説明

モノスルフィド類を用いた失活によるビニリデン末端ポリオレフィンの製造

【課題】ビニリデン末端ポリオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】
下記の工程を含むビニリデン末端ポリオレフィンの製造方法:
a)ポリオレフィンをルイス酸の存在下でイオン化して、イオン化ポリオレフィンにする工程、
b)工程(a)からのイオン化ポリオレフィンを、一種以上の二炭化水素モノスルフィドと反応させる工程、そして
c)工程(b)の生成物を一種以上のプロトン受容体化合物と反応させる工程。
ただし、態様によっては二炭化水素モノスルフィドは下記式を有する。
1−S−R2
(式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニリデン末端ポリオレフィン類の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソブチレン(PIB)のようなビニリデン末端ポリオレフィン類は、末端官能基を含む重合体を製造するための有用な前駆体である。ビニリデン末端基は別の特定の末端官能基に変換することができる。特定の末端基を含む重合体には幾つもの有用な用途がある。例えば、PIB系コハク酸イミド分散剤はエンジン潤滑剤に有用な添加剤であり、またポリイソブチレンアミン類は燃料添加剤として有用である。ビニリデン異性体は、ポリオレフィン鎖末端を変換するために選ばれる多数の反応に対して、最も反応しやすい異性体である。よって、ビニリデン末端ポリオレフィン類を選択的に、あるいはビニリデン末端ポリオレフィン類のみを製造する方法が必要とされている。
【0003】
近年、オレフィン類の準リビングカチオン重合(QLCP)の分野で相当な研究が行われている。準リビング重合は最小の連鎖移動で進行するが、一方で不可逆停止が事実上無い。それゆえ、QLCPは、構造が非常に明確で分子量分布の狭い重合体を生じる。QLCPの別の利点は、重合体鎖末端のその場での官能化およびブロック共重合体合成の可能性があることである。その場での官能化は、それ以上の後重合反応を施すことができる物質を与える。
【0004】
QLCPのその場での官能化を含む研究は、様々な末端基を生み出している。しかし、ビニリデン末端の首尾よい生成が達成されるのはごく限られた数の事例である。ケネディ、外は、PIBをアリル基でキャップするための失活剤としてアリルトリメチルシランを使用することを開示している(非特許文献1)。メイヤー、外は、2−メタリルトリメチルシランの使用によりエキソオレフィン生成物を生じる同様の反応について説明している(非特許文献2)。だが、これらの合成ルートは両方とも、失活工程でPIBとの反応で消費されるかなり高価な試薬を利用している。
【0005】
ストークス、外による最近の研究により、特許文献1及び2にて、ある種の窒素含有失活剤の使用により準リビング第三級クロリドPIB鎖末端を、ビニリデンにその場で変換できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0041083号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0041084号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ケネディ(Kennedy)、外著、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンスA:ポリマー・ケミストリ(J. Poly. Sci. A: Poly. Chem.)、1987年、第25巻、p.3255
【非特許文献2】メイヤー(Mayer)、外著、マクロモレキュルズ(Macromolecules)、1996年、第29巻、p.6104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
失活工程で重要な試薬の回収の可能性をもたらす、ビニリデン末端ポリオレフィン類の新規なその場での製造方法を開発する必要性が当該分野にはある。失活剤の再循環はコストの低減をもたらすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある態様では、本発明は、下記の工程を含むビニリデン末端ポリオレフィンの製造方法を提供する:
a)ポリオレフィンをルイス酸の存在下でイオン化して、イオン化ポリオレフィンにする工程、
b)工程(a)からのイオン化ポリオレフィンを、一種以上の二炭化水素モノスルフィドと反応させる工程、そして
c)工程(b)の生成物を一種以上のプロトン受容体化合物と反応させる工程。
【0010】
ある態様では、二炭化水素モノスルフィドは下記式を有する。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基である。
【0013】
ある態様では、本方法は下記の図式で表される。
【0014】
【化2】

【0015】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基であり、そしてR3は水素またはメチルなどの炭化水素基である。
【0016】
ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも94モルパーセントである。
【0017】
如何なる理論にも制限されることはないが、態様によっては、本明細書に記載する方法は、下記の図式に示す経路で進行するように考えられる。
【0018】
【化3】

【0019】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基であり、Mは金属、遷移金属またはメタロイドであり、Yはハライドであり、そしてAおよびBは各々独立に1乃至20の整数である。
【発明の効果】
【0020】
ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも94モルパーセントである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[定義]
特に他の定義を行なわない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、当該分野の熟練者が一般に理解しているのと同一の意味を有する。本明細書で使用する用語に関して複数の定義がある場合には、特に断らない限り下記の定義が優先する。
【0022】
「アルコール」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。

R−OH
【0023】
式中、Rは、アルキルなどの脂肪族炭化水素基であり、例えばアラルキルなどの芳香族基で置換されていてもよい。
【0024】
「アルキル」は、本明細書で使用するとき、炭素1乃至20個または炭素1乃至16個を含む炭素鎖又は基を意味する。そのような鎖又は基は、直鎖であっても分岐していてもよい。本発明で例となるアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルまたはイソヘキシルが挙げられる。「低級アルキル」は、本明細書で使用するとき、炭素原子数1乃至約6の炭素鎖又は基を意味する。
【0025】
「アルケニル」は、本明細書で使用するとき、炭素2乃至20個または炭素2乃至16個を含む炭素鎖又は基であって、鎖が1つ以上の二重結合を含んでいることを意味する。例としては、これに限定されるものではないが、アリル基が挙げられる。アルケニル炭素鎖又は基の二重結合は、他の不飽和基と共役していてもよい。
【0026】
「アルキニル」は、本明細書で使用するとき、炭素2乃至20個または炭素2乃至16個を含む炭素鎖又は基であって、鎖が1つ以上の三重結合を含んでいることを意味する。例としては、これに限定されるものではないが、プロパルギル基が挙げられる。アルキニル炭素鎖又は基の三重結合は、他の不飽和基と共役していてもよい。
【0027】
「アリール」は、本明細書で使用するとき、炭素原子6乃至約30個を含む単環又は多環芳香族基を意味する。アリール基としては、これらに限定されるものではないが、フルオレニル、フェニルまたはナフチルが挙げられる。
【0028】
「アルカリール」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個のアルキル、アルケニル又はアルキニル基で置換されたアリール基を意味する。
【0029】
「アラルキル」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニル基を意味する。
【0030】
「アミド」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0031】
【化4】

【0032】
式中、R1〜R3は各々独立に水素または炭化水素基である。
【0033】
「アミン」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0034】
【化5】

【0035】
式中、R1〜R3は各々独立に水素または炭化水素基である。
【0036】
「カルボカチオン」及び「カルベニウムイオン」は、本明細書で使用するとき、正に荷電した炭素原子を意味する。
【0037】
「カルボカチオン末端ポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個のカルボカチオン末端基を含むポリオレフィンを意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、下記式の化合物が挙げられる。
【0038】
【化6】

