明のポリマー組成物を含む繊維以外の繊維を含んでもよい。不織布ウェブのピーク荷重におけるひずみは、好ましくは少なくとも一方向において80%を超える。
【0010】
また本発明は、不織布ウェブに使用される繊維を対象にする。本発明の不織布ウェブは、使い捨て物品を製造するのに使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される時、用語「吸収性物品」は、身体排出物を吸収して収容する装置を指し、より具体的には、着用者の身体に接触又は近接して設置され、身体から排泄される様々な排出物を吸収して収容する装置を指す。
【0012】
本明細書で使用される時、用語「使い捨て」は、洗濯される、ないしは別の方法で吸収性物品として復元されるか又は再利用されることを意図しない(すなわち1回の使用後に廃棄され、好ましくは再生利用される、堆肥化される、又は環境に適合する方法で処理されることを意図する)吸収性物品を説明するために使用される。「一体型」吸収性物品とは、別個の部品を相互に結合させて形成され、調整された統一体を形成し、別個のホルダー又はライナーなどの別個の操作部分を必要としない吸収性製品を指す。
【0013】
本明細書で使用される時、用語「不織布ウェブ」は、インターレイ(interlaid)された個々の繊維又は糸の構造を有するが、規則的な反復繰り返し性のないウェブを指す。不織布ウェブは、これまで、例えばエアレイイング法、メルトブロー法、スパンボンド法、及び接着カードウェブ法を含むカーディング法などの様々な方法によって形成されてきた。
【0014】
本明細書で使用される時、用語「極細繊維」は、約100ミクロン以下の平均直径を有し、長さ対直径の比率が約10を超える小径繊維を指す。不織布ウェブを構成する繊維の直径が、繊維全体の柔軟性と快適性に影響を与え、一般にデニールの低い繊維であるほど、デニールの高い繊維よりも柔軟性と快適性を備えた製品を提供することを、当該技術分野の技術者であれば理解するであろう。本発明の繊維において、適切な柔軟性と快適性を得るためには、直径は約5〜50ミクロンの範囲であるのが好ましく、より好ましくは直径約5〜35ミクロン、さらにより好ましくは直径約15〜30ミクロンである。繊維の直径は、例えば10μmの目盛りで較正された光学顕微鏡を用いて測定することができる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「メルトブロー繊維」は、溶融された熱可塑性材料を、微細で通常は円形の複数個の金型毛管を通して、溶融された糸又はフィラメントとして、高速ガス(例えば空気)流中へ押し出し、このガス流が、溶融された熱可塑性材料のフィラメントを減衰させて、その直径を、一般に直径1〜10ミクロン、しかしより好ましくは直径2〜3ミクロンに縮小することにより形成される繊維を指す。その後、高速ガス流によってメルトブロー繊維を運び、集積表面上に沈着させ、無作為に分散したメルトブロー繊維のウェブが形成される。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「スパンボンド繊維」は、微細で通常は円形の複数個の紡糸口金の毛管から、溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し後、押し出されたフィラメントの直径を延伸により急激に縮小させることにより形成される小径繊維を指す。スパンボンド不織布ウェブは、例えば、溶融ポリマーが連続的なフィラメントに押し出され、続いて高速流体により急冷、減衰され、集積表面上に無作為な配置で集積されるという、従来のスパンボンド法により製造されてもよい。フィラメント集積後、凝集性ウェブ構築が生じるよう、いかなる熱的、化学的、若しくは機械的接着処置、又はこれらのいかなる組み合わせもが、接着ウェブを形成するのに使用されてもよい。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「短繊維」は、微細で通常は円形の複数の紡糸口金の毛管から、溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し後、押し出されたフィラメントの直径を、一般には従来のゴデット巻取装置を用いて延伸により急激に縮小させることによって形成される小径繊維を指す。不連続な長さに繊維を切断するのに先立ち、押出後延伸することにより、繊維直径をさらに縮小させることができる。また繊維は、仕上げ剤を塗布されてもよく、又は例えばカーディング法に役立つよう捲縮されてもよい。短繊維は、例えばカーディング、エアレイド又は湿式方法を用いて不織布を製造するのに使用されてもよい。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「溶融紡糸」は、短繊維又はスパンボンド繊維を製造するプロセスを指す。さらに、両方の態様を包含するハイブリッドプロセスも、この定義に収まる。例えば、金型出口近くの高速空気と、繊維集積点近くの空気抵抗装置との両方により減衰された、押出成形フィラメントである。
