説明

モバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と、位置特定プログラム

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題、すなわちレーザ距離計を用いた計測では沿道状況の変化に追随して手軽に計測できないという問題、写真計測技術を利用した場合には計測精度が劣るという問題、を解決することであり、手軽に計測できるものであって、費用のかかる計測機器も必要とせず、しかも高い位置精度を確保できる、モバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と位置特定プログラムを提供することにある。
【解決手段】本願発明のモバイルマッピングシステムは、取得画像中の沿道対象物の特徴点を指定すると該特徴点を含む画像から2つの最適画像を自動抽出し、撮像手段位置及び撮像方向と2つの最適画像に基づいて指定された特徴点の位置を特定するものであり、2枚の最適画像の撮像方位の交差角が90°又は略90°となるような組み合わせとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、移動車で移動しながら沿道状況を撮像し、これによって取得された画像に基づいて、沿道対象物の位置を特定するモバイルマッピングシステム(モバイル・マッピング・システム)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、計測技術の進歩とともに地形情報(空間情報)の需要が高まっている。特に、道路側方の地形、いわゆる沿道状況に関する空間情報に対しての需要は急速に高まり、それに伴って沿道状況を計測する技術も進歩しつつある。
【0003】
道路沿いには、家屋や集合住宅、商用ビル、擁壁といった構造物、あるいは標識や信号、屋外広告物など種々の施設が設置されている。このような構造物や施設は目視で確認しやすいため、沿道の空間情報は、目的地までの目印を把握するため、もしくは目的地そのものを把握するためにも、極めて有用である。また沿道の空間情報を取得することは、沿道に設置される構造物や施設(例えば屋外広告物)を管理する者にとっても、その管理業務を容易とするので有益である。
【0004】
一方で、道路沿いの土地は利用価値が高いこともあって、比較的変化しやすいという一面を持つ。特に市街地では、商用ビルなどの入れ替わりが激しく、屋外広告物も頻繁に変更されている。
【0005】
これまでも、沿道施設を管理することを目的として、沿道状況の空間情報を取得することがあった。しかしながら、従来の空間情報の取得技術としてはトータルステーションを利用した現地測量が主流であったため、作業に手間と時間を要する上に相当の費用も掛る。従って、沿道状況の現地測量を頻繁に行うことは容易ではなく、沿道状況の変化に対応してその空間情報を更新することは難しかった。
【0006】
そこで昨今では、トータルステーションを利用した現地測量よりも手軽に実施できる方法として、計測機器を搭載した車両で移動しながら空間情報を取得するという計測技術が利用されるようになってきた。この計測技術は、モバイルマッピングシステム(Mobile Mapping System:MMS)と呼ばれるもので、車両に測位計(例えばGPS)と慣性計測装置(例えばIMU)を搭載し、さらにレーザ距離計を設置して、車両の移動中にこれらの計測機器で沿道の空間情報を取得するものである。
【0007】
このモバイルマッピングシステムによれば、従来に比べると極めて容易に沿道の空間情報を取得することができるので、沿道状況の変化にも容易に追随して空間情報を更新できるという効果がある反面、IMUやレーザ距離計などは非常に高価であり、費用面で考えれば容易に実施できる手法ではないという問題を抱えていた。
【0008】
特許文献1では、レーザ距離計を設けることなく、観測車で移動しながらビデオカメラの撮影によって道路の3次元形状を計測する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−081941
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のように、レーザ距離計に代えてカメラ等で取得した画像を利用する方法は、費用面で考えると確かに有用である。この方法は、同一対象物を異なる方向からカメラで撮影した2枚の写真(いわゆるステレオぺア)を用いて、従来から行われてきた写真計測技術により対象物の位置座標を特定するものである。
【0011】
しかしながら、ステレオペアの組み合わせによっては、精度よく座標を特定することができないという問題がある。具体的には、ステレオペアにおける同一対象物を撮影した2枚の撮影方向が接近している場合や、両者の角度が180°に近い場合、特定された座標は大きな誤差を生じやすい。そのため、特許文献1では、道路上の白線(両端の2本)を画像内に収めることとし、これを基準線として演算処理を行って道路の3次元形状を取得している。このように、単にカメラ等で取得した画像を利用して空間情報を取得する方法では、その位置精度が劣ることから未だ実用には至っていないのが現状である。
