モジュール原子間力顕微鏡
古い世代のこれらの装置では徐々に提供不能になりつつある、迅速な測定結果を提供するモジュールAFM/SPMであって、より小さな力とより小さな移動を以てノイズ・アーチファクトのない小プローブを使用するモジュールAFM/SPM。モジュールAFM/SPMは、シャーシ、機器のモジュールを支持する基盤、サンプルとプローブを観察するオプティックを提供するビュー・モジュール、光てこ機構用部品を提供すると共にこれらの部品を操舵しかつ合焦させるヘッド・モジュール、サンプルをそれらの次元で作動させるXYZ並進ステージと係合機構を提供するスキャナ・モジュール、シャーシを収納して機器を遮音及び熱的分離状態にする隔離モジュール、及び別のコントローラと共に画像を獲得・処理すると共に機器の他の機能を制御する電子技術を提供する電子モジュールを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多様な材料の特徴を分子や原子レベルの解像度で示す画像やその他の情報を獲得するため、例えば原子間力顕微鏡(AFM)などの走査プローブ装置が使用可能である。さらに、AFMは、力−距離曲線や力曲線として知られる測定モードで、ピコニュートンからマイクロニュートンの範囲に至るまで力を正確に測定可能である。より小さな力の測定とノイズ・アーチファクトのない動作を要求しつつの解像度要求の増加に伴い、旧世代のこれら装置は時代遅れになってきている。望ましいアプローチとしては、最小なるノイズで小さな力と動作を測定するという重要課題に対処しつつ、小さなカンチレバーを使用する際や、電気技術や、生物学やエネルギー研究のための光学技術、ナノインデンテーションや電気化学のような特定用途を実行する際に、装置の性能を最大限に利用するモジュール配列を提供するような装置にある。
【背景技術】
【0002】
便宜上、この説明は、走査プローブ装置の特定実施形態である、原子間力顕微鏡(AFM)で実現し得るシステムと技術に焦点を当てている。走査プローブ装置には、AFMのような機器や、3D分子力プローブ機器、走査型トンネル顕微鏡(STM)、高分解能表面形状測定装置(含む、メカニカル・スタイラス表面形状測定装置)、表面改質機器、ナノインデンター、化学的/生物学的走査型プローブ、電気計測用機器、及びマイクロ作動装置が含まれる。ここで説明されるシステムと技術、そのような他の走査型プローブ装置において具現化することも可能である。
【0003】
AFMは、プローブ端部の鋭い先端をサンプルの表面に対して走査(例えばラスタリング)しながら地形情報(及び/又は他のサンプル特性)を得る装置である。プローブの撓みや発振の変化を検出し(振幅、撓み、位相、周波数等の小さな変化を検出し)、基準状態にシステムを戻すためにフィードバックを用いることで、情報と特性が獲得される。サンプルに対して先端を走査することによって、サンプル地形や他の特性の“マップ”が獲得されるかもしれない。
【0004】
プローブの撓みや発振の変化は、典型的には、光てこ機構により検出され、それにより、光線はプローブの先端の反対にある側へと向けられる。プローブから反射した光線は、位置敏感検出器(PSD)を照射する。プローブの撓みや発振が変化するのに伴い、PSD上の反射スポットの位置もまた変化し、結果としてPSDからの出力を変化させる。プローブの撓みや発振が変化すると通常、撓み又は発振を一定の既定値に維持するように、サンプルに対するプローブ・ベースの垂直方向位置(ここでは、サンプルによって定義されるXY平面に対し略垂直なZ方向の位置の変化として呼ぶことにする)が変化することになる。それこそが通常、AFM画像を生成するのに使用されるフィードバックである。
【0005】
AFMは、プローブ先端がサンプル表面に接するような接触モード、先端が接触しないか或いは間欠接触するしかない状態になるACモードなど、多くの異なったサンプル特性モードで操作することができる。
【0006】
アクチュエータは、一般的に、AFMで使用され、例えばサンプル表面にわたってプローブをラスタしたり、サンプル表面に対しプローブ・ベースの位置を変えたりする。アクチュエータの目的は、AFMの異なった部品、例えばプローブとサンプルの間に相対移動を提供することにある。目的や結果に応じて、サンプルやプローブを作動したり、その両方の組み合せを駆動させることが有益の場合もある。センサもまた、AFMにおいて一般的に使用される。センサは、アクチュエータによって生じる移動を含み、AFMの様々な部品の移動、位置、或いはその他の属性を検出するのに使用される。
【0007】
本明細書においては、他に指摘されていない限り、(i)“アクチュエータ”という用語は、入力信号を物理的運動に変換する広範囲の装置を指すものであって、ピエゾ作動湾曲部、圧電チューブ、圧電スタック、ブロック、バイモルフやユニモルフ、リニアーモータ、電わいアクチュエータ、静電気モータ。 容量モータ、ボイスコイル作動装置、磁歪アクチュエータなどを含み、(ii)“センサ”や“位置センサ”という用語は、変位や速度や加速度などの物理量を電気信号などの1つ以上の信号に変換したり、逆の変換もするような装置を指しており、例えば光偏向検知器(含む、PSDとして上述したもの、それら全体を参照することにより本願明細書に含まれる同時係属出願中の米国特許出願公開第2003/0209060号及び同第2004/0079142号“計測装置の移動を隔離・測定するための装置及び方法−Apparatus and Method for Isolating and Measuring Movement in Metrology Apparatus”で記述されたもの)、容量センサ、誘導センサ(含む、渦流センサ)、差動変圧器(例えば、それら全体を参照することにより本願明細書に含まれる米国特許第7,038,443号と同時係属出願中である米国特許出願公開第2002/0175677号“高精度位置測定用直線可変式差動変圧器‐Linear Variable Differential Transformers”と同第2004/0056653号“デジタルエレクトロニクス型直線可変式差動変圧器−Linear Variable Differential Transformer with Digital Electronics”で記述されたもの)、可変リラクタンス、光学干渉計、歪ゲージ、圧電センサ、磁歪・電歪センサを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0209060号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0079142号
【特許文献3】米国特許第7,038,443号
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0175677号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0056653号
【0009】
最新AFMの幾つかは100μm2まで撮像可能であるが、通常は1μm2〜10μm2時代で使用される。そのような画像は通常、取得に4〜10分を要する。最近では、往々にして“ビデオ速度”撮像と呼ばれるものに対する試みがなされてきている。一般的に、この用語を使用する場合には、1秒間に1フレームの速度から1秒間に30フレームの速度という真のビデオ速度で画像を生成することを含んでいる。ビデオ速度での撮影は、動くサンプルの撮像、より短命の事象の撮像、及びよりタイムリーなベースでの単純な完結撮像を可能にすることになる。ビデオ速度撮影にあたって1つの重要な手段は、プローブの質量を減少させることであり、これにより同程度又はそれより低いバネ定数を以てより高い共鳴周波数を達成することができる。
【0010】
従来型のAFMプローブは、10〜500kHzの基本共鳴周波数(fR)、0.01〜200N/mのバネ定数で現在、50〜450μmの長さを有する。典型的な許容騒音レベルを鑑みると、物理法則によって、達成可能な解像力と従来型プローブのスキャン速度に対し、より低い制限を加えている。
【0011】
最も高い解像度の測定結果を得るため、人はプローブ先端がサンプルに対し小さな力しか課さないことを欲する。例えば、生物学の分野においては、あまりに軟かいために10pN以上の力を課すと変形してしまったり傷ついたりするようなサンプルを扱うことが往々にしてある。これは又、無機の結晶などのような硬いサンプルを高解像度測定する際にも、より高い力がサンプルへの押圧作用を持ち、相互作用領域を増やして解像度を低めるため、当てはまることである。プローブを所定量撓めるためには、力はプローブのバネ定数(k)と共に増加する。先端はサンプル面と断続的だけに接するようなACモードでの空気中作動する際には、30N/m下のバネ定数が好ましい。流体中での通常作動では、非常に小さなバネ定数(約1.0N/m以下)が好ましい。
【0012】
より高いスキャン速度での測定結果を得るために、人は高いfR値を持つプローブを欲する。サンプルの特徴を考慮しない状態で、プローブの応答性は接触モードでは約1/fR秒、ACモードでQ/fR秒(但し、Q:プローブの品質係数)である。これはスキャン速度に基本的限界を設定する。即ち、プローブの応答時間を下げることは高いfR値を持つプローブが必要となり、ACモードの場合、低Q値か高fR値のどちらか、あるいは双方を持つようなプローブが必要となる。
【0013】
fR値が高いことは又、運転が低ノイズであることを意味する。プローブの熱雑音は、ほぼfRまでの周波数域に亘る次数kT(但し、k:ボルツマン定数、T:ケルビン温度)の一定のノイズエネルギを含んでいる。したがって、fR値が高ければそれだけfR以下での単位帯域幅当たりのノイズが低くなる。
【0014】
共鳴周波数が高く、バネ定数が低いプローブは、それ自身を小さくかつ薄く作ることで達成できる。しかしながら、プローブが従来型のものよりかなり小さい現AFMを使用することは問題がある。一般に、最適な光てこを検出するためには、プローブ先端の反対側にあるプローブ側を指向する光線からのスポットが、プローブの長さに沿う領域を実質的に満たさなければならない。満たし方が不十分な状態では、反射した光線が必要以上に分岐するために、結果として光てこ検出効率が損失してしまう。満たし方が過剰であることは、光を失い、にサンプルから反射される光のせいで無用な干渉フリンジを生み出すことを意味している。
【0015】
ビデオ速度撮像のための1つの理想的なプローブは、5〜10MHzのfRと1〜40N/mの力定数を持つことになるであろう。これは、従来のプローブを概算で、長さ寸法又は幅寸法で約5〜8μmまで縮小化することを意味している。そのような縮小化は、スポットが実質的にプローブを満たすという要件と共に、プローブ上のスポットも又縮んだ状態にならざるを得ないことを意味する。プローブ上に入射する光線を生成する光学システムは、光源からの光の波長と共に、少なくとも一方向に直径約5〜8μmの合焦スポットを形成するのに十分な開口数(NA)を持つべきである。
【0016】
そのようにスポットを縮小するのに必要な比較的大きな開口数は結果的に浅い焦点深度をもたらすことになる。これは、1プローブを別のものに交換する時、或いはプローブを1個以上のカンチレバーと共に使用する時に必要な再焦点合せ処理に伴う問題を提起する可能性がある。更に、高い開口数を達成するのに使用される入射光線の大開口角は、複雑なレンズシステムやプローブに接近したレンズ集積配置を必要とする可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のモジュールAFMのブロック図である。
【図2】遮熱・遮音チャンバを示す図である。
【図3】プローブとサンプルを見るのに使用されるオプティックスの概略図である。
【図4】交換可能なエミッタアセンブリを伴い、プローブ上に合焦したエミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスの概略図である。
【図4B】エミッタによって射出された光のコヒーレンス長を制御する実施形態の概略図である。
【図4C】合焦したエミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスからエミッタを離反配置した実施形態の概略図である。
【図5】2つの異なる交換可能エミッタアセンブリで取られた、プローブのための撓み信号の2つの異なる振幅スペクトル密度を示す図である。
【図6】2つの異なる交換可能エミッタアセンブリから形成された2つの合焦エミッタスポットの光学像を示す図である。
【図7】スキャナの好適実施形態の詳細な実例としての写真と物理的モデル断面を示した図である。
【図8A】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間にある従来の機械的な関係を示す従来技術図である。
【図8B】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間にある、もう1つの従来の機械的な関係を示す従来技術図である。
【図9】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間の機械的な関係の好適実施形態を示す図である。
【図10】好適実施形態において撮られたグラファイトのフィルタなし/未処理STM高さ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態の全体ブロック図であって、モジュールAFMを示している。ブロック図はそれぞれ異なった機能を実行する異なるサブアセンブリを示している。シャーシ100は、その上にモジュールAFMのモジュールを支持する基盤である。ビュー・モジュール300はサンプルとプローブを見るためのオプティックスを提供する。ヘッド・モジュール400は、光てこ機構の部品と、それらの部品を操縦しかつ合焦するための部品を具備する。スキャナ・モジュール500は、それらの次元においてサンプルを作動させるXYZ並進ステージと、係合機構とを備えている。各隔離モジュール200は、シャーシ100を密封し、モジュールAFMに対し、遮音及び/又は熱的遮断状態を提供する。電子モジュール600はモジュールAFM用コントローラと共に、画像を取得・処理すると共にモジュールAFMの他の機能を制御するための電子機器を提供する。電子モジュール600はシャーシ100の他のモジュールに隣接して取り付けられるが、隔離モジュール200の外側に取り付けられる。これらの全てのサブアセンブリが、交換可能であって、アップグレードの可能性を有している。これは、新しい技術が利用可能になった際には新技術へのアップデートを可能にするものである。
【0019】
以上のモジュールは、交換できアップグレードの可能性がある特定のサブモジュールを備えている。後で詳しく説明するが、これらのサブモジュールの内、2つが特に重要となる。まず1番目は、運動マウントや他のインタフェースを以てヘッド・モジュール400に取り付けられる光源サブモジュール470である。光源サブモジュール470は取り外し・交換が容易であり、光てこ機構の部品である光源及びレンズの交換が容易である。2番目は、一軸の十字ローラー・ベアリングや別の直線運動ステージを以てスキャナ・モジュール500に取り付けられ、かつ係合機構の一部をなすカンチレバーホルダ・サブモジュール570である。
【0020】
隔離モジュール
シャーシ100は、モジュールAFMのサブアセンブリに対し遮音及び/又は熱的遮断状態を提供する隔離モジュール200の中に収められる。AFMを取り囲む周囲環境からの音響ノイズによってAFMの部品が移動し、機器によって生成される画像の質を低下させる。同様に温度変化もまた、2℃ごとの温度変化に付きナノメートルレベルの部品移動を引き起こす恐れがある。
【0021】
図2に示すように、隔離モジュール200はモジュールAFMのエンクロージャ201と、フレキシブル・ダクトによりエンクロージャに接続されたセパレートヒータ202とを備えている。エンクロージャ201には、音響ノイズを吸収するべく完全に閉じることができるドア(図示せず)を備えさせるようにしてもよい。隔離モジュール200はヒータ202と共に、モジュールAFMの周りに、隔離モジュール200が置かれる室温より高くなるような局部環境であって室温よりも温度バラツキが小さい環境を形成するために設けられている。なお、その隔離によって、モジュールAFMの周りに室温よりも低い局部環境であって、同様に室温よりも温度バラツキが小さい環境を形成することも可能であるが、これはより高価な代替案になるだろう。
【0022】
隔離モジュール200によってなされる断熱度合いは、図2の室温T1における相対変化を、エンクロージャ温度T2における相対的変化と比較することによって測定される。このため、エンクロージャ温度変化に対する室温変化の比率が成功の尺度として用いられるかもしれない。例えば仮に、室温が夜の内に2度下がり、エンクロージャ温度が同じ期間に亘って0.2度下がったとしたならば、断熱度合いのレベルを係数10と呼ばれるかもしれない。
【0023】
いかなるアクティブ温度制御を使用することなく、エンクロージャ201は数分間に亘って発生する変化などの温度変動を受動的に排除することになる。しかしながら、時間当たりの温度変化というような変動は、必然的にエンクロージャとモジュールAFM内部を貫通することになる。その消極的隔離レベルは、出来るだけ厚い熱的絶縁材204の層によってシャーシ100を取り巻くことによって、最大にすることができる。これは、エンクロージャの側部と上部では比較的簡単なことであるが、重い機器を支持しなければならない下部においては問題となる。それに従って、ちょうど寒冷気候において最善な状態で断熱された家でもある種の制御暖房システムを必要とするように、この状況を改善するべく何らかの形式のアクティブ温度制御が有効となる。
【0024】
