説明

ユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法

【課題】 種々のサイズを有する既設のユニットバスの側壁部のサイズに現場で適合させることができ、且つユニットバスの内側からの作業のみで簡単に新たな側壁部の設置を行うことのできるユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法を提供すること。
【解決手段】 複数の横リブ12と縦リブ14とを裏面に有する樹脂製の既製壁パネルをユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて縦方向に切断して形成した第1の基礎壁部10と、第1の基礎壁部10の切断された側縁部にて横リブ12への固定結合を行うための取付部32と、取付部によって第1の基礎壁部10に固定された状態で側縁部のほぼ全長に亘って伸長するする所定の剛性を有する結合補助部材30と、第1の基礎壁部10の端部をほぼ直交する角度で第2の基礎壁部20の側端部に係合式の壁部材結合部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法、特に、既設のユニットバスにおいて床部等を維持したまま壁部のみを樹脂製の新たな壁部に交換する際に用いられるユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバスなどの構成として、床部をFRP(Fiber Reinforced Plastics、繊維強化プラスチック)等で形成し、壁部を金属を基材としたパネルによって形成することが行われている。このようなユニットバスにおいて、壁部における錆の発生など、種々の老朽化に伴う変化が生じ、リニューアルの必要性が生じている。この様な状況では、ユニットバス全体を新たなものに交換することが理想的であるが、ユニットバス全体を取り替えることは家屋の他の構造との関係などから大掛かりな作業となってしまい、時間的、費用的負担は大きくなり、現場で発生する廃棄物も多くなってしまう。そこで、錆などの生じていないFRP等で構成された床部を残し、その上部の側壁部のみを新たな壁部に交換することが行われている。
【0003】
なお、側壁部をパネル状に構成し、これを現場で組み立てていく方法や構造については、特許文献1(特開平5−98721)や特許文献2(特開2007−291833)に開示されている。すなわち、予め工場にて製造された側壁パネルを現場にて連結金具などを用いて連結して組み立てるものであり、特許文献1の構成によれば、現場での切断によってサイズ調整を行うことができ、また、特殊な形状の連結金具を用いることで、的確な結合取り付けが可能となっている。また、特許文献2の構成によれば、規制の側壁パネルの端部相互をクリップを用いて簡単に結合固定することが可能となっている。
【特許文献1】特開平5−98721号
【特許文献2】特開2007−291833号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように床部を残して側壁部のみをFRP製の側壁に交換する場合、家屋などの構造物の内部側から側壁パネルなどの壁部構造体を設置し、且つ相互に結合固定していく必要がある。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された側壁パネルの結合固定では、現場において適切なサイズに側壁パネルを切断して設置することは可能であるが、この側壁パネルの縦方向の切断を行った場合、そこで用いられる連結金具は、既設のユニットバスの基本構造を破壊することなく作業を行う場合には不適合である。ずなわち、側壁部のみを交換する際には、家屋などの構造物の内側でユニットバス内から側壁部を構築していく必要があるが、当該特許文献1の技術では、切断した側壁パネルの結合は、ユニットバスの外側からの作業が不可避であり、壁パネルのみの交換作業に適用することができない。
【0006】
また、特許文献2の組立技術では、比較的簡単な側壁パネル相互の結合が達成されているが、側壁パネルは工場生産された予めサイズの設定されたものを用いることが前提となっている。すなわち、設置されるユニットバスのサイズに予め調整された既製の側壁パネル相互を連結するための構造が開示されているのみである。しかし、相当の年数の経過している既存のユニットパネル壁部のサイズは、現場によって種々異なっており、既製の側壁パネルをそのままのサイズで設置することができないのが現状である。したがって、この特許文献2の技術では、設置現場でサイズを調整することができ、且つユニットバスの内側からの作業のみによって側壁部の構築を可能とするという要請に応えることはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、種々のサイズを有する既設のユニットバスの側壁部のサイズに現場で適合させることができ、且つユニットバスの内側からの作業のみで簡単に新たな側壁部の設置を行うことのできるユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るユニットバスの交換用壁ユニットは、
