説明

モリンダシトリフォリアの抗血管新生効果

本発明は,哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で抗血管新生効果を誘導する方法を特徴とし,該方法は,患者に加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を投与する工程を含み,ここで,加工されたモリンダシトリフォリアは,細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより,腫瘍性領域中で新たな血管の形成を妨害する。前記腫瘍性領域中の前記内皮細胞の成長因子の妨害は,細管伸長および内皮細胞移動を阻害する。好ましい態様においては,加工されたモリンダシトリフォリアには種々の濃度の果汁およびピューレ果汁が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,細胞の成長,および血管新生として知られる血管の自然の形成または生成の発生を管理するための方法および製剤に関し,特に,加工した抽出物または他の形のモリンダシトリフォリアを予防的に投与することを含む,身体の腫瘍性領域中で血管新生を減少させ,阻害し,妨害する独特の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は,身体の新たな血管の形成または生成として知られるプロセスであり,主として創傷治癒段階および生殖関連新生血管形成または胚発生の間に生ずる。血管新生は,典型的には健康な成長養生法の一部であり,身体の適切な成長およびホメオスタシスに必須であると考えられる,正常なかつ望ましいできごとであり,これは血液,栄養および生命維持に必要な他の要素を身体の種々の部位に運ぶのに必要な血管を提供する。しかし,ある状況においては,血管新生の自然の効果は,腫瘍およびこれらの腫瘍を含む有害なまたは病的な細胞の異常な成長を支える新たな血管を生成または形成することにより,望ましくない脅威を与える。病理学的な血管新生または血管の異常な増殖は,20種類を超える疾患,例えば,癌,乾癬,および加齢性黄斑変性に関与することが示唆されてきた。つまり,血管新生は,癌性のおよび他の疾病に感染した細胞の致命的な広がり,増殖,または転移に著しく寄与しうる。
【0003】
癌細胞はしばしば破壊することが困難である。これらは,最良の現代的治療にもかかわらず,変異し,薬剤に耐性となり,予測しえないように広がることができる。さらに,癌細胞を攻撃する現在の方法,例えば,化学療法および放射線照射は,健康な組織にも障害を与える可能性があり,しばしば重大な副作用を引き起こす。抗血管新生は上述の疾患の治療において刺激的な進歩を与える。
【0004】
正常な組織においては,組織の成長と修復および妊娠期間中の胎児の発達の間に新たな血管が形成される。癌性組織においては,血管は生存および成長に必要な酸素と栄養を組織に供給するよう働くため,腫瘍は新たな血管の発達がなければ,成長または広がる(転移する)ことができない。
【0005】
新たな血管の起源は内皮細胞である。内皮細胞は血管の壁を形成し,分裂し,身体内で刺激の方向に向かって移動することができる。このようにして,内皮細胞は,新たな血管のビルディングブロックの一部を構成し,これが本発明の主な焦点である。
【0006】
簡単には,新たな血管を形成または生成するために,現存する血管の壁,特に毛細管などの小さい血管を形成する内皮細胞は活性化され,細胞外マトリクスまたは周囲の組織を分解するMMPとして知られる酵素を分泌する。細胞外マトリクスが分解するにつれて,内皮細胞はマトリクスに侵入し,分裂を始める。結局,分裂した内皮細胞は一緒に組織化して中空管を形成し,したがって血管の新たなネットワークを生成し,このことにより組織の成長と修復が可能となる。
【0007】
通常は,内皮細胞は休止状態にあるが,活性化されると,組織の局所的部分において血管成長の短い破裂が生ずる場合がある。新たな毛細管成長は,内皮細胞成長を活性化する因子とこれを阻害する因子との間の精密に調整されたバランスにより厳重に制御されている。約15種類の蛋白質が内皮細胞成長および移動を活性化することが知られており,これには,アンジオゲニン,表皮成長因子,エストロゲン,線維芽細胞成長因子(酸性および塩基性),インターロイキン8,プロスタグランジンE1およびE2,腫瘍壊死因子,血管内皮細胞成長因子(VEGF),および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が含まれる。血管新生の既知の阻害剤としては,アンジオスタチン,血小板因子−4,トロンボスポンジン−1,エンドスタチン,アンジオポエチン2,プロラクチン,スラミン,インターフェロン,インターロイキン1,インターロイキン12,レチノイン酸,およびメタロプロテイナーゼ−1および−2の組織阻害剤(TIMP−1および−2)が挙げられる。
【0008】
腫瘍成長および増殖に関しては,腫瘍は,その成長の重要な時点で,近くの内皮細胞に血管新生を活性化するようシグナルを送る。2種類の内皮細胞成長因子,すなわちVEGFおよび塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)が,多くの腫瘍により大量に発現されており,腫瘍成長の維持に重要であるようである。
【0009】
血管新生は成長を促進するため,血管新生は転移にも関係しているということができる。疾病に罹患した細胞の転移は,疾病細胞が原発部位から身体の別の領域に広がるかまたは移動することから構成される。ある種の白血球以外では,これはほとんどの正常細胞が行うことができないものであり,癌等の疾病の最も致命的な特徴である。転移の間,腫瘍細胞は,通常は1つの組織を別の組織と分離している線維性境界に入り込む。腫瘍はまた,血管またはリンパ管の壁に浸潤するすることができ,癌細胞を循環中にこぼす。血液中で,これらの腫瘍細胞は身体の別の部位に運ばれ,次の細管のベッドに宿るようになり,ここで他の腫瘍が形成されうる。原発性腫瘍から散らばった10,000個の細胞のうちの1個未満が生存すると考えられるが,これらは身体の別の場所で続発性腫瘍を引き起こすのに十分である。
【0010】
固形腫瘍を有する新規患者の約30パーセントは検出可能な転移を有する。しかし,残りの患者の約半分は腫瘍のみを治療することにより治癒するであろうが,残りは検出できない転移を有しており,これは最終的に腫瘍に発達するであろう。腫瘍の程度の判定は,悪性が原発性腫瘍を超えて広がったかどうかの尺度を含む。これは患者の予後の決定における主要な因子である。
【0011】
より高い密度の血管を有する腫瘍は,より転移しやすく,より悪い臨床的帰結と相関することは一般的に正しい。また,原発性腫瘍からの細胞の発散は,腫瘍が血管の完全なネットワークを有した後にのみ開始する。さらに,血管新生および転移は両方とも,血管および腫瘍の侵襲の間に,マトリクスメタロプロテイナーゼ,すなわち周囲組織を破壊する酵素(細胞外マトリクス)を必要とする。
【0012】
初期の検出の目的は,有意な成長または転移が生ずる前に原発性腫瘍を除去することである。残念なことに,ある種の腫瘍は,見つけることができるように十分に大きくなる前に転移するように見える。原発性腫瘍が阻害剤を送り出し,これは続発性腫瘍の成長に,したがって原発性腫瘍の除去に影響を及ぼし,このため阻害剤が続発性腫瘍の成長を可能とすることはよく確立されている。そのような微小転移の広がりは,乳癌の多くの女性がその原発性腫瘍を初期に検出した後であっても死亡する理由を説明しうる。