本発明のモジュールAFMの制御暖房システムは、2つの同時熱源を備えている。1つはその上にシャーシ100を配置した加熱された金属プレート203である。プレートの温度はT4で測定される。図2の回路Aで示したデジタルPIDコントローラが閉じループフィードバック制御を実行する。金属プレート203は外側の部屋に対し最大の熱リンクとなる。その温度をただ制御するだけで、約5の係数なる熱的分離のレベルを達成することになる。 第2の熱源は、エンクロージャ201の内部に熱風の層流を供給することにある。流れは従来設計のフレキシブル・ダクトによりエンクロージャ201に接続されたセパレートヒータ202によって生成される。流れの測定温度はエンクロージャ201内部でT2となる。図2で特定された回路BとしたデジタルPIDコントローラは、閉じループのフィードバック制御を実行する。層流は、如何なるタイプの震動、又は他の振動も回避するほどに十分遅いことが好ましい。しかしながら、原子レベルでの撮像のため、通風シールド(図示せず)を撮像領域周りに導入することが望ましい。この通風シールドにより、従来よりある化学てんびんの内側通風シールドと同様に、プローブとサンプルをエンクロージャ内部の空気流れから保護する。
【0025】
セパレートヒータ202の使用と組み合わせた形で金属プレート203を加熱し、その温度が共に同じように保持された際には、係数25の熱的分離レベルが達成される。
【0026】
2つ同時の加熱源を使用することの効果は、金属部品、例えばスキャナモジュール500、又はシャーシ100を直接加熱することにより改善されて高められるかもしれない。このため、スキャナモジュール500の温度はT3として測定され、図2の回路AであるデジタルPIDコントローラは閉じループのフィードバック制御を実行することになるであろう。
【0027】
エンクロージャ201のドア(図示せず)は、AFMサンプル706やプローブ571を変えるためには開けられなければならない。これは、エンクロージャの温度に大きくかつ突然の変化をもたらし、エンクロージャ内気流をも変化させることになる。ドアの開閉を検知するためのセンサがドアに設けられことが好ましい。これにより温度変化や気流変化を補償するためのフィードバックループが可能となる。例えば、より高い流速確保のためファンを増加したり、更に/或いはヒータ出力をより高く設定してもよい。また随意的ではあるが、ドアが開放されかつヒータが一定の出力で作動している間は一時的にフィードバックを止め、AFM温度の安定性を最大化してもよい。フィードバックループにおけるこれら変更は、回路Aと回路Bを介して直接的実行しても良く、またAFMコントローラからの命令により間接的に実行しても良い。
【0028】
ビュー・モジュール
本発明のモジュールAFMは、ユーザーに対して高解像度のプローブとサンプル視界を与える観察機構と光てこ機構を合体化しており、AFMにとって不可欠な検出を提供している。図4に示すように、観察機構と光てこ機構は共に、ヘッドモジュール400に取り付けられた同一対物レンズ306を使用する。光てこ機構においては、対物レンズ306は、プローブ571の先端の反対側に対して光てこ光線402を指向・合焦させる働きをする。観察機構においては、対物レンズ306は追加レンズと併せて、画像センサ上にプローブ571及び/又はサンプル(図示せず)の画像を形成する作用を持つ。
【0029】
好ましくは、対物レンズ306は無限遠側が補正されたレンズであって、被写体からの光線が前方焦点面307で平行となるように設計されたレンズである。そのようなレンズの一例としては、オリンパス光学(株)で製造されたLUCPLFLN20倍/0.45NA対物レンズがある。そのようなレンズと共に、二色性ショートパスミラー405は、伝播される視野光線309の中に顕著な収差を含ませないようになっている。
【0030】
対物レンズ306が無限遠補正レンズである場合、ビュー・モジュール300は、前方焦点面307の各地点からの平行な光線の束の受光し、最小の収差をもって画像センサ340上の一点に合焦させるように設計されている。しかしながら、ある目的のために対物レンズ306は有限焦点レンズの場合もある。そのようなレンズの一例としては、ニコン(株)のCF MプランLWD20倍/0.40NAがある。そのようなレンズをもって、ビュー・モジュール300は、二色性ショートパスミラー405によって生じた収差の補正はもとより、最小の収差をもって集束光を受光し画像センサ340上の一点に合焦させるように設計されている。
【0031】
ビュー・モジュール300はシャーシ100上に据え付けられた自分自身のフレーム320に収納される。図3に示すように、ビュー・モジュール300は、照明機構、レンズ、及び画像センサを備えている。メンテナンスと較正作業のためにアクセスしたり、1つのビュー・モジュールを機能を強化させたり異ならせた他のモジュールと交換するべく、ヘッド・モジュール400からビュー・モジュール300を取り外すようにしても良い。
【0032】
観察機構は対物レンズ306を通してサンプルに照明をあてるための照明機構を備えている。これは、発光ダイオード(LED)362、開口絞り366、視野絞り368,LEDからの光をコリメートするためレンズ370、及び照明を対物レンズ306と画像センサ340の間にある光路に対し同軸状に指向させるビームスプリッタ330を備えている。その照明機構は、実質的に均等な照明域であって、視野絞り368によって設定された直径を有する、ほぼ円形の照明域をサンプル上に生成する。照明域の各地点は円錐形の照明光線の頂点である。開口絞り366は円錐の照明角度を制御する。迷光を最小限に止めるため照明域を調整することが望ましい。被写界深度と観察機構のコントラストを制御するため、照明光線の円錐角を調整することもまた望ましい。
【0033】
LED362は、350mAの試験条件において65ルーメン以上の光束を持ち、50,000時間の寿命で70%以上の光束維持形態を有する高輝度の白色発光ダイオードであることが好ましい。光束、光束維持又は発光は、より高いことが望ましい。用途によっては、他の高輝度白色や単色LEDが有効である場合もある。一例としては、より明るいイ照明光を供給するべく複数のLEDを使用することが好ましい場合もあり、サンプル上における赤色・緑色間のカラーコントラストを高めるために高輝度の赤色LEDを使用することも好ましい。
【0034】
状況によっては、観察機構のために、タングステン・ハロゲン電球やアーク放電ランプ、或いはメタルハライドランプなどの代替照明光源が好ましい場合もある。更に、ビュー・モジュール300からかなりの距離を隔てて照明光源を配置することが望ましい場合もあり、その際、照明光源は例えばフレキシブルな光ファイバの束、液体光導板、光ファイバ、或いは硬い導光板のような手段を介してビュー・モジュール300内に結合されるかもしれない。ビュー・モジュール300から照明光源を分離することで、照度がより高まり、AFMの発熱を減じるといったような利点を生むことになる。
【0035】
観察機構は、図3に示すように、照明光源の像が対物レンズ306の後方焦点面350近傍の平面に結像されるようにビュー・モジュール300のレンズを配列することで、プローブ571やサンプルに対しケーラー照明をなすように構成してもよい。
【0036】
LED362やLED群を照明光源として用いる場合、LED362の後にビーム・インテグレータ364を導入すると効果的な場合もある。ビーム・インテグレータは、LEDの概して小さな発光域を補い、プローブ571とサンプルに対するケーラー照明の提供をより平易にする。望ましくは、ビーム・インテグレータ364は、磨かれた円筒面と、LED362の球面部近傍に位置するザラザラした凹面と、開口絞り366の方向に配置された平坦な粗面とを有する、ポリメタクリル酸メチルの透明な円筒体からなる。或いは、ビーム・インテグレータ364は、光学的に異なる透明ポリマーやガラスから作られているかもしれない。或いはまた、ホログラフィック拡散板をビーム・インテグレータに代えて使用しても良い。
【0037】
観察機構は、プローブ571やサンプルの画像を形成する画像センサ340を備えている。画像センサ340は、サポート電子機器と一体化した相補型金属酸化膜半導体撮像アレイからなることが好ましい。3.2μmの正方画素を伴った1/2インチ標準画像センサ(約6.4mm×4.8mm)を使用することで良好な視界と解像度を得ることができる。或いはまた、画像センサ340は当業者に既知なる別の画像センサであっても良い。
【0038】
本発明のモジュールAFMのように、光てこ機構と観察機構を結合し、更に両方の機構に対し同じ対物レンズ306を使用することには多くの運用問題が伴うことになる。まず第1に、光てこ光線402の観察機構内部への好ましからざる漏出が観測されることがよくあるが、最先端のAFMにとっては、プローブ先端の反対側のプローブ571の側部上に光てこ光線を位置決めするための手段として、上記漏出が利用できるという点でこの漏出は有用なものになり得ることに注目しなければならない。
【0039】
2番目としては、例えば観察機構には可視波長域、光てこ機構には近赤外波長域というように、各々の機構に対し異なった光波長域を使用することによって光てこ機構から観察機構を分離させることが好ましいとされる一方で、それにもかかわらず観察機構を双方の波長域に対し良好に光学補正することは有益なことである。即ち、これによって、本発明のモジュールAFMのユーザーにとっては、サンプル上の小さな特徴部分やプローブ571(ビデオ速度の撮像処理に関する特に小さいプローブ)、更にプローブ571に対する光てこ光線の位置までも見ることができ、またプローブ571上の光てこ光線の焦点合せが容易となるであろう。その光学補正に関しては、球面収差、長手方向色収差、コマ、像面湾曲、及び非点収差が、サンプル測定時、0.8mm以上の直径の視野に亘った回折限界以下になるようにしても良い。更に、以下にかかげる追加的補正、即ち、
1)観察機構の歪曲収差をサンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘り1パーセント以上低減すること;
2)観察機構に対しては、サンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘って回折限界以下となるような波長域内のラテラルカラーを作成すること;及び
3)サンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘り回折限界の3倍以下となるような、観察機構用波長域と光てこ機構用波長域との間のラテラルカラーを作成すること、もまた有効である。
【0040】
3番目に、光てこ機構や観察機構の焦点を調整することは、通常、対物レンズ306をその光軸に沿ってサンプルに対し垂直に移動することを伴う。しかしながら、一旦どちらかの機構の焦点が最適化されたならば、他方の焦点は最適でなくなるかもしれない。本発明の実施形態によっては、焦点深度が5μmぐらい短かく、かつ通常使用されるAFMプローブの先端が20μm程度の丈の場合もあるので、他方の機構を合焦状態にさせた後に一方の機構を撮像するためには、プローブの平面とサンプルの平面との間において、顕著なほどに焦点をシフトすることが必要となる場合もある。 ビデオ速度撮像処理に関連した小さなプローブに備えた場合、この焦点シフトは最大の関心事となる。
【0041】
同じ対物レンズ306を使用した光てこ機構と観察機構同士を結合することによって生じるこれらの問題の内、最後の2つについては焦点調整手段によって対処されるかもしれない。ユーザーによって焦点調整手段が作動された際には、観察機構の画像センサ340は、対物レンズ306の前方焦点面307から軸方向にずれた異なる面からの合焦画像を受ける。最大限の範囲の焦点移動は、最も近い焦点から最も遠い焦点まで測定した状態で50μmを超えることが好ましい。
【0042】
焦点調整手段の一実施形態として、多重要素レンズを使う場合もある。図3に示すように、本実施形態では2群7枚構成のレンズが使用されている。移動する第1群332は4枚から構成され、固定側の第2群334は3枚から構成されている。移動群332は、上述したように焦点移動50μm以上を達成するべく多くても20mm移動し、例えば光学的品質のフッ化カルシウムのような、アッべ数Vdが65以上の材料、又はOhara社製造のS−FPL53ガラスから作られる少なくとも1枚の正レンズ333を備える。固定群334は、例えばSchott社製造のN−SF11のようにアッべ数Vdが30以下の材料から作られる少なくとも1枚の負レンズ335を備える。
【0043】
焦点調整手段は、本手段を作動させた際には画像センサ340によって検出された画像の倍率や画像自体の歪曲収差が変化しないように設計されている。
【0044】
焦点調整手段は、内側螺旋ネジを持つナット338を回転させることによって作動する。これは、外側螺旋ネジを持つ円筒体336と係合することで、円筒体を軸方向に移動させる。円筒体336に前記移動群332が含まれる。他の構成もあり得る。 例えば、移動群332を、リードネジやボールネジによって駆動されかつクランクやノブ、或いはステップモータやDCモータによって作動されるような十字ローラー・ベアリング・ステージ又はボールベアリング・ステージ上に据え付けるようにしても良い。
【0045】
焦点調整手段には、対物レンズ306の前方焦点面307が観察機構の画像センサ340で合焦される設定(“無限状態”)に対応した印が備わっていることが好ましい。この印は、その後光てこ機構の感度を最適化するべく対物レンズ306を調整する際か、或いはプローブ及び/又はサンプルの画像を最適化するべく対物レンズ306を調整する際の基準面として用いることができる。“印”を提供する1つの手段としては、システムが“無限状態”にあることをユーザーに知らしめるような戻り止め(図示せず)をナット338に備えさせることにある。ナット338は又、その無限条件が満たされた際に電子信号を発生可能なセンサを備えることが好ましく、例えばナット338上の磁石(図示せず)を設け、その磁石に隣接したビュー・モジュール300のフレーム320上にホールセンサ(図示せず)を設けたものでもよい。これにより、本発明のモジュールAFM用作動ソフトウエアを以て、無限状態が満たされたことの指示が可能になる。これとは別な方法として“印”は、可視マーク339、電子接触スイッチ及び/又は赤外線ゲートセンサを備えるようにしても良い。
【0046】
焦点調整手段の他の実施形態としては、例えばレンズ、回折オプティックス、ハイブリッド回折/屈折オプティックス、プリズム、反射オプティックス、反射屈折オプティックス、アナモルフィックなオプティックス、ホログラフィック光学素子、傾斜屈折率オプティックス、マイクロレンズ、アレイオプティックス、コヒーレント光ファイバの束、融合光ファイバフェイスプレート、及び/又は負の屈折率を持つ材料などを組み合せることで達成されるかもしれない。
【0047】
ヘッド・モジュール
ヘッド・モジュール400はAFMに不可欠のプローブの撓みを検出する光てこ機構を備える。図4に示すように、ヘッド・モジュール400は、シャーシ100に取り付けられた自分自身のフレーム406に収容される。以下の記述を容易にするべく、図4はまた、ビュー・モジュール300とプローブ571を示している(尚、プローブはスキャナ・モジュール500の一部であって、ヘッド・モジュールではない)。
【0048】
図1に示すように、ヘッド・モジュール400はZ方向に移動可能なリニア・ステージ801を介してシャーシ100に取り付けられる。ステージ801は、共通配向された軸を有する3つの十字ローラー・ベアリング・ステージを備えかつ精密送りネジとステップモータによって駆動される、精密で高剛性かつ高分解能なリニアステージであることが好ましい。当該技術に精通した人にとっては既知形式の光学エンコーダが、ステージ801のZ方向位置をサブミクロン・オーダーの分解能で測定する。
【0049】
運転時、ステージ801は、プローブ571に対する光てこ機構の焦点を最適化するため、またそれ関連して上述したような無限状態を確立するために作動される。次いで、ビュー・モジュールの焦点調整手段が使用され、プローブ571及び/又はサンプル(図示せず)を撮像する場合もある。プローブ571がサンプルの表面から遠く離れている場合には、ステージ801を連続して作動させることでプローブ571、サンプルへと焦点を合わせることができる。プローブ・サンプル間距離を求めるため、その際ステージ801のZ方向位置が減算されるかもしれない。この手順は、サンプル表面に係合することになるプローブ571の速度に関し好ましい改善をもたらすことになる。
【0050】
プローブ先端とは反対側のプローブ571の上部において、合焦点は又、XとYで心出しされなければならない。このため、ヘッド・モジュール400は更に、XとYの移動が可能な2軸リニアステージ(図示せず)を介してシャーシ100に取り付けられる。2軸リニアステージは、ヘッド・モジュール400の全ての部品を一緒に移動させると同時に、所謂フレーム406によって取り囲まれた部品の全てと光源サブモジュール470の部品を移動させる。2軸リニアステージはリニアステージ801上に支持され、ヘッド・モジュール400はこの2軸リニアステージ上に支持されることが好ましい。或いはまた、リニアステージ801を2軸リニアステージ上に支持するようにしても良く、その際には2軸リニアステージはシャーシ100に直接取り付けられることになる。
【0051】
好ましくは、2軸リニアステージは、夫々の軸線が互いに対して垂直な状態で入れ子になった精密かつ高剛性の十字ローラー・ベアリング・リニアステージを備えている。各リニアステージは精密な送りネジとステップモータによって駆動され、そのX、Yの位置は光学エンコーダによってサブミクロン・オーダの精度を以て測定される。
【0052】
