説明

ユーザの転倒を検出するための方法及び装置

本発明はユーザの転倒を検出するための方法と装置に、特に圧力センサを用いることによってユーザの転倒を検出するための方法と装置に関する。本発明はユーザの転倒を検出するための装置を開示し、装置は、ユーザの身体に装着されることを目的とする第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力センサと、第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサとを有する。第1及び第2の圧力センサは第1及び第2の圧力センサのプリセット配向が互いに反対になるように構成される。このように、第1及び第2の圧力センサに含まれる測定要素の重さは測定気圧に逆の影響を及ぼし、従って圧力センサ配向変化によって生じる測定誤差が削減され、又はさらに除去されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザの転倒を検出するための方法と装置、特に圧力センサを用いることによってユーザの転倒を検出するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が、急性疾患、障害、若しくは加齢から生じる慢性的な健康障害若しくは合併症の結果として、傷害若しくは死の高い危険にさらされている。多くの他の人々は長期治療を要する慢性的な、若しくは少なくとも持続的な疾患を患っている。兵士、警察、消防士、救助隊員などの他の人々は危険で生命を脅かす状況下で働いている。多くの場合において、こうした個人の転倒を検出することは、転倒から生じ得るさらなる健康問題を予防するために必要なときに援助するために必要である。
【0003】
装着型転倒検出装置の高度変化をモニタリングすることでユーザの転倒を検出することができる。通常、ユーザの首に装着される転倒検出装置の高度は転倒発生時に約60cm変化する。従って、転倒検出装置の高度変化をチェックすることによって転倒が起こるか否かを検出することができる。転倒検出装置の高度変化を得るために、圧力センサがよいセンサ候補であり、これは高度値に変換されることができる気圧を測定することができる。
【0004】
転倒を検出するために高度値が考慮されるとき、誤った却下若しくは誤報無しに転倒が正確に検出されることを可能にする約10cmの分解能で高度値を得ることができる圧力センサを持つ方がよい。しかしながら、圧力センサは圧力センサの配向が変化すると10cmの分解能要件を満たすことができない。
【0005】
図1(a)はVTI Technologies(http://www.vti.fi/en/products/pressure-sensors/pressure_sensors/)によって製造される圧力センサSCP1000‐D01の略図を図示し、図1(b)は圧力センサの配向が変化するときの測定された高度値(垂直軸)対実際の高度値(水平軸)を図示する。三角形付きの破線は"D01"のテキストを持つ圧力センサの面が地面に垂直であるときの状況に対応し、四角形付きの実線は"D01"のテキストを持つ圧力センサの面が上向きであるときの状況に対応し、菱形付きの一点鎖線は"D01"のテキストを持つ圧力センサの面が下向きであるときの状況に対応する。
【0006】
図1(b)を参照すると、"D01"のテキストを持つ圧力センサの面が上向きから下向きに変わる場合、圧力センサは50cmの誤差で高度変化値を収集し得る。転倒検出応用において、50cmの誤差を伴う高度値は誤った却下若しくは誤報を生じるため許容できない。高度値の誤差の原因は、圧力センサに含まれる圧力検出要素の気圧に応じた変形を検出することによって気圧が測定されるということ、及び、圧力センサの配向が変化するときに圧力検出要素の重さが圧力検出要素の変形に影響を及ぼすということである。加えて、圧力検出要素を湿気から保護するために保護ゲルが圧力検出要素上に設けられ、保護ゲルの重さもまた圧力検出要素の変形に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の圧力センサ配向変化によって生じる気圧の誤差によってもたらされる高度値の誤差を考慮して、転倒検出精度を向上させるために圧力センサによって測定される気圧の誤差を削減若しくは除去することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記懸念の1つ以上によりよく対処するために、本発明の第1の態様において、ユーザの転倒を検出するための装置が提供され、該装置は、
ユーザの身体に装着されることを目的とする、第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力センサと、
第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサとを有し、
第1及び第2の圧力センサは第1及び第2の圧力センサのプリセット配向が互いに反対になるように構成される。