【0013】
最近,いくつかの実験的研究は,血管新生,その特徴的な挙動,および病的な細胞の増殖および/または転移に関連する効果に焦点を当てている。実際,癌性腫瘍中の血管新生,特に抗血管新生解決法の発見の可能性は,National Cancer Instituteにおける優先的な研究分野であった。これらの研究の結果から,科学者たちは,異常な成長または腫瘍(例えば癌性腫瘍)が実際に,新たな血管を産生もしくは生成し,したがってその成長因子に寄与すること,およびこの成長因子が,そのような腫瘍の増殖および転移ならびに非癌性組織への拡張を可能としていると考えるようになった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は,新たな血管を生成し形成する能力を妨害することにより,癌性腫瘍を阻害しおよび場合によっては非癌性組織に広がる前に停止させる予防計画を提供する。本発明は,哺乳動物の疾病に罹患した細胞および/または腫瘍,特に癌性腫瘍において,腫瘍成長の初期段階の間で,血管新生または新たな血管の生成を防止する方法を特徴とする。本発明はさらに,栄養および生存を支持する他の物を腫瘍性領域に提供することができる血管の数を制限することにより,疾病に罹患した細胞のさらなる成長を阻害する方法を特徴とする。
【0015】
モリンダシトリフォリアは,広範な治療的効果,例えば,抗癌および成長妨害活性を有すると考えられる。本発明者らが行った実験は,本明細書の記載にしたがって加工され投与されたモリンダシトリフォリアが,予防的に投与されて,身体中の腫瘍性領域に適用されたときに,抗血管新生解決法を有するか,あるいは抗血管新生効果を有することを示す。すなわち,本発明のモリンダシトリフォリアは,腫瘍内において追加の血管の生成および形成を効果的に阻害し防止し,したがって,腫瘍のさらなる成長を阻害し防止する。
【0016】
本発明は,種々の濃度で,および種々の時間で,血管新生の細管伸長および内皮細胞移動の段階において血管新生を完全に阻害するよう機能する。
【0017】
詳細には,本発明は,哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で抗血管新生効果を誘導する方法を特徴とし,該方法は,加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を患者に投与する工程を含み,ここで,加工されたモリンダシトリフォリアは,細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより,腫瘍性領域中で新たな血管の形成を妨害する。細管伸長および内皮細胞移動は,前記腫瘍性領域中の前記内皮細胞の成長因子を妨害することにより阻害される。好ましい態様においては,加工されたモリンダシトリフォリアには,種々の濃度の果汁およびピューレ果汁が含まれる。
【0018】
本発明はさらに,加工されたモリンダシトリフォリアから構成される製剤を含む血管新生阻害剤を特徴とする。製剤,特にモリンダシトリフォリアは,腫瘍性領域中に存在する内皮細胞の成長因子を妨害することにより,腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動の阻害を実現する。
【0019】
図面の簡単な説明
本発明の上述した利点および他の利点および特徴が得られるように,本発明の特定の態様を参照して,上に簡単に記載した本発明のより詳細な記載が与えられ,これは添付の図面に例示される。これらの図面は本発明の典型的な態様を示すのみであり,したがって本発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことは理解されるであろうが,添付の図面を使用することにより本発明をさらに特定的にかつ詳細に記載し説明する。
【0020】
図1は,新たに形成された血管の細管の長さ,特に,他の既知の阻害剤および未処理細胞に対する,0.1−10パーセントの濃度のモリンダシトリフォリア果汁で処理した細管の長さの相違を示す棒グラフを表す。
【0021】
図2は,新たに形成された血管の細管の長さ,特に,他の既知の阻害剤および未処理細胞に対する,0.1−10パーセントの濃度のモリンダシトリフォリアピューレ果汁で処理した細管の長さの相違を示す棒グラフを表す。
【0022】
好ましい態様の詳細な説明
本明細書に一般に記載され,図1および2に例示される本発明の構成要素は,広範な種類の異なる形状に配置および設計しうることが容易に理解されるであろう。すなわち,以下の本発明の方法および製剤の態様のより詳細な説明は,特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではなく,本発明の現在好ましい態様の代表例にすぎない。
【0023】
特に記載しない限り,明細書および特許請求の範囲において用いられる成分,反応条件その他の量を表現するすべての数字は,すべての場合に"約"との用語で修飾されていると理解すべきである。したがって,特に記載しない限り,以下の明細書および特許請求の範囲に記載される数値パラメータは,本発明により達成することが求められる所望の特性に依存して様々でありうる近似値である。少なくとも,かつ本発明の範囲に対する均等論の適用を制限する意図ではなく,各数値パラメータは,少なくとも報告されている有効数字の数に鑑みて,かつ通常の丸め技術を適用することにより,解釈されるべきである。
【0024】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるが,特定の例に記載される数値は可能な限り正確に報告されている。しかし,すべての数値は,本質的にそのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に起因するある種の誤差を必ず含むものである。
【0025】
本発明をより明確に示し説明するために,以下のより詳細な説明を2つに分ける。第1の部分はモリンダシトリフォリアの一般的説明であり,特定の製造プロセスおよびこれらのプロセスから製造される製品が含まれる。第2の部分は,本明細書に記載される方法にしたがって加工され製造されるモリンダシトリフォリアを含む特定の製剤,および身体の腫瘍性領域中で抗血管新生効果を与える特定の目的のためにそのような製剤を適用または投与する方法を説明する。
【0026】
モリンダシトリフォリアの加工の一般的説明
科学的にはモリンダ・シトリフォリアL.として知られるインディアンマルベリーは,低木,すなわち小または中サイズの高さ3−10メートルの木である。インディアンマルベリー植物は,西南アジアに自生し,初期にインドから東ポリネシアの広い領域に広がった。典型的には,この植物は世界中の熱帯の海岸領域で成長する。この植物,天然に無作為的に成長し,このため,農園および小規模の個々の成長小区画で栽培されてきた。
【0027】