【0012】
本願発明の課題は、前記のような問題、すなわち、レーザ距離計を用いた場合は、沿道状況の変化に追随して手軽に計測できない、計測機器を用意するため大きな費用を要する、といった問題、一方、写真計測技術を利用した場合は、位置精度が劣るという問題、を解決することである。すなわち、手軽に計測できるものであって、費用のかかる計測機器も必要とせず、しかも高い位置精度を確保できる、モバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と位置特定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明のモバイルマッピングシステムは、路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を特定するモバイルマッピングシステムにおいて、前記移動車と、前記撮像手段と、位置計測手段と、姿勢計測手段と、撮像情報特定手段と、最適画像抽出手段と、位置特定手段と、を備え、前記撮像手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に連続して前記沿道画像を取得可能であり、前記位置計測手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に前記撮像手段の位置を計測可能であり、前記姿勢計測手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に前記撮像手段による撮像方向を計測可能であり、前記撮像情報特定手段は、前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における撮像手段位置及び撮像方向を特定するものであり、前記最適画像抽出手段は、沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定すると、該特徴点をその画像内に含む複数の前記沿道画像の中から2つの最適画像を自動抽出するものであり、前記位置特定手段は、前記撮像手段位置及び撮像方向と前記2つの最適画像に基づいて、指定された前記特徴点の位置を特定するものであり、前記2枚の最適画像は、撮像時におけるそれぞれの撮像方位の交差角が90°又は略90°となるような組み合わせとしたものである。
【0014】
本願発明のモバイルマッピングシステムは、前記2枚の最適画像のうち一方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像したものであり、前記2枚の最適画像のうち他方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像したものであり、前記基準方位は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位である前記2枚の最適画像のうち一方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像したものであり、前記2枚の最適画像のうち他方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像したものであり、前記基準方位は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位としたものとすることもできる。
【0015】
本願発明のモバイルマッピングシステムは、前記撮像手段がGPSを用いた測位によって前記撮像手段位置を計測するものであり、前記姿勢計測手段がGPSを用いて移動中の前記移動車を2点測位することによって前記撮像手段の撮像方向を計測するものとすることもできる。
【0016】
本願発明のモバイルマッピングシステムは、前記撮像手段がGPSを用いた測位によって前記撮像手段位置を計測するものであり、前記姿勢計測手段が慣性計測装置によって前記撮像手段の撮像方向を計測するものとすることもできる。
【0017】
