説明

モータ支持部とその受けリングから形成されるアセンブリ

【課題】モータ支持部とその受けリングから形成されるアセンブリを提供する。
【解決手段】本発明は、換気・暖房および/または冷房設備1の送風機6を構成するアセンブリを対象とする。このアセンブリは、モータ9を受けるためのモータ支持部13と、モータ支持部を受けるためのリング41から形成されている。モータ支持部は、モータ支持部がリング内を通過する時に変形可能なソフトシールリップ20を少なくとも1つ備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に装備される換気・暖房、および/または冷房設備の分野に属する。本発明は、モータ支持部と、モータ支持部の受けリングから形成されたアセンブリを対象とする。また本発明は、モータ支持部と、モータと、モータにより回転するタービンとから構成された電動ファンユニットも対象とする。さらに本発明は、この種のリングを備えるボリュートも対象とする。さらに本発明は、この種の電動ファンユニットと、この種のボリュートとを含む送風機も対象とする。最後に本発明は、この種のアセンブリの取り付け、取り外し方法をも対象とする。
【背景技術】
【0002】
自動車には通常、車室内空気の空気熱力学的パラメータを変更するため、換気・暖房、および/または冷房設備が装備されている。この変更は、車室内へ空気の流れを放出することにより行われる。この設備は主に、車両のダッシュボードの下に収容されたプラスチック素材のケースからなっている。この設備は、ケース内部への空気の流れの吸気口を少なくとも1つと、ケースから車室に向けた空気の流れの放出口を少なくとも1つ備えている。この設備は、空気の流れを生み出すとともに、これを吸気口から放出口へ流すための送風機を備えている。
【0003】
送風機はボリュートを備え、このボリュートに電動ファンユニットが嵌め込まれている。この電動ファンユニットは、主にタービンと、ボリュート内部でタービンを動かすことのできるモータと、モータ支持部とから構成されている。モータ支持部はプラスチック素材でできた部品から構成され、このプラスチック素材の部品上に、タービンを支えるモータが固定される。タービンが作動すると、空気の流れが発生させられる。
【0004】
ボリュートは、空気の入口と空気の出口とを備える筐体からなり、この入口を通って、空気の流れが筐体内部に吸い込まれ、かつ出口を通って、空気の流れが筐体の外に排出される。筐体は、空気の入口が貫設される吸気壁と、空気の出口が貫設される排気壁と、電動ファンユニットの受け壁とを備えている。受け壁は、電動ファンユニットがボリュート上に嵌め込まれる時に、電動ファンユニットにより塞がれる開口部を備えている。通常、吸気壁と受け壁は相対しており、排気壁を介して互いに連結されている。排気壁は、例えば螺旋形状または渦巻形状をなしている。
【0005】
電動ファンユニットとボリュートを互いに組み合わせるため、モータ支持部とボリュートは、嵌め込みによる固定協働部材を備えている。
【0006】
通常、この種の送風機の設計者は、電動ファンユニットをボリュートの内側または外側のどちらから取り付けられるようにするかについて、予め選択する。
【0007】
第1の場合、電動ファンユニットは、モータ支持部がボリュートに突き当たるまで、空気の入口経由でボリュート内部に挿入され、次いで、ボリュート内部で電動ファンユニットが4分の1回転することにより、協働部材は互いに嵌合する。
【0008】
第2の場合、電動ファンユニットは、モータ支持部がボリュートに突き当たるまで、開口部経由でボリュート内部に挿入され、次いで、協働部材が互いに嵌合する。
【0009】
前述2つの場合における電動ファンユニットとボリュート間の取り外し作業は、取り付け作業と同じ段階を含むものであるが、方向は逆向きである。言い換えると、取り付けおよび取り外しは、1つの方向に沿ってはいるが、反対向きに行われる電動ファンユニットの移動を含むものである。これらの移動は、結局のところ、電動ファンユニットの往復ということになる。
【0010】