【0019】
連続繊維、短繊維、中空繊維、多角断面繊維のような成形繊維、並びに単一成分繊維及び多成分繊維は全て、本発明の方法を用いて製造できる。本明細書で用いる時、構成成分(成分)とは、繊維の別の部分と空間的関係を有する繊維の個々の部分として定義される。多成分繊維、一般に二成分繊維は、並列型、鞘部−芯部型、セグメントパイ(segmented pie)、リボン型、又は海島型の形状であってもよい。鞘部は芯部の周囲で連続でも非連続でもよい。本発明の繊維は、円、楕円、星形、方形、及びその他の種々の偏心を含む異なる幾何学的形状を有してもよい。また本発明の繊維は、スプリット繊維であってもよい。スプリットはポリマーのレオロジー的な差によって生じてもよいし、又は機械的手段及び/若しくは流体が誘発する変形によって生じてもよい。本明細書で使用する時、円以外の横断面を有する繊維の直径は、同じ横断面積を有する円の等価直径である。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「伸張性のある」は、伸張力をかけると、ピーク荷重において、少なくとも一方向で少なくとも約80%の、好ましくは少なくとも約100%の、より好ましくは少なくとも約125%の、及び最も好ましくは約150%を超える平均ひずみを有する任意の不織布を指す。本明細書に記載されたピーク荷重におけるひずみは、不織布の引張り試験法に関する項に概説される方法により決定される。また伸長性のあるという用語も、不織布ウェブの伸張性を表すのに使用されてもよい。伸張率は、多成分の不織布ウェブのピーク荷重における平均ひずみを、最低のメルトフローレートの構成成分でできた不織布ウェブのピーク荷重における平均ひずみで割った値である。不織布ウェブは、同一処理量で製造され、同一坪量を有し、繊維は同一直径を有するであろう。伸張率は少なくとも1を超え、好ましくは1.2を超え、より好ましくは1.5を超える。時として、伸張率は2を超えるであろう。
【0021】
本明細書で使用する時、用語「圧密」又は「圧密された」とは、不織布ウェブの繊維の少なくとも一部をより近くに近接させて、1つ又は複数の部位を形成することを指し、この部位は例えば摩耗及び引張り力などの外力に対する不織布の抵抗を、圧密されていないウェブに比べて増加させるように機能する。「圧密された」とは、繊維の少なくとも一部がより近くに近接するように、点熱接着などにより加工された不織布ウェブ全体に言及することができる。このようなウェブは、「圧密ウェブ」とみなすことができる。別の観念では、個々の熱接着部位などの、近接させた繊維の特定の別個の区域を「圧密された」と表現することができる。
【0022】
圧密は、熱スポット(すなわち点)接着のような、熱及び/又は圧力を繊維ウェブにかける方法により、達成できる。点熱接着は、ハンセン(Hansen)らに対し発行された米国特許第3,855,046号(特許文献1)に記載されるように、繊維ウェブを2つのロール(ロールの1つは加熱され、複数の隆起点をその表面に含む)で形成された圧力ニップに通すことにより達成できる。圧密法としては、超音波接着、空気通過接着、樹脂接着、及び水流交絡を挙げることができるが、これらに限定されない。一般に水流交絡は、繊維ウェブを高圧水噴流で処理して、圧密を望む区域内での機械的な繊維絡み合い(摩擦)によりウェブを圧密することを伴い、繊維絡み合い領域内に部位を形成する。カルワイツ(Kalwaites)へ発行された米国特許第4,021,284号(特許文献2)、及びコントレーター(Contrator)らへ発行された同第4,024,612号(特許文献3)にて教示されるように、繊維は水流交絡されることができる。
【0023】
本明細書で使用する時、用語「ポリマー組成物」とは、2以上のポリマーのブレンドを表す。一般にポリマー組成物としては、ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーのようなコポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び修飾物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー組成物は、材料の可能なあらゆる幾何学的配置を含むものとする。これらの配置としては、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明で使用するのに適した熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンコポリマー、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族エステル重縮合物、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な熱可塑性ポリマーとしては、PHA、PLA、デンプン組成物のような生分解性ポリマー及び米国特許公開公報2002/0188041−A1(特許文献4)に記載された他の生分解性ポリマーが挙げられる。