別の実施形態としては、合焦点を2軸ゴニオメータ(図示せず)を使って、XとYにおいて心出しするようにしても良い。ゴニオメータと対物レンズ306はZステージ801に取り付けられ、ヘッド・モジュール400の残った部品はゴニオメータの移動部に取り付けられる。ゴニオメータ自体は、その動作中心が対物レンズ306の後方焦点面350に位置するように配置される。更に、その動作中心は、対物レンズ306の中心軸線から光線402の中心となるような地点450(図4に示す)まで変位する。これにより、ゴニオメータが作動した際でも、プローブ571から反射される光の角度は不変となることが確実となる。
【0053】
本発明のモジュールAFMの光てこ機構の各部品は、プローブ571に入射する光線402とプローブから反射した光線とがオーバラップし、同じレンズ系を受光されるように配置される。このような配置により、プローブ571に極めて接近した状態で複雑なレンズ系や集積させたレンズを設けることが回避される。2本の光線は、ビームスプリッタを4分の1波長板と併用させた偏光によって分離される。これらの手段によるオーバーラップ光線の分離は、当該技術に精通した人にとってはよく知られた技術である。
【0054】
図4に示す光源サブモジュール470は、独立したハウジング471内に、入射光線402を発光する光源472と、光てこ機構のためのレンズ473と、しばしばコリメートレンズを入れている。
【0055】
光源472とレンズ473の間、及びレンズ473と対物レンズ306の後方焦点面350の間の位置合わせは、光てこ機構において最も重大な整合性のいくつかである。ミリメートル規模の焦点距離のオプティックが、合焦した光てこスポットにとって望ましい次元を得るのにしばしば必要となるため、光源472とレンズ473の間、及びレンズ473と対物レンズ306の後方焦点面350の間、それぞれの相対的位置における小さなズレは、対物レンズの前方焦点面307において大きなズレを発生させる可能性がある。
【0056】
光源サブモジュール470のハウジング471が、光源472とレンズ473の間の精密アラインメントを保持する。更に、光源サブモジュール470のハウジング471の外側は、ヘッド・モジュール400を密閉するフレーム406には不可欠な受け基準構造に酷似した明確な基準構造を有する。ハウジング471の外部の基準構造と受け基準構造406の間の接合部分は運動学的なものであってもよいが、より高い剛性を持った他の接合形態もまた適当である。ハウジング471外部の基準構造と受け基準構造406が正しく結合された際には、光源サブモジュール470が光てこ機構の部品の残りに対しインデックス化され、サブモジュールと対物レンズ306の後方焦点面350との間で正確な整合が維持するようになっている。
【0057】
光源サブモジュール470は、本発明のモジュールAFMのいかなる他の部品も工場やサービスセンターに返却する必要なく、現場で容易に着脱・交換可能なように設計されている。着脱・交換が容易である場合、多くの利点を与えることになる。最も明白なものの1つとして、光源472が機能停止したり、その耐用時間の終点に達した際には、それまでの光源サブモジュール470を単純に取り外し、新しい光源サブモジュールと交換できることである。
【0058】
更に重要なこととして、ユーザーはサンプル、プローブサイズ、実験技術、その他の要因に応じて、どんな光源サブモジュール470を取り外し、異なる光源472、異なるレンズ473、異なるアラインメント或いはこれらの如何なる2つ或いは全てを持つような他のものに交換しても良い。ユーザーは、異なる条件下でも最適な性能を達成するべく、特定の作業セッションに最も適したサブモジュールや異なる作業セッションのためのサブモジュールを選択することができる。
【0059】
図6は、異なった2つのプローブに反射しかつ合焦状態にある、2つの異なる光てこスポットの光学像を示している。スポットのサイズが異なるのは、異なる光源サブモジュール470を使用したせいであって、それぞれ異なったレンズ437を備えているためである。
【0060】
以下のものに限定されるわけではないが、光源サブモジュール470の光源472は、ファイバ結合光源だけでなくレーザダイオードや超発光レーザダイオード(SLD)、或いは垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を含んだ沢山の異なる光源の1つであっても良い。
【0061】
SLDは、それらが放つ光のコヒーレンス長が短いため力曲線を成すためには良い光源であることはよく知られている。しかしながら、光てこ機構に使用された場合、多くのSLDはレーザーダイオードよりも本質的に騒がしいものとなる。図5は、同一の非励起カンチレバー(オリンパスAC160)のための撓み信号の、異なる2つの振幅スペクトル密度を示している。各スペクトル密度は、それぞれ異なる光てこ機構、即ち、一方にはSLDを用いた機構、他方はレーザーダイオードを用いた機構を使用して測定された。撮像用としてレーザーダイオード、力曲線用としてSLDを用いることの利点はその「クリアさ」にあり、レーザーダイオードは少ないノイズで画像を生成し、SLDは力曲線における干渉アーチファクトを低減している。
【0062】
好ましくは、光源サブモジュール470の光源は、30μmオーダで3以下のビーム伝搬係数M2の小さな発光域を持つべきである。光線402は、所望のビームウエスト位置と所望の収束率又は発散率を持った光線であることが好ましい。レンズ473は非球面レンズであることが好ましいが、例えば(以下のものに限定されないが)球面レンズ、グレーデッド・インデックスレンズ、回折光学要素、反射光学要素、ハイブリッド光学要素、及び光学要素群を含む、多くの異なるタイプのオプティックの中の1つであっても良い。平行ビーム402や所望の収束率又は発散率を成すため、光源472とレンズ473の間の距離が正確に調整される場合もある。
【0063】
前述したように、ユーザーによってはビデオ速度で撮像することの利点を見出す場合もある。この状況では、ユーザーは小さなプローブを使用することになり、従って小さな光てこスポットが作れるAFMを必要となるであろう。このために、ユーザーは異なった有効焦点距離を持つレンズ473を備えたサブモジュール470を用い、対物レンズ306の前方焦点面307に、適当に小さい合焦光てこスポットを作ることができる。更にまた前述したように、最適な光てこを検出するためには、光線からのスポットが一次元において先端の反対側にあるプローブ上面を実質上満たすことが必要となる。ここにおいても又、ユーザーは、合焦した光てこの最適なスポットサイズを成すレンズ473を持ったサブモジュール470を選ぶことで検出感度を最大にすることができる。
【0064】
対物レンズ306の前方焦点面307にある合焦光レバースポットのサイズを制御するために、従来技術では、入射光線402の経路において光源サブモジュール470の直後であって偏向ビームスプリッタ401の前に絞りを設置している。このアプローチには、光源サブモジュール470からの光の幾分かをブロックしてしまい、結果としてショットノイズを増加させてしまうといった重大な欠点がある。従来技術は又、合焦光てこスポットの大きさを制御する上で、ビームエキスパンダを使用したり対物レンズ306を変更したりしている。そのようなアプローチは共に、本発明のモジュールAFMの設計に対して不要な複雑さを加えている。ビームエキスパンダは、光てこ機構のサイズを好ましからざるものにし、対物レンズ306の交換は、ユーザーに対して光学的観察機構の解像度と視野の変更を不必要に強いることにもなる。
【0065】
1つの好ましい実施形態として、光源472は射出光のコヒーレンス長を制御する手段に接続される。光てこ機構に、例えば光干渉による正弦波背景雑音のようなアーチファクトが発生するのを抑えるためにはコヒーレンス長がより短いことが好ましい。
【0066】
光源472がレーザーダイオードである場合、図4Bにブロック図で示した装置によってコヒーレンス長をより短くすることが可能である。電流は実質上、直流電源482によって光源472に供給される。高周波電源480はRF信号を出力し、同信号は結合素子484によって直流電流と結合されが、結合素子としては、バイアスティー、加算増幅器、加算接点、直列接続、或いは並列接続であっても良い。
【0067】
電源482は、光源472から出射された光のパワーを安定させるための回路(図示せず)を備えても良い。この回路は、光源472の直接後側に取り付けられるフォトダイオード(図示せず)によって検出される出力に基づき、光源472への供給電流を調整する場合もある。或いはパワー安定化回路が、光検出器404によって検出された全部の光か、或いはヘッド・モジュール400内の他の場所に配置されたフォトダイオード(図示せず)によって検出された光に基づいて電流を調整するかもしれない。
【0068】
別の好ましい実施形態例としては、光源サブモジュール470は光遮断器(図示せず)を備え、同遮断器は、光源472からの光を偏向ビームスプリッタ401に向けて伝播すると同時に伝播戻りする光が光源472に向けて伝播されないように調整されている。この装置は、ヘッド・モジュール400の他のオプティックから反射されて光源サブモジュール470に戻る光の作用を最小限に抑える。戻り反射光は光源472の出力において好ましからざるバラツキをもたらす可能性がある。しかしながら、適切な非反射コーティングの使用を含め、ヘッド・モジュール400におけるオプティックの設計によって、戻り反射光を最小限にすることは好ましいことである。
【0069】
別の好ましい実施形態例としては、光源472は光源温度を安定させるための手段に接続される。温度の安定化により、光線402における光の波長や騒音レベル、或いは出力レベルがより定常化する効果があるかもしれない。それは又、光源472にとって一層長い寿命をもたらすような運転条件の選択を可能にする。1つの温度安定化手段(図示せず)は、光源472の温度を調整できるペルチェ加熱/冷却素子と、光源472の発光点に接近配置される温度センサと、ペルチェ素子の出力を適切に調整するフィードバック回路とを備える。
【0070】
別の好ましい実施形態例としては、光源サブモジュール470はその光源がサブモジュールから離れて位置するように再構成される。図4Cに示すように、この実施形態では、光は光源472aから出射され、カップリング・オプティック479を介して光を集中させることで光ファイバ要素476の遠位面477へと導かれる。或いはまた、光源472aを遠位面477に当接させたり、これに直接融合させるようにしても良い。次いで光は、遠位面477から光ファイバ要素476を通って伝播され、その近位面474において再射出され、ここから光源472aによって射出された光の性質と同様に光源サブモジュール470の中で処理される。特に近位面474は、実質的に平行な光線402や所望の収束率又は発散率を持つ光線を生じるようにレンズ473に対し配置される。
【0071】
図4Cの実施形態は幾つかの利点をもたらす。それは、仮にその光源がヘッド・モジュール400の近傍に取り付けられたならば、かさばり過ぎるか、或いは熱、音響ノイズ又は電気ノイズの望ましからざる源として作用することになる別の光源472aの使用を可能にする。例えば、遠隔位置の場合、光源472aとしてのファイバレーザーやダイオード励起された固体レーザの使用が可能になると共に、そのようなレーザのマイナスの効果を最小限に抑える。
【0072】
従来の光てこ機構におけるノイズの重要源は、光源から射出された光の角度及び/又は位置におけるバラツキがある。しかしながら、図4Cの実施形態では、光源472aからの光は光ファイバ要素476を通過し、その要素は光の角度及び/又は位置におけるバラツキを減じることができる。光ファイバ要素476は光源472aの発光波長において単一モードの光だけを伝播することが好ましい。これは、光源サブモジュール470によって射出された光線402のビーム伝搬パラメータM2を最小にするためには望ましいことである。単一モード形態のみで作動する光ファイバ要素は、光の強度を伝播する一方で光の角度や位置のバラツキは伝達しないため、それも又好ましいことである。従って、光ファイバ要素476の近位面474から射出される光はバラツキが少なく、光源サブモジュール470はノイズが小さな光線402を生成する。
【0073】
光ファイバ要素476などの光ファイバ要素では、光は望ましからぬクラッドモードで伝播される可能性がある。それらクラッドモードが抑制されない限り、角度及び/又は位置バラツキを伝えM2を増加させるため、上述したような単一モードの利点はなくなる。好ましくない実施形態としては、相当な長さの光ファイバ材料が光ファイバ要素476として使用されることで、光ファイバ要素476の全長が光ファイバ材料の設計上存在するどんなクラッドモードの減衰長の何倍にもなってしまうことである。このような実施形態では、クラッドモードを抑えるために光ファイバ要素476の長さを何10メートルにしなければならず比較的に好ましいものではない。
【0074】
図4Cに示すように、クラッドモードは光ファイバ要素476において連続したループを持つモード抑制要素478によって抑えられることが好ましい。ループ半径は、クラッドモードに急激な減衰を起こすほど十分小さいが、単一モードにいたってはその減衰が許容可能なくらい低くなる程、十分な大きさをもつものが選択される。或いは又、光ファイバ材料は、ここで説明した評価基準に従った最小半径の正弦波パターンで曲げられる場合もある。クラッドモードを抑える別の手段としては、ファイバ材料のジャケット部分が除去されて、被覆加工部分がグリセリンか液浸油などの屈折率整合液体に浸漬されるような光ファイバ材料からなるセグメント(図示せず)がある。
【0075】
単一モードであることに加え、光ファイバ要素476は、ステップ型ファイバ、傾斜屈折率ファイバ、シリカ・ファイバ、カルコゲン化物ファイバ、フッ化物ガラスファイバ、フォトニック結晶ファイバのいずれであっても良い。光ファイバ材料476は、ビームスプリッタ401へ入射する光線に正しい偏向状態が生じるような偏向保持型であることが好ましい。或いは又、光ファイバ材料476は非偏向保持型であっても良い。しかしながらこの場合には、レンズ473の後方にもう1つの偏向変換オプティック(図示せず)が導入され、光線402に正しい偏向を付与するようになっている。任意ではあるが、偏向変換オプティックは、光線の偏向を回転するための位相差板や、偏向変換器と偏光板を含む場合もある。
【0076】
本発明のモジュールAFMの光てこ機構のその他の重要な要素を図4に示す。光源サブモジュール470によって生成された入射光線402は、入射光線ビーム402の唯一の偏光方向だけを通過する偏向ビームスプリッタ401に向けられる。その他の偏光方向は光検出器404のそれとは反対側の方向に反射され、迷光を最小にする黒体426に当たる。偏向ビームスプリッタ401を通過した入射光線402の一部は、次に4分の1波長板403を通ることで楕円偏波化される。そこから、偏向入射光線402は二色性ショートパスミラー405によって対物レンズ306側に向けられ、このミラーにおいて光線が観察機構の光線309と合わさる。二色性ショートパスミラー405によって反射されない偏向入射光線402の光は、反射が好ましくない観察機構の光線309の光と同様に、第2の黒体420によって吸収される。結合した光線402、309は、対物レンズ306を通り抜けて、プローブ571の上面から反射される。反射光線は対物レンズ306を介して二色性ショートパスミラー405へと戻り、ここで2つの光線が分割し、光てこ機構の光線402へと反射させる一方で観察機構の光線309へと伝播する。光てこ機構の光線402は4分の1波長板403を通過して戻る際、直線偏光され、更に偏光ビームスプリッタ401によって位置敏感型光検出器404に向けられる。4分の1波長板403によって光てこ機構の反射光線402に付与された直線偏光は、最初に4分の1波長板403を通過する際に入射光線402に付与された楕円偏光に対して実質用垂直な関係にある。この垂直な偏向作用の結果として、プローブ571で反射した光線の殆どが検出器404に伝達される。ビームスプリッタと4分の1波長板を用いたこのような異なる偏光は、部品に対しその方向性が求められるのと同様に周知のことである。
【0077】
フィルタ422をビームスプリッタ401と光検出器404の間に挿入し、光線402の波長の光を実質上伝播しつつ、観察機構からの周辺光や散乱光を含む他の波長の光は吸収又は反射するようにしても良い。フィルタ422は検出器404においてノイズやドリフトを減らすためには望ましい。
【0078】
光てこ機構の光線402は赤外線ビームであり、観察機構の光線309は可視光ビームであることが好ましい。しかしながら、実施形態によっては他の波長を使用することが望ましい場合もある。例えば、より小さな合焦スポットを達成するためには光てこ機構の光線402を短波長とするのが好ましい時もある。この場合、光線402は紫外線であり、観察機構の光線309は可視光であるかもしれない。2つの光線のそのような波長の組み合せは、二色性ショートパスミラー405の代わりとしての二色性ロングパスミラーの使用を好ましくする。
【0079】
二色性ショートパスミラー405は、光てこの光線402のS−偏光とP−偏光の間に望ましくからぬ位相を生じる場合がある。これは、光線によっては、プローブ571から反射して4分の1波長板403に戻った後において検出器404に向けてビームスプリッタ401によって反射されず、むしろ光源サブモジュール470に向かって伝播される状態を引き起こす。好ましくは、これは光のS偏光成分とP偏光成分に対し等しい位相シフトを持つような二色性ショートパスミラー405のための特注デザインのコーティングを使用することで最小限に抑えられる。或いは又、4分の1波長板403に代わり、波長の4分の1以上又は以下の位相差を有する波長板を置き換えることも可能である。この交換によって生じた位相差は、その軸線周りの回転角を変化させることを伴い、二色性ショートパスミラー405によって導入された位相シフトを完全に補償し、ビームスプリッタ401による光線402の実質的な完全反射をもたらすかもしれない。例えば、20°の位相シフトの場合、0.268波長分の位相差と軸線周りの回転角が125.6°である波長板は、光源サブモジュール470に向かうような光を全く無くし、検出器404に対し実質的に完全な反射を生むことになる。
