説明

ユニットルーム

【課題】ドアに良好な気密性を確保させて、脱衣室側をドライ空間に維持できるユニットルームを提供する。
【解決手段】平面視長方形状のユニットルーム1内に、ユニットルームの長辺3bを分割するように仕切りとなるドア5を設け、ドア5の一方側を、給排水設備9,10と、オーバーフロー孔8aを有する浴槽8を備えた浴室6とし、ドア5の他方側を脱衣室7として構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットルームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、入浴設備が設置された設備ユニットの片面半分と、トイレ設備が設置された設備ユニットの片面半分とを、開閉戸にて気密性を確保した状態で分離した構造が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、ドアにより、浴槽側と脱衣室側とを遮断できるように構成したユニットルームも存在する。
【特許文献1】特開平4−368570号公報
【特許文献2】実公昭50−17241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている設備ユニットでは、浴槽の長辺に開閉戸が設けられているため、開閉戸により止水する長さが長くなり、気密性を確保することが困難となるという問題点があった。また、浴槽にはオーバーフロー手段は備えられていないものであった。
また、上記特許文献2に開示されているユニットルームにおいても、浴槽の長辺側にドアが設けられており、止水長さが長くなり、気密性を確保することが困難となるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、浴槽の短辺側に良好な気密性を確保してドアを設けたユニットルームを提供するものであり、その請求項1は、平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備とオーバーフロー手段を有する浴槽を備えた浴室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことである。
【0005】
また、請求項2は、平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備を備えたシャワー室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のユニットルームは、平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備とオーバーフロー手段を有する浴槽を備えた浴室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことにより、ドアはユニットルームの短辺に平行に設置されるため、ドアを小さくして止水ラインも短くすることができ、確実に気密性を確保することができて、ドアで浴室側からの水の飛散や湿気を確実に遮断することができるため、脱衣室を防水仕様にする必要がなく、脱衣室を良好なドライ空間に維持することができるものとなる。
【0007】
また、平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備を備えたシャワー室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことにより、ドアはユニットルームの短辺に平行に設置されるため、ドアを小さくして止水ラインも短くすることができ、確実に気密性を確保することができて、ドアでシャワー室側からの水の飛散や湿気を確実に遮断することができるため、脱衣室を防水仕様にする必要がなく、脱衣室を良好なドライ空間に維持することができるものとなる。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、ユニットルームの正面構成図であり、図2は、平面構成図であり、図3は、側面構成図である。
ユニットルーム1は、その底面を構成する防水パン2の周縁に壁パネルを立設して平面視長方形状に形成されている。即ち、ユニットルーム1は、第1長辺壁面3aと、平行な第2長辺壁面3bと、第1短辺壁面3cと、平行な第2短辺壁面3dにより平面視長方形状に形成されており、第1長辺壁面3a側に入口4が形成され、この入口4の近傍に、第1長辺壁面3aから第2長辺壁面3bに亘り短辺壁面3c,3dに平行状にドア5が水平面内で開閉可能に設けられており、このドア5により長辺壁面3a,3bが左右に分割されて、ドア5の左側の空間は浴室6となっており、ドア5の右側空間は脱衣室7となっている。
【0009】
浴室6には、浴槽8が設置されており、この浴槽8は平面視長方形状に形成されており、浴槽8の上面に形成されている長辺フランジ81が第1長辺壁面3aに当接され、対向する長辺フランジ82が第2長辺壁面3bに当接され、短辺フランジ83が第1短辺壁面3cに当接されて設置されており、浴槽8の短辺フランジ84上に前記ドア5が開閉可能に設置されている。なお、この浴槽8の長辺フランジ82側には、オーバーフロー孔8aが開口されており、浴槽8内のオーバーフロー水を良好にこのオーバーフロー孔8aから排水できるように構成されている。
【0010】
浴槽8の上方の第2長辺壁面3bには水栓9が設置されており、この水栓9にはシャワーホース10aを介してシャワーヘッド10が接続されている。このシャワーヘッド10を掛止できる上フック11aと下フック11bが第2長辺壁面3bに設置されており、また、この壁面側に照明器12が設置されている。
一方、脱衣室7の第2長辺壁面3bには洗面器13が設置されており、その上方に鏡14が設置され、更にその上方に照明器15が設置されて、鏡14の側方に棚16とタオル掛け17が設置されている。また、脱衣室7の第2短辺壁面3d側に便器18が設置されており、便器18の上方の第2長辺壁面3bにはペーパーホルダー19が設置されている。
【0011】
なお、前記ドア5は、上枠51と左右の側枠52,53と下枠54に囲まれて開閉可能に設けられており、ドア5の上端の上枠51は天井面に水密状に設置され、ドアの左側枠52は第1長辺壁面3aに水密状に当接され、ドアの右側枠53は第2長辺壁面3bに水密状に当接されて設置されており、またドア5の下枠54は、図4の拡大縦断面構成図で示すように、浴槽8の短辺フランジ84に凹み状に凹部84aを形成させておき、この凹部84aにパッキン21を介在させて、短辺フランジ84の上面と面一状をなすように水密状に嵌め込まれている。なお、図中22はエプロンである。