本願発明の沿道対象物の計測方法は、路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を計測する沿道対象物の計測方法において、前記撮像手段と位置計測手段と姿勢計測手段が設置された前記移動車によって、路上を移動し、前記移動車の移動中に、前記撮像手段で連続して撮像して複数の前記沿道画像を取得し、前記位置計測手段で撮像手段位置を計測し、前記姿勢計測手段で前記撮像手段による撮像方向を計測し、前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における前記撮像手段位置及び撮像方向を特定し、前記沿道画像に収められた沿道対象物の中から所望の沿道対象物を選択するとともに、該沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定し、コンピュータを用いて、前記特徴点をその画像内に含む複数の前記沿道画像の中から2つの最適画像を自動抽出するとともに、これら2つの最適画像とその撮像手段位置及び撮像方向に基づいて演算処理することで前記特徴点の位置を特定し、前記2枚の最適画像は、撮像時におけるそれぞれの撮像方位の交差角が90°又は略90°となるような組み合わせとした方法である。
【0018】
本願発明の沿道対象物の計測方法は、前記2枚の最適画像のうち一方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像したものであり、前記2枚の最適画像のうち他方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像したものであり、前記基準方位は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位である方法とすることもできる。
【0019】
本願発明の位置特定プログラムは路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を特定する沿道対象物の位置特定プログラムにおいて、前記撮像手段及び位置計測手段及び姿勢計測手段が設置された前記移動車の移動中に、該撮像手段で連続撮像した複数の前記沿道画像と、該位置計測手段で計測した撮像手段位置と、前記姿勢計測手段で計測した前記撮像手段による撮像方向と、を読み込む基本情報読み込み機能と、前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における前記撮像手段位置及び撮像方向を特定する撮影情報特定機能と、前記沿道画像に収められた沿道対象物の中から所望の沿道対象物を選択し、該沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定する特徴点指定機能と、前記複数の沿道画像の中から前記特徴点と照合する照合部分を有する候補画像を抽出し、さらにこれら候補画像の中から2つの最適画像を抽出する最適画像抽出機能と、前記2つの最適画像と、その撮像手段位置及び撮像方向と、に基づいて前記特徴点の位置を特定する位置特定機能と、を備え、前記最適画像抽出機能は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位である基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像した第1の最適画像と、該基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像した第2の最適画像と、を抽出するものであり、前記機能をコンピュータに実行させ得るものである。
【発明の効果】
【0020】
本願発明のモバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と、位置特定プログラムには、次のような効果がある。
(1)移動車で移動しながら計測できるため、道路の通行規制を必要とせずに手軽に実施することができる。つまり頻繁に計測することが可能で、沿道状況の変更に追随した空間情報を取得することができる。
(2)レーザ距離計を必要としないので、比較的安価にモバイル・マッピング・システッムを構築することができる。
(3)ステレオセットそれぞれの撮影方位の交差角が略90°となるよう最適画像を抽出するため、写真計測技術を利用して座標を求める際、極めて精度よく位置座標を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明のモバイルマッピングシステムによって広告板を計測している状況を示した説明図。
【図2】(a)は移動車上にGPSレシーバを2箇所設置して移動車の姿勢を特定する状況を示すモデル図、(b)は移動車上に設置した1か所のGPSレシーバを移動中に2点以上計測することで移動車の姿勢を特定する状況を示すモデル図。
【図3】本願発明のモバイルマッピングシステムの構成の一部を示したモデル図。
【図4】モバイルマッピングシステムにより、移動車で移動しながら定期的に撮像する状況を説明する説明図。
【図5】移動車のそれぞれの状態で広告板の特徴点を撮像する状況を説明する説明図。
【図6】ぞれぞれの特徴点撮像方位と「正面視の特徴点撮像方向」の交差角が45°となる状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明のモバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と、位置特定プログラムの実施形態の例を図に基づいて説明する。