【0080】
或いは、二色性ショートパスミラー405によるS−偏光とP−偏光間の位相シフトの問題は、4分の1波長板403を除去し、代わりに二色性ショートパスミラー405と対物レンズ306の間に波長のおよそ4分の1の位相差を持つ波長板(図示せず)を配置することで解決できる。これらの変更により、プローブ571の上面から二色性ショートパスミラー405へと反射する光が完全にS偏光またはP偏光されるため、位相シフトは発生しなくなる。しかしながら、この構成は波長板403が二波長帯反射防止コーティングによって被覆される必要がある。このコーティングは、結果として画像センサ340に供される画像におけるコントラストを減じることにもなる、観察機構光線309の望ましからぬ背面反射を回避する上で必要なことである。
【0081】
高偏光感度要素の他の形態も可能である。例えば、波長板403は0次水晶波長板であることが好ましいが、これを多次水晶波長板、ポリマー波長板、雲母波長板、無色位相差板、水晶位相差板、無色位相差板、フレネルロム、又は制御された偏光位相差を与える他の要素に交換しても良い。同様に、偏光ビームスプリッタ401は偏光ビームスプリッタキューブであることが好ましいが、これを方解石偏光子、グラン‐トンプソン偏光ビームスプリッタ、ウォラストンプリズム、ロションプリズム、或いは同様の光学素子に交換しても良い。
【0082】
図4に示すように、入射光線402は、その光線が垂直から11度傾斜した状態で対物レンズ306から出るように、レンズの中心軸から十分な距離をおいて対物レンズ306を通過する。しかしながら、プローブ571は、入射光線402(及び反射光線)は先端とは反対側のプローブ571の上面の平面に垂直となるように、水平線から11°傾斜して取り付けられている。これには幾つかの利点がある。例えば、プローブのエッジを影にすることで光損失が最小になる。このことは、ビデオ速度撮像を可能にする小プローブが必要不可欠な高開口数システムにとっては、大きな開口角を持った光錐がプローブに到達しなければならないという観点から、特に重要なことである。
【0083】
従来技術では、プローブに対し垂直な光てこ検出のための対物レンズを配置しているが、サンプルとってはかなりの角度になる。結果として、サンプルへの視野は常に細長い一片に制限され、サンプル上に光学的な特徴部分(例えば、AFMスキャンのための位置を示す基準点)を置くためには、連続的な対物レンズの再位置合わせが必要となる。これに対し、本発明のモジュールAFMの対物レンズ306は、その光軸がサンプルの表面に実質上垂直である。ビュー・モジュール300の焦点調整手段に加え、対物レンズのこのように配置することでサンプルの広範な領域を平坦な視野と高い光学解像度を以て見ることが可能になる。この改良は、サンプルの光学的特徴部分の観察と位置決めを迅速化する。
【0084】
従来技術を超える本発明の更なる利点は、対物レンズ306が調整がいらない市販の対物レンズでも良いということである。そのような市販レンズは、特注のレンズよりもユニット当たりのコストが低く、しかもより高い性能を提供する。対物レンズ306を又、ユーザーが容易にアクセスしやすく、位置合わせや特別な工具を必要とすることなく、異機能のための異なる対物レンズに交換したり、アップグレード可能である。 液体中のAFM撮像にあたっては、ユーザーは球面収差補正環付きの対物レンズを選択しても良い。その補正環は、様々な深さや様々な屈折率を持つ液体において高解像度を達成するために調整することができる。 空気中でのAFM撮像にあたっては、ユーザーは補正環を持たない長作動距離対物レンズを選んでも良い。その長作動距離対物レンズはサンプルによりアクセスできるようになっているため、サンプルへの電気接続や、追加スペースからの恩恵を受けるその他のアプリケーションへの電気接続が容易となる。
【0085】
スキャナ・モジュール
それぞれの軸方向にサンプルを作動するXYZ並進ステージ501を備えたスキャナモジュール500を図7に示す。このステージは、三脚構造の3つのピエゾ作動湾曲部を使用することで、プローブ571の先端に対しサンプルをスキャン(例:ラスター走査)するためのX、Y軸における移動と、サンプルに対するプローブ571の撓みや発振に応じてシステムを基準状態に戻すためのZ軸方向の移動を提供するようになっている。ピエゾ作動湾曲部の動作についての正確な位置情報を得るために位置センサを使用し、その移動を目的とするものへと補正するようにしても良い。このために使用され得るLVDTは、同一発明者らの幾人かによる同時係属出願中の米国特許出願60/XXX,XXX号の“高精度位置測定用統合型マイクロアクチュエータと直線可変型差動変圧器‐Integrated Micro-Actuator and Linear Variable Differential Transformer for High Precision Position Measurements”に記載されている。
【0086】
図1に示すように、スキャナ・モジュール500は又、プローブを保持すると共に本発明であるモジュールAFMの係合機構の一部を成すカンチレバーホルダ・サブモジュール570を備えている。 そのカンチレバーホルダ・サブモジュール570は、係合機構に関連してZ軸方向の上下運動を可能にする一軸リニアステージ802を介してスキャナモジュール500に取り付けられる。この移動は、本目的のため選択されかつ当業者には既知のモータ(図示せず)によってなされるようにしても良い。リニアステージ802には、例えば十字ローラ・ベアリングのような高剛性・低摩擦のベアリングを組み込むことが好ましい。
【0087】
スキャナ・モジュール500をシャーシ100の内外へとスライドさせることで、サンプル706をXYZ並進ステージ501上に据え付けたり、更に/或いはプローブ571をカンチレバーホルダ・サブモジュール570上に据え付けれるようにしても良い。次いで、スキャナ・モジュール500をシャーシ100内にスライドバックさせ、ここでモジュールを適所にロックし、サンプルの特性を撮像したり測定するようにしても良い。
【0088】
スキャナ・モジュール500全体をシャーシ100から取り外し、別のスキャナ・モジュールに交換したりアップグレードしても良い。異なった走査領域、異なる走査速度、異なるサンプル環境、異なるアプリケーションにより異なった特性を持つスキャナ・モジュールが必要となるかもしれないため、スキャナ・モジュール500を異なった特性の別のスキャナ・モジュールに交換できるということは有利なことである。例えば、ビデオ速度撮像を可能にする小プローブを生かしたスキャナ・モジュールは、一般的により小さい走査領域を持つことになり、より小さいサンプルに対してよい性能を示すことになるであろう。例えば、より高感度な位置センサのように一層高度な部品が入手可能になった際には、AFM全体を旧式化することなくスキャナを交換できるため、スキャナモジュール500をアップグレードできる構造は有利なことである。
【0089】
本発明のモジュールAFMの係合機構は従来AFMの係合機構とは異なる。図8A、8Bは従来技術の係合機構の2つの変形例を示している。両方の図において、プローブ704はカンチレバーホルダ703を介して光てこ機構702に取り付けられる。図8Aでは、光てこ機構702は、サンプル706を取り付けるスキャナ705に対してZ軸での上下運動を可能にする1軸リニアステージ701を以てAFMシャーシ700に取り付けられる。サンプル706が取り付けられるスキャナ705は、シャーシ700に直接取り付けられ、Z軸方向には移動可能にはなっていない。図8Bでは、光てこ機構702は、シャーシ700に直接取り付けられ、Z軸方向には移動可能にはなっていない。また、サンプル706が取り付けられるスキャナ705はZ軸方向に移動可能であり、光てこ機構702に対してZ軸での上下運動を可能にする1軸リニアステージ701を以てAFMシャーシ700に取り付けられている。
【0090】
図8Aでの係合プロセスは、結合された光てこ機構702、カンチレバーホルダ703及びプローブ704を、プローブ704がサンプル706と係合する位置まで垂直方向下方に移動させることからなる。これは、デジタルインスツルメンツ社のマルチモードを含む、数多くの旧式AFMによって採用されている係合プロセスである。図8Bでの係合プロセスは、サンプル706が取り付けられるスキャナ705を、プローブ704がサンプル706と係合する位置まで垂直方向上方に移動させることからなる。
【0091】
図9は本発明のモジュールAFMの係合機構を示している。図示するように、ヘッド・モジュール400は、1軸のリニアステージ801を以てシャーシ100に取り付けられており、Z軸方向の移動を可能にする機構によって、光てこスポットが所望されたようにプローブ571の裏面上に合焦されるようになっている。前述したように、ヘッド・モジュールは又、X、Y軸における移動を可能にする2軸リニアステージ(図示せず)を以てシャーシ100に取り付けられている。しかしながら、この2軸リニアステージについては、今回の係合機構の議論に関連して議論される必要はない。プローブ571は、1軸の十字ローラーベアリング802と共にスキャナ・モジュール500に取り付けられるカンチレバーホルダ・サブモジュール570によって保持され、前記ベアリングは、プローブ571の下方でスキャナ・モジュール500上に据え付けられるサンプル706に対しZ軸方向の移動を可能にしている。スキャナ・モジュール500自体はシャーシ100に直接取り付けられている。
【0092】
本発明のモジュールAFMのため係合プロセスは、光てこ機構400とプローブ571の双方(前述したように、これらはプローブ571を保持するカンチレバーホルダ・モジュール570を介してタンデム状態に移動する)を、プローブ571がサンプル706と係合する位置まで垂直方向下方に同じ距離分だけ移動させることからなる。結果として、光てこ機構400とプローブ571の間の距離は一定のままであり、光てこスポットは、プローブ571の裏面上に要望通りに合焦された状態のままとなる。
【0093】
本発明のモジュールAFMのための係合プロセスは従来技術AFMの係合プロセスよりもかなり複雑であることに留意されたい。従来技術では、ユーザーはプローブがサンプルと係合するまで光てこ機構かスキャナの一方を移動させる必要があった。好ましい実施形態では、光てこ機構400とプローブ571の双方を、双方間距離を一定に保ちつつ、プローブ571がサンプル706と係合するまで同一距離分だけ移動させることが必要である。しかしながら、複雑という欠点は、モジュールAFMによって生成された画像に付随するノイズを低減する際にモジュールAFMの係合機構によって与えられる利点によって有り余るほどに補償される。あらゆるAFMはサンプル構造や他の特性を正確にトラッキングするプローブに依存する。プローブ及びサンプルが音響や振動性のノイズの外部源によって刺激された際に、これらが互いに対し移動したならば、厄介な動作がサンプルをトラッキングする信号上に重畳され、真のサンプル構造や他の特性の測定を中断したり測定品質を下げる干渉ノイズとして作用することになる。
【0094】
AFMへの振動ノイズの作用を理解する上で、簡単な調和振動子モデルをプローブとサンプル(簡単にするために、これらを係合機構と呼ぶ)の間の経路中にある構造要素に適用することが有用である。このモデルの想定の下で、外部の振動ノイズの大きさによって割られるプローブとサンプルを隔てる距離の変化は、係合機構の剛性によって割られた係合機構の質量に比例することになる:
Δx/A α M/k
但し、xはプローブ・サンプルを隔てる距離、Aは振動ノイズの大きさ、Mは係合機構の質量、kは係合機構の剛性である。(M/k項の逆数の平方根は係合機構の共鳴であるため、先の関係は又、Δx/Aと、係合機構の共鳴の二乗の逆数との間に比例関係があると見なしても良い:
Δx/A α 1/ω02
但し、ω0は係合機構の共鳴周波数である。)
【0095】
図8Aと図8Bから分かるように、従来技術の係合機構は、カンチレバーホルダ703、光てこ機構702、及びプローブからサンプルを経た機械的な経路にあるスキャナ705を備えている。これに対し、好ましい実施形態の係合機構は、カンチレバーホルダ・モジュール570と、機械的な経路内のスキャナ・モジュール500だけを備えている。光てこ機構において標準的な対物レンズの質量がそれ自体で約200グラムであり、機構全体は500グラムと1000グラムの間のいずれかであるために、好ましい実施形態の係合機構の質量は、従来技術AFMの係合機構のそれよりも実質上低くなる。従って、好ましい実施形態の係合機構のM/k項は従来技術の係合機構のこの因数よりもはるかに小さく、好ましい実施形態のx/A項、ひいては画像データに付随する振動ノイズにおいて50Xもの減少を期待することができる。
【0096】
M/k項は又、プローブからサンプルを経る機械的な経路にある部品を、高剛性材料、より正確には高い弾性率の材料から作ることによって減少されるかもしれない。しかしながら材料特性における変化は、それ自身によるものでは通常不十分である。共鳴周波数に対する大幅な増加を得るために、含まれる構造物の質量を減少しなければならない。
【0097】
図10はSTMとして機能するように改良された本発明のモジュールAFMのバージョンで撮像されたグラファイトのフィルタなし/未処理のSTM高さ画像を示している。このため、カンチレバーホルダ・サブモジュール570の代わりにSTMチップホルダが用いられ、好ましい実施形態のAFM電子機器の代わりにSTM電子機器が用いられる。画像は、1mm/s2の統合加速をもって、支持構造体上に通例の振動絶縁装置を使用することなく撮られた。画像において定期的な音響ノイズや振動ノイズが無いことは好ましい実施形態の成果である。
【0098】
電子モジュール
本発明のモジュールAFMの新しい係合機構に加え、画像データに付随するノイズを抑えるために、その他多くの技術が使われる。重要な一例として、図1に示すように制御盤150や他の電子機器をAFMの近傍、但し隔離モジュール200の外側に位置させる例がある。
【0099】
電気コネクタ310は、隔離モジュール200内部での電子機器への接続、例えば、圧電駆動装置やLVDTのような移動検出部品への接続を可能にする。
【0100】
以上、僅かばかりの実施形態を開示してきたが、他の実施形態も可能であり、発明者らは、これらの実施形態が本明細書に包含されるべきものであることを意図している。明細書は、別の方法でも達成し得る、より普遍的目標を達成するための特定例を記述している。本開示は典型的であるよう意図されており、請求の範囲は、当該技術における通常の技術を有する人に予測し得るいかなる変更例や代替案をもカバーするように意図されている。例えば、他の装置や他のモジュール形態も使用可能である。
【0101】
また、発明者らは、“の手段(means for)”という用語を使用した請求項のみ、米国特許法第112条の第6パラグラフに準拠して解釈されることを意図するものである。更に、明細書中のいずれの限定も、それらが請求の範囲内に明確に含まれない限り、請求項に適用されることを意図しない。ここで説明したコンピュータは如何なる種類のコンピュータでも良く、汎用コンピュータかそれともワークステーションのようにある特定の目的を持ったコンピュータでも良い。コンピュータは、Windows(登録商標) XPやリナックス(登録商標)を駆動するペンティアム(登録商標)級コンピュータでも、マッキントッシュ(登録商標)のコンピュータであっても良い。コンピュータは又、PDAや携帯電話やラップトップなどのハンドヘルド型コンピュータでも良い。
【0102】
プログラムはC、Java(登録商標)、Brew、又は他の如何なるプログラミング言語を使って書かれるものでも良い。プログラムは、例えば磁気や光学、例えばコンピュータのハードディスクドライブなどの記憶媒体、メモリースティックやSDメディアなどのリムーバブルディスクやメディア、或いは他のリムーバブル媒体に存在するものでも良い。プログラムはまた、例えばローカルマシンに信号を送ることでローカルマシンに対しプログラムに記載された作動を実行させるサーバやその他のマシンを以てネットワーク上を走行するものでも良い。
【技術分野】
【0001】
多様な材料の特徴を分子や原子レベルの解像度で示す画像やその他の情報を獲得するため、例えば原子間力顕微鏡(AFM)などの走査プローブ装置が使用可能である。さらに、AFMは、力−距離曲線や力曲線として知られる測定モードで、ピコニュートンからマイクロニュートンの範囲に至るまで力を正確に測定可能である。より小さな力の測定とノイズ・アーチファクトのない動作を要求しつつの解像度要求の増加に伴い、旧世代のこれら装置は時代遅れになってきている。望ましいアプローチとしては、最小なるノイズで小さな力と動作を測定するという重要課題に対処しつつ、小さなカンチレバーを使用する際や、電気技術や、生物学やエネルギー研究のための光学技術、ナノインデンテーションや電気化学のような特定用途を実行する際に、装置の性能を最大限に利用するモジュール配列を提供するような装置にある。
【背景技術】
【0002】
便宜上、この説明は、走査プローブ装置の特定実施形態である、原子間力顕微鏡(AFM)で実現し得るシステムと技術に焦点を当てている。走査プローブ装置には、AFMのような機器や、3D分子力プローブ機器、走査型トンネル顕微鏡(STM)、高分解能表面形状測定装置(含む、メカニカル・スタイラス表面形状測定装置)、表面改質機器、ナノインデンター、化学的/生物学的走査型プローブ、電気計測用機器、及びマイクロ作動装置が含まれる。ここで説明されるシステムと技術、そのような他の走査型プローブ装置において具現化することも可能である。