【0009】
プリセット配向は例えば圧力センサの外観若しくは構造に基づいて、多くの方法で決定されることができる。第1及び第2の圧力センサのプリセット配向は互いに反対になるように構成されるので、第1及び第2の圧力センサに含まれる測定要素の重さは測定気圧に対し逆の影響を及ぼす。従って、圧力センサの配向変化によって生じる測定気圧の誤差は、第1及び第2の圧力センサによって得られる第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すことによって補正されることができる。
【0010】
本発明の第2の態様において、気圧を測定するための圧力センサが設けられ、該圧力センサは、
第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力検出要素と、
第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサとを有し、
各圧力検出要素は気圧に応じて変形可能であり、気圧検出面を有し、第1の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向は第2の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向と反対になるように構成される。
【0011】
第1及び第2の圧力検出要素の気圧検出面は反対方向を向くので、第1及び第2の圧力検出要素の重さは第1及び第2の圧力検出要素の変形に、すなわち測定気圧に対し逆の影響を及ぼす。従って、圧力センサの配向変化によって生じる測定気圧の誤差は、第1及び第2の圧力検出要素によって得られる第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すことによって補正されることができる。
【0012】
本発明の第3の態様において、ユーザの転倒を検出するための装置が提供され、該装置は、
ユーザの身体に装着されることを目的とする、転倒が起こるか否かを決定するために気圧のデータ値を得るように構成される圧力センサであって、圧力センサは気圧に応じて変形可能な圧力検出要素を有する、圧力センサと、
圧力センサを収納するように構成される筺体とを有し、
圧力検出要素は気圧検出面を有し、圧力センサは、気圧検出面の法線方向が、圧力センサが地面に倒れるときの重力方向に実質的に垂直になるように筺体内に構成される。
【0013】
気圧検出面の法線方向は圧力センサが地面に倒れるときの重力方向に実質的に直角であるため、圧力検出要素の重さは圧力検出要素の変形に、すなわち測定気圧にほとんど影響を及ぼさず、そして不適切な圧力センサ配向によって生じる測定気圧の誤差はほとんど除去される。
【0014】
本発明の第4の態様において、ユーザの転倒を検出する方法が提供され、該方法は、
ユーザの身体に装着されることを目的とする第1及び第2の圧力センサによって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップと、
プロセッサによって第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すステップとを有し、
第1及び第2の圧力センサは、第1及び第2の圧力センサのプリセット配向が互いに反対になるように構成される。
【0015】
本発明の第5の態様において、気圧を測定する方法が提供され、該方法は、
第1及び第2の圧力検出要素によって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップと、
プロセッサによって第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すステップとを有し、
各圧力検出要素は気圧に応じて変形可能な気圧検出面を有し、第1の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向は第2の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向と反対になるように構成される。
【0016】
本発明のこれらの及び他の態様は以下に記載の実施形態から明らかとなり、それらを参照して解明される。
【0017】
本発明の上記の及び他の目的と特徴は添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1(a)】VTI Technologiesによって製造される圧力センサSCP1000‐D01の略図を描く。
【図1(b)】圧力センサの配向が変化するときの測定された高度値対実際の高度値を描く。
【図2(a)】第1及び第2の圧力センサの実施形態の略図を描く。
【図2(b)】第1及び第2の圧力センサの実施形態の略図を描く。
【図2(c)】第1及び第2の圧力センサの実施形態の略図を描く。
