説明

モノ不飽和脂肪酸またはエステルを出発物質とするオメガアミノ酸またはエステルの合成方法

本発明は、天然の不飽和脂肪酸を出発物質として用いω−不飽和ニトリル中間体化合物を経てω−アミノアルカン酸またはこのエステルを合成する方法に関する。本発明の対象物である方法は、既知の方法と比較して、実行が簡単であるとともに、環境的制約および反応の副生成物による経済的不利を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の不飽和脂肪酸からω−不飽和ニトリル型の中間体化合物を経てω−アミノアルカン酸またはこのエステルを合成する方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド産業には、あらゆる種類の長鎖ω−アミノ酸からなる単量体が用いられているが、通常ナイロンとして知られているものは、2つのアミド官能基−CO−NH−の間にあるメチレン鎖(−CH−)の長さによって区別されている。即ち、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン13などのことであり、これらは既知である。
【0003】
こうした単量体は、例えば、化学合成経路で、詳細には、出発物質として、C−Cオレフィン、シクロアルカン、またはベンゼンの他に、ヒマシ油(ナイロン11)、エルカ油またはレスケロール油(ナイロン13)なども用いて、製造される。
【0004】
環境に関する最近の動向から、再生可能な原料を起源とする天然の出発物質の使用がエネルギーおよび化学の分野で好まれるようになってきている。このような理由があって、こうした単量体を製造するのに脂肪酸/エステルを出発物質として用いる方法を産業的に開発する研究が幾つか行われてきた。
【0005】
この種のアプローチの産業的な例は少ししかない。出発物質として脂肪酸を用いる産業方法の数少ない例の1つは、ヒマシ油から抽出したリシノール酸を用いた、11−アミノウンデカン酸の製造であり、11−アミノウンデカン酸がRilsan 11(登録商標)の合成の基礎を形成している。この方法は、論文「Les Procedes de Petrochimie[Petrochemical Processes]」(A.Chauvelら,Editions Technip(1986)に掲載)に記載されている。11−アミノウンデカン酸は複数の段階で得られる。第一段階は、塩基性媒体中のヒマシ油のメタノリシスによるリシノール酸メチルの生成からなり、次いでリシノール酸メチルを熱分解に供することで、一方ではヘプタンアルデヒドを、他方ではウンデシレン酸メチルを得る。後者を加水分解により酸型に変換する。次いで、生じた酸を臭化水素化反応にかけてω−臭素化酸とし、これをアミノ化により変換して11−アミノウンデカン酸とする。
【0006】
研究は主に、ナイロン9の前駆体である9−アミノノナン酸を天然由来のオレイン酸から合成することに関するものであった。
【0007】
この特定の単量体に関しては、ナイロン9を主題とする論文「n−Nylons,Their Synthesis,Structure and Properties」(1997,published by J.Wiley and Sons,2.9章(381−389頁))を挙げることができる。この論文は、ナイロン9に関して行った調製および研究を要約している。論文中、381頁に、以前のソビエト連邦で開発された、pelargon(登録商標)の商品化をもたらした方法が言及されている。論文中、384頁には、日本で開発された、大豆油由来のオレイン酸を出発物質として用いる方法も言及されている。関連する記載は、A.Ravveによるポリアミドを主題とする論文「Organic Chemistry of Macromolecules」(1967,Marcel Dekker,Inc.,part 15)を参照しているが、この論文は、279頁で、このような方法の存在を記載している。
【0008】
ナイロン9についての当分野の状況を十分に説明する目的で、E.H.Pryde et al.が1962年から1975年の間にJournal of the American Oil Chemists’Societyで報告した多数の論文を挙げる必要があるだろう:「Aldehydic Materials by the Ozonization of Vegetable Oils」,Vol.39,496−500頁;「Pilot Run,Plant Design and Cost Analysis for Reductive Ozonolysis of Methyl Soyate」,Vol.49,643−648頁,およびR.B.Perkinsら,「Nylon−9 from Unsaturated Fatty Derivatives: Preparation and Characterization」,JAOCS,Vol.52,473−477頁。これらの論文の最初のものは、498頁で、日本人研究者のH.OtsukiおよびH.Funahashiにより先だって行われた研究も参照としていることに留意されたい。
【0009】
植物油からの「ナイロン9」のこの種の合成に関する当分野の状況のこの部分を要約すると、メタノリシスにより植物油から抽出したオレイン酸エステルに当てはめて、以下の単純化された反応機構で表すことができる:
還元的オゾン分解