インディアンマルベリーは幾分丸い枝,および常緑の,対生の(または擬似互生の),暗色の,光沢のある,波状の,葉脈の突起した葉を有する。インディアンマルベリー植物の葉は両末端がとがったやや楕円形であり,長さ10−30cm,幅5−15cmである。花は,多肉質の,球状の,頭状のクラスターに含まれ,小さく,白色であり,3−5個の切れ込みがあり,筒状であり,香りがよく,長さ約1.25cmである。果実は大きく,多肉質であり,卵形である。花は成熟して,卵形,楕円形または丸型に融合した多くの小さい核果から構成される複果となる。これは,こぶがあり,長さ5−10cm,厚み5−7cmであり,蝋質の,白色または緑がかった白色または淡黄色の半透明の肌を有する。これは熟すると食用可能となるが,不快な臭いおよび独特の味をもち,多くの者の口に合わない。果実はその表面にジャガイモと似た"眼"を有する。果実は果汁が多く,苦く,くすんだ黄色または黄色がかった白色であり,赤茶色の,硬い,横長な三角形の,翼状部のある,それぞれ4つの種子を含む2細胞核を多量に含む。
【0028】
完全に熟したとき,果実は腐ったチーズに似た明白なにおいを有する。この果実はいくつかの国で食物として食用とされてきたが,インディアンマルベリー植物の最も一般的な用途は,赤または黄色の染料の原料としてのものであった。最近,インディアンマルベリー植物の栄養および健康上の利点に興味が持たれている。
【0029】
モリンダ・シトリフォリア果実は,すべての実用的な目的のためには,食用に適していないため,ヒトの消費の嗜好に合うようにし,本明細書に記載されるように身体有益なように用いられる種々の食物製品および 栄養補助食品 中に含ませて食用に適するようにするためには,果実を加工しなければならない。加工したモリンダ・シトリフォリア果汁は,熟したモリンダ・シトリフォリア果実の果汁および果肉から種子および皮を分離し,果汁から果肉を濾過し,果汁を包装することにより製造することができる。あるいは,果汁を包装する代わりに,果汁をただちに別の食物製品中に成分として含ませ,凍結するか殺菌してもよい。ある態様においては,果汁および果肉はピューレ化して他の成分と混合すべき均一なブレンドとすることができる。他の方法には,果実および果汁を凍結乾燥することが含まれる。果実および果汁は,最終果汁製品の製造の間に再構築することができる。さらに別の方法は,粉砕する前に果実および果汁を風乾することを含む。
【0030】
モリンダシトリフォリア果汁を製造する現在好ましいプロセスにおいては,果実は,手でつみ取るか機械的装置によりつみ取る。果実は,少なくとも直径1インチ(2−3cm)かつ12インチ(24−36cm)以下のときに収穫することができる。果実は,好ましくは暗緑色から黄緑色,さらに白色までの色を有し,その間に色のグラデーションを有する。果実は,収穫後果汁の加工前によく洗浄する。
【0031】
果実は,0−14日間熟させるか熟成させるが,ほとんどの果実は2−3日間保管する。果実は,地面と接触させないように,装置中に入れて熟させるか熟成させる。好ましくは,熟成の間,布または網資材で覆うが,覆わずに熟成させてもよい。さらに加工することが可能になったとき,果実は色が明るくなり,淡緑色,淡黄色,白色または半透明である。果実を損傷または過度の緑色および堅さについて検査する。損傷したまたは堅い緑色の果実を,許容しうる果実から分離する。
【0032】
熟したまたは熟成した果実は,好ましくは,さらなる加工および輸送のためにプラスチックの裏付き容器に入れる。熟成した果実の容器は,0−30日間保管することができる。ほとんどの果実容器は,加工の前に7−14日間保管する。容器は,任意に,さらに加工する前に冷蔵条件下に保存することができる。熟したら,果実を保存容器から取り出し,手動または機械的分離器で加工する。種子および皮を果汁および果肉から分離する。果汁/果肉の濃縮物は一般にピューレと称される。あるいは,必要であれば果汁を果肉から濾過してもよい。
【0033】
分離した後,果汁および果肉は,保存および輸送のために容器中に包装することができる。容器は,冷蔵庫に,冷凍して,または室温条件で保存することができる。次に,モリンダ・シトリフォリア果汁および果肉の均一な混和物を他の成分と混合して,種々の栄養補助食品および他の食物製品を製造することができる。このような他の成分としては,限定されないが,水,果汁濃縮物,香味料,甘味料,栄養成分,植物性薬品,および色素がある。完成した果汁製品は,好ましくは最低181°F(83℃),またはさらに高く212°F(100℃)までの温度で加熱し,低温殺菌する。
【0034】
あるいは,果汁および果肉は,ただちに加工して最終果汁製品としてもよい。果汁をプラスチック,ガラス,または加工温度に耐えられる他の適当な材料の最終容器に充填し密封する。容器は充填温度に維持するか,または急速に冷却し,次に輸送容器に入れることができる。輸送容器は,好ましくは,最終容器中の製品の温度を維持または管理するように器材で覆う。
【0035】
果汁および果肉は,濾過装置により果肉を果汁から分離することによりさらに加工することができる。濾過装置は,好ましくは,限定されないが,遠心分離デカンタ,1ミクロンから2000ミクロンまで,より好ましくは500ミクロン未満のサイズのスクリーンフィルター,フィルタープレス,逆浸透濾過,および他の任意の標準的な市販の濾過装置からなる。作業フィルター圧は,好ましくは0.1psigから約1000psigの範囲である。流速は,好ましくは,0.1gpmから1000gpm,より好ましくは5−50gpmの範囲である。湿った果肉を洗浄し,少なくとも1回,10回以下,濾過して,果汁を果肉から除去する。湿った果肉は,典型的には,10%−40%(重量)の繊維含量を有する。湿った果肉は,好ましくは,最低181°F(83℃)の温度で低温殺菌し,次にドラムに充填してさらに加工するか,または高繊維製品を形成する。
【0036】
湿った果肉は,乾燥によりさらに加工することができる。乾燥の方法には,限定されないが,凍結乾燥,ドラム乾燥,トレイ乾燥,日光乾燥,およびスプレー乾燥が含まれる。乾燥したモリンダ・シトリフォリア果肉は,好ましくは,0.1%−15%(重量),より好ましくは5%−10%(重量)の範囲の水分含量を有する。乾燥した果肉は,好ましくは,0.1%−30%(重量),より好ましくは5%−15%(重量)の範囲の繊維含量を有する。
【0037】
高繊維製品は,典型的には,限定されないが,湿ったまたは乾燥したモリンダ・シトリフォリア果肉,補充繊維成分,水,甘味料,香味剤,着色剤,および栄養成分を含む。補充繊維成分には,限定されないが,市販のまたは自社開発した植物系繊維製品が含まれる。典型的な繊維製品のいくつかの例には,グアールガム,アラビアゴム,大豆繊維,カラスムギ繊維,エンドウ繊維,イチジク繊維,カンキツ類果肉嚢,ヒドロキシメチルセルロース,セルロース,海藻,食品等級の材木または木材果肉,ヘミセルロース等が含まれる。これらの他の繊維生材料の濃度は,典型的には,0%−30%(重量),より好ましくは10%−30%(重量)の範囲である。
【0038】
典型的な甘味料には,限定されないが,トウモロコシ,テンサイ,サトウキビ,ジャガイモ,タピオカ,または化学的または酵素的に結晶片,粉体,および/またはシロップに変換することができる他の澱粉含有物に由来する天然の糖が含まれる。また,甘味料は,人工的なまたは強度の高い甘味料,例えば,アスパルテーム,スクラロース,ステビア,サッカリン等からなっていてもよい。甘味料の濃度は,好ましくは,調合物の0%−50%(重量),より好ましくは約1%−5%(重量)である。
