説明

モノクロメータおよびモノクロメータを備えた放射源

【課題】電子顕微鏡使用のためのモノクロメータに関する。
【解決手段】望ましいエネルギー幅(7)の荷電粒子を選別するための選別アパーチャー(6)の面(5)に散乱(4)を作成するための静電偏向フィールド(2’,3’)を備えた、少なくとも1つの第1の偏向エレメント(2,3)と、前記少なくとも1つの第1の偏向フィールド(2’,3’)の散乱(4)を打ち消す、静電偏向フィールド(8’,9’)を備えた、少なくとも1つの第2の偏向エレメント(8,9)とを有する、荷電粒子光学のための、特に、電子顕微鏡使用のためのモノクロメータに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子光学のためのモノクロメータ、特に、所望のエネルギー幅の荷電粒子を選択するための選別アパーチャーの面において散乱(分散)を発生させるための静電偏向フィールドを備えた少なくとも一つの第1の偏向エレメント、および、前記少なくとも一つの第1の偏向エレメントの散乱を打ち消す、静電偏向フィールドを備えた少なくとも一つの第2の偏向エレメントを有する、電子顕微鏡のためのモノクロメータに関する。
【背景技術】
【0002】
色収差は、エネルギースペクトラムの幅とレンズの色収差とによる広がりの結果、荷電粒子光学において解像度を制限する主な要因の一つである。モノクロメータは色収差を制限するために用いられる。例えば、電子顕微鏡において、1オングストローム以下の分解能を得るために、200kVの加速電圧でもって、0.2eVのエネルギー幅が、加速される必要はない。最小の半値全幅を有する電子源は、0.6〜1.0eVのエネルギー半値全幅を有し、電界放出カソードによって、熱的にサポートされている。電子の約30%が0.1eV以下で逸れることが調査で分かっている。透過型または走査型電子顕微鏡のような、ある種の応用に対しては、小さなビーム電流は、充分なビーム電流を有する充分な分光電子源を実現するために、約70%の電子をフィルター処理することは可能であるように、充分である。それ故モノクロメータは使用されうる。
【0003】
EP0470299B1は、異なる電位に接続された、内側と外側の半球状電極を有する半球状キャパシターを偏向エレメントとして使用しているモノクロメータを開示している。それらの偏向エレメントは、異なるエネルギーの電子を選別するために選別アパーチャーを含む中央面に関し鏡対称に配置されている。偏向エレメントが半球状キャパシターとして設計されているので、光軸に対し異なる方向に偏向される荷電粒子が、繰り返し、点に集束されるからである。なぜなら、荷電粒子は、結像される中間像が点状になるように、光軸を通して全てのセクションの荷電粒子に等しく影響を与える球状フィールドにおいて偏向されるからである。その結果、2つのこれらの点集束は、選別アパーチャーの上流側と下流側とに形成され、そして、一つの点集束は選別アパーチャーの開口部において形成される。
【0004】
この種の点集束では、同じエネルギーの荷電粒子のみが一点で会う。荷電粒子の異なるエネルギーのために、異なるエネルギーを有する荷電粒子の点は、合体して一つのライン(線)を形成する。これは、選別アパーチャーによって、過度な高エネルギーまたは過度な低エネルギーの荷電粒子を遮蔽することを可能にし、好ましいエネルギー幅を有する荷電粒子のみを通過することが許される。このエネルギー幅は、ダウンストリーム偏向エレメントによって選別アパーチャーの下流側で再結成される。それ故、上流側偏向エレメントの散乱は再度打ち消される。
【0005】
この構成のモノクロメータの欠点は、荷電粒子が接近するほど、荷電粒子の相互作用が増加することである。このベルシュ効果(Boerush effect)は高度な単色性を得ることを妨害する。荷電粒子は互いに偏向し合い、それは、更なる散乱効果を伴う減速および加速を引き起こし、その結果、仮想光源サイズ(virtual source size)の増大ということになる。モノクロメータは、選別アパーチャーよりも上流部での散乱が、選別アパーチャーよりも下流部において、打ち消されるように構成される。それ故、それは、荷電粒子の相互作用によって引き起こされる変位ではなく、その偏向フィールドによって引き起こされる変位を、反転してしまい、それは単色性、そしてビームの集束能力に影響を及ぼし、それは再び光学の解像度に害を及ぼす。
【0006】
上記および類似の点集束(無収差中間像)のモノクロメータの観点から、上記のタイプのモノクロメータは、フランク カール(Frank Kahl)による学位論文「電子源のためのモノクロメータの設計(http://elib.tudarmstadt.de/diss/000030)」にて紹介されており、そこには、偏向エレメントが、X−セクションとY−セクションの荷電粒子が異なる軌跡を描き、そして、非点収差中間像のみが線状焦点を形作るように設計されている。この紹介されたモノクロメータは特許になっている(DE19633496B4)。
【0007】
この学位論文では、セクション3.1(25〜27ページ)において、従前のモノクロメータとして、すなわち、特許EP0470299B1に相当する、ローズ(Rose)によるモノクロメータを紹介している。セクション10.2.3(144〜148ページ)において、無収差中間像(点焦点)が、収差のある中間像(線焦点)と比べて多重光源の拡大(multiple source enlargement)を作るということを決定するために、収差の無い光路と収差のある光路とが比較されている。
後者の観点では、ファクター7での多重光源エリアの拡大は、最悪ケースとして述べられている。しかし、ローズのシステムでは、ファクター60での多重光源の拡大が最悪ケースとして述べられている(前記文献のページ148)。
【0008】
全ての従前のモノクロメータは、点焦点(無収差中間像)の不利なベルシェ効果を示しているので、ビーム電流は10nAに制限されなければならない(前記文献ページ28)。これはまた欠点である。というのは、解像度を良くするには、小さな放射源エネルギー幅に関連して大きなイルミネーション電流を必要とするからである。この制限を解決するために、多重源のみの収差実中間像、すなわちライン・フォーカス(線集束)を用意することが提案されている(3.2ページ28)。線集束は、放射源の中間像における所定のエネルギーの荷電粒子が点に集束するのではなく、線に集束することを意味している。この線は、散乱のために、ビームが実質的に直交する断面を有する焦点面に作られるように、異なるエネルギーによって拡大される。この焦点を有する好ましいエネルギー幅を選別するために、異なるエネルギーを有する荷電粒子が選択されなければならなく、そして、好ましいエネルギー幅の線焦点のみがアパーチャーを通って通過することが許される。線焦点は、その方向に起因するスリット・アパーチャーを必要とし、そのスリットの幅は選別されるエネルギー幅を決定する(図8)。
【0009】
このモノクロメータは無収差中間像の強いベルシェ効果を避けるが、このモノクロメータの欠点は、このアパーチャーのスリットの斑あるいは汚れもまた荷電粒子に影響を及ぼし、その結果、光学システムの最終像においてバラツキや輝度の変調をきたし、それはその像全体に渡ってストリップとして表れる(図8(a),8(b))。この観点に於ける感度は充分に大きく、そのため、この欠点が機械的精度や汚い析出物の防止などによって防ぐことはできない。特に、薄いクリスタルのような小さな輝度コントラストを有する対象物にとって、これは、この対象物の輝度コントラストにこの欠点の輝度コントラストが重畳することを引き起こし、これは、像の評価をしばしば妨害する像におけるストリップを作ってしまう。