【0039】
「鎖末端濃度」は、本明細書で使用するとき、オレフィン末端基とtert−ハライド末端基とカルベニウムイオンの濃度の合計を意味する。単官能開始剤が使用されるとき、鎖末端濃度はおおよそ開始剤濃度に等しい。多官能開始剤では、開始剤の官能価がxであるなら、鎖末端濃度はおおよそ開始剤濃度のx倍に等しい。
【0040】
「連鎖移動剤」は、本明細書で使用するとき、そのハライドイオンをカルベニウムイオンで置き換えて、新しくカルベニウムイオンを作る化合物を意味する。
【0041】
「共通イオン塩」は、本明細書で使用するとき、生長したカルベニウムイオンと対イオンの対の解離を防ぐために、準リビングカチオン重合条件で行われる反応に任意に添加されるイオン性の塩を意味する。
【0042】
「共通イオン塩前駆体」は、本明細書で使用するとき、準リビングカチオン重合条件下で行われる反応に任意に添加されて、ルイス酸とのその場反応により、生長した鎖末端の対アニオンと同じ対アニオンを発生させるイオン性の塩を意味する。
【0043】
「カップリングしたポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、カルボカチオン末端ポリオレフィンが別のポリオレフィンに付加した生成物を意味する。
【0044】
「希釈剤」は、本明細書で使用するとき、液体希釈剤又は化合物を意味する。希釈剤は単独でも二種以上の化合物の混合物でもよい。希釈剤は反応成分を完全に溶解しても部分的に溶解してもよい。例としては、これらに限定されるものではないが、ヘキサンまたは塩化メチルまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
「二炭化水素モノスルフィド」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0046】
【化7】

【0047】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基である。
【0048】
「電子供与体」は、本明細書で使用するとき、一対の電子を別の分子に供与することができる分子を意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、ルイス酸と錯体を作ることができる分子が挙げられる。それ以上の例としては、これらに限定されるものではないが、塩基および/または求核物質が挙げられる。それ以上の例としては、これらに限定されるものではないが、プロトンを取り去る又は取り除くことができる分子が挙げられる。
【0049】
「エキソ−オレフィン」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0050】
【化8】

【0051】
式中、Rは炭化水素基である。ある態様ではRはメチルである。
【0052】
「ハライド」、「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書で使用するとき、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0053】
「炭化水素基」は、本明細書で使用するとき、炭素原子と水素原子だけを含む一価の線状、分岐状又は環状の基を意味する。
【0054】
「イニファ」は、本明細書で使用するとき、開始剤としても、また連鎖移動剤としても作用する化合物を意味する。
【0055】
「開始剤」は、本明細書で使用するとき、カルボカチオンを与える化合物を意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、1個以上の第三級末端基を持つ化合物又はポリオレフィン類が挙げられる。開始剤は単官能性でも多官能性でもよい。「単官能開始剤」は、本明細書で使用するとき、開始剤に対しておよそ1化学量論当量のカルボカチオンを与える開始剤を意味する。「多官能開始剤」は、本明細書で使用するとき、開始剤に対しておよそx化学量論当量のカルボカチオンを与える開始剤を意味する、ただし、xは開始剤の官能価を表わす。単官能開始剤が使用されるとき、鎖末端濃度はおおよそ開始剤濃度に等しい。多官能開始剤では、開始剤の官能価がxであるなら、鎖末端濃度は開始剤濃度のx倍に等しい。
【0056】
「イオン化ポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個のカルベニウムイオンを含むポリオレフィンを意味する。例としては、これに限定されるものではないが、tert−ハライド末端ポリオレフィンがイオン化されてカチオンポリオレフィンになったものが挙げられる。それ以上の例としては、これに限定されるものではないが、準リビングカルボカチオンポリオレフィンが挙げられる。それ以上の例としては、これに限定されるものではないが、ビニリデン末端ポリオレフィンがイオン化されて、イオン化ポリオレフィンまたは準リビングカルボカチオンポリオレフィンになったものが挙げられる。それ以上の例としては、これに限定されるものではないが、オレフィンを含むポリオレフィンがイオン化されて、準リビングカルボカチオンポリオレフィンまたはカチオンポリオレフィンになったものが挙げられる。それ以上の例としては、これに限定されるものではないが、イニファから誘導されたイオン化ポリオレフィンが挙げられる。
【0057】
「ルイス酸」は、本明細書で使用するとき、一対の電子を受容することができる化学物質を意味する。
【0058】
「単量体」は、本明細書で使用するとき、カルボカチオンと結合して別のカルボカチオンを作ることができるオレフィンを意味する。
【0059】
「ニトロアルカン」は、本明細書で使用するとき、RNO2を意味する、ただし、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルである。
【0060】
「全生成物のうちのモルパーセント」は、本明細書で使用するとき、全反応生成物のモル数に対する特定の反応生成物のモル数の比率を百倍したものを意味する。
【0061】
「プロトン受容体」は、本明細書で使用するとき、プロトンを取り去ることができる化合物を意味する。
【0062】
「ピリジン誘導体」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0063】
【化9】

【0064】
式中、R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素または炭化水素基であるか;あるいはR1とR2、またはR2とR3、またはR3とR4、またはR4とR5は独立に、炭素原子数約4乃至約7の縮合脂肪族環、または炭素原子数約5乃至約7の縮合芳香環を形成している。R1、R2、R3、R4およびR5が各々水素であるとき、化合物はピリジンである。
【0065】
「準リビングカルボカチオン重合条件」は、本明細書で使用するとき、準リビングカルボカチオンポリオレフィン類の生成を可能にする準リビング重合条件を意味する。
【0066】
「準リビングカルボカチオンポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、準リビング重合条件下で生成したカルボカチオンポリオレフィンを意味する。
【0067】
「準リビング重合」は、本明細書で使用するとき、不可逆的な鎖切断現象無しに進行する重合を意味する。準リビング重合は開始で始まり、その後に生長が続く、ただし、生長(リビング)種は非生長(非リビング)重合体鎖と平衡状態にある。
【0068】
「準リビング重合条件」は、本明細書で使用するとき、準リビング重合を起こすことができる反応条件を意味する。
【0069】
「失活」は、本明細書で使用するとき、カルベニウムイオンを失活剤と反応させることを意味する。
【0070】
「失活剤」は、本明細書で使用するとき、単独でまたは別の化合物と組み合わせて、カルベニウムイオンと反応することができる化合物を意味する。
【0071】
「置換ベンゼン」は、本明細書で使用するとき、下記式の化合物を意味する。
【0072】
【化10】

【0073】
式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルであり、そしてnは1−6である。態様によっては、Rは低級アルキルである。態様によっては、Rはメチルである。態様によっては、nは1−4である。態様によっては、nは1−3である。
【0074】
「ビニリデン末端基」は、本明細書で使用するとき、エキソ−オレフィン構造を有する末端オレフィン部を意味する。
【0075】
「ビニリデン末端ポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個のビニリデン末端基を含むポリオレフィンを意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、下記式の化合物が挙げられる。
【0076】
【化11】

【0077】
式中、Rは水素または炭化水素基である。
【0078】
「tert−ハライド末端ポリオレフィン」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1個の第三級ハライド末端基を含むポリオレフィンを意味する。例としては、これに限定されるものではないが、下記式の化合物が挙げられる。
【0079】
【化12】

【0080】
式中、Xはハロゲンである。
【0081】
[方法]
本発明は、下記の工程を含むビニリデン末端ポリオレフィンの製造方法を提供する:
a)ポリオレフィンをルイス酸の存在下でイオン化して、イオン化ポリオレフィンにする工程、
b)工程(a)からのイオン化ポリオレフィンを、一種以上の二炭化水素モノスルフィドと反応させる工程、そして
c)工程(b)の生成物を一種以上のプロトン受容体化合物と反応させる工程。
【0082】
態様によっては、方法は下記の図式で表される。
【0083】
【化13】

【0084】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基であり、そしてR3は水素または炭化水素基である。
【0085】
態様によっては、本発明で提供する方法によって製造されたポリオレフィンは、ポリオレフィン鎖にビニリデン末端基を1個含有している。態様によっては、本発明で提供する方法によって製造されるポリオレフィンは、ポリオレフィン鎖にビニリデン末端基を1個より多く含有している。
【0086】
如何なる理論にも制限されることはないが、態様によっては本明細書に記載する方法は、下記の図式に示す経路で進行するものと考えられる。
【0087】
【化14】

