説明

ユーザインターフェイス拡張システム

表面を規定し、かつ表面の下に構成された流体容器を少なくとも部分的に規定するシートと、流体容器に入れた所定量の流体であってシートと協調してシートを通る画像を実質的に遮断することなく透過する流体と、流体容器の中の流体の容量に影響を及ぼして流体容器の少なくとも一部を膨脹および収縮させ、これにより表面の特定領域を変形させる変位デバイスと、デバイスにシートを接続する取付部材とを具えるユーザインターフェイス拡張システムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する特許出願の相互参照
本願は、2009年7月3日提出の「User Interface System」と題する米国仮出願第61/223,004号の利益を主張し、これを参照してその全体を援用する。
【0002】
本願は、2008年1月4日提出の「System and Method for Raised Touch Screens」と題する米国特許出願第11/969,848号と、2009年1月5日提出の「User Interface System」と題する米国特許出願第12/319,334号とに関し、これを双方とも参照してそれら全体を援用する。
【0003】
本発明は一般にユーザインターフェイスに関し、より具体的にはタッチディスプレイの一部を選択的に隆起させた新しく有用なマウントシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0004】
例えば、タッチスクリーンなどのタッチディスプレイは、動的なユーザ入力インターフェイスを提供することができ、ユーザインターフェイスを様々な用途に利用するアプリケーションに有用であり、例えばユニバーサルリモコンでは、ユーザインターフェイスを変更してユーザが制御するデバイスに適合することができ、あるいは携帯電話では複数の機能を備える。しかしながら、別個の境界明瞭なキーを備えたキーパッドなどの専用の入力デバイスを有する静的なユーザ入力インターフェイスとは異なり、大抵のタッチディスプレイは通常平面である。その結果、タッチディスプレイは静的なユーザインターフェイスで見られ、および/または感じられる触覚誘導を殆ど提供していない。触覚誘導の重要性は、AppleのiPhone(登録商標)とRIMのBlackberry(登録商標)製品との競合で容易に理解することができる。触覚誘導がないと、幾つかの不便が生じる。例えば、ユーザがディスプレイから目を離して1つの入力選択を別のものと識別するのに苦労するか、あるいは入力するときに指を配置する場所を判断するのに苦労するであろう。スマートフォン、リモートコントローラ、パーソナルナビゲーションデバイス、携帯電話、および携帯型ゲームデバイスなどの多くの電子デバイスは機能が増加しており、メーカーが各デバイスの様々な機能に適合できる静的なユーザインターフェイスを提供するのが次第に困難になっている。より良いユーザ体験を提供する試みとして、多くの電子デバイスは次第にタッチディスプレイを用いて各デバイスの様々な機能に適合できる動的なユーザインターフェイスを提供しているので、メインのユーザ入力の受信デバイスとしてタッチディスプレイに頼って、機械的なキーパッドの触覚誘導を無くした一般に入手可能な電子デバイスがかなりの数存在している。本発明は、このようなデバイスに追加して触覚誘導を提供することができる新しく有用なユーザインターフェイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1aおよび図1bはそれぞれ、好適な実施形態のユーザインターフェイスシステムの平面図と、好適な実施形態に従ったボタンアレイの動作を示す断面図である。
【図2】図2aおよび図2bは、デバイスに接続した好適な実施形態のユーザインターフェイスシステムの概略図である。
【図3】図3a,図3bおよび図3cはそれぞれ、好適な実施形態の収縮、膨張、およびユーザ入力モードの断面図である。
【図4】図4aおよび図4bは、チャネルおよびキャビティの組み合わせを備えたシートの第2の変形例と、分割した層部分および基板部分を備えたシートの第3の変形例との断面図である。
【図5】図5は、好適な実施形態の取付部品の変形例の概略図である。
【図6】図6は、好適な実施形態の取付部品の変形例の概略図である。
【図7】図7aと図7bはそれぞれ、シートと、キャビティと、キャビティの既存の流体を加減し、キャビティを収縮した容量設定と膨張した容量設定にする第1の好適な実施形態の変位デバイスとの断面図である。
【図8】図8は、シートと、キャビティと、キャビティの中に追加流体を移動する第1の好適な実施形態の第1の実施例の変位デバイスとの概略図である。
【図9】図9は、シートと、キャビティと、キャビティの中に追加流体を移動する第1の好適な実施形態の第2の実施例の変位デバイスとの概略図である。
【図10】図10aと図10bはそれぞれ、シートと、キャビティと、キャビティの中と外に追加流体を移動し、キャビティを収縮した容量設定と膨張した容量設定にする第1の好適な実施形態の第3の実施例の変位デバイスとの概略図である。
【図11】図11aと図11bは、第2の好適な実施形態の第1の変形例の第1および第2の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図12】図12aと図12bは、第2の好適な実施形態の第1の変形例の第1および第2の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図13】図13aと図13bは、第2の好適な実施形態の第2の変形例の変位デバイスの概略図である。
【図14】図14は、第2の好適な実施形態の第3の変形例の第1の実施例の第1のバージョンの変位デバイスの概略図である。
【図15】図15は、第2の好適な実施形態の第3の変形例の第1の実施例の第1のバージョンの変位デバイスの概略図である。
【図16】図16は、第2の好適な実施形態の第3の変形例の第1の実施例の第2のバージョンの変位デバイスの概略図である。
【図17】図17aおよび図17bは、第2の好適な実施形態の第3の変形例の第1の実施例の第3のバージョンの変位デバイスの概略図である。
【図18】図18aおよび図18bは、第2の好適な実施形態の第3の変形例の第1の実施例の第3のバージョンの変位デバイスの概略図である。
【図19】図19aおよび図19bはそれぞれ、解放状態および係合状態の第1および2の実施例のロック機構の概略図である。
【図20】図20aおよび図20bはそれぞれ、解放状態および係合状態の第1および2の実施例のロック機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の本発明の好適な実施形態の説明は、これらの好適な実施形態に本発明を限定するよう意図しておらず、あらゆる当業者が本発明を作成し用いることができるよう意図している。
【0007】
図1および図2に示すように、好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100を用いて、図2に示すように、タッチインターフェイスデバイス10のユーザインターフェイスを拡張することが好ましい。好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100は、表面115を規定し、かつ少なくとも部分的に流体容器127を規定するシート102と、流体容器127に入れた所定量の流体112であってシート102と協調してシート102を通る画像を実質的に遮断することなく透過する流体と、流体容器127の中の流体112の容量に影響を及ぼして流体容器127の少なくとも一部を膨脹および収縮させ、これにより表面115の特定領域113を変形させる変位デバイス130と、デバイス10にシートを接続する取付部品220とを具えることが好ましい。図1bと図2に示すように、流体容器127はキャビティ125であることが好ましく、変位デバイス130はキャビティ125の中の流体の容量に影響を及ぼしてキャビティ125を膨脹および収縮させることが好ましい。流体容器127は代わりに、図4aに示すように、チャネル138でもよいし、あるいはチャネル138とキャビティ125との組み合わせでもよい。ユーザインターフェイス拡張システム100は、2つの好適な実施形態の1つであることが好ましい。第1の実施形態では、変位デバイス130が電気で動く。第2の実施形態では、変位デバイス130が手動で動く。図2に示すように、好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100はさらに、好ましくはユーザインターフェイス拡張システム100を動かすよう機能する固有の電源200、ユーザインターフェイス拡張システム100とデバイス10とを通信させるよう機能するデータリンク205、および/またはユーザインターフェイス拡張システム100をデバイス10に電気的に接続するよう機能するコネクタ210を具える。変位デバイス130および/または固有の電源200はさらにシート102の中に入れられるが、代わりにシート102の外部にあってもよい。流体容器127はさらに所定量の流体112を入れる第2のキャビティ125bを具え、変位デバイス130はさらに第2のキャビティ125bの中の流体の容量に影響を及ぼして第2のキャビティ125bを膨脹および収縮させることが好ましく、これにより表面115の第2の特定領域113を変形させる。変位デバイス130はキャビティ125と関係なく第2のキャビティ125bの中の流体112の容量に影響を及ぼすことが好ましいが、代わりに実質的に同時にキャビティ125と第2のキャビティ125bの双方の中の流体112の容量に影響を及ぼしてもよい。あるいは、ユーザインターフェイス拡張システム100は、第2のキャビティ125bの中の流体112の容量に影響を及ぼすよう機能して第2のキャビティ125bを膨脹および収縮させる第2の変位デバイス130を具え、これにより表面の第2の特定領域113を変形させることができる。第2のキャビティ125bはキャビティ125に類似あるいは同一であることが好ましいが、代わりに任意の他の適切な種類のキャビティでもよい。
【0008】
