説明

モジュラー融合タンパク質発現産物を作製する方法

本発明は、モジュラーキメラタンパク質発現産物を作製する方法、および該方法において利用される組成物に関する。特に、本発明は、ポリペプチドモジュールをコードするポリヌクレオチドの連続的な方向性のクローニングに関する。各々のクローン化可能な要素またはモジュールは、所定の制限酵素部位が隣接する関心対象のオープンリーディングフレームを含む。本方法は、組換えDNA技術のための開始材料として、モジュールおよびこれらのモジュールを含むベクターを用いる段階を含む。本発明の一つの利点は、各々の次のクローニング段階を設計および評価する必要なく、融合タンパク質の多くの変形物を、迅速かつ容易に作製することを可能にすることである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、分子生物学的方法、および該方法を実施するための産物に関する。より具体的には、本発明は、モジュラータンパク質をコードする核酸をクローニングする方法であって、モジュールが所定の位置で連続的に付加されうる方法に関する。
【0002】
本出願は、出願番号第60/728,259号、第60/803,913号、第60/821,682号、第60/821,958号、第10/682,764号(US2004/0185556、PCT/US2004/013517、WO2005/040336)、第11/233,246号、およびUS20040572011P(WO2005116231)に関連する主題を有する。これらの特許および出願の各々は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景および先行技術
組換えDNA技術および核酸をクローニングする分子生物学的方法は、当技術分野において公知である。そのような方法は、制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ヌクレオチド/ヌクレオシドキナーゼ、およびホスファターゼ、ポリメラーゼ、ならびに、所望の組換え核酸を生成するための他の分子生物学用ツールを用いて核酸を操作する方法を含む。いくつかの実験マニュアルが、分子生物学研究者のための参考書として書かれている。これらの参考マニュアルの例は、Sambrook, J., E. F. Fritsch and T. Maniatis, 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd. ed. Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press(非特許文献1);およびJoseph Sambrook and David Russell, 2001. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press(非特許文献2)を含む。
【0004】
当技術分野における問題は、モジュラー要素がキメラ内の所望の位置で容易に挿入され得る、キメラタンパク質発現産物を操作する方法論が欠如していることである。一般に、ハイブリッドまたはキメラタンパク質は成功裡に作製されてきたが、より多いモジュールを追加するための所定の機構を組み込むことなく、合成のゴールは最終終点産物に向けられてきた。本発明の局面は、キメラおよびそれらの変形物のために将来の必要性を企図することによって、ならびに、各一つ一つについてゼロから開始することなくそれらを構築することを可能にすることによって、この問題に取り組む。本発明の一つの態様は、全般に、融合タンパク質発現産物を作製する方法に関する。本発明の別の態様は、予め操作されたモジュールを用いて融合タンパク質発現産物を作製する方法に関する。本発明の別の局面は、キメラタンパク質発現カセット中への挿入が可能であるようにモジュールが予め設計された、ブロック分子またはモジュールを構築する段階に関する。本発明はまた、開示される方法において利用され得る、操作されたモジュールのライブラリーを企図する。一つの態様において、モジュールは所定の制限酵素部位を有して作製される。
【0005】
【非特許文献1】Sambrook, J., E. F. Fritsch and T. Maniatis, 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd. ed. Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press
【非特許文献2】Joseph Sambrook and David Russell, 2001. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press
【発明の開示】
【0006】
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列の詳細な説明
SEQ ID NO:1は、核酸モジュールの例である。本モジュールは、以下の5'‐3'構造を有する:5'‐所定の制限酵素部位‐関心対象のポリペプチドのオープンリーディングフレーム(ORF)‐所定の制限酵素部位‐スタッファー(stuffer)‐所定の制限酵素部位‐3'。所定の制限酵素部位およびスタッファーはまた、哺乳動物においてアミノ酸をコードし、かつ関心対象のポリペプチドとインフレームであり、そのために、モジュール全体が複合的なオープンリーディングフレームである。SEQ ID NO:1は、図11に示されている。
【0007】
SEQ ID NO:2は、SEQ ID NO:1によってコードされるポリペプチドである。
【0008】
発明の簡単な説明
本発明は、モジュラーキメラタンパク質発現産物を作製する方法、および該方法において利用される組成物に関する。特に、本発明は、ポリペプチドモジュールをコードするポリヌクレオチドの連続的な方向性のクローニングに関する。各々のクローン化可能な要素は、所定の制限酵素部位が隣接するオープンリーディングフレームを含む。本方法は、組換えDNA技術のための開始材料として、クローン化可能な要素およびこれらの要素を含むベクターを用いる段階を含む。本発明の一つの利点は、各々の次のクローニング段階を設計および評価する必要なく、融合タンパク質の多くの変形物を、迅速かつ容易に作製することを可能にすることである。
【0009】
本発明の一つの態様は、全般に、融合タンパク質発現産物を作製する方法に関する。本発明の別の態様は、コンビナトリアルモジュールを有する融合タンパク質発現産物を作製する方法に関する。本発明の別の局面は、キメラ発現カセット中への挿入が可能であるようにモジュールが予め設計された、ブロック分子またはモジュールを構築する段階に関する。本発明はまた、開示される方法において利用され得るモジュールのライブラリーを企図する。一つの態様において、モジュールは所定の制限酵素部位を有して作製される。
【0010】
各々のクローン化可能な要素またはモジュールは、完全長タンパク質もしくはポリペプチド、または、機能ドメイン、構造ドメイン、酵素ドメイン、阻害ドメイン、結合ドメイン、局在化シグナル、エピトープ、エクソン、または他の望ましいサブコンポーネントのような、しかしそれらに限定されない、関心対象のオープンリーディングフレームをコードするポリヌクレオチド配列を含む。Conserved Domain Database、またはCDDと呼ばれる、the National Library of Medicineを通して入手可能なモジュラータンパク質情報に方向付けられたデータベースは、タンパク質ファミリーおよび種のすべてに渡って保存されたアミノ酸配列ホモロジーに基づいてドメインを同定するための一つの供給源となる。
【0011】
完全長タンパク質の非限定的な例には、少し例を挙げると、キナーゼ、キナーゼサブユニット、ホスファターゼ、ホスファターゼサブユニット、ペプチドリガンド、プロテアーゼ、プロテアーゼサブユニット、酵素サブユニット、DNA結合タンパク質サブユニット、gタンパク質サブユニット、イオンチャンネルサブユニット、および膜受容体サブユニットが含まれる。
【0012】
機能ドメインの非限定的な例には、少し例を挙げると、DNA結合ドメイン、転写活性化ドメイン、二量体化ドメイン、触媒ドメイン、リン酸化ドメイン、制御ドメイン、デスドメイン、プレクストリン相同ドメイン、脂質結合ドメイン、ホルモン結合ドメイン、リガンド結合ドメイン、ジンクフィンガー領域、ロイシンジッパー領域、gタンパク質結合ドメイン、グリコシル化ドメイン、アシル化ドメイン、および膜貫通ドメインが含まれる。
【0013】
構造ドメインの非限定的な例には、少し例を挙げると、αへリックス領域、βシート領域、酸性領域、塩基性領域、疎水性ドメイン、鎖内ジスルフィド結合ドメイン、補因子結合ドメイン、および金属イオン結合ドメインが含まれる。
【0014】
酵素ドメインの非限定的な例には、少し例を挙げると、酵素活性部位、リン酸化触媒ドメイン、ホスファターゼ触媒ドメイン、アデニレートシクラーゼ触媒ドメイン、代謝酵素活性部位、プロテアーゼ活性部位、ポリメラーゼ活性部位、リパーゼ活性部位、解糖系酵素活性部位、ヌクレオチド合成酵素活性部位、およびアミノ酸合成酵素活性部位が含まれる。