【特許文献1】EP0470299B1
【特許文献2】DE19633496B4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の根本的目的は、アパーチャーの欠点により引き起こされる輝度コントラストを有することなく高い単色性を実現する、上記言及のタイプのモノクロメータを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は以下の発明によって実現される。偏向エレメントが球状の形ではなく、かつ、異なるセクションの各角度において放射源の像に実質的に侵入する荷電粒子が異なってフォーカス(集束)し、そして、一つのエネルギーの荷電粒子は選別アパーチャーの面において排他的に点にフォーカス(集束)されるような電位が、その電極に対し印加される。なぜなら、異なるセクションの荷電粒子のゼロ交差の偏向のみが、その場所の同じ軸位置において一致するからである。
【0012】
EP0470299B1に関連して上記述べたように、この発明においては、選別アパーチャーのエリアに於ける点集束および偏向もまた、好ましいエネルギー幅の電子のみが選別アパーチャーを通って通過することが許可されるように、利用される(図7,7a)。続いて、選別アパーチャーのモノクロメータの上流の部分における偏向は、モノクロメータの下流部分で再び打ち消される。この偏向は2つの異なる方法で打ち消され得る。ある点に荷電粒子同士を結合し、その点でのみ打ち消し会うことによって、または、完全結合、すなわち同期をとることによって、この偏向は打ち消される。後者の場合は好ましくは、モノクロメータの下流部分の力が上流部分の力に一致するが、その方向は反対であるように、達成される。
【0013】
この発明は、スリット・アパーチャーによる荷電粒子のバラツキを防ぐという、そして、また、ベルシェ効果による単色性の欠陥を最小限するという基本的な考えに基づいている。スリット・アパーチャーを使用しないために、あるアパーチャーを用いて好ましいエネルギーをそれと異なるエネルギーから分離できるように、それと異なるエネルギーが選別アパーチャーのエリアにおいて点集束されなければならない。点集束のみを通る荷電粒子流がその異なるエネルギーがカットオフされる領域で最小の伸長を示すので、使用されるアパーチャー開口のエッジの斑および汚れが無視できる。しかし、点集束のベルシェ効果を選別アパーチャーの領域における単一点集束に制限するために、更なる点集束は避けなければならない。この理由のために、EP0470299B1で提案される球状フィールド、それは5つの無収差中間像(上記文献ページ26)を伴う放射源エリア(上記文献ページ148)を相当増加する、を使用することはできない。
【0014】
カールによって提案されたように、異なる方向において光軸から離れた場所に位置する、すなわち、異なるセクションに位置する、例えば、XセクションまたはYセクションに位置する、荷電粒子は異なって偏向されなければならないように、偏向エレメントは設計されなければならない。このように、更なる選別アパーチャーのエリアの外の点集束は、異なるセクションに割り当てられた荷電粒子の偏向は同時にゼロ交差を有しないという点で、防ぐことができる。一方、全ての有り得るセクションの荷電粒子のゼロ交差が、選別アパーチャーの面で一致するように、偏向エレメントは設計され、かつ電位が与えられなければならない。それ故、更なる点収束による放射源エリアの強い増加を引き起こすことなく(無収差中間像)、一つの点収束において好ましくないエネルギーの選別という利点を維持できることが可能となる。これは放射源の小さいエネルギー幅に関連して大きなイルミネーション電流を提供し、それ故、解像度を相当改善する。
【0015】
選別アパーチャーの面で一つの単一の点集束をもつ偏向軌道を得るための偏向エレメントの形状および電位は大抵異なった方法で実現できる。この効果を有する形状および電位は実際無限にあるので、専門家は複数の可能性から好ましい解決策を手に入れなければならない。一方これは或るパラメータたちを決定することによって実現できる。そのパラメータたちは、一般性をもって適している、または、特定の粒子光学、例えば、特定の電子顕微鏡に適しており、それは特定の形状を決定する計算によってフォローされる。そのような計算は、例えば、上記カールの学位論文に開示されている。
【0016】
初めに線集束の数を最小化しておくこともまた当然好ましい。というのは、それらもまたベルシェ効果を有しているが、しかし、点集束を伴ったものに比べれば相当小さいからである。
【0017】
選別アパーチャーの面において異なるセクションの荷電粒子の偏向のゼロ交差のためのものを除いて、更なる集束がないように、フィールドを設計することがそれ故好ましい。一方、選別アパーチャーにおいて広く広がった偏向を得ることもまた目的である。その偏向は、或る軌道の曲がりを必要とし、少なくとも2つの線集束が一つのセクションで許されるときだけ実現されうる。
【0018】
この場合、異なるセクションの荷電粒子の振幅の零交差(ゼロ・クロッシング)が選別アパーチャーのエリアにおいて排他的に会うように、偏向エレメントが設計されなければならないという条件下で、特定の光学のための有利または不利を評価しなければならない。好ましい設計では、偏向エレメントは次のように設計されなければならない。すなわち、偏向フィールドが、偏向軌道の軸を通して中間零交差を伴って、或るセクション(Xセクション)の荷電粒子の偏向の点を反転するように設計され、しかし、それとは直交するセクション(Yセクション)の荷電粒子にとっては、軌道曲がりは、選別アパーチャーのエリアにおいて光軸を通る一つの単一の零交差を伴ってのみ変化する、というように設計されなければならない。もし、零交差がXまたはY方向においてのみ発生するなら、相当小さいベルシェ効果を有する線集束のみが発生する。
【0019】
荷電粒子がXおよびY方向で記述されるという事実は、電界を通してビーム束の変形を記述することに自然と役立っている。事実、X−Y面の全ビーム交差セクションは、次のように、ビーム交差セクションの変位に全て参加する荷電粒子で満たされている。すなわち、荷電粒子を含む全ビームは、XまたはY方向では一つのラインに線集束では線に結束し、点集束では一点に結束される、ただし、αおよびβは零と最大値の間にある。それ故、粒子ビームは、選別アパーチャー(点集束)の所を除いて、XまたはY方向に拡張されて線収束が許される限りにおいては、交互にラインを形成し、および、粒子ビームは、中間に変位サークルを伴って、縦の方向に延びる中間楕円を、一つまたは他の方向に交互に形成する。線収束はXまたはYセクションの荷電粒子の零交差であり、点集束において全てのセクションで零交差が存在する。
【0020】
本願発明によるモノクロメータは、走査型顕微鏡および従来のイメージ電子顕微鏡の両方に有利である。走査機能は、単色性がより小さいスポット(イメージポイント)を生み出すことができるので、改善される。従来のイメージングにとっては、イメージの光輝度のストリップ構造を有する線収束を制限するスリット・アパーチャー(独特許DE19633496B4参照方)の輝度コントラストが避けられうる。本発明はそれ故ラスター・イメージングおよび従来のイメージングの両方を有する電子顕微鏡に特に適している。
