説明

モータ内蔵ローラ及びモータ内蔵ローラ用モータユニット

【課題】ローラコンベア装置の組み立てを容易に行うことができるモータ内蔵ローラを提供する。
【解決手段】モータ内蔵ローラ3は、円筒形のローラ本体を持ち、その内部にモータと減速機が内蔵されている。モータ内蔵ローラ3は、ローラ本体の両端から固定軸20が突出している。一方の固定軸20が中空形状であり、その中に固定側コネクタ片25が内蔵されている。固定側コネクタ片25に自由側コネクタ片33が接続される。固定軸20には自由側コネクタ片33の脱落を防止する内ネジ(軸側係合部)24が設けられ、自由側コネクタ片33のネジ形成部37が軸側係合部24と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ本体内にモータが内蔵されたモータ内蔵ローラに関するものである。また本発明は、モータ内蔵ローラを構成するモータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローラコンベア装置の構成部品として、モータ内蔵ローラが知られている。モータ内蔵ローラは、特許文献1に開示されている様に、ローラ本体内にモータと減速機とが内蔵され、内部のモータを駆動することによって外側のローラ本体が回転するものである。
図24は、特許文献1に開示されたモータ内蔵ローラの断面図である。
公知のモータ内蔵ローラ100では、ローラ本体101内に固定軸110が貫通している。またローラ本体101の両端に蓋部材102が設けられ、蓋部材102から固定軸110の両端105,106が突出している。そして一方の固定軸端105は、中空形状であり、その内部に電気ケーブル107が挿通され、当該電気ケーブル107を介してローラ本体101に内蔵されたモータ103に給電される。
また電気配線を容易にすることを目的として、電気ケーブル107の先端にコネクタ片111が設けられたものもある。前記した特許文献1では、電気ケーブル107の先端にコネクタ片111が設けられた構成例を開示している。
【0003】
また特許文献1では、コネクタ片111が電気ケーブル107の先端に設けられているが、前記したコネクタ片を固定軸に組み込んだ構造のモータ内蔵ローラが特許文献2,3に開示されている。特許文献2,3の構成によると、モータ内蔵ローラの固定軸の中空部分にコネクタ片を内蔵させ、別途用意したコネクタ片を固定軸に接続して給電や信号の授受を行うこととなる。
【0004】
また特許文献4には、コネクタ片を固定軸に組み込む構成がより具体的に開示されている。
即ち特許文献4の請求項1に開示されたモータ内蔵ローラは、
固定ローラ軸と、
固定ローラ軸の軸心周りに回転自在に保持された、全体的に円筒形のドラムと、
ローラ軸上に保持され、且つ前記円筒状ドラム内に同ドラムのローラ軸周りの回転に連動しない様に設けられた電気駆動部と、
ローラ軸の一端部に形成された凹部と、
ローラ軸の一端に形成した凹部内に設けて前記電気駆動部に電気的に接続された第一の電気コネクターと、
電源に導通可能に接続され且つ、前記第一のコネクターと形状的に一致する様形成されて前記第一のコネクターに接続されることにより前記電気駆動部に通電することを可能とした第二のコネクターを有したモータ内蔵型のプーリまたはローラである。
【0005】
図25は、特許文献4に開示されたモータ内蔵ローラの断面図である。
特許文献4に開示されたモータ内蔵ローラでは、ローラ本体120の中を固定軸121が貫通しており、固定軸121上に電気駆動部たるモータ122が保持されている。
即ち特許文献4に開示されたモータ内蔵ローラでは、ローラ本体120の中を固定軸121が貫通し、固定軸121にモータ122の回転子123が取り付けられている。またモータ122の固定子125についても、固定軸121に固定されている。
この様に特許文献4に開示されたモータ内蔵ローラでは、電気駆動部たるモータ122の全ての部材が、固定軸121を取り巻く位置にあり、請求項に言う「ローラ軸上に保持され、且つ前記円筒状ドラム内に同ドラムのローラ軸周りの回転に連動しない様に設けられた電気駆動部」が実現されている。
【0006】
また特許文献5,6には、ローラ本体と組み合わせることによってモータ内蔵ローラを構成するモータユニットが開示されている。
特許文献5,6に開示されたモータユニットは、モータと減速機が一体化されたものであり、別途用意したローラ本体にモータユニットを挿入することによって任意の長さのモータ内蔵ローラを完成させるものである。特許文献5,6に開示されたモータユニットは、円筒状のケースを有し、その一端側から固定側短軸が突出し、他端側に出力部材が設けられたものである。
即ち特許文献5,6に開示されたモータユニットは、円筒状のケースを有し、前記した固定側短軸は、ケースの端部に一体的に固定されている。特許文献5,6に開示されたモータユニットでは、固定側短軸はごく短い軸であってケースに対して一体的に固定されているに過ぎず、固定側短軸の端部はケースの開口端で途切れている。そのため固定側短軸はケースを貫通しておらず、ケースの内部には、前記した固定側短軸は無い。そしてケース中の空間には、モータと減速機とが内蔵されている。また減速機の出力軸は、ケースの他端側から突出し、出力部材が取り付けられている。
【0007】
特許文献5,6に開示されたモータユニットは、別途用意したローラ本体に挿入され、その出力部材をローラ本体の内面と係合させる。
またモータユニットの固定側短軸は、軸受けを介してローラ本体の開口端部で支持し、固定軸の先端部をローラ本体から突出させてモータ内蔵ローラ自体の固定軸とする。
【0008】
ローラ本体の他端側には、別途短軸を回転可能に取り付け、この短軸をモータ内蔵ローラ自身の他端側の固定軸とする。
【0009】