C−(CH−CH=CH−(CH−COOCH+(O、H)→
HOC−(CH−COOCH+HC−(CH−COH
還元的アミノ化
HOC−(CH−COOCH+(NH、H)→
N−(CH−COOCH+H
加水分解
N−(CH−COOCH+HO→
N−(CH−COOH+CHOH
しかしながら、この経路は、反応の観点からは非常に魅力的であるものの、第一段階中に、事実上価値が回収不能な、特にポリアミド関連のポリマー産業で価値が回収不能な長鎖アルデヒド(合計で9個の炭素原子)が生成するという経済的に重大な欠点を示す。
【0010】
UK patent No.741,739は、一方、オレイン酸からの、ただしオレオニトリル経路を用いた、同一の酸の合成を記載する。この方法を単純化した反応スキームは以下のとおりである。類似の経路が、上記のR.B.Perkinsらによる論文の475頁に記載されている。
【0011】
C−(CH−CH=CH−(CH−COOH+NH
C−(CH−CH=CH−(CH−CN+2H
C−(CH−CH=CH−(CH−CN+(O+HO)→
C−(CH−COOH+CN−(CH−COOH
CN−(CH−COOH+2H→HN−(CH−COOH
この合成は、副生成物としてペラルゴン酸HC−(CH−COOHをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】英国特許第741,739号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Les Procedes de Petrochimie[Petrochemical Processes],A.Chauvelら,Editions Technip(1986)
【非特許文献2】n−Nylons,Their Synthesis,Structure and Properties,1997,published by J.Wiley and Sons,2.9章(381−389頁)
【非特許文献3】Organic Chemistry of Macromolecules,1967,Marcel Dekker,Inc.,part 15
【非特許文献4】「Aldehydic Materials by the Ozonization of Vegetable Oils」,E.H.Prydeら,Journal of the American Oil Chemists’Society,Vol.39,496−500頁
【非特許文献5】「Pilot Run,Plant Design and Cost Analysis for Reductive Ozonolysis of Methyl Soyate」,E.H.Prydeら,Journal of the American Oil Chemists’Society,Vol.49,643−648頁
【非特許文献6】R.B.Perkinsら,「Nylon−9 from Unsaturated Fatty Derivatives: Preparation and Characterization」,JAOCS,Vol.52,473−477頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、天然の不飽和脂肪酸からあらゆる種類のω−アミノアルカン酸またはこのエステルを合成する新規な方法を提供することを目的とする。
【0015】
従って、本発明の課題は、再生可能な出発物質(広くどこでも入手可能であり、従って安価である。)を用いて式HN−(CH−COOH(式中nは3から14である。)の様々なω−アミノ酸(およびこのポリマー)を合成する方法を見つけることであって、これは実行が簡単でありながら、一方では上記の環境的制約を回避し、他方では反応の副生成物による経済的不利を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
提供する解決策は、天然の長鎖不飽和脂肪酸からなる出発物質を用いて、第一段階でそうした不飽和脂肪酸をω−不飽和ニトリルに変換し、次いで第二段階で、酸化的開裂によるか、アクリラート型化合物とのクロスメタセシス反応によるかのいずれかで、ω−不飽和ニトリルの末端二重結合での作用によりカルボン酸官能基をこの化合物に「再導入する」ことにある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「天然の脂肪酸」という用語は、植物環境または動物環境(藻類を含む。)に由来する、より一般的には植物界に由来する酸であり、従って再生可能であるものを意味するものと理解される。この酸は、少なくとも1つのオレフィン不飽和結合を含むことができ、酸基に対してx位(デルタx)であるオレフィン不飽和結合の位置および1分子当りに含まれる炭素原子の数(少なくとも10個、好ましくは14個)が最終的なω−アミノ酸の式を決定づけることが可能となる。
【0018】