【0021】
一つまたは2つの次元で曲げられた面を有する偏向エレメントが偏向フィールドを作るために提供される。これらのエレメントは曲がった軌道を有し、仮に荷電粒子が電子または負に荷電されたイオンであるなら、荷電粒子がこの軌道に誘導されるために、軸の電位に関し、その内側に正の電圧を有し、その外側には負の電圧を有する。異なるセクションの荷電粒子に異なった影響を与えるために、球のフィールドが異なるフィールドを作らなければならない。この目的のために、偏向軌道に対して非対称である、すなわち、XおよびY方向で異なる強さを有する、偏向フィールドを伴う電極が用いられる。曲がった光軸を有するXセクションに関する関係は、幾何学および電位カーブに関し対称である。その結果、その軌道はこの対称面に残る。
【0022】
しかし、もちろん、ある種の解決策に到達するために、専門家は、放射源(点集束)の無収差の中間像が選別アパーチャーにあるという制限の下で、例えば、カールが説明したように進めるかもしれない。その計算の基本はそれ相応に変化されなければならない。
【0023】
専門家の基本的な方法は、カールを参考にして簡単にここで概要を述べる。先ず初めに、専門家はモノクロメータの軸Eの形状を選択しなければならない。専門家は、モノクロメータの干渉を除くために、例えば、電子顕微鏡の荷電粒子光学の真っ直ぐな光軸を得るために、例えば、Ω形状を選択する。Ω形状が、その入力と出力とがあまりに近すぎるような比較的急峻であると、専門家はまた望ましい小さい高さを得るであろう。専門家は偏向エレメントの電極達に同じ電圧を選択するであろう、というのは、このことは動作の安定を増加させる、というのは、偏向エレメントの電圧同士が互いに動揺させることだできないからである。専門家は、更には、好ましいエネルギーを正確に選択するために、その点焦点において最大の散乱を選択するであろう。
【0024】
第一のステップとして、光軸の湾曲は、これらの前提、例えば、α形状を、または、上記の理由により、Ω形状を前提にして、選択される。それ故、光軸の湾曲は、偏向エレメントの電極の電気双極子によってのみ決定される。荷電粒子の軌道は、モノクロメータの軸Eに相応する、すなわち、曲がっている、Z軸を有する直交座標システムにおいて計算される。偏向エレメントは、トロイド(ドーナツ形状、円錐曲線回転面)のセクションとして設計される、この座標システムに挿入される。その結果、この形状は近似計算のための基礎として用いることができる。これは、カール文献5章57頁以下によって開示されている正確な形状を計算するためのSCOFF近似(Sharp-Cut-Off Fringe Field approximation)に従う計算である。これは、焦点のための現在の条件を含む、基本軌道計算(カール4.4.2、44頁以下)に基づいている。電極面は直交座標においてXZセクションに対し対称に広がるように特に設計されている。如何なる場合においても、トロイドの面はZ軸上の如何なる場所からも同じ距離である。このトロイドはSCOFF近似の計算のための幾何学的形状として供給される。それ故、トロイドは、主張されたタイプの如何なる交差面の円形リング形状を意味する。偏向軌道は面の間を延びており、それらの面は、好ましくは、Y方向において円柱の面を形成しない。それ故、2極子において多重極子を重畳させることが可能となる。というのは、電極がX−Z面における或る地点の光軸に対し幾何学的に接近すると、各ポテンシャルは増加し、離れると逆に減少する。それ故、その理由は、この偏向フィールド設計がモノクロメータによって引き起こされる開口収差に反応するからである。この多極子は、4極子、6極子、またはもっと高次の多極子であり、ここで後者は3次またはもっと高次の開口収差を最小化するためにも用いられる。電極形状の計算に関し、カール(5.3,61頁以下;8.5,94頁以下そして125頁、126頁)が参考となる。
【0025】
偏向フィールドの形成のため、電極によるトロイダル形状に制限される偏向軌道のエッジ領域を考慮した特定形状の計算は、三角測量(三角形分割)(カール9.1、99頁以下)および反復法(カール、9.3.9.4と9.5,108頁以下)によって実現できる。
【0026】
下記表は、システムのための好ましいパラメータの選択を示している。ここで2極子フィールドは4極子フィールドによって重畳されている;
【表1】

【0027】
ただし、
=R=2U/Φ第1偏向エレメントの曲がりの半径
Rは、その長さが第1の偏向エレメントの曲がりの半径の単位で測定されたことを示している。
第2の偏向エレメントの曲がりの半径
Φ 2極子フィールドのフィールド強さ
Φ 4極子フィールドのフィールド強さ
U カソードと軸の間のポテンシャルの差−好ましくはモノクロメータ全体において一定
フィールド・コンポーネントΦ(2極子)の強さとΦ(4極子)の強さ、偏向エレメントの弧の半径と弧の角度、およびそれ故偏向エレメントの弧の長さとフィールド・フリー・スペイス、の選択を介して、その軌道には、正確に影響を与えることができる。要求と釣り合いのとれた、すなわち、焦点が作成され、しかも、システムが結局偏向のないものである、モノクロメータの全数の自由度を得ることができる。一つの偏向器の2極子と4極子の強さが概略一定となるように選択されたとき、上記の表に記載されたように自由度を概略手に入れられる。フィールド・コンポーネントΦとΦ(更に、選択されるコンポーネントの可能性もある)は、φ>Uとなる軸およびφ>Uとなる軸の両方のサイドにおいて、カールの学位論文61頁の式(5.4)に相当する面φ=一定を決定することにより、偏向エレメントの電極面を作成する。それで、これらの静電電位φ及びφは、金属の偏向エレメントに持ち込まれなければならない。
【0028】
6極子の2次開口収差を補償するためには、更なるフィールド・コンポーネントΦを計算に含まなければならない。
【0029】
上述した方法にしたがって見つけられる電極の面は、異なった形状の面であってもよい。唯一の前提条件は、それらは球の面ではないということである。というのは、それらはいくつかの点焦点をいつも発生するからである。球対称とは充分に異なる面のために、線焦点が作成される。その面は、好ましくは、Y方向に曲がっていて、しかし、XZ面に対し鏡面対称である。それ故、偏向エレメントの電極の形状は、電極が頭部の切り取られた円錐の側面の一部である面によって偏向軌道を制限するような、形状である。それらの面は、先端が同じ方向を向く、2つの「V」を形成する。偏向軌道はそれらの間を延びている。他の変形として、2つの「V」を形成する面は、それらの開口が互いに向き合うように配置される。この場合、それらは、その中心に偏向軌道を囲む。更に、選別アパーチャーの領域を除いて、線焦点だけが作成されるという望ましい機能を得るために、上述した偏向エレメントは、作成するのが容易である点で優れている。なぜなら、その面は軸周りに直線の回転を介して形成されるからである。これらの面は、自動的に回転する旋盤、円形グラインダーおよび道具の進歩による同じような手段を用いて、頭部の欠けた円錐の軸周りの回転を介して容易に製造できる。そして、製作結果は測定センサーまたは光学面検出器を用いて簡単に検査できる。これと相応のことが外側電極に適用される。前記外部電極は、外側から架空の頭部が欠けた円錐(コーン)を制限し、そして、内側から道具によって相応に処理される、面を形成する。例えば、固定されたカップ形状として、各電極が、旋盤処理そして場合によりグラインダー処理をした後で切り出される。
