説明

モップ保持具

【課題】 モップの取り付けが容易でしかも使い勝手のよいモップ保持具を提供する。
【解決手段】 柄を連結するための連結部30が形成されると共に、一方の端部から突出入自在なスライド片50を有する第1のモップ保持板20と、第2のモップ保持板40とが、第1のモップ保持板20の一方の端部において一方向側のみに屈曲可能に軸支され、スライド片50は、第2のモップ保持板40の方向に付勢力を与える付勢部材Bにより付勢されていると共に、第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40が直線配置になった状態を維持するために第2のモップ保持板40の接続側端部を係止していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モップ保持具に関し、より詳細には、モップの交換が容易であると共に、使い勝手の良いモップ保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや家庭における床面の清掃には、モップが広く用いられている。モップには、水やワックスを直接浸み込ませた後、搾り器で絞って使用するタイプのものと、予めモップに薬品が浸漬されているものがある。後者のモップは使用するたびに薬品が床面に移るため、定期的にモップを交換しなければならない。
このように、予め薬品が浸漬されているモップを交換する際にモップに直接手を触れると、手に薬品が移ってしまい不快な思いをすることが多い。そこで、モップを交換する際には直接モップに触れることなく、単純な作業で交換することが強く望まれている。このような要望を満たすものとして、例えば特許文献1に記載されているようなモップ式雑巾が提供されている。
【特許文献1】登録実用新案公報第3008006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載のモップ式雑巾によれば、保持板に曲折部が設けられていて、曲折部が凹凸嵌合により係止可能に形成されているので、モップに直接手を触れずにモップの交換を容易に行うことができ好適に用いられている。交換式のモップは、予め薬品がモップに浸漬されていて、ゴミや埃をモップに吸着可能になっているものの、モップに付着したゴミや埃をそのままにしておくと次の床面の清掃に支障がある。そこで、床面の清掃が完了する度にゴミや埃の振り落とし作業が一般に行われている。
このようなゴミや埃の振り落とし作業を行う際には、モップが激しく振られるため、保持板の曲折部が単なる凹凸嵌合により係止されているだけでは、係止状態が解けてしまい、モップが保持板から外れてしまうことが多いといった課題がある。
また、保持板が単純な板体に形成されているため、保持板の端部においては、モップを適切な力で床面に押圧することができないため、ふき取りムラが生じてしまい、床面を確実に清掃することができないといった課題もある。
【0004】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、モップの交換時にモップに直接手を触れることなく、しかも容易に交換を行うことができると共に、モップの全面を確実に床面に押圧することが可能なモップ保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を実現するため、本発明にかかるモップ保持具は以下の構成を有する。
すなわち、柄を連結するための連結部が形成されると共に、一方の端部から突出入自在なスライド片を有する第1のモップ保持板と、第2のモップ保持板とが、前記第1のモップ保持板の一方の端部において一方向側のみに屈曲可能に軸支され、前記スライド片は、前記第2のモップ保持板の方向に付勢力を与える付勢部材により付勢されていると共に、前記第1のモップ保持板と前記第2のモップ保持板が直線配置になった状態を維持するために前記第2のモップ保持板の接続側端部を係止していることを特徴とするモップ保持具である。
【0006】
また、前記スライド片には、スライド片を移動させるためのスライド用フックが形成されていることを特徴とする。
これにより、スライド片を容易に移動させることができる。
【0007】
また、前記連結部は、中空構造であると共に前記第1のモップ保持板の一方の端部側に形成されていて、前記付勢部材は、前記連結部の内部空間に配設されていることを特徴とする。
このように、連結部を中空構造としたことにより、金型からモップ保持具を取り出した後に生じる「ひけ」の発生を抑えることができるので、製品の歩留まりが向上する。また、連結部の中空部分に付勢部材を収納することができるので、モップ保持具をコンパクトにすることができる。
【0008】
また、前記第1のモップ保持板および前記第2のモップ保持板における他方の端部位置は、前記第1のモップ保持板および前記第2のモップ保持板の接続側端部位置に比べ、モップ側に接近していることを特徴とする。
これにより、モップの全面を床面に対して均等に押圧させやすくなり、床面のふき取りムラが生じにくくなる。
【0009】
また、前記連結部にはリブが形成されていて、該リブは下端面位置が前記スライド片の上端面位置となるように配設されていることを特徴とする。
