説明

メンテナンス装置

【課題】従来、メンテナンス装置−接続先装置(メンテナンス対象の電子機器)間で設定等を行っているときは、電子機器−メンテナンス装置間で通信ログを取得していた。しかし、この通信ログは、通信データ構造や各コマンドのフォーマットを理解している保守員でないと、ログの内容からユーザ操作を確認することが困難であった。
【解決手段】電子機器−メンテナンス装置間の通信ログとは別に、画面表示ログとしてのメンテナンスツール画面の表示内容が変化した時に、画面表示内容および時刻情報を出力し、その画面表示変化ログをメンテナンス装置から出力する若しくは表示部に画面表示することで、調整時の画面を再現する。この結果、調整時の画面変化を再現でき、異常要因の確認が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置設置時にユーザによる各種設定が必要な電子機器のメンテナンス装置に関わり、特に無線増幅装置などの各種パラメータ値の設定を行う必要がある機器の調整を行うメンテナンス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メンテナンスツールは、PC(Personal Computer)等のメンテナンス装置上で実行される。メンテナンスツールをソフトウエアとして内蔵したメンテナンス装置は、メンテナンス対象の電子機器と接続し、接続された電子機器との間の通信ログを保存している。このため、メンテナンス装置は、ログの内容を解析することによりユーザの操作内容を確認することが可能となっている。例えば、特許文献1のように、電子機器の運用時等で、電子機器の異常動作や不具合などが発生した場合には、ユーザは、このログの内容を解析することで、要因の調査を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−258744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、以下の(1)〜(6)等の理由により可読性が低いものが多く、ユーザが、ログの内容から操作(接続装置に対する制御内容)を確認することが難しい。
(1)装置⇔メンテナンスツール間の通信データをそのまま出力していることが多く、通信データ構造および各コマンドのフォーマットを理解していないと、内容の把握ができない。
(2)1つのユーザ制御に対して複数のメッセージが送受信される。
(3)監視制御内容が複雑化しており、出力されるログの件数が膨大になっている。
(4)メンテナンスツールが複数の画面により構成されている場合、ユ一ザが操作していた画面を判断するのが難しい。
(5)定期的に実行されている装置状態の取得とユーザ操作による装置制御が同タイミングで実施されている場合など、複数種類のログが混在する。
(6)メンテナンスツールの画面上に表示されているユーザが入力した値ではなく、装置⇔メンテナンスツール間通信用に変換された値が出力されているため。画面上の値に戻るうに逆変換を行う必要がある。
【0005】
このように、メンテナンスツールを使用した調整時には、装置異常動作または不具合が発生した場合には、操作したユーザに操作内容を確認する。しかし、人の記憶に頼るため、報告されてきた内容が実際の操作と異なっていたり、設定値が異なっていたりといった現象が発生することがある。
また、通信ログの解析に時間がかかるため、取得した全ログを解析することが難しい。さらに、ユーザからの申告による不具合発生時刻付近のログを優先的に解析する必要があり、異常要因が不具合発生時刻から離れていた場合、要因究明までの時間がかかってしまう。
本発明の目的は、上記の問題に鑑みて、メンテナンス装置のメンテナンスツール実行時の動作(表示や設定)を再現させ、ユーザ操作内容を、簡単、迅速、かつ、明確に再現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のメンテナンス装置は、電子機器と接続し、当該電子機器と通信し、当該電子機器のメンテナンス調整を行うメンテナンス装置において、少なくとも、装置全体を制御するCPUと、前記電子機器のメンテナンス調整の最中に前記電子機器の運用状態を画面表示する表示部と、当該表示部に表示された画面表示をその時刻情報と共に1つの画面表示ログファイルとして記憶する記憶部とで構成され、前記CPUは、前記画面表示ログファイルを読み出して、前記電子機器の前記ンテナンス調整の最中に前記表示部に表示された画面を前記表示部に再現するものである。