好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100は具体的には、電子デバイス10のユーザインターフェイス、より好ましくはユーザ入力を受信するメインの手段としてタッチディスプレイを利用する電子デバイス10に追加されるよう設計されている。これは、例えば、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、PDA、パーソナルナビゲーションデバイス、リモートコントローラ、パーソナルメディアプレーヤ、カメラ、トラックパッド、あるいはキーボードを含むことができる。しかしながら、ユーザインターフェイス拡張システム100は、触覚的および/または視覚的な方法でユーザと対話する任意の適切なデバイス(自動車のコンソール、デスクトップコンピュータ、テレビ、ラジオ、卓上電話、腕時計、リモコン、およびマウスなど)のユーザインターフェイスとして用いてもよい。図3に示すように、ユーザインターフェイス拡張システム100の表面115は、特定領域113の位置でユーザに触覚誘導が提供されるまで平面のままであることが好ましい。次いで、変位デバイス130がキャビティ125を膨脹して特定領域113を外側に変形させ、ユーザが感じることができる変形を成し、かつユーザに触覚誘導を提供することが好ましい。彼または彼女が特定領域113に力を加えて入力を与えたときに膨張した特定領域113がさらにユーザに触覚フィードバックを提供することが好ましい。作用力が等しく相反する反力を有する場合、触覚フィードバックがニュートンの第3法則の形態となるが、代わりに任意の他の適切な種類の触覚フィードバックでもよい。あるいは、変位デバイス130がキャビティ135を収縮して特定領域113を内側に変形させることができる。しかしながら、特定領域113に任意の他の適切な変形を用いてもよい。ユーザ入力は、タッチディスプレイによって検出され、かつデバイス10によって処理されることが好ましい。しかしながら、任意の他の適切な構成のユーザインターフェイス拡張システム100を用いてよい。
【0009】
図2bに示すように、ユーザインターフェイスシステム100は画像を表示するデバイス10のタッチディスプレイの上に配置されることが好ましい。上述したように、所定量の流体112がシート102と協調してシート102を通る画像を実質的に遮断することなく透過することが好ましい。あるいは、流体容器127が特定の状態にあるとき、例えば、流体容器127が収縮状態にあるとき、または流体容器が膨張状態にあるときに限り、所定量の流体112がシート102と協調してシート102を通る画像を実質的に遮断することなく透過してもよい。特定領域113の変形がユーザに触覚誘導を与えるよう機能するので、ユーザは画像による視覚的刺激を必要とすることなく触覚誘導が存在するときにユーザインターフェイスを操作することができる。しかしながら、所定量の流体112とシート102が協調して任意の他の適切な構成でシート102を通る画像を実質的に遮断することなく透過してもよい。画像透過の遮断とは、ユーザに到達する際に画像の視覚的な遮断を与える画像のあらゆる操作として規定することができる。遮断とは、画像の実質的な部分をブロックしたり、実質的に画像を薄暗くしたり、および/または実質的に画像を不鮮明に歪ませたりすることを含む。画像透過に対する遮断とはみなさない方が好ましい画像の操作には、画像を実質的に視覚的に理解させたり、実質的に画像に均一に色を付けたり、および/または実質的に画像を均一に拡大させたりしつつ画像を歪ませることを含む。第1の変形例では、画像の歪みを低減させるために、所定量の流体112とシート102が協調してディスプレイからの光をディスプレイから直接出る角度と実質的に同じ角度でシート102からユーザの目に到達させることが好ましく、このようなディスプレイからの画像はそれをディスプレイから直接見たかのようにシート102を介して見える。第2の変形例では、所定量の流体112とシート102がディスプレイからの光を実質的に均一に屈折させるよう機能することができ、ユーザが見たときに画像の異なる領域で実質的に同じ相対的比率を維持する。例えば、所定量の流体112とシート102が協調してデバイス10のディスプレイからの画像を実質的に拡大するよう機能することができるため、ユーザが見たときに画像のサイズが増加するか、あるいは画像のある部分のサイズが別の部分より増加する。第3の変形例では、所定量の流体112とシート102が協調して画像の異なる部分からの光を異なって屈折して(すなわち、画像を「歪めて(warp)」)画像の特定の部分の倍率を増加することができる。例えば、流体112とシート102が協調して魚眼型の倍率を画像に与えて画像の特定の部分の視認性を実質的に向上することができる。第1、第2、および第3の変形例では、所定量の流体112とシート102がそれぞれ実質的に同じ屈折率であることが好ましく、光がシート102を透過するときにディスプレイからの光が実質的に1つの屈折角を維持する。あるいは、所定量の流体112とシート102の屈折率は実質的に異なっていてもよいが、流体112とシート102が協調してユーザによる異なる屈折角の検出を低減させることが好ましい。例えば、流体112の屈折角の変化はユーザが実質的に検出できないように、シート102の厚さおよび/または幅の実質的に僅かな割合だけ所定量の流体112が占有することができる。第2の実施例では、チャネル138および/またはキャビティ125の壁を配置することができ、例えば、シート102に対して特定の角度で壁を配置することによって流体112とシート102の屈折率の違いを補う。画像の色および/または輝度の変化を低減させるために、シート102と流体112は双方とも実質的に透明であることが好ましい。同様に、シート102と流体112は双方とも実質的に同じ光吸収特性、複屈折特性、および/または色度特性を具えることが好ましい。しかしながら、シート102と流体112について、任意の他の適切な透光性、透明レベル、吸収性、屈折性、および/または任意の他の適切な光透過特性を用いてもよい。同様に、任意の他の適切な方法を用いて画像の透過に対する遮断効果を低減させることができる。
【0010】
特定領域113の変形の形状は、指でユーザが感じるものであることが好ましく、(1)ユーザが押すことができるボタン、(2)スライダに沿って1つの位置にユーザが押すことができるスライダあるいはスライダに沿ってスライド動作でさっと動作することができるスライダ(第2世代のAppleのiPod(登録商標)の「クリックホイール(click wheel)」など)、および/または、(3)表面に沿って複数の方向および/または位置からユーザが押すことができるポインティングスティックとして動作することが好ましく、これによりユーザは、第1の方向のタッチと第2の方向のタッチ、および/または第1の位置のタッチと第2の位置のタッチを識別する触覚フィードバックが与えられる(TRACKPOINTとしてIBMに商標登録されたポインティングスティックや、TOUCHSTYKとして商標登録されたポインティングスティック(これらは双方とも非公式に「ニップル(nipple)」として知られている))。しかしながら、この変形は適切な触覚誘導とフィードバックを提供する任意の他の適切なデバイスあるいは方法として機能してもよい。
【0011】
図1および図3に示すように、好適な実施形態のシート102は、触覚でユーザと対話する表面115を提供し、かつ流体容器127を少なくとも部分的に規定するよう機能する。上述したように、流体容器127は(図1bと図2に示すように)キャビティ125であることが好ましいが、代わりに(図4aに示すように)チャネル138でもよいし、あるいはキャビティ125とチャネル138との組み合わせでもよい。表面115は連続していることが好ましく、これにより表面115にわたって指を滑らすときにユーザは表面115の縫い目あるいは他の種類の切れ目を全く感じないであろう。あるいは、表面115はユーザが1つの領域を別の領域と識別するのを容易にする特徴を具えていてもよい。表面115はさらに平らであることが好ましい。表面115は平面で構成することが好ましいが、代わりに湾曲面あるいは第1の面に構成し、次いで第1の面に実質的に垂直な第2の面の周囲を覆ってもよいし、または任意の他の適切な構成でもよい。表面115は代わりに、こぶ、隆起、くぼみ、質感を具えていてもよいし、あるいは任意の他の適切な種類もしくは形状の表面でもよい。表面115はさらに、キャビティ125の膨張の際に変形し、好適には「緩む(relax)」あるいは「脱変形(un−deform)」してキャビティ125の収縮の際に通常の平面の状態に戻るよう機能する。第1のバージョンでは、シート102が弾性の第1の部分と、相対的に非弾性の第2の部分とを具えている。第2のバージョンでは、シート102が第1の部分で相対的に弾性であり、第2の部分で相対的に非弾性であり、膨張したキャビティ125によって相対的に弾性部分で変形する。第1と第2のバージョンでは、シート102の長さと幅にわたって第1の部分と第2の部分を配置することができる。あるいは、シート102の厚さに沿って第1の部分と第2の部分を配置することができる。第3のバージョンでは、シート102がほぼ均一に弾性である。第4のバージョンでは、シート102が、選択的および/または可変的に弾性であるニッケルチタン(一般に「ニチノール」という)などの高性能な材料を含むか、あるいはこれで形成される。上述したように、シート102は光学的に透明であることが好ましいが、代わりに半透明でもよい。透明度に加えて、シート102が以下の特性:高透過率、低ヘイズ、広視野角、耐引っかき性、耐薬品性、耐染色性、耐破片保持性、清掃し易さ、耐破裂性と耐浸透性、および相対的な滑らかさ(べとつかなさ)を有することが好ましい。好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100は電子デバイス10のスクリーンに追加されることが好ましいので、シート102はさらに電子デバイス10のディスプレイに最低限の後方反射を有することが好ましい。シート102はさらに、周囲条件および/または昼光条件で最も低いあるいは低いグレアを備えることが好ましい。シート102はさらに、電子デバイス10のディスプレイおよび/またはタッチセンサに接着され、ディスプレイから出射する光の反射および/または屈折を低減することができる。しかしながら、任意の他の適切な構成のシート102を用いてもよい。シート102は適切な弾性材料で作製されることが好ましく、ポリジメチルシロキサン(PDMS)あるいはRTVシリコン(例えば、Momentive RTV Silicone 615)などのシリコンベースおよびウレタンのエラストマーを含む。シート102はさらに、平滑性(例えば、低摩擦係数)、撥水および撥油特性、耐引っかき性、および/または耐破片保持性などの特性を与えるコーティングを具えることができる。シート102はさらに、反射防止やギラツキ防止など、所望の光学特性を与えるコーティングを具えることができる。コーティングは表面115に施すことができるが、代わりにシート102の任意の他の適切な表面に施してもよい。このバージョンでは、シート102が弾性の第1の部分と、相対的に非弾性の第2の部分とを具え、非弾性の部分は、ポリマーあるいはガラスを含む材料、例えばエラストマー、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコンベースの有機高分子、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの熱硬化プラスチック、ペルフルオロポリエーテルなどの光硬化耐溶解性エラストマーで作製されることが好ましい。しかしながら、キャビティ125を変形させて規定する表面115を提供する任意の適切な材料でシート102を作製してもよい。