他の好適なポリマー組成物は、米国特許第6,476,135号(特許文献5)におけるオレフィンポリマー組成物の解説に記載されている。ポリマーは、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリアミド、並びにポリ(ブチレンサクシネート)及びポリ(ブチレンサクシネートアジペート)のような脂肪族含有ポリエステルを含む。さらなる脂肪族含有ポリエステルとしては、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(エチレンサクシネートアジペート)、脂肪族ポリエステル系ポリウレタン、アジピン酸、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールのコポリエステル、ポリエステルアミド、これらの組み合わせ及びコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なポリマーとしては、低密度又は超低密度(ρ<0.9g/cc)のポリエチレン樹脂、及びエチレンプロピレンエラストマー含有樹脂が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する時、用語「ポリプロピレン組成物」とは、ポリプロピレンを含むいかなるポリマー組成物をも含む通常の商業的意味にて使用される。さらに、本明細書で使用する時、用語「ポリプロピレン組成物」には、一般にプロピレンのホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーのようなプロピレンのコポリマー、ターポリマー等、並びにこれらのブレンド及び修飾物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリプロピレン組成物」は、材料のあらゆる可能な幾何学的配置を含むものとする。これらの配置としては、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用するのに適したポリプロピレンの例としては、アイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレンホモポリマー、並びにプロピレンと、エチレン及び/又はブテンとのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリプロピレン組成物は、メルトフローレートのより高いポリプロピレンとメルトフローレートのより低いポリプロピレンのような、2つの異なるポリプロピレン材料がブレンドされた組成物であってもよい。当該技術分野の技術者は、エチレン若しくはブテンのようなコモノマーの導入、又は立体規則性の変化が、一般にポリプロピレン組成物の溶融温度の低下をもたらすであろうことを認識するであろう。溶融温度が低くなり過ぎると、得られる繊維の特性が、本発明の一部の製品にて使用するのに適さなくなる場合がある。例えば、温度が80℃超に近づき得る夏の倉庫に保管された材料は、その溶融温度が約80℃未満であれば、製品の寸法安定性が損なわれ得る。本発明で使用するためには、ポリプロピレン組成物の溶融温度は、約100℃を超えることが好ましく、約120℃を超えることがより好ましく、約140℃を超えることがさらにより好ましい。本明細書に記載される溶融温度は、DSCにより決定され、ASTM D 3418(本明細書に参考として組み込まれる)に概説される方法を用いて、DSC加熱走査において観察される最高吸熱ピーク温度として解釈される。
【0026】
本発明のポリマー及びポリプロピレンは、所望により追加成分を含んでもよい。好適な追加成分としては、一般的に繊維製造、不織布加工、ポリマー組成及びポリマー形成に使用されるものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーブレンドの場合、望ましい追加成分は、ポリマーブレンド及びポリマー組成物の他の構成成分とともに、固溶体及び/又は均質混合物を形成するものである。
【0027】
1つの態様では、追加成分は造核剤、粘着防止剤、静電気防止剤、別のポリマー、熱促進安定剤、柔軟化剤、潤滑剤、界面活性剤、湿潤剤、可塑剤、光安定剤、耐候安定剤、溶接強度向上剤、スリップ剤、染料、酸化防止剤、難燃剤、酸化促進添加剤、天然油、合成油、ブロッキング防止剤、充填剤、摩擦係数変性剤、保湿剤、及びこれらの組み合わせのような群から選択される。さらに、繊維のいかなるコーティング剤又は表面処理剤も、加工中又は繊維形成後に添加してもよい。
【0028】