上記本発明のメンテナンス装置において、前記電子機器の前記ンテナンス調整の最中に前記表示部に表示された前記画面を、その時刻情報に応じて再現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ログによるユーザ操作内容の再現は実時間ペースで行われるため、ログ再現時間の早送り、一時休止、巻き戻しに対応することにより、解析時間の短縮を目的とする。この結果、メンテナンス装置のメンテナンスツール実行時の動作(表示や設定)を再現させることができるため、ユーザ操作内容を、簡単、迅速、かつ、明確に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のメンテナンス装置と電子機器の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のメンテナンス装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のメンテナンス装置の通常使用時における動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明のメンテナンス装置において、取得済みのログフフイルからユーザ操作内容を再現する場合の動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、電子機器−メンテナンス装置間の通信ログとは別に、画面表示ログとしてのメンテナンス装置の画面の表示内容が変化した時に、画面表示内容および時刻情報を出力し、その画面表示ログをメンテナンス装置から出力する若しくは表示部に画面表示し、その画面表示変化内容を表示することで、調整時の画面を再現する。この結果、調整時の画面変化を再現でき、異常要因の確認を容易に可能とする。
【0010】
以下に本発明の一実施形態を図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【0011】
図1と図2によって、本発明のメンテナンス装置とメンテナンス対象の電子機器との対応の一実施形態を説明する。図1は、本発明のメンテナンス装置と電子機器の一実施例の構成を示すブロック図である。101はメンテナンス装置、102〜104は電子機器、106は通信ケーブルである。図2は、本発明のメンテナンス装置の一実施例の構成を示すブロック図である。201は表示部、202は外部機器との入出力インタフェース(I/F)部、203はユーザがメンテナンス装置101を操作するためのキーボード、マウス等の入出力部、204はメンテナンス装置101を制御するCPU(Central Processing Unit)、205は記憶部、206はCPU1204の制御によりデータの解析等のワーク処理をする演算部、207は通信I/F部、208はメンテナンス装置101の内部機器間を接続するデータバスである。
【0012】
図1および図2において、メンテナンス装置101は、通信ケーブル106を経由して、電子機器102〜103、・・・に要求信号を出力する。要求信号を受信した電子機器102〜103は、それぞれ、通信ケーブル106を経由して、自電子機器の運用情報を、応答メッセージとしてメンテナンス装置101送信する。
メンテナンス装置101は、それぞれの電子機器102〜103、・・・からの応答メッセージを受信した時に、その応答メッセージの内容を受信日時を含めた通信ログとして記憶部205に記憶すると共に、入出力I/F部202を介して外部機器(例えば、プリンタ、等)に出力する。さらに、演算部206は受信した応答メッセージの内容を解析し、表示部201に表示すると共に、画面表示情報として記憶部205に記憶する。
例えば、メンテナンス装置101は、要求信号を、周知のポーリング方式で収集することも可能である。
【0013】
次に、図3によって、本発明のメンテナンス装置の通常使用時における、ログ出力、画面表示等の動作手順の一実施例を説明する。図3は、本発明のメンテナンス装置の通常使用時における動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
本動作は、CPU204が制御する。
【0014】
図3において、メンテナンス装置101が起動する(若しくは、PCのメンテナンス調整のソフトウエアプログラムが起動する)と、まず、ステップ301では、電子機器情報の取得を行うために、通信I/F部207と通信ケーブルとを介して、電子機器情報取得要求信号を対象の電子機器に送信する。要求を受信した電子機器は、自電子機器の運用情報を通信ケーブル106を介してメンテナンス装置101に送信する。
ステップ302では、電子機器からの運用情報を、通信ケーブル106と通信I/F部207を介して受信した応答メッセージを記憶部205に記憶すると共に、その応答メッセージの内容を、通信ログとして外部機器に出力する。
ステップ303では、その応答メッセージを演算部206で解析し、解析することにより得られたデータを表示部201の画面に表示し、かつ、画面表示情報として外部機器に出力する。
以下、電子機器103〜104、・・・に対して、ステップ301〜303の処理を、それぞれの電子機器からの応答メッセージを受信する都度実行する。
【0015】
さらに、ステップ304において、ユーザ制御(電子機器情報設定/更新)時には、ユーザがメンテナンス装置の入出力部203を操作して、いずれかの電子機器の設定のための入力を行う。
ステップ305では、ユーザが入力した値を、画面表示情報として表示部201に出力する。かつ、画面表示情報を時刻情報と共に記憶部205に記憶する。
ステップ306では、対象の電子機器に通信I/F部207と通信ケーブル106を介して送信したメッセージを通信ログとして入出力I/F部202を介して外部機器に出力すると共に、記憶部205に記憶する。