【0015】
阻害ドメインの非限定的な例には、少し例を挙げると、キナーゼ阻害サブユニット結合領域、ホスファターゼ阻害サブユニット結合領域、およびアロステリックリガンド結合領域が含まれる。
【0016】
結合ドメインの非限定的な例には、少し例を挙げると、ステロイドホルモン結合ドメイン、ペプチドホルモン結合ドメイン、基質結合ドメイン、ATP結合ドメイン、PDZドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、PB1ドメイン、薬物結合ドメイン、gタンパク質結合ドメイン、DNA結合ドメイン、脂質結合ドメイン、炭水化物結合ドメイン、および二量体化ドメインが含まれる。
【0017】
局在化シグナルの非限定的な例には、少し例を挙げると、小胞体局在化シグナル、核局在化シグナル、ミトコンドリア局在化シグナル、形質膜局在化シグナル、および筋小胞体局在化シグナルが含まれる。
【0018】
エピトープの非限定的な例には、少し例を挙げると、血球凝集素エピトープ、c-Mycエピトープ、FLAGR、His6、酸性領域、塩基性領域、および抗体結合領域が含まれる。
【0019】
天然において、タンパク質ドメインは、しばしばエクソンと相関する。天然のエクソンシャッフリングは、真核生物におけるモジュラータンパク質の存在についての一つの説明であると考えられている。そのため、エクソンのオープンリーディングフレームが、本発明による関心対象のオープンリーディングフレームとなる。いくつかのエクソンがスプライス部位に対応する末端に分断コドンを有することを、当業者は認識する。これが起きる場合、正しいオープンリーディングフレームを含むエクソンの部分またはセグメントが、関心対象のORFである。
【0020】
モジュールはまた、天然に見出されないペプチドをコードするが、それにもかかわらず望ましい特徴または特性を有するポリヌクレオチド配列を含んでもよい。本明細書において使用されるとき、モジュールという用語は、所定の制限酵素部位が隣接する関心対象のオープンリーディングフレームを含むオープンリーディングフレームをコードする核酸を意味する。本発明の方法および産物が哺乳動物の系において利用される場合、モジュールには哺乳動物終止コドンが欠如しているべきである。
【0021】
本発明のモジュールは、ベクターのようなより大きなポリヌクレオチドの一部であってもよい。そのようなベクターは、環状プラスミド、発現ベクター、ウイルスベクター、または人口染色体を含むが、それらに限定されない。モジュールにおける所定の制限エンドヌクレアーゼ部位は、モジュール内で唯一である。本発明の一つの態様において、モジュールの所定の制限酵素部位は、ベクター内、または、モジュールを含む他の核酸内で唯一である。この状況において、所定の制限酵素部位は、ベクター内で唯一のクローニング部位を提供し、かつ、モジュールクローニングの方向性を提供する。
【0022】
発明の詳細な説明
多くのタンパク質が、天然においてモジュール式になっている。例えば、核受容体は、DNA結合ドメイン、リガンド結合ドメイン、二量体化ドメイン、および活性化ドメインを含むドメインを有する。ドメインの機能性が研究され得るため、ならびに/または、新たな研究および治療ツールが作製され得るために、受容体の間で機能ドメインを交換することによってキメラ受容体を作製することがしばしば望ましい。新規の細胞活性または治療活性を有する融合タンパク質を合成することもまた、望ましい。例えば、プロテインキナーゼD活性を調節するキメラポリリガンドが、様々な異種のタンパク質源から設計され、合成された(60/728,259参照)。
【0023】
本発明の局面は、融合タンパク質のコンビナトリアルモジュール性、および、任意の望ましい位置で融合タンパク質発現カセット中に組み入れられてもよいオープンリーディングフレームの構成単位を調製する段階に関する。換言すれば、本発明は、LEGOR構成単位、または連結式モジュラーフローリング(interlocking modular flooring)に類似した様式において、一緒に利用されるように設計された構成要素の目録を包含する。本発明の追加的な局面は、これらのモジュラー融合タンパク質を容易に、かつ便利に作製する方法である。この点について、本発明の態様は、構成要素タンパク質ドメインのモジュラークローニングの方法を含む。
【0024】
クローニングの便利性については、付着末端で適合し、連続的に挿入およびクローン化され得るモジュラー要素を作製することが望ましい。本発明の一つの態様は、制限エンドヌクレアーゼ部位認識および切断の天然の特性を活用することによって、これを達成する。本発明の別の局面は、ORFの一方の端が1回制限酵素消化に利用され、かつ、他方の端が望ましい回数、制限酵素消化に利用される、オープンリーディングフレーム隣接配列を有するモジュールを包含する。換言すれば、モジュラー要素の循環的、連続的クローニングを実施するために、モジュールにおける所定の制限酵素部位が利用され、かつ破壊される。
【0025】
実施例1:二つのベクターから開始する方法
モジュラー融合タンパク質は、以下の方法を用いて、所定の制限酵素部位が隣接する関心対象のオープンリーディングフレーム(ORF)を各々含む二つの試薬から開始して作製される。関心対象のORFに隣接する制限酵素部位の例は、制限酵素NgoM IVおよびCla I;または、Xma IおよびCla Iによって認識される配列である(図1参照)。図1を参照すると、本方法の一つの態様は、二つの核酸開始試薬を利用する。一つの試薬は、5'末端にNgoM IV部位が隣接し、かつ、3'末端にXma I部位およびCla I部位が順に隣接する、関心対象のオープンリーディングフレーム(ORF 1)を含む環状DNAである。換言すれば、第一の試薬は、5'から3'へ以下の特性を有するDNAを含む:-- NgoM IV‐ORF 1‐Xma I‐スタッファー‐Cla I --。図1をさらに参照すると、第二の試薬は、5'末端にNgoM IV部位が隣接し、かつ、3'末端にXma I部位およびCla I部位が順に隣接する、関心対象のオープンリーディングフレーム(ORF 2)を同様に含む環状DNAである。スタッファーは、2種類の異なる制限酵素がDNAに結合して切断するのに十分な空間を可能にするヌクレオチドに相当する。「スタッファー」という用語は、「スペーサー」と同義であり、この二つの用語は本明細書において互換的に使用される。一般に、スタッファーまたはスペーサーは、隣接するオープンリーディングフレームとインフレームであるべきであり、そのため、コドンが3塩基の長さであるために3の倍数の長さを有するべきである。例示的なスタッファーは、GlyGlyGlyをコードするGGAGGCGGAであると考えられる。スタッファー/スペーサーは、他のアミノ酸組成を有してもよい。
【0026】
本発明によるモジュラークローニング法の態様は、3' Xma I突出部および5' Cla I突出部を有する直鎖状DNAを生じるために、Xma IおよびCla Iで第一の環状DNA試薬を切断する段階を含む。このDNA断片はアクセプターDNAであり、第二の環状DNA試薬から切除された挿入断片を受容する。別の容器において、3' Cla I突出部および5' NgoM IV突出部を有する遊離した直鎖状DNAを生じるために、NgoM IVおよびCla Iで、ドナーと呼ばれる第二の環状DNA試薬を切断する。その後、第二のDNA断片を、直線化されたベクターバックボーンDNAから精製する。これらの制限酵素消化は、適合する付着末端を有する第一および第二のDNA断片を生成する。
【0027】
これらの第一および第二のDNA断片を一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションして第三の環状DNA断片を形成させるとき、第一のDNA中にあったXma I部位および第二のDNA中にあったNgoM IV部位は、第三の環状DNAにおいて破壊される。今やDNAのこの痕跡的な領域はさらなるXma IまたはNgoM IV消化から保護されるが、第三の環状DNA中の結果として生じた融合オープンリーディングフレームに隣接する配列が、次の循環的なクローニング段階において有用である無傷の5' NgoM IV、ならびに、3' Xma IおよびCla I部位を依然として含む。この過程は、方向性の連続的なモジュラークローニング事象を達成するために、多くの回数繰り返され得る。図1に示される例において、モジュール付加の方向は、融合タンパク質のN末端からC末端へ進行し;一方、図2に示される例においては、モジュール付加の方向は、キメラタンパク質のC末端からN末端へ進行する。NgoM IV、Xma I、およびCla Iエンドヌクレアーゼによって認識される制限酵素部位は、モジュールにおいて使用される場合に、循環的、連続的なクローニングを許容する部位のトリオを表す。
【0028】