これにより、モップからゴミや埃を振り落とす際に作用する第1のモップ保持板および第2のモップ保持板の係止状態を解除するスライド片の変位を抑制し、モップ保持板からのモップの脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スライド片をスライドさせることにより、第1のモップ保持板と第2のモップ保持板を屈曲させることができるで、モップに直接触れることなくモップを交換することができる。また、スライド片が第1のモップ保持板に対して第2のモップ保持板を一方側方向のみに回動可能に係止するストッパとして作用するため、床面清掃後のゴミや埃を振り落とす際にも、保持具からのモップの脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明にかかるモップ保持具について添付図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係るモップ保持具の一部を示した正面図である。図2は、本実施の形態に係るモップ保持具の平面図である。図3は、本実施の形態におけるモップ保持具の側面図である。図4は、スライド片の斜視図である。図5は、図2中のA−A線における断面図である。図6は、第1のモップ保持板に対して第2のモップ保持板を屈曲させた状態を示す説明図である。
【0012】
本実施の形態におけるモップ保持具10は、第1のモップ保持板20と、第1のモップ保持板20に形成された連結部30と、第1のモップ保持板20に回動可能に接続された第2のモップ保持板40により構成されている。連結部30は、第1のモップ保持板20の接続側端部20aに配設されていて、中空構造に形成されている。
また、図2から明らかなように、第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の接続側端部の平面形状はそれぞれ凹状形および凸状形に形成されている。第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の接続端部20a,40aは、凹状形部分に凸状形部分が入り込んだ状態で回転軸Jにより一方向側のみに回動(屈曲)可能に接続されている。
【0013】
回転軸Jは、第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の板厚内において、板厚の中心部分よりも下側部分において第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の接続端部20a,40aを横断するようにして挿通されている。これにより、第1のモップ保持板20に対する第2のモップ保持板40の回動方向が一方向(第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40が一直線状になった状態を基準にして、モップ保持具10の下面側となる方向)側に限定される。
【0014】
図3に示すように、本実施の形態における柄取付具60は、連結部30と連結させる側の端部が二股形状に形成されていて、連結部30を二股部分に進入させた状態で軸着されている。したがって、柄取付具60は連結部30に対して図1に示す矢印方向に回動可能に連結されている。柄取付具60には図示しない柄が公知の方法により取り付けられる。
【0015】
スライド片50は図4に示すように、断面形状がコの字状をなす本体部52の両端立設部52aには、両端立設部52aの内側面に、互いに対向して突出するガイド爪54が形成されている。また、本体部52の中間部分には付勢部材保持部58が立設されている。付勢部材保持部58は、付勢部材であるバネの中心軸に挿通させる挿通体56とベース部57により構成されている。ベース部57は挿通体56と反対側の端部が先細に形成された先細部57aを有している。先細部57aの上面は先端方向に進むとともに先細になるスロープ面状に形成されている。挿通体56に挿通させるバネの長さは、本体部52の長さ寸法Wよりも長い寸法のものが用いられる。
本体部52の両端立設部52aの外表面には、微小凹凸部53からなる滑り止め加工がなされている。両端立設部52aは、付勢部材により第2のモップ保持板40側に付勢されたスライド片50を、第1のモップ保持板20側にスライドさせる際のスライド用フックとして用いられる。
【0016】
スライド片50は、図3に示すように第1のモップ保持板20の下面側を本体部52の開口部分で覆うようにして取り付けられている。第1のモップ保持板20の両側面には、ガイド溝22が形成されているので、スライド片50のガイド爪54がガイド溝22の外側からガイド溝22に進入することで、スライド片50は、第1のモップ保持板20に対して、スライド可能に係止された状態になる。なお、第1のモップ保持板20の下面には、スライド片50の付勢部材保持部58および付勢部材(バネB)を進入させるための進入用溝(図示せず)が形成されている。
【0017】
連結部30の一方(第2のモップ保持板側)の側面には第2のモップ保持板40方向に突出するリブ32が形成されている。連結部30のリブ32の下側部分には、連結部30の内部空間と外部とを連通する連通孔34が形成されている。
また、連結部30は、中空構造に形成されているため、スライド片50の付勢部材保持部58および付勢部材(バネB)は、第1のモップ保持板20の進入溝から第1のモップ保持板20に進入した後、連結部30の内部に入り込むようになっている。連結部30の内部空間には、図5に示すように、挿通体56に装着された付勢部材であるバネBの付勢力を得るための反力壁36が形成されている。