【0023】
(全体概要)
図1は、本願発明のモバイルマッピングシステムによって広告板Bを計測している状況を示した説明図である。広告板Bは、道路R沿いに建設されたビルに取り付けられたものである。このようにモバイルマッピングシステムは、道路R沿い(沿道)に設置された構造物や施設(以下、これらを総称して「沿道対象物」という。)に関する空間情報(例えば、3次元座標)を取得することが可能であり、ここでは沿道対象物として広告板Bを例として説明するが、広告板Bに限らず家屋や道路標識など他の沿道対象物を計測できることは言うまでもない。
【0024】
図1に示すように、本願発明のモバイルマッピングシステムは、移動車1に撮像手段2と位置計測手段3と姿勢計測手段を搭載したものであり、さらに撮像情報特定手段と最適画像抽出手段と位置特定手段(図1では図示しない)を備えている。
【0025】
移動車1は、通常の速度(例えば時速40km/h)で道路R上を移動しながら、広告板Bを計測する。具体的には次のように実施する。まず移動中に、撮像手段2で広告板Bを撮像して広告板Bを含む画像を取得し、かつ位置計測手段3で移動車1の自位置を測位するとともに、姿勢計測手段で移動車1の姿勢を計測する。撮像手段2は一定間隔で自動的に画像を取得するので、移動車1の移動中に様々な角度から撮像した広告板Bの画像が得られる。その後、広告板Bを撮像した複数の画像の中から2枚の画像を選び、従来から行われている写真計測技術を用いて広告板Bの位置を特定する。このとき、撮像時における撮像手段2の位置は位置計測手段3で測位した結果が、撮像時における撮像手段2の姿勢(撮像した方向)は姿勢計測手段で計測した結果が、それぞれ用いられる。
【0026】
写真計測技術を用いれば画像内に収められた任意の点の3次元座標を決定することができるので、例えば、広告板Bの4隅(コーナー)の3次元座標を決定することで、広告板Bの位置を特定することができる。
【0027】
以下、要素ごとに詳述する。
【0028】
(構成機器)
図2は、本願発明のモバイルマッピングシステムの構成の一部を示したモデル図である。この図に示すように、移動車1の屋上部に撮像手段2と位置計測手段3(の一部)が固定され、移動車1の内に位置計測手段3(の一部)と姿勢計測手段4と制御手段5が設置されている。なお、ここで示している機器配置は一例であって、後に説明するよう姿勢計測手段4を位置計測手段3で兼用させることもできるし、制御手段5を、移動車1外に設置することもできる。
【0029】
1.移動車
移動車1は移動が可能なものであり、ここでは自動4輪車を例に説明している。自動4輪車以外では、自動2輪車や自転車、あるいは線路上を移動する列車を挙げることができる。
【0030】
2.撮像手段
撮像手段2は、画像を取得することができるものであり、移動車1のうち沿道を撮像しやすい位置に設置される。なお撮像手段2としては、シャッターによって画像を取得するいわゆるカメラ形式のものを例示することができるが、これに限らず連続画像(ムービー)を取得するビデオ形式ものも使用することができる。ここで使用する撮像手段2は、後に説明するように広告板Bを斜め45°方向から撮像する必要があることから、画角の広い(広角に撮像できる)カメラ等を用いるのがよく、例えば魚眼レンズのカメラや全方位カメラを使用することができる。
【0031】
3.位置計測手段
位置計測手段3は移動中であっても測位できるものであり、位置計測手段3としてGPS(Global Positioning System)を例示することができる。GPSは、複数の衛星からの信号を受信することによって位置を特定するシステムであり、自身(位置計測手段3)の位置を特定するとともに、計測した時刻も取得することができる。GPSは、数学座標系や世界測地系など通常利用される座標系における3次元座標(あるいは緯度、経度、標高で表されるもの)を取得することができ、そのうえ比較的短い間隔で計測することも可能で、例えば1秒間に1回(1Hz)といった間隔で計測することができる。GPSには、単独測位法、RTK−OTF、DGPSなどの方法があるが、これらのいずれを採用してもよい。
【0032】
位置計測手段3を単独測位GPSとした場合、図2に示すように位置計測手段3はアンテナ部3aとレシーバ部3bで構成され、アンテナ部3aは衛星からの信号を受信しやすいように移動車1の屋上部に置かれ、レシーバ部3bは移動車1内に設置される。位置計測手段3は、撮像手段2の位置を把握する目的で測位するものであることから、アンテナ部5aは撮像手段2の近く固定することが望ましい。アンテナ部5aを、撮像手段2に接近して固定できない場合であっても、アンテナ部5aと撮像手段2の相対的な配置を把握しておけば、姿勢計測手段4の計測結果を用いて、アンテナ部5aの位置から撮像手段2の位置を求めることができる。