【0030】
モノクロメータは好ましくは或る面に対し対称となる構成とされる。そして、その対称面は選別アパーチャーの面に相当する。鏡イメージのような偏向エレメントの配置のために、同一の力が、ただし、方向は反対で、選別アパーチャーの上流および下流において、荷電粒子に対し作用する、という結果になる。このように、選別されたビームの荷電粒子の散乱は、一つまたはいくつかの第1の偏向エレメントを通って散乱を発生した後、再び完全に補償される。
【0031】
上述したように、本モノクロメータは光軸に関し複数の形状を有している。図の実施例は相応の例を示している。その光軸は実質的にループの形状を有している。ここで、この実施例では、そのループが閉じたときに、各軸が互いに混ざってはならない。なぜなら、さもなければ、粒子の軌道がもはや明確に決定されなくなるからである。この理由のために、それはオープンループであるか、あるいは、入力軸と出力軸との間に横のオフセットを有するループでなければならない、あるいは、入力軸と出力軸は交差しなければならない。(光軸が存在すべきとする、上述した対称面とは対照的に)X面に光軸が存在しなければマージングが防止されるのも、もちろん実現可能である。
【0032】
しかし、1個のモノクロメータは、モノクロメータの出力の光軸がモノクロメータの入力の光軸に相当する点で、特に有用である。それは一般的に放射源の光軸の延長である。このことは次のような場合に実現される。モノクロメータの光軸が実質的にΩ形状をしており、Ω形状の弧の部分が強い弧であってかつ短く平らな弧として設計されたときである。Ω形状は、選別アパーチャーの上流の2つの弧形状の偏向エレメントと選別アパーチャーの下流の2つの弧形状の偏向エレメントとによって形成される。それ故、偏向エレメントの円形弧の形状の偏向軌道は、上記表ですでに述べているように、120°と150°との間の弧の角度を有している。
【0033】
このΩ形状の特に優れた点は、入力および出力の偏向エレメントには次のようなビーム軌道が提供される。モノクロメータがスイッチオフされたとき、荷電粒子は直線でビーム軌道を通過し、それ故、荷電粒子はモノクロメータの出力では光軸に沿って動く。このように、モノクロメータを使用したイメージングまたはモノクロメータを使用しないイメージングが可能である。モノクロメータの仮想の入力クロスオーバーと仮想の出力クロスオーバーが対称面で一致するとき、特に有用である。このことは、モノクロメータはスイッチオフされたときでさえ、光路を維持できる。このように、光路の新しい調整の必要なしに、それはスイッチオンとオフがされてもよい。
【0034】
更なる改善では、電極は、光軸に並列に方向付けられたプレートによって、外部的に零電位にシールドされる。更に、引き出し(抽出)電位でのシールド用プレートは、偏向エレメントでの両サイド、すなわち、入力および出力において、光軸に対し垂直に装着される。なお、その入力および出力のプレートは、ビーム軌道のために軌道口としての小さな穴を有している。偏向フィールドは、このように保護され、周囲の構造物の更なる電位を帯びた部品から独立している。これは、トロイダル偏向エレメントの周縁(fringe)フィールドを制御し、計算するのに役立つ。電極は、荷電粒子流のための軌道口を備えた、抽出電位でシールドされた箱形シールドを有していてもよい。
【0035】
本発明の更なる課題は、上述したタイプのモノクロメータを備えた放射源に関するものである。ここで、静電電位レンズおよび円形アパーチャーを備えた、抽出器(引き出し器)として設計された放射源は、粒子流を制御し制限するためにモノクロメータより上流に配置されている。ここで、前記レンズは、モノクロメータの入口の後ろにあるので、ビーム源の仮想イメージを形成する。これは、モノクロメータに供給される荷電粒子の生産を改善する。
【実施例】
【0036】
図1は、本発明に従った簡単な構成のモノクロメータ1の一実施例を示す。放射源17の粒子流23はモノクロメータ1の入り口16に入射され、そして、粒子流23は、散乱4(以下を参照)を発生するために第1の偏向エレメント2の偏向フィールド2’によって偏向される。この偏向は、弧の形状の偏向軌道14を定める内側の電極24と外側の電極25によって引き起こされる。粒子流23が電子または負に電荷されたイオンから成るとき、内側の電極24は正に荷電され、外側の電極25は負に荷電される。モノクロメータ1の光軸Eに沿う粒子流23が、偏向され、面5に配置された選別アパーチャー6に散乱的に入射されたとき、望ましいエネルギー幅7のみがその点を通過することが許される。これは後で詳しく述べる。散乱4を再び消し去るために、更なる偏向エレメント8が提供され、その偏向フィールド8’は散乱されたビームを再結合する。それ故、それは、モノクロメータ1の出力16’において更に高次の単一性の粒子流を提供する。
【0037】
全ての図面において、機能的に同じ部品またはカーブは、同じ参照番号を有する。
【0038】
図2は、本発明の好ましい一実施例であり、それは、静電レンズ21とアパーチャー22を使って粒子流23を制御し、制限するために提供されるモノクロメータ1と放射源17を示している。放射源17は、タングステン・フィラメント・ヒータを備えたZrO/Wショットキー・エミッタ、サプレッサー(抑制器)、および、円形アパーチャー、抽出器として設計されたアノードである。抽出器の電位は、一般的には、モノクロメータのためにここで記載されている零電位(軸ポテンシャル)である。
【0039】
レンズ21とアパーチャー22によって制御、制限された粒子流23’はモノクロメータ1の入り口16に入射される。このモノクロメータ1は、4つの偏向エレメントを有し、ここで、2つの偏向エレメント2,3は、選別アパーチャー6の上流に配置され、更に2つの偏向エレメント8,9は、選別アパーチャー6の下流に配置される。それ故、このモノクロメータ1は、光軸EがΩの形状を表すように構成される。この弧の形状の軌道は、120°と150°との間のレンジの弧である。なぜなら、偏向エレメント2,3,8,9は、相応の角度θを有している。それ故、アパーチャー6の面5は、モノクロメータ1の対称面5’である。
【0040】
モノクロメータ1がスイッチオフされたとき、別の結像(イメージング)を得るために、光軸Esは、モノクロメータ1の入り口16において、モノクロメータ1の出口16’における光軸EAと、正確に同じ方向に、延びているように、モノクロメータ1は設計される。モノクロメータ1をスイッチオフした後に、ビームが入り口16から出口16’へ直接通過する、すなわち、モノクロメータ1をバイパスするように、偏向エレメント2および偏向エレメント8は、この接続に沿った軌道18を備えている。
【0041】
有利には、モノクロメータ1の仮想入り口クロスオーバー(交差)19と仮想出口クロスオーバー(交差)20とが、対称面5’で一致するように、光路は適宜設計される。このように、モノクロメータ1のスイッチオンとオフに関係なく、同じ光の集束を得る。もちろん、モノクロメータ1がスイッチオフされたとき、実現される単色性は同じではないことが唯一の違いである。この設計により、モノクロメータ1がスイッチオフされたとき、イメージは完全に維持され、そして、イメージは、減少した解像度だけ伴って、同じ場所に残る。なぜなら、モノクロメータ1の機能が省略されたからである。