このような酸の例として、C10の酸であるトウハク(cis−4−デセン)酸およびカプロレイン(cis−9−デセン)酸、C12の酸であるラウロレイン(cis−5−ドデセン)酸およびリンデル(cis−4−ドデセン)酸、C14の酸であるミリストレイン(cis−9−テトラデセン)酸、フィセテリン(cis−5−テトラデセン)酸、およびツズ(cis−4−テトラデセン)酸、C16の酸であるパルミトレイン(cis−9−へキサデセン)酸、C18の酸であるオレイン(cis−9−オクタデセン)酸、エライジン(trans−9−オクタデセン)酸、ペトロセリン(cis−6−オクタデセン)酸、バクセン(cis−11−オクタデセン)酸、およびリシノール(12−ヒドロキシ−cis−9−オクタデセン)酸、C20の酸であるガドレイン(cis−9−エイコセン)酸、ゴンドイン(cis−11−エイコセン)酸、cis−5−エイコセン酸、およびレスケロール(14−ヒドロキシ−cis−11−エイコセン)酸、ならびにC22の酸であるセトレイン(cis−11−ドコセン)酸およびエルシン(eruric)(cis−13−ドコセン)酸が挙げられる。
【0019】
これらの様々な酸は、様々な油性植物(ヒマワリ、アブラナ、トウゴマ、ブラダーポッド(bladderpod)、オリーブ、ダイズ、パームヤシ、アボカド、シーバックソーン(sea buckthorn)、コリアンダー、セロリ、ディル、ニンジン、ウイキョウ、およびリムナンテス・アルバ(Limnanthes alba)(メドウフォーム(meadowfoam))など)から抽出された植物油から得られるものである。
【0020】
これらの様々な酸には、陸上または海洋動物界から得られるものもあり、海洋動物界の場合、一方は魚類または哺乳類の形の両方、他方は藻類の形である。酸は一般に、反芻類由来、魚(タラなど)由来、または海洋哺乳類(クジラやイルカなど)由来の脂肪である。
【0021】
本発明は、式R−CH=CH−(CH−COOR(式中、RはHまたは炭素原子を4から11個および適切ならばヒドロキシル官能基を含む炭化水素ラジカルであり、RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルであり、pは2から11の整数の指数である。)のモノ不飽和脂肪酸(エステル)を出発物質として用いて、式ROOC−(CH−CHNH(式中、RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルであり、qは2から13の整数の指数である。)のω−アミノ酸(エステル)を合成する方法を目的とし、この方法は、カルボニル官能基をニトリル官能基に変換するアンモニア化反応段階を含み、以下を特徴とする:
第一段階において、不飽和脂肪酸/エステルを、連続した(任意の順序の)エテノリシスおよびアンモニア化の2段階で式CH=CH−(CH−CNのω−不飽和ニトリルに変換することと、次いで
第二段階において、このω−不飽和ニトリルを、ω−不飽和ニトリルの酸化的開裂によるか、ω−不飽和ニトリルと式CH=CH−COORのアクリラートのクロスメタセシス反応によるかのいずれかで、式ROOC−[CH=CH]−(CH−CN(式中、RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルであり、xは0または1である。)の酸/エステルニトリルに変換することと、および
第三段階において、酸/エステルニトリルを水素化して式ROOC−(CH−CHNHのω−アミノ酸(エステル)とすること。従って、反応方法は以下のとおりである。
【0022】
第一段階:
−CH=CH−(CH−COOH+CH=CH
CH=CH−(CH−COOH+CH=CH−R
CH=CH−(CH−COOH+NH
CH=CH−(CH−CN+2H
または、反応の順序を逆にして、
−CH=CH−(CH−COOH+NH
−CH=CH−(CH−CN+2H
−CH=CH−(CH−CN+CH=CH
CH=CH−(CH−CN+CH=CH−R
第二段階:
−第一の代替形
CH=CH−(CH−CN+(酸化的開裂)→
HOOC−(CH−CN+HCHO/HCOOH
−第二の代替形
CH=CH−(CH−CN+CH=CH−COOR
OOC−CH=CH−(CH−CN+CH=CH
第三段階:
第一の代替形:HOOC−(CH−CN+2H
HOOC−(CH−CHNH
第二の代替形:ROOC−CH=CH−(CH−CN+3H
OOC−(CH−CHNH
この実施形態の方法において、qは、pまたはp+2に等しい。
【0023】
オレイン酸に当てはめると、方法は以下のとおりになる:
第一段階:
CH−(CH−CH=CH−(CH−COOH+CH=CH
CH=CH−(CH−COOH+CH=CH−(CH−CH
CH=CH−(CH−COOH+NH
CH=CH−(CH−CN+2H
または、反応の順序を逆にして、
CH−(CH−CH=CH−(CH−COOH+NH
CH−(CH−CH=CH−(CH−CN+2H
CH−(CH−CH=CH−(CH−CN+CH=CH
CH=CH−(CH−CN+CH=CH−(CH−CH
第二段階:
−第一の代替形:
CH=CH−(CH−CN+(酸化的開裂)→
HOOC−(CH−CN+HCHO/HCOOH
−第二の代替形:
CH=CH−(CH−CN+CH=CH−COOH⇔
HOOC−CH=CH−(CH−CN+CH=CH
第三段階:
第一の代替形:HOOC−(CH−CN+2H
HOOC−(CH−CHNH
第二の代替形:HOOC−CH=CH−(CH−CN+3H
HOOC−(CH−CHNH
生じた、唯一の「副生成物」は、長鎖α−オレフィンであって、適切ならばヒドロキシル官能基を含み、それはホルムアルデヒド/ギ酸である。
【0024】