特許文献5,6のモータユニットを採用したモータ内蔵ローラでは、固定軸は、ローラ本体を貫通していない。即ち特許文献5,6のモータユニットを採用したモータ内蔵ローラでは両端の固定軸はいずれも長さが短く、ローラ本体の両端に設けられているに過ぎない。
より具体的には、一方の固定軸は、ローラ本体の一端と、モータユニットのケースの一端だけを支持している。また他方の固定軸は、ローラ本体の他端だけを支持している。なお特許文献5,6のモータユニットを採用したモータ内蔵ローラでは、電気駆動部はローラ軸上に保持されておらず、特許文献4の構成要件を備えない。
【0010】
また特許文献7には、コンベア装置をゾーンに区分し、各ゾーンに被搬送物の存在を検知するセンサーを設け、自己のゾーンに被搬送物が存在し、前方のゾーンに被搬送物が存在しないという様な条件が揃った場合にモータ内蔵ローラを駆動するコンベア装置が開示されている。特許文献7に開示されたコンベア装置では、モータ内蔵ローラは、必要な時だけ駆動する。そのため特許文献7に開示されたコンベア装置では、モータ内蔵ローラは、起動と停止とを頻繁に繰り返すこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−18184号公報
【特許文献2】実開昭63−133515号公報
【特許文献3】実開昭63−133516号公報
【特許文献4】米国特許第5442248号公報
【特許文献5】特開2002−145438号公報
【特許文献6】米国特許第6672449号公報
【特許文献7】特開2005−67811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは前記した特許文献5,6の様なモータユニットを内蔵した構造のモータ内蔵ローラを改造し、固定軸端105,106の一方にコネクタ片を内蔵させる構成を試作した。
ここで前記した特許文献5,6に記載されたモータ内蔵ローラは、モータユニットを採用する故に部品の互換性が高く、前記した様に任意の長さのモータ内蔵ローラを完成させることができる効果がある。
【0013】
即ちモータユニットを採用しないモータ内蔵ローラは、特許文献1,2,3,4に図示されている様に固定軸がローラ本体を貫通するものであり、ローラ本体の全長が異なれば固定軸の長さをはじめ各部分の寸法が変わることとなる。そのため固定軸がローラ本体を貫通するタイプの構造を採用する場合、規格外の長さのモータ内蔵ローラを受注すると各部の長さを設計し直し、個別に部品を製作しなければならない。
これに対して特許文献5,6のモータユニットを採用したモータ内蔵ローラは、ローラ本体にモータユニットを挿入することによってモータ内蔵ローラを完成させることができ、ローラ本体の長さに制約を受けないから、任意の長さのモータ内蔵ローラを製造することができる。
また出力部材の直径を変更することによって任意の太さのモータ内蔵ローラを製造することもできる。
【0014】
そして本発明者らは、特許文献5,6のモータユニットを採用したモータ内蔵ローラを改良し、コネクタ片を固定側短軸に組み込んだ構成のものを試作した。ところが、試作したモータ内蔵ローラは、予期しない不具合を有するものであった。
即ち試作したモータ内蔵ローラは、モータユニットの固定側短軸に固定側コネクタ片を内蔵させ、自由側コネクタ片を固定側短軸の固定側コネクタ片に接続するものであるが、モータ内蔵ローラをコンベアに組み込んで使用する内に、自由側コネクタ片が外れてしまうことがあった。
【0015】
この原因を検討したところ、モータユニットを採用したモータ内蔵ローラは、特許文献1,2,3,4等に開示された様な固定軸がローラ本体を貫通する構造のモータ内蔵ローラに比べて、固定軸の振動が大きく、固定軸が振動するために自由側コネクタ片が外れてしまうのであった。
即ちモータ内蔵ローラは、図26の様に、搬送による回転力Aと、被搬送物の重力による垂直荷重Bとを受ける。
【0016】
搬送による回転力Aは、その反力Cを固定軸が担うこととなる。ここで特許文献2,3,4等の固定軸がローラ本体を貫通する構造のモータ内蔵ローラでは、両端の固定軸が前記した反力Cを均等に担う。これに対してモータユニットを使用したモータ内蔵ローラでは、片側の固定軸だけに反力Cが付加される。そのためモータユニットを使用したモータ内蔵ローラでは、コネクターが取り付けられた側の固定軸に付加される反力が大きい。
【0017】
またモータユニットを採用したモータ内蔵ローラでは、固定軸は、モータユニットのケースの端部を支持するだけであり、モータや減速機はケースに保持されているから、反力Cの伝達経路が長い。そのためモータが起動して、最初に回転力が固定軸に伝達されるまでに蓄積されるエネルギーが大きい。より具体的に説明すると、モータユニットを採用したモータ内蔵ローラでは、多数の部品を経由して反力Cが固定軸に伝達されるが、各部品には少しづつ隙間がある。そのためモータが起動すると、各部品間の隙間が詰まって次の部品に動力を伝達し、また当該部品と係合する部品の隙間が詰まって次の部品に動力を伝達し、この動作を繰り返して反力Cが固定軸に伝達される。そのためモータが起動して、最初に回転力が固定軸に伝達されるまでに各部品の運動エネルギーが蓄積され、この力が衝撃的に一方の固定軸に掛かることとなる。
【0018】
さらに被搬送物の重力による荷重Bによって図27の様にモータ内蔵ローラは撓むので、固定軸は上下方向にも揺動することとなるが、モータユニットを使用したモータ内蔵ローラは、全体の撓み量が大きく、固定軸の揺動量が大きい。即ち特許文献1,2,3,4等に開示されたモータ内蔵ローラでは、固定軸が貫通していたり、軸方向に接続されている構成であるから、被搬送物の重力による荷重Bは、ケース本体と、固定軸の双方によって担われる。これに対してモータユニットを使用したモータ内蔵ローラでは、ローラ本体内における軸方向の一部の領域に、内蔵物が存在しない空洞領域が存在するから、被搬送物の重力による荷重Bは、ケース本体だけに付加される。そのためモータユニットを使用したモータ内蔵ローラは、撓み量が大きく、固定軸の揺動量が大きい。