設置状態における横方向に伸長する複数の横リブと該横リブに略直交する複数の縦リブとを裏面に有する樹脂製の既製壁パネルを、設置箇所であるユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて縦方向に切断して形成した第1の基礎壁部と、前記第1の基礎壁部の前記切断された側縁部にて前記横リブへの固定結合を行うための取付部と、該取付部によって前記第1の基礎壁部に固定された状態で前記側縁部のほぼ全長に亘って伸長するする所定の剛性を有する結合補助部材と、前記第1の基礎壁部の端部をほぼ直交する角度で第2の基礎壁部の側端部に結合するために前記第2の基礎壁部の側端部と前記結合補助部材とに設けられる係合式の壁部材結合部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、現場において予め交換すべきユニットバスの壁部のサイズに切断された第1の基礎壁部に結合補助部材を取り付けることで、結合の相手方である第2の基礎壁部への取り付けが可能となる。そして、この結合補助部材の取り付けは、縦方向に切断されている第1の基礎壁部の側縁部の裏面に存在する横リブを用いて行われる。すなわち、縦方向に切断された第1の基礎壁部の切断側縁部には側壁部の存在がなくなっており、側壁の外部に結合用のクリップなどを取り付けることができないが、このように、裏面の横リブを利用することによって、連結用部材である結合補助部材の的確な取り付けが可能となっている。また、横リブは複数存在しているので、複数の横リブに対してこの取り付けを行うことにより、安定した結合補助部材の固定状体が確保される。
【0010】
そして、第1の基礎壁部と第2の基礎壁部の直交する状態での結合は、係合式の壁部材結合部によって行われるので、ユニットバス外部からの作業を行うことなく側壁部の構築が可能である。
【0011】
請求項2に係るユニットバスの交換用壁ユニットは、
前記結合補助部材が、剛性を有するプレート状の本体部を有し、前記取付部は、前記本体部から突出し前記第1の基礎壁部の横リブの略水平面に当接される面を有する舌片部として形成され、該舌片部を前記当接状態で前記横リブに固定することで前記固定結合が行われることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、結合補助部材の本体部が、剛性を有するプレート状の構成とされていることから、金属などの部材による簡単な製造が可能であり、横リブに面接触される舌片部の構成も金属プレートを一部屈曲することなどにより簡単に構成することが可能である。また、本体部が金属や樹脂などにより剛性を有する構造となっており、取り付け状態ではこの本体部が第1の基礎壁部の切断された側縁部の全長にわたって存在することとなり、切断側縁部の補強作用も有している。
【0013】
請求項3に係るユニットバスの交換用壁ユニットは、
前記結合補助部材の本体部が、前記第1の基礎壁部に結合固定された状態で、該第1の基礎壁部の壁面に対して直交する面を構成する補助リブ部を有することを特徴とする。
【0014】
結合補助部材は、第1の基礎壁部の縦に切断された側縁部に設けられるが、側端の壁部が切り取られている。したがって、第1の基礎壁部には、第1の基礎壁部の壁面に直交して縦方向に伸びる部材が存在せず、横リブが開放端となっている。当該請求項の構成によれば、結合補助部材の本体部が第1の基礎壁部の壁面に対して直交する面を構成する補助リブ部を有しているので、結合補助部材が横リブに対して結合固定されることで、第1の基礎壁部の側縁部に縦リブが形成されることとなり、第1の基礎壁部の結合側端部の補強が的確に行われる。
【0015】
請求項4に係るユニットバスの交換用壁ユニットは、
前記結合補助部材は、略直交する面部を有するアングル材にて構成され、一方の面部が前記舌片部を設ける取付側面部とされ、他方の面部が前記補助リブ部を構成する補強側面部とされたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、結合補助部材がアングル材にて形成されてることから、第1の基礎壁部への取付側面部と補強用の縦リブを構成する補助リブ部とを簡単な構造によって形成することが可能となっている。
【0017】
請求項5に係るユニットバスの交換用壁ユニットは、
前記係合式の壁部結合部が、前記第1の基礎壁部に取り付けられた前記結合補助部材の第2の基礎壁部と直交する状態での対向面側に係止部又は係止受け部を設け、前記第2の基礎壁部の前記結合補助部材との結合端面に、係止受け部又は係止部を設けることによって形成され、前記結合補助部材と第2の基礎壁部の係止部と係止受け部とを係止させることによって固定が完了する様に構成されたことを特徴とする。