【0003】
AFMは、プローブ端部の鋭い先端をサンプルの表面に対して走査(例えばラスタリング)しながら地形情報(及び/又は他のサンプル特性)を得る装置である。プローブの撓みや発振の変化を検出し(振幅、撓み、位相、周波数等の小さな変化を検出し)、基準状態にシステムを戻すためにフィードバックを用いることで、情報と特性が獲得される。サンプルに対して先端を走査することによって、サンプル地形や他の特性の“マップ”が獲得されるかもしれない。
【0004】
プローブの撓みや発振の変化は、典型的には、光てこ機構により検出され、それにより、光線はプローブの先端の反対にある側へと向けられる。プローブから反射した光線は、位置敏感検出器(PSD)を照射する。プローブの撓みや発振が変化するのに伴い、PSD上の反射スポットの位置もまた変化し、結果としてPSDからの出力を変化させる。プローブの撓みや発振が変化すると通常、撓み又は発振を一定の既定値に維持するように、サンプルに対するプローブ・ベースの垂直方向位置(ここでは、サンプルによって定義されるXY平面に対し略垂直なZ方向の位置の変化として呼ぶことにする)が変化することになる。それこそが通常、AFM画像を生成するのに使用されるフィードバックである。
【0005】
AFMは、プローブ先端がサンプル表面に接するような接触モード、先端が接触しないか或いは間欠接触するしかない状態になるACモードなど、多くの異なったサンプル特性モードで操作することができる。
【0006】
アクチュエータは、一般的に、AFMで使用され、例えばサンプル表面にわたってプローブをラスタしたり、サンプル表面に対しプローブ・ベースの位置を変えたりする。アクチュエータの目的は、AFMの異なった部品、例えばプローブとサンプルの間に相対移動を提供することにある。目的や結果に応じて、サンプルやプローブを作動したり、その両方の組み合せを駆動させることが有益の場合もある。センサもまた、AFMにおいて一般的に使用される。センサは、アクチュエータによって生じる移動を含み、AFMの様々な部品の移動、位置、或いはその他の属性を検出するのに使用される。
【0007】
本明細書においては、他に指摘されていない限り、(i)“アクチュエータ”という用語は、入力信号を物理的運動に変換する広範囲の装置を指すものであって、ピエゾ作動湾曲部、圧電チューブ、圧電スタック、ブロック、バイモルフやユニモルフ、リニアーモータ、電わいアクチュエータ、静電気モータ。 容量モータ、ボイスコイル作動装置、磁歪アクチュエータなどを含み、(ii)“センサ”や“位置センサ”という用語は、変位や速度や加速度などの物理量を電気信号などの1つ以上の信号に変換したり、逆の変換もするような装置を指しており、例えば光偏向検知器(含む、PSDとして上述したもの、それら全体を参照することにより本願明細書に含まれる同時係属出願中の米国特許出願公開第2003/0209060号及び同第2004/0079142号“計測装置の移動を隔離・測定するための装置及び方法−Apparatus and Method for Isolating and Measuring Movement in Metrology Apparatus”で記述されたもの)、容量センサ、誘導センサ(含む、渦流センサ)、差動変圧器(例えば、それら全体を参照することにより本願明細書に含まれる米国特許第7,038,443号と同時係属出願中である米国特許出願公開第2002/0175677号“高精度位置測定用直線可変式差動変圧器‐Linear Variable Differential Transformers”と同第2004/0056653号“デジタルエレクトロニクス型直線可変式差動変圧器−Linear Variable Differential Transformer with Digital Electronics”で記述されたもの)、可変リラクタンス、光学干渉計、歪ゲージ、圧電センサ、磁歪・電歪センサを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0209060号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0079142号
【特許文献3】米国特許第7,038,443号
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0175677号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0056653号
【0009】
最新AFMの幾つかは100μm2まで撮像可能であるが、通常は1μm2〜10μm2時代で使用される。そのような画像は通常、取得に4〜10分を要する。最近では、往々にして“ビデオ速度”撮像と呼ばれるものに対する試みがなされてきている。一般的に、この用語を使用する場合には、1秒間に1フレームの速度から1秒間に30フレームの速度という真のビデオ速度で画像を生成することを含んでいる。ビデオ速度での撮影は、動くサンプルの撮像、より短命の事象の撮像、及びよりタイムリーなベースでの単純な完結撮像を可能にすることになる。ビデオ速度撮影にあたって1つの重要な手段は、プローブの質量を減少させることであり、これにより同程度又はそれより低いバネ定数を以てより高い共鳴周波数を達成することができる。
【0010】
従来型のAFMプローブは、10〜500kHzの基本共鳴周波数(fR)、0.01〜200N/mのバネ定数で現在、50〜450μmの長さを有する。典型的な許容騒音レベルを鑑みると、物理法則によって、達成可能な解像力と従来型プローブのスキャン速度に対し、より低い制限を加えている。
【0011】
最も高い解像度の測定結果を得るため、人はプローブ先端がサンプルに対し小さな力しか課さないことを欲する。例えば、生物学の分野においては、あまりに軟かいために10pN以上の力を課すと変形してしまったり傷ついたりするようなサンプルを扱うことが往々にしてある。これは又、無機の結晶などのような硬いサンプルを高解像度測定する際にも、より高い力がサンプルへの押圧作用を持ち、相互作用領域を増やして解像度を低めるため、当てはまることである。プローブを所定量撓めるためには、力はプローブのバネ定数(k)と共に増加する。先端はサンプル面と断続的だけに接するようなACモードでの空気中作動する際には、30N/m下のバネ定数が好ましい。流体中での通常作動では、非常に小さなバネ定数(約1.0N/m以下)が好ましい。
【0012】
より高いスキャン速度での測定結果を得るために、人は高いfR値を持つプローブを欲する。サンプルの特徴を考慮しない状態で、プローブの応答性は接触モードでは約1/fR秒、ACモードでQ/fR秒(但し、Q:プローブの品質係数)である。これはスキャン速度に基本的限界を設定する。即ち、プローブの応答時間を下げることは高いfR値を持つプローブが必要となり、ACモードの場合、低Q値か高fR値のどちらか、あるいは双方を持つようなプローブが必要となる。
【0013】
fR値が高いことは又、運転が低ノイズであることを意味する。プローブの熱雑音は、ほぼfRまでの周波数域に亘る次数kT(但し、k:ボルツマン定数、T:ケルビン温度)の一定のノイズエネルギを含んでいる。したがって、fR値が高ければそれだけfR以下での単位帯域幅当たりのノイズが低くなる。
【0014】
共鳴周波数が高く、バネ定数が低いプローブは、それ自身を小さくかつ薄く作ることで達成できる。しかしながら、プローブが従来型のものよりかなり小さい現AFMを使用することは問題がある。一般に、最適な光てこを検出するためには、プローブ先端の反対側にあるプローブ側を指向する光線からのスポットが、プローブの長さに沿う領域を実質的に満たさなければならない。満たし方が不十分な状態では、反射した光線が必要以上に分岐するために、結果として光てこ検出効率が損失してしまう。満たし方が過剰であることは、光を失い、にサンプルから反射される光のせいで無用な干渉フリンジを生み出すことを意味している。
【0015】
ビデオ速度撮像のための1つの理想的なプローブは、5〜10MHzのfRと1〜40N/mの力定数を持つことになるであろう。これは、従来のプローブを概算で、長さ寸法又は幅寸法で約5〜8μmまで縮小化することを意味している。そのような縮小化は、スポットが実質的にプローブを満たすという要件と共に、プローブ上のスポットも又縮んだ状態にならざるを得ないことを意味する。プローブ上に入射する光線を生成する光学システムは、光源からの光の波長と共に、少なくとも一方向に直径約5〜8μmの合焦スポットを形成するのに十分な開口数(NA)を持つべきである。
【0016】
そのようにスポットを縮小するのに必要な比較的大きな開口数は結果的に浅い焦点深度をもたらすことになる。これは、1プローブを別のものに交換する時、或いはプローブを1個以上のカンチレバーと共に使用する時に必要な再焦点合せ処理に伴う問題を提起する可能性がある。更に、高い開口数を達成するのに使用される入射光線の大開口角は、複雑なレンズシステムやプローブに接近したレンズ集積配置を必要とする可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のモジュールAFMのブロック図である。
【図2】遮熱・遮音チャンバを示す図である。
【図3】プローブとサンプルを見るのに使用されるオプティックスの概略図である。
【図4】交換可能なエミッタアセンブリを伴い、プローブ上に合焦したエミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスの概略図である。
【図4B】エミッタによって射出された光のコヒーレンス長を制御する実施形態の概略図である。
【図4C】合焦したエミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスからエミッタを離反配置した実施形態の概略図である。
【図5】2つの異なる交換可能エミッタアセンブリで取られた、プローブのための撓み信号の2つの異なる振幅スペクトル密度を示す図である。
【図6】2つの異なる交換可能エミッタアセンブリから形成された2つの合焦エミッタスポットの光学像を示す図である。
【図7】スキャナの好適実施形態の詳細な実例としての写真と物理的モデル断面を示した図である。
【図8A】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間にある従来の機械的な関係を示す従来技術図である。
【図8B】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間にある、もう1つの従来の機械的な関係を示す従来技術図である。
【図9】プローブ上に合焦エミッタスポットを形成するのに使用されるオプティックスとプローブの間の機械的な関係の好適実施形態を示す図である。
【図10】好適実施形態において撮られたグラファイトのフィルタなし/未処理STM高さ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態の全体ブロック図であって、モジュールAFMを示している。ブロック図はそれぞれ異なった機能を実行する異なるサブアセンブリを示している。シャーシ100は、その上にモジュールAFMのモジュールを支持する基盤である。ビュー・モジュール300はサンプルとプローブを見るためのオプティックスを提供する。ヘッド・モジュール400は、光てこ機構の部品と、それらの部品を操縦しかつ合焦するための部品を具備する。スキャナ・モジュール500は、それらの次元においてサンプルを作動させるXYZ並進ステージと、係合機構とを備えている。各隔離モジュール200は、シャーシ100を密封し、モジュールAFMに対し、遮音及び/又は熱的遮断状態を提供する。電子モジュール600はモジュールAFM用コントローラと共に、画像を取得・処理すると共にモジュールAFMの他の機能を制御するための電子機器を提供する。電子モジュール600はシャーシ100の他のモジュールに隣接して取り付けられるが、隔離モジュール200の外側に取り付けられる。これらの全てのサブアセンブリが、交換可能であって、アップグレードの可能性を有している。これは、新しい技術が利用可能になった際には新技術へのアップデートを可能にするものである。
【0019】
以上のモジュールは、交換できアップグレードの可能性がある特定のサブモジュールを備えている。後で詳しく説明するが、これらのサブモジュールの内、2つが特に重要となる。まず1番目は、運動マウントや他のインタフェースを以てヘッド・モジュール400に取り付けられる光源サブモジュール470である。光源サブモジュール470は取り外し・交換が容易であり、光てこ機構の部品である光源及びレンズの交換が容易である。2番目は、一軸の十字ローラー・ベアリングや別の直線運動ステージを以てスキャナ・モジュール500に取り付けられ、かつ係合機構の一部をなすカンチレバーホルダ・サブモジュール570である。
【0020】
隔離モジュール
シャーシ100は、モジュールAFMのサブアセンブリに対し遮音及び/又は熱的遮断状態を提供する隔離モジュール200の中に収められる。AFMを取り囲む周囲環境からの音響ノイズによってAFMの部品が移動し、機器によって生成される画像の質を低下させる。同様に温度変化もまた、2℃ごとの温度変化に付きナノメートルレベルの部品移動を引き起こす恐れがある。
【0021】
図2に示すように、隔離モジュール200はモジュールAFMのエンクロージャ201と、フレキシブル・ダクトによりエンクロージャに接続されたセパレートヒータ202とを備えている。エンクロージャ201には、音響ノイズを吸収するべく完全に閉じることができるドア(図示せず)を備えさせるようにしてもよい。隔離モジュール200はヒータ202と共に、モジュールAFMの周りに、隔離モジュール200が置かれる室温より高くなるような局部環境であって室温よりも温度バラツキが小さい環境を形成するために設けられている。なお、その隔離によって、モジュールAFMの周りに室温よりも低い局部環境であって、同様に室温よりも温度バラツキが小さい環境を形成することも可能であるが、これはより高価な代替案になるだろう。
【0022】
隔離モジュール200によってなされる断熱度合いは、図2の室温T1における相対変化を、エンクロージャ温度T2における相対的変化と比較することによって測定される。このため、エンクロージャ温度変化に対する室温変化の比率が成功の尺度として用いられるかもしれない。例えば仮に、室温が夜の内に2度下がり、エンクロージャ温度が同じ期間に亘って0.2度下がったとしたならば、断熱度合いのレベルを係数10と呼ばれるかもしれない。
【0023】
いかなるアクティブ温度制御を使用することなく、エンクロージャ201は数分間に亘って発生する変化などの温度変動を受動的に排除することになる。しかしながら、時間当たりの温度変化というような変動は、必然的にエンクロージャとモジュールAFM内部を貫通することになる。その消極的隔離レベルは、出来るだけ厚い熱的絶縁材204の層によってシャーシ100を取り巻くことによって、最大にすることができる。これは、エンクロージャの側部と上部では比較的簡単なことであるが、重い機器を支持しなければならない下部においては問題となる。それに従って、ちょうど寒冷気候において最善な状態で断熱された家でもある種の制御暖房システムを必要とするように、この状況を改善するべく何らかの形式のアクティブ温度制御が有効となる。
【0024】
本発明のモジュールAFMの制御暖房システムは、2つの同時熱源を備えている。1つはその上にシャーシ100を配置した加熱された金属プレート203である。プレートの温度はT4で測定される。図2の回路Aで示したデジタルPIDコントローラが閉じループフィードバック制御を実行する。金属プレート203は外側の部屋に対し最大の熱リンクとなる。その温度をただ制御するだけで、約5の係数なる熱的分離のレベルを達成することになる。 第2の熱源は、エンクロージャ201の内部に熱風の層流を供給することにある。流れは従来設計のフレキシブル・ダクトによりエンクロージャ201に接続されたセパレートヒータ202によって生成される。流れの測定温度はエンクロージャ201内部でT2となる。図2で特定された回路BとしたデジタルPIDコントローラは、閉じループのフィードバック制御を実行する。層流は、如何なるタイプの震動、又は他の振動も回避するほどに十分遅いことが好ましい。しかしながら、原子レベルでの撮像のため、通風シールド(図示せず)を撮像領域周りに導入することが望ましい。この通風シールドにより、従来よりある化学てんびんの内側通風シールドと同様に、プローブとサンプルをエンクロージャ内部の空気流れから保護する。
【0025】
セパレートヒータ202の使用と組み合わせた形で金属プレート203を加熱し、その温度が共に同じように保持された際には、係数25の熱的分離レベルが達成される。
【0026】
2つ同時の加熱源を使用することの効果は、金属部品、例えばスキャナモジュール500、又はシャーシ100を直接加熱することにより改善されて高められるかもしれない。このため、スキャナモジュール500の温度はT3として測定され、図2の回路AであるデジタルPIDコントローラは閉じループのフィードバック制御を実行することになるであろう。
【0027】