【0088】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基であり、Mは金属、遷移金属またはメタロイドであり、Yはハライドであり、そしてAおよびBは各々独立に1乃至20の整数である。態様によってはMABは、本明細書に記載するルイス酸から誘導される。
【0089】
(イオン化ポリオレフィン類)
イオン化ポリオレフィン類は、当該分野の熟練者に知られている任意の方法で製造することができる。例としては、これらに限定されるものではないが、tert−ハライドをルイス酸でイオン化すること、予備生成したポリオレフィンをルイス酸でイオン化すること、オレフィン単量体を準リビングカルボカチオン重合条件下で重合すること、あるいは「イニファ」法を行うことが挙げられる。
【0090】
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端ポリオレフィンである。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端基を1個以上含有している。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端基を1個含有している。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端基を2個含有している。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端基を3個含有している。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、カルボカチオン末端基を持つポリイソブチレンである。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、下記式の化合物である。
【0091】
【化15】

【0092】
(a)tert−ハライド類からのイオン化ポリオレフィン類
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、tert−ハライド末端ポリオレフィンから誘導される。ある態様ではtert−クロリド末端ポリオレフィン、tert−ブロミド末端ポリオレフィンまたはtert−ヨージド末端ポリオレフィンから、イオン化ポリオレフィンが誘導される。ある態様ではtert−クロリド末端ポリオレフィンまたはtert−ブロミド末端ポリオレフィンから、イオン化ポリオレフィンが誘導される。ある態様では、tert−クロリドポリオレフィンからイオン化ポリオレフィンが誘導される。
【0093】
tert−ハライド末端ポリオレフィン類は、当該分野の熟練者に知られている任意の方法によって製造することができる。
【0094】
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、tert−ハライド末端ポリオレフィンをルイス酸と接触させることによって生じる。ある態様では、tert−クロリド末端ポリオレフィン、tert−ブロミド末端ポリオレフィンまたはtert−ヨージド末端ポリオレフィンを、ルイス酸と接触させることによってイオン化ポリオレフィンが生じる。ある態様ではtert−クロリド末端ポリオレフィンを、ルイス酸と接触させることによってイオン化ポリオレフィンが生じる。
【0095】
態様によっては、tert−ハライドはイニファから誘導される。
【0096】
(b)予備生成したポリオレフィン類からのイオン化ポリオレフィン類
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、予備生成したポリオレフィンから誘導される。ある態様では、そのような予備生成ポリオレフィンは、二重結合を1つ以上含有している。ある態様では、そのような予備生成ポリオレフィンは、二重結合を1つ含有している。ある態様では、そのような予備生成ポリオレフィンは、ポリイソブチレン誘導体である。ある態様では、そのような予備生成ポリオレフィンは、エンドオレフィンを1個以上含有している。
【0097】
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、ルイス酸を予備生成ポリオレフィンと接触させることによって生じる。ある態様では、1つ以上の二重結合を含む予備生成ポリオレフィンをルイス酸と接触させることによって、イオン化ポリオレフィンが生じる。ある態様では、1つの二重結合を含む予備生成ポリオレフィンをルイス酸と接触させることによって、イオン化ポリオレフィンが生じる。ある態様では、ポリイソブチレン誘導体をルイス酸と接触させることによって、イオン化ポリオレフィンが生じる。ある態様では、1個以上のエンドオレフィンを含む予備生成ポリオレフィンをルイス酸と接触させることによって、イオン化ポリオレフィンが生じる。
【0098】
(c)イニファ法からのイオン化ポリオレフィン類
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、当該分野の熟練者に知られている方法を用いてイニファから誘導される。そのような方法の限定的ではない例は、米国特許第4276394号及び第4568732号の各明細書に記載されていて、それらの各々も参照内容として本明細書の記載とする。ある態様では、単量体をカチオン重合条件下で、少なくとも2個の第三級ハロゲンを持つイニファと反応させる。ある態様では、イニファはビイニファまたはトリイニファである。ある態様ではイニファは、塩化トリクミル、塩化パラジクミルまたは臭化トリクミルである。
【0099】
(d)準リビングカルボカチオン重合条件下でオレフィン単量体からのイオン化ポリオレフィン類
態様によっては、イオン化ポリオレフィンは、準リビングカルボカチオン条件下でオレフィン単量体から誘導される。そのような条件下で準リビングカルボカチオンポリオレフィンが生じる。そのような条件は、当該分野の熟練者に知られている任意の方法によって実現することができる。そのような方法の限定的ではない例は、欧州特許第206756B1号明細書及び国際公開第2006/110647A1号パンフレットに記載されていて、それら両方とも参照内容として本明細書の記載とする。
【0100】
態様によっては、単量体、開始剤およびルイス酸が使用される。ある態様ではイオン化ポリオレフィンは、準リビングカルボカチオンポリイソブチレンである。ある態様ではそのような準リビングカルボカチオンポリオレフィンは、下記式の化合物である。
【0101】
【化16】