ポリマー組成物又はポリプロピレン組成物において、追加成分は、結果を得るのに有効な量が含まれ、追加成分は、結果を得るためにポリマー混合物中に存在する。例えば、紫外線安定剤は安定化する量、潤滑剤は潤滑する量である。皮膚コンディショニング剤には、皮膚に効果を生じる量の薬剤が望まれるであろう。一般的に、追加成分は、組成物の約0.1%〜約5%である。これらの追加成分は、従来の量で使用することができるが、柔軟性と伸張性との有利な組み合わせを得るためには、通常、組成物中に該成分は必要とされない。
【0029】
第一ポリプロピレン構成成分は、メルトフローレートの高いポリプロピレンを含む。また第一ポリプロピレン構成成分は、メルトフローレートの低いポリプロピレンを含んでもよい。メルトフローレートの高いポリプロピレンは、約100〜約1000g/10分、好ましくは約100〜約800g/10分、及びより好ましくは約100〜約600g/10分の範囲のメルトフローレートを有するであろう。メルトフローレートの低いポリプロピレンは、約10〜約80g/10分、及び好ましくは約15〜約70g/10分の範囲のメルトフローレートを有するであろう。第一ポリプロピレン構成成分のブレンドは、約100〜約2000g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよい。第一ポリプロピレン構成成分のブレンドのメルトフローレートは、約100〜約1000g/10分、及びより好ましくは約100〜約600g/10分であろう。本明細書にて記載されるメルトフローレートは、ASTM D 1238(条件L;230/2.16)に概説された方法に従って決定され、これは本明細書に参考として組み込まれる。
【0030】
上述の範囲のメルトフローレートを有する第一ポリプロピレン構成成分が、メルトブロー法において一般に使用されることを、当該技術分野の技術者は認識するであろう。しかし、意外なことに、メルトフローレートがより低い第二構成成分と組み合わせたこのような樹脂は、例えばスパンボンド繊維を作るために溶融紡糸プロセスでも使用できることが発見された。さらに、意外なことに、得られたウェブは、ポリプロピレンスパンボンド樹脂のメルトフローレートが一般に約25〜60g/10分であるという、同様な小さい繊維直径において、一般的なポリプロピレンスパンボンドグレード樹脂を用いて作られたウェブよりも、より高い伸びを有することが発見された。
【0031】
理論に束縛されることを意図しないが、メルトフローレートの高いポリマーとメルトフローレートの低いポリマーとの組み合わせは、メルトフローレートの低いポリマー構成成分が不織布ウェブの接着及び強度を向上させると同時に、メルトフローレートの高いポリマー構成成分が伸張性を向上させるので、望ましいと考えられている。
【0032】
一般に、本発明の繊維は低デニールであり、このことは非常に柔軟で、伸張性があり、均一性の高い不織布ウェブを製造するのに役立つ。この組み合わせの特性を有する不織布ウェブは、伸張性と柔軟性が物品の快適性や全体的な性能に役立ち得る物品の一部に使用できるので、おむつ、失禁用パンツ、成人用失禁製品、軽失禁製品、トレーニングパンツ、女性用衛生衣類、拭き取り用品などの使い捨て吸収性物品に使用するのに特に適している。本発明の不織布ウェブの好ましい適用としては、婦人衛生パッド、おむつ及び/若しくは成人用失禁製品のトップシート、おむつ用伸縮性構成要素(耳若しくはタブなど)、並びに床若しくはカウンターのような硬質表面の洗浄用拭き取り用品、又は皮膚の洗浄用拭き取り用品(顔若しくは身体の洗浄用拭き取り製品、又は乳児用拭き取り用品など)が挙げられる。
【0033】
本発明の不織布ウェブには、おむつのような使い捨て吸収性物品の構成要素として有益な用途を見出すことができるが、その用途は使い捨て吸収性物品に限定されない。拭き取り用品、磨き布、床清掃用拭き取り用品、家具の内張り、耐久性のある衣類などのような、柔軟性及び伸張性を必要とする、又は柔軟性及び伸張性の恩恵を受けるいかなる用途においても、本発明の不織布ウェブを使用することができる。顔洗浄用布、身体及びパーソナルクレンジング用布及び/又はハンドミット、並びに他の美容又はパーソナルクレンジング用途のような多くの異なる拭き取り用品が望ましい場合もある。
【0034】
もし不織布(nonowoven)ウェブのさらなる伸張性又は活性化が望まれるならば、後加工処理(post processing treatment)が望ましい場合もある。機械的な後加工処理及び化学的な後加工処理の両方が適する場合もある。考えられる機械的な後加工処理としては、延伸、幅出し(tentoring)、並びに米国特許公開公報2004/0131,820(特許文献6)及び同2003/028,165(特許文献7)、PCT国際公開特許WO04/059,061(特許文献8)、同WO04/058,214(特許文献9)、並びに米国特許第5,518,801号(特許文献10)及び同第5,650,214号(特許文献11)に見られる他の処置が挙げられる。本発明の不織布のような、高伸張が可能である不織布は、機械的後処理の使用を円滑にする。
【0035】