この種の方式には柔軟性がなく、また送風機の取り付けおよび取り外しを、提示される選択肢のいずれか1つに従ってのみ行わなければならないという制約が存在する。実際、メンテナンス作業時に、ボリュート上の電動ファンユニットを取り外す必要がある場合、電動ファンユニットのボリュート上への設置時に、同ユニットの通り道となったスペースが空いていなければならない。しかしこのスペースは、電動ファンユニットの取り付け後、特に車両のステアリングコラムにより塞がれていることが多い。その結果、電動ファンユニット取り外しのために、多くの操作を要することとなるが、これには時間がかかる上に、各部の損傷を招くことにもなる。他方、設計者がこの種の送風機に望むのは、送風機が右ハンドル、左ハンドルいずれの車両にも適合すること、すなわち、車両のステアリングコラムが開口部または空気の入口のどちらに対置している車両にも適合しうるということである。したがって、上述した各種制約の中では、この種の送風機の使用は、不可能であると結論付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の目的は、モータを受けるためのモータ支持部と、モータ支持部の受けリングとから形成されるアセンブリを提案するものであって、このアセンブリは、換気・暖房および/または冷房設備の送風機を構成するとともに、モータ支持部を含む電動ファンユニットを、この種のリングを備えるボリュート上へ取り付け・取り外しする選択肢を多様化できるように配置されているものである。本発明の別の目的は、この種のモータ支持部を含む電動ファンユニットを提案することである。さらに別の目的は、この種のリングを備えるボリュートを提案することである。さらに別の目的は、この種の電動ファンユニットを受けることが可能な前記ボリュートを含む送風機を提案することである。最後の目的は、この種の電動ファンユニットのボリュート上への取り付け、および/または取り外し方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアセンブリは、換気・暖房、および/または冷房設備の送風機を構成しているアセンブリである。このアセンブリは、モータを受けるためのモータ支持部と、モータ支持部を受けるためのリングから形成されている。モータ支持部は、モータ支持部がリング内を通過する時に変形可能なソフトシールリップを、少なくとも1つ備えている。
【0013】
モータ支持部の直径は、リングの直径D’よりも小さいと有利である。
ソフトシールリップは、好適には、モータ支持部に含まれる冠部の外表面に設けられる。
ソフトシールリップは、外表面のエッジに設けられている。
ソフトシールリップは、冠部にオーバーモールドされているのが好ましい。
ソフトシールリップは、例えばエラストマータイプの材料からなっている。
【0014】
外表面は、リング内側表面に設けられた第2の嵌め込み部材と協働するための第1の嵌め込み部材を備えていると有利である。
【0015】
第1の嵌め込み部材は、好適には冠部の半径方向の面に沿って設けられた溝を含んでいる。
【0016】
溝は、第2の嵌め込み部材を構成するフィンガの通過を可能とするオリフィス部を少なくとも1つ含んでいると有利である。
【0017】
溝は、溝の対称点を中心に相対するとともに半径方向の面内に設けられた2つのオリフィス部を含んでいるのが好ましい。
【0018】
溝は、前記フィンガの受け窪みを含んでいると有利である。
【0019】
溝は、半径方向の面を中心に互いに対称である2つのエッジにより、境界を画定される。
【0020】
少なくとも1つのエッジが、リングの内側表面に設けられた少なくとも1つの第2のストッパに当接するための、少なくとも1つの第1のストッパを備えているのが好ましい。
【0021】
本発明の電動ファンユニットは、モータと、タービンと、この種のモータ支持部とを含んでいる。
【0022】
本発明のボリュートは、この種のリングを備えている。
【0023】
本発明の送風機は、この種のボリュートとこの種の電動ファンユニットとを含む換気・暖房、および/または冷房設備の送風機である。
【0024】
この種のアセンブリの取り付けおよび取り外し方法は、1つの方向に沿って同じ向きに行われる取り付け段階と、取り外し段階を含むことを主たる特徴としている。
【0025】
以下に示す各添付図面とあわせて、その実施例の説明を読むことにより、本発明を、より良く理解しうると思う。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による送風機を収容する換気・暖房、および/または冷房設備の概略断面図である。
【図2】図1に示す送風機を構成する電動ファンユニットとボリュートの取り付け方法の段階を示す概略図である。
【図3】図1に示す送風機を構成する電動ファンユニットとボリュートの取り付け方法の段階を示す概略図である。
【図4】図1に示す送風機を構成する電動ファンユニットとボリュートの取り外し方法の段階を示す概略図である。