【0012】
シート102は周知技術を用いて製造することができ、微量の流体アレイが1以上のキャビティおよび/またはマイクロチャネルを生成する。シート102は、同じ材料あるいは異なる適切な材料で多層を用いて構築することができ、例えば、シート102は、(図4aと図4bに示すように)表面115を規定するある材料の層部分110と、第2の材料の基板部分120とを具えることができる。図4aに示すように、基板部分120は、流体をチャネル138とキャビティ125の間で流して表面113の特定領域を変形し脱変形させる流体出口116を規定することが好ましい。流体出口116は基板部分120に形成することができ、例えば、流体出口116は、図4bに示すようにチャネル138とキャビティ125との間の基板に機械加工された一続きの穴、あるいは図4aに示すようにキャビティ125とチャネル138との間の開口部とすることができるが、代わりに材料の特性とすることができ、例えば、基板部分120は一続きの相互接続したキャビティを含む多孔性材料を具えることができ、流体を基板部分120を介して流す。基板部分120は、任意の適切なサイズと形状の任意の適切な数の流体出口116を規定することができる。基板部分120はさらに、流体出口116を規定し、基板部分120から分離され、かつ基板部分120と層部分110との間に構成された流体出口層(図示せず)を具えることができる。しかしながら、任意の他の適切な構成の流体出口116を用いてもよい。図4bに示すように、流体出口116を含む基板部分120の部分(あるいは流体出口層)がさらに、層部分110を支持するよう機能することができ、力が特定領域113に加えられたときに層部分110をチャネル138の中に実質的に押し下げるのを実質的に防止する。しかしながら、基板部分120は任意の他の適切な方法で構成してもよく、任意の他の適切な方法で層部分110を支持してもよい。
【0013】
層部分110は、特定領域113のサイズおよび/または形状を少なくとも部分的に規定する付着点117で基板部分120(あるいは流体出口層)に付着されることが好ましい。言い換えれば、付着点117は表面113の変形可能な特定領域と表面115の残りの部分との間に境界を規定するよう機能し、特定領域113のサイズはキャビティ125および/またはチャネル138のサイズに実質的に依存しない。付着点117はエッジを規定する一続きの連続した点でよいが、代わりに一続きの連続しない点でもよい。付着点117は、例えば、接着剤、化学結合、表面活性化、溶接、あるいは任意の他の適切な付着材料および/または方法を用いて形成することができる。付着点117を形成するために用いる方法と材料は、層部分110と基板部分120とに類似する光学特性から成ることが好ましいが、代わりに他の光学特性でもよい。表面113の特定領域に対応しない層部分110の他の部分と基板部分120は、付着点117と類似あるいは同一の材料と方法を用いて接着することができる。あるいは、層部分110と基板部分120は、表面113の特定領域に対応しない他の部分では付着していなくてもよい。しかしながら、シート102は任意の他の適切な方法で構成してもよい。
【0014】
好適な実施形態の流体容器127は、所定量の流体112を保持し、少なくとも2つの容量設定:(キャビティ125を含む流体容器127の変形例について図3aに示すような)収縮した容量設定と、(キャビティ125を含む流体容器127の変形例について図3bに示した)膨張した容量設定とを有するよう機能する。流体112は実質的に圧縮不能な流体であることが好ましいが、代わりに圧縮可能な流体でもよい。流体112は(水、グリセリン、油、あるいはエチレングリコールなどの)液体であることが好ましいが、代わりに(空気、窒素、もしくはアルゴンなどの)気体あるいはキャビティ125を膨脹させて表面115を変形させる(ゲルもしくはエーロゲルなどの)任意の他の物質でもよい。膨張した容量設定では、キャビティ125が表面115の他の領域の面より上に表面115の特定領域113を変形させる。携帯電話である電子デバイス10に用いる場合、キャビティ125は2〜10mmの直径を有することが好ましい。しかしながら、このアプリケーションあるいは他のアプリケーションに用いる場合、キャビティ125が任意の適切な寸法を有していてもよい。
【0015】
図2に示すように、好適な実施形態の取付部品220はデバイス10にユーザインターフェイス拡張システム100を取り付けるよう機能することが好ましい。取付部品220は、特定領域113の位置が実質的に触覚誘導を提供すべきタッチディスプレイの領域の上、近く、あるいは隣接して配置されるように、ユーザインターフェイス拡張システム100とデバイス10との間の相対的な位置を維持することが好ましい。配置すべきシート102の表面に配置された接着剤がデバイス10のタッチディスプレイに実質的に直接接触するように、取付部品220は半永久的な取付機構であることが好ましい。あるいは、デバイス10のタッチディスプレイとシート102との間に隙間が存在してもよい。接着剤は、ユーザインターフェイス拡張システム100を透明にするために透明な両面テープとすることができる。両面テープは接触面全体に沿って配置することができるが、代わりに接触面の一部に沿って配置してもよい。両面テープの実施例は、3M VHBテープと3M Optically Clear Adhesive(OCA)を含む。あるいは、接着剤は好適には透明なエポキシ樹脂などの液体接着剤でもよい。液体接着剤の屈折率は、ユーザインターフェイス拡張システム100の屈折率と、デバイスの屈折率とに関して選択され、多層の視認性を低下させることが好ましい。しかしながら、任意の他の適切な種類の接着剤を用いてもよい。接着剤はさらに、ユーザインターフェイス拡張システム100の一部とデバイス10の一部との双方を包むよう配置することができる。取付部品220は代わりに、図5に示すように、ユーザが起動することができるクランプなどの相対的に非永久的な取付機構でもよい。取付部品220のクランプの変形例は、デバイス10の全部あるいは大部分を入れ、かつデバイス10のディスプレイ上にユーザインターフェイス拡張システム100を位置決めするケースとすることができ、さらにデバイス10の保護要素および/またはユーザインターフェイス拡張システム100の部品をユーザから隠す構造体(例えば、固有の電源200)として機能するが、代わりにデバイス10の小部分を入れてもよい。取付部品は代わりに、上記変形例の組み合わせでもよく、例えば、シート102はクランプに半永久的に接着することができ、次いでこれはデバイス10に相対的に非永久的に接続される。しかしながら、任意の他の適切な種類の取付システム、材料、あるいは方法を用いてユーザインターフェイス拡張システム100をデバイス10に半永久的あるいは相対的に非永久的に接続してもよい。取付部品220は、(例えば、シート102をデバイス10に接着する取付部品220の変形例では)1つの位置設定を提供するよう機能することが好ましいが、図6aと図6bに示すように、(例えば、取付部品220の非永久的あるいは永久的と非永久的の組み合わせの変形例では)1以上の位置設定を具えていてもよい。この変形例では、ユーザが所望の設定をセットすることが好ましい。この設定は、ユーザが選択するか、あるいはユーザが適用するデバイス10が指示することができる(例えば、横方向と縦方向のモードを備えたキーボードの特徴を具えるデバイスでは、横方向と縦方向のモードで変更がある場合、デバイス10がユーザに指示して位置設定を変更することができる)。あるいは、取付部品220は、サーボモータもしくはリニアアクチュエータあるいは選択した位置設定を適用する任意の他の適切な動作誘導素子などの起動位置アジャスタを具えていてもよい。例えば、あるモードの機能では、ユーザインターフェイス拡張システム100がデバイス10に対して1つの位置に方向づけることができ、第2のモードの機能では、ユーザインターフェイス拡張システム100がデバイス10に対して第2の位置に方向づけることができる。しかしながら、任意の適切な構成の取付部品220を用いてもよい。
【0016】
上述したように、ユーザインターフェイス拡張システム100は、変位デバイス130が電動で動く第1の好適な実施形態と、変位デバイス130が手動で動く第2の好適な実施形態との2つの好適な実施形態の1つであることが好ましい。双方の好適な実施形態では、変位デバイス130が流体容器127の中の流体112の容量に影響を及ぼすよう機能して流体容器127の少なくとも一部を膨脹および収縮させ、これにより表面115の特定領域113(および/または第2の特定領域113)を変形させる。キャビティ125を含む流体容器127の変形例について、携帯電話デバイス10に用いる場合、変位デバイス130は約0.003〜0.5mlだけ流体容器127の中の流体112の容量を増加してキャビティ125を膨脹させ特定領域113を外側に変形させるが、代わりに任意の他の適切な量だけ流体112の容量を増加してもよい。しかしながら、このアプリケーションあるいは他のアプリケーションに用いる場合、任意の適切な量だけ流体の容量を増加(あるいは場合により減少)してもよい。表面115の特定領域113の変形の要因は、流体容器127の流体の容量の変更として説明されているが、この変形の要因を表面115より上の圧力に対する表面115より下の圧力の増加あるいは減少として説明することができる。携帯電話デバイス10に用いる場合、表面115より上の圧力に対する表面115より下の圧力の約0.1〜10.0psiの増加が、表面115の特定領域113を外側に変形させるのに十分であることが好ましい。しかしながら、このアプリケーションあるいは他のアプリケーションに用いる場合、任意の適切な量だけ圧力の変更を増加(あるいは場合により減少)してもよい。