また、伸張性があり柔軟な本発明の不織布は、積層体の形態であってもよい。積層体は、当該技術分野の当業者に既知の任意の数の接着方法で組み合わされてもよく、熱接着、接着剤結合(スプレー接着剤、ホットメルト接着剤及びラテックス系接着剤などを含むが、これらに限定されない)、音波及び超音波接着、押し出し積層(ポリマーを別の不織布の上に直接注ぎ、まだ部分的に溶融状態の間に不織布の片面に接着させる、又はメルトブロー繊維不織布を直接不織布上に堆積させる)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの及び他の好適な積層体の製造方法は、米国特許第6,013,151号(ウー(Wu)ら)(特許文献12)、及び米国特許第5,932,497号(モーマン(Morman)ら)(特許文献13)に記載されている。不織布ウェブの1つの使用法は、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド(SMS)積層体のスパンボンド層である。あるいは、不織布ウェブはメルトブロー層としても使用できる。
【実施例】
【0036】
次の実施例において、本発明の製品及び方法についてさらに実証する。
【0037】
実験手順
繊維分析
繊維サンプルの取り付け:試験される各サンプルについて、10〜12本の繊維を準備した。繊維は無作為に選択し、束から分ける。その後、該繊維を長方形の紙枠にテープで固定し、テープ及び繊維の末端部を確実に枠の裏側まで巻きつける。決して繊維を伸ばしたり又は変形させたりしないよう注意する。
【0038】
直径測定:取り付けた繊維を、カラービデオカメラ及びディスプレーモニターを装備したツァイス・アクシオスコープ顕微鏡(Zeiss Axioskope microscope)にて観察する。40倍の対物レンズ及び1倍の接眼レンズで繊維に焦点を合わせ、モニター上で一組のキャリパーにて、繊維の直径をインチで測定する。顕微鏡は、グラチキュール社(Graticules LTD)により製造された、100分の1に分割された1mmスケールを使用して、この倍率に較正する。
【0039】
引張り試験:取り付けた繊維について、較正された10ニュートンロードセル及びテストワークス4ソフトウェアバージョン4.04を装備したMTSシナジー400(MTS Synergie 400)材料試験装置にて、引張り試験を行う。繊維は、試験ゲージ長が2.54cm(1インチ)及びクロスヘッド速度が5.08cm/分(2インチ/分)のASTM D3822に従って試験する。取り付けた繊維を、試験装置グリップ内に装着する。紙が試験を妨げないよう、紙枠を繊維の両端で切り取る。10本の繊維の平均を試験し、破断時の平均ひずみを伸張性の基準として使用する。
【0040】
不織手抄きシート(nonwoven handsheet)の製造及び引張り試験
不織手抄きシートの製造:以下の手順を使用して、ポリオレフィン組成物を不織手抄きシートサンプルに加工する:
初めに、純材料又は複合材料を、2つの押出成形機システムを用いて、繊維(単一成分又は二成分)に溶融紡糸する(ここで各押出成形機は、水平型シングルスクリュー押出成形機(horizontal single-screw extruder)である)。各押出成形機からスピンパックへの押出速度は、4穴スピンパック(ヒルズ社(Hills Incorporated)、フロリダ州ウェストメルボルン)に送り込む計量溶融ポンプ(metering melt pump)により制御される。全ての実施例において、スピンパックは、丸穴には紡糸口金、及び鞘部−芯部横断面には分配プレート(distribution plates)が取り付けられる。単一成分繊維の場合、約50:50の鞘部:芯部比には、両押出成形機で同じ樹脂が使用される。押出成形機/溶解ポンプ/スピンパックシステムは、高さ調節可能な台に取り付けられる。紡糸線長は、約177.8cm(約70インチ)の一定距離に維持され、質量処理量は約0.4g/分/穴、及び溶融押出成形温度は約230℃に維持される。溶融フィラメントは、紡糸口金から出て、スピンパックの真下に位置する冷却キャビネットに入り、フィラメントを取り囲んで引張る空気流を高圧圧縮空気を用いて生み出す高さ調節可能な空気抵抗装置にて延伸される。集積された繊維直径が約20〜25ミクロンになるように空気圧を調節する。
【0041】