【図2(d)】第1及び第2の圧力センサの実施形態の略図を描く。
【図2(e)】第1及び第2の圧力センサの実施形態の略図を描く。
【図3(a)】第1及び第2の圧力検出要素の実施形態の略図を描く。
【図3(b)】第1及び第2の圧力検出要素の実施形態の略図を描く。
【図3(c)】第1及び第2の圧力検出要素の実施形態の略図を描く。
【図4(a)】圧力センサを有する転倒検出装置の実施形態の略図を描く。
【図4(b)】圧力センサを有する転倒検出装置の実施形態の略図を描く。
【図4(c)】圧力センサを有する転倒検出装置の実施形態の略図を描く。
【図4(d)】圧力センサを有する転倒検出装置の実施形態の略図を描く。
【図5(a)】圧力センサを有する転倒検出装置に含まれる筺体の形状の一実施形態の略図を描く。
【図5(b)】圧力センサを有する転倒検出装置に含まれる筺体の形状の一実施形態の略図を描く。
【図6(a)】圧力センサを有する転倒検出装置に含まれる筺体の形状の別の実施形態の略図を描く。
【図6(b)】圧力センサを有する転倒検出装置に含まれる筺体の形状の別の実施形態の略図を描く。
【図6(c)】圧力センサを有する転倒検出装置に含まれる筺体の形状の別の実施形態の略図を描く。
【図7】ユーザの転倒を検出する方法の一実施形態を図示するフローチャートである。
【図8】気圧を測定する方法の一実施形態を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を通して同様の部分を示すために同じ参照数字が使用される。
【0020】
第1に、ユーザの転倒を検出するための装置が提供される。
【0021】
該装置は、ユーザの身体に装着されることを目的とする、第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力センサ210,220を有する。
【0022】
図2(a)から図2(e)は第1及び第2の圧力センサ210,220の実施形態の略図を描く。
【0023】
図2(a)及び図2(b)を参照し、第1及び第2の圧力センサ210,220は第1及び第2の圧力センサ210,220のプリセット配向が互いに反対になるように構成される。
【0024】
第1及び第2の圧力センサ210,220は、それらの配向が測定気圧に影響を及ぼすような、すなわち圧力センサ配向変化のために測定誤差が生じるような種類のものである。圧力センサ配向変化による測定誤差の原因は様々であり得る。例えば、圧力センサに含まれる測定要素(不図示)の重さは測定気圧に影響を及ぼす。
【0025】
第1及び第2の圧力センサ210,220は図2(a)及び図2(b)に示すものと同じ外観及び/又は構造を持つ同じ種類のものであるか、或いは異なる外観及び/又は構造を持つ異なる種類のものであることができる。
【0026】
プリセット配向は例えば圧力センサの外観若しくは構造に基づいて、多くの方法で決定されることができる。第1及び第2の圧力センサ210,220が同じ外観を持つ同じ種類のものである場合、プリセット配向は第1及び第2の圧力センサ210,220の外観に従って決定されることができ、例えばプリセット配向は圧力センサの正面の配向であり得る。第1及び第2の圧力センサ210,220が異なる種類の圧力センサである場合、プリセット配向は第1及び第2の圧力センサ210,220の構造に従って決定されることができ、例えばプリセット配向は圧力センサに含まれる測定要素の配向であり得る。
【0027】
第1及び第2の圧力センサ210,220のプリセット配向は、互いに反対になり、第1及び第2の圧力センサ210,220によって測定される気圧のデータ値に対して逆の影響を及ぼすように構成される。例えば、第1の圧力センサ210は実際の気圧のデータ値よりもわずかに高い第1の気圧のデータ値を測定し、第2の圧力センサ220は実際の気圧のデータ値よりもわずかに低い第2の気圧のデータ値を測定する。従って、装置に含まれるプロセッサ(不図示)によって第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すことによって、第1及び第2の圧力センサ210,220を有する装置の配向変化によって生じる測定誤差が削減され、或いはさらに除去されることができる。
【0028】
第3の気圧のデータ値は、圧力センサ210,220を有する装置の配向が異なるときの測定気圧に対する影響に応じて、多くの方法で第1及び第2の気圧のデータ値から導き出されることができる。例えば、測定誤差の絶対値が、そのプリセット配向が反対である第1及び第2の圧力センサ210,220によって測定される気圧データ値と実質的に同じである場合、第3の気圧のデータ値は第1及び第2の気圧のデータ値の平均を計算することによって導き出されることができる。測定誤差の絶対値が、反対の配向である第1及び第2の圧力センサ210,220によって測定される気圧データ値と同じでない場合、第1及び第2の気圧のデータ値の重み因子は第3の気圧のデータ値を導き出すために異なる。重み因子は多くの方法で、例えば加速度計で圧力センサ210,220の配向を検出することによって経験則式に基づいて決定されることができる。