本発明の方法を簡略化した代替実施形態では、第一段階中に、出発物質として、酸/エステルをアンモニア化して、式R−CH=CH−(CH−CNの脂肪酸/エステルのニトリルを合成し、このニトリルをアクリラートROOC−CH=CHとクロスメタセシスさせて、式ROOC−CH=CH−(CH−CNの酸ニトリルを得、次いで得られた酸ニトリルを水素化してROOC−(CHp+2−CHNHとすることにより、段階を省略することができる。
【0025】
方法にヒドロキシル化脂肪酸(例えば、リシノール酸およびレスケロール酸、これらは、一般式R−CH=CH−(CH−COOH中、RがCH−(CHCHOH−CH−であり、pがそれぞれ7および9であるものに相当する。)を出発物質として用いる別の代替形では、メチルエステル形の酸を熱分解して式CH=CH−(CHp+1−COOCHのω−不飽和エステルとし、このエステルを直接、または酸を経由して、変換して、上記の方法の第一段階が完了して得られる中間体化合物と同質のω−不飽和ニトリルにする。この代替形は、従って、これらの特定の脂肪酸に対して、最初のエテノリシスを熱分解に置き換えることに存する。
【0026】
この方法のその後の段階は、上記の方法のものと類似である。従って、その後の段階により、式ROOC−(CH−CHNH(式中、qは第二段階中に選択された経路によってp+1に等しいかp+3に等しい。)の化合物が得られる。
【0027】
従って、本発明の好適な実施形態では:
−第一段階中に、酸(エステル)のエテノリシスを、まず最初に行い、続いてω−アルケン酸のアンモニア化を行う;
−第一段階中に、酸(エステル)のアンモニア化を、まず最初に行い、続いて出発脂肪酸のニトリルのエテノリシスを行う;
−第一段階中に、ヒドロキシル化脂肪酸(エステル)の熱分解を、まず最初に行い、続いて熱分解により生じたω−アルケン酸(エステル)のアンモニア化を行う;
−第一段階中に、エテノリシス反応を行うことなく酸(エステル)のアンモニア化を行う;
−第二段階中に、式CH=CH−(CH−CNのω−不飽和ニトリルを酸化的開裂に供する;
−第二段階中に、第一段階の生成物をアクリラート型化合物とのクロスメタセシス反応に供する;および/または;
−第二段階で得られる化合物を水素化反応に供する。
【0028】
メタセシス反応は、この産業的応用が比較的限られているものの、昔から既知である。脂肪酸(エステル)の変換におけるこれらの利用に関して、J.C.Molによる論文、「Catalytic Metathesis of Unsaturated Fatty Acid Esters and Oil」(Tropics in Catalysis,Vol.27,Nos.1−4,February 2004(Plenum Publishing)に掲載)を参照することができる。
【0029】
メタセシス反応の触媒利用も非常に多くの研究で研究対象となっており、洗練された触媒系が開発されてきた。例えば、Schrockらが開発したタングステン錯体(J.Am.Chem.Soc.,108(1986),2771)またはBassetらが開発したタングステン錯体(Angew.Chem.,Ed.Engl.,31(1992),628)を挙げることができる。さらに最近では、ルテニウム−ベンジリデン錯体である「Grubbs」触媒が登場してきた(Grubbsら,Angew.Chem.,Ed.Engl.,34(1995),2039,およびOrganic Lett.,1(1999),953)。これらは均一触媒反応に関するものである。不均一触媒も開発されてきており、これらはアルミナまたはシリカに沈着させた金属(レニウム、モリブデン、およびタングステンなど)を主体とする。
【0030】
最後に、固定化触媒、即ち、活性成分は均一触媒のもの、詳細にはルテニウム−カルベン錯体であるが、これが不活性支持体に固定されている触媒の調製について研究が行われてきている。こうした研究の目的は、副反応(一緒に用いられる反応体間の「ホモメタセシス」など)に対してクロスメタセシス反応の選択性を高めることである。研究は、触媒の構造にとどまらず、反応媒体および導入され得る添加剤の影響にも及ぶ。
【0031】
本発明の方法には任意の活性および選択的メタセシス触媒を用いることが可能である。しかしながら、好ましくはルテニウム系触媒が用いられる。
【0032】
第一相の各段階のうちの1つの間に、従来のメタセシス触媒、例えば、ルテニウム型触媒の存在下、20から100℃の温度で、1から30barsの圧力下、エチレンとのクロスメタセシス反応が行われる。反応時間は、用いる反応体に依存して、反応平衡に出来るだけ近づくように選択される。反応は、エチレン圧下で行われる。
【0033】
アクリラート型の化合物とのクロスメタセシス反応は、十分に既知である条件下で行われる。反応温度は、ルテニウム系触媒の存在下、エチレンの放出を容易にするために、一般に大気圧下で、20から100℃である。
【0034】
ルテニウム触媒は、好ましくは以下の一般式を有する荷電または非荷電触媒から選択される:
(X1)(X2)Ru(カルベンC)(L1)(L2)
式中:
・a、b、c、およびdは、整数であるが、ただしaおよびbは0、1、または2に等しく、cおよびdは0、1、2、3、または4に等しく;
・X1およびX2は、同一であるか異なっていて、それぞれ、荷電または非荷電の、モノまたはマルチキレート配位子を表す;例として、ハライド、スルファート、カーボナート、カルボキシラート、アルコキシド、フェノラート、アミド、トシラート、ヘキサフルオロホスファート、テトラフルオロボラート、ビストリフリルアミド、テトラフェニルボラート、およびこれらの誘導体が挙げられる。X1またはX2は、Y1またはY2に、または(カルベンC)に結合して、ルテニウムに対する二座配位子(またはキレート)を形成することができ;ならびに