【0018】
この構成により、結合する2つの基礎壁部を端部において相互に係止させる動作によって結合することができることから、ユニットバスの内側からの新たな壁部の構築を行うための構造が簡単な構成によって達成されている。
【0019】
請求項6に係るユニットバスの壁交換方法は、
設置状態における略水平方向に伸長する複数の横リブと該横リブに略直交する複数の縦リブとを裏面に有する樹脂製の既製壁パネルを、設置箇所であるユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて少なくとも設置状態における縦方向に切断して、第1の基礎壁部を形成する切断工程と、前記第1の基礎壁部の前記切断された側縁部に、該側縁部のほぼ全長に亘る長さと所定の剛性を有する結合補助部材を、前記第1の基礎壁部の横リブに対して結合することによって固定する結合補助部材取付工程と、前記結合補助部材の取り付けられた第1の基礎壁部を結合対象である第2の基礎壁部とを前記第1の基礎壁部の結合補助部材の取付側端部と第2の基礎壁部の結合側端部とを第1,第2の基礎壁部がほぼ直交するようにつき合わせる基礎壁部つき合わせ工程と、前記結合補助部材と前記第2の基礎壁部の結合側端面にそれぞれ設けられた係止部相互を係止させて固定する基礎壁部結合工程と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、既設のユニットバスに設置する新たな壁部を現場で的確なサイズに切断し、その切断した側縁部の裏面に存在する横リブを用いて結合補助部材が固定される。これにより、切断されて端部の側壁が存在しない第1の基礎壁部に対して連結用の部材である結合補助部材を簡単かつ的確に取り付けることができる。そして、結合補助部材の取り付けられた第1の基礎壁部と第2の基礎壁部とがほぼ直交するようにつき合わせられ、最終的に結合補助部材と前記第2の基礎壁部の結合側端面にそれぞれ設けられた係止部相互を係止させることで基礎壁部の固定が終了する。したがって、現場での縦切りによるサイズ調整を行った後、的確に他の基礎壁部との結合固定が可能であり、かつユニットバスの内側からの作業のみで新たな壁部の構築が可能となっている。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るユニットバスの交換用壁ユニット及びこれを用いた壁交換方法によれば、種々のサイズを有する既設のユニットバスの側壁部のサイズに側壁パネルなどの基礎壁部のサイズを現場で適合させることができる。そして、連結用部材である結合補助部材の第1の基礎壁部の切断された側縁部への固定が第1の基礎壁部の裏面の横リブを用いて行われることから、他の部材を付加することなく連結用部材の設置が達せされている。更に、第1と第2の基礎壁部を直交させた状態での係止作業のみによって最終的な係合固定が行われることから、ユニットバスの内側からのみの作業で簡単に新たな側壁部への交換が可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、実施の形態に係る基本的なユニットバスの交換用壁ユニットの構造を示している。本実施の形態では、FRP製の側壁パネルとして形成された第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20とを結合する状況が示されている。なお、第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20の裏面には補強用の横リブ12及び縦リブ14が所定間隔毎に形成されている。
【0023】
第1の基礎壁部10は、予め工場にて所定のサイズに製造された側壁パネルを設置現場のユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて現場にて切断されている(切断工程)。すなわち、水平方向のサイズに合わせて縦方向に切断されている。したがって、第1の基礎壁部10の側端部には側壁部が存在せず、図示のように、壁面部10aと裏面側の横リブ12が側縁部を構成している。
【0024】
第1の基礎壁部10は第2の基礎壁部20に対して直交する角度でその側端部が結合されるが、本実施の形態においても結合のための連結部材として結合補助部材30が用いられる。本発明において特徴的なことは、この結合補助部材30の取り付け構造にあり、この結合補助部材30は、上述の横リブ12を利用して固定される。
【0025】