【0019】
また近年、特許文献7に記載した様に、モータ内蔵ローラを必要な時だけ駆動する構造のコンベア装置が増加しており、この構造のコンベア装置に採用されるモータ内蔵ローラは、起動と停止とを頻繁に繰り返す。そのため固定軸は、日常的に強く振動し、自由側コネクターが外れてしまう。
そこで本発明は、コネクターが外れにくい構造のモータ内蔵ローラ及びモータ内蔵ローラ用モータユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、固定軸がローラ本体から突出し、前記ローラ本体内にモータが内蔵されていて前記モータを回転させることによってローラ本体が固定軸に対して回転するモータ内蔵ローラにおいて、前記固定軸の少なくとも一方が中空であり、固定軸内又は固定軸端に固定側コネクタ片が設けられ、別途用意した自由側コネクタ片を前記固定側コネクタ片に接続することによりローラ本体の内外を電気的に導通可能であり、さらに前記固定軸又は固定側コネクタ片には自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であることを特徴とするモータ内蔵ローラである。
【0021】
本発明のモータ内蔵ローラでは、固定軸内又は固定軸端に固定側コネクタ片が設けられている。そのためモータ内蔵ローラの固定軸さえフレームの孔に通過させることができれば、固定軸の固定側コネクタ片に自由側コネクタ片を接続して内部のモータに給電することができる。
また本発明のモータ内蔵ローラは、自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であるから、固定軸が振動しても自由側コネクタ片が外れることがない。
【0022】
請求項2に記載の発明は、自由側コネクタ片を含み、固定側コネクタ片は固定軸内に設けられ、前記固定軸の内面に軸側係合部が形成され、自由側コネクタ片の外周部にはコネクタ側係合部が設けられ、前記軸側係合部とコネクタ側係合部が係合して自由側コネクタ片が前記固定軸に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラである。
【0023】
本発明のモータ内蔵ローラでは、固定軸の内面に軸側係合部が形成されている。軸側係合部には例えば内ネジや突起を採用することができる。
一方、自由側コネクタ片の外周にはコネクタ側係合部が設けられている。コネクタ側係合部には例えば外ネジや爪を採用することができる(請求項3,4)。
本発明のモータ内蔵ローラでは、前記した軸側係合部とコネクタ側係合部を係合して自由側コネクタ片を固定軸に取り付けることができるので、電気的に接続状態のコネクタが意に反して外れることがない。
また本発明のモータ内蔵ローラでは、自由側コネクタ片の外周にコネクタ側係合部が設けられ、固定軸の内面に軸側係合部があってその両者が係合する構造を採用するので、自由側コネクタ片の外形形状が小さいものとなる。そのため例えばモータ内蔵ローラの固定軸の軸端をフレーム片同士の内側に納め、フレームの外側からフレームの孔に自由側コネクタ片を挿入して両コネクターを接続することもできる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、ローラ本体内に内蔵されるモータは複数のコイルを有し、コイルに電流を供給する回路の一部又は全部がローラ本体内に内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のモータ内蔵ローラである。
【0025】
本発明のモータ内蔵ローラは、基板内蔵形と称される構造のモータ内蔵ローラであり、コイルに電流を供給する回路の一部又は全部がローラ本体内に内蔵されている。例えばブラシレスモータであるならば、内部に回転磁界や交番磁界を発生させるために、各コイルに順番に電流を供給する。例えば、内部にAコイル、Bコイル、Cコイルがある場合は、最初にAコイルだけに電流を流し、次にBコイルだけに電流を流し、次にCコイルだけに電流を流し、次にAコイルだけに電流を流すという様に通電回路を切り換える必要がある。本発明のモータ内蔵ローラでは、例えばこの切り換え回路がローラ本体内に内蔵されている。
本発明のモータ内蔵ローラでは、コイルに電流を供給する回路の一部又は全部がローラ本体内に内蔵されているので、ローラ本体の内外を導通させる電力線や信号線の本数が少なくて足る。そのため固定軸内が混み合わない。
【0026】
請求項6に記載の発明は、前記ローラ本体と、モータユニットと、蓋部材と、ローラ内軸支持部材と、本体側短軸部材とを有し、
前記モータユニットは、筒状のケースと、ケースの一端側から突出する固定側短軸と、前記固定側短軸の基端部をケースの端部に固定的に保持する固定軸ホルダーと、ケースの他端側から突出する駆動側軸と、モータの固定子及び回転子を有し、ケースの内面にモータの固定子が固定され、さらに前記固定子の中心にモータの回転子が回転可能に保持され、前記回転子の回転力が駆動側軸に伝導され、前記固定側短軸は前記固定軸ホルダーに保持されてケースの一端側から突出し、前記固定側短軸に前記固定側コネクタ片が設けられており、
前記モータユニットは、ローラ本体内にあってモータユニットの前記固定側短軸の突出部分が蓋部材を介してローラ本体に回転可能に支持され、前記固定側短軸の自由端側は、ローラ本体の一端側から突出して前記モータ内蔵ローラの前記固定軸を構成し、
前記モータユニットの駆動側軸は、ローラ本体の内部にあってローラ内軸支持部材によってローラ本体の中心軸上に保持されると共に、前記駆動側軸はローラ内軸支持部材によってローラ本体と回転方向に関して一体的に結合され、
ローラ本体の他端側には本体側短軸部材がローラ本体に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のモータ内蔵ローラである。