エンクロージャ201のドア(図示せず)は、AFMサンプル706やプローブ571を変えるためには開けられなければならない。これは、エンクロージャの温度に大きくかつ突然の変化をもたらし、エンクロージャ内気流をも変化させることになる。ドアの開閉を検知するためのセンサがドアに設けられことが好ましい。これにより温度変化や気流変化を補償するためのフィードバックループが可能となる。例えば、より高い流速確保のためファンを増加したり、更に/或いはヒータ出力をより高く設定してもよい。また随意的ではあるが、ドアが開放されかつヒータが一定の出力で作動している間は一時的にフィードバックを止め、AFM温度の安定性を最大化してもよい。フィードバックループにおけるこれら変更は、回路Aと回路Bを介して直接的実行しても良く、またAFMコントローラからの命令により間接的に実行しても良い。
【0028】
ビュー・モジュール
本発明のモジュールAFMは、ユーザーに対して高解像度のプローブとサンプル視界を与える観察機構と光てこ機構を合体化しており、AFMにとって不可欠な検出を提供している。図4に示すように、観察機構と光てこ機構は共に、ヘッドモジュール400に取り付けられた同一対物レンズ306を使用する。光てこ機構においては、対物レンズ306は、プローブ571の先端の反対側に対して光てこ光線402を指向・合焦させる働きをする。観察機構においては、対物レンズ306は追加レンズと併せて、画像センサ上にプローブ571及び/又はサンプル(図示せず)の画像を形成する作用を持つ。
【0029】
好ましくは、対物レンズ306は無限遠側が補正されたレンズであって、被写体からの光線が前方焦点面307で平行となるように設計されたレンズである。そのようなレンズの一例としては、オリンパス光学(株)で製造されたLUCPLFLN20倍/0.45NA対物レンズがある。そのようなレンズと共に、二色性ショートパスミラー405は、伝播される視野光線309の中に顕著な収差を含ませないようになっている。
【0030】
対物レンズ306が無限遠補正レンズである場合、ビュー・モジュール300は、前方焦点面307の各地点からの平行な光線の束の受光し、最小の収差をもって画像センサ340上の一点に合焦させるように設計されている。しかしながら、ある目的のために対物レンズ306は有限焦点レンズの場合もある。そのようなレンズの一例としては、ニコン(株)のCF MプランLWD20倍/0.40NAがある。そのようなレンズをもって、ビュー・モジュール300は、二色性ショートパスミラー405によって生じた収差の補正はもとより、最小の収差をもって集束光を受光し画像センサ340上の一点に合焦させるように設計されている。
【0031】
ビュー・モジュール300はシャーシ100上に据え付けられた自分自身のフレーム320に収納される。図3に示すように、ビュー・モジュール300は、照明機構、レンズ、及び画像センサを備えている。メンテナンスと較正作業のためにアクセスしたり、1つのビュー・モジュールを機能を強化させたり異ならせた他のモジュールと交換するべく、ヘッド・モジュール400からビュー・モジュール300を取り外すようにしても良い。
【0032】
観察機構は対物レンズ306を通してサンプルに照明をあてるための照明機構を備えている。これは、発光ダイオード(LED)362、開口絞り366、視野絞り368,LEDからの光をコリメートするためレンズ370、及び照明を対物レンズ306と画像センサ340の間にある光路に対し同軸状に指向させるビームスプリッタ330を備えている。その照明機構は、実質的に均等な照明域であって、視野絞り368によって設定された直径を有する、ほぼ円形の照明域をサンプル上に生成する。照明域の各地点は円錐形の照明光線の頂点である。開口絞り366は円錐の照明角度を制御する。迷光を最小限に止めるため照明域を調整することが望ましい。被写界深度と観察機構のコントラストを制御するため、照明光線の円錐角を調整することもまた望ましい。
【0033】
LED362は、350mAの試験条件において65ルーメン以上の光束を持ち、50,000時間の寿命で70%以上の光束維持形態を有する高輝度の白色発光ダイオードであることが好ましい。光束、光束維持又は発光は、より高いことが望ましい。用途によっては、他の高輝度白色や単色LEDが有効である場合もある。一例としては、より明るいイ照明光を供給するべく複数のLEDを使用することが好ましい場合もあり、サンプル上における赤色・緑色間のカラーコントラストを高めるために高輝度の赤色LEDを使用することも好ましい。
【0034】
状況によっては、観察機構のために、タングステン・ハロゲン電球やアーク放電ランプ、或いはメタルハライドランプなどの代替照明光源が好ましい場合もある。更に、ビュー・モジュール300からかなりの距離を隔てて照明光源を配置することが望ましい場合もあり、その際、照明光源は例えばフレキシブルな光ファイバの束、液体光導板、光ファイバ、或いは硬い導光板のような手段を介してビュー・モジュール300内に結合されるかもしれない。ビュー・モジュール300から照明光源を分離することで、照度がより高まり、AFMの発熱を減じるといったような利点を生むことになる。
【0035】
観察機構は、図3に示すように、照明光源の像が対物レンズ306の後方焦点面350近傍の平面に結像されるようにビュー・モジュール300のレンズを配列することで、プローブ571やサンプルに対しケーラー照明をなすように構成してもよい。
【0036】
LED362やLED群を照明光源として用いる場合、LED362の後にビーム・インテグレータ364を導入すると効果的な場合もある。ビーム・インテグレータは、LEDの概して小さな発光域を補い、プローブ571とサンプルに対するケーラー照明の提供をより平易にする。望ましくは、ビーム・インテグレータ364は、磨かれた円筒面と、LED362の球面部近傍に位置するザラザラした凹面と、開口絞り366の方向に配置された平坦な粗面とを有する、ポリメタクリル酸メチルの透明な円筒体からなる。或いは、ビーム・インテグレータ364は、光学的に異なる透明ポリマーやガラスから作られているかもしれない。或いはまた、ホログラフィック拡散板をビーム・インテグレータに代えて使用しても良い。
【0037】
観察機構は、プローブ571やサンプルの画像を形成する画像センサ340を備えている。画像センサ340は、サポート電子機器と一体化した相補型金属酸化膜半導体撮像アレイからなることが好ましい。3.2μmの正方画素を伴った1/2インチ標準画像センサ(約6.4mm×4.8mm)を使用することで良好な視界と解像度を得ることができる。或いはまた、画像センサ340は当業者に既知なる別の画像センサであっても良い。
【0038】
本発明のモジュールAFMのように、光てこ機構と観察機構を結合し、更に両方の機構に対し同じ対物レンズ306を使用することには多くの運用問題が伴うことになる。まず第1に、光てこ光線402の観察機構内部への好ましからざる漏出が観測されることがよくあるが、最先端のAFMにとっては、プローブ先端の反対側のプローブ571の側部上に光てこ光線を位置決めするための手段として、上記漏出が利用できるという点でこの漏出は有用なものになり得ることに注目しなければならない。
【0039】
2番目としては、例えば観察機構には可視波長域、光てこ機構には近赤外波長域というように、各々の機構に対し異なった光波長域を使用することによって光てこ機構から観察機構を分離させることが好ましいとされる一方で、それにもかかわらず観察機構を双方の波長域に対し良好に光学補正することは有益なことである。即ち、これによって、本発明のモジュールAFMのユーザーにとっては、サンプル上の小さな特徴部分やプローブ571(ビデオ速度の撮像処理に関する特に小さいプローブ)、更にプローブ571に対する光てこ光線の位置までも見ることができ、またプローブ571上の光てこ光線の焦点合せが容易となるであろう。その光学補正に関しては、球面収差、長手方向色収差、コマ、像面湾曲、及び非点収差が、サンプル測定時、0.8mm以上の直径の視野に亘った回折限界以下になるようにしても良い。更に、以下にかかげる追加的補正、即ち、
1)観察機構の歪曲収差をサンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘り1パーセント以上低減すること;
2)観察機構に対しては、サンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘って回折限界以下となるような波長域内のラテラルカラーを作成すること;及び
3)サンプルにて測定された0.8mm以上の直径を有する視界に亘り回折限界の3倍以下となるような、観察機構用波長域と光てこ機構用波長域との間のラテラルカラーを作成すること、もまた有効である。
【0040】
3番目に、光てこ機構や観察機構の焦点を調整することは、通常、対物レンズ306をその光軸に沿ってサンプルに対し垂直に移動することを伴う。しかしながら、一旦どちらかの機構の焦点が最適化されたならば、他方の焦点は最適でなくなるかもしれない。本発明の実施形態によっては、焦点深度が5μmぐらい短かく、かつ通常使用されるAFMプローブの先端が20μm程度の丈の場合もあるので、他方の機構を合焦状態にさせた後に一方の機構を撮像するためには、プローブの平面とサンプルの平面との間において、顕著なほどに焦点をシフトすることが必要となる場合もある。 ビデオ速度撮像処理に関連した小さなプローブに備えた場合、この焦点シフトは最大の関心事となる。
【0041】
同じ対物レンズ306を使用した光てこ機構と観察機構同士を結合することによって生じるこれらの問題の内、最後の2つについては焦点調整手段によって対処されるかもしれない。ユーザーによって焦点調整手段が作動された際には、観察機構の画像センサ340は、対物レンズ306の前方焦点面307から軸方向にずれた異なる面からの合焦画像を受ける。最大限の範囲の焦点移動は、最も近い焦点から最も遠い焦点まで測定した状態で50μmを超えることが好ましい。
【0042】
焦点調整手段の一実施形態として、多重要素レンズを使う場合もある。図3に示すように、本実施形態では2群7枚構成のレンズが使用されている。移動する第1群332は4枚から構成され、固定側の第2群334は3枚から構成されている。移動群332は、上述したように焦点移動50μm以上を達成するべく多くても20mm移動し、例えば光学的品質のフッ化カルシウムのような、アッべ数Vdが65以上の材料、又はOhara社製造のS−FPL53ガラスから作られる少なくとも1枚の正レンズ333を備える。固定群334は、例えばSchott社製造のN−SF11のようにアッべ数Vdが30以下の材料から作られる少なくとも1枚の負レンズ335を備える。
【0043】
焦点調整手段は、本手段を作動させた際には画像センサ340によって検出された画像の倍率や画像自体の歪曲収差が変化しないように設計されている。
【0044】
焦点調整手段は、内側螺旋ネジを持つナット338を回転させることによって作動する。これは、外側螺旋ネジを持つ円筒体336と係合することで、円筒体を軸方向に移動させる。円筒体336に前記移動群332が含まれる。他の構成もあり得る。 例えば、移動群332を、リードネジやボールネジによって駆動されかつクランクやノブ、或いはステップモータやDCモータによって作動されるような十字ローラー・ベアリング・ステージ又はボールベアリング・ステージ上に据え付けるようにしても良い。
【0045】
焦点調整手段には、対物レンズ306の前方焦点面307が観察機構の画像センサ340で合焦される設定(“無限状態”)に対応した印が備わっていることが好ましい。この印は、その後光てこ機構の感度を最適化するべく対物レンズ306を調整する際か、或いはプローブ及び/又はサンプルの画像を最適化するべく対物レンズ306を調整する際の基準面として用いることができる。“印”を提供する1つの手段としては、システムが“無限状態”にあることをユーザーに知らしめるような戻り止め(図示せず)をナット338に備えさせることにある。ナット338は又、その無限条件が満たされた際に電子信号を発生可能なセンサを備えることが好ましく、例えばナット338上の磁石(図示せず)を設け、その磁石に隣接したビュー・モジュール300のフレーム320上にホールセンサ(図示せず)を設けたものでもよい。これにより、本発明のモジュールAFM用作動ソフトウエアを以て、無限状態が満たされたことの指示が可能になる。これとは別な方法として“印”は、可視マーク339、電子接触スイッチ及び/又は赤外線ゲートセンサを備えるようにしても良い。
【0046】
焦点調整手段の他の実施形態としては、例えばレンズ、回折オプティックス、ハイブリッド回折/屈折オプティックス、プリズム、反射オプティックス、反射屈折オプティックス、アナモルフィックなオプティックス、ホログラフィック光学素子、傾斜屈折率オプティックス、マイクロレンズ、アレイオプティックス、コヒーレント光ファイバの束、融合光ファイバフェイスプレート、及び/又は負の屈折率を持つ材料などを組み合せることで達成されるかもしれない。
【0047】
ヘッド・モジュール
ヘッド・モジュール400はAFMに不可欠のプローブの撓みを検出する光てこ機構を備える。図4に示すように、ヘッド・モジュール400は、シャーシ100に取り付けられた自分自身のフレーム406に収容される。以下の記述を容易にするべく、図4はまた、ビュー・モジュール300とプローブ571を示している(尚、プローブはスキャナ・モジュール500の一部であって、ヘッド・モジュールではない)。
【0048】
図1に示すように、ヘッド・モジュール400はZ方向に移動可能なリニア・ステージ801を介してシャーシ100に取り付けられる。ステージ801は、共通配向された軸を有する3つの十字ローラー・ベアリング・ステージを備えかつ精密送りネジとステップモータによって駆動される、精密で高剛性かつ高分解能なリニアステージであることが好ましい。当該技術に精通した人にとっては既知形式の光学エンコーダが、ステージ801のZ方向位置をサブミクロン・オーダーの分解能で測定する。
【0049】
運転時、ステージ801は、プローブ571に対する光てこ機構の焦点を最適化するため、またそれ関連して上述したような無限状態を確立するために作動される。次いで、ビュー・モジュールの焦点調整手段が使用され、プローブ571及び/又はサンプル(図示せず)を撮像する場合もある。プローブ571がサンプルの表面から遠く離れている場合には、ステージ801を連続して作動させることでプローブ571、サンプルへと焦点を合わせることができる。プローブ・サンプル間距離を求めるため、その際ステージ801のZ方向位置が減算されるかもしれない。この手順は、サンプル表面に係合することになるプローブ571の速度に関し好ましい改善をもたらすことになる。
【0050】
プローブ先端とは反対側のプローブ571の上部において、合焦点は又、XとYで心出しされなければならない。このため、ヘッド・モジュール400は更に、XとYの移動が可能な2軸リニアステージ(図示せず)を介してシャーシ100に取り付けられる。2軸リニアステージは、ヘッド・モジュール400の全ての部品を一緒に移動させると同時に、所謂フレーム406によって取り囲まれた部品の全てと光源サブモジュール470の部品を移動させる。2軸リニアステージはリニアステージ801上に支持され、ヘッド・モジュール400はこの2軸リニアステージ上に支持されることが好ましい。或いはまた、リニアステージ801を2軸リニアステージ上に支持するようにしても良く、その際には2軸リニアステージはシャーシ100に直接取り付けられることになる。
【0051】
好ましくは、2軸リニアステージは、夫々の軸線が互いに対して垂直な状態で入れ子になった精密かつ高剛性の十字ローラー・ベアリング・リニアステージを備えている。各リニアステージは精密な送りネジとステップモータによって駆動され、そのX、Yの位置は光学エンコーダによってサブミクロン・オーダの精度を以て測定される。
【0052】
別の実施形態としては、合焦点を2軸ゴニオメータ(図示せず)を使って、XとYにおいて心出しするようにしても良い。ゴニオメータと対物レンズ306はZステージ801に取り付けられ、ヘッド・モジュール400の残った部品はゴニオメータの移動部に取り付けられる。ゴニオメータ自体は、その動作中心が対物レンズ306の後方焦点面350に位置するように配置される。更に、その動作中心は、対物レンズ306の中心軸線から光線402の中心となるような地点450(図4に示す)まで変位する。これにより、ゴニオメータが作動した際でも、プローブ571から反射される光の角度は不変となることが確実となる。
【0053】
本発明のモジュールAFMの光てこ機構の各部品は、プローブ571に入射する光線402とプローブから反射した光線とがオーバラップし、同じレンズ系を受光されるように配置される。このような配置により、プローブ571に極めて接近した状態で複雑なレンズ系や集積させたレンズを設けることが回避される。2本の光線は、ビームスプリッタを4分の1波長板と併用させた偏光によって分離される。これらの手段によるオーバーラップ光線の分離は、当該技術に精通した人にとってはよく知られた技術である。
【0054】
図4に示す光源サブモジュール470は、独立したハウジング471内に、入射光線402を発光する光源472と、光てこ機構のためのレンズ473と、しばしばコリメートレンズを入れている。
【0055】
光源472とレンズ473の間、及びレンズ473と対物レンズ306の後方焦点面350の間の位置合わせは、光てこ機構において最も重大な整合性のいくつかである。ミリメートル規模の焦点距離のオプティックが、合焦した光てこスポットにとって望ましい次元を得るのにしばしば必要となるため、光源472とレンズ473の間、及びレンズ473と対物レンズ306の後方焦点面350の間、それぞれの相対的位置における小さなズレは、対物レンズの前方焦点面307において大きなズレを発生させる可能性がある。
【0056】