【0017】
1.第1の好適な実施形態:電動
第1の好適な実施形態の変位デバイス130は電気で動かされ、(1)流体容器127の既存の流体の容量を変更することによって、または(2)流体容器127に流体を移動し、そこから流体を移動することによって、流体112の容量を変更する事が好ましい。しかしながら、変位デバイス130は、任意の適切な電動のデバイスあるいは方法によって流体112の容量に影響を及ぼしてもよい。流体容器127(あるいはキャビティ125および/またはチャネル138)の既存の流体の容量を変更することはおそらく構成を複雑にしないという利点を有している一方、流体容器127(あるいはキャビティ125および/またはチャネル138)に流体を移動し、そこから流体を移動することは(バルブあるいは他のロック可能な機構を用いる場合)おそらく追加エネルギを必要とすることなく表面115の変形を維持するという利点を有している。以下の実施例は、キャビティ125とチャネル138を含む流体容器127を膨脹させることを記載しているが、流体容器127はキャビティ125とチャネル138の任意の他の適切な組み合わせにすることができる。
【0018】
キャビティ125の既存の流体を変更することは、幾つかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図7aおよび図7bに示すように、流体は気体などの膨張可能な流体とすることができ、変位デバイス130は膨張可能な流体を加熱する加熱素子を具え、これによりキャビティ125の既存の流体の容量を膨脹させる(例えば、理想気体の法則、PV=nRTに従って)。加熱素子は、キャビティ125の中あるいは隣接して、または流体容器127の中の任意の他の適切な位置に配置することができ、抵抗ヒータであることが好ましい。抵抗ヒータはさらに画像を透過させることが好ましいが、代わりに画像の透過を遮断しない位置に配置してもよい。例えば、抵抗ヒータはTaNまたはニクロムなどの材料で作製することができる。第2の実施例では、流体が、プラスチックの膨張可能な微粒子など、膨張可能な物質を含むことができる。第3の実施例では、流体がパラフィンを含むことができる。第4の実施例では、流体は印加した電流および/または電界あるいは電圧で容量を増加する物質とすることができる。第5の実施例では、流体は流体112の容量に影響を及ぼす粒子、例えば帯電したプラスチックあるいはガラスの微粒子などの電気的に引きつけられるか、あるいは反発する粒子を含むことができ、流体112に電流が印加されたとき、流体112の容量に影響を与えるよう機能する。これらは5つの実施例であるが、変位デバイス130は、キャビティ125の既存の流体を変更するによって収縮した容量設定から膨張した容量設定にキャビティ125を最終的に膨脹させる任意の他の適切なデバイス10あるいは方法とすることができる。
【0019】
キャビティ125への流体の移動、そこからの流体の移動はさらに幾つかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図8に示すように、変位デバイス130が追加流体を保持するリザーバ132と、リザーバ132からキャビティ125に流体を移動するポンプ134とを具える。リザーバ132は剛体であることが好ましいが、代わりに柔軟でもよく、例えば、リザーバ132が折り畳み可能であり、その中の流体112の容量が減少するときに容量を減少することができる。リザーバ132は、キャビティ125から遠い(そしてチャネル138あるいは他の適切な接続デバイスによって接続される)ことが好ましいが、代わりにキャビティ125に隣接して配置し、キャビティ125に直接接続してもよい。チャネル138の部分は(1マイクロメートルから1000マイクロメートルの範囲で断面寸法を有する)微小の流体チャネルであることが好ましいが、ユーザインターフェイス拡張システム100のサイズとコストの制約条件により、チャネル138は任意の適切な寸法を有してもよい。ポンプ134はマイクロポンプであることが好ましい(ドイツ、ツワイブリュッケンのThinXXS Microtechnology AGのポンプ#MDP2205や、ドイツ、ドルトムントのBartels Mikrotechnik GmbHのポンプ#mp5など)。ポンプ134は代わりに電気浸透流ポンプでもよいが、ある位置から別の位置に流体を送り込む任意の適切なデバイスでもよい。ポンプ134はキャビティ125から離れて配置されることが好ましく、チャネル138によってキャビティ125に接続されることが好ましい。収縮した容量設定から膨張した容量設定にキャビティ125を膨脹させるために、ポンプ134がリザーバ132から、チャネル138を介して、キャビティ125の中に流体を移動する。膨張した容量設定から収縮した容量設定にキャビティ125を収縮させるために、ポンプ134が「放出」するか、あるいはキャビティ125からリザーバ132に逆方向に送り込む。第2の実施例では、図9に示すように、変位デバイス130が、追加流体112を保持する第1の実施例に記載したリザーバと実質的に類似あるいは同一のリザーバ132と、リザーバ132からキャビティ125に流体を移動する第1のポンプ134と、キャビティ125からリザーバ132に流体を移動する第2のポンプ136と、第1のポンプ134とキャビティ125との間に配置した第1のバルブと、キャビティ125と第2のポンプ136との間に配置した第2のバルブとを具える。収縮した容量設定から膨張した容量設定にキャビティ125を膨脹させるために、第1のバルブが開かれ、第2のバルブが閉じられ、第1のポンプ134がリザーバ132から、チャネル138を介して、キャビティ125の中に流体を移動する。膨張した容量設定から収縮した容量設定にキャビティ125を収縮させるために、第1のバルブが閉じられ、第2のバルブが開かれ、第2のポンプ136がキャビティ125から、チャネル138を介して、リザーバ132の中に流体を移動する。あるいは、第1と第2のポンプ134および136はバルブの補助なしに流体の流れを導くよう機能してもよい。例えば、第1と第2のポンプ134と136はオフのときに流体の流れを止めることができる。したがって、キャビティ125を膨脹させるために、第2のポンプ136をオフにする一方で、第1のポンプ134をオンにして、キャビティ125の中の流体の容量を増加することができる。キャビティ125を膨脹させるために、第2のポンプ136をオンにする一方で、第1のポンプ134をオフにして、キャビティ125の中の流体の容量を減少することができる。その他の点では、第2の実施例は上記第1の実施例と類似している。ユーザインターフェイス拡張システム100は第2のポンプ136を省略し、単純に第2のバルブを開き、(場合により未変形の状態に戻るシート102の弾性力により補助されて)リザーバ132の中へキャビティ125に放出あるいは「排出(drain)」させることによって、膨張した容量設定から収縮した容量設定にキャビティ125を収縮させることができる。第3の実施例では、図10aと図10bに示すように、変位デバイス130は、キャビティ125の中に流体を移動し、そこから流体を移動するリニアアクチュエータなどのアクチュエータを具える。収縮した容量設定から膨張した容量設定にキャビティ125を膨脹させるために、図10aに示すように、リニアアクチュエータがチャネル138を介してキャビティ125の中に流体を移動する。膨張した容量設定から収縮した容量設定にキャビティ125を収縮させるために、図10bに示すように、リニアアクチュエータがリザーバ132を介してキャビティ125の中に流体を移動する。その他の点では、第3の実施例は上記第2の実施例と類似している。第4の実施例では、変位デバイス130が、加圧されるリザーバ132と、加圧したリザーバ132からキャビティ125の中に流体を流すバルブとを具えることができる。この第4の実施例の変位デバイス130はさらに、リザーバ132の中の圧力に打ち勝つポンプ134を具え、キャビティ125からリザーバ132に流体を送り戻してキャビティ125を収縮させることが好ましい。第5の実施例では、変位デバイス130が、キャビティ125に流体接続した圧縮可能なリザーバと、リザーバを加圧し減圧するパドルを動かすモータとを具えることができ、キャビティ125に流体を移動し、そこから流体を移動する。あるいは、変位デバイスがキャビティ125に流体を移動し、そこから流体を移動するプランジャを備えたリザーバと、プランジャを動かすモータとを具えてもよい。これらは5つの実施例であるが、変位デバイス130はキャビティ125に流体を追加し、そこから除去することによって収縮した容量設定から膨張した容量設定にキャビティ125を最終的に膨脹させる任意の他の適切なデバイス10あるいは方法とすることができる。
【0020】
第1の好適な実施形態のユーザインターフェイスシステム100は、図2に示すように、変位デバイス130に電力を供給する固有の電源200を具え、デバイス10から独立したユニットとしてユーザインターフェイスシステム100を動作させる。固有の電源200は実質的に小さい容量であることが好ましく、小さなディスクバッテリなどの携帯型であることが好ましく、固有の電源200をユーザインターフェイス拡張システム100の中に実質的に隠し、ユーザインターフェイス拡張システム100を携帯および無線で機能させる。固有の電源200はさらに、リチウムイオン電池セル、ニッケル水素電池、あるいは任意の他の適切な種類の再充電可能バッテリタイプとすることができる。再充電可能な固有の電源200は、コネクタ210を介してデバイス10に接続してデバイス10の電力を用いて充電することができるが、代わりに壁付きコンセント、USB電源、誘導充電器、あるいは充電すべき任意の他の適切な電源に接続してもよい。しかしながら、固有の電源200は任意の他の適切なタイプでもよい。あるいは、第2の好適な実施形態のユーザインターフェイスシステム100はコネクタ210を介してデバイス10に電気的に接続し、デバイス10の電力を用いて変位デバイス130を動かしてもよい。同様に、ユーザインターフェイス拡張システム100の他の適切な目的のためにデバイス10によって与えられた電力を用いることができる。しかしながら、第2の好適な実施形態のユーザインターフェイスシステム100の電源は任意の他の適切な電源でもよい。