【0027】
本発明のモータ内蔵ローラは、モータユニットを使用するものである。
【0028】
また請求項7に記載の発明は、ローラ本体内における軸方向の一部の領域に、内蔵物が存在しない空洞領域が存在することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のモータ内蔵ローラである。
【0029】
本発明は、全長が長い場合に推奨されるモータ内蔵ローラの構造である。
【0030】
請求項8に記載の発明は、ローラ本体内に挿入されたモータ内蔵ローラを構成するモータ内蔵ローラ用モータユニットにおいて、筒状のケースと、ケースの一端側から突出する固定側短軸と、前記固定側短軸の基端部をケースの端部に固定的に保持する固定軸ホルダーと、ケースの他端側から突出する駆動側軸と、モータの固定子及び回転子を有し、ケースの内面にモータの固定子が固定され、さらに前記固定子の中心にモータの回転子が回転可能に保持され、前記回転子の回転力が駆動側軸に伝導され、前記固定側短軸は前記固定軸ホルダーに保持されてケースの一端側から突出し、前記固定側短軸は中空であり、当該固定側短軸内又は固定側短軸端に固定側コネクタ片が設けられ、別途用意した自由側コネクタ片を前記固定側コネクタ片に接続することによりケースの内外を電気的に導通可能であり、さらに前記固定側短軸又は固定側コネクタ片には自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であることを特徴とするモータ内蔵ローラ用モータユニットである。
【0031】
本発明は、モータ内蔵ローラ用のモータユニットに関するものであり、任意の長さ及び太さのローラ本体に挿入することが可能であり、任意の長さ及び太さのモータ内蔵ローラを完成させることができる。
また本発明のモータ内蔵ローラ用モータユニットは、自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であるから、固定軸が振動しても自由側コネクタ片が外れることがない。
【発明の効果】
【0032】
本発明のモータ内蔵ローラは、内部のモータに給電するための給電部が固定軸にあるため、給電部をフレーム片で囲まれた領域の外に出す作業が容易であり、コンベア装置を組み立てる際の作業が容易であるという効果がある。また本発明のモータ内蔵ローラは、自由側コネクターが外れにくく、故障が少ないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態のモータ内蔵ローラの正面図である。
【図2】図1のモータ内蔵ローラの断面図である。
【図3】図1のモータ内蔵ローラの分解斜視図である。
【図4】図1のモータ内蔵ローラに内蔵されているモータユニットの断面図である。
【図5】図1のモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の斜視図である。
【図6】図1のモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の断面図であり、両者が離れた状態を示す。
【図7】図1のモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の断面図であり、両者が接合された状態を示す。
【図8】図1のモータ内蔵ローラの端部の分解斜視図である。
【図9】図1のモータ内蔵ローラの回路図である。
【図10】本発明の他の実施形態におけるモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の斜視図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態におけるモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の斜視図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態におけるモータ内蔵ローラの断面図及びその一部拡大図である。
【図13】図12に示す実施形態で採用する自由側コネクタ片の正面図である。
【図14】図12の自由側コネクタ片の平面図である。
【図15】図12の自由側コネクタ片の右側面図である。
【図16】図12の自由側コネクタ片の正面断面図である。
【図17】図12の自由側コネクタ片の平面断面図である。
【図18】図12に示す実施形態のモータ内蔵ローラの端部の断面斜視図及び自由側コネクタ片の斜視図である。
【図19】図12に示す実施形態のモータ内蔵ローラの固定軸の断面図である。
【図20】図19に示す実施形態のモータ内蔵ローラの固定軸の斜視図である。
【図21】図12に示す実施形態のモータ内蔵ローラの固定軸の分解斜視図である。
【図22】図12のモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の断面図であり、両者が離れた状態を示す。
【図23】図12のモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の断面図であり、両者が接合された状態を示す。
【図24】特許文献1に開示されたモータ内蔵ローラの断面図である。
【図25】特許文献4に開示されたモータ内蔵ローラの断面図である。
【図26】モータ内蔵ローラに掛かる力を説明する説明図である。