【0039】
典型的な香味料には,限定されないが,人工および/または天然の香料,または香味に寄与する成分,例えば果物果汁,ピューレおよび濃縮物が含まれる。香味料の濃度は,好ましくは,調合物の0%から15%(重量)までである。着色剤には,好ましくは,限定されないが,食品等級の人工または天然の着色剤が含まれ,濃度は調合物の0%から10%(重量)までである。
【0040】
典型的な栄養成分は,限定されないが,ビタミン,無機質,微量元素,ハーブ,植物抽出物,生物活性化学物質および化合物が含まれ,濃度は0%から10%(重量)までである。繊維組成物に添加することができるビタミンの例には,限定されないが,ビタミンA,B1−B12,C,D,E,葉酸,パントテン酸,ビオチン等が含まれる。繊維組成物に添加することができる無機質および微量元素の例には,限定されないが,,カルシウム,クロム,銅,コバルト,硼素,マグネシウム,鉄,セレニウム,マンガン,モリブデン,カリウム,ヨウ素,亜鉛,リン等が含まれる。ハーブおよび植物抽出物には,限定されないが,アルファルファ草,ミツバチ花粉,クロレラ粉,ドンケイ(DongQuai)粉,エキナセア(Echinacea)根,二裂イチョウ抽出物,トクサハーブ,ヤエヤマアオキ,シイタケ,スピルリナ海藻,ブドウ種子抽出物等が含まれる。典型的な生物活性化学物質には,限定されないが,カフェイン,エフェドリン,L−カルニチン,クレアチン,リコペン等が含まれる。
【0041】
果汁および果肉は,種々の方法を用いて乾燥することができる。果汁および果肉混合物は,乾燥する前に,低温殺菌または酵素処理することができる。酵素プロセスは,生成物を75°F−135°Fの温度に加熱することにより開始する。次にこれを単一の酵素または酵素の組み合わせで処理する。これらの酵素には,限定されないが,アミラーゼ,リパーゼ,プロテアーゼ,セルラーゼ,ブロメリン等が含まれる。果汁および果肉はまた,他の成分,例えば高繊維製品に関連して上述したものとともに乾燥することができる。乾燥した果汁および果肉は,栄養製品において,他の製品において粉体成分として,またはそれ自体製品として用いることができる。乾燥果汁および果肉の典型的な栄養プロファイルは,1−20%水分,0.1−15%蛋白質,0.1−20%繊維,およびビタミンおよび無機質成分である。
【0042】
濾過した果汁および湿った果肉の洗浄からの水は,好ましくは,一緒に混合する。濾過した果汁は,好ましくは真空蒸発させて,40−70のブリックスおよび0.1−80%,より好ましくは25%−75%の湿度とする。得られた濃縮モリンダ・シトリフォリア果汁は,低温殺菌してもしなくてもよい。例えば,糖含量または水分活性が微生物の成長を防止するのに十分に低い場合には,果汁を低温殺菌しなくてもよい。果汁は,保存,輸送および/またはさらなる加工用に包装する。
【0043】
上述した加工方法に加えて,果実を加工してオイル製品,食物繊維製品および果汁製品とする他の方法も企図され,用いることができる。加工した果汁,オイルおよび食物繊維の製剤のいくつかの態様を用いることができる。本発明のある態様は,哺乳動物に有効量の加工されたモリンダシトリフォリアを投与することを含む,種々の疾病および病気を治療する方法を包含する。
【0044】
モリンダ・シトリフォリア植物は,天然成分が豊富である。発見されている成分として挙げられるのは,葉からは,アラニン,アントラキノン,アルギニン,アスコルビン酸,アスパラギン酸,カルシウム,ベータ−カロテン,システイン,シスチン,グリシン,グルタミン酸,配糖体,ヒスチジン,鉄,ロイシン,イソロイシン,メチオニン,ニコチン酸,フェニルアラニン,リン,プロリン,樹脂,リボフラビン,セリン,ベータ−シトステロール,チアミン,トレオニン,トリプトファン,チロシン,ウルソル酸,およびバリン,花からは,アカセチン−7−o−ベータ−d(+)−グルコピラノシド,5,7−ジメチル−アピゲニン−4’−o−ベータ−d(+)−ガラクトピラノシド,および6,8−ジメトキシ−3−メチルアントラキノン−1−o−ベータ−ラムノシル−グルコピラノシド,(果実からは)酢酸,アスペルロサイド,ブタン酸,安息香酸,ベンジルアルコール,1−ブタノール,カプリル酸,デカン酸,(E)−6−ドデセノ−ガンマ−ラクトン,(Z,Z,Z)−8,11,14−エイコサトリエン酸,エライジン酸,エチルデカノエート,エチルヘキサノエート,エチルオクタノエート,エチルパルミテート,(Z)−6−(エチルチオメチル)ベンゼン,ユージノール,グルコース,ヘプタン酸,2−へプタノン,ヘキサナル,ヘキサナミド,ヘキサン二酸,ヘキサン酸(ヘキサン酸),1−ヘキサノール,3−ヒドロキシ−2−ブタノン,ラウリン酸,リモネン,リノール酸,2−メチルブタン酸,3−メチル−2−ブテン−1−オール,3−メチル−3−ブテン−1−オール,メチルデカノエート,メチルエライデート,メチルヘキサノエート,メチル3−メチルチオ−プロパノエート,メチルオクタノエート,メチルオレエート,メチルパルミテート,2−メチルプロパン酸,3−メチルチオプロパン酸,ミリスチン酸,ノナン酸,オクタン酸(オクタン酸),オレイン酸,パルミチン酸,カリウム,スコポレチン,ウンデカン酸,(Z,Z)−2,5−ウンデカジエン−1−オール,およびボミフォール,根からは,アントラキノン,アスペルロサイド(ルビクロール酸),ダムナカンサル,配糖体,モリンダジオール,モリンジン,モリンドン,粘質,ノルダムナカントール,ルビアジン,ルビアジンモノメチルエーテル,樹脂,ソランジジオール,ステロール,およびトリヒドロキシメチルアントラキノン−モノメチルエーテル,根皮からは,アリザリン,クロロブリン,配糖体(ペントース,ヘキソース),モリンダジオール,モリンダニグリン,モリンジン,モリンドン,樹脂性物質,ルビアジンモノメチルエーテル,およびソランジジオール,木からは,アントラガロール−2,3−ジメチルエーテル,および組織培養からは,ダムナカンサル,ルシジン,ルシジン−3−プリメベロシド,およびモリンドン−6ベータ−プリメベロシド,植体からは,アリザリン,アリザリン−アルファ−メチルエーテル,アントラキノン,アスペルロサイド,ヘキサン酸,モリンダジオール,モリンドン,モリンドゲニン,オクタン酸,およびウルソル酸である。
【0045】
上述したように,最近,モリンダ・シトリフォリアを含有する製品の使用に由来する多くの健康上の利点が発見されている。モリンダ・シトリフォリアの1つの利点は,体内で生理的に活性な比較的小さなアルカロイドであるゼロニンを分離,生成するその能力に見られる。ゼロニンは,植物,動物,および微生物の実質的にすべての健常な細胞に生じる。モリンダ・シトリフォリアはごくわずかな量の遊離ゼロニンを有するが,プロゼロニンと呼ばれる相当な量のゼロニンの前駆体を含有する。さらに,モリンダ・シトリフォリアは,プロゼロニンからゼロニンを放出する酵素プロゼロナーゼの不活性形態を含有する。ハワイ大学のR.M.ハイニッケによる「ノニの薬理学的活性成分」と題する論文では,モリンダ・シトリフォリアがプロゼロニンおよびプロゼロナーゼの構築成分であるため「ゼロニンの単離用に使用する最良の原料」であることが示されている。これらの構築成分は体内のゼロニンの単離および生成に役立つ。必須栄養素ゼロニンの機能は,4部分からなる。