【0021】
2.第2の好適な実施形態:手動
第2の好適な実施形態の変位デバイス130は手動で動くことが好ましく、これがユーザインターフェイス拡張システム100を相対的に単純な仕組みにすることができる。第2の好適な実施形態の変位デバイス130の起動がさらに変位デバイス130を動かすことが好ましい。あるいは、変位デバイス130の起動を変位デバイス130の動力から切り離してもよい。例えば、ユーザが与えた動力を放出することによって変位デバイス130を起動するまで、ユーザが与えた動力を変位デバイス130に蓄えることができる。さらに具体的な実施例では、変位デバイス130がアキュムレータ(図示せず)を具えることができ、ユーザにより与えられた動力を用いてアキュムレータの中の流体を加圧することができる。ユーザは次いで、アキュムレータのバルブを開くことによって変位デバイス130を起動し、流体にキャビティ125を膨脹させる。ユーザは、アキュムレータに直接動力を与えることができる。例えば、アキュムレータは所定量の流体を入れるリザーバとして機能することができ、ユーザがアキュムレータの中の圧力を増加する力を与える。あるいは、ユーザがリザーバから加圧したアキュムレータに流体を押し込む力を与えてもよい。しかしながら、任意の他の適切な構成のアキュムレータを用いてもよい。しかしながら、任意の他の適切な構成の動力と変位デバイス130の起動とを用いてもよい。以下の実施例はさらに、デバイス130を動かす変位デバイス130の起動を説明するが、当業者は変位デバイス130の以下の実施例の起動を変位デバイス130の動力から切り離すことができることを理解するでろう。
【0022】
手動の動力は、ユーザが直接的(例えば、ユーザインターフェイス拡張システム100の上に直接的)あるいは間接的(例えば、デバイスを介してユーザインターフェイス拡張システム100に間接的)に与えるが、代わりに任意の他の適切な手動の動力でもよい。以下の実施例は、キャビティ125とチャネル138を含む流体容器127を膨脹させることを説明しているが、流体容器127はキャビティ125とチャネル138の任意の他の適切な組み合わせとすることができる。
【0023】
第2の好適な実施形態の変位デバイス130は、様々な変形例の1つであることが好ましい。手動の変位デバイス130は、所定量の流体112を入れ、かつ流体チャネル138を介してキャビティ125に接続されたリザーバ132を具え、流体112がリザーバ132の操作によりリザーバ132とキャビティ125との間で移動する。第1の変形例では、リザーバ132が圧縮されてキャビティ125の中に流体を移動する。リザーバ132は徐々に圧縮されるので、キャビティ125の膨張の量はリザーバ132の圧縮に伴い任意の状態に調整することができ、これが特定領域113の変形の相対的に高度な個別化(personalization)という利点を提供することができる。あるいは、リザーバ132は第1の状態と第2の状態に圧縮することができ、キャビティ125の2段階の膨張を提供してもよい。第1の変形例の実施例では、図11aと図11bに示すように、リザーバ132がユーザにアクセス可能なボタン310として機能する。起動したとき、手で絞ったエアーポンプと同様に、ボタン310が圧縮されてキャビティ125の中に流体を移動する。第1の変形例の別の実施例では、図12aと図12bに示すように、変位デバイス130が、リザーバ132を「絞る(squeeze)」パドルとして機能してリザーバ132からキャビティ125に流体を押し進めるスライダ312を具えることができる。しかしながら、任意の他の適切な圧縮の任意の他の種類のリザーバを用いてもよい。
【0024】
第2の変形例では、変位デバイス130がリザーバ132の中に入れたプランジャ314を具えることができ、プランジャが流体に対して手動で動いてリザーバ132とキャビティ125との間で流体を移動する。第2の変形例の実施例では、図13aと図13bに示すように、プランジャ314がユーザにアクセス可能なレバー316を具えることができ、ユーザはレバー316を押してリザーバ132とキャビティ125との間で流体112を移動することができる。第1の変形例と同様に、これは特定領域113の変形の高度な個別化を可能にする。しかしながら、変位デバイスは、ユーザにポンプ力を生成させてキャビティ125の中に流体を追加する任意の他の適切な有形の素子を具えていてもよい。
【0025】
第3の変形例では、デバイスの一部の動作が起動し、変位デバイス130を動かしてリザーバ132からキャビティ125に流体を移動するように、変位デバイス130がデバイス10の一部に接続することができる。変位デバイス130に接続されるデバイスの一部は、ユーザがデバイス10の通常の使用中に力を与えるものとすることができる。少なくとも2つの実施例がある。(1)ユーザインターフェイス拡張システム100がフリップカバーとヒンジを備えた携帯機器10に適用される場合、ユーザがカバーをひっくり返して開くことによって与えられる動力を用いてキャビティ125に流体を送り込み、(2)デバイスはユーザが押してデバイス10をオンにするボタンを具えることができる。
【0026】
第3の変形例の第1の実施例では、ユーザインターフェイス拡張システム100がフリップカバーとヒンジを備えた携帯機器10に適用される場合、ユーザがカバーをひっくり返して開くことによって与えられる動力を用いてキャビティ125に流体を送り込む。リザーバ132はチャネルリザーバ322であり、変位デバイス130はチャネルリザーバ322の中に入れたピストン320を具える。変位デバイス130は、デバイスのヒンジの中に組み込まれることが好ましい。ピストン320の第1のセットのねじ山と、チャネルリザーバ322の第2のセットのねじ山とが、ピストン320とチャネルリザーバ322との間に接点を形成する。デバイス10のフリップカバーのヒンジはチャネルリザーバ322に接続することができ、これによりフリップカバーが開かれたときに、チャネルリザーバ322がさらに回転する一方、ピストン320は回転を防止するよう固定されているが、(図14に示すように)チャネルリザーバ322に沿った平行移動が可能である。チャネルリザーバ322が回転すると、かみ合うねじ山がピストン320をチャネルリザーバ322の中で回転させるため、キャビティ125に流体を送り込む。あるいは、デバイス10のフリップカバーのヒンジがピストン320に接続してもよく、これによりフリップカバーが開かれたときに、ピストン320が回転する一方、かみ合うねじ山によりチャネルリザーバ322に沿った平行移動が可能であるため、(図15に示すように)キャビティ125の中に流体を送り込む。あるいは、デバイス10のフリップカバーのヒンジがピストン320に接続してもよく、これによりフリップカバーが開かれたときに、ピストン320が回転するが、回転軸に沿って縦方向で静止したままであり、チャネルリザーバ322をピストン320に対して動かし、キャビティ125の中に流体を送り込む。
【0027】
変位デバイス130は代わりに、デバイスのフリップカバーに接続してもよい。ピストン320とチャネルリザーバ322は、互いに対して摺動するよう機能する。ピストン320はフリップカバーに接続することができる一方、チャネルリザーバ322はデバイスの残りの部分に接続される。フリップカバーが開かれると、ピストンはチャネルリザーバ322の中で平行移動し、流体が(図16に示すように)キャビティ125に送り込まれる。あるいは、フリップカバーが開かれるとチャネルリザーバ322がピストンに対して平行移動してもよい。しかしながら、任意の他の方向のポンプと、キャビティ125の中に流体を送り込むのに適切なチャネルリザーバ322を用いてもよい。
【0028】
第1の実施例の別のバージョンは、変位デバイス130が圧縮されてキャビティ125の中に流体112を移動するリザーバ132を具える第2の好適な実施形態の第1の変形例と実質的に類似する。リザーバ132は、デバイスのフリップカバーに接続された柔軟なキャビティ318であることが好ましく、フリップカバーのオープンが(図17a、図17b、図18a、および図18bに示すように)柔軟なキャビティ318を絞るか、あるいは捻るように機能し、キャビティ125の中に流体を送り込む。しかしながら、デバイス10のフリップカバーをひっくり返して開くことによるエネルギを利用するのに適切な任意の他のデバイス10あるいは方法を用いてもよい。
【0029】
第3の変形例の第2の実施例では、デバイス10がデバイスの一部を覆い、かつデバイスの一部を現わすよう移動するスライダ、例えば、携帯電話のキーボードを隠し、かつキーボードを現わすよう摺動するスライダ、あるいはカメラのレンズを保護し、かつレンズを現わすよう摺動および/またはデバイスをオンにするよう摺動するスライダを具えることができる。摺動動作を用いて変位デバイス130を起動および/または動かすことができる。例えば、デバイス10のスライダは、第2の好適な実施形態の第1および第2の変形例のスライダ312あるいはレバー316に接続することができ、デバイス10のスライダの動作がスライダ312あるいはレバー316を起動してリザーバ132を圧縮しキャビティ125を膨脹することができる。
【0030】
第3の変形例の第3の実施例では、デバイス10がボタン、例えばユーザが押してデバイス10をオンにするボタンを具えることができる。デバイス10をオンにするのに用いる押圧力は、変位デバイス130に接続され、キャビティ125の中に流体を送り込むのに用いることができる。この実施例の変位デバイス130は、第2の好適な実施形態の第1の変形例の第1の実施例で上述したボタン310と類似のボタンとすることができ、ボタンはデバイス10のボタンに接続され、デバイス10のボタンと同時に起動される。しかしながら、デバイス10の通常動作でユーザが与えた動力を利用し、かつ動力を移動してキャビティ125の膨張を起動する任意の他の適切なデバイスあるいは方法を用いてもよい。
【0031】