【図27】モータ内蔵ローラに被搬送物が載置された場合のモータ内蔵ローラの変形状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態のモータ内蔵ローラ3は、一方の固定軸20に固定側コネクタ片25が内蔵されており、固定側コネクタ片25に自由側コネクタ片33を接続することによって給電や信号線の接続を行うことができることを特徴とするものであるが、これらの説明に先立って、モータ内蔵ローラ3の基本構造について説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態のモータ内蔵ローラ3を示す。本実施形態のモータ内蔵ローラは公知のそれと同様に、円筒形のローラ本体11を持ち、その内部にモータ12と減速機13が内蔵されている。ただし本実施形態のモータ内蔵ローラ3は、モータ12と減速機13及び回路基板15がユニット化されている。即ち本実施形態のモータ内蔵ローラ3は、ローラ本体11内にモータ内蔵ローラ用モータユニット(以下、単にモータユニットという)1が内蔵されたものである。そしてモータユニット1は、図4の様にモータ12と減速機13及び回路基板15が、円筒形のケース2内に収納されたものである。
【0036】
図3,4において、1は本発明の実施形態のモータユニットである。
本実施形態のモータユニット1は、図4に示すようにケース2と、ケース2から突出する固定側短軸4と、ケース2に内蔵された駆動部5及び回路基板15と、駆動部5の動力を受けて回転しケース2から突出する駆動側軸8によって構成されている。
即ち本実施形態のモータユニット1は、円筒状のケース2で覆われている。そしてケース2の内部には駆動部5が収められている。駆動部5は、具体的には、モータ12と減速機13である。
【0037】
一方ケース2の一端部には駆動側軸8が露出しており、他端部には固定側短軸4が露出している。
前記した駆動側軸8と固定側短軸4は、それぞれ駆動側軸ホルダ7と固定軸ホルダ10によってケース2の端部に取り付けられている。
【0038】
即ちケース2は、金属で作られた円筒であり、両端が開放されている。駆動側軸ホルダ7は、樹脂等で成形されたものである。駆動側軸ホルダ7は、略円筒状をしていて、外径はケース2の内径と等しく、ケース2の一端部(図4 左端)に一体的にはめ込まれている。
また駆動側軸ホルダ7は内部に軸受け14を有している。駆動側軸ホルダ7の軸受け14の内径は駆動側軸8と等しく、出力軸6の回転を妨げないよう保持している。即ち出力軸6は、ケース2に対して相対的に回転する。
【0039】
一方固定軸ホルダ10も同様に略円筒状をしており、ケース2の端部(図4、右端)にはめ込まれる。
固定軸ホルダ10は、固定側短軸4をケース2に対して一体的に固定するものであり、その内径は固定側短軸4の内径と等しい。即ち固定軸ホルダ10は、固定側短軸4とケース2を一体不可分に結合するものであり、軸受けは持たない。
【0040】
固定側短軸4はモータユニット1の端部であって中心軸上に設けられ、固定軸ホルダ10によりケース2に一体的に固定される。固定側短軸4は、内部が中空であり、その内部には後記する固定側コネクタ片25が内蔵されている。
【0041】
駆動部5は前記した様にモータ12と減速機13で構成されている。モータ12は、固定子18と回転子19によって構成されるブラシレスモータである。本実施形態では、固定子18は、ケース2の内面に一体的に固定されている。また固定子18の中心にモータの回転子19が回転可能に保持されている。本実施形態では、ケース2の内面に回転子保持部材29が一体的に設けられ、当該回転子保持部材29を介してモータの回転子19が固定子18の中心に回転可能に保持されている。
【0042】
本実施形態では、回転子19に永久磁石が使用されている。また固定子18はコイルである。
磁極検出装置としてはホール素子等が使用される。
【0043】
回路基板15はスイッチング回路を内蔵するものであり、固定子18のコイルに電流を供給する回路の一部を備えている。
即ち本実施形態で採用するモータは、ブラシレスモータであり、固定子18は図9の回路図の様に3個のコイルW1,W2,W3を有している。また回転子19たる永久磁石の回転位置を検出するホール素子H1,H2,H3を備えている。
そして前記したコイルW1,W2,W3によって内部に回転磁界を発生させるために、各コイルW1,W2,W3に順番に電流を供給するスイッチング回路を有し、当該スイッチング回路が回路基板15に納められている。
【0044】
減速機13はモータ12と駆動側軸8の間にあり、モータ12の回転速度を減速させて出力軸6に伝えるためのものである。
【0045】
ケース2内における各部材のレイアウトは、図4の通りであり、固定側短軸4が固定軸ホルダ10によってケース2の一端に固定されており、固定側短軸4はケース2の端部で途切れていてケース2の奥には入り込んでいない。
そして固定軸ホルダ10の奥側には、回路基板15が配置されている。また回路基板15の更に奥にモータ12と減速機13が設けられている。減速機13の出力軸は、駆動側軸8としてケース2の他端側から突出している。
【0046】
以上、モータユニット1について説明したが、次にモータユニット1が組み込まれたモータ内蔵ローラ3について説明する。
モータ内蔵ローラ3は、前記したモータユニット1の他に、ローラ本体11と、ローラ内軸支持部材23及び蓋部材16,17によって構成されている(図3)。
【0047】
ここでローラ本体11は、両端が開口した円筒である。ローラ内軸支持部材23は、図3の様にローラ本体11の内部に一体的に設けられたものであり、中心に六角形の開口34が設けられている。
一方の蓋部材16は、図2の左端に示す様な、円筒状のローラ本体嵌合部材52と、2連の軸受け54及び本体側短軸部材53が一体化されたものである。また他の一つの蓋部材17は、図2の右端に示す様な構造であり、ローラ本体嵌合部材55と、軸受け22が一体化されたものである。
【0048】
本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、モータユニット1がローラ本体11内に挿入されており、モータユニット1の駆動側軸8がローラ内軸支持部材23の開口34と係合している。また本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、ローラ本体11の両端に蓋部材16,17が取り付けられている。具体的には、図2,3の様に、ローラ本体11の一端側(モータユニット1の固定側短軸4側)に、ローラ本体嵌合部材55と、軸受け22が一体化された蓋部材17を装着する。