【0042】
図3は、モノクロメータ1の入り口16における荷電粒子ビーム23’を示している。この絵は、以下の絵で用いられる数値および基本的内容を説明している。粒子流23’はモノクロメータ1の入り口16で複数の荷電粒子から成っており、それはモノクロメータ1の入り口16では光軸Esに正しく従ってはいないが、そこからは異なる。この光軸Esは一般的には放射源17の光軸に相当する。放射源17から放射された荷電粒子は、軸Esにおける理論的可能性の正しいカーブの他に、軸Esからの或る角度偏差を示している。この角度偏差はX,Y,Z座標システムで表現される。ここで、Zは光軸Esのカーブに相当する。角度偏差は角度αまたは角度βで示される。これらは、荷電粒子が放射源のイメージ(図2の交差19)に仮想的に入る角度である。角度の代わりに、XとY座標はモノクロメータ1の入り口16において検出され、そして、次の表現は、モノクロメータ1の光軸Esに関し、荷電粒子XαとYβの偏向Aを示している。それ故、荷電粒子は、モノクロメータ1の構成、すなわち、Ω形状に相応する、曲がった直交座標システム内を移動する。ここで、システムの軸は、望ましいエネルギーの参照荷電粒子の軌道および角度α=0とβ=0で一致する。
【0043】
E’は、図4b,5b,6bの横座標に相応する、光軸E上の各位置である。縦座標は、光軸Eからの荷電粒子の偏向を示す。光軸Eに正確に位置する、角度α=0,β=0を有する、粒子は、モノクロメータ1の光軸Eに沿って正しく移動する。他の全ての粒子は、光軸E上の各位置E’に依存した、光軸Eからの異なる偏差(偏向)Aを伴って、軌道を移動する。全ての荷電粒子を描くことは出来ないので、それらの内の2つを図4b,5b,6bのために例として取り上げる、粒子流23’の端においてX軸上に位置する、最大角度αを有する荷電粒子Xα。その偏向βは0である。最大角度βのために角度αが0を有する、粒子軌道Yβが相応するように示されている。
【0044】
図4aは、ループ形状の偏向軌道14を有する、モノクロメータ1の曲線の偏向軌道14の例を示す。モノクロメータ1は、異なるエネルギーの荷電粒子を分離するために、弧形状の偏向軌道14を有する。そのような弧形状の偏向軌道14の場合、高エネルギーを有する高速の荷電粒子は、外側に広がり、そして、最も強い偏差のため波線E+dEで示すように軸Eからのエネルギー偏差dEに比例した軸偏差を有している。小さいエネルギーを有する荷電粒子には反対のことが当てはまる。それは一点波線E−dEで示される。軸偏差は望ましいエネルギーからのエネルギーの差に比例している。もし中間像が散乱4のようなエリアで点焦点として結像されるなら、それらは、点焦点10が、最低エネルギーの点焦点10’から最大エネルギーの点焦点10"まで延びる、ライン(線)を形成するように、散乱に対応して延びる。モノクロメータ1は、唯一つの望ましいエネルギー幅7が通過することを許すために、この事実を利用する。このことは、図7を参照してもっと詳しく説明される。図8は、従来技術に関連して上記説明した線(ライン)焦点(フォーカス)を示している。そのとき、散乱4も同時に起こっている。
【0045】
図4aでは、たった2つの偏向エレメント2と8が用いられている。ここで、選別アパーチャー6は、モノクロメータ1の中間対称面5’に位置している。選別アパーチャー6の面5は、対称面5’と同一である。
【0046】
散乱4の曲線およびその補償47と対照的に、図4bは、光軸Eに対する荷電粒子XαとYβの偏向Aを示している。ここで、縦座標は、荷電粒子Xαのための空間座標システムのX方向における偏向Aを示し、荷電粒子YβのためのY方向における偏向Aを示している。横座標に関しては、各位置E’は、モノクロメータ1の入り口16と出口16’の間の光軸E上にプロットされている。図4aの散乱4と粒子Xα、Yβの偏向Aとが、図4bに示すように(最大と最小の間の全ての角度αとβに対し)重なっていると想像してみよう。
【0047】
図は、図4aの偏向エレメント2と8に相応する、偏向フィールド2’と8’を示している。この偏向フィールド2’と8’は、光軸Eに対するXおよびY方向において非対称フィールド2’と8’とを有するので、2極コンポーネントΦ1の強度のみが示されている現在のケースでは、Xα粒子は、Yβ粒子とは相当異なった様に偏向される。Xα粒子は、零交差(ゼロ・クロッシング)11を通って第1の偏向フィールド2’を通って導かれる、その場所で放射源17の線焦点または線形像を作るために。これらの粒子Xαの曲線は、更なる零交差(ゼロ・クロッシング)が正確に選別アパーチャー6の面5で発生するように、反転ポイント13を通って延びる。それとは対照的に、粒子Yβは、軌道の曲がりがほんの少し変化する15程度に、偏光フィールド2’によって最小限の影響を受ける。粒子Yβは、それが選別アパーチャー6の面5において零交差(ゼロ・クロッシング)12を有するように、偏向フィールド2’を通って導かれるので、更なる点焦点を他の場所に作成することなく、選別アパーチャー6の面5において点焦点が作成される。しかし、この点焦点は、望ましいエネルギー幅7が選別できるように(図7参照)、上述した散乱4に起因する線(ライン)である。粒子YβとXαが、各セクションにおいて、同じ軌道高さおよび傾斜(スロープ)で、モノクロメータ1の入り口16と反対に出ていくように、偏光フィールド8’は結局正確に反対に作用する。E−dE,EおよびE+dEの曲線がモノクロメータ1の出口16’の上流で再結合されるということで、図4aに示されるように、散乱4は、散乱4’により打ち消される。
【0048】
図5aと5bは、偏向軌道14のループが図5aの偏向エレメント2,3,8,9から成るという違いがある、上述した例に相応する更なる事例を示している。
【0049】
図5bは、上述したケースと対照的に、4つの偏向フィールド2’,3’,8’,9’によって引き起こされる軌道XαとYβの曲線を示している。ここで、これら偏向フィールド2’,3’,8’,9’は偏向エレメント2,3,8,9に相応する。その他は、上述したことが同じように当てはまる。
【0050】
図6aと6bは、偏向軌道がΩ形状であるモノクロメータ1のための、偏向軌道14,偏向フィールド2’,3’,8’,9’および偏向Aの曲線を示している。異なるエネルギーの散乱4が、図6aで示すように、この軌道エリアの中間で混ざるように、偏向エレメント2と3が反対に作用する偏向フィールド2’と3’を有するという違いをともなって、この原理は上述したように当てはまる。しかし、上述したように、散乱4は面5で発生する、それはまた異なるエネルギーの点焦点10,10’および10"という結果になる。それによって、望ましいエネルギー幅7が選別可能となる。この場合も、E−dE,E,E+dEの曲線がモノクロメータ1の出口16’で曲線Eに再結合することで、散乱4’が図6aで示すように、散乱4が打ち消されることを、偏向エレメント8と9およびその偏向フィールド8’と9’が保証する。
【0051】