第4の変形例では、収縮状態あるいは膨張状態の何れかにキャビティ125を付勢することができる。例えば、ユーザがキャビティ125を収縮状態に切り替える動作を行うまで、キャビティ125を膨張状態に付勢することができる。収縮状態の起動は、キャビティ125の膨張状態の起動の第2の好適な実施形態の第1の変形例の第1および第2の実施例に記載したものと類似あるいは同一の方法とシステムを用いて行うことができる。第1の実施例では、上述した第1の変形例の第1の実施例のボタン310を付勢してキャビティ125を膨脹することができる。この実施例のボタン310は、押されたときに、ボタン310の付勢を妨げるよう機能するレバーアームを具えることができる。レバーアームはフリップカバーに接触していることが好ましく、フリップカバーが閉じた状態に戻されたとき、閉じたままのフリップカバーの付勢を用いてレバーアームを押すため、ボタン310の付勢を妨げ、キャビティ125を収縮状態に戻す。第2の実施例では、キャビティ125の膨脹モードを維持するばねによって上述した第3の変形例のピストン320とチャネルリザーバ322を付勢することができる。ユーザがデバイス10のフリップカバーを閉じると、ピストン320が322の中で平行移動し、ばねの付勢力が打ち勝ち、キャビティ125が収縮する。この変形例は代わりに、ユーザがエネルギ蓄積機構にエネルギを入力してキャビティ125の膨張の将来の起動に用いることを記載することができる。例えば、ユーザが圧縮ばねを圧縮し、引張ばねを延ばし、あるいは捻りばねを捻り、次いで蓄積エネルギを用いるよう選択してキャビティ125の膨張を起動することができる。第2のキャビティ125bを具える変形例では、ユーザがキャビティ125あるいは第2のキャビティ125bを選択して蓄積エネルギで膨張することが好ましい。例えば、リザーバは、バルブを具えるY接合部を介してキャビティ125と第2のキャビティ125の双方に流体接続することができる。バルブは、キャビティ125と第2のキャビティ125bの一方(あるいは双方)に流体を導く機械スイッチを具えることができる。ユーザは、所望のキャビティ(あるいは複数のキャビティ)を膨脹するスイッチを起動することができる。ユーザインターフェイス拡張システム100はさらに、ユーザにエネルギをエネルギ蓄積機構の中に容易に蓄えさせるエネルギ蓄積促進器を具えることが好ましい。促進器は、機械的なてこ装置(例えば、レバー)をユーザに提供することが好ましいが、代わりに任意の他の適切なタイプから成ってもよい。しかしながら、動力の入力をユーザから受けるまでキャビティ125を膨張状態に付勢する任意の他の適切なシステムあるいは適切な方法を用いてもよい。
【0032】
ユーザインターフェイス拡張システム100が第2のキャビティ125bを具える変形例では、第2のキャビティ125bがキャビティ125と関係なく膨張することができる。あるいは、キャビティ125および125bが同時に膨張することができる。しかしながら、任意の他の適切なキャビティの膨張の組み合わせを用いてもよい。第2の好適な実施形態の第1の変形例の第1の実施例では、ユーザインターフェイス拡張システム100が第2の変位デバイス130として機能し第2のキャビティ125bの中に流体を移動する第2のボタン310を具えることができる。変位デバイス130がパドルを起動してリザーバ132を「絞る(squeeze)」スライダ312を具える第1の変形例の第2の実施例では、変位デバイス130が第2のリザーバ132を具えることができ、スライダ312は一の方向に移動して第1のリザーバ132を「絞って」キャビティ125を膨脹させ、スライダ312は次いで第2の方向に移動して第2のリザーバ132を「絞り」第2のキャビティ125bを膨脹させる。変位デバイス130は代わりに、第2のリザーバ132を絞って第2のキャビティ125bの膨張を起動する第2のスライダ312を具えてもよい。レバーを備えたプランジャを具える第2の好適な実施形態の第2の変形例では、図10aと図10bに示すシステムと方法に類似しており、レバーが一方の側にシフトしてキャビティ125の膨張を起動し、別の側にシフトして第2のキャビティ125bの膨張を起動することができる。変位デバイス130は代わりに、第2のリザーバと、第2のリザーバの中に入れた第2のプランジャとを具え、第2のレバーが第2のキャビティ125bの膨張を起動してもよい。
【0033】
第3の変形例では、変位デバイス130がデバイス10の一部に接続することができ、チャネルリザーバ322が第2のセットのねじ山を具えることができ、ピストン320をチャネルリザーバ322に対して第2の方向に平行移動させて第2のキャビティ125bの中に流体を送り込む。あるいは、変位デバイス130が第2のチャネルリザーバ322と、第2のキャビティ125bの中に流体を送り込むよう機能する第2のピストン320とを具えてもよい。第3の変形例では、ユーザインターフェイス拡張システム100がユーザにキャビティ125および125bの一方または双方を選択させるセレクタを具えることが好ましい。セレクタは、フリップカバーの回転動作に所望のチャネルリザーバ322あるいはピストン320を接続するよう機能する一時的なカプラとすることができが、代わりに任意の他の適切なセレクタシステムあるいは方法でもよい。セレクタは、キャビティ125の膨張を起動するのに用いられる動作に先立ってユーザにアクセス可能であることが好ましい。例えば、フリップカバーのオープンに用いられる力を用いてキャビティ125の膨張(あるいは収縮)を起動する実施例では、ユーザはフリップカバーのオープンに先立って彼らが膨脹させたいキャビティを(例えば、デバイス10の外部の選択ボタンを介して)選択できることが好ましく、これにより正しいキャビティがフリップカバーのオープンの際に膨張する。これは、一旦デバイス10がオンにされてアクセス可能になった場合に直ちに触覚誘導をユーザに与える。あるいは、デバイス10がオンにされてアクセス可能になった後にユーザがキャビティを選択してもよい。この変形例では、キャビティの一方が既に膨張し、セレクタが他方のキャビティあるいは双方のキャビティにわたって膨張を切り替えるよう機能する。ヒンジがピストン320に接続する変形例では、セレクタがユーザに第2の方向にピストン320を平行移動して第2のキャビティ125bを膨張させるよう機能することができる。セレクタはさらに、上述した2つの変形例の組み合わせを可能とすることができる。セレクタは代わりに、キャビティ125の膨張のレベルを調整するのに用いてもよい。しかしながら、第2のキャビティ125bの膨張に任意の他の適切なシステムあるいは方法を用いてもよい。
【0034】
第2の好適な実施形態の第1、第2、および第3の変形例では、一旦キャビティ125が膨張した場合に、ユーザが与えた力をさらに必要とすることなくキャビティ125が膨張状態で保持されることが好ましい。キャビティ125の壁を押してキャビティ125を膨張するのに必要な力により、流体が自然に付勢されて後ろに流れてキャビティ125を収縮状態に戻す。第1の変形例の第1の実施例では、ボタン310がボタン310を起動状態にロックするロック機構315を具えることができ、図19と図20に示すように、流体がキャビティ125から離れてボタン310の中に戻るのを防止する。収縮状態にキャビティ125を戻すために、ユーザはロック機構315を解放することが好ましい。ボタン310がプッシュボタンである変形例では、ロック機構315が、図19aと図19bに示すように、ボタン310の頂面とかみ合ってボタン310を起動状態に維持する摺動タブ317を具えることができる。スライダ312を具える変形例では、ロック機構315は、図20aと図20bに示すように、キャビティ125が膨張するときにスライダと係合する係合部317とすることができる。係合部317は、スライダの穴もしくは出っ張りと係合するフック、スライダと係合するペグ、あるいはスライダと係合するクランプ、または任意の他の適切な種類の係合形状とすることができる。係合部317はさらに、スライダの係合を容易にするためにばねを具えることができる。しかしながら、ロック機構315は任意の他の適切な方法あるいはシステムでもよい。第2のバージョンでは、フリップカバーを有するデバイスが通常、開放位置にフリップカバーを維持するトーションばねなどの付勢ばねを有するため、ユーザインターフェイス拡張システム100はキャビティ125の膨張状態を維持する付勢力を利用することが好ましい。しかしながら、ユーザから動力の入力をさらに必要とすることなく、キャビティ125を膨張状態に維持するのに適切な任意の他のシステムあるいは方法を用いてもよい。
【0035】
3.キャビティの膨張の起動
双方の好適な実施形態の変位デバイス130は、デバイスによって起動することができるが、代わりにユーザが起動してもよい。変位デバイス130がデバイス10によって起動される変形例では、ユーザインターフェイス拡張システム100がデバイス10と通信するよう機能し、デバイス10がキャビティ125の膨張を起動するよう機能する。この好適な実施形態では、触覚誘導をユーザに提供すべきことをデバイス10が決定したときはいつでも、デバイス10がキャビティ125の膨張を起動する。デバイス10は代わりに、触覚誘導が望まれるデバイス10にユーザが入力したときにキャビティ125の膨張を起動することができる。デバイス10はさらに、キャビティ125が膨張すべき時間の長さを決定することが好ましく、ユーザに与えた触覚誘導に影響しうるキャビティ125の膨張率、キャビティ125の膨張のレベル、および/またはキャビティ125の膨張の任意の他の特性は、デバイス10によって制御することができる。ユーザインターフェイス拡張システム100が第2のキャビティ125bを具える変形例では、デバイス10がさらに、キャビティ125と第2のキャビティ125bの一方あるいは双方の膨張を選択的に起動するよう機能することができる。膨張すべきキャビティあるいは複数のキャビティの選択は、対応する特定領域113の位置でユーザに触覚誘導を提供すべきかどうかに依存するであろう。しかしながら、キャビティ125および/または第2のキャビティ125bの膨張の起動を決定するのに適切な任意の他の要因を用いてもよい。
【0036】