【0102】
(i)開始剤
態様によっては、開始剤は、第三級末端基を1個以上持つ化合物又はポリオレフィンである。ある態様では、開始剤は第三級末端基を1個有する。ある態様では、開始剤は第三級末端基を1個より多く有する。
【0103】
態様によっては、開始剤は、一般式(X’−CRabncの化合物であり、式中、Ra、RbおよびRcは独立に、アルキル基、芳香族基、アルキル芳香族基のうちの少なくとも一種からなり、同じでも異なっていてもよく、そしてX’は、アセテート、エテレート、ヒドロキシル基またはハロゲンである。ある態様では、Rcの価数はnであり、nは1乃至4の整数である。ある態様では、Ra、RbおよびRcは、炭素原子1乃至約20個を含む炭化水素基である。ある態様では、Ra、RbおよびRcは、炭素原子1乃至約8個を含む炭化水素基である。ある態様では、X’はハロゲンである。ある態様では、X’は塩素である。ある態様では、Ra、RbおよびRcの構造は、生長種または単量体に似ている。ある態様では、そのような構造は、ポリスチレンには1−フェニルエチル誘導体、あるいはポリイソブチレンには2,4,4−トリメチルペンチル誘導体である。ある態様では、開始剤は、ハロゲン化クミル、ジクミル又はトリクミルである。ある態様では、塩化物が使用される。ある態様では、開始剤は、2−クロロ−2−フェニルプロパン、すなわち塩化クミル;1,4−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、すなわちジ(塩化クミル);1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、すなわちトリ(塩化クミル);2,4,4−トリメチル−2−クロロペンタン;2−アセチル−2−フェニルプロパン、すなわち酢酸クミル;2−プロピオニル−2−フェニルプロパン、すなわちプロピオン酸クミル;2−メトキシ−2−フェニルプロパン、すなわちクミルメチルエーテル;1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、すなわちジ(クミルメチルエーテル);または1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、すなわちトリ(クミルメチルエーテル)である。ある態様では、開始剤は、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン(TMPCl)、1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、または1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン(bDCC)である。
【0104】
態様によっては、開始剤は、単官能性であっても二官能性であっても多官能性であってもよい。ある態様では、開始剤は単官能性である。ある態様では、開始剤は、2−クロロ−2−フェニルプロパン、2−アセチル−2−フェニルプロパン、2−プロピオニル−2−フェニルプロパン、2−メトキシ−2−フェニルプロパン、2−エトキシ−2−フェニルプロパン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−アセチル−2,4,4−トリメチルペンタン、2−プロピオニル−2,4,4−トリメチルペンタン、2−メトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、または2−エトキシ−2,4,4−トリメチルペンタンである。ある態様では、開始剤は、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタンである。
【0105】
態様によっては、開始剤は二官能性である。ある態様では、開始剤は、1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、または5−tert−ブチル−1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンである。ある態様では、開始剤は、5−tert−ブチル−1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンである。
【0106】
態様によっては、開始剤は多官能性である。ある態様では、開始剤は、1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、または1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼンである。
【0107】
(ii)単量体
態様によっては、単量体は、炭化水素単量体、すなわち水素原子と炭素原子だけを含む化合物であり、これらに限定されるものではないが、オレフィン類及びジオレフィン類、および炭素原子数約2乃至約20のそのようなものが挙げられる。ある態様では、そのような化合物の炭素原子数は約4乃至約8である。
【0108】
態様によっては、本明細書に記載する方法は、そのような単量体を重合して同一ではないが、分子量が均一な重合体を生成させるために用いることができる。ある態様では、そのような分子量は、約300乃至100万g/モルを越える。ある態様では、そのような重合体は、分子量が約200乃至10000g/モルの低分子量液体又は粘性重合体であっても、あるいは分子量が約100000乃至1000000g/モルかそれ以上の固体ワックス状乃至塑性又は弾性物質であってもよい。
【0109】
態様によっては、単量体は、イソブチレン、スチレン、ベータピネン、イソプレン、ブタジエン、またはこれらの種の置換化合物である。ある態様では、単量体は、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、またはベータ−ピネンである。ある態様では、単量体はイソブチレンである。
【0110】
態様によっては、単量体の混合物も使用することができる。
【0111】
(iii)ルイス酸
態様によっては、ルイス酸は非プロトン酸である。ある態様では、ルイス酸は、金属ハロゲン化物でも非金属ハロゲン化物でもよい。ある態様では、ルイス酸は金属ハロゲン化物である。ある態様ではルイス酸は、ハロゲン化チタン(IV)、ハロゲン化亜鉛(II)、ハロゲン化スズ(IV)、またはハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸はハロゲン化チタン(IV)である。ある態様では、ルイス酸はハロゲン化スズ(IV)である。ある態様では、ルイス酸はハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸は、四臭化チタンまたは四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸は四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸は塩化亜鉛である。ある態様では、ルイス酸はAlBr3である。ある態様では、ルイス酸はエチルアルミニウムジクロリドである。ある態様では、ルイス酸は非金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸は、ハロゲン化アンチモン(VI)、ハロゲン化ガリウム(III)、またはハロゲン化ホウ素(III)である。ある態様では、ルイス酸は三塩化ホウ素である。ある態様では、ルイス酸はトリアルキルアルミニウム化合物である。ある態様では、ルイス酸はトリメチルアルミニウムである。
【0112】
態様によっては、二種以上のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、二種類のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウム化合物との混合物が使用される。ある態様では、化学量論比で約1:1のハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウム化合物が使用される。ある態様では、化学量論比で2:1のハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウム化合物が使用される。ある態様では、化学量論比で1:2のハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウムが使用される。ある態様では、トリアルキルアルミニウムに対するハロゲン化アルミニウム(III)の化学量論比は1より大きい。ある態様では、トリアルキルアルミニウムに対するハロゲン化アルミニウム(III)の化学量論比は1より小さい。ある態様では、三臭化アルミニウムとトリメチルアルミニウムの混合物が使用される。
【0113】
態様によってはルイス酸はアルキルアルミニウムハライドである。ある態様では、ルイス酸はメチルアルミニウムブロミドである。
【0114】
態様によってはルイス酸は1回のアリコートで添加される。ある態様では、ルイス酸は1回より多いアリコートで添加される。ある態様では、ルイス酸は2回のアリコートで添加される。
【0115】
(iv)電子供与体
当該分野の熟練者には理解されているように、電子供与体によっては、従来の重合系を準リビング重合系に変えることができる。態様によっては、本明細書に記載する方法は、電子供与体の存在下で実施される。ある態様では、そのような電子供与体は、スルホニウムイオン末端ポリオレフィン(後述)と反応させるために使用される一種以上のプロトン受容体とは異なる一般式を有する。ある態様では、そのような電子供与体は、スルホニウムイオン末端ポリオレフィン(後述)と反応させるために使用される一種以上のプロトン受容体と同じ一般式を有する。ある態様では、電子供与体はスルホニウムイオン末端ポリオレフィンと反応して、ビニリデン末端ポリオレフィンを生成させる。
【0116】
態様によっては、電子供与体は、ルイス酸と錯体を形成することができる。ある態様では、電子供与体は塩基および/または求核物質である。ある態様では、電子供与体は、プロトンを取り去る又は取り除くことができる。ある態様では、電子供与体は有機塩基である。ある態様では、電子供与体はアミドである。ある態様では、電子供与体は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはN,N−ジエチルアセトアミドである。ある態様では、電子供与体はスルホキシドである。ある態様では、電子供与体はジメチルスルホキシドである。ある態様では、電子供与体はエステルである。ある態様では、電子供与体は、酢酸メチルまたは酢酸エチルである。ある態様では、電子供与体はリン酸エステル化合物である。ある態様では、電子供与体は、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、またはヘキサメチルリン酸トリアミドである。ある態様では、電子供与体は酸素含有金属化合物である。ある態様では、電子供与体はチタン酸テトライソプロピルである。
【0117】
態様によっては、電子供与体は、ピリジンまたはピリジン誘導体である。ある態様では、電子供与体は下記式の化合物である。
【0118】
【化17】

【0119】
式中、R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素または炭化水素基であるか;あるいはR1とR2、またはR2とR3、またはR3とR4、またはR4とR5は独立に、炭素原子数約3乃至約7の縮合脂肪族環、または炭素原子数約5乃至約7の縮合芳香族環を形成している。態様によってはR1およびR5は各々独立に炭化水素基であり、そしてR2〜R4は水素である。
【0120】
態様によっては、電子供与体は、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2−メチルピリジン、またはピリジンである。ある態様では、電子供与体は、N,N−ジメチルアニリン、またはN,N−ジメチルトルイジンである。ある態様では、電子供与体は2,6−ルチジンである。
【0121】
(v)共通イオン塩及びイオン塩前駆体
態様によっては、電子供与体に加えてもしくはその代わりに、共通イオン塩又は塩前駆体を任意に反応混合物に添加することができる。ある態様では、そのような塩は、イオン強度を高め、遊離イオンを抑え、また配位子交換体と相互作用させるために使用することができる。ある態様では、共通イオン塩前駆体は、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドである。ある態様では、共通イオン塩前駆体は、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドである。ある態様では、全反応混合物中の共通イオン塩又は塩前駆体の濃度は、約0.0005モル/リットル乃至約0.05モル/リットルの範囲にあってよい。ある態様では、共通イオン塩又は塩前駆体の濃度は、約0.0005モル/リットル乃至約0.025モル/リットルの範囲にある。ある態様では、共通イオン塩又は塩前駆体の濃度は、約0.001モル/リットル乃至約0.007モル/リットルの範囲にある。
【0122】
(二炭化水素モノスルフィドとの反応)
(a)二炭化水素モノスルフィド類
態様によっては、二炭化水素モノスルフィドは、下記式を有する。
【0123】
【化18】