光源サブモジュール470のハウジング471が、光源472とレンズ473の間の精密アラインメントを保持する。更に、光源サブモジュール470のハウジング471の外側は、ヘッド・モジュール400を密閉するフレーム406には不可欠な受け基準構造に酷似した明確な基準構造を有する。ハウジング471の外部の基準構造と受け基準構造406の間の接合部分は運動学的なものであってもよいが、より高い剛性を持った他の接合形態もまた適当である。ハウジング471外部の基準構造と受け基準構造406が正しく結合された際には、光源サブモジュール470が光てこ機構の部品の残りに対しインデックス化され、サブモジュールと対物レンズ306の後方焦点面350との間で正確な整合が維持するようになっている。
【0057】
光源サブモジュール470は、本発明のモジュールAFMのいかなる他の部品も工場やサービスセンターに返却する必要なく、現場で容易に着脱・交換可能なように設計されている。着脱・交換が容易である場合、多くの利点を与えることになる。最も明白なものの1つとして、光源472が機能停止したり、その耐用時間の終点に達した際には、それまでの光源サブモジュール470を単純に取り外し、新しい光源サブモジュールと交換できることである。
【0058】
更に重要なこととして、ユーザーはサンプル、プローブサイズ、実験技術、その他の要因に応じて、どんな光源サブモジュール470を取り外し、異なる光源472、異なるレンズ473、異なるアラインメント或いはこれらの如何なる2つ或いは全てを持つような他のものに交換しても良い。ユーザーは、異なる条件下でも最適な性能を達成するべく、特定の作業セッションに最も適したサブモジュールや異なる作業セッションのためのサブモジュールを選択することができる。
【0059】
図6は、異なった2つのプローブに反射しかつ合焦状態にある、2つの異なる光てこスポットの光学像を示している。スポットのサイズが異なるのは、異なる光源サブモジュール470を使用したせいであって、それぞれ異なったレンズ437を備えているためである。
【0060】
以下のものに限定されるわけではないが、光源サブモジュール470の光源472は、ファイバ結合光源だけでなくレーザダイオードや超発光レーザダイオード(SLD)、或いは垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を含んだ沢山の異なる光源の1つであっても良い。
【0061】
SLDは、それらが放つ光のコヒーレンス長が短いため力曲線を成すためには良い光源であることはよく知られている。しかしながら、光てこ機構に使用された場合、多くのSLDはレーザーダイオードよりも本質的に騒がしいものとなる。図5は、同一の非励起カンチレバー(オリンパスAC160)のための撓み信号の、異なる2つの振幅スペクトル密度を示している。各スペクトル密度は、それぞれ異なる光てこ機構、即ち、一方にはSLDを用いた機構、他方はレーザーダイオードを用いた機構を使用して測定された。撮像用としてレーザーダイオード、力曲線用としてSLDを用いることの利点はその「クリアさ」にあり、レーザーダイオードは少ないノイズで画像を生成し、SLDは力曲線における干渉アーチファクトを低減している。
【0062】
好ましくは、光源サブモジュール470の光源は、30μmオーダで3以下のビーム伝搬係数M2の小さな発光域を持つべきである。光線402は、所望のビームウエスト位置と所望の収束率又は発散率を持った光線であることが好ましい。レンズ473は非球面レンズであることが好ましいが、例えば(以下のものに限定されないが)球面レンズ、グレーデッド・インデックスレンズ、回折光学要素、反射光学要素、ハイブリッド光学要素、及び光学要素群を含む、多くの異なるタイプのオプティックの中の1つであっても良い。平行ビーム402や所望の収束率又は発散率を成すため、光源472とレンズ473の間の距離が正確に調整される場合もある。
【0063】
前述したように、ユーザーによってはビデオ速度で撮像することの利点を見出す場合もある。この状況では、ユーザーは小さなプローブを使用することになり、従って小さな光てこスポットが作れるAFMを必要となるであろう。このために、ユーザーは異なった有効焦点距離を持つレンズ473を備えたサブモジュール470を用い、対物レンズ306の前方焦点面307に、適当に小さい合焦光てこスポットを作ることができる。更にまた前述したように、最適な光てこを検出するためには、光線からのスポットが一次元において先端の反対側にあるプローブ上面を実質上満たすことが必要となる。ここにおいても又、ユーザーは、合焦した光てこの最適なスポットサイズを成すレンズ473を持ったサブモジュール470を選ぶことで検出感度を最大にすることができる。
【0064】
対物レンズ306の前方焦点面307にある合焦光レバースポットのサイズを制御するために、従来技術では、入射光線402の経路において光源サブモジュール470の直後であって偏向ビームスプリッタ401の前に絞りを設置している。このアプローチには、光源サブモジュール470からの光の幾分かをブロックしてしまい、結果としてショットノイズを増加させてしまうといった重大な欠点がある。従来技術は又、合焦光てこスポットの大きさを制御する上で、ビームエキスパンダを使用したり対物レンズ306を変更したりしている。そのようなアプローチは共に、本発明のモジュールAFMの設計に対して不要な複雑さを加えている。ビームエキスパンダは、光てこ機構のサイズを好ましからざるものにし、対物レンズ306の交換は、ユーザーに対して光学的観察機構の解像度と視野の変更を不必要に強いることにもなる。
【0065】
1つの好ましい実施形態として、光源472は射出光のコヒーレンス長を制御する手段に接続される。光てこ機構に、例えば光干渉による正弦波背景雑音のようなアーチファクトが発生するのを抑えるためにはコヒーレンス長がより短いことが好ましい。
【0066】
光源472がレーザーダイオードである場合、図4Bにブロック図で示した装置によってコヒーレンス長をより短くすることが可能である。電流は実質上、直流電源482によって光源472に供給される。高周波電源480はRF信号を出力し、同信号は結合素子484によって直流電流と結合されが、結合素子としては、バイアスティー、加算増幅器、加算接点、直列接続、或いは並列接続であっても良い。
【0067】
電源482は、光源472から出射された光のパワーを安定させるための回路(図示せず)を備えても良い。この回路は、光源472の直接後側に取り付けられるフォトダイオード(図示せず)によって検出される出力に基づき、光源472への供給電流を調整する場合もある。或いはパワー安定化回路が、光検出器404によって検出された全部の光か、或いはヘッド・モジュール400内の他の場所に配置されたフォトダイオード(図示せず)によって検出された光に基づいて電流を調整するかもしれない。
【0068】
別の好ましい実施形態例としては、光源サブモジュール470は光遮断器(図示せず)を備え、同遮断器は、光源472からの光を偏向ビームスプリッタ401に向けて伝播すると同時に伝播戻りする光が光源472に向けて伝播されないように調整されている。この装置は、ヘッド・モジュール400の他のオプティックから反射されて光源サブモジュール470に戻る光の作用を最小限に抑える。戻り反射光は光源472の出力において好ましからざるバラツキをもたらす可能性がある。しかしながら、適切な非反射コーティングの使用を含め、ヘッド・モジュール400におけるオプティックの設計によって、戻り反射光を最小限にすることは好ましいことである。
【0069】
別の好ましい実施形態例としては、光源472は光源温度を安定させるための手段に接続される。温度の安定化により、光線402における光の波長や騒音レベル、或いは出力レベルがより定常化する効果があるかもしれない。それは又、光源472にとって一層長い寿命をもたらすような運転条件の選択を可能にする。1つの温度安定化手段(図示せず)は、光源472の温度を調整できるペルチェ加熱/冷却素子と、光源472の発光点に接近配置される温度センサと、ペルチェ素子の出力を適切に調整するフィードバック回路とを備える。
【0070】
別の好ましい実施形態例としては、光源サブモジュール470はその光源がサブモジュールから離れて位置するように再構成される。図4Cに示すように、この実施形態では、光は光源472aから出射され、カップリング・オプティック479を介して光を集中させることで光ファイバ要素476の遠位面477へと導かれる。或いはまた、光源472aを遠位面477に当接させたり、これに直接融合させるようにしても良い。次いで光は、遠位面477から光ファイバ要素476を通って伝播され、その近位面474において再射出され、ここから光源472aによって射出された光の性質と同様に光源サブモジュール470の中で処理される。特に近位面474は、実質的に平行な光線402や所望の収束率又は発散率を持つ光線を生じるようにレンズ473に対し配置される。
【0071】
図4Cの実施形態は幾つかの利点をもたらす。それは、仮にその光源がヘッド・モジュール400の近傍に取り付けられたならば、かさばり過ぎるか、或いは熱、音響ノイズ又は電気ノイズの望ましからざる源として作用することになる別の光源472aの使用を可能にする。例えば、遠隔位置の場合、光源472aとしてのファイバレーザーやダイオード励起された固体レーザの使用が可能になると共に、そのようなレーザのマイナスの効果を最小限に抑える。
【0072】
従来の光てこ機構におけるノイズの重要源は、光源から射出された光の角度及び/又は位置におけるバラツキがある。しかしながら、図4Cの実施形態では、光源472aからの光は光ファイバ要素476を通過し、その要素は光の角度及び/又は位置におけるバラツキを減じることができる。光ファイバ要素476は光源472aの発光波長において単一モードの光だけを伝播することが好ましい。これは、光源サブモジュール470によって射出された光線402のビーム伝搬パラメータM2を最小にするためには望ましいことである。単一モード形態のみで作動する光ファイバ要素は、光の強度を伝播する一方で光の角度や位置のバラツキは伝達しないため、それも又好ましいことである。従って、光ファイバ要素476の近位面474から射出される光はバラツキが少なく、光源サブモジュール470はノイズが小さな光線402を生成する。
【0073】
光ファイバ要素476などの光ファイバ要素では、光は望ましからぬクラッドモードで伝播される可能性がある。それらクラッドモードが抑制されない限り、角度及び/又は位置バラツキを伝えM2を増加させるため、上述したような単一モードの利点はなくなる。好ましくない実施形態としては、相当な長さの光ファイバ材料が光ファイバ要素476として使用されることで、光ファイバ要素476の全長が光ファイバ材料の設計上存在するどんなクラッドモードの減衰長の何倍にもなってしまうことである。このような実施形態では、クラッドモードを抑えるために光ファイバ要素476の長さを何10メートルにしなければならず比較的に好ましいものではない。
【0074】
図4Cに示すように、クラッドモードは光ファイバ要素476において連続したループを持つモード抑制要素478によって抑えられることが好ましい。ループ半径は、クラッドモードに急激な減衰を起こすほど十分小さいが、単一モードにいたってはその減衰が許容可能なくらい低くなる程、十分な大きさをもつものが選択される。或いは又、光ファイバ材料は、ここで説明した評価基準に従った最小半径の正弦波パターンで曲げられる場合もある。クラッドモードを抑える別の手段としては、ファイバ材料のジャケット部分が除去されて、被覆加工部分がグリセリンか液浸油などの屈折率整合液体に浸漬されるような光ファイバ材料からなるセグメント(図示せず)がある。
【0075】
単一モードであることに加え、光ファイバ要素476は、ステップ型ファイバ、傾斜屈折率ファイバ、シリカ・ファイバ、カルコゲン化物ファイバ、フッ化物ガラスファイバ、フォトニック結晶ファイバのいずれであっても良い。光ファイバ材料476は、ビームスプリッタ401へ入射する光線に正しい偏向状態が生じるような偏向保持型であることが好ましい。或いは又、光ファイバ材料476は非偏向保持型であっても良い。しかしながらこの場合には、レンズ473の後方にもう1つの偏向変換オプティック(図示せず)が導入され、光線402に正しい偏向を付与するようになっている。任意ではあるが、偏向変換オプティックは、光線の偏向を回転するための位相差板や、偏向変換器と偏光板を含む場合もある。
【0076】
本発明のモジュールAFMの光てこ機構のその他の重要な要素を図4に示す。光源サブモジュール470によって生成された入射光線402は、入射光線ビーム402の唯一の偏光方向だけを通過する偏向ビームスプリッタ401に向けられる。その他の偏光方向は光検出器404のそれとは反対側の方向に反射され、迷光を最小にする黒体426に当たる。偏向ビームスプリッタ401を通過した入射光線402の一部は、次に4分の1波長板403を通ることで楕円偏波化される。そこから、偏向入射光線402は二色性ショートパスミラー405によって対物レンズ306側に向けられ、このミラーにおいて光線が観察機構の光線309と合わさる。二色性ショートパスミラー405によって反射されない偏向入射光線402の光は、反射が好ましくない観察機構の光線309の光と同様に、第2の黒体420によって吸収される。結合した光線402、309は、対物レンズ306を通り抜けて、プローブ571の上面から反射される。反射光線は対物レンズ306を介して二色性ショートパスミラー405へと戻り、ここで2つの光線が分割し、光てこ機構の光線402へと反射させる一方で観察機構の光線309へと伝播する。光てこ機構の光線402は4分の1波長板403を通過して戻る際、直線偏光され、更に偏光ビームスプリッタ401によって位置敏感型光検出器404に向けられる。4分の1波長板403によって光てこ機構の反射光線402に付与された直線偏光は、最初に4分の1波長板403を通過する際に入射光線402に付与された楕円偏光に対して実質用垂直な関係にある。この垂直な偏向作用の結果として、プローブ571で反射した光線の殆どが検出器404に伝達される。ビームスプリッタと4分の1波長板を用いたこのような異なる偏光は、部品に対しその方向性が求められるのと同様に周知のことである。
【0077】
フィルタ422をビームスプリッタ401と光検出器404の間に挿入し、光線402の波長の光を実質上伝播しつつ、観察機構からの周辺光や散乱光を含む他の波長の光は吸収又は反射するようにしても良い。フィルタ422は検出器404においてノイズやドリフトを減らすためには望ましい。
【0078】
光てこ機構の光線402は赤外線ビームであり、観察機構の光線309は可視光ビームであることが好ましい。しかしながら、実施形態によっては他の波長を使用することが望ましい場合もある。例えば、より小さな合焦スポットを達成するためには光てこ機構の光線402を短波長とするのが好ましい時もある。この場合、光線402は紫外線であり、観察機構の光線309は可視光であるかもしれない。2つの光線のそのような波長の組み合せは、二色性ショートパスミラー405の代わりとしての二色性ロングパスミラーの使用を好ましくする。
【0079】
二色性ショートパスミラー405は、光てこの光線402のS−偏光とP−偏光の間に望ましくからぬ位相を生じる場合がある。これは、光線によっては、プローブ571から反射して4分の1波長板403に戻った後において検出器404に向けてビームスプリッタ401によって反射されず、むしろ光源サブモジュール470に向かって伝播される状態を引き起こす。好ましくは、これは光のS偏光成分とP偏光成分に対し等しい位相シフトを持つような二色性ショートパスミラー405のための特注デザインのコーティングを使用することで最小限に抑えられる。或いは又、4分の1波長板403に代わり、波長の4分の1以上又は以下の位相差を有する波長板を置き換えることも可能である。この交換によって生じた位相差は、その軸線周りの回転角を変化させることを伴い、二色性ショートパスミラー405によって導入された位相シフトを完全に補償し、ビームスプリッタ401による光線402の実質的な完全反射をもたらすかもしれない。例えば、20°の位相シフトの場合、0.268波長分の位相差と軸線周りの回転角が125.6°である波長板は、光源サブモジュール470に向かうような光を全く無くし、検出器404に対し実質的に完全な反射を生むことになる。
【0080】
或いは、二色性ショートパスミラー405によるS−偏光とP−偏光間の位相シフトの問題は、4分の1波長板403を除去し、代わりに二色性ショートパスミラー405と対物レンズ306の間に波長のおよそ4分の1の位相差を持つ波長板(図示せず)を配置することで解決できる。これらの変更により、プローブ571の上面から二色性ショートパスミラー405へと反射する光が完全にS偏光またはP偏光されるため、位相シフトは発生しなくなる。しかしながら、この構成は波長板403が二波長帯反射防止コーティングによって被覆される必要がある。このコーティングは、結果として画像センサ340に供される画像におけるコントラストを減じることにもなる、観察機構光線309の望ましからぬ背面反射を回避する上で必要なことである。
【0081】
高偏光感度要素の他の形態も可能である。例えば、波長板403は0次水晶波長板であることが好ましいが、これを多次水晶波長板、ポリマー波長板、雲母波長板、無色位相差板、水晶位相差板、無色位相差板、フレネルロム、又は制御された偏光位相差を与える他の要素に交換しても良い。同様に、偏光ビームスプリッタ401は偏光ビームスプリッタキューブであることが好ましいが、これを方解石偏光子、グラン‐トンプソン偏光ビームスプリッタ、ウォラストンプリズム、ロションプリズム、或いは同様の光学素子に交換しても良い。
【0082】
図4に示すように、入射光線402は、その光線が垂直から11度傾斜した状態で対物レンズ306から出るように、レンズの中心軸から十分な距離をおいて対物レンズ306を通過する。しかしながら、プローブ571は、入射光線402(及び反射光線)は先端とは反対側のプローブ571の上面の平面に垂直となるように、水平線から11°傾斜して取り付けられている。これには幾つかの利点がある。例えば、プローブのエッジを影にすることで光損失が最小になる。このことは、ビデオ速度撮像を可能にする小プローブが必要不可欠な高開口数システムにとっては、大きな開口角を持った光錐がプローブに到達しなければならないという観点から、特に重要なことである。