本実施の形態における結合補助部材30は、屈曲可能で且つ取付箇所における補強材として機能しうる剛性を有する金属にて形成され、取付状態において第1の基礎壁部10の側縁部の全長に亘る長さを有している。また、本実施の形態では全体としてプレート状の形状とされている。そして、第1の基礎壁部10の切断された側縁部に在る横リブ12への固定結合を行うための取付部としての舌片部32が横リブ12に対応する位置毎に設けられている。本実施の形態では、一部屈曲させて舌片部32が形成されている。
【0026】
図2は、この結合補助部材30が実際に第1の基礎壁部10の切断された側縁部に取り付けのために設置された状態が示されている。すなわち、各横リブ12の上面に舌片部32の下面が当接された状態で設置されている。この状態で、舌片部32に形成された固定用孔部32aにネジ部材34を挿通させて締結するものである(結合補助部材取付工程)。この作業に先立ち横リブ12の端縁部にネジ部材層通用の孔部(図示せず)を形成しておくのが好適である。
【0027】
こうして第1の基礎壁部10への結合補助部材30の取り付けが終了すると、次に、第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20とを、それぞれの設置位置においてほぼ直交する様に、側端部を対向させる動作が行われる(基礎壁部つき合わせ工程)。すなわち、最終的に両方の基礎壁部10,20が連結結合されて設置される前段階の作業として、両方の基礎壁部10,20を近接させる動作が行われる。この場合、第1の基礎壁部10又は第2の基礎壁部20の一方が予め床構成部に設置された状態とされ、その後、他方を結合する動作を行うことが好適である。
【0028】
最終的な第1の基礎壁部10の結合補助部材30と第2の基礎壁部20との連結結合は、それぞれ設けられた係止部を用いて行われる。すなわち、相互を係止させるという簡単な動作のみによって結合固定が完了する様に構成されている(基礎壁部結合工程)。本実施の形態では、プレート状の結合補助部材30の本体部30aに形成された係止受け孔33と、第2の基礎壁部20の結合側の側端面20aに設けられた係止用突起40とから構成されている。係止用受け孔33は結合補助部材30の横リブ12への取付状態において第1の基礎壁部10の外側に延出している本体部30aの部分に開口を形成することによって形成されている。
【0029】
本実施の形態では、係止用突起40は下方に突出する凸部40aを有しており、係止用受け孔33に対して相対的に上方から下方に向けて係止される。係止用突起40の凸部40aは、図示のように、先端から基端に向かって徐々に側端面20aとの間隔が狭くなるように漸次傾斜した構成を有しており、しっかりと係止された状態では、第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20には、がたつきが生じないようになっている。
【0030】
以上のように、図1の実施の形態に係るユニットバスの交換用壁ユニットによれば、壁交換の行われるユニットバスの現場において、設置される基礎壁部を現場に適合する壁部サイズに切断した場合でも連結用部材である結合補助部材30の取り付けを的確に行うことができる。すなわち、縦方向に切断された第1の基礎壁部10の切断側縁部には側壁部が存在しないが、裏面の横リブ12を利用して固定することで安定した結合補助部材30の取り付けが可能となっている。
【0031】
そして、上述のように、第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部10の直交する状態での結合作業が、ユニットバスの内側での作業のみで完了することができ、ユニットバスの壁のみの交換を行う作業が、実質的かつ効率的なものとなっている。
【0032】
次に、図3〜図5は他の実施の形態を示しており、図1及び図2に示した実施の形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図3〜図5に示した実施の形態において共通する構成は、それぞれ結合補助部材50,60,70の本体部にそれらの補強機能を高めるための補助リブ部を設けたことである。補助リブ部は、結合補助部材50,60,70が第1の基礎壁部10に結合固定された状態で、第1の基礎壁部10の壁面10aに対して直交する面を構成するものである。すなわち、所定間隔毎に基礎壁部の裏面に設けられている縦リブ14とほぼ同様の機能を奏するリブ部を切断された側縁部に設けるようにしたものである。
【0033】
図3に示した構成は、結合補助部材50の本体部を2つのプレート体52と54とから構成している。図示のように、プレート体52は平らな1枚プレートにて形成され、複数の舌片部53がそれぞれ、取り付けられる横リブ12の位置に対応する一間隔で、突出形成されている。本実施の形態では、金属製のプレート体52の一部を屈曲して形成しており、横リブ12への取り付け用孔53aが形成されている。
【0034】