【0124】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基である。
【0125】
態様によっては、R1およびR2は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキルまたはシクロアルキルである。ある態様では、R1およびR2は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキルまたはシクロアルキルである。ある態様では、R1およびR2は各々独立にアルキルである。ある態様では、R1およびR2は独立に、炭素原子1乃至20個を含有している。
【0126】
態様によっては、二炭化水素モノスルフィドは、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジアリルスルフィド、ジイソアミルスルフィド、ジ−sec−ブチルスルフィド、ジイソペンチルスルフィド、ジメタリルスルフィド、メチルtert−オクチルスルフィド、ジノニルスルフィド、ジオクタデシルスルフィド、ジペンチルスルフィド、またはジ−tert−ドデシルスルフィドである。ある態様では、二炭化水素モノスルフィドは、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジアリルスルフィド、またはジイソアミルスルフィドである。ある態様では、二炭化水素モノスルフィドはジイソプロピルスルフィドである。
【0127】
(b)スルホニウムイオン末端ポリオレフィンの生成
如何なる理論にも制限されるものではないが、態様によっては、二炭化水素モノスルフィドは、失活剤として作用する。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、二炭化水素モノスルフィドはイオン化ポリオレフィンと反応して、スルホニウムイオン末端ポリオレフィンを生成させる。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、そのようなスルホニウムイオン末端ポリオレフィンは安定である。ある態様では、スルホニウムイオン末端ポリオレフィンは分光法で識別できる。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、スルホニウムイオン末端ポリオレフィンは、ルイス酸誘導対イオンとイオン対を形成する。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、そのような対イオンはハロゲン化チタンである。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、そのような対イオンはTi2Cl9である。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、二炭化水素モノスルフィドは再生する。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、二炭化水素モノスルフィドとイオン化ポリオレフィンとの反応は、下記の図式で説明する反応経路で進行する。
【0128】
【化19】

【0129】
式中、R1およびR2は各々独立に炭化水素基である。
【0130】
[プロトン受容体との反応]
如何なる理論にも制限されるものではないが、態様によっては、プロトン受容体はスルホニウムイオン末端ポリオレフィンと反応する。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、プロトン受容体はスルホニウムイオン末端ポリオレフィンと反応して、ビニリデン末端ポリオレフィンを生成させる。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、プロトン受容体は、スルホニウムイオン末端ポリオレフィンからプロトンを取り去る。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、ビニリデン末端ポリオレフィンが主要な生成物である。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、ビニリデン末端ポリオレフィンが主要生成物であり、エンド−オレフィン類とtert−ハライドポリオレフィン類とカップリングしたポリオレフィン類を含むポリオレフィン類が少数の生成物である。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、1個より多いプロトン受容体がスルホニウムイオン末端ポリオレフィンと反応する。如何なる理論にも制限されるものではないが、ある態様では、1個より多いプロトン受容体がスルホニウムイオン末端ポリオレフィンと反応して、ビニリデン末端ポリオレフィンを生成させる。
【0131】
態様によっては、プロトン受容体は、前述した電子供与体とは異なる一般式を有する。態様によっては、プロトン受容体は、前述した電子供与体とは同じ一般式を有する。
【0132】
態様によっては、プロトン受容体は有機塩基である。ある態様では、プロトン受容体はアミンである。ある態様では、プロトン受容体は下記式の化合物である。
【0133】
【化20】

【0134】
式中、R1、R2およびR3は各々独立に、水素または炭化水素基である。態様によっては、R3は炭化水素基である。ある態様では、R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアリールである。ある態様では、R1とR2のうちの一方は水素で、もう一方は炭化水素基である。ある態様では、R1とR2は同じである。ある態様では、R1とR2は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アラルキル、アルカリールまたはアリールである。ある態様では、R3は炭化水素基であり、そしてR1とR2は両方とも水素である。ある態様では、R3は炭化水素基であり、そしてR1とR2のうちの一方は水素で、もう一方は炭化水素基である。ある態様では、R1とR2は一緒に炭素原子数約3乃至約7の環を形成している。ある態様では、プロトン受容体は、−NR12基を1個より多く有する。
【0135】
態様によっては、プロトン受容体は第一級アミンである。ある態様では、プロトン受容体は第二級アミンである。ある態様では、プロトン受容体は第三級アミンである。ある態様では、プロトン受容体は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミンまたはtert−アミルアミンである。ある態様では、プロトン受容体は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンまたはトリブチルアミンである。ある態様では、プロトン受容体は、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンまたはtert−アミルアミンである。
【0136】
態様によっては、プロトン受容体はアルコールである。ある態様では、プロトン受容体は下記式の化合物である。