図2に示すように、デバイス10がキャビティ125の膨張を起動する変形例では、キャビティ125がデバイス10とユーザインターフェイス拡張システム100との間に通信バスとして機能するデータリンク205を具えることが好ましい。データリンク205は、コネクタ210あるいは任意の他の適切な有線接続を介してデバイス10のI/Oポートに接続するワイヤを具えることができるが、代わりにBluetooth、ZigBee、WiFi、あるいは任意の他の適切な無線プロトコルといったプロトコルを用いてデバイス10と無線接続を確立する無線の送信機および/または受信機を具えることができる。しかしながら、データリンク205はユーザインターフェイス拡張システム100をデバイス10と通信させて所望の時にキャビティ125の膨張の起動あるいは収縮をもたらす任意の他の適切なタイプから成ってもよい。ユーザインターフェイス拡張システム100はさらに、デバイス10と通信し、デバイス10から変位デバイス130に受信した命令を中継してキャビティ125を膨張するプロセッサ(図示せず)を具えることができる。ユーザインターフェイス拡張システム100はさらに、キャビティ125の状態、固有の電源200に残っている電力、および/またはユーザインターフェイス拡張システム100の状態を表示するのに適切な任意の他のデータを表示するデバイス10にデータを送信するよう機能することができる。しかしながら、ユーザインターフェイス拡張システム100とデバイス10との間に任意の他の適切な通信構成を用いてもよい。第1の好適な実施形態では、データリンク205がさらにデバイス10の電力をユーザインターフェイスシステム100に転送させるよう機能することができる。
【0037】
あるいは、ユーザが変位デバイス130を起動してもよい。ユーザにキャビティ125の膨張を起動させることによって、デバイス10が変位デバイス130を起動する変形例ではデータリンク205が必要でないのは、ユーザインターフェイス拡張システム100とデバイス10との間の通信はユーザインターフェイス拡張システム100の動作に必要でないからである。異なる製造業者の電子デバイスは通常通信に異なる基準を有しているので、ユーザインターフェイス拡張システム100を追加するデバイス10と通信する必要を無くすことにより、第2の好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100を実質的に僅かな開発時間で種々様々の電子デバイスに適用可能することができる。一般に、ユーザインターフェイス拡張システム100のユーザ起動の変形例を異なる電子デバイスに適合するために、キャビティ125の配置と、キャビティ125の形状と、ユーザインターフェイス拡張システム100の外形寸法と、キャビティ125および125bの数とにおいて比較的単純な変更を行うことができる。
【0038】
第2の好適な実施形態の手動の特徴のため、第2の好適な実施形態の変位デバイス130はユーザが起動することが好ましい。第1の好適な実施形態の変位デバイス130はさらにユーザが起動することができる。例えば、第1の好適な実施形態のユーザインターフェイス拡張システム100は、ユーザにキャビティ125の膨張を起動させるよう機能するボタン(あるいはスイッチ)を具えることができる。ボタンは、変位デバイス130にキャビティ125を膨張および/またはキャビティ125を収縮させるよう信号を送るよう機能する2つの状態ボタンとすることができるが、代わりにユーザにキャビティ125の膨張のレベルを選択させるよう機能する2以上の状態を備えたボタンとすることができる。ボタンの起動は、ボタンの第2の起動を受信するまで変位デバイス130にキャビティ125を膨張させるよう信号を送ることができ、ボタンの第2の起動は変位デバイス130にキャビティ125を収縮させるよう信号を送るものである。あるいは、ボタンの起動はボタンが初期状態に解除されるか戻されるまでキャビティ125の膨張をもたらすものでもよい(例えば、ユーザが第2の位置にスライダを移動するまでスライドボタンがある位置に残る)。キャビティ125の膨張の起動は代わりに、任意の他の適切なシーケンスから成っていてもよい。ユーザインターフェイス拡張システム100が第2のキャビティ125bを具える変形例では、ボタンがさらに変位デバイス130に信号を送って第2のキャビティ125bを膨張させるよう機能することができる。例えば、このボタンは、非膨張信号を送る第1のスライダ位置と、キャビティ125の膨張信号を送る第2の位置と、第2のキャビティ125bの膨張信号を送る第3の位置と、および/またはキャビティ125と125bの双方の膨張信号を送る第4の位置とを備えたスライダとすることができる。スライダは代わりに、非膨張信号を送る第1のスライダ位置と、キャビティ125の第1の程度の膨張信号を送る第2の位置と、キャビティ125の第2の程度の膨張信号を送る第3の位置とを具えていてもよい。この変形例のスライダを用いて、変位デバイス130で利用可能な膨張の程度の範囲を示すことができる。あるいは、ユーザインターフェイス拡張システム100は変位デバイス130に第2のキャビティ125bを膨張させる信号を送るよう機能する第2のボタンを具えることができる。しかしながら、任意の他の適切なユーザインターフェイスを用いてユーザに電気的にキャビティ125および/または第2のキャビティ125bを選択的に膨張させてもよい。
【0039】
ユーザは、彼あるいは彼女が触覚誘導を望むとき、例えば、デバイス10から目を離さないでいるのが困難であるか望まれない活動をユーザが行っているときに(例えば、かなり高速でタイプしている間、あるいはドライブしている間に)キャビティ125の膨張を起動することが好ましい。別の実施例では、デバイス10が携帯の電力を低くし、ディスプレイは電力を節約するため暗くすることができ、視覚的刺激の欠如と触覚誘導の代替機能の必要性とをもたらす。このような状況では、ユーザがキャビティ125の膨張を起動して触覚誘導を得て彼らに視線誘導することなくデバイス10を使用させる。ユーザはさらにキャビティ125の膨張のレベルを設定することができる。ユーザはさらに、デバイス10の起動の際にキャビティ125を膨張するようユーザインターフェイス拡張システム100を設定してもよいし、あるいは彼らはデバイス10がオンあるいはオフであるかどうかによりキャビティ125を膨張したままに構成することができる。ユーザインターフェイス拡張システム100が第2のキャビティ125bを具える変形例では、ユーザはさらにキャビティ125あるいは第2のキャビティ125b、または双方の膨張を起動すべきかどうかを選択する。しかしながら、任意の他の適切な利用のシナリオを適用してもよい。
【0040】
以下の請求項で規定された本発明の範囲から外れずに本発明の好適な実施形態に対して修正と変更を行うことができることを、当業者は前述の詳細な記載から、かつ図面と請求項から認識するであろう。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチインターフェイスデバイスのユーザインターフェイス拡張システムであって、
表面を規定し、かつ前記表面の下に構成された流体容器を少なくとも部分的に規定するシートと、
前記流体容器の中の所定量の流体であって前記シートと協調して前記シートを通る画像を実質的に遮断することなく光を透過させる流体と、
前記流体容器の中の流体の容量に影響を及ぼして前記流体容器の少なくとも一部を膨脹および収縮させ、これにより前記表面の特定領域を変形させる変位デバイスと、
前記タッチインターフェイスデバイスに前記シートを取り付ける取付部品とを具えることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項2】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記流体容器がキャビティを具え、前記変位デバイスが前記キャビティの中の前記流体の容量に影響を及ぼし、前記キャビティを膨脹および収縮させ、これにより前記表面の特定領域を変形させることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項3】
請求項2に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記シートが所定量の流体を入れる第2のキャビティを規定することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項4】
請求項3に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記第2のキャビティが前記キャビティと実質的に同一であることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項5】
請求項3に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記第2のキャビティの中の前記流体の容量に影響を及ぼして前記第2のキャビティを膨脹および収縮させ、これにより前記表面の第2の特定領域を変形させる第2の変位デバイスを具えることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項6】
請求項3に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスがさらに、前記第2のキャビティの中の前記流体の容量に影響を及ぼして前記第2のキャビティを膨脹および収縮させ、これにより前記表面の第2の特定領域を変形させることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項7】
請求項6に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記キャビティの中の流体の容量と関係なく前記第2のキャビティの中の前記流体の容量に影響を及ぼすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項8】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記シートによって規定された表面が実質的に連続して平らであることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項9】