当業者は、順序が試薬全体で一致している限り、NgoM IV部位およびXma I部位が互いに交換され得ることを認識する(例えば図4参照)。当業者はまた、他の制限酵素部位群が、本明細書において説明されているような連続的な方向性のクローニングを達成し得ることを認識する。制限エンドヌクレアーゼを選択するための好ましい基準は、1)適合する付着末端を生成するが、互いにライゲーションするとその部位が破壊されるエンドヌクレアーゼのペアを選択すること;2)最初の2種類のどちらとも適合する粘着末端を生成しない第三の制限エンドヌクレアーゼを選択することである。そのような基準が、連続的な方向性のクローニングのための系として利用される場合、タンパク質サブドメイン、モジュール、および他のコード領域または発現構成要素は、望ましいようにコンビナトリアルに組み立てられ得る。
【0029】
上記の選択基準番号1に関しては、他の制限エンドヌクレアーゼが、本方法を達成するために使用されてもよい。例えば、NgoM IV、Xma I、TspM I、BspE I、およびAge Iはすべて、対応する認識部位を含むDNAを切断するとき、相補的な突出部を作製する。そのため、一般に、アニールしてライゲーションする場合に認識部位が破壊される、これらの酵素のうちの任意の2種類が、本実施例および本明細書において説明される他の実施例においてNgoM IVおよびXma Iが使用されるのと同様の方法で、ペアとして利用され得る。
【0030】
制限エンドヌクレアーゼ選択への追加的な基準は、融合タンパク質が発現されると考えられる種に関連したコドン使用頻度/バイアスを含んでもよい。一つの態様において、NgoM IVおよびXma Iは、双方が哺乳動物細胞によって認識されるコドンを利用するため、好ましいペアである。追加的な選択基準はまた、コドンによってコードされるアミノ酸の特性を含んでもよい。例えば、コドンが荷電アミノ酸をコードする制限エンドヌクレアーゼ部位を避けることが望ましい可能性がある。図1に示される態様において、NgoM IVおよびXma Iは、コードするアミノ酸が比較的バイオニュートラル(bioneutral)であるため、好ましいペアである:NgoM IVは哺乳動物においてAlaGlyをコードし、Xma Iは哺乳動物においてProGlyをコードする(図11も参照)。当業者は、他の種において使用されるコドンを利用することによって、本方法が他の種についても順応可能であることを認識すると考えられる。
【0031】
実施例2:一つのベクターから開始する方法
コード領域モジュールを方向性に、かつ連続的に組み立てる別の方法は、環状DNAに加えて直鎖状DNAを使用する。例えば、上記で説明された連続的クローニング過程のように、コード領域に隣接する制限酵素部位は、制限酵素NgoM IVおよびCla I;またはXma IおよびCla Iによって認識される配列である。図3を参照すると、3' Xma I突出部および5' Cla I突出部を有する直鎖状DNAを生じるために、Xma IおよびCla Iで第一の環状DNA試薬を切断する。第一のDNA試薬は、アクセプターである。第二の試薬は、相補的オリゴヌクレオチドを合成し、かつアニールすることによって、または、PCR増幅に続いて突出部を生成する適切な制限酵素での消化によって生成した直鎖状二本鎖DNA断片である。第二の直鎖状DNAは、第一の直線化されたDNAアクセプターの付着末端と適合する3' Cla I突出部および5' NgoM IV突出部を有する。
【0032】
これらの第一および第二のDNA断片を一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションして第三の環状DNAを形成させるとき、第一のDNA中にあったXma I部位および第二のDNA中にあったNgoM IV部位は、第三の環状DNAにおいて破壊される。しかしながら、第三の環状DNA中の結果として生じた関心対象の融合タンパク質(ORF 5〜ORF 6)に隣接する配列が、次に連続的なクローニング段階において利用されてもよい無傷の5' NgoM IV、ならびに3' Xma IおよびCla I部位を依然として含む。この過程は、方向性の連続的なモジュラークローニング事象を達成するために、多くの回数繰り返され得る(図5参照)。NgoM IV、Xma I、およびCla Iエンドヌクレアーゼによって認識される制限酵素部位は、隣接配列として使用される場合に、循環的なモジュラークローニングを許容する部位のトリオを表す。
【0033】
実施例3:二つの直鎖状二本鎖DNAから開始する方法
本発明の方法はまた、開始試薬として二つの直鎖状DNAを用いて実施され得る。本実施例において、NgoM IVおよびXma I部位は、本明細書における他の実施例と比較して交換されている。図4を参照すると、二つの開始試薬は、1)3' NgoM IV突出部および5' Cla I突出部を有するベクターバックボーンであって、関心対象のオープンリーディングフレームであるORF ZがNgoM IV部位の上流に位置し、かつ、Xma I部位がORF Zとインフレームで、かつその上流に位置するベクターバックボーン、および2)5' Xma I突出部および3' Cla I突出部を含む二本鎖DNAオープンリーディングフレームであって、Xma I突出部が関心対象のオープンリーディングフレームであるORF Xのすぐ上流で、かつインフレームであり、かつ、ORF Xの下流にORF XとまたインフレームであるNgoM IV部位が続く二本鎖DNAオープンリーディングフレームである。
【0034】
二つの開始試薬は、種々の方法で、提供、または合成されてもよい。例えば、少し例を挙げると、制限エンドヌクレアーゼ消化、化学合成、PCR増幅による。試薬中に存在する突出部は、制限エンドヌクレアーゼ消化の産物であってもよく、または、当技術分野において公知であるようなリンカーまたはアダプターとして末端に付加されてもよい。二つの開始試薬をアニールし、かつライゲーションした結果は、上流に無傷のXma I部位が隣接し、かつ下流に無傷のNgoM IVおよびCla I部位が隣接するキメラポリペプチド(ORF Z〜ORF X)であり、一つまたは複数のモジュールを付加することが望ましくなった場合に、過程が繰り返されることを可能にする。ライゲーションされたNgoM IV/Xma I領域(痕跡的なNgoM IV、Xma I部位として示される)は、もはやNgoM IVでもXma Iでも切断され得ず、そのために、これらの酵素によるさらなる消化から保護される。
【0035】
実施例4:モジュールライブラリー
上記の実施例において議論された開始試薬は、試薬の収集物またはライブラリーの要素であってもよい。収集物の要素は、多数の特性を共有する。共有される最小限の特性は、関心対象のオープンリーディングフレームに隣接する同一の所定の制限酵素部位(例えば、NgoM IV、Xma I、Cla I)を含む。また、関心対象のオープンリーディングフレームは、内部にこれらの同一の制限酵素部位が欠如するように操作される。さらに、少なくとも第一の開始試薬(アクセプターDNA)は環状DNAであり、かつ、環状DNA全体において1箇所のみ、すなわち関心対象のオープンリーディングフレームに隣接する部位に、これらの同一の制限酵素部位を含むように操作される。換言すれば、アクセプターDNAベクターは、他の場所ではこれらの所定の制限酵素部位が欠如するように操作される。
【0036】
本発明の一つの態様において、ドナーおよびアクセプター試薬は両方とも環状DNAであり、関心対象のオープンリーディングフレーム以外は同一である。別の態様において、関心対象のORFに隣接する制限酵素部位が、関心対象のORFには存在しないが、環状DNA分子内では唯一でない点において、ドナー環状DNA試薬はアクセプターDNA試薬と同一ではない。遊離した挿入断片がベクターの残りの部分から精製されると考えられるため、これは可能である。
【0037】
当業者は、順序が試薬全体で一致している限り、NgoM IV部位およびXma I部位が互いに交換され得ることを認識する。当業者はまた、他の制限酵素部位群が利用されてもよいことを認識する。
【0038】
一つの態様において、ライブラリーの要素は、オープンリーディングフレームとインフレームでアミノ酸をコードし、かつ、そのコドンが哺乳動物によって利用される所定の制限酵素部位によって包囲される、哺乳動物のコドンより構成される関心対象のオープンリーディングフレームを含むモジュールを有する。図11は、関心対象のポリリジンORFを有するそのようなライブラリー要素の態様を示す。図11より見られ得るように、NgoM IV認識配列(GCCGGC)はAlaGlyをコードし;ORF(AAGAAGAAAAAGAAGAAG)はLysLysLysLysLysLysをコードし;Xma I認識配列(CCCGGG)はProGlyをコードし;スタッファー(GGCGGAGGC)はGlyGlyGlyをコードし;Cla I認識配列(ATCGAT)はIleAspをコードする。そのため、モジュール自体が関心対象のORFを含むオープンリーディングフレームである。モジュールのライブラリーは、モジュールが各々の連続的なクローニング段階を設計する必要なく挿入されてもよいように、各関心対象のオープンリーディングフレームに隣接する制限酵素部位に関して一致するように操作される。ライブラリーの種々の構成要素は、すべての構成要素が融合タンパク質を発現するように意図される種由来のコドンを利用すべきであり、あらゆる関心対象のORFに所定の制限酵素部位が欠如しているという規定に従って、モジュールの関心対象のオープンリーディングフレームおよびスタッファー/スペーサー構成要素を含む。