【0029】
図2(c)から図2(e)を参照し、第1及び第2の圧力センサ210,220の一実施形態において、各圧力センサ210,220は気圧検出面230を持つ圧力検出要素250を有し、配向は各圧力センサ210,220の気圧検出面230の法線方向235である。このように、第1及び第2の圧力センサ210,220が異なる外観を持つ場合、それらは気圧検出面230の法線方向235に従って反対のプリセット配向を与えられ得る。
【0030】
圧力検出要素250は気圧に応じて変形可能である。圧力検出要素250は様々に構成されることができ、例えば弾性膜の形をとり得る。圧力検出要素250は2つの面を持ち、一方の面は真空空間に面し、他方は、それを通って空気が入る空気口240を介して外気に接続される大気空間に面する気圧検出面230である。
【0031】
気圧検出面230が図2(c)に示すように平坦であるとき、気圧検出面230の法線方向235は圧力検出要素250から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面230に垂直である。気圧検出面230が図2(d)に示すように湾曲しているとき、気圧検出面230の法線方向235は圧力検出要素250から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面230の頂点に接する面に垂直である。
【0032】
図2(e)を参照し、第1及び第2の圧力センサ210,220の別の実施形態において、気圧検出面230の法線方向235は空気口240の法線方向245に平行である。空気口240の法線方向245は空気口240から圧力センサ210,220の外側へのびる方向であり、空気口240の面に垂直である。このように、第1及び第2の圧力センサ210,220のプリセット配向は空気口240の配向に従って互いに反対になるように構成されることができ、これは実施が容易である。
【0033】
第1及び第2の圧力センサ210,220のレイアウトは様々に構成されることができる。例えば、第1及び第2の圧力センサ210,220は図2(a)及び図2(b)に示すように隙間なく配置することができ、或いはこれらは図2(c)から図2(d)に示すようにプリント基板260上に一定間隔で配置されることができる。加えて、第1及び第2の圧力センサ210,220とそれらを覆う筺体(不図示)との間の相対位置はいかなる制限も受けない。
【0034】
図3(a)から図3(c)は第1及び第2の圧力検出要素320,330の実施形態の略図を描く。
【0035】
第2に、気圧を測定するための圧力センサ310が提供される。
【0036】
圧力センサ310は第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力検出要素320,330を有する。
【0037】
各圧力検出要素320,330は気圧に応じて変形可能であり、気圧検出面324,334を有し、第1の圧力検出要素320の気圧検出面324の法線方向328は第2の圧力検出要素330の気圧検出面334の法線方向338と反対になるように構成され、すなわち第1及び第2の圧力検出要素320,330の気圧検出面324,334は反対方向を向く。
【0038】
第1及び第2の圧力検出要素320,330は気圧に応じて変形可能であり、これらは様々に、例えば弾性膜として構成されることができる。圧力検出要素320,330は2つの面を持ち、一方は真空空間に面する面であり、他方は、それを通って空気が入る空気口340を介して外気に接続される大気空間に面する気圧検出面324,334である。
【0039】
気圧検出面324,334が図3(a)及び図3(c)に示すように平坦であるとき、気圧検出面324,334の法線方向328,338は圧力検出要素320,330から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面324,334に垂直である。気圧検出面324,334が図3(b)に示すように湾曲しているとき、気圧検出面324,334の法線方向328,338は圧力検出要素320,330から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面324,334の頂点に接する面に垂直である。
【0040】
圧力センサ310はさらに第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサ(不図示)を有する。第3の気圧のデータ値は多くの方法で第1及び第2の気圧のデータ値から導き出されることができる。例えば、第3の気圧のデータ値は第1及び第2の気圧のデータ値の平均を計算することによって導き出される。
【0041】