また、もう一方のプレート体54は、断面L字上に曲げられたいわゆるアングル材にて形成されている。一方の面54aをプレート体52への取り付け側面とし、他方の面54bを第2の基礎壁部20への取り付け側面としている。すなわち、第2の基礎壁部20の係止用突起40の係止される係止受け孔55(図上破線にて示されている)が係止用突起40に対応する位置に形成されている。
【0035】
2つのプレート体52,54相互の固定は、図示された締結用孔52d、54dに図示していないネジなどの締結部材を挿通して行われる。この様に固定されて完成した結合補助部材50において、プレート体52の部分とプレート体54の一方の面54aとで2枚重ねにされた部分が補助リブ部となっている。なお、形成された結合補助部材は、図上矢印300方向に移動され、横リブ12に固定取り付けされる。
【0036】
図4に示した結合補助部材60の構成は、結合補助部材60の本体部の全体を1つのアングル材にて構成している。図示のように、アングル材の一方の面60aには、横リブ12への固定のための固定用ブラケット62がネジ63によって固定され、固定用ブラケット62の下端部には外方に突出する舌片部64が設けられ、この舌片部64を固定用孔64aにネジ等を挿通して横リブ12に固定することによって、図2の実施の形態と同様に第1の基礎壁部10固定されるものである。
【0037】
アングル材の他方の面60bには、第2の基礎壁部20の側端面の係止用突起40と係合される係止用受け孔65が対応する位置に形成されており、図2に示した実施の形態と同じく、係止用突起40と係止用受け孔65との係止動作によって、第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20との安定した連結固定が完了する。
【0038】
なお、本実施の形態の場合、結合補助部材60の第1の基礎壁部10の裏面側への接触部が小さいことから、図示のように、アングル部材の角部外側面に弾性部材にて形成した止水テープ66を貼着するのが好適である。なお、この結合補助部材60が横リブ12に取り付けられた状態では、一方の面60aが補助リブ部として、縦リブ14と同様の補強機能を奏する。
【0039】
図5に示した結合補助部材70の構成は、結合補助部材70の本体部の全体を1つのプレート体にて形成している。一方の側縁部の所定位置には、第1の基礎壁部10の横リブ12への固定のための舌片部71が屈曲形成されている。そして、他方の側縁部には、結合補助部材70の全長に亘って伸長するほぼ直角に曲げられた屈曲部70aが形成されている。第2の基礎壁部20の係止用突起40との係止を行う係止用受け孔70bは屈曲部70aと舌片部71の間に形成されている。
【0040】
本実施の形態では、舌片部71による結合補助部材70の第1の基礎壁部10への取り付け、更に、係止用受け孔70bによる第2の基礎壁部20の係止用突起40との係止は図2の実施の形態と同様であるが、更に、屈曲部70aの存在によって第1の基礎壁部10の切断された側縁部の補強機能が増加されている。
【0041】
以上のように、図3から図5に示した実施の形態によれば、縦に切断された側縁部を有する第1の基礎壁部10の側端の補強がより確実なものとなっている。すなわち、側端の壁部が切り取られている第1の基礎壁部10の端部に第1の基礎壁部10の壁面10aに直交して縦方向に伸びる補助リブ部が存在することにより、切断された側壁部や縦リブ14が存在するのと同様の補強がなされることとなる。
【0042】
また、上記実施の形態に示した既設のユニットバスの壁部の交換方法によれば、既設のユニットバスに設置する新たな壁部を現場で的確なサイズに調整切断することができる。また、その切断した側縁部の裏面に存在する横リブ12を用いて結合補助部材30,50,60,70が固定される。これにより、切断されて端部の側壁が存在しない第1の基礎壁部10に対して連結用の部材が簡単かつ的確に取り付けられる。そして、結合補助部材30,50,60,70の取り付けられた第1の基礎壁部10と第2の基礎壁部20とがほぼ直交するようにつき合わせられ、最終的に結合補助部材30,50,60,70と第2の基礎壁部20の係止部相互を係止させることで基礎壁部の固定が簡単に終了し、しかもその固定作業はユニットバスの内側からの作業のみで足りる。
【0043】
なお、図において、符号80は天井パネル、84は基礎壁部と天井構造物とを固定するための結合用部材である。
【0044】