【0039】
本発明のモジュールのライブラリーは、cDNAライブラリーのような当技術分野において公知である他のライブラリーとは性質が異なる。cDNAライブラリーは、一般にベクターの制限酵素部位が隣接するタンパク質コード配列を含むが、タンパク質コード配列は必ずしもオープンリーディングフレームではなく;タンパク質コード配列に隣接するベクター制限酵素部位がタンパク質コード配列に存在しないようには操作されておらず、これらの制限酵素部位が隣接するコード配列とインフレームになるようには操作されておらず、制限酵素部位が本発明による循環的なクローニング段階を許容しない。cDNAライブラリーが3'および5'非翻訳領域(UTR)のような非コード配列を有する点において、本発明のライブラリーは、cDNAライブラリーとはさらに性質が異なる。図12は、本発明において有用なモジュールのライブラリーの例を示す。
【0040】
実施例5:ホモ多量体融合タンパク質の構築
ホモ多量体融合タンパク質の例は、例えばORF 8の二量体または多量体を含むポリペプチドである(図5参照)。関心対象のオープンリーディングフレームであるORF 8は、任意の長さまたは組成であり得る。例えば、ORF 8は、プロテインキナーゼDのペプチド阻害物質であり得る。本発明による環状DNAよりホモ多量体を構築する場合、二つの核酸開始試薬は同一である。しかしながら、二つの別々の制限酵素消化が行われる。実施例1における同様の例示的制限酵素部位の位置を利用して、Xma IおよびCla Iを用いた一つの消化が一つの容器中で実施され、NgoM IVおよびCla Iを用いたもう一つの消化がもう一つの容器中で実施される。直線化されたベクターDNAを遊離した挿入断片と混合し、アニールし、かつライゲーションすることによってORF 8の融合二量体が生じる。これらの段階は、所望の数のモジュールが達成されるまで、多くの回数繰り返され得る。また、図5に示されるように、二つの直鎖状DNA分子から開始してもよい。当業者は、本方法に利用可能である変形物を認識すると考えられる。
【0041】
実施例6:ヘテロ多量体融合タンパク質の構築
ヘテロ多量体融合タンパク質の例は、少なくとも二つの同一ではないモジュールを含むポリペプチドである。図6A〜6Cは、関心対象のエクソン由来ORFを含むモジュールから構築されたいくつかのヘテロ多量体融合タンパク質を示す。図7A〜7Cは、一つのモジュールが局在化シグナルを含む融合ポリペプチドの例を示す。図8A〜8Cは、一つのモジュールがエピトープタグを含むキメラポリペプチドの例を示す。図9A〜9Cは、異なる機能ドメインを含むモジュールから構築されたキメラタンパク質の例を示す。本明細書において説明される方法の任意が、ヘテロ多量体融合タンパク質を調製するために使用されてもよい。さらに、融合タンパク質はその後、哺乳動物細胞において発現されてもよい。図10は、本発明によって作製されたキメラタンパク質コード配列を含む例示的な発現カセットを示す。融合タンパク質は、研究ツールまたは治療学として有用である。
【0042】
実施例7:段階的なコンビナトリアル合成
本発明の方法は、いくつかのヘテロ多量体の同時のコンビナトリアル合成に有用である。消化、精製、混合、およびライゲーションの段階は上記で説明した通りであるが、反応容器が以下のように組み合わされる。本実施例は、モジュールA、モジュールB、モジュールC、およびモジュールDとして示される異なるモジュールコード配列を各々含む4種類の環状DNA開始試薬から組み立てられる、あらゆる可能なヘテロ多量体融合タンパク質の合成である。例えば、結果として生じるヘテロ多量体は理想的には44の総数であると考えられ、モジュールA‐モジュールB‐モジュールC‐モジュールD;モジュールB‐モジュールC‐モジュールD‐モジュールA;モジュールC‐モジュールA‐モジュールD‐モジュールBなど、ならびに各モジュールのホモ多量体を含む。
【0043】
4種類の異なる環状DNAアクセプター試薬を、各々別の容器において、Xma IおよびCla Iで切断することによって直線化する。もう一つの4個の別々の容器において、4種類の異なる挿入断片ドナーをNgoM IVおよびCla Iで切断する。ドナー消化より遊離した挿入断片を精製して、NgoM IVおよびCla I突出部を有するモジュールA、モジュールB、モジュールC、およびモジュールDをコードする4種類のDNAを取得する。次の段階は、挿入断片の各々のアリコートを同一のアクセプター容器において各々のアクセプターと混合する段階である。そのため、各アクセプターは4種類の異なるアリコートを受け取ることとなる。各アクセプターに加えられる各挿入断片のモル濃度は、望ましい化学量論を達成するのに有効な量である。例えば、概ね同一の数のヘテロ多量体の各タイプを作製したい場合は、概ね同一のモル数の各々の4種類のドナー挿入断片を加えると考えられる。挿入断片サイズ、組成、および他の因子が、加えるモル数に影響を及ぼす可能性がある。これらの4種類の混合物をアニールし、かつライゲーションした後、以下の二量体融合物が産生される。
【0044】
モジュールAを含むアクセプターから:
モジュールA‐モジュールA
モジュールA‐モジュールB
モジュールA‐モジュールC
モジュールA‐モジュールD。
【0045】
モジュールBを含むアクセプターから:
モジュールB‐モジュールA
モジュールB‐モジュールB
モジュールB‐モジュールC
モジュールB‐モジュールD。
【0046】
モジュールCを含むアクセプターから:
モジュールC‐モジュールA
モジュールC‐モジュールB
モジュールC‐モジュールC
モジュールC‐モジュールD。
【0047】
モジュールDを含むアクセプターから:
モジュールD‐モジュールA
モジュールD‐モジュールB
モジュールD‐モジュールC
モジュールD‐モジュールD。
【0048】
融合タンパク質DNAのモジュールを接続する接合部は、本実施例において使用される所定の制限酵素で消化され得ないため、直線化およびアリコート添加の上記の段階を繰り返すことによって、より多くの挿入断片が付加され得る。コンビナトリアル合成の本方法は、多数のキメラを同時に生成するのに有用である。キメラはその後、細胞において試験され得る。
【0049】
実施例8:動的コンビナトリアル合成
上記の方法に加えて、本発明のモジュールライブラリーは、同様に多数のキメラを同時に生成すると考えられる動的コンビナトリアル合成において利用されてもよい。動的コンビナトリアル合成は、同一の反応混合物に多くの適合する突出部が存在し、かつ、互いにアニールおよびライゲーションすることが可能である場合に起こる。融合タンパク質がN末端からC末端へ(または逆に)構築される上記で説明された循環的な方法と比較して、動的方法は、後方および前方の配向において、ならびに特に順序無く連結される挿入断片をもたらす。融合タンパク質構築物の二つの末端は、選択されたモジュール(上記で使用されるような第一および第二の試薬と類似したもの)によって固定されているが、融合タンパク質の「中間」部分は、可変的である。
【0050】
動的コンビナトリアル合成の最も単純な実施例においては、本発明による試薬のライブラリー由来のアクセプターDNA試薬を、Xma IおよびCla Iで消化する。その後第二のDNA試薬を、NgoM IVおよびCla Iで消化する。加えて、同時にライブラリー由来である第三のDNA試薬を、Xma IおよびNgoM IVで消化する。第二および第三の消化したDNAを、関心対象のORFを含むポリヌクレオチドを保つように、単離する。次の段階は、第一、第二、および第三のDNA試薬を一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする段階である。第三の試薬は、NgoM IVおよびXma I突出部のために第一および第二の試薬と二つの異なる方向においてアニールし得るため、結果として生じる融合タンパク質は、二つの異なる配向を有する「中間」を有すると考えられる。
【0051】
動的コンビナトリアル合成のより複雑な実施例は、NgoM IVおよびXma Iで切断された多数のモジュールを、上記で議論されたように消化した第一および第二の試薬と一緒に混合する段階を含む。これらの突出部を有する多数のDNAをアニールし、かつライゲーションするとき、双方向の配向が各モジュールで起きる。例えば、NgoM IVおよびXma Iで予め消化した5種類のモジュールをおおよその化学量論的量で一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする場合、5種類のモジュールの各々は、すべての可能な順序および配向で存在するべきである。さらに、一つまたは複数のモジュールが融合タンパク質に存在しないか、または多くの回数存在する可能性があるため、融合タンパク質の「中間」区分の全長は、同様に変化すると考えられる。