繊維は、固定穿孔金属スクリーン(穴0.64cm(0.25インチ)、中心間隔1.14cm(0.45インチ))上に集積され、繊維集積パターンは、引張り試験に適切に均一である内部12.7cm(5インチ)ほどの事実上円形であり、内部区域内に平均坪量約30〜45g/平方メートルが得られるよう十分な集積時間が使用される。その後、集積された繊維サンプルは超音波により接着され、不織手抄きシートが作られるが、不織布の超音波接着については、マオ(Mao)及びゴスワミ(Goswami)により、国際不織布ジャーナル(International Nonwovens Journal)、第10巻、No.2、38〜47頁、及びNo.3、17〜28頁(非特許文献1)に記載されている。マッキンテック社(Machintek Corporation)(オハイオ州フェアフィールド)により製造された超音波接着システムが、接着に使用される。このシステムは、モデル109−121−392方形スロットホーン(slotted horn)と変換台(translation stage)とを備えるブランソン超音波社(Branson Ultrasonics Corporation)(コネチカット州ダンベリー)モデル921AE作動装置を組み込んでおり、繊維サンプル全体にわたって一定の接着時間を可能にする。接着領域が約20%であり、ねじれ型列配置(staggered row configuration)に並んだ長さ約1.2mm×幅0.7mmの接着点を有する接着プレートを用いて、作動装置振幅設定が50%、ホーン圧が約275.8kPa(40ポンド/平方インチ)、及び変換速度が約4m/分で良好な接着が見出された。接着に先立ち、厚さ0.025cm(0.010インチ)の繊維強化テフロンのシートが、繊維サンプルとホーンとの間に設置される。
【0042】
不織手抄きシートの引張り試験:JDC精密サンプルカッター(JDC Precision Sample Cutter)(スウィング−アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)、ペンシルベニア州フィラデルフィア)を使用して、手抄きシートの中心を横断する幅2.54cm(1インチ)のストリップをまず切断(この切断の方向は、接着点の短い寸法に平行である)することにより、各不織手抄きシートについて1つの引張り試験ストリップを準備する。その後、サンプルストリップの中心が手抄きシートのほぼ中心になることを確認して、サンプルストリップを長さ約10.16cm(約4インチ)に切り取る。
【0043】
各サンプルストリップは、例えばMTSシンテク・レニュー・アップグレード・パッケージ(MTS Sintech ReNew Upgrade Package)で変更され、222N(50ポンド)のロードセル、幅2.54cm(1インチ)の鋸歯状グリップフェイス(serrated grip faces)、及びテストワークスソフトウェア(Testworks Software)バージョン3.1を備えたインストロン(Instron)1122、又は100ニュートンのロードセル、幅2.54cm(1インチ)のゴム製グリップフェイス、及びテストワークスソフトウェアバージョン4.07(インストロン社(Instron Corporation)、マサチューセッツ州カントン;MTSシステムズ社(MTS Systems Corporation)、ミネソタ州イーデンプレーリー)を備えたMTSシナジー400試験台(MTS Synergie 400 test stand)などの試験機にて引張り試験される。サンプルストリップは、ゲージ長5.08cm(2インチ)及びクロスヘッド速度5.08cm(2インチ)/分で試験される。5つの不織布ストリップの平均が試験され、ピーク荷重での平均ひずみが伸張性の基準として使用される。実施例では、伸張率は、二成分手抄きシート又は不織布のピーク荷重での平均ひずみを、芯部構成成分で作られた手抄きシート又は不織布のピーク荷重での平均ひずみで割った値である。
【0044】
スパンボンド不織布ウェブの製造及び引張り試験
スパンボンド不織布ウェブの製造:ポリオレフィン組成物は、スロットジェット減衰システム(slot jet attenuation system)及び熱カレンダー(calendar)接着システムを備えた、試験的規模のスパンボンド不織布ラインにて、スパンボンド不織布ウェブに加工される。ウェブは、質量処理量0.3g/分/穴にて製造され、約25g/平方メートルの坪量を得るようにライン速度を調節する。
【0045】
スパンボンド不織布ウェブの引張り試験:JDC精密サンプルカッター(JDC Precision Sample Cutter)(スウィング−アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)、ペンシルベニア州フィラデルフィア)を使用して、幅2.54cm(1インチ)のストリップを関与の方向にまず切断することにより、各不織布ウェブについて1つの引張り試験ストリップを準備する。その後、サンプルストリップを長さ約17.78cm(約7インチ)に切り取る。
【0046】
