説明

モジュロ2pi残差トラッキングを用いた超音波流量センサ

本発明は、超音波トランスジューサ(A,B)によって測定区間(L)内に入力結合された超音波センサ(6)の超音波信号(15)の伝搬時間(t)を求める方法であって、超音波信号(15)の伝搬時間(tmes)の尺度として基準クロック(8)に対する超音波信号(15)の位相シフト(ΔΦ)と残差成分(r(t))とを求めるようにした方法に関する。受信した超音波信号(15)をクロック信号(8)と位相シフトさせたクロック信号(9)とを用いて区分的に反転させる直交復調法によって前記位相シフト(ΔΦ)を求め、超音波信号(15)の特性量(ts)から残差成分(r(t))を求めるようにすれば、伝搬時間の測定を少ないハードウェアコストで非常にロバストに実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念による超音波流量センサの超音波信号の遅延時間を求める方法と請求項10の上位概念による超音波流量センサとに関する。
【0002】
超音波流量センサは、特に、導管を通るガス状又は液状の媒体の体積流量もしくは質量流量又は流速の測定に使用される。公知の超音波流量センサは流れ方向にずらして配置された2つの超音波トランスジューサを有しており、これらの超音波トランスジューサがそれぞれ超音波信号を発生させ、それを他方の超音波トランスジューサに送信する。超音波信号はそれぞれ他方のトランスジューサにより受信され、電子ユニットによって評価される。その際、流れ方向の信号と反対方向の信号の伝搬時間の差が流体の流速の尺度となる。
【0003】
図1は、2つの超音波トランスジューサA,Bを備えた超音波流量センサの一般的な構成が示したものである。この図において、超音波流量センサA,Bは導管3内に配置されており、距離Lで互いに向かい合っている。流体1は矢印2の方向に速度vで導管3内を流れる。測定区間Lは流れ方向2に対して角度aだけ傾いている。測定中、超音波流量センサA,Bは相互に超音波信号を送信しあい、送信された超音波信号は流れの方向に応じて減速又は加速される。その際、音波信号の伝搬時間が測定すべき流速の尺度となる。
【0004】
図2は、図1の構成による電気回路の非常に簡略化した図示的表現を示したものである。2つの超音波トランスジューサA,Bは制御・評価電子ユニット4に接続されており、発振器により所定のクロック周波数8(矩形波信号)で励起される。これにより発生した超音波信号15(ここでは超音波信号15のエンベロープ16のみが図示されている)は測定区間Lを走破し、それぞれ他方の超音波トランスジューサA,Bによって検出される。その際、信号15の伝搬時間t12及びt21が測定される。
【0005】
超音波信号15の伝搬時間測定のためには、超音波信号15の受信時点が一意的かつ正確に求められることが非常に重要である。様々なイベントが超音波信号の受信時点として定められうる。従来技術からは、例えば、信号振幅が所定の閾値を超えた後の超音波信号15の最初のゼロ交差N0を「受信時点」として定義することが知られている。代替的に、例えば、最大振幅の時点又は超音波信号15のエンベロープの重心を受信時点として定義してもよい。さらには、超音波信号15の伝搬時間を基準クロック8に対する信号の位相を評価することにより求めることも公知である。伝搬時間測定の従来の方法は通常、比較的コストのかかるものであるか、又は妨害信号に対して十分にロバストでない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、超音波流量センサの超音波信号の伝搬時間を求める方法、ならびに特別な信号評価を用いた超音波流量センサを、特に簡単に実施でき、かつ妨害信号に対して高いロバストネスを有するように構成することである。
【0007】
本発明によればこの課題は請求項1および請求項10に記載の特徴によって解決される。本発明の他の実施形態は従属請求項の対象である。
【0008】