【0033】
4.姿勢計測手段
姿勢計測手段4は、撮像手段2の姿勢(さらに、これに基づいて求められる撮像方向)を計測するものである。実際には、移動車1の姿勢を計測することによって間接的に撮像手段2の姿勢を取得する。そのため、移動車1の移動方向(直進の際の前方)と撮像手段2の光軸方向、水平状態における移動車1と撮像手段2の光軸方向、の相対的な関係を把握しておく必要がある。なお、ここでいう姿勢とは3方向の回転角のことであり、移動車1の左右方向をX軸、移動方向をY軸、鉛直方向をZ軸とすると、一般的にはX軸回りの回転がピッチφ、Y軸回りの回転がロールω、Z軸回りの回転がヨーκ、として表わされる。
【0034】
移動車1の姿勢を計測するための姿勢計測手段4としては、IMU(Inertial Measurement Unit)などの慣性計測装置が好適である。あるいは、姿勢計測手段4としてGPSを利用することもできる。具体的には、図3(a)に示すように、移動車1上にGPSレシーバを2箇所設置し、この2点の座標を計測することで、移動方向を含む移動車1の姿勢を特定することができる。または図3(b)に示すように、移動車1上に設置するGPSレシーバは1箇所とし、移動中に2点以上計測すれば移動車1の姿勢を特定することができる。このように姿勢計測手段4としてGPSが利用できれば、高価なIMUを必要とせず経費の面で好適となる。
【0035】
5.制御手段
制御手段5は、撮像情報特定手段、最適画像抽出手段、位置特定手段を具備している。具体的には、CPU・RAM・記憶装置からなる処理装置と、本願発明の位置特定プログラムを格納するROMで構成されており、この位置特定プログラムを実行することで撮像情報特定手段、最適画像抽出手段、位置特定手段が機能する。
【0036】
位置特定プログラムは、撮像手段2で取得された画像を読み込む機能、位置計測手段3で得られた測位結果を読み込む機能、姿勢計測手段4で得られた計測結果を読み込む機能、撮像情報特定手段を実行する機能、最適画像抽出手段を実行する機能、位置特定手段を実行する機能、を備えており、これらの機能をコンピュータに実行させることができるものである。
【0037】
図2に示すように、位置特定手段によって特定された広告板Bの位置座標をはじめ、撮像手段2で取得された画像、位置計測手段3や姿勢計測手段4で得られた計測結果などを出力するため、外部出力装置6(例えばモニタ)を制御手段5に接続することもできる。
【0038】
以下、制御手段5が具備する、撮像情報特定手段、最適画像抽出手段、位置特定手段について詳細に説明する。
【0039】
撮像情報特定手段は、撮像時における撮像手段位置及び撮像方向を特定するものである。ここで撮像手段位置とは、撮像手段2で画像を取得した(撮像した)ときの位置であり、前記したように位置計測手段3で得られた測位結果と、撮像手段2とアンテナ部3aの配置に基づいて算出される。なお、撮像時における撮像手段位置を特定することが目的であるので、撮像したタイミングで測位し、撮像時刻と時間一致する測位結果に基づいて撮像手段位置を求めることが望ましい。撮像と測位を同じタイミングで行うことが難しい場合は、撮像時刻の直近の測位時刻で測位した結果を、便宜的に撮像時刻における測位結果として撮像手段位置を求めることもできる。
【0040】
次に撮像方向について説明する。撮像手段2で沿道対象物を撮像すると、撮像された沿道対象物はそのレンズを通してccdイメージセンサ(いわゆるフィルム面)に画素単位で画像情報(例えばRGB値)として取得される。このとき、撮像手段2で撮像したタイミング(あるいは近傍のタイミング)で、姿勢計測手段4(例えばIMU)により移動車1の姿勢が取得され、前記した移動車1と撮像手段2との相対的な関係に基づいて、撮像手段2の姿勢が算出される。このように撮像手段2の姿勢が、位置計測手段3により撮像手段位置が、それぞれ特定できれば、撮像手段2の緒元(焦点距離や画角など)と合わせて、レンズ中心と撮像対象とを結ぶ方向を、画素単位で求めることができる。この画素単位で求めたレンズ中心と撮像対象とを結ぶ方向が、ここでいう「撮像方向」である。この場合も、撮像したタイミングで姿勢計測を行うことが望ましいが、撮像時刻の直近の計測時刻で計測した姿勢を用いて撮像手段2の姿勢を求めることもできる。
【0041】
最適画像抽出手段は、沿道対象物のうちの特徴点を指定すると、複数の沿道画像の中から2つの最適画像を自動抽出するものである。特徴点とは、沿道対象物の構成要素のうち形状的に特徴ある点のことであり、例えば沿道対象物が広告板Bの場合は、特徴点として広告板Bの角(コーナー)とすることができる。なお、この特徴点は人が画像を見ながら指定するもので、最適画像抽出手段が「特徴点指定機能」を具備し、この機能で画像を表示するとともに、この機能を用いて画像上で特徴点を指定することもできる。
【0042】