【0052】
図13は、動的コンビナトリアル合成の非限定的な実例である。この図は、本方法から結果として生じる可能性がある数個の可能な融合タンパク質構築物のみを示す。当業者は、多数の追加的な融合タンパク質が結果として生じると考えられることを認識する。
【0053】
一つの態様において、本発明は、モジュールオープンリーディングフレームを形成するように連続的に配置された以下の要素の各々を含むベクターであって、
(a)少なくとも2個のアミノ酸を含む第一の群のアミノ酸をコードする第一の制限酵素部位;
(b)関心対象のポリペプチドのコード配列が、第一の制限酵素部位の少なくとも2個のアミノ酸のコード配列とインフレームである、関心対象のポリペプチドをコードする第一のオープンリーディングフレーム;
(c)第二の制限酵素部位の第二の群のアミノ酸のコード配列が、第一のオープンリーディングフレームの関心対象のポリペプチドのコード配列とインフレームであり、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列が、第一の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではない、少なくとも2個のアミノ酸を含む第二の群のアミノ酸をコードする第二の制限酵素部位;
(d)スペーサー配列のコード配列が、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列とインフレームである、少なくとも3個のスペーサーアミノ酸をコードするスペーサーポリヌクレオチド配列;および
(e)第三の制限酵素部位の第三の群のアミノ酸のコード配列が、少なくとも3個のスペーサーアミノ酸のコード配列とインフレームであり、第三の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列が、第一の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではなく、第三の制限酵素部位が、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではない、少なくとも2個のアミノ酸を含む第三の群のアミノ酸をコードする第三の制限酵素部位
を含み、要素(a)〜(e)が、モジュールオープンリーディングフレームを形成するように互いにインフレームで連結されている、ベクターを包含する。
【0054】
別の態様において、本発明は、要素が5'から3'方向に配置され、要素(a)がベクターの5'末端にあるベクターを含む。別の態様は、要素が3'から5'方向に配置され、要素(a)がベクターの3'末端にある請求項記載のベクターを含む。
【0055】
別の態様において、本発明は、上記モジュールオープンリーディングフレームの5'部分に機能的に連結されるプロモーターをさらに含むベクターを包含する。プロモーターは、細菌または哺乳動物のプロモーターであってもよい。他の態様は、第三の制限酵素部位の3'である非翻訳領域をさらに含むベクターを包含する。
【0056】
別の態様において、本発明は、第一または第二の制限酵素部位のいずれかにおいて生じる制限酵素部位が、第一と第二の制限酵素群の間のいかなるオープンリーディングフレーム中にも存在しないベクターを包含する。
【0057】
別の態様において、本発明は、以下の段階を含む融合ポリペプチドを作製する方法であって、第一のオープンリーディングフレームが、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームと互いにインフレームでライゲーションされる方法を包含する:
a)第二および第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で上記由来のベクターを消化して、第一および第二の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第一および第二の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第一の挿入断片を提供する段階であって、該第一の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第一および第二の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第一の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、ライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第一の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第二の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【0058】
別の態様において、本発明は、以下の段階を含む融合ポリペプチドを作製する方法であって、すべてのオープンリーディングフレームが互いにインフレームとなる方法を包含する:
a)追加的でありかつ再作製された第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で上記由来のライゲーションされた発現ベクターを消化して、第三および第四の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第三および第四の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第二の挿入断片を提供する段階であって、該第二の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第三および第四の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第二の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、新たなライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第三の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第四の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【0059】
別の態様において、本発明は、以下の段階を含む融合ポリペプチドを作製する方法であって、第一のオープンリーディングフレームが、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームと互いにインフレームでライゲーションされる方法を包含する:
a)第二および第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で上記のベクターを消化して、第一および第二の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第一および第二の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第一の挿入断片を提供する段階であって、該第一の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第一および第二の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第一の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、ライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第一の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第二の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【0060】
本発明のさらなる態様は、以下の段階を含む融合タンパク質DNA構築物を作製する方法を包含する:
a)第一および第二のポリヌクレオチド試薬を提供する段階であって、各試薬が、関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームには、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接しており、所定の部位のうちの2箇所が、適合する突出部を有する、段階、
b)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第一のポリヌクレオチド試薬を消化して、2個の異なる突出部を有するポリヌクレオチドを生成する段階、