【0046】
第1に,ゼロニンは,小腸に存在する活動休止中の酵素の活性化に役立つ。これらの酵素は,効率的な消化,落ち着いた神経,および全体的な身体的情緒的エネルギーに重要である。
【0047】
第2に,ゼロニンは,細胞壁を通過し,健常組織を形成するために使用されうるように,蛋白質分子の形状および柔軟性を保護し,維持する。細胞に入るこれらの栄養分なしに,細胞はその役目を有効に実行することができない。ゼロニンを生成するプロゼロニンなしに,われわれの細胞,かつその後に体は,損害を受ける。
【0048】
第3に,ゼロニンは,細胞の膜孔の拡大に役立つ。この拡大によってより大きい鎖のペプチド(アミノ酸または蛋白質)が細胞内へ入ることが可能となる。これらの鎖は,用いられない場合は,廃棄物となる。
【0049】
第4に,プロゼロニンから作られるゼロニンは,栄養分の良好な吸収を可能にする孔の拡大に役立つ。
【0050】
各組織は,ゼロニンの吸収のための受容体部位を有する蛋白質を含有する細胞を有する。これらの蛋白質の一部は,活性になるためにはゼロニンの吸収を必要とする酵素の不活性形態である。したがって,ゼロニンは,体のプロコラゲナーゼ系を特定のプロテアーゼに変換することによって,迅速かつ安全に死んだ組織を皮膚から除去する。他の蛋白質は,ゼロニンと反応した後にホルモンの潜在的な受容体部位となる。したがって,ヒトの感情を良好にするモリンダ・シトリフォリアの作用は,おそらく一部の脳受容体蛋白質を,健康ホルモンであるエンドルフィンの吸収の活性部位に変換するゼロニンによってひき起こされる。他の蛋白質は,腸内の膜の中の孔,血管,及び他の器官を形成する。これらの蛋白質上のゼロニンの吸収は,孔の形状を変え,膜を通じた分子の通過に影響を及ぼす。
【0051】
モリンダ・シトリフォリアは,その多くの利点のため,癌,関節炎,頭痛,消化不良,悪性腫瘍,骨折,高血圧,糖尿病,疼痛,感染,喘息,歯痛,傷,免疫系障害などを有する個人における多くの事例的効果を提供することが知られている。
【0052】
本発明
抗血管新生製剤およびこれを投与する方法
1つの例示的態様においては,いかなる意味においても限定されるものではないが,有益なモリンダシトリフォリアはいくつかの製品および形態に加工されており,例えば,Morinda,Incorporated(Orem,Utah)により製造されるタヒチアンノニ(登録商標)果汁が挙げられる。
【0053】
好ましくは,本発明を実施するためには,疾病に罹患した腫瘍等の異常な成長を有する患者に,腫瘍性領域中における血管の生成および形成を特異的に防止することにより腫瘍のさらなる成長を予防するのに十分な量でモリンダシトリフォリアを投与する。モリンダシトリフォリアの患者への投与は,血管新生を予防するかまたは妨げ,腫瘍が非癌性組織に拡張し,身体の別の領域に転移することを妨害する。
【0054】
例示的態様においては,好ましい投与量は,少なくとも1オンスのモリンダシトリフォリア液体を1日に2回投与する。より多い投与量は有害なまたは負の副作用を生じず,患者にとって全体的な健康および幸福に関して非常に有益であることが見出された。例えば,1つの態様においては,1リットルまでを毎日投与すると,有意な予防的効果が得られ,有害な副作用はない。また,ある種の逸話的証拠は,治療上の有益性も得られることを示しているようである。
【0055】
以下の製剤は,本発明により企図されるいくつかの例示的製剤を表す。
製剤1
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリア果汁 100%
製剤2
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリアピューレ果汁 100%
製剤3
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリア果汁 15−99.9%
水 0.1−85%
製剤4
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリア果汁 15−99.9%
他の果汁 0.1−85%
製剤5
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリア果汁 50−90%
水 0.1−50%
他の果汁 0.1−30%
製剤6
成分 重量パーセント
モリンダシトリフォリアピューレ果汁 85−99.9%
水 0.1−15%
【0056】
1つの好ましい方法においては,上述したような異常な成長と診断された人に,少なくとも1オンスの製剤1または製剤2を朝の空腹時に,少なくとも1オンスを夜の就寝直前の空腹時に投与する。
【0057】
別の態様においては,異常な成長中に血管新生を経験している人に,成長が衰えるまで少なくとも1オンスの製剤3,4,5,または6を1日に2回投与する。
【0058】
詳細な臨床的実験により,モリンダシトリフォリアが体内において血管新生または血管の形成を阻害および予防しうることが見出された。以下の実施例は,これらの実験から得られた結果を例示するが,これは例示のみの目的である。これらの実施例は,いかなる意味においても限定を意図するものではなく,当業者は,他の種々のパラメータおよび対照群を用いて,本明細書に記載される本発明の意図される機能を実施することができることを理解するであろう。
【0059】
実施例1
上述したように,モリンダシトリフォリアは抗血管新生効果を有する。詳細には,モリンダシトリフォリアは,哺乳動物の体内の異常成長領域中で抗血管新生を誘導することができ,特に,腫瘍または成長がそれを通して栄養および血液中に存在する他の補充物から重要かつ生命維持に必要な供給物を得ることができる追加の血管がさらに形成されまたは生成されることを防止することにより,腫瘍および他の疾病に罹患した細胞領域の初期段階における抗血管新生効果を誘導することができる。
【0060】
この特定の実施例においては,注意深く加工されたモリンダシトリフォリア果汁を,制御された環境中に含まれる内皮細胞中で抗血管新生効果を誘導する積極的なメカニズムとして用いた。
【0061】
培養物を注意深く細胞形態学および成長の徴候について調べた。第1日に,細胞マトリクス中で内皮細胞の小さいアイランドが見られた。培養物を37℃で5%CO2湿潤雰囲気下でインキュベートした。第1日の終わりに,培地を交換し,培養物をさらにモニターした。
【0062】
第4,7,および9日に,細胞形態学および成長の徴候について培養物を注意深く調べた。培地を吸引し,モリンダシトリフォリアの試験化合物を所望の濃度で加えた。モリンダシトリフォリアの濃度は,0.1−10重量パーセントの範囲内であり,モリンダシトリフォリア果汁からなるものであった。モリンダシトリフォリア試験化合物を加えた後,培養物をインキュベートした。
【0063】
第10,12,および14日に,細管または血管の発達について培養物を注意深く調べた。培地を吸引し,固定し,1またはそれ以上の内皮細胞マーカー,例えば,CD31(PECAM−1)またはフォンビルブラント因子で染色した。
【0064】
これらの実験の結果は次のとおりである。モリンダシトリフォリア果汁は,10重量パーセントの濃度で,血管新生のプロセスにおいて細管形成を完全に阻害し,総製剤の約0.1−10重量パーセントの濃度で血管新生のプロセスにおいて細管形成を有意に阻害した。実際,細管の長さは,対照の未処理培養物中で形成された細管より有意に短かった(図1を参照)。