図6bは、これら異なるように指示された偏向フィールド2’,3’,8’,9’および、これらフィールドの効果の結果である荷電粒子XαとYβの偏向Aの曲線を示している。この場合もまた、荷電粒子XαとYβは、選別アパーチャー6の面5で零交差11と12を有する。点焦点10,10’,10"もまたこの場所でのみ発生する。これおよび上記図において、粒子XαとYβはほんの一例であることを念のために指摘しておく。それらは、2つの極端な例α=max.とβ=0またはβ=max.とα=0を示しているからである。他の全ての粒子は、この極端な例の間の領域内を動く。零交差11と12が会うとき、全ての荷電粒子は、点焦点となり、そして、他の零交差11のために線(ライン)焦点となる。そして、荷電粒子流の円形交差セクションは、線XαとYβが交差する所で得ることができる。縦軸がXおよびY方向に交互に方向付けられるところの間に、楕円交差セクションが形成される。選別アパーチャー6における粒子XαとYβの唯一の点焦点11と12は、異なるエネルギーの荷電粒子のための点焦点10,10’,10"(図4a,5a,6a,7,7a)である。ここで、点焦点10’と10"は、最小エネルギーと最大エネルギーに対する全ての中間エネルギーの焦点に対するリミットのみを当然示している。
【0052】
相応するように、図7は、これら典型的な焦点10,10’,10"を備えた選別アパーチャー6を通過する部分を示している。ここで、エネルギーは、焦点10’と10"の間の選別アパーチャー6に当然入射され、望ましいエネルギー幅7のみが通過することが許される。点焦点10における先端を有する2つの円錐が、軸曲線E(粒子流の上記説明した曲線による。全ての描かれた円錐は楕円交差セクションを有している)に相応する正確なエネルギーの全粒子の結合(マージング)の例を示している。点焦点10’から点焦点10"まで延びるラインが、異なるエネルギーのそのような点焦点で満たされているというように、その絵は当然補完されなければならない。これは図7aに詳しく示されており、その図は、アパーチャー6が望ましいエネルギー幅7のみを通過させることを許していることを示している。アパーチャー6の開口は、如何なる形状を有していても良いが、唯、10’と10"の間のラインは、粒子流の正確な位置が場合により或る偏差を示しているときでさえ、エネルギー幅7に明らかに制限されていなければならない。この理由のために、四角のアパーチャー開口が有効である。
【0053】
図8は、違いを明らかにするために、上記従来技術のスリット・アパーチャー29を示す。点焦点10,10’,10"が作成されず、最小エネルギーの線焦点31’と最大エネルギーの線焦点31"との間に並列に延びる線(ライン)としてイメージできる、線焦点31,31’,31"が作成されるので、この場合、望ましいエネルギー幅7はスリット・アパーチャー29によって選択されることが要求される。この理由のために、上記の問題は、そのようなスリット・アパーチャー29が正確な横の制限29’,29"を有さなければならないということである。
【0054】
良くない横エッジ29’,29"が、広い部分aおよび狭い部分bの形状で、誇張した形で、図8に示されている。なお、汚い粒子は当然同じ効果を有するであろう。スリット・アパーチャー29のaとbの幅の違いは、図8a(左)に示すように、イメージに於ける粒子流の密度の強さの分布に影響する。この強度分布に関連し、その側のイメージ図8a(右)は粒子流密度に相応する強度差を示しており、それは明るいイメージ・エリア33と暗いイメージ・エリア34を表すラインによって示されている。従来技術である良くない又は汚いスリット・アパーチャー29によって引き起こされるそのようなイメージ32は、弱い強度のイメージがこれら強度変調によってカバーされ、その結果、評価がもはや不可能となる、結果を引き起こしてしまう。
【0055】
図9は、偏向エレメント2,3,8,9の一実施例を示しており、それらは、内側の電極24と外側の電極25から成っている。内側の電極24は、その円錐面26,26’を切り取り、その形状は"V"字型の形状を有している。この"V"字型形状と対象となる他の"V"字型形状が、外側の電極25の切り取られた円錐面27,27’によって形成されている。この様なやり方で、菱形の円形リング・スペース(SCOFF近似に従った計算のため−ドーナツ(トロイド))が形成され、そのスペースは各偏向エレメント2,3,8,9の弧の角度θの全角度レンジに渡って延びる。偏向軌道14は、面26,26’,27,27’に対する中心において延び、それは一点波線で示される弧を有している。このように、図1,2,4a,5a,6aで示された弧が形成される。当然ながら電極24,25の端には小さなギャップがある。なぜなら、それらは、プラスとマイナスで示されているように、結局異なる電位だからである。これらのギャップは、零電位であるプレート(面)28を介したギャップ28’で再びカバーされている。正面のプレートは、電極24と25の間のギャップの曲線を示すために省略されている。軸35は回転軸位置を示しており、その軸を介して、これらの電極は、自動回転旋盤やそれと似た機械道具で作成することができる。遮蔽プレートは示されていないが、そのプレートは偏向エレメント2,3,8,9の面36,36’に対しギャップを有した状態で配置され、軸Eすなわち偏向軌道14に対し垂直に方向付けられている。これらの遮蔽プレートは、荷電粒子流のための軌道口として、偏向軌道14のエリアの中に小さな穴(ボア)を各々有しており、これらのプレートは引き出し(抽出)ポテンシャル(電位)でもある。上述したプレート達でもって、これらの遮蔽プレートは偏向エレメント2,3,8,9の箱型遮蔽を形成する。
【0056】
図9aは偏向エレメント2,3,8,9の更なる実施例であり、図9で示された面36に対し垂直に見えるようにしてある。上述した実施例と比べると、外側電極25の面27,27’と内側電極24の面26,26’は曲がっている。曲がったスペースの座標システムのX,Y,Z軸がプロットされている。ここでZ軸は、像の面に対し垂直に出ており、偏向軌道14のカーブに従っている。曲がった面26,26’,27,27’はX面に対し対称であり、同じ隔離(separation)を有し、Z軸に沿って曲がっている。面36’の輪郭は面36に対し変形している。なぜなら、面36は垂直方向から見たものであり、面36’は傾いた後ろ方向に延びている。
【0057】
図10aは、六極子構成を備えた偏向エレメント2,3,8,9の交差セクションの概略図である。この交差セクションは、図9ですでに示した交差セクションに相当する。電極24,25は各偏向エレメント2,3,8,9のための2極子を構成し、それは望ましい偏向軌道14を作成するのに充分である。要求される弧のみが、相応の弧角度θと組み合わせなければならない。2極子を構成するそのようなモノクロメータ1は、順に、像収差を形成し、それは多極子を使用することにより最小化できる。ここで使用される多極子は、純粋な多極子ではなく(専門家がそれを使用するかもしれないが(カール学位論文参照))、多極子によって重ね合わせられた2極子のことである。偏向エレメントは幾何学形状に基づく多極子によって重畳される2極子として形成される。
【0058】