R−OH
【0137】
式中、Rはアルキルなどの脂肪族炭化水素基であり、例えばアラルキルなどの芳香族部で置換されていてもよい。態様によっては、−OHは、第一級、第二級又は第三級炭素に結合している。ある態様では、−OHは第一級炭素に結合している。ある態様では、−OHは第二級炭素に結合している。ある態様では、−OHは第三級炭素に結合している。ある態様では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキルである。ある態様では、プロトン受容体は、−OH基を1個より多く有する。
【0138】
態様によっては、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノールまたはシクロペンタノールである。ある態様では、アルコールは、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールである。
【0139】
ある態様では、プロトン受容体は、フェノールまたはフェノール誘導体であってもよい。
【0140】
[希釈剤]
本明細書に記載する方法の態様によっては、当該方法は希釈剤中で実施される。ある態様では、希釈剤は、単一化合物もしくは二種以上の化合物の混合物である。ある態様では、希釈剤は反応成分を完全に溶解するか、あるいは反応成分を部分的に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分を完全又はほぼ完全に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分を完全に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分をほぼ完全に溶解する。
【0141】
態様によっては、希釈剤は低沸点および/または低凝固点である。ある態様では、希釈剤は、アルカン、一ハロゲン化アルキルまたは多ハロゲン化アルキルである。ある態様では、希釈剤はノルマルアルカンである。ある態様では、希釈剤は、プロパン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナンまたはノルマルデカンである。ある態様では、希釈剤は分岐アルカンである。ある態様では、希釈剤は、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタンまたは2,3−ジメチルブタンである。
【0142】
態様によっては、希釈剤はハロゲン化アルカンである。ある態様では、希釈剤は、クロロホルム、塩化エチル、塩化n−ブチル、塩化メチレン、塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、塩化n−プロピル、塩化イソプロピル、1,2−ジクロロプロパンまたは1,3−ジクロロプロパンである。ある態様では、希釈剤はアルケンまたはハロゲン化アルケンである。ある態様では、希釈剤は、塩化ビニル、1,1−ジクロロエテンまたは1,2−ジクロロエテンである。
【0143】
態様によっては、希釈剤は置換ベンゼンである。
【0144】
態様によっては、希釈剤は、二硫化炭素、二酸化硫黄、無水酢酸、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、メチルシクロヘキサン、クロロベンゼンまたはニトロアルカン類である。ある態様では、希釈剤はこの段落の化合物の混合物である。
【0145】
態様によっては、希釈剤は、ヘキサンと塩化メチルの混合物である。ある態様では、そのような混合物は、容量で約10/90乃至約90/10のヘキサン/塩化メチルである。ある態様では、そのような混合物は、容量で約30/70乃至約70/30のヘキサン/塩化メチルである。ある態様では、そのような混合物は、容量で約50/50乃至約100/0のヘキサン/塩化メチルである。ある態様では、そのような混合物は、容量で約50/50乃至約70/30のヘキサン/塩化メチルである。ある態様では、そのような混合物は、容量で約60/40のヘキサン/塩化メチルである。ある態様では、そのような混合物は、容量で約50/50のヘキサン/塩化メチルである。
【0146】
[温度]
態様によっては、本明細書に記載する方法は、約−120℃乃至約0℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−110℃乃至約−10℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−100℃乃至約−20℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−90℃乃至約−30℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−80℃乃至約−40℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−70℃乃至約−40℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、約−60℃乃至約−40℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は、−40℃、−45℃、−60℃又は−80℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は−40℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は−45℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は−60℃の温度で実施される。ある態様では、本明細書に記載する方法は−80℃の温度で実施される。
【0147】
[濃度]
態様によっては、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度の比は、約0.2乃至約5である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約0.5乃至約5である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約0.5乃至約2である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約0.7乃至約1.5である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約0.9乃至約1.4である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約1.0乃至約1.2である。ある態様では、鎖末端に対する二炭化水素モノスルフィド類のモル濃度比は、約1.0である。
【0148】
本明細書に記載する方法の鎖末端濃度は、開示する実施例によって限定されない。本明細書に記載する方法の鎖末端濃度には上限が無いと理解され、本明細書に記載する方法は如何なる鎖末端濃度でも実施することができる。態様によっては、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の半分未満である。ある態様では、電子供与体濃度はルイス酸濃度の0.4倍より低い。ある態様では、電子供与体濃度はルイス酸濃度の0.3倍より低い。ある態様では、電子供与体濃度はルイス酸濃度の0.2倍より低い。ある態様では、電子供与体濃度はルイス酸濃度の0.1倍より低い。
【0149】
態様によっては鎖末端濃度は0.010M未満である。ある態様では、鎖末端濃度は0.050M未満である。ある態様では、鎖末端濃度は0.10M未満である。ある態様では、鎖末端濃度は0.5M未満である。ある態様では、鎖末端濃度は1.0M未満である。ある態様では、鎖末端濃度は0.001Mより高い。
【0150】
[エキソ選択性]
態様によっては、本明細書に記載する方法は、ビニリデン末端ポリオレフィン類を選択的に与える。ある態様では、ビニリデン末端ポリオレフィン、エンドオレフィンを含むポリオレフィン類、tert−ハライドポリオレフィン類、およびカップリングしたポリオレフィン類が反応生成物である。ある態様では、ビニリデン末端ポリオレフィンが主要な生成物であって、エンドオレフィンを含むポリオレフィン類、tert−ハライドポリオレフィン類およびカップリングしたポリオレフィン類は少数の生成物である。
【0151】
態様によっては、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも40モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも50モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも60モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも70モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも80モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも85モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも90モルパーセントである。ある態様では、生成したビニリデン末端ポリオレフィンは、全生成物のうちの少なくとも94モルパーセントである。
【実施例】
【0152】
本明細書に記載する態様について、以下の限定的ではない実施例により説明する。明確に断らない限り、温度および温度範囲は全て摂氏度系を意味し、「周囲温度」又は「室温」は約20乃至25℃を意味する。
【0153】
[実施例1〜5]
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−60℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を充填した。
【0154】
−60℃で平衡にしたヘキサン108ミリリットル、
−60℃で平衡にした塩化メチル72ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン0.48ミリリットル、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.23ミリリットル、および
−60℃で平衡にしたイソブチレン16.4ミリリットル。
【0155】
次に、丸底フラスコの内容物を−60℃で平衡にした。
【0156】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン0.87ミリリットルをフラスコに入れた。反応を12分間進行させ、その後に重合溶液20ミリリットルを、ねじ込みキャップの付いた七つの60ミリリットル試験管に入れ、−60℃に維持したヘプタン浴に浸漬した。
【0157】
各試験管で更に13分間(全反応時間25分)重合を継続し、その時点で七試験管のうちの一つをメタノール5ミリリットルで停止させて、ジエチルジスルフィドの添加前の比較例とした。比較例の完了後直ちに、反応重合物を含む残りの試験管のうちの一つにジエチルスルフィド0.52gを添加し、一方残りの試験管のうちの四つには別のスルフィド失活剤を添加した。ジエチルスルフィド失活反応(および別の失活反応)を30分間進行させ、その時点で失活反応を停止させるためにメタノール5ミリリットルを入れた。次に、最後の重合試験管をメタノール5ミリリットルで停止させて、最終比較例(対照標準A)とした。失活剤非含有反応を用いて失活反応の比較基準とし、また失活剤無しの構造的及び分子量的特徴の参照とした。
【0158】
第I表に、実施例1〜5および対照標準Aの反応体の量を列挙する。第III表(後記)に、結果を示す。
【0159】
第 I 表
───────────────────────────
実施例 スルフィド スルフィド(g)
───────────────────────────
1 ジエチルスルフィド 0.052
2 ジプロピルスルフィド 0.069
3 ジイソプロピルスルフィド 0.069
4 ジアリルスルフィド 0.066
5 ジイソアミルスルフィド 0.101
対照A 無し 0
───────────────────────────
【0160】
[実施例6〜11] 単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィド及び異なる反応停止剤を用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−60℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0161】
−60℃で平衡にしたヘキサン165.2ミリリットル、
−60℃で平衡にした塩化メチル110.1ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン1.06ミリリットル、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.35ミリリットル、および
−60℃で平衡にしたイソブチレン19.9ミリリットル。
【0162】
次に、丸底フラスコの内容物を−60℃で平衡にした。
【0163】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン3.42ミリリットルをフラスコに入れた。反応を17分間進行させ、その後にジイソプロピルスルフィド1.36ミリリットルを反応に加えた。30秒後、重合溶液35ミリリットルを、ねじ込キャップの付いた六つの60ミリリットル試験管に入れ、−60℃に維持したヘプタン浴に浸漬した。
【0164】
失活反応を17分間反応させ、その時点でプロトン受容体を各試験管に個別に入れた。全ての反応の停止を完了するのに3分要した。
【0165】
第II表に、実施例6〜11の反応体の量を列挙する。第III表(後記)に、結果を示す。
【0166】
第 II 表
───────────────────────────
実施例 プロトン受容体 プロトン受容体
(ml)
───────────────────────────
6 メタノール 1.76
7 エタノール 2.55
8 イソプロパノール 3.34
9 ジエチルアミン 3.99
10 n−ブチルアミン 4.53
11 tert−アミルアミン 5.10
───────────────────────────
【0167】
[実施例12]単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィドを用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−60℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0168】
−60℃で平衡にしたヘキサン85.2ミリリットル、
−60℃で平衡にした塩化メチル78.6ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン1.75g、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.23ミリリットル、および
−60℃で平衡にしたイソブチレン32.7ミリリットル。
【0169】
次に、丸底フラスコの内容物を−60℃で平衡にした。
【0170】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン1.29ミリリットルをフラスコに入れた。反応を29分間進行させ、その時点で反応器からアリコート2mlを取り出して予備冷却したメタノール5mlを含むバイアルに入れて、スルフィドの添加前の比較例とした。次に、ジイソプロピルスルフィド1.69mlを反応に加えた。5分後に、TiCl44.5mlを反応器に入れた。混合物を10分間撹拌し、その時点で予備冷却したn−ブチルアミン30.52mlを、5分かけてゆっくりと反応器に入れた。最後に、n−ブチルアミンの添加5分後に予備冷却したメタノール25mlを反応器に入れた。
第III表(後記)に、結果を示す。
【0171】
[実施例13]単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィドを用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−40℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0172】
−40℃で平衡にしたヘキサン83.4ミリリットル、
−40℃で平衡にした塩化メチル78.1ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン1.75g、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.23ミリリットル、および
−40℃で平衡にしたイソブチレン33.8ミリリットル。
【0173】
次に、丸底フラスコの内容物を−40℃で平衡にした。
【0174】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン2.58ミリリットルをフラスコに入れた。反応を20分間進行させ、その時点で反応器からアリコート2mlを取り出して予備冷却したメタノール5mlを含むバイアルに入れて、スルフィドの添加前の比較例とした。次に、ジイソプロピルスルフィド1.69mlを反応に加えた。5分後に、TiCl41.13mlを反応器に入れた。混合物を10分間撹拌し、その時点で予備冷却したn−ブチルアミン29.65mlを、5分かけてゆっくりと反応器に入れた。最後に、n−ブチルアミンの添加5分後に予備冷却したメタノール25mlを反応器に入れた。
第III表(後記)に、結果を示す。
【0175】
[実施例14] 単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィドを用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−80℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0176】
−80℃で平衡にしたヘキサン87.0ミリリットル、
−80℃で平衡にした塩化メチル79.1ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン1.75g、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.12ミリリットル、および
−80℃で平衡にしたイソブチレン31.6ミリリットル。
【0177】
次に、丸底フラスコの内容物を−80℃で平衡にした。
【0178】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン0.26ミリリットルをフラスコに入れた。反応を45分間進行させ、その時点で反応器からアリコート2mlを取り出して予備冷却したメタノール5mlを含むバイアルに入れて、スルフィドの添加前の比較例とした。次に、ジイソプロピルスルフィド1.69mlを反応に加えた。5分後に、TiCl43.2mlを反応器に入れた。混合物を10分間撹拌し、その時点で予備冷却したn−ブチルアミン25.4mlを、5分かけてゆっくりと反応器に入れた。最後に、n−ブチルアミンの添加5分後に予備冷却したメタノール25mlを反応器に入れた。
第III表(後記)に、結果を示す。
【0179】
[実施例15] 単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィドを用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−45℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0180】
−45℃で平衡にしたヘキサン84.7ミリリットル、
−45℃で平衡にした塩化メチル78.8ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン1.75g、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.092ミリリットル、および
−45℃で平衡にしたイソブチレン33.5ミリリットル。
【0181】
次に、丸底フラスコの内容物を−45℃で平衡にした。
【0182】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン0.97ミリリットルをフラスコに入れた。反応を50分間進行させ、その時点で反応器からアリコート2mlを取り出して予備冷却したメタノール5mlを含むバイアルに入れて、スルフィドの添加前の比較例とした。次に、ジイソプロピルスルフィド1.64mlを反応に加えた。20分後に、TiCl41.5mlを反応器に入れた。混合物を10分間撹拌し、その時点で予備冷却したn−ブチルアミン20.3mlを、5分かけてゆっくりと反応器に入れた。最後に、n−ブチルアミンの添加5分後に予備冷却したメタノール25mlを反応器に入れた。
第III表(後記)に、結果を示す。
【0183】
[実施例16] 単官能開始剤、ジイソプロピルスルフィドを用いたポリイソブチレンの製造
250ミリリットル四つ口丸底フラスコに、頭上機械撹拌器と白金抵抗温度計を備え付けた。この組立装置を、乾燥窒素ガス中で実質的に不活性な雰囲気のグローブボックス内で、−45℃のヘプタン浴に浸漬した。次いで、フラスコに下記の反応体を入れた。
【0184】
−45℃で平衡にしたヘキサン75.2ミリリットル、
−45℃で平衡にした塩化メチル70.2ミリリットル、
室温で平衡にした2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン3.24g、
テトラブチルアンモニウムクロリド0.13g、
室温で平衡にした2,6−ジメチルピリジン0.094ミリリットル、および
−45℃で平衡にしたイソブチレン30.1ミリリットル。
【0185】
次に、丸底フラスコの内容物を−45℃で平衡にした。
【0186】
撹拌を続けながら、次いで四塩化チタン0.6ミリリットルをフラスコに入れた。反応を55分間進行させ、その時点で反応器からアリコート2mlを取り出して予備冷却したメタノール5mlを含むバイアルに入れて、スルフィドの添加前の比較例とした。次に、ジイソプロピルスルフィド3.29mlを反応に加えた。1分後に、TiCl43.88mlを反応器に入れた。混合物を5分間撹拌し、その時点で予備冷却したn−ブチルアミン13mlを、5分かけてゆっくりと反応器に入れた。最後に、n−ブチルアミンの添加5分後に予備冷却したメタノール10mlを反応器に入れた。
第III表(後記)に、結果を示す。
【0187】
1H NMRデータの収集方法]
バリアン(Varian)(300MHz)分光光度計を使用して、試料濃度CDCl3中3%乃至5%(質量/質量)を用いて、1H NMRスペクトルを収集した。末端基の分析のために1H NMRスペクトルを使用した。以下の項に記載するように、1H NMR積分を用いて、エキソ−オレフィン、エンド−オレフィン、tert−クロリドおよびカップリングオレフィンの鎖末端の割合を得た。
【0188】
(ポリイソブチレン生成物の鎖末端の量の割合の計算方法)
ポリイソブチレン試料中のエキソ−オレフィン、エンド−オレフィン及びtert−クロリド鎖末端およびカップリング生成物の割合を、1H NMR積分を用いて定めた。これら四種で100%の鎖末端を表すと仮定した。場合によっては、1H NMRスペクトルの定性的検査によって、またGPCクロマトグラムで重合体の主ピークの低溶離量側に肩が無いのを確認することによっても、カップリング生成物は存在しないと思われた。以下に、二つの方法を記す。カップリング生成物が検出されたときは「一般的方法」を使用し、カップリング生成物が存在しないと思われたときは「特別な方法」を使用した。
【0189】
(a)一般的方法
エキソ−オレフィンの量の割合を求める下記の方程式と類似の方程式を用いて、各種類の鎖末端のモル量の割合を得た。
【0190】