【0018】
スライド片50の付勢部材保持部58は第1のモップ保持板20と連結部30の内部空間に、バネBの付勢力が得られる状態で配設されている。図5に示すように、スライド片50が第1のモップ保持板20および連結部30にセットされた状態においては、付勢部材保持部58のベース部57に形成された先細部57aが連結部30に形成されている連通孔34から連結部30の外部に突出した状態になっており、この状態が基本状態となる。この基本状態においては、第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40とが直線状配置となっている。そして、第1のモップ保持板20の接続側端部から突出している先細部57aが、第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40とが直線状配置を維持するように第2のモップ保持板40を係止するストッパとして作用している。
【0019】
また、スライド片50は、第1のモップ保持板20に設けられたガイド溝22に沿って、第2のモップ保持板40と接離動する方向に往復動可能になっている。スライド片50を手に取り、バネの付勢力(反発力)に抗して第2のモップ保持板40から離れる方向にスライドさせると、モップ保持具10は図6のように回転軸Jを中心として第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40が屈曲した状態になる。この状態においては、バネBおよび反力壁36により第2のモップ保持板40側に戻る方向に作用する付勢力が作用しているため、スライド片50から手を離すとスライド片50は自動的に基本状態に戻るのである。このようなスライド片50の動作に伴い、先細部57aは連結部30の連通孔34から突出入するようになっている。
【0020】
連結部30には連通孔34の上に第2のモップ保持板40側に突出するリブ32が形成されている。リブ32は、本発明に係るモップ保持具10にモップを装着した際、連通孔34から連結部30の外部に突出している先細部57aが、モップの重さにより変形することや変位することにより、第2のモップ保持板40が不意に回動してしまうことをを効果的に防止することができる。
なお、連結部30の外表面からのリブ32の突出量は、連通孔32から突出する先細部57aの長さの半分以上であることが好ましいが、第2のモップ保持板40の接続側端部位置と同じ位置、または、接続側端部位置を越えた位置まで突出していればさらに好適である。この場合、リブ32の突出により、第2のモップ保持板40の回動動作に支障を来たさない形態にすることは云うまでもない。
【0021】
次に、以上に説明したモップ保持具10へのモップ装着手順を説明する。本実施の形態に係るモップ保持具10には、図7に示すようなモップ100が取り付けられる。モップ100には上面にポケット110が2つ形成されている。ユーザーは、モップ保持具10のスライド用フック(スライド片50の本体部52の両端立設部52a)をバネBの付勢力(反発力)に抗して第1のモップ保持板20側にスライドさせ、スライド片50の先細部57aを連結部30の内部に収める。すると、第2のモップ保持板40と第1のモップ保持板20の係止状態が解除され、図8に示すように第1のモップ保持板20に対して第2のモップ保持板40を屈曲した状態になる。ユーザーがスライド用フック(スライド片50の本体部52の両端立設部52a)から手を離すと、付勢部材であるバネBの付勢力により、先細部57aは連結部30の連通孔34から突出した状態に戻る。この状態でユーザーは第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の先端部をそれぞれポケット110に差し込ませる。
【0022】
第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40の先端部がモップ100のポケット110に差し込まれた後、ユーザーは柄取付具60をモップ100側に押し付けると、第2のモップ保持板40の下面が先細部57aの上面のスロープ面の上をスライドさせて、再び連結部30の内部空間に収めながら第1のモップ保持板20と第2のモップ保持板40が一直線状になる。この状態においては、スライド片50の先細部57aが再びバネBの付勢力により連結部30の連通孔34から連結部30の外部に突出するとともに、第2のモップ保持板40の接続側端部を係止した状態になる。
【0023】
このようにして、モップ保持具10にモップ100が取り付けされる。以上の説明から明らかなように、ユーザーは非常に簡単な操作でモップ保持具10にモップ100を装着することができる。また、モップ100に直接手を触れることなくモップ100の装着ができるため手を汚すことがない。さらには、清掃後においてモップ100に付着した埃等を払う際には、モップ100を振り払う動作を行うが、スライド片50の先細部57aが第2のモップ保持板40の回動防止用のストッパとして作用するため、モップ100を激しく振り払ってもモップ保持具10からモップ100が外れてしまうことがないため誠に使い勝手が良好である。
【0024】