請求項8に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記シートが第1の面の第1の部分と第2の面の第2の部分とにより表面を規定することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項10】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記流体容器の中の流体の容量に影響を及ぼして前記流体容器の少なくとも一部を膨張して前記表面の特定領域を外側に変形させ、膨張した流体容器を収縮させて前記表面の特定領域を実質的に平らに戻すことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項11】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記シートと前記流体が実質的に透明であることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項12】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記流体が前記シートの少なくとも一部の屈折率と実質的に同一の屈折率から成ることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項13】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムがさらに、前記変位デバイスと前記タッチインターフェイスデバイスとを接続し、かつ前記変位デバイスと前記タッチインターフェイスデバイスとの間の通信を可能にするデータリンクを具え、前記変位デバイスが前記タッチインターフェイスデバイスによって起動されることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項14】
請求項13に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記データリンクが無線の送信機と受信機とを具えることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項15】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが電動で動くことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項16】
請求項15に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが所定量の流体を入れ、かつ前記流体容器に流体結合されたリザーバを具え、前記リザーバと前記流体容器との間で流体が移動されることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項17】
請求項16に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記リザーバと前記流体容器との間で流体を移動する流体ポンプを具えることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項18】
請求項15に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記流体の容量を拡大して前記流体容器を膨張することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項19】
請求項18に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスがヒータであることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項20】
請求項15に記載のユーザインターフェイス拡張システムがさらに、前記変位デバイスを動かす電源を具えることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項21】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが手動で動くことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項22】
請求項21に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスの起動が前記変位デバイスを動かすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項23】
請求項21に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、手動の動力がアキュムレータに蓄えられ、前記変位デバイスの起動が前記アキュムレータから蓄えられた動力を解放して前記変位デバイスを動かすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項24】
請求項21に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記タッチインターフェイスデバイスの一部に接続し、前記タッチインターフェイスデバイスの一部の動作が前記変位デバイスを動かすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項25】
請求項24に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記タッチインターフェイスデバイスがカバーを具え、前記カバーの動作が前記変位デバイスを起動して動かすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項26】
請求項25に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記カバーがヒンジで動くフリップカバーであることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項27】
請求項24に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記タッチインターフェイスデバイスが前記タッチインターフェイスデバイスを起動するボタンを具え、前記ボタンの起動が前記変位デバイスを起動して動かすことを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項28】
請求項21に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが所定量の流体を入れ、かつ前記流体容器に流体結合されたリザーバを具え、前記リザーバと前記流体容器との間で流体が移動されることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項29】
請求項28に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記リザーバが手動で圧縮されて前記流体容器に流体を移動することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項30】
請求項28に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが前記リザーバに入れたプランジャを具え、前記プランジャが前記リザーバに対して手動で動いて前記リザーバと前記流体容器との間で流体を移動することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項31】
請求項21に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記変位デバイスが付勢されて前記流体容器を膨張し、前記変位デバイスが手動で動いて前記流体容器を収縮することを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項32】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記取付部品が実質的に前記タッチインターフェイスデバイスを入れることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。
【請求項33】
請求項1に記載のユーザインターフェイス拡張システムにおいて、前記タッチインターフェイスデバイスがタッチディスプレイを具え、前記取付部品が前記タッチディスプレイの上に前記シートを取り付けることを特徴とするユーザインターフェイス拡張システム。

【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A−11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A−13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A−17B】
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【図18A−18B】
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【図19A−19B】
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【図20A−20B】
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【公表番号】特表2012−532384(P2012−532384A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518624(P2012−518624)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/041007
【国際公開番号】WO2011/003113
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(512002264)タクタス テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】TACTUS TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】