第1及び第2の圧力検出要素320,330の気圧検出面324,334は反対方向を向くので、第1及び第2の圧力検出要素320,330の重さは第1及び第2の圧力検出要素の変形に、すなわち第1及び第2の気圧のデータ値に対し逆の影響を及ぼす。従って、第1及び第2の圧力検出要素320,330によって得られる第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すことによって、第1及び第2の圧力320,330を有する圧力センサ310の配向が変化するときに測定誤差はほとんどない。
【0042】
第1及び第2の圧力検出要素320,330のレイアウトは様々に構成されることができる。例えば第1及び第2の圧力検出要素320,330は図3(a)及び図3(b)に示すように同じ空気口340を共有することができ、或いは図3(e)に示すように個別の空気口340を持つ。
【0043】
図4(a)から図4(d)は圧力センサを有する転倒検出装置400の実施形態の略図を描く。
【0044】
第3に、ユーザの転倒を検出するための装置が提供される。
【0045】
装置400は、ユーザの身体に装着されることを目的とする、転倒が起こるか否かを決定するために気圧のデータ値を得るように構成される圧力センサ410を有する。圧力センサ410は圧力検出要素450を有し、圧力検出要素450は気圧検出面430を有する。圧力検出要素450は気圧に応じて変形可能であり、様々に、例えば弾性膜として構成されることができる。圧力検出要素450は2つの面を持ち、一方は真空空間に面する面であり、他方は、それを通って空気が入る空気口440を介して外気に接続される大気空間に面する気圧検出面430である。
【0046】
装置400はさらに圧力センサ410を収納するように構成される筺体420を有する。圧力センサ410は、気圧検出面430の法線方向435が、圧力センサ410が地面に倒れるときの重力方向460に実質的に直角になるように筺体420内に構成される。
【0047】
気圧検出面430が図4(d)に示すように平坦であるとき、気圧検出面430の法線方向435は圧力検出要素450から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面430に垂直である。気圧検出面430が図4(c)に示すように湾曲している時、気圧検出面430の法線方向435は圧力検出要素450から大気空間にのびる方向であり、気圧検出面430の頂点に接する面に垂直である。
【0048】
気圧検出面430の法線方向435は、圧力センサ410が地面に倒れるときの重力方向460に実質的に直角であるため、圧力検出要素450の重さは圧力検出要素450の変形に、すなわち測定気圧にほとんど影響を及ぼさない。従って、不適切な圧力センサ410配向によって生じる気圧測定誤差はほとんど除去される。
【0049】
図4(a)及び図4(b)を参照し、装置400の一実施形態において、筺体420は実質的に平坦な面425を有し、筺体420の形状は実質的に平坦であり、圧力センサ410は気圧検出面430の法線方向435が筺体420の実質的に平坦な面425に実質的に平行になるように筺体420内に構成される。
【0050】
装置400が図4(a)に示すような形でユーザによって首の周りに装着されるとき、気圧検出面430の法線方向435は重力方向460に実質的に直角である。転倒が起こると装置400は地面に倒れる。ほとんどの場合、装置400は筺体420が平坦であるため図4(b)に示すような形で地面に倒れることになる。気圧検出面430の法線方向435は筺体420の実質的に平坦な面425に実質的に平行であり、従って気圧検出面430の法線方向435は依然として、圧力センサ410が地面に倒れるときの重力方向460に実質的に直角なままである。故に、圧力検出要素450の重さは圧力検出要素450の変形に影響を及ぼさない。このように、装置400に含まれる圧力センサ410は、装置400が首の周りに装着されるとき、又は装置400が地面に倒れるときに正確に気圧を測定することができる。
【0051】
図4(d)を参照し、圧力センサ410の一実施形態において、気圧検出面430の法線方向435は空気口440の法線方向445に平行である。空気口440の法線方向445は空気口440から圧力センサ410の外側へのびる方向であり、空気口440の面に垂直である。このように、圧力センサ410は空気口440の配向に従って筺体420内に構成されることができ、これは実施が容易である。
【0052】
筺体420は、気圧検出面430の法線方向435が、圧力センサ410が地面に倒れるときの重力方向460に実質的に直角であることを保証するように設計される。平坦な筺体420は多くの形状をとることができる。例えば、筺体420は図4(a)及び図4(b)に示すように立方形の形状であることができる。
【0053】