c)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第二のポリヌクレオチド試薬を消化する段階であって、関心対象のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドが遊離し、該遊離したポリヌクレオチドが2個の異なる突出部を有し、該突出部のうちの1個が段階b)において消化されたポリヌクレオチドの突出部と適合する、段階、
d)段階b)において生成されたポリヌクレオチドと、段階c)の関心対象のオープンリーディングフレームを含む遊離したポリヌクレオチドとを一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする段階であって、オープンリーディングフレームの融合物を含む第三のポリヌクレオチドが生成され、関心対象のオープンリーディングフレーム間の接合部が、前記3箇所の所定の制限酵素部位で切断するいかなるエンドヌクレアーゼによる消化にももはや感受性ではなく、該関心対象のオープンリーディングフレームの融合物に隣接する配列が、前記3箇所の所定の制限酵素部位を含む、段階。
【0061】
本方法において、第一のポリヌクレオチドは環状DNAであってもよい。さらに、本方法において、第一および第二のポリヌクレオチドは環状DNAであってもよい。加えて、所定の制限酵素部位は、NgoM IV、Xma I、およびCla Iのための認識配列であってもよい。
【0062】
本方法は、段階a)において提供される第一のポリヌクレオチドが、段階d)において生成される第三のポリヌクレオチドによって置換される、段階a)〜d)を繰り返す段階によって、循環的に繰り返されてもよい。
【0063】
追加的な態様は、以下の段階を含む融合タンパク質DNA構築物を作製する方法を包含する:
a)第一および第二のポリヌクレオチド試薬を提供する段階であって、各試薬が、関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームには、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接しており、所定の部位のうちの2箇所が、適合する突出部を有する、段階、
b)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第一のポリヌクレオチド試薬を消化して、2個の適合しない突出部を有するポリヌクレオチドを生成する段階、
c)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第二のポリヌクレオチド試薬を消化する段階であって、制限エンドヌクレアーゼのうちの1種類が段階b)の制限エンドヌクレアーゼと同一であり、関心対象のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドが遊離し、該遊離したポリヌクレオチドが2個の適合しない突出部を有する、段階、
d)段階b)において生成されたポリヌクレオチドと、段階c)の関心対象のオープンリーディングフレームを含む遊離したポリヌクレオチドとを一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする段階であって、オープンリーディングフレームの融合物を含む第三のポリヌクレオチドが生成され、該関心対象のオープンリーディングフレームの融合物には、前記所定の制限酵素部位が隣接しており、該関心対象のオープンリーディングフレーム間の接合部には、前記3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が欠如している、段階。
【0064】
本発明の別の局面は、単離されたポリヌクレオチドのライブラリーであって、ここで、各ポリヌクレオチドは、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接する関心対象のオープンリーディングフレームを含み、3箇所の所定の制限酵素部位のうちの2箇所は互いに適合せず、3箇所の所定の制限酵素部位のうちの2箇所は互いに適合し、各関心対象のオープンリーディングフレームには、所定の制限酵素部位が欠如している。より具体的には、ライブラリーはヌクレオチドを含み、ここで、各ポリヌクレオチドは関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームの一方の末端には、NgoM IVによって切断可能な配列が隣接しており、各関心対象のオープンリーディングフレームの他方の末端には、Xma IおよびCla Iによって切断可能な配列が隣接しており、該関心対象のオープンリーディングフレームには、NgoM IV、Xma I、およびCla Iによって切断可能な配列が欠如している。
【0065】
本発明はまた、これらの単離されたポリヌクレオチドを含むベクター、および該ベクターを含む宿主細胞を包含する。
【0066】
図14Aは、キメラタンパク質遺伝子構築物を含むベクターを示し、ここで、遺伝子構築物は、トランスジェニック動物を生成させるのに有用な単位としてベクターから遊離可能である。例えば、遺伝子構築物または導入遺伝子は、制限エンドヌクレアーゼ消化によってベクターバックボーンから遊離する。その後、遊離した導入遺伝子はマウスの受精卵の前核に注入されるか;または導入遺伝子は胚性幹細胞を形質転換するのに使用される。図14Aの遺伝子構築物を含むベクターはまた、導入遺伝子のプロモーターおよびコドンが宿主生物について最適化される、導入遺伝子の一過性トランスフェクションに有用である。
【0067】
図14Bおよび14Cにおいて遺伝子構築物に連結されるポリヌクレオチド配列は、導入遺伝子のウイルスゲノムおよび/または宿主ゲノム中への組込みを促進するための、ゲノム組込みドメインを含む。
【0068】
図14Dは、安定な細胞株を生成するために有用なキメラタンパク質遺伝子構築物を含むベクターを示す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】二つの環状DNA開始試薬を利用して、N末端からC末端方向に融合タンパク質を構築するための方法を示す。
【図2】二つの環状DNA開始試薬を利用して、C末端からN末端方向に融合タンパク質を構築するための方法を示す。
【図3】一つの環状DNA開始試薬および一つの直鎖状DNA開始試薬を利用して、N末端からC末端方向に融合タンパク質を構築するための方法を示す。
【図4】二つの直鎖状DNA開始試薬を利用して、N末端からC末端方向に融合タンパク質を構築するための方法を示す。
【図5】N末端からC末端方向に融合タンパク質を構築するための循環的な方法を示す。
【図6】図6A〜6Cは、モジュールがエクソンの一部由来である、キメラポリペプチドの例を示す。
【図7】図7A〜7Cは、一つのモジュールが局在化シグナルを含む、キメラポリペプチドの例を示す。
【図8】図8A〜8Cは、一つのモジュールがエピトープタグを含む、融合タンパク質の例を示す。
【図9】図9A〜9Cは、モジュールが異なる機能ドメインを含む、融合タンパク質の例を示す。
【図10】本発明の方法によって作製されたキメラタンパク質コード配列を含む、例示的な発現カセットを示す。
【図11】所定の制限酵素部位およびスタッファーが隣接する関心対象のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、例示的なモジュールを示す。
【図12】本発明において有用であるモジュールのライブラリーの例を示す。ライブラリーの要素は、部位I、部位II、および部位IIIとして示される、同一の所定の制限酵素部位を有する。オープンリーディングフレームは一定の縮尺では描かれておらず、そのために長さが変化してもよい。一つの態様において、ライブラリーの要素は、ベクターDNA内に含まれる。一つの態様において、ベクターは環状プラスミドである。
【図13】動的コンビナトリアル合成によって融合タンパク質を作製する方法を示す。この図における略語は以下の通りである:N4はNgoM IVを表す;X1はXma Iを表す;C1はCla Iを表す;fwdはフォワードを意味する;revはリバースを意味する;Vは痕跡的なNgoM IVおよびXma I部位を表す。
【図14】図14A〜14Dは、モジュラーキメラポリペプチド遺伝子構築物を含むベクターの例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールオープンリーディングフレームを形成するように連続的に配置された下記の要素の各々を含むベクターであって、
(a)少なくとも2個のアミノ酸を含む第一の群のアミノ酸をコードする第一の制限酵素部位;
(b)関心対象のポリペプチドのコード配列が、第一の制限酵素部位の少なくとも2個のアミノ酸のコード配列とインフレームである、関心対象のポリペプチドをコードする第一のオープンリーディングフレーム;