【0065】
これらの結果は,本明細書の記載にしたがって加工し製造したモリンダシトリフォリアが,特定の濃度で血管新生プロセスの伸長および移動段階を阻害することを示唆する。
【0066】
実施例2
上述したように,モリンダシトリフォリアは抗血管新生効果を有する。詳細には,モリンダシトリフォリアは,哺乳動物の体内の異常成長領域中で抗血管新生を誘導することができ,特に,腫瘍または成長がそれを通して栄養および血液中に存在する他の補充物から重要かつ生命維持に必要な供給物を得ることができる追加の血管がさらに形成されまたは生成されることを防止することにより,腫瘍および他の疾病に罹患した細胞領域の初期段階における抗血管新生効果を誘導することができる。
【0067】
この特定の実施例においては,注意深く加工されたモリンダシトリフォリアピューレ果汁を,制御された環境中に含まれる内皮細胞中で抗血管新生効果を誘導するメカニズムとして用いた。
【0068】
培養物を注意深く細胞形態学および成長の徴候について調べた。第1日に,細胞マトリクス中で内皮細胞の小さいアイランドが見られた。培養物を37℃で5%CO2湿潤雰囲気下でインキュベートした。第1日の終わりに,培地を交換し,培養物をさらにモニターした。
【0069】
第4,7,および9日に,細胞形態学および成長の徴候について培養物を注意深く調べた。培地を吸引し,モリンダシトリフォリアの試験化合物を所望の濃度で加えた。モリンダシトリフォリアの濃度は,0.1−10重量パーセントの範囲内であり,モリンダシトリフォリアピューレ果汁からなるものであった。モリンダシトリフォリア試験化合物を加えた後,培養物をインキュベートした。
【0070】
第10,12,および14日に,細管または血管の発達について培養物を注意深く調べた。培地を吸引し,固定し,1またはそれ以上の内皮細胞マーカー,例えば,CD31(PECAM−1)またはフォンビルブラント因子で染色した。
【0071】
これらの実験の結果は次のとおりである。モリンダシトリフォリアピューレ果汁は,10重量パーセントの濃度で,血管新生のプロセスにおいて細管形成を完全に阻害し,総製剤の約1−10重量パーセントの濃度で血管新生のプロセスにおいて細管形成を有意に阻害した。実際,細管の長さは,対照の未処理培養物中で形成された細管より有意に短かった(図2を参照)。
【0072】
これらの結果は,本明細書の記載にしたがって加工し製造したモリンダシトリフォリアピューレ果汁が特定の濃度で血管新生プロセスの伸長および移動段階を阻害することを示唆する。
【0073】
本発明は,その本質的特徴の趣旨から逸脱することなく他の特定の形に具体化することができる。記載の態様は,あらゆる点において単なる例示であって,限定的ではないものと考えるべきである。従って本発明の範囲は,上記記載ではなく,添付の請求の範囲に示されている。請求の範囲の等価物の範囲及び意味の範囲内に入る全ての変形は,本発明の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は,0.1−10パーセントの濃度のモリンダシトリフォリア果汁で処理したときの新たに形成された血管の細管の長さを示す棒グラフである。
【図2】図2は,0.1−10パーセントの濃度のモリンダシトリフォリアピューレ果汁で処理したときの新たに形成された血管の細管の長さを示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で抗血管新生効果を誘導する方法であって,患者に加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を投与する工程を含み,ここで,前記モリンダシトリフォリアは前記腫瘍性領域中の前記内皮細胞の成長因子を阻害することにより細管伸長および内皮細胞移動を阻害することによって腫瘍性領域中で新たな血管の形成を妨害することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モリンダシトリフォリアが,少なくとも1オンスの前記加工されたモリンダシトリフォリアを含む用量で,1日に2回,空腹時に,少なくとも2か月間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加工されたモリンダシトリフォリアが加工されたモリンダシトリフォリア果汁である,請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記加工されたモリンダシトリフォリアがモリンダシトリフォリアピューレ果汁である,請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記モリンダシトリフォリアが粉体形のものである,請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記モリンダシトリフォリアが固形のものである,請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約0.1−5重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約5−10重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約10−15重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約15−20重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約20−25重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約25−30重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約30−35重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約35−40重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約40−45重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約45−50重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約50−55重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約55−60重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約60−65重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約65−70重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリア約70−75重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約75−80重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項23】