・L1およびL2は、同一であるか異なっていて、電子供与配位子(ホスフィン、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、アルシン、スチルベン、オレフィンまたは芳香族、カルボニル化合物、エーテル、アルコール、アミン、ピリジンまたは誘導体、イミン、チオエーテル、または複素環カルベンなど)であり、L1またはL2は、「カルベンC」に結合して、二座配位子またはキレートを形成することができる。
【0035】
「カルベンC」は、一般式:C_(R1)_(R2)で表すことができ、式中、R1およびR2は、同一であるか異なっていて、水素または任意のその他の飽和または不飽和の、環式、分岐鎖、または直鎖の、または芳香族の、炭化水素基などである。例として、ルテニウムのアルキリデンまたはクムレン錯体(ビニリデンRu=C=CHRまたはアレニリデンRu=C=C=CR1R2またはインデニリデンなど)が挙げられる。
【0036】
イオン性液体中でのルテニウム錯体の保持を改善できる官能基を、配位子X1、X2、L1、およびL2の少なくとも1つに、またはカルベンCにグラフト結合させることができる。この官能基は、荷電または非荷電であり得、好ましくは、例えば、エステル、エーテル、チオール、酸、アルコール、アミン、含窒素複素環、スルホナート、カルボキシラート、第四級アンモニウム、グアニジニウム、第四級ホスホニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、モルホリニウム、またはスルホニウムなどが可能である。
【0037】
酸を出発物質とするニトリルの合成の反応スキームは、当業者には周知であるが、以下のように要約することができる:
R−COOH+NH→[R−COONH]→[R−CONH]+HO→RCN+H
このスキームは、ω−不飽和脂肪酸に適用できるように、天然の脂肪酸(エステル)にも同じく適用できる。
【0038】
方法は、液相または気相中でバッチ式に行うこともできるし、気相中で連続して行うこともできる。反応は、触媒(これは一般に金属酸化物でありさらに酸化亜鉛であることが多い。)の存在下、250℃超の高温で行われる。水の連続除去は、未反応のアンモニアをさらに同伴するものの、反応の迅速な完了が可能になる。
【0039】
方法の代替形で用いられる熱分解反応は、関係するヒドロキシル化脂肪酸のエステル形(一般にはメチルエステル)で行われる。反応は、過熱蒸気の存在下、400から750℃、好ましくは500から600℃の高温で行われる。
【0040】
熱分解反応をリシノール酸メチルに適用すると以下の方法になる。
CH−(CHCHOH−CH−CH=CH−(CH−COOCH+Δ→
CH−(CHCHO+CH=CH−(CH−COOCH
続いてアンモニア化を行う:
CH=CH−(CH−COOCH+NH
CH=CH−(CH−CN+2H
【0041】
脂肪酸ニトリルから脂肪ω−アミノ酸(エステル)を合成する段階は、従来の水素化からなる。触媒は多数存在するが、好ましくはラネーニッケルおよびラネーコバルトが用いられる。第一級アミンの形成を促進する目的で、水素化はアンモニア分圧を用いて行われる。最終的に、ニトリル官能基を還元して第一級アミンとすることは当業者には周知である。
【0042】
二重結合の酸化的開裂反応は、二重結合の2個の炭素での酸官能基の形成をもたらすが、これ自身も既知である。この反応は様々な強酸化剤を用いて行うことができる。
【0043】
例えば、反応は、「Organic Chemistry」(L.G.Wade Jr.,5th Edition,Chapter 8,Reactions of Alkenes)に記載されるとおりに、強酸化剤(KMnOなど)を濃縮して用い、加熱しながら行うことができる。
【0044】
酸化的開裂は、特許USP2,871,247のカラム2およびカラム3に記載されるものなど、硫酸/クロム酸混合物が関係する経路により達成することができる。
【0045】
さらに、G.S.Zhangらによる論文(Chinese Chemical Letters,Vol.5,No.2,105−108頁,1994)は、オレイン酸の対応するジオールを出発物質として酸化的開裂を行うことが可能であることを示している(表のエントリー29を参照)。この酸化的開裂は、酸化剤としてクロロクロム酸アンモニウムを用いて行われる。一方、ジオールは、オレイン酸のエポキシ化と続くエポキシ架橋の加水分解により得られる。
【0046】
F.Drawertらによる論文(Chem.Mikrobiol.Technol.Lebensm.,1,158−159(1972))は、ヒマワリ油の放射線照射による代替経路を記載している。
【0047】
酸化的開裂は、特許GB43,491号に記載されるように、過酸化水素水を用いて行うことができる。Hの使用は、特許WO07039481号(Novamont)にも記載されている。
【0048】
論文(Angew.Chem.Int.Ed.,2000,39,2206−2224頁)も挙げることができるが、この論文は、ひとつには過酸とルテニウム系触媒を組み合わせて用いた、もうひとつにはMo、W、またはReを主体とする触媒とともにHを用いた、二重結合の酸化的開裂を記載する。