【図5】図1に示す送風機を構成する電動ファンユニットとボリュートの取り外し方法の段階を示す概略図である。
【図6】図1に示す送風機を構成するモータ支持部とボリュートの部分断面概略図である。
【図7】図1に示す送風機を構成するモータ支持部とボリュートの部分断面概略図である。
【図8】図1に示す送風機を構成するモータ支持部とボリュートの部分断面概略図である。
【図9】図1に示す送風機を構成するモータ支持部とボリュートの部分断面概略図である。
【図10】図6から図9に示すモータ支持部の概略斜視図である。
【図11】図10に示すモータ支持部とモータ支持部の受けリングとから形成された、本発明によるアセンブリの斜視図である。
【図12】図10に示すモータ支持部が備える第1の嵌め込み部材の概略図である。
【図13】図11に示すリングが備える第2の嵌め込み部材の概略図である。
【図14a】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14b】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14c】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14d】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14e】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14f】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14g】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【図14h】モータ支持部のリング上への取り付け/取り外しの段階を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1において、自動車には、車室内空気の空気熱力学的パラメータを変更するため、換気・暖房、および/または冷房設備1が装備されている。この設備1は、主に、車両のダッシュボードの下に配置されるプラスチック素材のケース2により構成されている。ケース2は少なくとも1つの吸気口3を備え、空気の流れ4が、この吸気口を通ってケース2内部へ入り込む。同様に、ケース2は少なくとも1つの空気放出口5を備え、空気の流れ4が、この放出口を通ってケース2から車室へ放出される。
【0028】
空気の流れ4を生み出すとともに、これをケース2内部に循環させるため、このケースには、ラジアル送風機などの送風機6が収容されている。送風機6は、渦巻き体、すなわちボリュート7を有し、このボリュートの内部で、少なくとも1つのタービン8が電気モータ9により回転する。タービン8は、例えば円筒型タービンであり、開放型ケーシングまたは閉鎖型ケーシングの別は問わない。ボリュート7は、空気の入口10と空気の出口11とを備えたプラスチック素材の筐体からなっている。ボリュート7の内部では、モータ9によるタービン8の作動により、空気の流れ4が空気の入口10から空気の出口11へ循環する。筐体は、空気の流れ4が失われることなく、空気の入口10から空気の出口11まで流れるよう、密閉式になっている。
【0029】
モータ9とタービン8は、モータ9における回転軸12を介して、互いに連結されている。モータ支持部13は、嵌め込み、またはその他あらゆる類似の取り付け手段により、モータ9を受けている。モータ支持部13は、プラスチック素材からなっている。タービン8と、モータ9と、モータ支持部13とが一体となって、モータ支持部13を介して、ボリュート7上に嵌め込まれる電動ファンユニット14が形成されている。
【0030】
より詳しく述べると、ボリュート7は、モータ支持部13の受けリング41を備えている。リング41は、例えば、嵌め込み、またはオーバーモールドにより、ボリュート7上に取り付けられたリングである。この場合、リング41とボリュート7は、各々異なる材料から製作される。リング41はまた、例えばボリュート7とともに、単一材料からなる一体鋳造のアセンブリを形成し、かつボリュート7を構成する。
【0031】
モータ支持部13とリング41は、ボリュート7と電動ファンユニット14との間の機械的接続を可能とするアセンブリを構成している。アセンブリは、一体となって、モータ支持部13とリング41を互いに固定すること、すなわち、ボリュート7と電動ファンユニット14を組み合わせて、送風機6を形成することを可能とする。
【0032】