このように、ドア5の下枠54を浴槽のフランジ84と面一状にして、且つパッキン21で水密性を確保して設置しておくことにより、ドア5を閉めた状態では、浴室6側からの脱衣室7側への水の飛散、あるいは湿気を確実に遮断することができるものとなり、脱衣室7側を良好なドライ空間に維持することができるものとなる。
【0012】
なお、ドア5は、ユニットルーム1の短辺壁面3c,3dと平行状に設置されており、長さが短いために、パッキン21等による止水ラインを短くして確実に気密性を確保することができるものとなる。
また、浴槽には、オーバーフロー孔8aが形成されているため、浴槽水が溢れることがなく、より確実に脱衣室7側への水の流出を防いで、脱衣室7側をドライ空間に維持できるものである。
なお、本例ではドア5は開き戸で構成されているが、このドア5は折り戸であっても、また引き戸で構成しても、同様に良好な気密性を確保することができるものである。
【0013】
なお、ドア5の下端に、図5の拡大図で示すように、断面T字状のT字パッキン23を取り付けておき、このT字パッキン23の下端が浴槽8の短辺フランジ84の上面に接触するように構成して、このT字パッキン23で良好な気密性を確保することもでき、図5の場合は、浴槽の短辺フランジ84に凹部を形成させる必要がなく、またドア5側の下枠54を省略できるものである。
【実施例2】
【0014】
次に、図6の正面図で、また図7の平面図及び図8の側面図で示すユニットルームは、第2実施例である。
本例のユニットルーム1は平面視長方形状に形成されており、第1実施例の構成部材とほぼ同等な構成部材が設置されて構成されているため、同一構成部材については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0015】
本例では、ドア5が第1実施例のものとは異なっており、このドア5は、下枠54を防水パン2上に水密状に当接させて設置されたものであり、ドア5の上枠51は天井面に水密状に設置され、ドアの左側枠52は第1長辺壁面3aに水密状に当接され、またドアの右側枠53は第2長辺壁面3bに水密状に当接されて設置されており、この上下に長いドア5には、図9の縦断面構成図で示すように中桟55が設けられており、この中桟55の上方にドア5が設置され、中桟55の下方には着脱可能な面材56が配置されたものとなっている。
【0016】
図9に示すように、ドア5の下端には断面T字状のT字パッキン23を取り付けておき、また中桟55のドア5に当接する部分にもパッキン24を取り付けておき、このパッキン23,24でドア5と中桟55間の水密性が確保されるように構成されており、中桟55の下方の面材56は、浴槽8側の点検時等に取り外して作業口として利用することができるものであり、このような構成では、浴槽8側のエプロン22を省略することができるものである。
【0017】
本例においても、ドア5によりユニットルームの長辺壁面3a,3bを分割して、左側の空間内を浴室6とし、右側の空間内を脱衣室7として構成することができ、ドア5により良好な気密性が確保されて、脱衣室7側を良好なドライ空間に維持できるものである。
【実施例3】
【0018】
次に、図10の正面図で、図11の平面図で示すものは、第3実施例のユニットルームである。
第3実施例のユニットルーム1においても、平面視長方形状に形成されており、第1長辺壁面3aおよび第2長辺壁面3bをそれぞれ分割するようにして、短辺壁面3c,3dに平行状にドア5が立設されており、ドア5の左側にはシャワー室27が形成され、ドア5の右側には脱衣室7が形成されたものである。
シャワー室27の第1短辺壁面3cには、水栓9とシャワーヘッド10が設置されており、シャワーヘッド10を掛止するための上フック11aおよび下フック11bも設置されている。また、第2長辺壁面3b側には棚16が設置されている。
【0019】
このシャワー室27内でシャワーヘッド10からシャワー水を噴出させて良好にシャワーを浴びることができるものであり、シャワーによる水の飛散や湿気は良好にドア5により遮断されて、脱衣室7側には流出することがなく、脱衣室7側を良好なドライ空間に維持できるものである。
なお、脱衣室7側の第2短辺壁面3dにはキャビネット28が設置されており、キャビネット28の上面側に洗面器13が設置されている。なお、脱衣室7の第2長辺壁面3bにはタオル掛け17が設置されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例のユニットルームの正面構成図である。
【図2】図1の平面構成図である。
【図3】図1のドアの部分の右側面構成図である。
【図4】図1におけるドアと浴槽の部分の縦断面拡大構成図である。
【図5】ドアと浴槽間の変更例を示す図4に対応させた縦断面構成図である。
【図6】第2実施例のユニットルームの正面構成図である。
【図7】図6の平面構成図である。
【図8】図6のドアの部分の右側面構成図である。
【図9】図6におけるドアと浴槽間の縦断面拡大構成図である。
【図10】第3実施例のユニットルームの正面構成図である。
【図11】図10の平面構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ユニットルーム
2 防水パン
3a 第1長辺壁面
3b 第2長辺壁面
3c 第1短辺壁面
3d 第2短辺壁面
4 入口
5 ドア
6 浴室
7 脱衣室
8 浴槽
8a オーバーフロー孔
9 水栓
10 シャワーヘッド
11a,11b フック
13 洗面器
14 鏡
16 棚
17 タオル掛け
18 便器
19 ペーパーホルダー
21 パッキン
22 エプロン
23 T字パッキン
27 シャワー室
28 キャビネット
51 上枠
52,53 側枠
54 下枠
55 中桟
56 面材
81,82 長辺フランジ
83,84 短辺フランジ
84a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備とオーバーフロー手段を有する浴槽を備えた浴室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことを特徴とするユニットルーム。
【請求項2】
平面視長方形状のユニットルーム内に、該ユニットルームの長辺を分割するように仕切りとなるドアを設け、該ドアの一方側を、給排水設備を備えたシャワー室とし、前記ドアの他方側を脱衣室としたことを特徴とするユニットルーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−95475(P2008−95475A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282028(P2006−282028)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】