このとき、軸受け22の内輪に、モータユニット1の固定側短軸4を挿通し、固定側短軸4の基端部の円形断面部を軸受け22の内輪に当接させる。
その結果、固定側短軸4の自由端側がローラ本体11から突出することとなる。本実施形態では、ローラ本体11から突出した固定側短軸4の先端側が、モータ内蔵ローラ3自身の一方の固定軸20を構成している。
【0049】
一方、ローラ本体11の他端側に、ローラ本体嵌合部材52と、軸受け54及び本体側短軸部材53が一体化された蓋部材16を取り付ける。
本実施形態では、蓋部材16の本体側短軸部材53がモータ内蔵ローラ3自身の他方の固定軸21を構成している。
【0050】
本実施形態のモータ内蔵ローラ3を概観すると、本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、固定軸20,21がローラ本体11を貫通していない。即ちモータ内蔵ローラ3では両端の固定軸20,21はいずれも長さが短く、ローラ本体11の両端に設けられているに過ぎない。より具体的には、一方の固定軸20は、ローラ本体11の一端と、モータユニット1のケース2の一端だけを支持している。また他方の固定軸21は、ローラ本体11の他端だけを支持している。
また本実施形態では、固定軸20は、モータユニット1のケース2の端部を支持するだけであり、モータ12や減速機13はケース2に保持されている。
【0051】
また本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、ローラ本体11内における軸方向の一部の領域に、内蔵物が存在しない空洞領域44が存在する。
【0052】
モータ内蔵ローラ3の全体的説明に戻ると、本実施形態で採用するモータ内蔵ローラ3は、前記した様にローラ本体11の両端から固定軸20,21が突出している。より具体的には、モータ内蔵ローラ3では、ローラ本体11の両端に蓋部材16,17が取り付けられており、当該蓋部材16,17から固定軸21,20が突出している。なお固定軸20,21とローラ本体11との間には軸受け22が介在されており、ローラ本体11は固定軸20,21に対して相対的に回転する。また一方の固定軸20は、一面が面取りされていて断面形状が「D」形をしている。
【0053】
そしてモータ内蔵ローラ3では、図5,6,7の様に、モータユニット1側の固定軸(固定側短軸)20が中空形状であり、その中に固定側コネクタ片25が内蔵されている。
固定側コネクタ片25は、図の様に5個の孔を有するメス側コネクタであり、外形形状は、中央部にフランジ26を有する円柱形である。
一方、固定軸20は、軸方向に連通する孔28を有し内部が空洞である。固定軸20の内径は、突出側が大きく、ローラ本体11側が小さい。即ち固定軸20の内部には、段部27が形成されている。
また固定軸20の孔であって、突出側(大径側)の内面には、内ネジ(軸側係合部)24が形成されている。
【0054】
固定側コネクタ片25は、スリーブ30と共に固定軸20内の孔28に挿入されている。即ち固定側コネクタ片25の後端側(ピン孔が無い側)の外周にスリーブ30が装着され、ピン孔側を外側に向けた姿勢で固定軸20内の孔28に挿入されている。固定軸20の孔28内においては、孔28の段部27にスリーブ30の一方の端面が当接し、スリーブ30の他方の端面に固定側コネクタ片25のフランジ26が接している。そのため固定側コネクタ片25のフランジ26は、スリーブ30を介して孔28の段部27と接し、軸方向の位置決めがなされている。
また固定側コネクタ片25と固定軸20内の孔28及びスリーブ30の間には、図示しない接着剤が充填されており、固定側コネクタ片25が外側に離脱することはない。
【0055】
ローラ本体11の内部においては、固定側コネクタ片25の後端から延びるリード線31が前記した回路基板15に接続されており、回路基板15からモータ12に対して給電される。なお本実施形態では、モータ内蔵ローラ3が基板内蔵型であるために、リード線の数が5本であるが、回路基板15を内蔵しない構造のモータ内蔵ローラに本発明を適用する場合には、リード線の数はより多く必要となり、固定側コネクタ片25のピン孔の数もそれに合わせて増加させる必要がある。
【0056】
本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、前記した固定側コネクタ片25に自由側コネクタ片33が接続される。
自由側コネクタ片33は、5ピンのオス側コネクタである。
自由側コネクタ片33は、図5,6に示すようにコネクタ本体35と、ネジリング36によって構成されている。
ネジリング36は、コネクタ本体35の外周部に設けられており、コネクタ本体35に対して回転可能であるが、軸方向には一体的に移動する。
ネジリング36は、ネジ形成部37と摘まみ部38を有しており、摘まみ部38はネジ形成部37よりも径が太い。
そしてネジ形成部37の外周には外ネジ(コネクタ側係合部)が形成されている。摘まみ部38の外径は、前記した固定軸20の外径に等く、外周面にローレット加工が施されている。
【0057】
本実施形態のモータ内蔵ローラ3では、固定軸20の孔28に、自由側コネクタ片33のコネクタ本体35を挿入することによって自由側コネクタ片33と固定側コネクタ片25とを接続することができる。