F(exo)=(Aexo)/(Aexo+Aendo+Atert-Cl+2Acoupled) (1)
【0191】
ここで、Aendoは5.15ppmにおける単独オレフィン共鳴の面積であり、Aexoは4.63ppmにおけるエキソ−オレフィン共鳴の面積であり、そしてAtert-Clは下記のようにして算出した。
【0192】

tert-Cl=(A1.65-1.72/6)−Aendo (2)
【0193】
ここで、A1.65-1.72はエンド−オレフィン及びtert−クロリド鎖末端のgem−ジメチルプロトンに関係した入り組んだピークの積分面積である。方程式(1)でカップリング生成物に2の係数が見られるが、その理由は、これら生成物の発生に2個のポリイソブチレン鎖が消費されるという事実にあることに留意されたい。Acoupledは下記のようにして算出した。
【0194】

coupled=(A5.0-4.75−A4.5-4.75)/2 (3)
【0195】
ここで、A5.0-4.75はエキソ−オレフィンプロトンのうちの1個とカップリング生成物の2個の同等なプロトンに関係した入り組んだピークの積分面積であり、そしてA4.5-4.75はもう一方のエキソ−オレフィンプロトンに関係したピークの積分面積である。
【0196】
(b)特別な方法
カップリング生成物が定性的に存在しない場合には、エキソ−オレフィンの量の割合を求める下記の方程式と類似の方程式を用いて、各種類の鎖末端のモル量の割合を得た。
【0197】

F(exo)=(Aexo)/(Aexo+Aendo+Atert-Cl) (1)
【0198】
ここで、Aendoは5.15ppmにおける単独オレフィン共鳴の面積であり、Aexoは百万分の4.63部と4.85部における2つのエキソ−オレフィン共鳴の平均面積であり、そしてAtert-Clは「一般的方法」に記載したのと同じようにして算出した。
【0199】
【表1】