図10aは、このようにして作られる6極子の一例としての一つの可能性としての幾何学形状の概略図である。断面において、開口に面して2つの"V"を形成する面26,26’,27,27’を有する形状は、或る形状の等電位ライン37,37’,37"を作成する。零電位37は、偏向軌道14に関係する曲がったX−Z面に対し対称となっている電極24,25を介した直線としてX−Y面内で延びている。これに比べ、等電位線37’と37"とは、電極24,25において、その形状のために、電位の変位により曲がっている。内側電極24の電位38は、2つの正電位38’と1つの負電位38"とを有し、それらは対称に配置されている。これは同じく、外側電極25の電位39が1つの正電位39’と2つの負電位39"を備えていることにも当てはまる。描かれた等電位線37’,37"は、Z軸方向に曲がっていて、偏向軌道14の曲線を決定する等電位面37’,37"である。これらの等電位面37,37’,37"は、モノクロメータ1によって発生される像収差を最小化するために、面26,26’,27,27’の幾何学形状の相応する計算方法(カール学位論文参照)を介して計算することができる。6極子は2次の像収差を正すことができる。
【0059】
図10bは、電極24,25の面26,26’,27,27’は異なる幾何学形状を示す。これらは、YZ面に関し対称ではない。ここで、零電位として定義された引き出し電位の等電位線37は曲がって延びており、他の等電位線(または面)37’,37"もまた相応に曲がっている。例として示された幾何学的形状は6極子によって重畳された2極子を形成できる。異なる屈折力の更なる変形をXZ面とYZ面で作ることができる。より高次の収差を正したいなら、より高次の多極子によって当然可能である。
【0060】
もちろん、図面は本発明が実現できる内のごく僅かの実施例を表しているのにすぎない。偏向軌道14の形も異なる設計であっても良いし、4つの偏向エレメント2,3,8,9より多くのエレメントを備えることも可能である。電極24と25の形もまたもっと異なる風に設計されてもよい。面26,26’,27,27’の代わりに、他のもっと異なる形状が用いられても良い。唯一重要なことは、偏向フィールド2’,3’,8’,9’内の点焦点を避けるために、それらが点対称の球形状から充分異なっていることである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は簡単な構成の本発明の一実施例のシーケンス図である。
【図2】図2は好ましい実施例を示している。
【図3】図3はモノクロメータの入力部における荷電粒子ビームを示している。
【図4a】図4aはモノクロメータの偏向軌道のカーブの例を示している。
【図4b】図4bは偏向フィールドおよび軸に関し荷電粒子XαとYβの偏向を示している。
【図5a】図5aは更なる例を示している。
【図5b】図5bは更なる例を示している。
【図6a】図6aは図2の実施例のための更なる例を示している。
【図6b】図6bは図2の実施例のための更なる例を示している。
【図7】図7は異なるエネルギーインターバルの好ましい焦点を備えた選別アパーチャーの通過部分を示している。
【図7a】図7aは選別アパーチャーの平面図を示す。
【図8】図8は従来技術のスリット・アパーチャーを示す。
【図8a】図8a(左)は像における電流密度の強度分布を示し、図8a(右)はスリット・アパーチャーを用いた場合の像内の裸の強度変調を示す。
【図9】図9は本発明の偏向エレメントの一実施例を示す。
【図9a】図9aは更なる実施例を示す。
【図10a】図10aは6極子の編成を有する偏向エレメントのクロスセクションのシーケンス図を示す。
【図10b】図10bは4極子の編成を有する偏向エレメントのクロスセクションのシーケンス図を示す。
【符号の説明】
【0062】
1 モノクロメータ
2,3 偏向エレメント
2’,3’ 偏向フィールド
4 散乱
4’ 散乱の除去
5 選別アパーチャーの面
5’ モノクロメータの対称面
6 選別アパーチャー
7 望ましいエネルギー幅
8,9 偏向エレメント
8’,9’ 偏向フィールド
10 望ましいエネルギー幅の点焦点
10’ 点焦点(最小エネルギー)
10" 点焦点(最大エネルギー)
11 Xαの零交差(零クロッシング)
12 Yβの零交差
13 反転ポイント
14 偏向軌道
15 荷電粒子Yβの軌道曲線の変化
16 モノクロメータの入り口
16’ モノクロメータの出口
17 放射源
X,Y,Z 空間座標、ここで、光軸EはZ軸に相当し、XとYはそれに垂直な面を提供し、そこで荷電粒子XαとYβが偏向される。
【0063】
E モノクロメータの光軸
E−dE 最小エネルギーの荷電粒子の軸偏向
E+dE 最大エネルギーの荷電粒子の軸偏向
E’ 光軸上の位置
Es モノクロメータの入り口における光軸
モノクロメータの出口における光軸
A 光軸に対する荷電粒子の偏向
α モノクロメータの入り口における、Xセクションの荷電粒子の、光軸に対する偏向軌道の角度
β モノクロメータの入り口における、Yセクションの荷電粒子の、光軸に対する偏向軌道の角度
α α=max、β=0であるXセクションの荷電粒子
β α=0,β=maxであるYセクションの荷電粒子
θ 弧形状の偏向エレメントの弧の角度
φ+,φ− 偏向エレメントの電極の電位
18 ビーム軌道
19 仮想入口交差(クロスオーバー)
20 仮想出口交差
21 静電レンズ
22 アパーチャー
23 放射源の粒子流
23’ レンズおよびアパーチャーによって制御、制限された粒子流
24 内側電極
25 外側電極
26,26’ 内側電極の切り取られた円錐面(切り取られた円錐の縦の面からの部分として)
27,27’ 外側電極の切り取られた円錐面(切り取られた円錐の縦の面からの部分として)
28 零電位の面
28’ ギャップ
29 従来技術のスリット・アパーチャー
29’,29" スリット・アパーチャーの縦のリミット
30 垂直交差(クロス)セクションのビーム
31 望ましいエネルギーの線焦点
31’ 線焦点(過度に小さいエネルギー)
31" 線焦点(過度に大きいエネルギー)
32 従来技術のイメージ
a スリット・アパーチャーの狭い部分
b スリット・アパーチャーの広い部分
33 明るいイメージ・エリア
34 暗いイメージ・エリア
35 電極を製作する際の回転軸
36,36’ 軸(E)に垂直な、偏向エレメントの面
37,37’,37" 等電位線(または面)
37 零電位(抽出器電位)
37’ 正の電位
37" 負の電位
38 内側電極の正の電位
38’ 正の偏差
38" 負の偏差
39 外側電極の負の電位
39’ 正の偏差
39" 負の偏差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましいエネルギー幅(7)の荷電粒子を選別するための選別アパーチャー(6)の面(5)に散乱(4)を作成するための静電偏向フィールド(2’,3’)を備えた、少なくとも1つの第1の偏向エレメント(2,3)と、
前記少なくとも1つの第1の偏向フィールド(2’,3’)の散乱(4)を打ち消す静電偏向フィールド(8’,9’)を備えた、少なくとも1つの第2の偏向エレメント(8,9)と、を有する、荷電粒子光学のための、特に、電子顕微鏡使用のためのモノクロメータにおいて、
前記偏向エレメント(2,3,8,9)は球形以外のデザインを有し、
或るエネルギーの荷電粒子(Xα,Yβ)が前記選別アパーチャー(6)の面(5)において排他的に点フォーカスされるように、異なるセクション(X,Y)においてそれぞれの角度で放射源(17)のイメージに仮想的に入る前記荷電粒子(Xα,Yβ)が、異なってフォーカスされるような電位(φ+,φ−)が、それらの電極(24,25)には与えられる、
なぜなら、前記異なるセクション(X,Y)の荷電粒子(Xα,Yβ)の偏向(A)の零交差(11,12)が、光軸(E)上の同じ位置(E’)でのみ出会うからである、
ことを特徴とする、モノクロメータ。
【請求項2】