ボリュート7は、送風機6が取り付けられる時に、電動ファンユニット14を収容する内側空間15の境界を画定している。より詳しくは、内側空間15は、空気の入口10が貫設された吸気壁16と、空気の出口11が貫設された排気壁17により、境界を画定されている。吸気壁16は、受け壁18の対面に配置され、受け壁の上にモータ支持部13が嵌め込まれている。送風機6の取り付け位置において、タービン8の回転軸12は、吸気壁16と受け壁18に対し実質的に垂直に伸びている。
【0033】
送風機6の取り付け時に、電動ファンユニット14の構成要素が互いに組み立てられ、その後、リング41上に、その全体が嵌め込まれる。タービン8および/またはモータ9に不具合が生じた時には、故障した電動ファンユニット14をリング41から素早く簡単に取り外し、取替用電動ファンユニット14と交換できることが望ましい。
【0034】
本発明の構成によると、ボリュート7の内側から(図2)でも、ボリュート7の外側から(図3)でも、電動ファンユニット14をリング41上に嵌め込むことができる。また本発明の構成によると、ボリュート7の内側から(図4)でも、ボリュート7の外側から(図5)でも、電動ファンユニット14をリング41から取り外すことができる。さらに、本発明の構成によると、ボリュート7内部の空気の流れ4が、空気の入口10から空気の出口11に向かう方向にのみ流れるよう、ボリュート7に完全な密閉性を付与することができる。
【0035】
従って、図2に示すように、電動ファンユニット14を、モータ支持部13が受け壁18に貫設された開口部19を塞ぐところまで、空気の入口10経由で内側空間15内部に収容することができる。電動ファンユニット14の接近を、点線矢印により示す。
【0036】
さらに、以上のことから、図3に示すように、電動ファンユニット14は、モータ支持部13が開口部19を塞ぐところまで、開口部19経由で内側空間15内部に収容することができる。電動ファンユニット14の接近を、同じく点線矢印により示す。
【0037】
電動ファンユニット14とリング41とを取り外す必要のあるメンテナンス作業が発生した場合には、本発明の構成によると、ボリュート7の内側からでも、ボリュート7の外側からでも、電動ファンユニット14をボリュート7から取り外すことができる。
【0038】
図4に示すように、電動ファンユニット14を空気の入口10経由で取り外すことができる。電動ファンユニット14の動きを、同じく点線矢印により示す。
【0039】
本発明が提供する別の可能性によると、図5に示すように、電動ファンユニット14を、開口部19経由で取り外すことができる。電動ファンユニット14の移動を、点線矢印により示す。
【0040】
このために、またモータ支持部13が全体的に円形で、リング41が環状で、開口部19も同じく円形であるという、よくある場合においては、モータ支持部13の直径は、リング41の直径D’や開口部19の直径D’’よりも小さくなっている。より詳しく言うと、リング41の直径D’は、開口部19の直径D’’と同等で、リング41は開口部19の縁部に設けられ開口部の境界を画定しているという特徴を有する。
【0041】
これらの有利な結果は、図6および図7に示すように、モータ支持部13が開口部19とリング41を通過する際に、変形可能なソフトシールリップ20を、モータ支持部13が少なくとも1つ備えることにより得られる。より詳しくは、ソフトシールリップ20は、モータ支持部13がリング41を通過する時の障害とならないようたわみ込むことが可能であり、モータ支持部13が一旦ボリュート7に嵌めこまれた際には、完全な密閉性が保証される。ソフトシールリップ20の撓みは、モータ支持部13上にあるソフトシールリップ20の固定点21を中心に、同シールリップが前後に傾くことにより得られる。
【0042】
図8に示す電動ファンユニット14がボリュート7上に固定された位置において、ソフトシールリップ20は開口部19の外縁22に当接する。ソフトシールリップ20のこの位置は、例えばソフトシールリップ20の内表面23が外縁22に当接するまで、(図3に示すように)電動ファンユニット14をボリュート7の外側から接近させた結果として生じるものである。同様に、ソフトシールリップ20のこの位置は、例えば(図7に示すように)電動ファンユニット14をボリュート7の内側から接近させた時の、ソフトシールリップ20のたわみにより生じるものである。
【0043】
図8に示すボリュート7上への電動ファンユニット14の固定位置から、電動ファンユニット14を、例えば図6に示すようにボリュートの内側から取り外すことができる。