【0083】
従来技術では、プローブに対し垂直な光てこ検出のための対物レンズを配置しているが、サンプルとってはかなりの角度になる。結果として、サンプルへの視野は常に細長い一片に制限され、サンプル上に光学的な特徴部分(例えば、AFMスキャンのための位置を示す基準点)を置くためには、連続的な対物レンズの再位置合わせが必要となる。これに対し、本発明のモジュールAFMの対物レンズ306は、その光軸がサンプルの表面に実質上垂直である。ビュー・モジュール300の焦点調整手段に加え、対物レンズのこのように配置することでサンプルの広範な領域を平坦な視野と高い光学解像度を以て見ることが可能になる。この改良は、サンプルの光学的特徴部分の観察と位置決めを迅速化する。
【0084】
従来技術を超える本発明の更なる利点は、対物レンズ306が調整がいらない市販の対物レンズでも良いということである。そのような市販レンズは、特注のレンズよりもユニット当たりのコストが低く、しかもより高い性能を提供する。対物レンズ306を又、ユーザーが容易にアクセスしやすく、位置合わせや特別な工具を必要とすることなく、異機能のための異なる対物レンズに交換したり、アップグレード可能である。 液体中のAFM撮像にあたっては、ユーザーは球面収差補正環付きの対物レンズを選択しても良い。その補正環は、様々な深さや様々な屈折率を持つ液体において高解像度を達成するために調整することができる。 空気中でのAFM撮像にあたっては、ユーザーは補正環を持たない長作動距離対物レンズを選んでも良い。その長作動距離対物レンズはサンプルによりアクセスできるようになっているため、サンプルへの電気接続や、追加スペースからの恩恵を受けるその他のアプリケーションへの電気接続が容易となる。
【0085】
スキャナ・モジュール
それぞれの軸方向にサンプルを作動するXYZ並進ステージ501を備えたスキャナモジュール500を図7に示す。このステージは、三脚構造の3つのピエゾ作動湾曲部を使用することで、プローブ571の先端に対しサンプルをスキャン(例:ラスター走査)するためのX、Y軸における移動と、サンプルに対するプローブ571の撓みや発振に応じてシステムを基準状態に戻すためのZ軸方向の移動を提供するようになっている。ピエゾ作動湾曲部の動作についての正確な位置情報を得るために位置センサを使用し、その移動を目的とするものへと補正するようにしても良い。このために使用され得るLVDTは、同一発明者らの幾人かによる同時係属出願中の米国特許出願60/XXX,XXX号の“高精度位置測定用統合型マイクロアクチュエータと直線可変型差動変圧器‐Integrated Micro-Actuator and Linear Variable Differential Transformer for High Precision Position Measurements”に記載されている。
【0086】
図1に示すように、スキャナ・モジュール500は又、プローブを保持すると共に本発明であるモジュールAFMの係合機構の一部を成すカンチレバーホルダ・サブモジュール570を備えている。 そのカンチレバーホルダ・サブモジュール570は、係合機構に関連してZ軸方向の上下運動を可能にする一軸リニアステージ802を介してスキャナモジュール500に取り付けられる。この移動は、本目的のため選択されかつ当業者には既知のモータ(図示せず)によってなされるようにしても良い。リニアステージ802には、例えば十字ローラ・ベアリングのような高剛性・低摩擦のベアリングを組み込むことが好ましい。
【0087】
スキャナ・モジュール500をシャーシ100の内外へとスライドさせることで、サンプル706をXYZ並進ステージ501上に据え付けたり、更に/或いはプローブ571をカンチレバーホルダ・サブモジュール570上に据え付けれるようにしても良い。次いで、スキャナ・モジュール500をシャーシ100内にスライドバックさせ、ここでモジュールを適所にロックし、サンプルの特性を撮像したり測定するようにしても良い。
【0088】
スキャナ・モジュール500全体をシャーシ100から取り外し、別のスキャナ・モジュールに交換したりアップグレードしても良い。異なった走査領域、異なる走査速度、異なるサンプル環境、異なるアプリケーションにより異なった特性を持つスキャナ・モジュールが必要となるかもしれないため、スキャナ・モジュール500を異なった特性の別のスキャナ・モジュールに交換できるということは有利なことである。例えば、ビデオ速度撮像を可能にする小プローブを生かしたスキャナ・モジュールは、一般的により小さい走査領域を持つことになり、より小さいサンプルに対してよい性能を示すことになるであろう。例えば、より高感度な位置センサのように一層高度な部品が入手可能になった際には、AFM全体を旧式化することなくスキャナを交換できるため、スキャナモジュール500をアップグレードできる構造は有利なことである。
【0089】
本発明のモジュールAFMの係合機構は従来AFMの係合機構とは異なる。図8A、8Bは従来技術の係合機構の2つの変形例を示している。両方の図において、プローブ704はカンチレバーホルダ703を介して光てこ機構702に取り付けられる。図8Aでは、光てこ機構702は、サンプル706を取り付けるスキャナ705に対してZ軸での上下運動を可能にする1軸リニアステージ701を以てAFMシャーシ700に取り付けられる。サンプル706が取り付けられるスキャナ705は、シャーシ700に直接取り付けられ、Z軸方向には移動可能にはなっていない。図8Bでは、光てこ機構702は、シャーシ700に直接取り付けられ、Z軸方向には移動可能にはなっていない。また、サンプル706が取り付けられるスキャナ705はZ軸方向に移動可能であり、光てこ機構702に対してZ軸での上下運動を可能にする1軸リニアステージ701を以てAFMシャーシ700に取り付けられている。
【0090】
図8Aでの係合プロセスは、結合された光てこ機構702、カンチレバーホルダ703及びプローブ704を、プローブ704がサンプル706と係合する位置まで垂直方向下方に移動させることからなる。これは、デジタルインスツルメンツ社のマルチモードを含む、数多くの旧式AFMによって採用されている係合プロセスである。図8Bでの係合プロセスは、サンプル706が取り付けられるスキャナ705を、プローブ704がサンプル706と係合する位置まで垂直方向上方に移動させることからなる。
【0091】
図9は本発明のモジュールAFMの係合機構を示している。図示するように、ヘッド・モジュール400は、1軸のリニアステージ801を以てシャーシ100に取り付けられており、Z軸方向の移動を可能にする機構によって、光てこスポットが所望されたようにプローブ571の裏面上に合焦されるようになっている。前述したように、ヘッド・モジュールは又、X、Y軸における移動を可能にする2軸リニアステージ(図示せず)を以てシャーシ100に取り付けられている。しかしながら、この2軸リニアステージについては、今回の係合機構の議論に関連して議論される必要はない。プローブ571は、1軸の十字ローラーベアリング802と共にスキャナ・モジュール500に取り付けられるカンチレバーホルダ・サブモジュール570によって保持され、前記ベアリングは、プローブ571の下方でスキャナ・モジュール500上に据え付けられるサンプル706に対しZ軸方向の移動を可能にしている。スキャナ・モジュール500自体はシャーシ100に直接取り付けられている。
【0092】
本発明のモジュールAFMのため係合プロセスは、光てこ機構400とプローブ571の双方(前述したように、これらはプローブ571を保持するカンチレバーホルダ・モジュール570を介してタンデム状態に移動する)を、プローブ571がサンプル706と係合する位置まで垂直方向下方に同じ距離分だけ移動させることからなる。結果として、光てこ機構400とプローブ571の間の距離は一定のままであり、光てこスポットは、プローブ571の裏面上に要望通りに合焦された状態のままとなる。
【0093】
本発明のモジュールAFMのための係合プロセスは従来技術AFMの係合プロセスよりもかなり複雑であることに留意されたい。従来技術では、ユーザーはプローブがサンプルと係合するまで光てこ機構かスキャナの一方を移動させる必要があった。好ましい実施形態では、光てこ機構400とプローブ571の双方を、双方間距離を一定に保ちつつ、プローブ571がサンプル706と係合するまで同一距離分だけ移動させることが必要である。しかしながら、複雑という欠点は、モジュールAFMによって生成された画像に付随するノイズを低減する際にモジュールAFMの係合機構によって与えられる利点によって有り余るほどに補償される。あらゆるAFMはサンプル構造や他の特性を正確にトラッキングするプローブに依存する。プローブ及びサンプルが音響や振動性のノイズの外部源によって刺激された際に、これらが互いに対し移動したならば、厄介な動作がサンプルをトラッキングする信号上に重畳され、真のサンプル構造や他の特性の測定を中断したり測定品質を下げる干渉ノイズとして作用することになる。
【0094】
AFMへの振動ノイズの作用を理解する上で、簡単な調和振動子モデルをプローブとサンプル(簡単にするために、これらを係合機構と呼ぶ)の間の経路中にある構造要素に適用することが有用である。このモデルの想定の下で、外部の振動ノイズの大きさによって割られるプローブとサンプルを隔てる距離の変化は、係合機構の剛性によって割られた係合機構の質量に比例することになる:
Δx/A α M/k
但し、xはプローブ・サンプルを隔てる距離、Aは振動ノイズの大きさ、Mは係合機構の質量、kは係合機構の剛性である。(M/k項の逆数の平方根は係合機構の共鳴であるため、先の関係は又、Δx/Aと、係合機構の共鳴の二乗の逆数との間に比例関係があると見なしても良い:
Δx/A α 1/ω02
但し、ω0は係合機構の共鳴周波数である。)
【0095】
図8Aと図8Bから分かるように、従来技術の係合機構は、カンチレバーホルダ703、光てこ機構702、及びプローブからサンプルを経た機械的な経路にあるスキャナ705を備えている。これに対し、好ましい実施形態の係合機構は、カンチレバーホルダ・モジュール570と、機械的な経路内のスキャナ・モジュール500だけを備えている。光てこ機構において標準的な対物レンズの質量がそれ自体で約200グラムであり、機構全体は500グラムと1000グラムの間のいずれかであるために、好ましい実施形態の係合機構の質量は、従来技術AFMの係合機構のそれよりも実質上低くなる。従って、好ましい実施形態の係合機構のM/k項は従来技術の係合機構のこの因数よりもはるかに小さく、好ましい実施形態のx/A項、ひいては画像データに付随する振動ノイズにおいて50Xもの減少を期待することができる。
【0096】
M/k項は又、プローブからサンプルを経る機械的な経路にある部品を、高剛性材料、より正確には高い弾性率の材料から作ることによって減少されるかもしれない。しかしながら材料特性における変化は、それ自身によるものでは通常不十分である。共鳴周波数に対する大幅な増加を得るために、含まれる構造物の質量を減少しなければならない。
【0097】
図10はSTMとして機能するように改良された本発明のモジュールAFMのバージョンで撮像されたグラファイトのフィルタなし/未処理のSTM高さ画像を示している。このため、カンチレバーホルダ・サブモジュール570の代わりにSTMチップホルダが用いられ、好ましい実施形態のAFM電子機器の代わりにSTM電子機器が用いられる。画像は、1mm/s2の統合加速をもって、支持構造体上に通例の振動絶縁装置を使用することなく撮られた。画像において定期的な音響ノイズや振動ノイズが無いことは好ましい実施形態の成果である。
【0098】
電子モジュール
本発明のモジュールAFMの新しい係合機構に加え、画像データに付随するノイズを抑えるために、その他多くの技術が使われる。重要な一例として、図1に示すように制御盤150や他の電子機器をAFMの近傍、但し隔離モジュール200の外側に位置させる例がある。
【0099】
電気コネクタ310は、隔離モジュール200内部での電子機器への接続、例えば、圧電駆動装置やLVDTのような移動検出部品への接続を可能にする。
【0100】
以上、僅かばかりの実施形態を開示してきたが、他の実施形態も可能であり、発明者らは、これらの実施形態が本明細書に包含されるべきものであることを意図している。明細書は、別の方法でも達成し得る、より普遍的目標を達成するための特定例を記述している。本開示は典型的であるよう意図されており、請求の範囲は、当該技術における通常の技術を有する人に予測し得るいかなる変更例や代替案をもカバーするように意図されている。例えば、他の装置や他のモジュール形態も使用可能である。
【0101】
また、発明者らは、“の手段(means for)”という用語を使用した請求項のみ、米国特許法第112条の第6パラグラフに準拠して解釈されることを意図するものである。更に、明細書中のいずれの限定も、それらが請求の範囲内に明確に含まれない限り、請求項に適用されることを意図しない。ここで説明したコンピュータは如何なる種類のコンピュータでも良く、汎用コンピュータかそれともワークステーションのようにある特定の目的を持ったコンピュータでも良い。コンピュータは、Windows(登録商標) XPやリナックス(登録商標)を駆動するペンティアム(登録商標)級コンピュータでも、マッキントッシュ(登録商標)のコンピュータであっても良い。コンピュータは又、PDAや携帯電話やラップトップなどのハンドヘルド型コンピュータでも良い。
【0102】
プログラムはC、Java(登録商標)、Brew、又は他の如何なるプログラミング言語を使って書かれるものでも良い。プログラムは、例えば磁気や光学、例えばコンピュータのハードディスクドライブなどの記憶媒体、メモリースティックやSDメディアなどのリムーバブルディスクやメディア、或いは他のリムーバブル媒体に存在するものでも良い。プログラムはまた、例えばローカルマシンに信号を送ることでローカルマシンに対しプログラムに記載された作動を実行させるサーバやその他のマシンを以てネットワーク上を走行するものでも良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子間力顕微鏡システムにおいて、
シャーシと、
シャーシを収納すると共にAFMに対して遮音及び熱的分離状態を提供する隔離モジュールと、
前記シャーシに取り付けられ、カンチレバーとサンプルの領域における光学的観察を可能にするビュー・システムと、
前記シャーシに取り付けられ、カンチレバー上へと光線を向けさせ、カンチレバーの移動を示すカンチレバーからの戻り光線を獲得するヘッド・システムと、
支持構造及び該支持構造の第1の表面内に保持される発光器を有する発光アセンブリであって、前記支持構造は前記ヘッド・システムに対して挿入できると共にヘッドシステムから取り外し可能となるような、発光アセンブリと、
前記シャーシに取り付けられ、サンプルホルダ、カンチレバーホルダ、サンプルのXYZ並進、及びカンチレバーをサンプルに係合してサンプル測定に伴うノイズを最小にする機構を提供するスキャナ・サブシステムと、
前記隔離システムの外側に据え付けられ、別のコントローラと共に、サンプルの測定結果を獲得・処理する電子技術を提供する電子システムと、を有することを特徴とする原子間力顕微鏡システム。
【請求項1】
原子間力顕微鏡システムにおいて、
シャーシと、
シャーシを収納すると共にAFMに対して遮音及び熱的分離状態を提供する隔離モジュールと、
前記シャーシに取り付けられ、カンチレバーとサンプルの領域における光学的観察を可能にするビュー・システムと、
前記シャーシに取り付けられ、カンチレバー上へと光線を向けさせ、カンチレバーの移動を示すカンチレバーからの戻り光線を獲得するヘッド・システムと、
支持構造及び該支持構造の第1の表面内に保持される発光器を有する発光アセンブリであって、前記支持構造は前記ヘッド・システムに対して挿入できると共にヘッドシステムから取り外し可能となるような、発光アセンブリと、
前記シャーシに取り付けられ、サンプルホルダ、カンチレバーホルダ、サンプルのXYZ並進、及びカンチレバーをサンプルに係合してサンプル測定に伴うノイズを最小にする機構を提供するスキャナ・サブシステムと、
前記隔離システムの外側に据え付けられ、別のコントローラと共に、サンプルの測定結果を獲得・処理する電子技術を提供する電子システムと、を有することを特徴とする原子間力顕微鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−506049(P2012−506049A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532081(P2011−532081)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/005631
【国際公開番号】WO2010/044869
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511093177)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/005631
【国際公開番号】WO2010/044869
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511093177)
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