【0049】
酸化剤としてのオゾンの使用に関して多数の研究が行われてきている。そのうえさらに上記のAngew.Chem.の論文中、オレイン酸の酸化的開裂によるペラルゴン酸およびアゼライン酸の形成は、オゾン分解の最も重要な産業的応用であると記載されている。
【0050】
特許USP2,813,113は、詳細には脂肪酸(オレイン酸など)の酸化的オゾン分解方法を記載しているが、この方法は、第一段階において、酸を酸素とオゾンの組合せで処理してオゾニドを形成し、次いで、第二段階において、オゾニドを酸素で酸化することに存する。
【0051】
この種の反応では、酸化方法をケトンまたはアルデヒドの段階で遮断する化合物は用いられず、還元的オゾン分解として知られる反応においては、これが近年重要な研究対象となってきている。
【0052】
本発明の方法において、脂肪酸はこの酸形またはエステル形のいずれかで処理することができる。メタノリシス、エステル化、または加水分解による一方の形から他方へのまったく普通の変化は、本方法の意義において化学変換を構成しない。
【0053】
以下に示す機構は全て、説明を容易にする目的で、酸の合成を示す。しかしながら、メタセシスは、エステルでも有効であり、さらにより有効なことに、通常、媒体は無水である。同様に、スキームでは酸(またはエステル)のcis異性体での反応を示すが、機構はtrans異性体にも同様に適用することができる。
【0054】
この反応の反応機構を以下のスキーム1に示す。
【0055】
【化1】

(上記スキームにおいて、オゾン分解経路によればq=pであり、クロスメタセシス経路によればq=p+2である。)
【0056】
ヒドロキシル化不飽和脂肪酸に適用した本発明の方法の代替実施形態を以下のスキーム2に示す。
【0057】
【化2】

【0058】
本発明はさらに、一般式、NHCH−(CH−COOR(RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルである。)の再生可能原料起源のアミノ酸またはアミノエステルに関する。
【0059】
「再生可能原料起源のアミノ酸またはアミノエステル」という用語は、再生可能原料起源の炭素を含むアミノ酸またはアミノエステルを意味するものと理解される。
【0060】
本発明の方法を用いることにより、あらゆる種類のω−アミノ酸を合成することが可能になる。
【0061】
4−アミノテトラン酸は、トウハク酸、リンデル酸、およびツヅ酸から得られる。
【0062】
5−アミノペンタン酸は、ラウロレイン酸、フィセテリン酸、およびcis−5−エイコセン酸から得られる。
【0063】
6−アミノヘキサン酸は、トウハク酸、リンデル酸、ツヅ酸、およびペトロセレン酸から得られる。
【0064】
7−アミノヘプタン酸は、ラウロレイン酸、フィセテリン酸、およびcis−5−エイコセン酸から得られる。
【0065】
8−アミノオクタン酸は、ペトロセレン酸から得られる。
【0066】
9−アミノノナン酸は、カプロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、およびガドレイン酸から得られる。
【0067】
10−アミノデシレン酸は、リシノール酸から得られる。
【0068】
11−アミノウンデシレン酸は、カプロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、ガドレイン酸、バクセン酸、ゴンド酸、レスケロール酸、およびセトレイン酸から得られる。
【0069】
12−アミノドデシレン酸は、リシノール酸およびレスケロール酸から得られる。
【0070】
13−アミノトリデシレン酸は、バクセン酸、ゴンド酸、セトレイン酸、レスケロール酸、およびエルシン酸から得られる。
【0071】
14−アミノテトラデシレン酸は、レスケロール酸から得られる。
【0072】
15−アミノペンタデシレン酸は、エルシン酸から得られる。
【0073】
本発明を、以下の実施例により例示する。
【0074】
(実施例1)
この実施例は、本発明の対象物である方法による、オレイン酸メチルのエテノリシスという第一段階を示す。この反応には、錯体触媒[RuCl(=CHPh)(IMesH)(PCy)]が使用される。触媒の式(A)を以下に示す。反応は、CHCl中、大気圧下55℃で、オレイン酸メチルに対して濃度5mol%の触媒の存在下、オレイン酸メチル濃度0.05Mおよびエチレン濃度0.2Mで6時間行う。収率はクロマトグラフィー分析で求める。9−デセン酸メチルCH=CH−(CH−COOCHと1−デセンの収率は、55モル%と測定される。
【0075】
式(A)の触媒
【0076】
【化3】

【0077】
(実施例2)
この実施例は、第一段階のエステルを加水分解して得られる9−デセン酸を、アンモニア化により、式CN−(CH−CH=CHのニトリルに変換するという第二段階を示す。
【0078】
9−デセン酸(3.5g)のアンモニア化反応による式CN−(CH−CH=CHのω−不飽和ニトリルの形成は、大気圧下(気相中)300℃で、酸化亜鉛触媒の存在下、酸に対してモル過剰にアンモニアを導入して、バッチ式に行われる。反応器には100℃で冷却管を取り付ける。アンモニアの連続導入も6時間行う。生じた水の連続除去は、過剰なアンモニアを同伴し、反応の迅速な完了を可能にする。ニトリル2.6gが回収され、減圧蒸留により分離される。