本発明の基本思想は、基準クロックに対する超音波信号の位相位置(ΔΦ)を直交復調により求め、超音波信号の総伝搬時間を位相位置(ΔΦ)と2piの整数倍である残差成分(r(t))とから計算することにある。位相位置(ΔΦ)を求めるために、超音波信号はクロック信号と位相シフトさせたクロック信号とによって区分的に反転させられる。区分的に反転させられた信号はそのあと有利には積分又はフィルタリングされ、三角関数の計算により位相位置(ΔΦ)が求められる。残差成分(r(t))は、本発明によれば、例えばエンベロープの重心の受信時点のような、超音波信号の所定の受信イベントから求められる。直交復調の特別な利点は、この技術が信号の位相シフトを生じさせることなく、妨害信号に対して非常に帯域の狭いフィルタのように作用することにある。RC素子を用いた従来の帯域通過フィルタリングは、例えば、温度によってドリフトする位相シフトを引き起こしかねないため、潜在的に伝搬時間測定の誤差につながりうる。直交復調法の妨害信号に対する並外れたロバストネスにもかかわらず、そのために必要なハードウェアコストは例えば相互相関のような類似のロバストな方法に比べて比較的低い。最終的に残差成分(n・2pi)が計算される基となる超音波信号の受信イベントは、有利には、信号振幅に依存しない超音波信号の量、例えば、受信した超音波信号の重心、信号のエンベロープの重心、又は信号振幅に依存しない他の量の時点である。これは信号振幅が異なっても受信時点がシフトしないという利点を有している。
【0009】
本発明の有利な実施形態によれば、残差成分(r(t)=n・2pi)は超音波信号のエンベロープの重心から求められる。
【0010】
残差成分r(t)は有利には受信イベント(ts)、位相位置(ΔΦ)、及びオフセット値(to)の関数として計算され、次の式が成り立つ: r(t) = f(ts, ΔΦ, to)。
【0011】
この関数fは、有利には、ある値を次の整数へ丸める丸め関数(例えば、round)を含んでいる。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、丸めの程度を示すばらつきパラメータが評価ユニットによって計算される。伝搬時間の計算はこのばらつきパラメータが可能な限り最も小さい場合に特に正確かつロバストである。それゆえ、本発明によれば、ばらつきパラメータを小さな値へと制御すること、ならびに、このためにオフセット値(to)を相応して調整することが提案される。オフセット値(to)は、有利には、ばらつきパラメータの絶対値が時間平均で所定の閾値を超えた場合に変更される。
【0013】
ばらつきパラメータ制御の際、有利には、ばらつきパラメータ(s)の絶対値の時間平均が計算される。代わりに又はそれに加えて、ばらつきパラメータ(s)の時間平均を計算してもよい。
【0014】
基準クロック又は位相シフトさせた基準クロックで反転させられた超音波信号は、有利には、それぞれ1つの積分器に供給され、この積分器がこの信号を複数の位相にわたって、有利には超音波信号の全持続時間にわたって積分する。そして、積分器の出力信号から有利には位相位置(ΔΦ)が求められる。積分器の代わりに、選択的にフィルタ回路を設けてもよい。
【0015】
区分的に反転させられた超音波信号は、有利には、さらに基準クロックの1周期にわたって信号を積分する積分器の第2の組に供給される。これらの積分器の出力信号から有利にはエンベロープが計算される。なお、このエンベロープの重心(ts)が超音波信号の受信時点を表す。
【0016】
超音波信号の伝搬時間を受信した信号の基準クロックに対する位相位置(ΔΦ)と残差成分(r(t))とから計算する本発明に従って形成された超音波流量センサは、超音波信号を送信及び/又は受信するための少なくとも1つの超音波トランスジューサと、クロック信号を生成する超音波トランスジューサに接続された発振器と、制御・評価ユニットとを有している。評価ユニットは、本発明に従い、超音波信号の位相位置(ΔΦ)を直交復調法で求める装置(回路又はソフトウェア)と、例えばエンベロープの重心のような受信イベントを求め、それから残差成分(r(t))を計算する装置(回路又はソフトウェア)とを有しており、受信された超音波信号はクロック信号の周波数又はpi/2だけシフトしたクロック信号の周波数によって区分的に反転される。
【0017】
それ以外には、制御・評価ユニットは前記した機能のうちの1つ又は複数を実施することができるように実現されている。
【0018】
以下に、添付図面に基づいて本発明の実施例をより詳細に説明する。
図1は、2つの超音波トランスジューサを備えた従来技術から公知の超音波流量センサを示している。
図2は、関連する制御・評価電子ユニットを備えた超音波流量センサを示している。
図3は、個々の超音波信号の信号推移をそのエンベロープととも示している。
図4は、直交復調法で動作する評価電子ユニットを備えた超音波流量センサの特別な実施形態を示している。
図5aは、位相位置計算を表したグラフを示している。
図5bは、図4の積分器の出力信号の推移を示している。
図5cは、超音波信号から計算されたエンベロープの推移を示している。