また固定軸20の孔28に、自由側コネクタ片33のコネクタ本体35を挿入した状態でネジリング36を回転すると、ネジリング36に設けられた外ネジ(雄ネジ)が、固定軸20の孔28内に設けられた内ネジ24と係合する。ここでネジリング36は、コネクタ本体35に対して回転可能であるが、軸方向には一体的に移動するので、ネジリング36の外ネジ(雄ネジ)を固定軸20の内ネジ24と係合させた状態でネジリング36を回転すると、自由側コネクタ片33が固定軸20の孔28側に移動する。また自由側コネクタ片33は、固定軸20に対してネジ係合されているので、自由側コネクタ片33が固定軸20から離脱することはない。
【0058】
本実施形態では、固定側コネクタ片25を図5の様に固定軸20の孔28内に納めたが、固定側コネクタ片25を固定軸20の端面に設けてもよい。
図10,11は、本発明の他の実施形態におけるモータ内蔵ローラの端部及び自由側コネクタ片の斜視図である。
図10に示すモータ内蔵ローラでは、固定軸20の本体部分の面と、固定側コネクタ片25とが同一の面にある。図11に示すモータ内蔵ローラでは、固定側コネクタ片25は、固定軸20の本体部分の面から突出している。
【0059】
上記した実施形態の自由側コネクタ片33は、ネジによって固定軸20と係合するものであるが、他の係合手段を採用することも可能である。
以下、爪によって自由側コネクタ片62を係合させる構成について説明する。
図12に示すモータ内蔵ローラ60は、固定軸61内の構造及び自由側コネクタ片62を除いて先の実施形態と同一である。そのため同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
【0060】
本実施形態のモータ内蔵ローラ60では、図20の様に固定軸61は外形が六角形であり、その内部中空形状であり、固定側コネクタ片75が内蔵されている。
固定側コネクタ片75は、図21の様に5個の孔を有するメス側コネクタである。固定側コネクタ片75は先端部側76と後端部側77で形状が異なる。即ち先端部側76は端面に前記した5個の孔が設けられている。先端部側76は概ね円筒形であるが、2面が面取りされている。
固定側コネクタ片75の後端部側77は円筒形である。固定側コネクタ片75の周面であって、先端部側76と後端部側77との間には、コネクタ側当接突起78が対向する位置に2個設けられている。
【0061】
一方、固定軸61は、外形形状が六角形であり、軸方向に連通する孔86を有し内部が空洞である。
固定軸61の内側であって、開口端の近傍に、図19の様に環状の溝63が設けられている。そのため固定軸61の内側には段部があり、開口端の内面に突起(軸側係合部)67が形成されている。
また固定軸61の開口端には図20,21の様に軸方向に延びるスリット81が設けられている。
【0062】
固定側コネクタ片75は、スリーブ82と共に固定軸61内の孔86に挿入されている。スリーブ82は、図21の様に管部83を有し、管部83の側面であって、長さ方向の端部にスリーブ側当接突起85が設けられている。
【0063】
そして固定側コネクタ片75は、後端側(ピン孔が無い側)の外周にスリーブ82が装着され、ピン孔側を外側に向けた姿勢で固定軸61内の孔86に挿入されている。固定軸61の孔86内においては、孔86のスリット81にスリーブ82のスリーブ側当接突起85が入り込み、スリーブ側当接突起85がスリット81の奥端に当接し、スリーブ82が固定軸61内の孔86内で位置決めされている。
【0064】
また固定側コネクタ片75のコネクタ側当接突起78が、スリーブ82の端面と接し、固定側コネクタ片75が固定軸61内の孔86内で位置決めされている。
【0065】
一方、自由側コネクタ片62は、図の様に略「L」字状の本体部65を持ち、本体部の側面側に接続部80が設けられている。また接続部80に対して90度の方向にコード68が延びている。
接続部80は、基礎ブロック部66にピンが5本突出したものである。また基礎ブロック部66の周囲には、筒状の係合筒69が設けられている。係合筒69の先端は、基礎ブロック部66よりも前方に突出している。
【0066】
本体部の側面側には溝64が設けられており、当該溝64に係合片70が装着されている。係合片70は、バネ鋼等の弾性を有する素材で作られたものであり、平面視は、略「U」字状をしている。即ち係合片70は、一方の帯状部材を折り返して作られた形状をしており、一対の平行片71が中間部で接合され、平行片71の他端側が自由端として開放された形状をしている。そのため各平行片71は、片持ち状であり、両者の自由端側は撓む。即ち平行片71の間隔が広がる方向及び狭まる方向に撓むことができる。
【0067】
各平行片71の先端は、ややテーパ状に絞られている。また各平行片71の先端近傍には、外側に向かって爪72が設けられている。
前記した様に、各平行片71は、片持ち状であり、両者の自由端側は撓むことができるから、前記した爪72は、広がる方向及び近接する方向に自由度を持つ。
【0068】
本実施形態のモータ内蔵ローラ60についても、固定側コネクタ片75に自由側コネクタ片62が接続される。
即ち自由側コネクタ片62の接続部を固定軸61の孔86内に装入する。その結果、固定軸61内の固定側コネクタ片75のピンソケットに自由側コネクタ片62のピンが挿入される。また固定側コネクタ片75の外周部に自由側コネクタ片62の係合筒69が係合する。
さらに自由側コネクタ片62の係合片70に設けられた爪72が固定軸61内に入り、当該爪72が固定軸61の内側に設けられた突起67と係合する。
【0069】
即ち自由側コネクタ片62を固定軸61に接触させ、自由側コネクタ片62を固定軸61側に押しつけると、係合片70の平行片71が撓んで爪72同士の間隔が縮まり、爪72が固定軸61の孔86内に入る。そして固定軸61の孔86内には溝63が設けられており、拡径されているから、平行片71はその弾性によって広がり、爪72が、突起67と係合する。
そのため自由側コネクタ片62は、固定軸61に対して爪72で係合され、自由側コネクタ片62が固定軸61から離脱することはない。
【0070】