【0079】
(実施例3)
この実施例は、実施例2の段階で得られたω−不飽和ニトリルのオゾン分解による酸化的開裂からの式CN−(CH−COOHの酸ニトリルの形成を示す。
【0080】
Welsbach T−408オゾン発生器で発生させたオゾンをペンタン25mlに色が青くなるまで吹き込む。ペンタン溶液をアセトン/ドライアイス浴で−70℃に保つ。実施例2に従って得られたニトリルのメチルエステル20mgを、0℃に冷やしたペンタン5mlに溶解して、オゾン溶液に加える。次いで、過剰なオゾンを除去すると、溶液の青色は消失する。5分後、乾燥窒素流でペンタンをエバポレートする。この段階の間、溶液温度は0℃未満に保つ。ペンタンのエバポレート後、−70℃に冷やしたメタノール3mlを反応器に加える。このときオゾニドが溶解するように溶液を再加熱する。オゾニドから酸ニトリルへの変換を生じさせる目的で、温度を最初に約60℃に上げる。オゾニドの分解反応が始まると、これに伴って温度が上昇する。温度を維持する目的で、およびオゾニドの分解で生じる生成物を直接酸化する目的で、酸素流を連続して加える。分解生成物の形成を制限する目的で、この手順は4時間にわたり行う。この段階の間、反応温度を、オゾニドの分解温度より少し上に維持することが重要である。この実施例では、95℃という温度を用いる。
【0081】
式CN−(CH−COOHの酸ニトリル6mgが得られる。
【0082】
(実施例3a)
この実施例は、ω−不飽和ニトリルの酸化的開裂の代替形を示す。
【0083】
実施例2に従って合成した不飽和ニトリル50gを、塩化エチル中−40℃で、3.7%オゾン含有酸素を用いてオゾン化する。次いで、溶媒を留去し、オゾニドを水100gとともに30分間還流して処理する。次いで、混合物を冷却し、過剰の炭酸ナトリウムを加え、混合物を40℃で10分間撹拌する。不溶性画分を分離除去する。溶解性画分を10%塩酸で酸性にし、酸を分離して硫酸マグネシウムで脱水する。アルデヒドの混合物を、酸化鉄の存在下120から140℃で1時間、酸素分子で酸化する。酸を炭酸ナトリウム溶液で抽出し、塩酸溶液で遊離形にし、分離して、無水硫酸マグネシウムで脱水する。酸のバッチ2つを1つにまとめて196℃(5mmHg)で減圧蒸留する。
【0084】
酸ニトリル15gをエタノール160gとアンモニア水15gに溶解する。オートクレーブにラネーニッケル触媒3gを入れ、110barの水素圧下撹拌しながら、ここに溶液を入れる。温度を100℃に上げ、圧力を139barまで上げる。この状態を4時間維持する。オートクレーブを冷却し、内容物をろ過して触媒を回収する。次いで水50gを加え、アルコールを留去する。得られる溶液を希塩酸で滴定し、アミノノナン酸をろ別し、洗い、アセトン還流下で処理し、乾燥させる。
【0085】
(実施例4)
この実施例は、以下の反応による、実施例2の段階で得られる式CN−(CH−CH=CHのニトリルと、アクリル酸メチルとのクロスメタセシス反応を示す:
CH=CH−(CH−CN+CH=CH−COOCH
CHOOC−CH=CH−(CH−CN+CH=CH
9−シアノウンデセン83mg(0.5mmol)、アクリル酸メチル86mg(1mmol)、およびナトリウム/ベンゾフェノンを加えて蒸留したトルエン10mlを、50mlシュレンク管に入れる。Hoveyda−Grubbs触媒、第二世代、[(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン]ルテニウム(Aldrich(登録商標)から販売)1.5mg(2.4×10−3mmol)を加える。窒素下、磁器撹拌しながら、100℃に加熱し、1時間反応を行う。反応液をガスクロマトグラフィー(ドデカン基準)で分析する。変換率は70%である。メチルエステルニトリル(cis+trans混合物)選択性は100%である。
【0086】
(実施例5)
この実施例は、第一相の2つの段階の順序を逆にした代替形(不飽和脂肪酸のアンモニア化、続いて不飽和ニトリルのエテノリシス)を示す。
【0087】
オレイン酸のアンモニア化は、大気圧下(気相中)300℃で、酸化亜鉛触媒の存在下、酸に対してモル過剰にアンモニアを導入して、バッチ式に行う。生じた水の連続除去は、過剰なアンモニアを同伴し、反応の迅速な完了を可能にする。
【0088】
オレイン酸ニトリルのエテノリシスは、大気圧下60℃で、ルテニウム系触媒[RuCl(=CHPh)(IMesH)(PCy)]の存在下、過剰のエチレンを用いて行い、9−デセン酸CH=CH−(CH−COOHを得る。クロマトグラフィー分析により収率を求める。6時間で反応が完了したら、減圧蒸留によりC10α−オレフィンを分離して、9−デセンニトリルCH=CH−(CH−CNを得る。クロマトグラフィー分析により収率を求める。収率55%が測定される。
【0089】
(実施例6)
ヒドロキシル化脂肪酸の熱分解
ナトリウムメトキシドの存在下、過剰のメタノールを用いて、リシノール酸のトリグリセリドのエステル交換反応を行う。
【0090】
次いで、エステルを225℃で気化し、続いて過熱蒸気(620℃)と混合する。反応は短く、約10秒である。次いで、最初にまず媒体を冷却することで水抽出ができるようにし、次いで一連の蒸留によりエステルと反応副生成物の分離を可能にすることで、ウンデセン酸メチルを精製する。
【0091】
(実施例7)
水素化