図6は、オフセット値toに依存するばらつきパラメータ|s|の時間平均を示している。
図7は、さまざまな信号妨害の場合について、オフセット値toに依存するばらつきパラメータ|s|の推移を示している。
図8は、強さの異なる妨害の場合について、オフセット値toに依存する平均したばらつきパラメータsの推移を示している。
【0019】
図1から3の説明に関しては、明細書の冒頭を参照されたい。
【0020】
図4には、2つの超音波トランスジューサA,Bと制御・評価電子ユニット4とを備えた超音波流量センサ6の実施形態が示されている。電子ユニット4は、トランスジューサA,Bを励起するためのクロック信号8を発生させる発振器7を含んでいる。2つのトランスジューサAはこれにより超音波信号15を発生させ、超音波信号15はそれぞれ他方のトランスジューサに伝送され、そこで検出される。信号15の一方の方向における伝搬時間t12と他方の方向における伝搬時間t21とから、最終的に流動媒体1の流速v又は質量流量を計算することができる。
【0021】
超音波信号15の伝搬時間は位相としても表現され、次の式が成り立つ:
t 〜 n・2pi + ΔΦ または
t 〜 r (t) + ΔΦ
ここで、ΔΦは受信した超音波信号15の基準クロック8に対する位相位置であり、n・2pi又はr(t)は全位相の残差成分であり、nは伝搬時間中の全波列の個数である。
【0022】
位相位置ΔΦはここでは2つの積分器12,13による直交復調法で求められる。(直交復調法は択一的にアナログでも、例えば反転増幅器又は非反転増幅器によっても実現することができる。)残差成分r(t)は、例えばエンベロープ16の重心の受信時点のような、超音波信号15を特徴付ける量から計算される。
【0023】
位相位置ΔΦを求めるために、電子ユニット4は受信信号15をデジタル化するA/D変換器14と以下に説明する他のエレメント10−13を有している。デジタル化された受信信号は2つの信号経路に分割され、基準クロック8又はpi/2だけ位相シフトさせた基準クロック9の状態に応じて変更されないまま転送されるか、又は反転させられる。例えば、デジタル化された受信信号は「ハイ」の状態では変更されず転送され、「ロー」の状態では反転される。基準クロック信号8とpi/2だけシフトさせたクロック信号9はユニット20によって発振器クロック8から生成される。デジタル化された受信信号15の変更なしの転送と反転は値+1と−1とによる乗算に対応している。それゆえ、関連する信号演算は2つの乗算器10,11によって示されている。
【0024】
区分的に反転させられた信号は後置接続された2つの積分器12又は13に供給され、これら積分器が信号をその全持続時間にわたって積分する(積分器の代わりに、ローパスフィルタリングを用いてもよい)。
【0025】
2つ積分値u1及びu2はベクトルuの成分を表しており、このベクトルuの座標系に対する角度がまさに位相位置ΔΦである。図5aには、ベクトルuとその成分u1及びu2、ならびに角度ΔΦが示されている。信号u,u’の評価は、例えばマイクロコントローラ(図示せず)のような電子ユニットによって行われる。
【0026】
図5bには、超音波信号15の時間積分の推移が示されている。位相位置ΔΦは、終了値u1,u2から、例えばarctan(u1/u2)又はatan2(u1,u2)のような三角関数を介して計算することができる。有利には、次の関係式が立てられる:
ΔΦ = atan2(u1,u2)
この関数は一意ではなく、モジュロ2piで周期的である。
【0027】
残差成分(r(t)=n・2pi、nは整数)はここでは超音波信号15のエンベロープの重心tsから計算される。(選択的に、信号振幅に依存しない他の量を参照してもよい)。このために、デジタル化された信号と区分的に反転された信号はそれぞれ1つの積分器18又は19に供給され、それぞれ基準クロック8の1周期にわたって積分される。その際、積分は各周期ごとに新たにゼロから始まる。出力信号u1'(i)ないしu2'(i)から、図5cに示されているエンベロープ17が得られる。積分器18、19は乗算器10、11に接続されており、クロック入力側において基準クロック8によりクロッキングされる。ここで、iは超音波信号15の各周期のランニングインデックスである。
【0028】
次いで、このエンベロープ17から重心tsが特徴的な時点として求められる。この特徴的な時点tsが超音波信号の総伝搬時間tmesの粗い尺度を提供する。重心tsに関しては、例えば次の式を立てることができる:
【数1】