【0044】
図8に示すボリュート7上への電動ファンユニット14の固定位置から、電動ファンユニット14を例えば図9に示すように、ボリュートの外側から取り外すこともできる。電動ファンユニット14の移動を、点線矢印により示す。
【0045】
図10において、ソフトシールリップ20の数は2つであり、これらは、モータ支持部13が含む冠部25の外表面24上に設けられている。冠部25は、電動ファンユニット14をボリュート7上に取り付けた状態におけるタービン8の回転軸12と平行な対称軸を含んでいる。各ソフトシールリップ20は、電動ファンユニット14をボリュート7上に取り付けた状態における対称軸と各々垂直な各延長面P1P2内に設けられる。
【0046】
より詳しくは、ソフトシールリップ20は外表面24のエッジに設けられ、冠部25上にオーバーモールドされる。ソフトシールリップ20は、「SEBS」の呼称で知られるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などのエラストマータイプの材料からなる。
【0047】
このような構成のアセンブリにより、ソフトシールリップ20は、ボリュート7の密閉機能を保証する一方で、ボリュート7に対する電動ファンユニット14のポジショニングには何ら影響を及ぼさないため、2つのポジショニングに対するあらゆる制約を回避し、結果的に送風機6の寿命を延ばすことになる。
【0048】
図11において、送風機6は、電動ファンユニット14のボリュート7上への固定装置26、27を含んでいる。前記固定装置26、27は、冠部25の外表面24に設けられた第1の嵌め込み部材26を少なくとも1つと、リング41の内側表面28に設けられた第2の嵌め込み部材27を少なくとも1つ含んでいる。このリングは、好適には対称軸A’を含む環状リング41の形態を有する。電動ファンユニット14のボリュート7上への取り付け時には、冠部25とリング41の各対称軸A’が互いに重なり合うことにより、内側表面28と外表面24が隙間なく接触し、第1の嵌め込み部材26が第2の嵌め込み部材27の対面に配置されている。
【0049】
図12において、第1の嵌め込み部材26は、冠部25の半径方向の面に沿って設けられた溝30を含み、半径方向の面は、ソフトシールリップ20の各延長面P1P2と平行である。溝30は、半径方向の面内に設けられた2つのオリフィス部31を含んでいる。各オリフィス部31は、溝30の対称点42を中心に相対している。各オリフィス部31は、図13に示す第2の嵌め込み部材27を構成するフィンガ32の通過を可能とするためのものである。フィンガ32は、第2の嵌め込み部材27を構成する支持板43上に設けられた突起により構成されている。フィンガ32は、溝30がその対称点32に有する窪み33と係合する構造となっている。窪み33は、送風機6を組み立てた位置において前記フィンガ32を受けるためのものである。窪み33内部へのこのフィンガ32のセットは、例えばリング41内側で、冠部25が4分の1回転する動きにより行われ、この4分の1回転は、半径方向の面に沿ってなされる。
【0050】
溝30が相対する2つのオリフィス部31を含んでいることにより、時計回りの動き34、または反時計回りの動き35のいずれかにより、フィンガ32を溝30の内部の窪み33の位置まで挿入することが可能となる。溝30は、半径方向の面を中心に互いに対称である2つのエッジ36により境界を画定されている。各エッジ36が、例えば円弧状に配され、その相対する凸状面37が、溝30の境界を画定することにより、第1の嵌め込み部材26は、全体として「X」の形状をなしている。各エッジ36は、第2の嵌め込み部材27の両側に設けられた第2のストッパ40に当接する第1のストッパを構成する端部39を含んでいる。第2のストッパ40の数は2個であり、第2の嵌め込み部材27の概略延長面P’の両側に配されている。第2の嵌め込み部材は、概略延長面P’内に「I」型に配されている。
【0051】
より詳しく述べると、第2のストッパ40は、それぞれ概略延長面P’から等距離D1の場所に設けられている。この距離D1は、溝30とエッジ36の端部39との間の間隔に相当する距離D1’と同等である。第2のストッパ40は、概略延長面P’に平行に設けられるスライド勾配に配され、これにより、フィンガ32が溝30の中を滑って最終的に窪み33内部に収まるまで、エッジ36の端部39は、第2のストッパ40に沿って滑る。第2のストッパ40が、概略延長面P’の両側にそれぞれ配置されていることにより、モータ支持部が概略延長面P’の片側またはもう一方の側、言い換えれば、ボリュート7の内側、またはボリュート7の外側いずれの側から接近する場合にも、最適な位置にある第2のストッパ40を、第1の嵌め込み部材26に合わせることが可能となる。最適な位置にある第1のストッパ40とは、溝30とフィンガ32を同一面に揃えることのできるストッパである。