加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を含む血管新生阻害剤であって,前記モリンダシトリフォリアは,前記内皮細胞の特定の成長因子を妨害することにより腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動の阻害を達成する,
ことを特徴とする血管新生阻害剤。
【請求項24】
前記製剤が加工されたモリンダシトリフォリア果汁を含む,請求項23記載の血管新生阻害剤。
【請求項25】
前記製剤が加工されたモリンダシトリフォリアピューレ果汁を含む,請求項23記載の血管新生阻害剤。
【請求項26】
前記加工されたモリンダシトリフォリアが約0.1−100重量パーセントの量で存在する,請求項23記載の血管新生阻害剤。
【請求項27】
前記製剤が約0.1−85重量パーセントの量で存在する水をさらに含む,請求項23記載の血管新生阻害剤。
【請求項28】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域において血管新生を阻害および予防する方法であって,前記方法は,加工したモリンダシトリフォリアを含む少なくとも1オンスの食物製品を朝の空腹時に経口投与し,そして少なくとも1オンスの前記食物製品を夜の就寝前に経口投与する,
の各工程を含み,前記モリンダシトリフォリアは,前記内皮細胞の特定の成長因子を阻害することにより,腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害する,
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記食物製品が,約100重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁を含む,請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記食物製品が,
約85−99.99重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;および
約0.1−15重量パーセントの量で存在する水
を含む,請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記食物製品が,
約85−99.99重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;および
約0.1−15重量パーセントの量で存在する他の果汁
を含む,請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記食物製品が,
約50−90重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;
約0.1−50重量パーセントの量で存在する水;および
約0.1−30パーセントの量で存在する他の果汁
を含む,請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記食物製品が,約100重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリアピューレ果汁を含む,請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記食物製品が,約85−99.99重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリアピューレ果汁;および約0.1−15重量パーセントの量で存在する水を含む,請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記食物製品が,少なくとも1オンスの前記食物製品を,1日に2回,前記腫瘍性領域中の血管新生が弱められるまで経口投与することにより消費される,請求項28記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより抗血管新生効果を誘導する方法であって,
以下の工程:
モリンダシトリフォリアL.植物から果実を取得し;
前記モリンダシトリフォリア果実を加工し;そして
予め決定された濃度の果汁または果肉含有果汁を含む予め決定された製剤と,少なくとも1つの他の成分とを混合する;
に従って得られた加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を用意し,そして
患者に前記製剤を投与する
の各工程を含み,
ここで,前記加工されたモリンダシトリフォリアは,前記腫瘍性領域中で,細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより,および前記内皮細胞の成長因子を阻害することにすることにより,腫瘍性領域中で新たな血管の形成を妨害することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モリンダシトリフォリアが,少なくとも1オンスの前記加工されたモリンダシトリフォリアを含む用量で,1日に2回,空腹時に,少なくとも2か月間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加工されたモリンダシトリフォリアが加工されたモリンダシトリフォリア果汁である,請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記モリンダシトリフォリアが粉体形のものである,請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記モリンダシトリフォリアが固形のものである,請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約0.1−5重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約5−10重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約10−15重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約15−20重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約20−25重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約25−30重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約30−35重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約35−40重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約40−45重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約45−50重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約50−55重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約55−60重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約60−65重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約65−70重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリア約70−75重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記製剤が前記モリンダシトリフォリアを約75−80重量パーセントの量で含み,前記製剤が少なくとも7日間投与される,請求項1記載の方法。