以上に、実施の形態に基づいて本願発明に係るモップ保持具10について詳細に説明してきたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において実施形態を改変することができるのはもちろんである。例えば、本実施の形態においては、第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40は図1に示すように一直線状に形成されているが、それぞれの保持板20,40は、図9に示すように、先端部の位置が接続側端部の位置に比べて、モップ側に徐々に近接する形状に形成した形態としても良い。これによれば、ユーザーが柄取付具60をモップ100側に押し付ける動作を行った際、モップ100への押圧力が均等に作用するため、拭きムラの防止になるため好都合である。また、第1のモップ保持板20および第2のモップ保持板40を円弧状等の曲線状に形成しても同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、第1および第2のモップ保持板の接続側端部は、図10に示すように、板厚方向に傾斜した端面に形成する形態としてもよい。これによれば、第2のモップ保持板40が第1のモップ保持板20に対して跳ね上げ方向(図10中における矢印方向)に回動しようとした際に、第1および第2のモップ保持板20,40の接続側端部どうしの当接面積を増大させることができるので、第2のモップ保持板40の跳ね上げ方向の回動をより強力に規制できる。したがって、第1のモップ保持板20に対して第2のモップ保持板40が不用意な方向に屈曲してしまうことを好適に防止できる。
【0026】
さらには、連結部30内の反力壁36は図5に示した以外の形態も可能である。例えば、図11に示すように、連結部30の内周壁に沿ってバネBが配設され、バネBの端部が当接する当接部36Zを形成する形態にすることもできる。図11に示すような連結部30の形態は、金型の製造も容易になり、金型に樹脂を充てんした後における連結部30の冷却にも十分効果がある。このように、連結部30の内部空間の形状を単純することができるため、モップ保持具10の製造コストを大幅に削減することができるため好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態に係るモップ保持具の一部を示した正面図である。
【図2】本実施の形態に係るモップ保持具の平面図である。
【図3】本実施の形態におけるモップ保持具の側面図である。
【図4】ストッパ部の斜視図である。
【図5】図2中のA−A線における断面図である。
【図6】第1のモップ保持板に対して第2のモップ保持板を屈曲させた状態を示す説明図である。
【図7】モップの斜視図である。
【図8】モップにモップ保持具を装着している状態を示す説明図である。
【図9】モップ保持板の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図10】保持板の接続側端部の形状を示す説明図である。
【図11】連結部の他の実施形態の一例を示す説明図である
【符号の説明】
【0028】
10 モップ保持具
20 第1のモップ保持板
22 スライド溝
30 連結部
32 リブ
34 連通孔
36 反力壁
40 第2のモップ保持板
50 スライド片
52 本体部
54 ガイド爪
56 挿通体
57 ベース部
57a 先細部
58 付勢部材保持部
60 柄取付具
100 モップ
110 ポケット
B バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄を連結するための連結部が形成されると共に、一方の端部から突出入自在なスライド片を有する第1のモップ保持板と、第2のモップ保持板とが、前記第1のモップ保持板の一方の端部において一方向側のみに屈曲可能に軸支され、
前記スライド片は、前記第2のモップ保持板の方向に付勢力を与える付勢部材により付勢されていると共に、前記第1のモップ保持板と前記第2のモップ保持板が直線配置になった状態を維持するために前記第2のモップ保持板の接続側端部を係止していることを特徴とするモップ保持具。
【請求項2】
前記スライド片には、スライド片を移動させるためのスライド用フックが形成されていることを特徴とする請求項1記載のモップ保持具。
【請求項3】
前記連結部は、中空構造であると共に前記第1のモップ保持板の一方の端部側に形成されていて、前記付勢部材は、前記連結部の内部空間に配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のモップ保持具。
【請求項4】
前記第1のモップ保持板および前記第2のモップ保持板における他方の端部位置は、前記第1のモップ保持板および前記第2のモップ保持板の接続側端部位置に比べ、モップ側に接近していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載のモップ保持具。
【請求項5】
記連結部にはリブが形成されていて、該リブは下端面位置が前記スライド片の上端面位置となるように配設されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のモップ保持具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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