各サンプルストリップは、例えばMTSシンテク・レニュー・アップグレード・パッケージ(MTS Sintech ReNew Upgrade Package)で変更され、222N(50ポンド)のロードセル、幅2.54cm(1インチ)の鋸状グリップフェイス(serrated grip faces)、及びテストワークスソフトウェア(Testworks Software)バージョン3.1を備えたインストロン(Instron)1122、又は100ニュートンのロードセル、幅2.54cm(1インチ)のゴム製グリップフェイス、及びテストワークスソフトウェアバージョン4.07(インストロン社(Instron Corporation)、マサチューセッツ州カントン;MTSシステムズ社(MTS Systems Corporation)、ミネソタ州イーデンプレーリー)を備えたMTSシナジー400試験台(MTS Synergie 400 test stand)などの試験機にて引張り試験される。サンプルストリップは、ゲージ長12.7cm(5インチ)及びクロスヘッド速度12.7cm/分(5インチ/分)で試験される。10の不織布ストリップの平均が試験され、ピーク荷重での平均ひずみが伸張性の基準として使用される。実施例では、伸張率は、二成分繊維不織布ウェブのピーク荷重での平均ひずみを、芯部構成成分で作られた不織布ウェブのピーク荷重での平均ひずみで割った値である。
【0047】
比較実施例1:この比較実施例は、従来のスパンボンドグレードポリプロピレンの溶融紡糸がもたらす特性を例示している。具体的には、メルトフローレートが35g/10分であるポリプロピレン樹脂(プロファックス(ProFax)PH835、バセル・ポリオレフィンズ社(Basell Polyolefins Company)、デラウェア州ウィルミントン)を紡績及び接着し、不織手抄きシートにする。表1に、これらの手抄きシートのピーク荷重での平均ひずみを示す。
【0048】
比較実施例2:この比較実施例は、メルトフローレートの高いポリプロピレンの溶融紡糸がもたらす特性を例示している。具体的には、メルトフローレートが400g/10分であるポリプロピレン樹脂(ヴァルテック(Valtec)HH441、バセル・ポリオレフィンズ社(Basell Polyolefins Company)、デラウェア州ウィルミントン)を紡績及び接着し、不織手抄きシートにする。表1に、これらの手抄きシートのピーク荷重での平均ひずみを示す。
【0049】
実施例1:この実施例は、従来のスパンボンドグレードポリプロピレン芯部、及びメルトフローレートの高いポリプロピレン(polypropyene)鞘部を有する、鞘部/芯部二成分繊維の溶融紡糸がもたらす相乗特性を例示している。具体的には、比較実施例1の従来のスパンボンドグレードポリプロピレンを芯部に、及び比較実施例2のメルトフローレートの高いポリプロピレンを鞘部にして、鞘部:芯部の重量比を20:80、40:60、60:40、80:20及び90:10として紡績及び接着し、不織手抄きシートにする。表1は、鞘部/芯部繊維で作られた手抄きシートのピーク荷重での平均ひずみが、個々の構成成分のどちらの平均ひずみよりも高いことを示し、相乗的伸長作用を示唆している。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例2:この実施例は、従来のスパンボンドグレードポリプロピレン芯部、及びメルトフローレートの高いポリオレフィンブレンドの鞘部を有する、鞘部/芯部二成分繊維の溶融紡糸がもたらす特性を例示している。具体的には、比較実施例1の従来のスパンボンドグレードポリプロピレンを芯部に、及び比較実施例2のポリプロピレンとメルトフローレートが25g/10分の柔軟なポリオレフィン樹脂(アドフレックス(Adflex)Z104S、バセル・ポリオレフィン社(Basell Polyolefins Company)、デラウェア州ウィルミントン)の重量で80:20のブレンドを鞘部にして、鞘部:芯部の重量比を20:80、40:60、60:40、80:20及び90:10として紡績及び接着し、不織手抄きシートにする。紡績前に、鞘部ブレンドをツインスクリュー(twin-screw)押出成形機内で予備複合させる。表2に、これらの手抄きシートのピーク荷重での平均ひずみを示す。
【0052】
【表2】

【0053】
比較実施例3:これらの比較実施例は、従来のスパンボンドグレードポリプロピレンからの繊維の溶融紡糸がもたらす単繊維特性を例示している。具体的には、メルトフローレートが35g/10分のポリプロピレン樹脂(プロファックス(ProFax)PH835、バセル・ポリオレフィンズ社(Basell Polyolefins Company)、デラウェア州ウィルミントン)を、質量処理量0.3g/穴/分で試験的規模のスパンボンド不織布ラインにおいて紡績する。単繊維の特性評価をするため、非接着繊維束が集積される。表3に、得られた繊維の直径及び引張り特性を示す。
【0054】
実施例3:この実施例は、従来のスパンボンドグレードポリプロピレン芯部、及びメルトフローレートの高いポリオレフィンブレンドの鞘部を有する、鞘部/芯部二成分繊維の溶融紡糸がもたらす単繊維特性を例示している。溶融紡糸繊維は、質量処理量0.3g/穴/分で試験的規模のスパンボンド不織布ラインにおいて調製される。鞘部対芯部の重量比は60:40である。比較実施例3の従来のスパンボンドグレードポリプロピレンを、芯部材料として使用する。鞘部は、100%のヴァルテック(Valtec)HH441(バセル(Basell)から入手可能な400MFRポリプロピレン樹脂)である。単繊維の特性評価をするため、非接着繊維束が集積される。表3に、得られた繊維の直径及び引張り特性を示す。同様の直径で、本発明の繊維は、35MFRポリプロピレン樹脂単独で調製された繊維よりも高い伸長を示す。