前記偏向エレメント(2,3,8,9)の偏向フィールド(2’,3’,8’,9’)が、前記選別アパーチャー(6)の前記面(5)において異なるセクション(X,Y)の荷電粒子(Xα,Yβ)の偏向(A)の零交差(11,12)のためを除き、モノクロメータ(1)において更なるフォーカスが無いように、設計される、
請求項1記載のモノクロメータ。
【請求項3】
偏向フィールド(2,3,8,9)が、偏向軌道(14)の軸(E)を介して中間の零交差(11)でもってX方向の荷電粒子(Xα)の偏向(A)において反転ポイント(13)を引き起こすが、
X方向に対し垂直に延びるY方向では、選別アパーチャー(6)のエリアの光軸(E,z)を通る唯一の零交差(12)でもって軌道曲線(15)の変化を引き起こすだけ、となるように偏向エレメント(2,3,8,9)が設計される、
請求項1記載のモノクロメータ。
【請求項4】
偏向エレメント(2,3,8,9)の電極(24,25)はトロイドの部分として設計され、
前記部分の面(26,26’,27,27’)は、
直交し、Z軸に沿って曲がる座標空間(X,Y,Z)のXZセクションに対し対称に延び、なおZ軸がモノクロメータの光軸(E)に相当し、かつ、
前記部分の面(26,26’,27,27’)は、如何なる位置でもZ軸から同じ距離間隔を有し、かつ、
前記部分の面(26,26’,27,27’)は、前記電極(24,25)によって形成される2極子が多極子によって重畳されるように、直線とは異なる形をXYセクションに有し、
ここで、電極(24,25)の面(26,26’,27,27’)が、前記モノクロメータ(1)によって引き起こされるアパーチャー収差が多極子によって補償できるように設計される、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項5】
前記多極子が4極子である、請求項4記載のモノクロメータ。
【請求項6】
前記多極子が6極子である、請求項4記載のモノクロメータ。
【請求項7】
前記電極(24,25)の表面が曲がっている、請求項4ないし6いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項8】
前記電極(24,25)が、切り取られた円錐の部分の形の表面を有している、請求項4ないし6いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項9】
前記電極の表面どうしが、2つのV字型を形成し、その先端は同じ方向を向いている、請求項8記載のモノクロメータ。
【請求項10】
前記電極の表面どうしが、2つのV字型を形成し、その開口が互いに向き合っている、請求項8記載のモノクロメータ。
【請求項11】
前記モノクロメータは前記面(5’)に対し対称の設計であり、この対称面(5’)は前記選別アパーチャーの面(5)に相当する、請求項1ないし10いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項12】
前記モノクロメータの光軸(E)は、実質的に閉じたループの形をしている、請求項1ないし11いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項13】
前記モノクロメータの出口(16’)における光軸(E)が、前記モノクロメータの入り口(16)の光軸(Es)の延長に相当する、請求項1ないし12いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項14】
前記モノクロメータの形状が、実質的にΩの形をしている、請求項13記載のモノクロメータ。
【請求項15】
前記Ωの形状が、前記選別アパーチャー(6)の上流で2つの偏向エレメント(2,3)および前記選別アパーチャー(6)の下流で2つの偏向エレメント(8,9)によって形作られ、
ここで、前記偏向エレメント(2,3,8,9)は各々、120°と150°の間の角度を有する、円形の弧の偏向軌道(14)を有している、請求項14記載のモノクロメータ。
【請求項16】
前記偏向エレメント(2,9)は、前記モノクロメータ(1)がスイッチオフしたとき、荷電粒子(Xα,Yβ)が前記モノクロメータ(1)の出口(16’)における光軸(E)に沿って移動するような、前記モノクロメータ(1)の入力軸と出力軸(Es,EA)の方向のビーム軌道(18)を有している、請求項13ないし15いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項17】
前記モノクロメータ(1)の仮想入口クロスオーバー(19)と仮想出口クロスオーバー(20)とが、その対称面(5’)で一致する、請求項12ないし16いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項18】
前記電極(24,25)が、前記軸(E)に平行に方向付けられた、引き出し電位のプレート(28)によって外部的にシールドされている、請求項1ないし17いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項19】
前記軸(E)に対し垂直に方向付けられた電極の面(36,36’)において、前記電極(24,25)は荷電粒子流のための開口を有した、引き出し電位のシールド・プレートを有している、請求項1ないし18いずれか1項記載のモノクロメータ。
【請求項20】
前記電極(24,25)は、荷電粒子流のための開口軌道を備えた、引き出し電位の箱形シールドを有している、請求項18または19記載のモノクロメータ。
【請求項21】
静電レンズ(21)とアパーチャー(22)を備えた放射源(17)がモノクロメータ(1)の上流に配置されている、
ここで、前記静電レンズは前記放射源(17)の仮想イメージを作成し、前記イメージは前記モノクロメータの入口(16)の下流にある、請求項1ないし20いずれか1項記載のモノクロメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図7a】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図9a】
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【図10a】
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【図10b】
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【公開番号】特開2008−293977(P2008−293977A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−135745(P2008−135745)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(500155198)ツェーエーオーエス コレクテッド エレクトロン オプチカル システムズ ゲーエムベーハー (14)
【氏名又は名称原語表記】CEOS Corrected Electron Optical Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Englerstr. 28, D−69126 Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】