ラネーニッケルからなる触媒の存在下、二重結合の水素化およびニトリル官能基の水素化を行う。
【0092】
実施例3に従って得られた式CN−(CH−COOHの酸ニトリル1gをメタノールでエステル化する。酸ニトリル1g、メタノール1.2g、ベンゼン1.2g、および濃硫酸数滴を反応器に入れる。水/アルコール/ベンゼン共沸物をカラム頂部から除去する。反応の進行を保つ目的で、硫酸を加え続ける。次いで、ベンゼンおよびアルコールをフラッシュ蒸留してエステルニトリルを回収する:1.02g。
【0093】
合成したエステルニトリルを15mlオートクレーブに入れ撹拌し、これに96%エタノール2.5g、アンモニア水2.5g、および3重量%コバルト含有ラネーニッケル触媒0.125gを加える。150barの水素下(圧力合計210bar)、混合物を90℃で4時間加熱する。メチルエステルを水銀0.5mmの減圧下で蒸留する。透明な蒸留物0.97gを回収する。蒸留物は90%がアミノエステルである。
【0094】
(実施例8)
アミノ酸を重合することを意図するものである。このため、アミノエステルを加水分解する。得られる9−アミノノナン酸メチルを滴下ロートに入れ、2リットル三口丸底フラスコに滴下する。このフラスコには長い蒸留カラムが乗せてあり、水1リットルが入っていて還流させてある。生じたメタノールが留去されるように還流を調節し、これにより反応をモニターすることが可能となる;メチルエステルの加水分解は4から5時間続く。反応が完了したら、熱い状態でろ過し、水をエバポレートする。得られた生成物はデシケーター中でなかなか乾燥されないが、湿った生成物をアセトンで洗った上でデシケーター中で乾燥させて、無色の粗アミノ酸20gを得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル官能基をニトリル官能基に変換するアンモニア化反応段階を含み、以下:
第一段階において、不飽和脂肪酸/エステルを、連続した(任意の順序の)エテノリシスおよびアンモニア化の2段階で式CH=CH−(CH−CNのω−不飽和ニトリルに変換することと、次いで
第二段階において、このω−不飽和ニトリルを、ω−不飽和ニトリルの酸化的開裂によるか、ω−不飽和ニトリルと式CH=CH−COORのアクリラートとのクロスメタセシス反応によるかのいずれかで、式ROOC−[CH=CH]−(CH−CN(式中、RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルであり、xは0または1である。)の酸/エステルニトリルに変換することと、および
第三段階において、酸/エステルニトリルを水素化して式ROOC−(CH−CHNHのω−アミノ酸(エステル)とすること、
を特徴とする、式R−CH=CH−(CH−COOR(式中、RはHまたは炭素原子を4から11個および適切ならばヒドロキシル官能基を含む炭化水素ラジカルであり、RはHまたは炭素原子を2から4個含むアルキルラジカルであり、pは2から11の整数の指数である。)のモノ不飽和脂肪酸(エステル)を出発物質として用いて、式ROOC−(CH−CHNH(式中、RはHまたは炭素原子を1から4個含むアルキルラジカルであり、qは2から13の整数の指数である。)のω−アミノ酸(エステル)を合成する方法。
【請求項2】
第一段階中に、酸(エステル)のエテノリシスを、まず最初に行い、続いてω−アルケン酸のアンモニア化を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一段階中に、酸(エステル)のアンモニア化を、まず最初に行い、続いて出発脂肪酸のニトリルのエテノリシスを行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一段階中に、ヒドロキシル化脂肪酸(エステル)の熱分解を、まず最初に行い、続いて熱分解により生じたω−アルケン酸(エステル)のアンモニア化を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一段階中に、エテノリシス反応を行うことなく酸(エステル)のアンモニア化を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第二段階中に、式CH=CH−(CH−CNのω−不飽和ニトリルを酸化的開裂に供することを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項7】
第二段階中に、第一段階の生成物をアクリラート型化合物とのクロスメタセシス反応に供することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項8】
第二段階で得られる化合物を水素化反応に供することを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−508787(P2012−508787A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543802(P2011−543802)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052196
【国際公開番号】WO2010/055273
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】