【0055】
【表3】

【0056】
比較実施例4:比較実施例C3に記載されている配合及び質量処理量を使用して、熱接着スパンボンド不織布ウェブが調製される。記録されたデータは、ピークでの横断方向の最高伸長を作り出す条件により定義された、最適接着温度でのものである。坪量、繊維直径、及び得られた布地特性を表4に記載する。
【0057】
実施例4:実施例3に記載されている配合及び質量処理量を使用して、熱接着スパンボンド不織布ウェブが調製される。記録されたデータは、ピークでの横断方向の最高伸長を作り出す条件により定義された、最適接着温度でのものである。坪量、繊維直径、及び得られた布地特性を表4に記載する。本発明の繊維(4)から調製された不織布は、標準ポリプロピレン対照(C4)よりも高い伸長を示す。
【0058】
【表4】

【0059】
すべての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行されたあらゆる特許、並びに対応する発行されたあらゆる外国特許出願)、並びに本明細書の全範囲にわたって言及された刊行物の開示内容は、参照として本明細書に組み込まれる。但し、本明細書に参考として組み込まれるいかなる文献も本発明を教示又は開示するとは、明確に認めていない。
【0060】
本発明の特定の実施形態を例示且つ記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当該技術分野の技術者には明らかであろう。本発明の範囲内におけるこのようなすべての変更及び修正は、添付の請求項で扱われるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも伸長度80%を有し、直径5〜50ミクロンの範囲を有する多成分繊維を含み、
a.100〜2000g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンを含む第一構成成分、及び
b.ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン混合物、及びポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーからなる群から選択されるポリマーであって、10〜80g/10分のメルトフローレートを有するポリマーを含む第二構成成分
を含む多成分繊維を含む不織布ウェブであり、
前記第二構成成分が前記第一構成成分から空間的に離れた形状を有し、前記空間的に離れた形状は、並列型、鞘部−芯部型、セグメントパイ、リボン型、又は海島型の形状から選択され、前記第一構成成分が多成分繊維表面の少なくとも50%含まれることを特徴とする不織布ウェブ。
【請求項2】
請求項1に記載の不織布ウェブを含むことを特徴とする使い捨て物品。
【請求項3】
前記ウェブが、婦人衛生パッド、おむつ、及び/又は成人用失禁製品のトップシート(top sheet)、おむつ用伸縮性耳部、硬質表面又は皮膚の清掃用拭き取り用品並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される物品であることを特徴とする請求項1に記載の不織布ウェブ。
【請求項4】
a.100〜2000g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンを含む第一構成成分、及び
b.ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン混合物、及びポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーからなる群から選択されるポリマーであって、10〜80g/10分のメルトフローレートを有するポリマーを含む第二構成成分
を含む、直径5〜50ミクロンの範囲を有する多成分繊維であって、
前記第二構成成分が前記第一構成成分から空間的に離れた形状を有し、前記空間的に離れた形状は、並列型、鞘部−芯部型、セグメントパイ、リボン型、又は海島型の形状から選択され、前記第一構成成分が前記多成分繊維表面の少なくとも50%含まれる多成分繊維。

【公開番号】特開2011−99196(P2011−99196A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−7262(P2011−7262)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2006−551529(P2006−551529)の分割
【原出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】