以上説明した実施形態では、自由側コネクタ片62の爪72を固定軸61の内側と係合させたが、本発明は、この構造に限定されるものではなく、固定軸の外側と係合させてもよい。
【0071】
また本発明は、モータユニットを有しない構造のモータ内蔵ローラに応用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
3 モータ内蔵ローラ
11 ローラ本体
12 モータ
15 回路基盤
20,21 固定軸
24 内ネジ(軸側係合部)
25 固定側コネクタ片
30 スリーブ
33 自由側コネクタ片
35 コネクタ本体
36 ネジリング
37 ネジ形成部(コネクタ側係合部)
53 本体側短軸部材
60 モータ内蔵ローラ
61 固定軸
62 自由側コネクタ片
64 溝
66 基礎ブロック部
67 突起(軸側係合部)
69 係合筒
70 係合片
71 平行片
72 爪
75 固定側コネクタ片
78 コネクタ側当接突起
81 スリット
82 スリーブ
85 スリーブ側当接突起
W1,W2,W3 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軸がローラ本体から突出し、前記ローラ本体内にモータが内蔵されていて前記モータを回転させることによってローラ本体が固定軸に対して回転するモータ内蔵ローラにおいて、前記固定軸の少なくとも一方が中空であり、固定軸内又は固定軸端に固定側コネクタ片が設けられ、別途用意した自由側コネクタ片を前記固定側コネクタ片に接続することによりローラ本体の内外を電気的に導通可能であり、さらに前記固定軸又は固定側コネクタ片には自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であることを特徴とするモータ内蔵ローラ。
【請求項2】
自由側コネクタ片を含み、固定側コネクタ片は固定軸内に設けられ、前記固定軸の内面に軸側係合部が形成され、自由側コネクタ片の外周部にはコネクタ側係合部が設けられ、前記軸側係合部とコネクタ側係合部が係合して自由側コネクタ片が前記固定軸に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項3】
コネクタ側係合部は弾性を有する爪であり、軸側係合部は前記爪と係合する突起であることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項4】
コネクタ側係合部は雄ねじであり、軸側係合部は雌ねじであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項5】
ローラ本体内に内蔵されるモータは複数のコイルを有し、コイルに電流を供給する回路の一部又は全部がローラ本体内に内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項6】
前記ローラ本体と、モータユニットと、蓋部材と、ローラ内軸支持部材と、本体側短軸部材とを有し、
前記モータユニットは、筒状のケースと、ケースの一端側から突出する固定側短軸と、前記固定側短軸の基端部をケースの端部に固定的に保持する固定軸ホルダーと、ケースの他端側から突出する駆動側軸と、モータの固定子及び回転子を有し、ケースの内面にモータの固定子が固定され、さらに前記固定子の中心にモータの回転子が回転可能に保持され、前記回転子の回転力が駆動側軸に伝導され、前記固定側短軸は前記固定軸ホルダーに保持されてケースの一端側から突出し、前記固定側短軸に前記固定側コネクタ片が設けられており、
前記モータユニットは、ローラ本体内にあってモータユニットの前記固定側短軸の突出部分が蓋部材を介してローラ本体に回転可能に支持され、前記固定側短軸の自由端側は、ローラ本体の一端側から突出して前記モータ内蔵ローラの前記固定軸を構成し、
前記モータユニットの駆動側軸は、ローラ本体の内部にあってローラ内軸支持部材によってローラ本体の中心軸上に保持されると共に、前記駆動側軸はローラ内軸支持部材によってローラ本体と回転方向に関して一体的に結合され、
ローラ本体の他端側には本体側短軸部材がローラ本体に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項7】
ローラ本体内における軸方向の一部の領域に、内蔵物が存在しない空洞領域が存在することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項8】
ローラ本体内に挿入されたモータ内蔵ローラを構成するモータ内蔵ローラ用モータユニットにおいて、筒状のケースと、ケースの一端側から突出する固定側短軸と、前記固定側短軸の基端部をケースの端部に固定的に保持する固定軸ホルダーと、ケースの他端側から突出する駆動側軸と、モータの固定子及び回転子を有し、ケースの内面にモータの固定子が固定され、さらに前記固定子の中心にモータの回転子が回転可能に保持され、前記回転子の回転力が駆動側軸に伝導され、前記固定側短軸は前記固定軸ホルダーに保持されてケースの一端側から突出し、前記固定側短軸は中空であり、当該固定側短軸内又は固定側短軸端に固定側コネクタ片が設けられ、別途用意した自由側コネクタ片を前記固定側コネクタ片に接続することによりケースの内外を電気的に導通可能であり、さらに前記固定側短軸又は固定側コネクタ片には自由側コネクタ片の脱落を防止する軸側係合部が設けられ、自由側コネクタ片の一部が軸側係合部に機械的に係合可能であることを特徴とするモータ内蔵ローラ用モータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−159160(P2010−159160A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3946(P2009−3946)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】