ここで、h(i) = u1'(i)2 + u2'(i)2である。計算ステップ(u1,u2)を少なくするためと、比較的大きな信号振幅を不均衡に重く重み付けするために、ここでは、エンベロープではなく2乗したエンベロープh(i)を用いた。
【0029】
前述した位相位置ΔΦ=atan2(u1,u2)のモジュロ2piの多価性のため、総伝搬時間は流速に対して鋸波状の推移を示す。
【0030】
伝搬時間に関して連続的な直線の特性曲線を得るためには、測定された位相位置ΔΦに階段関数r(t)を加えなければならない。その際、階段関数r(t)のジャンプがつねに鋸波曲線ΔΦ(t)のジャンプと同時に起こることが重要である。所望の残差成分r(t)は例えば量trest(伝播時間残差)から導出される。ここで、次の式が成り立つ:
r(t) = f(trest), ただし trest = ts−ΔΦ+to
ここで、toは後で説明する定数オフセット値である。この伝播時間残差trestは正確な位相シフトΔΦを差し引いた超音波信号15の総伝搬時間tの粗い尺度である。
【0031】
たしかに関数trest(t)は階段状であるが、妨害信号、乱れ、又はエンベロープの変化に起因する雑音がこの関数に重畳している。階段関数r(t)は、したがって、直接trest(t)によって定義されるのではなく、有利には丸め関数によって定義される。ここで、次の式が成り立つ:
r(t) = 2pi・round(trest(t)/2pi) .
ここで、関数roundは数値を次の整数に切り上げ又は切り下げする丸め関数である。
【0032】
オフセット値toに関しては次のように述べることができる:伝搬時間残差trestがちょうど丸め関数の(切り上げと切り下げの)境界にある値をとると、残差成分r(t)にジャンプが生じかねない。したがって、信号のジャンプを避けるために、オフセット値toは関数r(t)の丸めの程度が時間平均してできるだけ小さくなるように選ばれる。丸めの程度を決定するため、以下に、ばらつきパラメータsが定義される:
s = g(ts,to,ΔΦ) = round(trest/2pi)−trest/2pi.
ばらつきパラメータsはまた、trestがどれほど丸められるか又は理想的な階段関数r(t)からどれほど離れているかを示す。オフセット値toは、|s|が複数の伝搬時間測定にわたって時間平均して可能な限り最も小さくなる場合に、ちょうどよく選択されている。この場合、切り上げと切り下げはほぼ正確に同じ頻度で行われる。
【0033】
超音波トランスジューサA,Bの減衰パラメータの変化のため、エンベロープ17は時間とともに変化することがありうる。これにより、またしても信号のジャンプが生じかねない。それゆえ、オフセット値toを変化させ、ばらつきパラメータをできるだけ小さな値へ制御することが提案される。その場合、|s|の時間平均値を所定の閾値Smaxと比較し、|s|の時間平均値が閾値Smaxを超えていたら、オフセット値toを変化させるようにしてもよい。閾値Smaxは例えばおよそSmax=0.3に設定することができる。選択的に、|s|の時間平均値を(ゼロに向かって)極小値へと制御してもよい。
【0034】
図6には、|s|の時間平均値の推移が示されており、ここで、曲線22は時間的に比較的初期の状態を表し、曲線23はエンベロープ17の形が変化した時間的に比較的後期の状態を表している。曲線23では、時間平均値|s|は矢印Aに従ってより高い値へ上昇している。制御の際に、オフセット値toはばらつきパラメータの時間平均値|s|が極小となるように変化させられる(矢印B参照)。
【0035】
図7aには、妨害の強さが異なる場合について、|s|の平均値の推移が示されており、ここで、曲線24は信号妨害が比較的弱い場合の状態を表しており、曲線25は信号妨害が比較的強い場合の状態を表している。図から気づかれる通り、曲線25の極小値はカーブの程度がより弱いため、より不明確に定められている。
【0036】
図7bには、信号妨害が弱い場合(曲線27)と信号妨害が強い場合(曲線28)とについて、時間平均値sの推移に相当する曲線が示されている。
【0037】
曲線25の極小値の領域では、