【0052】
電動ファンユニット14のボリュート7への接近方向に関わらず、2つの第2のストッパ40が容易にアクセス可能となるために、2つの第2のストッパ40は、概略延長面P’に直交し、フィンガ32を含む横断面P’’を中心としてフィンガ42の両側に配されている。より詳しくは、2つの第2のストッパ40は、それぞれ概略延長面P’内に取られた間隔分だけ、第2の嵌め込み部材27から離れている。こうした構成により、時計回りの動き34によっても、反時計回りの動き35によっても、適切な第2のストッパ40が選択され、窪み33内部にフィンガ32を配することができる。
【0053】
図14aはモータ支持部13の接近段階を示すもので、冠部25とリング41の対称軸A’は、互いに重なり合っている。
【0054】
図14bは、モータ支持部13の挿入段階を示すもので、ここで内側表面28と外表面24は互いに相対している。この段階において、ソフトシールリップ20は、第2のストッパ40と第2の嵌め込み部材27との接触に際し変形可能である。
【0055】
図14cは、第1の嵌め込み部材26の第1の端部39と第2のストッパ40との接触段階を示すものである。
【0056】
図14dは、第2の嵌め込み部材27の溝30内部への係合段階を示すものである。
【0057】
図14eは、窪み33内部へのフィンガ32の存在による、モータ支持部13のリング41上へのロック段階を示すものである。
【0058】
図14fは、窪み33外部へのフィンガ32の存在による、モータ支持部13とリング41とのロック解除段階を示すものである。
【0059】
図14gは、第2のストッパ40に沿った第1のストッパ39のスライド段階を示すものである。
【0060】
図14hは、モータ支持部13のリング41からの取り外し段階を示すものである。
【符号の説明】
【0061】
1 換気・暖房、および/または冷房設備、設備
2 ケース
3 吸気口
4 空気の流れ
5 空気放出口
6 送風機
7 ボリュート(渦巻き体)
8 タービン
9 モータ
10 空気の入口
11 空気の出口
12 回転軸
13 モータ支持部
14 電動ファンユニット
15 内側空間
16 吸気壁
17 排気壁
18 受け壁
19 開口部
20 ソフトシールリップ
21 (ソフトシールリップ20の)固定点
22 (開口部19の)外縁
23 (ソフトシールリップ20の)内表面
24 (モータ支持部13冠部25の)外表面
25 (モータ支持部13の)冠部
26 固定装置、第1の嵌め込み部材
27 固定装置、第2の嵌め込み部材
28 (リング41の)内側表面
30 溝
31 オリフィス部
32 (第2の嵌め込み部材27の)フィンガ
33 (溝30の)窪み、受け窪み
34 時計回りの動き
35 反時計回りの動き
36 (溝30の)エッジ
37 (エッジ36の)凸状面
39 (エッジ36の)端部、第1のストッパ
40 第2のストッパ
41 リング
42 (溝30の)対称点
43 支持板
(冠部25の)対称軸
A’ (リング41)の対称軸
(モータ支持部13の)直径
D’ (リング41の)直径
D’’ (開口部19の)直径
D1 (概略延長面P’からの)距離
D1’ (溝30とエッジ36端部39との間の)距離
(第2の嵌め込み部材26からの)間隔
(冠部25の)半径方向の面
P’ (第2の嵌め込み部材27の)概略延長面
P’’ 横断面
P1P2 (ソフトシールリップ20の)各延長面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気・暖房、および/または冷房設備(1)の送風機(6)を構成するアセンブリであって、このアセンブリは、モータ(9)を受けるためのモータ支持部(13)と、モータ支持部(13)を受けるためのリング(41)とから形成され、モータ支持部(13)は、モータ支持部(13)がリング(41)内を通過する時に変形可能なソフトシールリップ(20)を少なくとも1つ備えることを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
モータ支持部(13)の直径は、リング(41)の直径D’よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