(c)第二の制限酵素部位の第二の群のアミノ酸のコード配列が、第一のオープンリーディングフレームの関心対象のポリペプチドのコード配列とインフレームであり、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列が、第一の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではない、少なくとも2個のアミノ酸を含む第二の群のアミノ酸をコードする第二の制限酵素部位;
(d)スペーサー配列のコード配列が、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列とインフレームである、少なくとも3個のスペーサーアミノ酸をコードするスペーサーポリヌクレオチド配列;および
(e)第三の制限酵素部位の第三の群のアミノ酸のコード配列が、少なくとも3個のスペーサーアミノ酸のコード配列とインフレームであり、第三の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列が、第一の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではなく、第三の制限酵素部位が、第二の制限酵素部位のポリヌクレオチド配列と同一ではない、少なくとも2個のアミノ酸を含む第三の群のアミノ酸をコードする第三の制限酵素部位
を含み、
要素(a)〜(e)が、モジュールオープンリーディングフレームを形成するように互いにインフレームで連結されている、ベクター。
【請求項2】
要素が5'から3'方向に配置され、要素(a)がベクターの5'末端にある、請求項1記載のベクター。
【請求項3】
要素が3'から5'方向に配置され、要素(a)がベクターの3'末端にある、請求項1記載のベクター。
【請求項4】
関心対象のポリペプチドが、全長タンパク質またはポリペプチド、タンパク質機能ドメイン、タンパク質構造ドメイン、タンパク質酵素ドメイン、タンパク質阻害ドメイン、タンパク質結合ドメイン、タンパク質局在化ドメイン、およびエピトープからなる群より選択される、請求項1記載のベクター。
【請求項5】
関心対象のポリペプチドがタンパク質局在化ドメインである、請求項4記載のベクター。
【請求項6】
第一の制限酵素部位が、少なくとも2個のヌクレオチドを含む第一の一本鎖突出部をもたらす制限酵素に感受性であり、第二の制限酵素部位が、少なくとも2個のヌクレオチドを含む第二の一本鎖突出部をもたらす制限酵素に感受性であり、該第一および第二の突出部が、適切な条件下で互いにアニールすることが可能であるように互いに相補的である、請求項1記載のベクター。
【請求項7】
第一の制限酵素部位が、NgoM IV制限酵素によって認識されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項6記載のベクター。
【請求項8】
第二の制限酵素部位が、Xma I制限酵素によって認識されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項7記載のベクター。
【請求項9】
第三の制限酵素部位が、Cla I制限酵素によって認識されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項8記載のベクター。
【請求項10】
スペーサーポリヌクレオチド配列が、3個のグリシンアミノ酸をコードする、請求項9記載のベクター。
【請求項11】
モジュールオープンリーディングフレームの5'部分に機能的に連結されるプロモーターをさらに含む、請求項1記載のベクター。
【請求項12】
プロモーターが細菌のプロモーターである、請求項11記載のベクター。
【請求項13】
プロモーターが哺乳動物のプロモーターである、請求項11記載のベクター。
【請求項14】
第三の制限酵素部位の3'である非翻訳領域をさらに含む、請求項11記載のベクター。
【請求項15】
第一のオープンリーディングフレームが、第二の制限酵素部位に直接隣接している、請求項1記載のベクター。
【請求項16】
第一のオープンリーディングフレームが、第二の制限酵素部位に直接隣接していない、請求項1記載のベクター。
【請求項17】
少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第一のオープンリーディングフレームと第二の制限酵素部位との間に挿入されており、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、該第一のオープンリーディングフレームおよび第二の制限酵素群の双方とインフレームであり、該追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、請求項16記載のベクター。
【請求項18】
第一または第二の制限酵素部位のいずれかにおいて生じる制限酵素部位が、第一と第二の制限酵素群の間のいかなるオープンリーディングフレーム中にも存在しない、請求項17記載のベクター。
【請求項19】
少なくとも二つのオープンリーディングフレームを含む、請求項18記載のベクター。
【請求項20】
少なくとも三つのオープンリーディングフレームを含む、請求項19記載のベクター。
【請求項21】
第一のオープンリーディングフレームが、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームと互いにインフレームでライゲーションされる、以下の段階を含む融合ポリペプチドの作製方法:
a)第二および第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で請求項6記載のベクターを消化して、第一および第二の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第一および第二の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第一の挿入断片を提供する段階であって、該第一の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第一および第二の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第一の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、ライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第一の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第二の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【請求項22】
第一の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なスペーサーポリヌクレオチド配列をさらに含み、かつ第二の制限酵素部位を認識するのと同一の制限酵素部位によって認識される追加的な制限酵素部位を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
すべてのオープンリーディングフレームが互いにインフレームとなる、以下の段階を含む融合ポリペプチドの作製方法:
a)追加的でありかつ再作製された第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で請求項22記載のライゲーションされた発現ベクターを消化して、第三および第四の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第三および第四の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第二の挿入断片を提供する段階であって、該第二の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第三および第四の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第二の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、新たなライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第三の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第四の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【請求項24】
第一のオープンリーディングフレームが、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームと互いにインフレームでライゲーションされる、以下の段階を含む融合ポリペプチドの作製方法:
a)第二および第三の制限酵素部位を認識する制限酵素で請求項9記載のベクターを消化して、第一および第二の一本鎖突出部を有する直鎖状ベクターを作製する段階であって、該第一および第二の突出部が互いに適合しない、段階;