はオフセットパラメータtoに線形に依存し、信号妨害には僅かにしか影響されない。この場合、最良の制御ストラテジーはオフセットパラメータto

となるように変化させることである。ただし、そもそもこの制御領域に達するためには、さらに絶対値

の時間平均値が必要とされる。例えば

が最大ならば、同様に

ではあるが、オフセット値toは不適切に選択されている。このことを考慮するために、例えば、

が所定の閾値よりも大きいのか否か、例えば

であるか否かをまず検査するようにしてもよい。この場合、

はtoを±3/4・piだけ変化させることにより直ちに領域

内に移される。toの変化は

の場合には正の方向に、

の場合には負の方向に行われなければならない。
【0038】
それに対して、平均値

が閾値よりも小さい場合、例えば

である場合には、to

で代替される。このように、

はつねに隣りの極小値へと再調整され、しかもその際に制御変動が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】2つの超音波トランスジューサを備えた従来技術から公知の超音波流量センサを示す。
【図2】関連する制御・評価電子ユニットを備えた超音波流量センサを示す。
【図3】個々の超音波信号の信号推移をそのエンベロープととも示す。
【図4】直交復調法で動作する評価電子ユニットを備えた超音波流量センサの特別な実施形態を示す。
【図5a】位相位置計算を表したグラフを示す。
【図5b】図4の積分器の出力信号の推移を示す。
【図5c】超音波信号から計算されたエンベロープの推移を示す。
【図6】オフセット値toに依存するばらつきパラメータ|s|の時間平均を示す。
【図7】さまざまな信号妨害の場合について、オフセット値toに依存するばらつきパラメータ|s|の推移を示す。
【図8】強さの異なる妨害の場合について、オフセット値toに依存する平均したばらつきパラメータsの推移を示す。
【符号の説明】
【0040】
1 流れる液体
2 流れ方向
3 導管
4 制御・評価ユニット
5 トランスジューサ出力信号
6 超音波流量センサ
7 発振器
8 クロック信号
9 位相シフトさせたクロック信号
10 乗算器
11 乗算器
12 積分器
13 積分器
14 A/D変換器
15 超音波信号
16 エンベロープ
17 計算されたエンベロープ
18 積分器
19 積分器
20 時間制御ユニット
21 ORゲート