図5(a)及び図5(b)は圧力センサ410を有する転倒検出装置400に含まれる筺体420の形状の一実施形態の略図を描く。平坦な筺体420は楕円の形状である。この場合、気圧検出面430の法線方向435が筺体420の実質的に平坦な面425に実質的に平行である構成は、気圧検出面430の法線方向435が実質的に平坦な面425の頂点に接する面に実質的に平行である構成と人為的に定義される。
【0054】
図6(a)から図6(c)は圧力センサ410を有する転倒検出装置400に含まれる筺体420の形状の別の実施形態の略図を描く。図6(c)は面425から見た図6(a)及び図6(b)における装置400の図である。転倒が起こるときに装置400がほとんどの場合図6(b)に示すような形で地面に倒れることを保証するために、複数の凸面610が筺体420の側面上に設けられる。
【0055】
図7はユーザの転倒を検出する方法の一実施形態を図示するフローチャートである。
【0056】
図7を参照し、方法は、ユーザの身体に装着されることを目的とする第1及び第2の圧力センサ210,220によって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップ710を有する。第1及び第2の圧力センサ210,220は、第1及び第2の圧力センサ210,220のプリセット配向が互いに反対になるように構成される。
【0057】
方法はさらに、プロセッサによって第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すステップ720を有する。
【0058】
方法の一実施形態において、各圧力センサ210,220は気圧検出面230を持つ圧力検出要素250を有し、プリセット配向は各圧力センサ210,220の気圧検出面230の法線方向235である。
【0059】
方法の別の実施形態において、各圧力センサ210,220はそれを通って空気が入る空気口240を有し、気圧検出面230の法線方向235は空気口240の法線方向245に平行である。
【0060】
方法のさらなる一実施形態において、導き出すステップ720は、プロセッサによって第1及び第2の気圧のデータ値の平均を計算することによって第3の気圧のデータ値を導き出すサブステップを有する。
【0061】
図8は気圧を測定する方法の一実施形態を図示するフローチャートである。
【0062】
図8を参照し、方法は第1及び第2の圧力検出要素320,330によって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップ810を有する。各圧力検出要素320,330は気圧に応じて変形可能な気圧検出面324,334を有し、第1の圧力検出要素320の気圧検出面324の法線方向328は、第2の圧力検出要素330の気圧検出面334の法線方向338と反対になるように構成される。
【0063】
方法はさらに、プロセッサによって第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すステップ820を有する。
【0064】
上述の実施形態は本発明を限定するのではなく例示し、当業者は添付のクレームの範囲から逸脱することなく代替的実施形態を設計することができることが留意されるべきである。クレームにおいて括弧の間におかれる任意の参照符号はクレームを限定するものと解釈されてはならない。"有する"という語はクレーム若しくは明細書に列挙されていない要素若しくはステップの存在を除外しない。ある要素に先行する"a"若しくは"an"という語はかかる要素の複数の存在を除外しない。複数のユニットを列挙する装置クレームにおいて、これらのユニットのいくつかはハードウェア若しくはソフトウェアの1つの同じ項目によって具体化されることができる。第1、第2、及び第3、などの語の使用はいかなる順序も示さない。これらの語は名前と解釈されるものとする。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図2d】

【図2e】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図4a】

【図4b】

【図4c】

【図4d】

【図5a】

【図5b】

【図6a】

【図6b】

【図6c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの転倒を検出するための装置であって、
前記ユーザの身体に装着されることを目的とする、第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力センサと、
前記第1及び第2の気圧のデータ値から、転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサとを有し、
前記第1及び第2の圧力センサのプリセット配向が互いに反対になるように前記第1及び第2の圧力センサが構成される、装置。
【請求項2】