また、本発明は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形が可能である。例えば、結合補助部材30,50,60,70の舌片部による横リブ12への固定は、全ての横リブ12に対して行う必要はなく、適宜、複数箇所を選択して設置することでも良い。また、実施の形態では、結合補助部材は金属製のものを屈曲して用いたが、これに限られず、必要な剛性と強度を発揮できる材質であれば樹脂など他のものを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るユニットバスの交換用壁ユニットの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示した実施の形態における結合補助部材の設置動作説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るユニットバスの交換用壁ユニットの概略構成を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るユニットバスの交換用壁ユニットの概略構成を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係るユニットバスの交換用壁ユニットの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 第1の基礎壁部
12 横リブ
14 縦リブ
20 第2の基礎壁部
30、50、60、70 結合補助部材
32、53、64、71 舌片部
33、55、65 係止用受け孔
40 係止用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置状態における横方向に伸長する複数の横リブと該横リブに略直交する複数の縦リブとを裏面に有する樹脂製の既製壁パネルを、設置箇所であるユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて縦方向に切断して形成した第1の基礎壁部と、
前記第1の基礎壁部の前記切断された側縁部にて前記横リブへの固定結合を行うための取付部を有し、該取付部によって前記第1の基礎壁部に固定された状態で前記側縁部のほぼ全長に亘って伸長するする所定の剛性を有する結合補助部材と、
前記第1の基礎壁部の端部をほぼ直交する角度で第2の基礎壁部の側端部に結合するために前記第2の基礎壁部の側端部と前記結合補助部材とに設けられる係合式の壁部材結合部と、
を備えることを特徴とするユニットバスの交換用壁ユニット。
【請求項2】
前記結合補助部材は、剛性を有するプレート状の本体部を有し、
前記取付部は、前記本体部から突出し前記第1の基礎壁部の横リブの略水平面に当接される面を有する舌片部として形成され、該舌片部を前記当接状態で前記横リブに固定することで前記固定結合が行われることを特徴とするユニットバスの交換用壁ユニット。
【請求項3】
前記結合補助部材の本体部は、前記第1の基礎壁部に結合固定された状態で、該第1の基礎壁部の壁面に対して直交する面を構成する補助リブ部を有することを特徴とするユニットバスの交換用壁ユニット。
【請求項4】
前記結合補助部材は、略直交する面部を有するアングル材にて構成され、
一方の面部が前記舌片部を設ける取付側面部とされ、
他方の面部が前記補助リブ部を構成する補強側面部とされたことを特徴とするユニットバスの交換用壁ユニット。
【請求項5】
前記係合式の壁部結合部は、
前記第1の基礎壁部に取り付けられた前記結合補助部材の第2の基礎壁部と直交する状態での対向面側に係止部又は係止受け部を設け、前記第2の基礎壁部の前記結合補助部材との結合端面に、係止受け部又は係止部を設けることによって形成され、前記結合補助部材と第2の基礎壁部の係止部と係止受け部とを係止させることによって固定が完了する様に構成されたことを特徴とするユニットバスの交換用壁ユニット。
【請求項6】
設置状態における略水平方向に伸長する複数の横リブと該横リブに略直交する複数の縦リブとを裏面に有する樹脂製の既製壁パネルを、設置箇所であるユニットバスの側壁領域のサイズに合わせて少なくとも設置状態における縦方向に切断して、第1の基礎壁部を形成する切断工程と、
前記第1の基礎壁部の前記切断された側縁部に、該側縁部のほぼ全長に亘る長さと所定の剛性を有する結合補助部材を、前記第1の基礎壁部の横リブに対して結合することによって固定する結合補助部材取付工程と、
前記結合補助部材の取り付けられた第1の基礎壁部を結合対象である第2の基礎壁部とを前記第1の基礎壁部の結合補助部材の取付側端部と第2の基礎壁部の結合側端部とを第1,第2の基礎壁部がほぼ直交するようにつき合わせる基礎壁部つき合わせ工程と、
前記結合補助部材と前記第2の基礎壁部の結合側端面にそれぞれ設けられた係止部相互を係止させて固定する基礎壁部結合工程と
を備えることを特徴とするユニットバスの壁交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−179986(P2009−179986A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18954(P2008−18954)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】