【0041】
L 測定区間
A,B 超音波トランスジューサ
s エンベロープの重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスジューサ(A,B)によって測定区間(L)内に入力結合された超音波センサ(6)の超音波信号(15)の伝搬時間(t)を求める方法であって、超音波信号(15)の伝搬時間(t)の尺度として基準クロック(8)に対する超音波信号(15)の位相シフト(ΔΦ)と残差成分(r(t))とを求めるようにした方法において、受信した超音波信号(15)をクロック信号(8)と位相シフトさせたクロック信号(9)とを用いて区分的に反転させる直交復調法により前記位相シフト(ΔΦ)を求め、超音波信号(15)の特性量(ts)から残差成分(r(t))を求めることを特徴とする超音波センサ(6)の超音波信号(15)の伝搬時間(t)を求める方法。
【請求項2】
受信した超音波信号(15)の振幅に依存する超音波信号(15)の量から前記残差成分(r(t))を求める、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記残差成分(r(t))は前記特性量(ts)と前記位相シフト(ΔΦ)とオフセット値(to)との関数である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記オフセット値(to)は可変である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記残差成分(r(t))は丸め関数(round)を含んでいる、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
丸めの程度を示すばらつきパラメータ(s)を計算する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ばらつきパラメータ(s)を小さな値へと制御する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
制御の際に、連続する複数の測定にわたるばらつきパラメータ(s)の時間平均を計算する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
区分的に反転された超音波信号(15)をそれぞれ1つの積分器(18,19)により積分し、その際、クロック信号(8)の各周期ごとに新たに積分を開始し、積分器(18,19)の出力信号から残差成分(r(t))を求める、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
とりわけ導管(3)を流れる媒体(1)の流速を求める超音波センサであって、超音波信号(15)を送信及び/又は受信する少なくとも1つの超音波トランスジューサ(A,B)と、該超音波トランスジューサ(A,B)に接続された発振器(7)と、超音波信号(15)の伝搬時間(t)の尺度として受信した超音波信号(15)のクロック信号(8)に対する位相シフト(ΔΦ)を求める評価ユニットとを有する形式の超音波センサにおいて、前記評価ユニット(4)は、直交復調法により前記位相シフト(ΔΦ)を求める装置(10−13)と、特性量(ts)を求め、この特性量(ts)から伝搬時間(t)の残差成分(r(t))を計算する装置(18,19)とを有している、ことを特徴とする超音波センサ。
【請求項11】
前記評価ユニット(4)は受信した超音波信号(15)のエンベロープ(17)の重心(ts)を求める、請求項10記載の超音波流量センサ。
【請求項12】
前記評価ユニット(4)は、受信した超音波信号(15)をクロック信号と位相シフトさせたクロック信号(9)とを用いて区分的に反転させる反転器(10,11)と、クロック信号(8)を用いて反転させられた超音波信号(15)が供給される第1の積分器(12)と、位相シフトさせたクロック信号(9)を用いて反転させられた超音波信号(15)が供給される第2の積分器(13)を含んでいる、請求項10又は11記載の超音波流量センサ。
【請求項13】
前記評価ユニット(4)は、クロック信号(8)を用いて反転させられた超音波信号(15)が供給される積分器(18)と、位相シフトさせたクロック信号(9)を用いて反転させられた超音波信号(15)が供給される積分器(19)とを含んでおり、積分は信号(15)の各周期ごとに新たに開始される、請求項10から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記評価ユニット(4)は前記残差成分(r(t))を受信イベント(ts)と位相シフト(ΔΦ)とオフセット値(to)との関数として計算する、請求項9から13のいずれか1項記載の超音波流量センサ。
【請求項15】
前記評価ユニット(4)は前記残差成分(r(t))を丸め関数(round)を用いて計算する、請求項10から14のいずれか1項記載の超音波流量センサ。
【請求項16】
前記評価ユニット(4)は丸めの程度を示すばらつきパラメータ(s)を計算する、請求項15記載の超音波流量センサ。
【請求項17】
前記評価ユニット(4)はばらつきパラメータ(s)を制御する、請求項16記載の超音波流量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−528980(P2008−528980A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552537(P2007−552537)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056520
【国際公開番号】WO2006/081887
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】