図4に示すようにモバイルマッピングシステムでは、移動車1で移動しながら定期的に撮像し、しかも広角に撮像できる撮像手段2を使用しているので、広告板Bを含む画像は多数取得される。例えば図4で説明すると、移動車1の移動方向における起点側(図では左側)で取得した画像では右端に広告板Bが収められ、広告板Bの略正面で取得した画像では略中央に広告板Bが収められ、移動方向における終点側(図では右側)で取得した画像では左端に広告板Bが収められている。このほかにも広告板Bを含む多数の画像が取得されている。なお、移動車1の移動速度、撮像手段2の撮像間隔、撮像手段2の画角、などによって異なるものの、移動車1が約1m移動するごとに画像を取得することもできる。
【0043】
最適画像抽出手段は、多数の画像の中から2つの最適画像を自動抽出するわけであるが、まずはこれらの画像の中から沿道対象物(広告版P)を含む画像を抽出する。この抽出は、従来から用いられているイメージマッチング(画像マッチング)によって行うことができる。このイメージマッチングの具体的手法として、テンプレートマッチングを挙げることができる。広告版Pの画像情報を手掛かりとして、複数の画像中から広告版Pと照合する照合部分を走査し、画像中に広告版Pを含むものだけを抽出する。テンプレートマッチングを行う場合、広告版Pの画像情報のレンジ中央値を用いる方法、レンジ平均値を用いる方法、最頻度値を用いる方法などがあげられ、これらいずれの方法も利用することができる。またテンプレートマッチングのほか、近年注目されているSIFT(Scale−invariant
feature transform)特徴値によるマッチングを採用することもできる。SIFT特徴量とは、スケール(大きさ、移動、回転)に依存しない特徴量のことである。
【0044】
イメージマッチング等によって、広告版Pを含む画像が複数抽出されると、これらの画像の中から、広告版Pの特徴点を検出する。この場合も、イメージマッチング等によって行うことができる。さらに検出された特徴点がある画素を求め、この画素における撮像方向を算出する。以下、特徴点がある画素における撮像方向を、便宜上、「特徴点撮像方向」ということとする。
【0045】
次の工程である位置特定手段では、2つの最適画像を利用して1点の座標を算出する。この場合、2つの画像における撮像した方向の交差角が90°に近いほど、正確に(高精度に)座標を計算できることが知られている。そこで、2つの最適画像の抽出条件を、撮像方位の交差角が略90°(90°含む)となるような組み合わせの画像とする。以下、2つの最適画像の抽出条件について、図5に基づいて具体的に説明する。
【0046】
図5では、移動方向の起点側から順に、移動車1a、移動車1b、移動車1c、移動車1d、移動車1eの状態で広告板Pの特徴点Sを撮像している。そして、それぞれで取得された画像において、それぞれ「特徴点撮像方向」を求めることができる。なお2つの最適画像の抽出条件は、3次元空間における「特徴点撮像方向」ではなく、そのうちの平面成分である「撮像方位」を基準としている。(ここでいう「方位」とは、北を基準とする時計回りの回転角である。)そこで、「特徴点撮像方向」をもとに水平面に投影した「特徴点撮像方位」を求める。図では、移動車1aの状態で取得された画像の特徴点撮像方位La、移動車1bの状態で取得された画像の特徴点撮像方位Lb、移動車1dの状態で取得された画像の特徴点撮像方位Ld、移動車1eの状態で取得された画像の特徴点撮像方位Leを示している。
【0047】
図5に示す特徴点撮像方位のうち任意の2つの特徴点撮像方位に注目すると、両者は特徴点付近で交差し、これによって2つの特徴点撮像方位の間には内角(以下、「交差角T」という。)が生じている。この交差角Tが略90°となる特徴点撮像方位の組み合わせ、つまり図5では特徴点撮像方位Lbと特徴点撮像方位Ldの組み合わせを選択する。そして、特徴点撮像方位Lbの基となる画像(移動車1aで取得した画像)と、特徴点撮像方位Ldの基となる画像(移動車1dで取得した画像)が、最適画像として抽出される。
【0048】
このように、撮像方位の交差角が略90°となるような組み合わせの画像を、2つの最適画像として抽出することができる。なお、このようにして抽出された場合、撮像方位の交差角の中央線(交差角を2等分する線)は、必ずしも特徴点Sを正面視したときの撮像方位とは限らない。なおここでいう「正面視」とは、対象物を正面から視ることであって、対象物との距離が最も短くなったときに視る状態のことであり、図6で説明すれば、広告板Pの特徴点Sに最も近づいたときの移動車1cから特徴点Sを視た状態である。また、正面視の状態で撮像した画像における「特徴点撮像方位」を、「正面視の特徴点撮像方向Lc」とする。
【0049】