ソフトシールリップ(20)は、モータ支持部(13)に含まれる冠部(25)の外表面(24)に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
ソフトシールリップ(20)は、外表面(24)のエッジに設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
ソフトシールリップ(20)は、冠部(25)にオーバーモールドされていることを特徴とする、請求項3または4に記載のアセンブリ
【請求項6】
ソフトシールリップ(20)は、エラストマータイプの材料からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
外表面(24)が、リング(41)内側表面(28)に設けられた第2の嵌め込み部材(27)と協働するための第1の嵌め込み部材(26)を備えることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
第1の嵌め込み部材(26)は、冠部(25)の半径方向の面に沿って設けられた溝(30)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
溝(30)は、第2の嵌め込み部材(27)を構成するフィンガ(32)の通過を可能とするオリフィス部(31)を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
溝(30)は、溝(30)の対称点(42)を中心に相対するとともに、半径方向の面内に設けられた2つのオリフィス部(31)を含むことを特徴とする、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
溝(30)は、前記フィンガ(32)の受け窪み(33)を含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
溝(30)は、半径方向の面を中心に互いに対称である2つのエッジ(36)により、境界を画定されていることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
少なくとも1つのエッジ(36)は、リング(41)の内側表面(28)に設けられた少なくとも1つの第2のストッパ(40)に当接するための、少なくとも1つの第1のストッパ(39)を備えていることを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
モータ(9)と、タービン(8)と、モータ支持部(13)とを含む電動ファンユニット(14)であって、モータ支持部(13)は、モータ支持部(13)がリング(41)内を通過する時に変形可能なソフトシールリップ(20)を少なくとも1つ備えていることを特徴とする電動ファンユニット。
【請求項15】
請求項14に記載の電動ファンユニット(14)を備えるモータ支持部(13)の受けリング(41)を備えるボリュート。
【請求項16】
請求項15に記載のボリュート(7)と、請求項14に記載の電動ファンユニット(14)とを含む、換気・暖房、および/または冷房設備(1)の送風機(6)。
【請求項17】
1つの方向に沿って、同じ向きに行われる取り付け段階と取り外し段階とを含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のアセンブリの取り付け、および取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図14e】
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【図14f】
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【図14g】
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【図14h】
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【公開番号】特開2011−11739(P2011−11739A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151655(P2010−151655)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】