各圧力センサが気圧検出面を持つ圧力検出要素を有し、前記プリセット配向が各圧力センサの前記気圧検出面の法線方向である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各圧力センサが、それを通って空気が入る空気口を有し、前記気圧検出面の法線方向が前記空気口の法線方向に平行である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第3の気圧のデータ値が前記第1及び第2の気圧のデータ値の平均を計算することによって導き出される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
気圧を測定するための圧力センサであって、
第1及び第2の気圧のデータ値を得るように構成される第1及び第2の圧力検出要素と、
前記第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すように構成されるプロセッサとを有し、
各圧力検出要素が気圧に応じて変形可能であり、気圧検出面を有し、前記第1の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向が、前記第2の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向と反対になるように構成される、圧力センサ。
【請求項6】
ユーザの転倒を検出するための装置であって、
前記ユーザの身体に装着されることを目的とする、転倒が起こるか否かを決定するために気圧のデータ値を得るように構成される圧力センサであって、気圧に応じて変形可能な圧力検出要素を有する圧力センサと、
前記圧力センサを収納するように構成される筺体とを有し、
前記圧力検出要素が気圧検出面を有し、前記気圧検出面の法線方向が、前記圧力センサが地面に倒れるときの重力方向に実質的に直角になるように前記圧力センサが前記筺体内に構成される、装置。
【請求項7】
前記筐体が実質的に平坦な面を有し、前記筐体の形状が実質的に平坦であり、前記気圧検出面の法線方向が前記筐体の前記実質的に平坦な面に実質的に平行になるように前記圧力センサが前記筺体内に構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力センサが、それを通って空気が入る空気口を有し、前記気圧検出面の法線方向が前記空気口の法線方向に平行である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ユーザの転倒を検出するための方法であって、
前記ユーザの身体に装着されることを目的とする第1及び第2の圧力センサによって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップと、
プロセッサによって前記第1及び第2の気圧のデータ値から転倒が起こるか否かを決定するために第3の気圧のデータ値を導き出すステップとを有し、
前記第1及び第2の圧力センサのプリセット配向が互いに反対になるように前記第1及び第2の圧力センサが構成される、方法。
【請求項10】
各圧力センサが気圧検出面を持つ圧力検出要素を有し、前記プリセット配向が各圧力センサの前記気圧検出面の法線方向である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各圧力センサが、それを通って空気が入る空気口を有し、前記気圧検出面の法線方向が前記空気口の法線方向に平行である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
導き出すステップが、
前記プロセッサによって前記第1及び第2に気圧のデータ値の平均を計算することによって前記第3の気圧のデータ値を導き出すステップを有する、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
気圧を測定する方法であって、
第1及び第2の圧力検出要素によって第1及び第2の気圧のデータ値を得るステップと、
プロセッサによって前記第1及び第2の気圧のデータ値から第3の気圧のデータ値を導き出すステップとを有し、
各圧力検出要素が気圧に応じて変形可能な気圧検出面を有し、前記第1の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向が前記第2の圧力検出要素の気圧検出面の法線方向と反対になるように構成される、方法。

【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531233(P2012−531233A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516891(P2012−516891)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052525
【国際公開番号】WO2010/150117
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】