b)第一の挿入断片を提供する段階であって、該第一の挿入断片が、少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームを含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームが、第一および第二の突出部と適合する5'および3'突出部を含み、該少なくとも一つの追加的なオープンリーディングフレームの各々が、少なくとも一つの追加的な関心対象のポリペプチドをコードする、段階;
c)第一の挿入断片を直鎖状ベクター中にライゲーションして、ライゲーションされた発現ベクターを形成させる段階であって、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの5'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第一の一本鎖突出部とアニールし、少なくとも一つのオープンリーディングフレームの3'突出部のライゲーションが、直鎖状ベクターの第二の一本鎖突出部とアニールし、該3'突出部のライゲーションが、第三の制限酵素部位を再作製する、段階。
【請求項25】
以下の段階を含む、融合タンパク質DNA構築物の作製方法:
a)第一および第二のポリヌクレオチド試薬を提供する段階であって、各試薬が、関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームには、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接しており、所定の部位のうちの2箇所が、適合する突出部を有する、段階、
b)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第一のポリヌクレオチド試薬を消化して、2個の異なる突出部を有するポリヌクレオチドを生成する段階、
c)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第二のポリヌクレオチド試薬を消化する段階であって、関心対象のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドが遊離し、該遊離したポリヌクレオチドが2個の異なる突出部を有し、該突出部のうちの1個が段階b)において消化されたポリヌクレオチドの突出部と適合する、段階、
d)段階b)において生成されたポリヌクレオチドと、段階c)の関心対象のオープンリーディングフレームを含む遊離したポリヌクレオチドとを一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする段階であって、オープンリーディングフレームの融合物を含む第三のポリヌクレオチドが生成され、関心対象のオープンリーディングフレーム間の接合部が、前記3箇所の所定の制限酵素部位で切断するいかなるエンドヌクレアーゼによる消化にももはや感受性ではなく、該関心対象のオープンリーディングフレームの融合物に隣接する配列が、前記3箇所の所定の制限酵素部位を含む、段階。
【請求項26】
第一のポリヌクレオチドが環状DNAである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
第一および第二のポリヌクレオチドが環状DNAである、請求項25記載の方法。
【請求項28】
所定の制限酵素部位が、NgoM IV、Xma I、およびCla Iのための認識配列である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
段階a)において提供された第一のポリヌクレオチドが、段階d)において生成された第三のポリヌクレオチドによって置換される、段階a)〜d)を繰り返す段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項30】
以下の段階を含む、融合タンパク質DNA構築物の作製方法:
a)第一および第二のポリヌクレオチド試薬を提供する段階であって、各試薬が、関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームには、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接しており、所定の部位のうちの2箇所が、適合する突出部を有する、段階、
b)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第一のポリヌクレオチド試薬を消化して、2個の適合しない突出部を有するポリヌクレオチドを生成する段階、
c)所定の制限エンドヌクレアーゼ部位のうちの2箇所で切断する2種類の異なる制限エンドヌクレアーゼにより第二のポリヌクレオチド試薬を消化する段階であって、制限エンドヌクレアーゼのうちの1種類が段階b)の制限エンドヌクレアーゼと同一であり、関心対象のオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドが遊離し、該遊離したポリヌクレオチドが、2個の適合しない突出部を有する、段階、
d)段階b)において生成されたポリヌクレオチドと、段階c)の関心対象のオープンリーディングフレームを含む遊離したポリヌクレオチドとを一緒に混合し、アニールし、かつライゲーションする段階であって、オープンリーディングフレームの融合物を含む第三のポリヌクレオチドが生成され、該関心対象のオープンリーディングフレームの融合物には、前記所定の制限酵素部位が隣接しており、該関心対象のオープンリーディングフレーム間の接合部には、前記3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が欠如している、段階。
【請求項31】
第一のポリヌクレオチドが環状DNAである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
第一および第二のポリヌクレオチドが環状DNAである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
所定の制限酵素部位が、NgoM IV、Xma I、およびCla Iによって切断可能な配列である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
段階a)において提供された第一のポリヌクレオチドが、段階d)において生成された第三のポリヌクレオチドによって置換される、段階a)〜d)を繰り返す段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
単離されたポリヌクレオチドのライブラリーであって、各ポリヌクレオチドが、少なくとも3箇所の所定の制限エンドヌクレアーゼ部位が隣接する関心対象のオープンリーディングフレームを含み、3箇所の所定の制限酵素部位のうちの2箇所が互いに適合せず、3箇所の所定の制限酵素部位のうちの2箇所が互いに適合し、各関心対象のオープンリーディングフレームには、該所定の制限酵素部位が欠如している、ライブラリー。
【請求項36】
関心対象のオープンリーディングフレームを含む単離されたポリヌクレオチドであって、該関心対象のオープンリーディングフレームの一方の末端には、NgoM IVによって切断可能な配列が隣接しており、該関心対象のオープンリーディングフレームの他方の末端には、Xma IおよびCla Iによって切断可能な配列が隣接している、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項37】
単離されたポリヌクレオチドのライブラリーであって、各ポリヌクレオチドが、関心対象のオープンリーディングフレームを含み、各関心対象のオープンリーディングフレームの一方の末端には、NgoM IVによって切断可能な配列が隣接しており、各関心対象のオープンリーディングフレームの他方の末端には、Xma IおよびCla Iによって切断可能な配列が隣接しており、該関心対象のオープンリーディングフレームには、NgoM IV、Xma I、およびCla Iによって切断可能な配列が欠如している、ライブラリー。
【請求項38】
請求項37記載の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項39】
請求項38記載のベクターを含む組換え宿主細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【公表番号】特表2009−512441(P2009−512441A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536632(P2008−536632)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/060065
【国際公開番号】WO2007/076166
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508087044)イントレキソン コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】