【0200】
上述した態様および実施例は単なる例示であることを意図していて、このような実施例も態様も限定的なものではない。当該分野の熟練者であれば、本明細書に記載した態様および実施例の変更を理解し、あるいは単に日常実験を用いて確かめることができよう。そのような変更も、特許請求に係る発明内容の範囲内に入るとみなされ、添付した特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むビニリデン末端ポリオレフィンの製造方法:
(a)ポリオレフィンをルイス酸の存在下でイオン化して、イオン化ポリオレフィンにする工程、
(b)工程(a)からのイオン化ポリオレフィンを、一種以上の二炭化水素モノスルフィドと反応させる工程、そして
(c)工程(b)の生成物を一種以上のプロトン受容体化合物と反応させる工程。
【請求項2】
一種以上の二炭化水素モノスルフィドが下記式を有する請求項1に記載の方法。
【化1】

(式中、R1およびR2は各々独立に、炭化水素基である)
【請求項3】
1およびR2が各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキルまたはシクロアルキルである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一種以上の二炭化水素モノスルフィドが、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジアリルスルフィドまたはジイソアミルスルフィドである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
一種以上の二炭化水素モノスルフィドがジイソプロピルスルフィドである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
一種類の二炭化水素モノスルフィドを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プロトン受容体がアルコールまたはアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロトン受容体がアルコールである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プロトン受容体が、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プロトン受容体がアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プロトン受容体が、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミンまたはtert−アミルアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
イオン化ポリオレフィンがtert−ハライド末端ポリオレフィンにルイス酸を加えることにより生成される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ルイス酸が、四ハロゲン化チタン、三ハロゲン化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化スズ、塩化亜鉛またはエチルアルミニウムジクロリド、またはそれらの混合物である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ルイス酸が、四塩化チタン、四臭化チタンまたは三塩化ホウ素である請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ルイス酸が四塩化チタンである請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ルイス酸の混合物を使用する請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ルイス酸が、ハロゲン化アルミニウム (III)とトリアルキルアルミニウム化合物の混合物である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ルイス酸が、臭化アルミニウムとトリメチルアルミニウムの混合物である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ルイス酸がアルキルアルミニウムハライドである請求項12に記載の方法。
【請求項20】
ルイス酸がメチルアルミニウムブロミドである請求項12に記載の方法。
【請求項21】
イオン化ポリオレフィンが準リビングカルボカチオンポリオレフィンであり、そして当該方法を準リビング重合条件下で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
電子供与体、共通イオン塩または共通イオン塩前駆体の存在下で、開始剤にルイス酸および単量体を加えることにより、準リビングカルボカチオンポリオレフィンを製造する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ルイス酸が、四ハロゲン化チタン、三ハロゲン化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化スズ、塩化亜鉛またはエチルアルミニウムジクロリド、またはそれらの混合物である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ルイス酸が四ハロゲン化チタンである請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ルイス酸が四塩化チタンである請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ルイス酸の混合物を使用する請求項22に記載の方法。
【請求項27】
ルイス酸が、ハロゲン化アルミニウム (III)とトリアルキルアルミニウム化合物の混合物である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ルイス酸が、臭化アルミニウムとトリメチルアルミニウムの混合物である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ルイス酸がアルキルアルミニウムハライドである請求項22に記載の方法。
【請求項30】
ルイス酸がメチルアルミニウムブロミドである請求項22に記載の方法。
【請求項31】
開始剤が単官能性である請求項22に記載の方法。
【請求項32】
開始剤が、2−クロロ−2−フェニルプロパン、2−アセチル−2−フェニルプロパン、2−プロピオニル−2−フェニルプロパン、2−メトキシ−2−フェニルプロパン、2−エトキシ−2−フェニルプロパン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−アセチル−2,4,4−トリメチルペンタン、2−プロピオニル−2,4,4−トリメチルペンタン、2−メトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、または2−エトキシ−2,4,4−トリメチルペンタンである請求項22に記載の方法。
【請求項33】
開始剤が2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタンである請求項22に記載の方法。
【請求項34】
開始剤が二官能性である請求項22に記載の方法。
【請求項35】
開始剤が、1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、または5−tert−ブチル−1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンである請求項22に記載の方法。
【請求項36】
開始剤が5−tert−ブチル−1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンである請求項22に記載の方法。
【請求項37】
開始剤が多官能性である請求項22に記載の方法。
【請求項38】
開始剤が、1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、または1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼンである請求項22に記載の方法。
【請求項39】
単量体を一種類より多く使用する請求項22に記載の方法。
【請求項40】
単量体が、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、または4−メチル−1−ペンテンである請求項22に記載の方法。
【請求項41】
単量体がイソブチレンである請求項22に記載の方法。
【請求項42】
電子供与体が下記式の化合物である請求項22に記載の方法。
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素または炭化水素基であるか;あるいはR1とR2、またはR2とR3、またはR3とR4、またはR4とR5は独立に、炭素原子数約3乃至約7の縮合脂肪族環または炭素原子数約5乃至約7の縮合芳香環を形成している)
【請求項43】
共通イオン塩前駆体が、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、または沃化テトラ−n−ブチルアンモニウムである請求項22に記載の方法。
【請求項44】
当該方法をピリジンまたはピリジン誘導体の存在下で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項45】
ピリジン誘導体が2,6−ルチジンである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
当該方法をアミドの存在下で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項47】
アミドがジメチルホルムアミドである請求項46に記載の方法。
【請求項48】
当該方法を共通イオン塩または共通イオン塩前駆体の存在下で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項49】
共通イオン塩前駆体が、塩化テトラブチルアンモニウム、または沃化テトラブチルアンモニウムである請求項48に記載の方法。
【請求項50】
当該方法を約−120℃乃至約0℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項51】
当該方法を約−60℃乃至約−40℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項52】
一種以上の二炭化水素モノスルフィドが、鎖末端濃度の約0.5乃至約3倍の濃度で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項53】
一種以上の二炭化水素モノスルフィドが、鎖末端濃度の約1乃至約1.2倍の濃度で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項54】
希釈剤を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項55】
希釈剤がアルカンである請求項54に記載の方法。
【請求項56】
希釈剤がペンタンまたはヘキサンである請求項54に記載の方法。
【請求項57】
希釈剤がハロゲン化アルキルである請求項54に記載の方法。
【請求項58】
希釈剤が塩化メチルまたは塩化メチレンである請求項54に記載の方法。
【請求項59】
希釈剤がニトロアルカンである請求項54に記載の方法。
【請求項60】
希釈剤がベンゼンまたは置換ベンゼンである請求項54に記載の方法。
【請求項61】
希釈剤がトルエンである請求項54に記載の方法。
【請求項62】
希釈剤が二種以上の化合物の混合物である請求項54に記載の方法。
【請求項63】
希釈剤が塩化メチルとヘキサンの混合物である請求項54に記載の方法。
【請求項64】
混合物が、容量で約10/90乃至約90/10のヘキサン/塩化メチルである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
イオン化ポリオレフィンをイニファから誘導する請求項1に記載の方法。
【請求項66】
イニファがビイニファである請求項65に記載の方法。
【請求項67】
イニファがトリイニファである請求項65に記載の方法。
【請求項68】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも20モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項69】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも40モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項70】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも60モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項71】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも70モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項72】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも80モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項73】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも85モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項74】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも90モルパーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項75】
生成したビニリデン末端ポリオレフィンが、全生成物のうちの少なくとも94モルパーセントである請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−515563(P2011−515563A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501918(P2011−501918)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/037513
【国際公開番号】WO2009/120551
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(598037547)シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー (135)
【Fターム(参考)】