2つの画像における撮像方位の交差角が90°に近いほど、正確に座標を計算できるのは前記したとおりである。さらに、それぞれの撮像方位と「正面視の特徴点撮像方向Lc」のなす角が、それぞれ45°であればより正確に座標を計算できることも知られている。したがって最適画像抽出手段では、図6に示すように、特徴点撮像方位Lbと特徴点撮像方位Ldの交差角が90°であって、しかも特徴点撮像方位Lbと「正面視の特徴点撮像方向Lc」の交差角が45°、かつ特徴点撮像方位Ldと「正面視の特徴点撮像方向Lc」の交差角が45°となるように、2つの最適画像を抽出することがより望ましい。
【0050】
位置特定手段は、撮像手段位置及び撮像方向と、2つの最適画像に基づいて、指定された特徴点の位置を特定するものである。これについては、従来から用いられている写真計測の技術を利用することが可能であり、以下その手法について説明する。
【0051】
ここまでで、2つの最適画像が抽出されており、それぞれの撮像時における撮像手段位置も特定され、広告板Pの特徴点Sに対する撮像方向も特定されている。よって、2つの最適画像それぞれで撮像手段位置と特徴点Sを通る直線が決定され、ここで決定された2つの直線の交点がすなわち特徴点Sの位置座標である。なお、2つの直線は3次元空間上で表わされるものであるため、実際には交点が求められないことがある(特徴点Sに対する撮像方向であるから理論上はあり得ないが、計測誤差等を考えるとこのようなこともありうる)。その場合は、2つの直線の最も接近する箇所の両点の平均座標とするか、平面的に交差する箇所を求めて高さの値を平均するなど、従来から用いられる種々の近似手法をとることができる。
【0052】
本願発明のモバイルマッピングシステムでは、以上のようにして沿道対象物である広告板Pの特徴点Sの座標を特定することができる。この実施形態では、広告板Pの右下にある特徴点Sの座標を求めたが、同様にして残り3か所の特徴点(角)の座標を求めれば、広告板Pそのものの位置を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明のモバイルマッピングシステム、及びこれを用いた沿道対象物の計測方法と、位置特定プログラムは、沿道の空間情報を手軽にしかも精度よく取得することができるので、地図の作成や更新を行う際に有効な発明である。また、沿道に設置される屋外広告や道路占用物を容易かつ正確に把握できるので、沿道施設の管理者にとっても極めて有用な発明である。さらに、道路に限らず、線路沿いの状況にも容易に応用できるなど、各種の移動体で活用可能な発明である。
【符号の説明】
【0054】
1 移動車
2 撮像手段
3 位置計測手段
3a (GPSの)アンテナ部
3b (GPSの)レシーバ部
4 姿勢計測手段
5 制御手段
6 外部出力装置
B 広告板
S (広告板の)特徴点
T 交差角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を特定するモバイルマッピングシステムにおいて、
前記移動車と、前記撮像手段と、位置計測手段と、姿勢計測手段と、撮像情報特定手段と、最適画像抽出手段と、位置特定手段と、を備え、
前記撮像手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に連続して前記沿道画像を取得可能であり、
前記位置計測手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に前記撮像手段の位置を計測可能であり、
前記姿勢計測手段は、前記移動車の所定位置に設置されるとともに、該移動車の移動中に前記撮像手段による撮像方向を計測可能であり、
前記撮像情報特定手段は、前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における撮像手段位置及び撮像方向を特定するものであり、
前記最適画像抽出手段は、沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定すると、該特徴点をその画像内に含む複数の前記沿道画像の中から2つの最適画像を自動抽出するものであり、
前記位置特定手段は、前記撮像手段位置及び撮像方向と前記2つの最適画像に基づいて、指定された前記特徴点の位置を特定するものであり、
前記2枚の最適画像は、撮像時におけるそれぞれの撮像方位の交差角が90°又は略90°となるような組み合わせであることを特徴とするモバイルマッピングシステム。
【請求項2】
前記2枚の最適画像のうち一方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像したものであり、
前記2枚の最適画像のうち他方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像したものであり、
前記基準方位は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位であることを特徴とする請求項1記載のモバイルマッピングシステム。
【請求項3】