ステップ307では、対象の電子機器の電子機器情報の取得を行うための要求信号を通信I/F部207と通信ケーブル106を介して送信し、応答した電子機器102からの電子機器情報取得(接続装置からの応答メッセージ受信)する。電子機器102は、要求された信号の内容に応じて自電子機機器の運用情報を収集し、収集した情報を応答メッセージとして、通信ケーブル106を介してメンテナンス装置101に送信する。
ステップ308では、対象の電子機器からの設定応答を受信し、受信した応答メッセージを記憶部205に記憶すると共に、その応答メッセージの内容を通信ログとして、入出力I/F部202を介して外部機器に出力する。
ステップ309では、その応答メッセージの内容を演算部206が解析し、解析して得られたデータを表示部201に画面表示すると共に、画面表示情報として時刻情報と共に入出力I/F部202を介して外部機器に出力する。
【0016】
ステップ304〜307は、入出力部203を介してユーザからの操作がある都度実行される。また、記憶部205には、画像表示情報がその画面表示された時刻の情報と関連付けされて、1つの画面表示情報が1行のログ情報として構成されるログファイルに取得済みのログファイルとして記憶される。
【0017】
次に、図4によって、本発明のメンテナンス装置における取得済みのログフフイルからユーザ操作内容(ユーザ調整内容)を再現する場合の一実施例の動作について説明する。図4は、本発明のメンテナンス装置において、取得済みのログファイルからユーザ操作内容を再現する場合の動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
図4において、メンテナンス装置101が起動する(若しくは、PCのメンテナンスのソフトウエアプログラムが起動する)と、まず、ステップ401では、動作再現モードを設定する。
動作再現モードになると、ステップ402では、取得済みのログファイルの先頭行(1行)の情報の読み出しを実行する。
ステップ403では、読み出した情報を表示部201に画面表示する。
【0018】
ステップ404では、読み出した情報がログファイルの最終行であるか否かを判定する。読み出した情報がログファイルの最終行ではない(No)場合には、ステップ405に進み、最終行であった場合には、図4のフローチャートを終了する。
ステップ405では、取得済みのログファイルにおいて、読み出した行の次の行のログファイルの情報の読み出しを実行する。
ステップ406では、読み出したログファイルの情報内容から、ユーザ操作が実施された時刻情報を取得し、前回読み出したログファイルの時刻情報との差分時間分の待機を行う。この結果、画面表示が変化した時まで、前の画面が表示され、その後次の画面表示が再現されるため、メンテナンス調整時にの再現がさらに正確になり、要因解析がより容易となる。
差分時間経過後に、ステップ407では、今回読み出したログファイルの情報を表示部201に面面表示する。
上述のように、ログファイルが最終行になるまで、ステップ404〜405を実施し、最終行のログファイルを処理し終えた時点で図4の動作再現モードの実行を終了する。
【0019】
上述の実施例によれば、メンテナンス装置から、対象の電子機器を調整している最中に、表示部にリアルタイムで表示された画面を、その時刻情報と共に、1つの画面表示ログファイルとして記憶しておき、後で、その画面表示を、その画面表示時間に応じて若しくは、画面表示の変化に応じて再現することができる。このため、メンテナンス装置を使用した際のユーザ操作内容の把握を行うことが容易になり、装置の異常動作若しくは不具合の原因追及の効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0020】
101:メンテナンス装置、 102〜104:電子機器、 106:通信ケーブル、 201:表示部、 202:入出力I/F部、 203:入出力部、 204:CPU、 205:記憶部、 206:演算部、 207:通信I/F部、 208:データバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と接続し、当該電子機器と通信し、当該電子機器のメンテナンス調整を行うメンテナンス装置において、少なくとも、
装置全体を制御するCPUと、前記電子機器のメンテナンス調整の最中に前記電子機器の運用状態を画面表示する表示部と、当該表示部に表示された画面表示をその時刻情報と共に1つの画面表示ログファイルとして記憶する記憶部とで構成され、
前記CPUは、前記画面表示ログファイルを読み出して、前記電子機器の前記ンテナンス調整の最中に前記表示部に表示された画面を前記表示部に再現することを特徴とするメンテナンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−60427(P2012−60427A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201827(P2010−201827)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】