【請求項22】
加工されたモリンダシトリフォリア果汁または果肉含有果汁を予め決定された濃度で含む製剤,および
少なくとも1つの他の成分
を含む血管新生阻害剤であって,
前記モリンダシトリフォリアは,前記内皮細胞の特定の成長因子を妨害することにより腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動の阻害を達成する,
ことを特徴とする血管新生阻害剤。
【請求項23】
前記製剤が加工されたモリンダシトリフォリア果汁を含む,請求項22記載の血管新生阻害剤。
【請求項24】
前記加工されたモリンダシトリフォリアが約0.1−100重量パーセントの量で存在する,請求項22記載の血管新生阻害剤。
【請求項25】
前記製剤が約0.1−85重量パーセントの量で存在する水をさらに含む,請求項22記載の血管新生阻害剤。
【請求項26】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより血管新生を阻害する方法であって,
加工されたモリンダシトリフォリアを含む少なくとも1オンスの食物製品を朝の空腹時に経口投与し,
ここで,前記加工されたモリンダシトリフォリアは,以下の工程:
モリンダシトリフォリアL.植物から果実を取得し;
前記果実を加工し;そして
予め決定された濃度の果汁または果肉含有果汁を含む予め決定された製剤と,少なくとも1つの他の成分とを混合する;
に従って得られたものであり,
少なくとも1オンスの前記食物製品を夜の就寝前に経口投与する
の各工程を含み,
前記モリンダシトリフォリア製剤は,前記内皮細胞の特定の成長因子を阻害することにより,腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害する,
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記食物製品が,約100重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁を含む,請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記食物製品が,
約85−99.99重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;および
約0.1−15重量パーセントの量で存在する水
を含む,請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記食物製品が,
約85−99.99重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;および
約0.1−15重量パーセントの量で存在する他の果汁
を含む,請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記食物製品が,
約50−90重量パーセントの量で存在する加工されたモリンダシトリフォリア果汁;
約0.1−50重量パーセントの量で存在する水;および
約0.1−30パーセントの量で存在する他の果汁
を含む,請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記食物製品が,少なくとも1オンスの前記食物製品を,1日に2回,前記腫瘍性領域中の血管新生が弱められるまで経口投与することにより消費される,請求項26記載の方法。
【請求項32】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより抗血管新生効果を誘導する方法であって,
以下の工程:
モリンダシトリフォリアL.植物から果実を取得し;
前記果実を加工し;そして
果汁を含まない果肉を予め決定された濃度で含む予め決定された製剤と,少なくとも1つの他の成分とを混合する;
に従って得られた加工されたモリンダシトリフォリアを含む製剤を用意し,そして
患者に前記製剤を投与する
の各工程を含み,
ここで,前記加工されたモリンダシトリフォリアは,前記腫瘍性領域中で,細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより,および前記内皮細胞の成長因子を阻害することにすることにより,腫瘍性領域中で新たな血管の形成を妨害することを特徴とする方法。
【請求項33】
果汁を含まないモリンダシトリフォリア果肉を予め決定された濃度で少なくとも1つの他の成分とともに含む製剤,
および少なくとも1つの他の成分を含み,
前記モリンダシトリフォリアは,前記内皮細胞の特定の成長因子を阻害することにより,腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害する,
ことを特徴とする血管新生阻害剤。
【請求項34】
哺乳動物の体内の腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害することにより血管新生を阻害する方法であって,
加工されたモリンダシトリフォリアを含む少なくとも1オンスの食物製品を朝の空腹時に経口投与し,
前記加工されたモリンダシトリフォリアは,以下の工程:
モリンダシトリフォリアL.植物から果実を取得し;
前記果実を加工し;そして
果汁を含まない果肉を予め決定された濃度で含む予め決定された製剤と,少なくとも1つの他の成分とを混合する;
に従って得られたものであり,
少なくとも1オンスの前記食物製品を夜の就寝前に経口投与する,
の各工程を含み,
前記モリンダシトリフォリア製剤は,前記内皮細胞の特定の成長因子を阻害することにより,腫瘍性領域中で細管伸長および内皮細胞移動を阻害する,
ことを特徴とする方法。





【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−514005(P2006−514005A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550325(P2004−550325)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034652
【国際公開番号】WO2004/041186
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(500018549)モリンダ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】