前記撮像手段は、GPSを用いた測位によって前記撮像手段位置を計測するものであり、
前記姿勢計測手段は、GPSを用いて移動中の前記移動車を2点測位することによって前記撮像手段の撮像方向を計測するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のモバイルマッピングシステム。
【請求項4】
前記撮像手段は、GPSを用いた測位によって前記撮像手段位置を計測するものであり、
前記姿勢計測手段は、慣性計測装置によって前記撮像手段の撮像方向を計測するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のモバイルマッピングシステム。
【請求項5】
路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を計測する沿道対象物の計測方法において、
前記撮像手段と位置計測手段と姿勢計測手段が設置された前記移動車によって、路上を移動し、
前記移動車の移動中に、前記撮像手段で連続して撮像して複数の前記沿道画像を取得し、前記位置計測手段で撮像手段位置を計測し、前記姿勢計測手段で前記撮像手段による撮像方向を計測し、
前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における前記撮像手段位置及び撮像方向を特定し、
前記沿道画像に収められた沿道対象物の中から所望の沿道対象物を選択するとともに、該沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定し、
コンピュータを用いて、前記特徴点をその画像内に含む複数の前記沿道画像の中から2つの最適画像を自動抽出するとともに、これら2つの最適画像とその撮像手段位置及び撮像方向に基づいて演算処理することで前記特徴点の位置を特定し、
前記2枚の最適画像は、撮像時におけるそれぞれの撮像方位の交差角が90°又は略90°となるような組み合わせであることを特徴とする沿道対象物の計測方法。
【請求項6】
前記2枚の最適画像のうち一方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像したものであり、
前記2枚の最適画像のうち他方の最適画像は、基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって、前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像したものであり、
前記基準方位は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位であることを特徴とする請求項5記載の沿道対象物の計測方法。
【請求項7】
路上を移動する移動車に車載された撮像手段によって、該移動車の移動中に沿道対象物を撮像し、この撮像によって得られた沿道画像に基づいて沿道対象物の位置を特定する沿道対象物の位置特定プログラムにおいて、
前記撮像手段及び位置計測手段及び姿勢計測手段が設置された前記移動車の移動中に、該撮像手段で連続撮像した複数の前記沿道画像と、該位置計測手段で計測した撮像手段位置と、前記姿勢計測手段で計測した前記撮像手段による撮像方向と、を読み込む基本情報読み込み機能と、
前記位置計測手段及び前記姿勢計測手段による計測結果に基づいて、撮像時における前記撮像手段位置及び撮像方向を特定する撮影情報特定機能と、
前記沿道画像に収められた沿道対象物の中から所望の沿道対象物を選択し、該沿道対象物の構成要素のうち形状的特徴を具備する特徴点を指定する特徴点指定機能と、
前記複数の沿道画像の中から前記特徴点と照合する照合部分を有する候補画像を抽出し、さらにこれら候補画像の中から2つの最適画像を抽出する最適画像抽出機能と、
前記2つの最適画像と、その撮像手段位置及び撮像方向と、に基づいて前記特徴点の位置を特定する位置特定機能と、を備え、
前記最適画像抽出機能は、前記特徴点を正面視又は略正面視したときの撮像方位である基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも起点側から撮像した第1の最適画像と、該基準方位との交差角が45°又は略45°となる方位から撮像したものであって前記移動車の移動方向において前記特徴点よりも終点側から撮像した第2の最適画像と、を抽出するものであり、
前記機能をコンピュータに実行させ得ることを特徴とする沿道対象物の位置特定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24686(P2013−24686A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158903(P2011−158903)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)